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富士山地下の比抵抗構造 (序報)

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Academic year: 2021

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(1)

防災研究所年報

富士山地下の地殻深部比抵抗構造

(序報)

相澤 広記・吉村 令慧・山崎 健一・神田 径・

大志万 直人・橋本 武志

*・Tony. HURST*・坂中 伸也**・

古川 勇也

**・小川 康雄***・S.Bulent. TANK***・上嶋 誠

****・小河 勉****・小山 茂****・鍵山 恒臣****・

塩崎 一郎

*****・宇都 智史*****・吉村 光弘*****・

吉本 和範

*****

*京都大学大学院理学研究科 **秋田大学工学資源学部地球資源学科 ***東京工業大学火山流体研究センター ****東京大学地震研究所 *****鳥取大学工学部

要旨

2002 年 9 月, 富士山周辺で広帯域 MT 観測を行なった。その結果, 富士山直下深部に低抵抗 体が存在することが強く示唆された。現在のところ, データの量, 質とも不十分なため, その 低抵抗体の深さや広がりは不明である。しかし予備的な解析によると, 低抵抗体の深さの上 面は, 深さ 15 キロの深部低周波地震の発生領域と一致するために, マグマ溜りを表している 可能性がある。また得られたデータには顕著な異方性が見られる。 キーワード : 富士山, 比抵抗, 広帯域 MT 法, マグマ溜り, 異方性

1. はじめに

富士山は日本列島最大の第四紀成層火山である。高 橋 (2000) によると, 富士山には, 他の火山にはみら れない富士山特有のいくつかの未解決問題が存在する。 高橋 (2000)では, それらの問題に対して, 富士山直下 では, あたかも小規模な拡大海嶺のように, 中下部地 殻が裂けながら拡大しているというモデル(ミニ拡大 海嶺モデル)を考えることで, 一応説明することがで きると論じている。このモデルは世界中の他のどの火 山でも提唱されていない興味深いものであるが, 現 在広く受け入れられている定説とは言い難い。この原 因として, 最も直接的な根拠としている富士山地下の 地震学的構造が, あまりはっきりとしたものでないこ とがあげられる(Lee and Ukawa, 1992 ; Ishida, 1992) 。 本研究の目的は高橋 (2000)のミニ拡大海嶺モデルを 電磁気的な構造を求めることで検証することである。 ミニ拡大海嶺モデルでは, 富士山直下の深さ 10km 以 深の中下部地殻は, 沈み込んだフィリピン海プレート の裂け目であり, 裂けながら拡大している地殻のうち

(2)

Fig.1 Geological setting of Fuji volcano with observation sites for magnetotelluric observations. Topographic contour 20km 以深はマグマで絶えず満たされている領域で あるとしている。電磁気的には沈み込むプレートは高 抵抗体, マグマは低抵抗体として検出されることが期 待でき, 地震学的構造と総合することで, より確かな 構造情報を得ることができる。

2. 観測の概要

比抵抗構造を求める際の手法として, 自然の電磁場 変動を利用したMT 法を採用した。MT 法とは磁場変 動と, それに誘導された電場変動の周波数応答を求め ることで, 地下の比抵抗構造を求める物理探査法であ る。GPS で同期した 8 台の広帯域 MT 法測定装置Phoenix MTU5, MTU2E)を用いて, 9 月 10∼20 日の 10 日間の観測期間中, 合計 12 観測点で測定を行なっ た。観測には7 機関, 18 名が参加した。Fig.1 に観測点 分布図を示す。標高2300m以上の測点では地形的な制 約のため電場のみの測定を行なった。当該観測地域で ある富士山周辺では, 中央線, 東海道線, 富士急行, 身 延線, 御殿場線に取り囲まれており, 直流電車から の漏洩電流によって, ノイズ環境が悪いことが予想さ れたため, 同時期に北海道道北地域で行なわれた広帯MT 観測 (茂木, 2003)のデータをリモートリファレ ンス処理のために利用できるように観測期間を設定し た。

3. データ解析

3.1 サウンディングカーブ

周波数応答を求める際には, 北海道道北地域での磁 場を参照点として, リモートリファレンス処理を行な った。富士山で得られたデータのうち, 比較的ノイズ 状況がよい観測点の磁場の時系列と, 北海道東部の磁 場の時系列をあわせてFig.2 に示す。 10 km 138.6° 138.6° 138.7° 138.7° 138.8° 138.8° 35.3° 35.3° 35.4°û 35.4° Y4 Y3 Y2 Y1 M2 M1 M0 S1 S2 S3 S4 S5

interval is 200m. Solid circles with characters indicate magnetotelluric sounding sites. Gray shaded patches show the parasitic cone.

(3)

全体的な傾向を見るために, Fig.3 にインピーダンス を擬似断面として示す。Fig.3 には広域応力場を表すと 考えられる富士山の寄生火山列(北西-南東方向)を 2 次元走行とし,その走行に対しての, 両モードの擬似断 面図を示している。富士山などの急峻な地形は, 見か け比抵抗に大きな影響を与える(Wannamaker, 1986) ので位相に注目すると, 長周期側で, 多くの観測点で その値が 45°を超えているのが分かる。これは深部に 低抵抗体が存在することを示唆している。

3.2 2 次元解析

予備的な解析としてOgawa and Uchida (1996)による 2 次元インバージョンを適用した。富士山地下の構造は 北西−南東方向の走行をもつ2 次元構造であることを 仮定してある。計算ではTM モードの見かけ比抵抗と 位相, TE モードの位相を使用した。100 m の一様大地 を初期モデルとし, 地形を 2 次元としてモデルに組み 込んだ。得られたモデルをFig.4 にフィット図を fig.5, fig.6 にそれぞれ示す。 Fig.2 山頂直下深さ 15 キロを上面として低抵抗体が現れ る結果となった。この深さは深部低周波地震の震源域 とよく一致するため, マグマ溜りを表している可能性 がある。フィリピン海プレートに対応する構造につい ては, 山頂の北東方向以外には, はっきりとは現われ ていないという結果になった。しかしながら, フィッ ト図を見ると, 側線外側の観測点のデータほど, フィ ットが合わなくなり, 観測線外側の構造が, 得られた データに対し大きな影響を与えていることが考えられ る。また測線の端部の観測点ではデータの質が十分で はない。そこで2003 年 5 月に測線は拡張するよう再度 の観測を行ない, 確定的な結果を得る予定である。 事前の予想通り, 電車からの漏洩電流と思われるノイ ズが著しいことが分かる。他地域に比べての特徴は, 夜間でもノイズレベルがあまり下がらないところであ る。通常ノイズレベルの大きい地域ではS/N 比の良い 夜間値のみを使うことで, 結果の改善がみられるが, 今回のデータに関しては, むしろ結果が悪化した。こ れは夜間値のみを使うと, クロススペクトルのスタッ ク数が減少してしまうためだと考えられる。そこで今 回は各時間幅ごとに求まったクロススペクトルのうち ノイズの影響を特に強く受けていると判断した区間を 除外し, それ以外は全て足し合わせて最終的なインピ ーダンステンソルを得た。データの品質は周期0.01∼1 秒はおおむね良好であるが, 周期 1 秒∼1000 秒の長周 期帯は観測点ごとに大きく異なる。原因は不明である が, 標高 2300m 以上の山頂部では, 長周期帯はほとん ど求めることができない。その他の山麓の測点では, 基本的にデータを長い期間取得した測点ほど, エラー バーが小さくなるという結果であった。 今回の予備的な解析では富士山地下の比抵抗構造が 寄生火山列の方向 (北西−南東) に 2 次元的であると 仮定してある。Groom and Baily (1989) の方法を使えば 2 次元性のチェックを行なうことができるが, それに は多点で質のよいデータを取得することが不可欠であ る。そのためにも観測を再度行なう必要がある。 B x_ H o k 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 B y_ H o k 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 B x_ F u ji ( Y 2 ) 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 B y_ F u ji ( Y 2 ) 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 2002 9/14 hours (UT )

Examples of the geomagnetic field. Above two were observed at the northern part of Hokkaido. Beneath two were collected at a sites 4km northeast of Fuji volcano

(4)

Fig.3 Pseudosection of observed apparent resistivity and phase. (a) TM mode response. (b) TE mode response. Coordinate system was rotated clockwise 45 degree from true north.

Fig.4 Two dimensional resistivity cross section obatained by inversion from TM and TE mode data. Inverted triangle shows magnetotelluric sounding sites. Small circles indicate the hypocenter distribution which have occurd from January 2000 to October 2002. Deep (10-15km depth) earthquakes are almost low-frequency earthquakes.

App.R esistivity(obs)

-3 -2 -1 0 1 2 3 F re q u e n cy (L o g H z) -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 Distance(km)

App.R esistivity(obs)

-3 -2 -1 0 1 2 3 F re q u e n cy (L o g H z) -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 Distance(km)

P hase(obs)

-3 -2 -1 0 1 2 3 F re q u e n cy (L o g H z) -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 Distance(km)

P hase(obs)

-3 -2 -1 0 1 2 3 F re q u e n cy (L o g H z) -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 Distance(km)

T M mode [12 s ite]

App.R esistivity(obs)

-3 -2 -1 0 1 2 3 F re q u e n cy (L o g H z) -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 Distance(km)

App.R esistivity(obs)

-3 -2 -1 0 1 2 3 F re q u e n cy (L o g H z) -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 Distance(km) 1 2 3 4 Log Ohm-m

P hase(obs)

-3 -2 -1 0 1 2 3 F re q u e n cy (L o g H z) -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 Distance(km)

P hase(obs)

-3 -2 -1 0 1 2 3 F re q u e n cy (L o g H z) -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 Distance(km) 15 30 45 60 75 Degrees

T E mode [12 s ite]

-5 0 5 10 15 20 25

D

e

p

th

(k

m

)

-20 -15 -10 -5 0 5 10 15

Distance(km)

-1 0 1 2 3 4 5 6 7 Log Ohm-m S W NE

(5)

Fig.5 Calculated apparent resistivity and phase for TM-mode. Solid lines are calculated response using modeled structure by inversion. Solid circle with error bar is observed response.

0 1 2 3 4 5 A p p .R e si st iv ity Y 4 0 1 2 3 4 5 A p p .R e si st iv ity 0 45 90 P h a se -3 -2 -1 0 1 2 3 F requency 0 45 90 P h a se -3 -2 -1 0 1 2 3 F requency 0 1 2 3 4 5 Y 3 0 1 2 3 4 5 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 1 2 3 4 5 Y 2 0 1 2 3 4 5 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 1 2 3 4 5 Y 1 0 1 2 3 4 5 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 1 2 3 4 5 M2 0 1 2 3 4 5 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 1 2 3 4 5 M1 0 1 2 3 4 5 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 1 2 3 4 5 M0 0 1 2 3 4 5 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 1 2 3 4 5 S 1 0 1 2 3 4 5 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 1 2 3 4 5 S 2 0 1 2 3 4 5 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 1 2 3 4 5 S 3 0 1 2 3 4 5 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 1 2 3 4 5 S 4 0 1 2 3 4 5 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 1 2 3 4 5 S 5 0 1 2 3 4 5 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3

(6)

Fig.6 Calculated apparent resistivity and phase for TE-mode. Solid lines are calculated response using modeled structure by inversion. Solid circles with error bar are observed response.

0 1 2 3 4 5 A p p .R e si st iv ity Y 4 0 1 2 3 4 5 A p p .R e si st iv ity 0 45 90 P h a se -3 -2 -1 0 1 2 3 F requency 0 45 90 P h a se -3 -2 -1 0 1 2 3 F requency 0 1 2 3 4 5 Y 3 0 1 2 3 4 5 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 1 2 3 4 5 Y 2 0 1 2 3 4 5 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 1 2 3 4 5 Y 1 0 1 2 3 4 5 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 1 2 3 4 5 M2 0 1 2 3 4 5 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 1 2 3 4 5 M1 0 1 2 3 4 5 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 M0 0 1 2 3 4 5 0 1 2 3 4 5 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 1 2 3 4 5 S 1 0 1 2 3 4 5 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 1 2 3 4 5 S 2 0 1 2 3 4 5 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 1 2 3 4 5 S 3 0 1 2 3 4 5 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 1 2 3 4 5 S 4 0 1 2 3 4 5 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 1 2 3 4 5 S 5 0 1 2 3 4 5 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 45 90 -3 -2 -1 0 1 2 3

(7)

3.3 異方性

長周期側 (周期 100 秒前後) の位相が 45 度を超えて いる観測点で, 周波数応答に, 顕著な異方性が認めら れた。観測の座標系を時計回りに, 0 度, 23 度, 45 度そ れぞれ回転させたサウンディングカーブを Fig.7 に示 す。 図から分かるとおり 45 度回転させた座標系で長 周期帯における異方性がはっきりと現われた。この長 周期帯での異方性は, 北東−南西方向に電流が集中し, 北西−南東方向に電流が流れにくいというセンスであ る。 この異方性は, 実際に地下構造が異方性を持ってい る可能性, 低周波側のインダクションベクトルが示す ような広域的な構造の影響によるものである可能性, 富士山という急峻な地形によって電場が歪められた可 能性, という 3 つが考えられる。今回取得したデータ のように北東−南西方向に電流を集中させるには, 測 線の北東側もしくは南西側に, 例えば海洋などの比抵 抗値の低い領域の存在を仮定すればよいが, 海岸線は 測線の南東に位置している。また実際, 長周期側のイ ンダクションベクトル (Fig.8) も海岸線方向を示して いる。地形の効果に関しては, 山地の方角に電流が流 れにくくなるという効果 (Wannamaker et al., 1986) が あるが, 今回は観測点の北東か南西側に富士山が位置 しているため, 北東−南西方向に電流が流れにくくな るはずで, 実際のデータの持つ異方性とは逆センスと なる。 以上の考察から, 実際に地下構造が異方性をもって いる可能性がある。この可能性を認めて, 異方性が現 われている観測点と周期帯を考慮すると, 異方性は前 章で述べた深部の低抵抗体が担っている可能性が高い。 地下の低抵抗体が北西−南東方向に貫入した岩脈の集 合体であるとすると, 今回の異方性を説明できるかも しれない (Ogawa, 2002) 。 高橋 (2000) は, 富士山が 基本的に玄武岩マグマばかりを噴出してきた理由とし て, 富士山地下のマグマ溜りが, 岩脈状のマグマ溜り の複合体であるからであろうと考察している。上記で 述べた低抵抗体の異方性が, この考えの根拠となり得 るかもしれない。 しかしながら異方性は, 複雑な構造を与えることで も説明できる。この可能性を検討するためにも, 測線 を拡張, 充実することが必要である。富士山から離れ た測点で異方性が観測されないか, 非常に極端な構造 をしていないかどうかなどを検証する必要がある。

Fig.7 Observed apparent resistivity with various coordinate system. (a) with coordinate system whose x-axis are true north (b) with rotated one 23°clockwise from (a). (c) with rotated one 45°clockwise from (a)

102 103 104 4 3 2 1 Rxy Ryx 3 2 1 0 -1 -2 -3 4 3 2 1 3 2 1 0 -1 -2 -3 4 3 2 13 2 1 0 -1 -2 -3 4 3 2 1 3 2 1 0 -1 -2 -3 4 3 2 1 3 2 1 0 -1 -2 -3 4 3 2 1 3 2 1 0 -1 -2 -3 Y2 Y3 4 3 2 1 3 2 1 0 -1 -2 -3 4 3 2 1 3 2 1 0 -1 -2 -3 4 3 2 13 2 1 0 -1 -2 -3 4 3 2 1 3 2 1 0 -1 -2 -3 4 3 2 1 3 2 1 0 -1 -2 -3 4 3 2 1 3 2 1 0 -1 -2 -3 Ap pa re nt Re sis tiv ity (lo g Ω m) Frequency (log Hz) S2 S3

23°

45°

(a)

(b)

(C)

(8)

Fig.8 Distribution of induction vector (Real part). Note that we did not have taken vertical magnetic records

except five sites.

4.まとめ

2002 年 9 月に富士山周辺で広帯域 MT 観測を行なった。 その結果富士山直下深部に低抵抗体が存在しているこ とが強く示唆された。予備的な解析ではこの低抵抗体 の上面は低周波地震の震源域に一致し, マグマ溜りを とらえている可能性がある。また得られたデータを真 北を基準とした座標系から 45°前後回転させた場合 に異方性が表れる。この異方性により, 比抵抗構造に 制約を与えられる可能性がある。

謝辞

今回の観測に際して, 下記の機関のご協力をいただ きました。深く感謝いたします。富士宮本宮浅間大社, 吉田恩賜林組合, 吉田林務環境部, 富士山本八合目ト モエ館。 解析に際しては, 北海道大学の茂木透助教授から, 北海道北部地域で行なわれた広帯域MT のデータを提 供して頂きました。東京工業大学の小川康雄教授には 2 次元インバージョンコードを使用させて頂きました。

本研究ではその実施にあたって

, 平成 14 年度

京都大学防災研究所特別事業費

(プロジェクト

研究経費

) , および科学技術振興調整費「富士火

山の活動の総合的研究と情報の高度化」からの補

助を受けました。

参考文献

高橋正樹 (2000) : 富士火山のマグマ供給システムと テクトニクス場 −ミニ拡大海嶺モデル−, 月刊 地球, 第 22 巻, pp.516-523

Fig. 8 Distribution of induction vector (Real part). Note that we have not taken vertical component of the geomagnetic field except five sites shown in this figure.

(9)

茂木透・山谷祐介・佐波瑞恵・西田泰典・高田真秀 (2003) : 北海道北部幌延・天塩地域の比抵抗構造, 平成15 年地球惑星科学関連学会合同大会予稿集 Ishida, M. (1992) : Geometry and relative motion of the

Philippine Sea Plate and Pacific Plate beneath the Kanto-Tokai district, Japan, J. Geophys. Res., 97, pp.489-513.

Lee, J.M. and Ukawa, M. (1992) : The south Fossa Magna, Japan, revealed by high-resolution P-and S-wave travel time tomography, Tectonophysics, 207, pp.377-396.

Ogawa, Y. (2002) : On two-dimensional modeling of

magnetotelluric field data, Surveys in Geophysics, 23, pp.251-272

Ogawa, Y. and Uchida, T. (1996) : A two-dimensional magnetotelluric inversion assuming Gaussian static shift, Geophys. J. Internat. 126, pp.69-76.

Wannamaker. E.P., Stodt. A.J., and Rijo.L (1986) : Two-dimensional topographic responses in magnetotellurics modeled using finite elements, Geophysics, 51, pp.2131-2144.

PRELIMINAR Y RESULTS OF WIDE -BAND MAGNET OTELLURIC SOUNDING IN FUJ I

VOLCANO, JAPAN

Koki AIZAWA , Ryokei YOSHIMURA , Kenichi YAMAZAKI , Wataru KANDA , Naoto

OSHIMAN , Takeshi HASHIMOTO* , Tony HURST* , Shin’ya SAKANAKA** , Yuya

FURUKAWA** , Yasuo OGAWA*** , Bulent TANK*** , Makoto UYESHIMA**** , Tsutomu

OGAWA**** , Shigeru KOYAMA**** , Tsuneomi KAGIYAMA**** , Ichiro SHIOZAKI***** ,

Tomofumi UTO****** , Mitsuhiro YOSHIMURA****** , and Kazunori YOSHIMOTO******

*Graduate School of Science, Kyoto University

**Institute of Applied Earth Science, Faculty of Engineering and Resource Science, Akita University

***Volcanic Fluid Research Center Tokyo Institute of Technology

****Earthquake Research Institute, University of Tokyo

*****Department of Civil Engineering, Faculty of Engineering, Tottori University

Synopsis

Wide-band MT soundings in Fuji volcano were carried out September, 2002. Collected data suggests

existence of low resistivity anomaly deeper part beneath Fuji volcano. A two dimensional inversion

code was applied to data. Preliminary result show that low resitivity body locates at a depth about

15-20km which consists with hypo central region of deep low frequency earthquake. This low

resistivity body may be a magma chamber.

Fig. 8 Distribution of induction vector (Real part). Note that we have not taken vertical component of the geomagnetic field           except five sites shown in this figure.

参照

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* Department of Mathematical Science, School of Fundamental Science and Engineering, Waseda University, 3‐4‐1 Okubo, Shinjuku, Tokyo 169‐8555, Japan... \mathrm{e}

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This research was supported by Natural Science Foundation of the Higher Education Institutions of Jiangsu Province (10KJB110003) and Jiangsu Uni- versity of Science and

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