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新メカニズム実現可能性調査 最終報告書(概要版) 

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新メカニズム実現可能性調査 最終報告書(概要版)

「インドネシア・ゴロンタロ州における REDD+とバイオ燃料生産利用

に関する新メカニズム実現可能性調査」

(調査実施団体:兼松株式会社)

調査協力機関 大樹総研株式会社 インドネシア日本友好協会 株式会社三菱総合研究所 国際農林水産業研究センター 国際航業株式会社 調査対象国・地域 インドネシア・ゴロンタロ州、ボアレモ県 対象技術分野 REDD+ 事業・活動の概要 森林減少の要因とその解決策 (1) 移動農業 ⇒REDD+事業:キャパシティビルディング ・ 地方政府の林業局と農業局が連携して、農地単位当たり の収量向上や収益性の比較的高いアグロフォレストリーに 関する農業技術を啓蒙 ・ 農家コミュニティは移動農業をせず収益向上を目指す (2) 灯油の配給不足 ⇒セーフガードとしてのバイオ燃料の配給 ・ プロジェクト事業者が市場価格相応の妥当な価格でバイオ 燃料種子を現地コミュニティから買い取る事で、バイオ燃 料の生産量を増やし、精製後の粗油配給で灯油の不足量 を満たす 貧困農家等の燃料購入に掛かる支出を抑制する リファレンスシナリオ及びバウン ダリーの設定 ゴロンタロの市街の人口増加と共に森林辺境部の人口も増加し 森林減少・劣化の原因となっている。この圧力を軽減し森林を保 全する為に、当該地域の森林区分図、村落境界、森林減少デー タを参考に、地方政府や地域住民とも良く協議の上で、プロジェ クトエリア、リファレンスエリアを設定した。 年率 0.68%で減少している森林面積を維持し、また事業活動に より森林の炭素蓄積量を以前のレベルに戻す事の 2 点からリフ ァレンスシナリオを設定している。 モニタリング手法・計画 F/S チームの国際航業㈱が、地方政府のスタッフ、現地 GIS コン サルタント、コミュニティと共同でグラウンドトルゥーシング調査を 実施、リモセンデータ分析の信頼性を高める。プロット 20mx20m (或いは 30mx30m)、120 プロット/日を 2 チーム(各 5 名)で対応 する計画で、国際航業は S/V を2名派遣する事で技術移転も実 現する。また、現地コミュニティがモニタリングに参加し相応のイ ンセンティブを得る事により事業の実現可能性を更に高める。 GHG 排出量及び削減量 REDD+事業:諸対策により約 19,647~61,429 ㌧ CO2/年 バイオ燃料プログラム:灯油代替により約237㌧ CO2/年 クレジット売却収益で負担できる範囲で事業活動を実施する。 排出削減効果の測定・報告・検 信頼性を維持しつつ方法論は単純化

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証(MRV)手法 ・ ベースラインを設定するための合理的なリファレンスエリア の設定(森林減少率のデフォルト値の適用) ・ 炭素蓄積量調査(グラウンドトゥルーシング)の単純化(標 準的なサンプリング数の設定) 現地住民への参加インセンティブの提供 ・ 現地住民によるデータ収集の実施(キャパシティビルディン グに掛かる費用の削減と、環境意識の向上) 森林保全活動に対するインセンティブ(現地コミュニティの活動 や努力をモニタリングし、相応の報酬を与える事により、事業の 実現可能性を高める) 環境影響等 植生や生態系機能・サービスの維持や回復が期待できる。具体 的には水源涵養機能や土砂流防止機能、希少種の植生回復・ 生息地保護など。特にプロジェクトサイトであるスラウェシ島は動 植物の固有種が多く、国立公園でも生物多様性保全に注力をし ている。 一方で地域住民は生物多様性の重要性を正確に認識しておら ず、生態系が損失・崩壊するリスクは高い。このリスクを回避す るための対策としては森林状態と合わせて生態系に関するモニ タリングを実施することや既存の生物多様性保全活動との連携 等が考えられる。 資金計画 クレジット単価が仮に US$12~21/㌧ CO2 と置いた場合、 REDD+事業のクレジット収入は年間 US$737~1,290 千とな る。この時、事業活動の費用をカバーする範囲で事業を廻して いく計画。 日本技術の導入可能性 衛星リモートセンシングを利用した森林モニタリングは非常に重 要 で あ る こ と か ら 、 今 後 日 本 で 打 ち 上 げ が 予 定 さ れ て い る ALOS-2 レーダセンサ等の導入促進を検討し、モニタリングデー タの信頼性を更に高める計画。 「コベネフィット」効果 (ローカルな環境問題の改善の 効果) REDD+事業は生物多様性条約において生物多様性保全と気 候変動緩和のコベネフィットの仕組みとしてとらえられている。 具体的には生物種数、個体群の大きさや分布などをモニタリン グすることによってネガティブインパクトを評価することが有用と 考えられる。 ホスト国における持続可能な開 発への寄与 インドネシア中央政府では“UNDANG-UNDANG REPUBLIK INDONESIA NOMOR 41 TAHUN 1999”を発行し持続可能な 森 林 管 理 を 促 進 中 、 さ ら に 「 2011 年 100 万 本 植 樹 計 画 (Sukseskan Penanaman 1 Milyar Pohon tahun 2011)」プログ ラムも実施中、ゴロンタロ州政府や地域コミュニティも植林や植 生回復の事業を推進している。本 REDD+事業により、森林保 全・植生回復とともに、地域住民の能力強化(キャパシティビル ディング、エンパワーメント)を実現することが可能であり、現地 政府の方針に合致するものであり、持続可能な開発への貢献に も十分に資すると考えられる。

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1.調査実施体制: • 大樹総研:インドネシア中央政府やゴロンタロ州政府との面談等のアレンジを行うと共に、 バイオ燃料事業の事業性評価や技術移転等についても調査検討を行った。 • 国際農林水産業研究センター:現地に長期滞在し地元コミュニティとのネットワークを構 築し、バイオ燃料事業関する調査や技術移転・キャパビルの手法の検討を行った。 • 三菱総合研究所:インドネシアの気候変動関連の政策調査に加え、現地政府および地 域住民の意図を反映した REDD+方法論、MRV 手法、事業計画書の作成にかかる検討 を行った。 • 国際航業:事業計画書の作成に必要な地図情報、リモートセンシング分析、地上調査な どを行い、排出削減量の定量評価に必要なデータ分析等の検討を行った。 • 兼松トレーディングインドネシア:兼松の現地法人、カウンターパートとの交渉や、現地調 査の諸アレンジ全般の対応を行った。 インドネシア中央政府 林業省 国際航業 (外注先) 兼松トレーディング インドネシア (外注先) 兼松 大樹総研 (外注先) インドネシア 日本友好協会 (Mr. Gobel) ゴロンタロ州 国際農林水産業 研究センター (外注先) 三菱総合研究所 (外注先) 住民 知事 農林局 インドネシア中央政府 林業省 国際航業 (外注先) 兼松トレーディング インドネシア (外注先) 兼松 大樹総研 (外注先) インドネシア 日本友好協会 (Mr. Gobel) ゴロンタロ州 国際農林水産業 研究センター (外注先) 三菱総合研究所 (外注先) 住民 知事 農林局 図 1 調査の実施体制 2.事業・活動の概要: (1)事業・活動の内容 策 定 し た 事 業 ・ 活 動 は、イ ンド ネシア・ ス ラ ウェシ島 ゴロ ンタ ロ 州 ボアレモ県 西 部 の 20,230ha のプロジェクトサイトにおいて、トウモロコシ等の農地拡大を抑制する事により森林 保全を目指す事業・活動で、二国間クレジットの組成とその売却収入の獲得を目的とする REDD+事業と、農地拡大を抑制する際の機会費用補填を目的とするバイオ燃料事業(セー フガードの位置付け)のパッケージである。

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REDD+事業では、インドネシア政府 DNPI、林業省(MoFor)、ゴロンタロ州林業局、及び ボアレモ県林業局をカウンターパートとし、バイオ燃料事業はゴロンタロ州ボアレモ県西部の プロジェクトサイトに居住する農民をカウンターパートとした。 プロジェクトサイトでは、主にトウモロコシの生産増加を目的とした移動農業による森林伐 採が顕著で、リファレンスエリアでは 1991/2000/2010 年の LANDSAT 画像を分析した結果、 年率 0.68%(2000 年基準)および 0.83%(1990 年基準)の森林減少が確認された。そこで、 県政府や現地住民と協力してプロジェクトサイトでの農地拡大を抑制する為に、農産物の高 付加価値化による生産性の向上、農業技術の移転等による効率化、経済的インセンティブ の付与といった活動を行うこととを想定している。 経済的インセンティブについては、森林保全の結果を MRV して得られる二国間クレジット の売却収入の一部を充てる事を想定。また、ジャトロファやココヤシ等の燃料作物を植林し、 搾油した植物油を住民の煮炊きに使う灯油の代替燃料として買い取る事業を農民向けのセ ーフガードとして活動に盛り込んだ。農民は栽培した燃料作物種子を植物油製造団体に販 売、植物油製造団体は買い取った種子等から油を製造し、この油を灯油の代替燃料として 農民へ販売することを計画している。 想定通りに森林保全を達成できた場合、CO2 排出削減量は REDD+事業で年間 19,647 ~61,429t-CO2e、バイオ燃料事業で年間 237t-CO2e が期待されることが分かった。 (2)ホスト国における状況 現在インドネシアでは数多くの REDD+事業や関連事業が検討・実施されている。これは インドネシアの森林減少が顕著であること、泥炭地からの排出量が多く適切な土地利用管 理のための政策枠組みを導入すれば抑制可能であることなどが主な理由である。2030 年ま での削減ポテンシャルでは全体の 23 億 tCO2e のうち、泥炭地および土地利用変化 (LULUCF)での対策が 18 億tCO2e であり約 8 割を占めており、REDD+事業が気候変動対 策として重要な位置にあることが分かる。 図 2 REDD+パイロットプロジェクト実施図 バイオ燃料事業の観点からは、インドネシアは石油産出国であるが 2004 年から石油輸入 国となっている。石油依存度の低減に向けインドネシア政府は、2006 年「国家エネルギー政 策に関する大統領令 2006 年第 5 号」を発令し、2025 年の一次エネルギーにおけるエネル ギーミックスを制定した。 2007 年には「エネルギーに関する法律 2007 年 30 号」を制定し、エネルギーを総合的管 理するため法律を定めた。

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さらに、2009 年、エネルギー鉱物資源省においてはさらなる新エネ・省エネの推進のため、 新・再生可能エネルギー及び省エネルギー総局が設立された。同総局では、2025 年の 1 次 エネルギーに占める新・再生可能エネルギーの割合の目標を 25%とする「ビジョン 25/25」を 定めた。 これらのことから、インドネシアにおける新・再生可能エネルギーの導入は非常に重要で ある。 (3)新メカニズムとしての適格性: 本事業では、中央政府の REDD+に関する動向を把握しつつ検討を進めることにしており、 特に、地方政府については、現地調査を通じて、当該プロジェクトの実施に対して高い関心 を寄せていることを確認した。今後、具体的な情報収集・分析を進めることによって、インドネ シア政府および地方政府の方針に適合した、より実現性の高いプロジェクトの実施計画の 策定に結び付けていくことができると考えている。 一方、現地の森林減少の実態は非常に深刻にあり、ゴロンタロ州政府およびボアレモ県 政府は森林減少が継続する可能性が高いと懸念していた。本事業では、農業技術・スキル の移転、森林保全対策の遂行支援(能力強化)等により、対策を実施する計画としており、こ れらを通じて森林減少速度を緩和できれば、それらは追加的であると立証できると考えてい る。 さらに、本事業は、以下3つの理由から実現性の高い案件であり、官民共同実施によるパ イロットプロジェクトの推進を目指すことが有意義であると考えられる。 ①ゴロンタロ州の有力者の強い支援を得られる見込みが高いこと。 ②既にゴロンタロ州でジャトロファの植林事業とバイオ燃料製造事業を試験的に開始してい ること ③ゴロンタロ州が位置するスラウェシ島では、UN-REDD と NGO によるパイロットプロジェクト が進められており、地域的な類似性や連携可能性があること また政府が推進している、地域住民による植林を推奨する「住民植林(HTR)」や、森林の 開発を認めるがコンセッション保有者に対して一定の環境配慮活動を求める「生態系修復 林(RE)」といった政策の実施支援とも関連付けることができれば、森林劣化の対策としても 実効性の高い、効果的なプロジェクトになると想定される。 (4)事業・活動の普及方策について: 本事業・活動は、ゴロンタロ州のボアレモ県のみならず、他村・他県の同様の植生や社会 経済が確認される地域においても、バウンダリーを広げながら同じ方法論を用いて事業・活 動を普及させることができると推測している。従って、ボアレモ県で実施した F/S 調査結果を ゴロンタロ州の他村・他県にも適用し、ゴロンタロ州全体でのリファレンスレベルの設定と REDD+事業の検討に貢献することで、本事業・活動の普及につなげたい。 更に、本 F/S で策定したバイオ燃料事業は、ゴロンタロ州での農地の収益性を向上させ、 現地農民の生活向上に寄与するセーフガードとしての役割が期待される。ゴロンタロ州を含 むスラウェシ北・中央部に範囲を広げ、持続可能なインドネシア政府が推進するナショナル レベルの REDD+事業開発に寄与する事で、本 F/S 調査で策定した事業・活動を、更に普及 させることができるのではないかと考える。

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3. 調査の内容 (1)調査課題: ①REDD+事業 REDD+事業における主な調査課題は以下の 3 つが考えられる。 i) 森林減少及び劣化の発生状況の把握 対象地域の森林減少及び劣化の状況を把握するために、土地被覆図やコンセッション関 連情報、社会・経済的データ等を収集・分析する必要がある。現地調査等を通じて、できる 限り現地の森林関連のデータを収集した。 ii) 政府の意見および実施方針との整合性 インドネシアでは REDD+事業に関する様々な検討・取り組みが進められている段階である ため、中央政府および地方政府の動向に注意を払う必要がある。このため、中央政府林業 省や DNPI と協力関係を築きつつ、関連省庁の組織動向の情報を収集した。 iii) 地域住民等の理解および協力 プロジェクトを実施するためには地域住民の協力が不可欠である。プロジェクトへの積極的 な参加を促すことができるための組織体制の構築を検討した。 ②バイオ燃料事業 REDD+の活動では、炭素の削減だけでなく、セーフガードと呼ばれる住民の生計、森林 ガバナンスや生物多様性なども重要視され、COP ではセーフガードに留意するよう決められ ている。 そこで本バイオ燃料事業では、化石燃料の代替による排出削減を目的とした活動のみな らず、REDD+事業のセーフガードとして実施可能かどうかを検討することを目的とした。 本事業では調査対象地区の地域住民の生活、農業、燃料利用、森林との関わりを中心に 半構造的インタビュー手法および PRA 調査手法を活用して実態調査を実施した。 特に PRA 調査については、プロジェクトサイトの対称的な 2 村である Rumbia 村と Botumoito 村で季節カレンダー、資源マップ、投票ランキング法を用いた問題分析を実施し た。また、併せて対象地域でバイオ燃料生産を行う場合の燃料作物の検討を行った。 具体的な調査課題は以下のとおりである。 i) プロジェクトサイトの概要調査 住民植林(HTR)実施状況、森林減少状況、農業形態や範囲、コミュニティの抱える問題 について調査を行う必要がある。 ii) 燃料作物調査 農村の燃料利用実態、燃料作物の利用可能性を調査して燃料作物に関する検討を深め る。 (2)調査内容: ①REDD+事業 i) 現地調査 総計 4 回の現地調査を実施し、政府関係者、企業関係者、地域住民等との面談やヒアリン グを行った。現地調査時に受領した各種データ(森林区分図、森林施策情報、統計情報 等)を用いた分析を実施した。 さらに、第 4 回現地調査時には現地(ゴロンタロ大学)にてワークショップを開催し、本事業 の目的と概要を報告した。現地ステークホルダーからは、本事業のプロジェクトサイトには住 民植林地(HTR)や生態系修復林(RE)のエリアを選択することが適しているというアドバイス があった。

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ii) 文献調査等の関連情報の収集・分析 (a)サイト選定の検討 サイト選定のための考え方や選定基準について検討を行い、さらに衛星画像のデータ解 析を通じて候補地の絞り込みを実施した。 (b)国家 REDD+戦略の情報収集 最新の政策動向について情報収集を行うとともに、日本大使館、インドネシア中央政府林 業省、UN-REDD 等と面談し、REDD+戦略に関する動向を調査した。 (c)方法論に関する検討 森 林 減 少 の 抑 制 効 果 を 定 量 的 に 評 価 す る た め 、 複 数 の 方 法 論 ( Verified Carbon Standard: VCS、Rapid Carbon Stock Appraisal: RaCSA 等)に関する情報収集を行い本事業 への適用可能性を検討した。 (d)セーフガードに関する検討 REDD+事業のみならず、インドネシアにおける農村開発や植生回復プロジェクトについ ての情報収集を行い地域住民のベネフィットとその仕組みについての検討を実施した。 (e)現地に関する情報分析 ゴロンタロ州やボアレモ県に関する統計情報を収集し、地域住民や社会状況に関する調 査を実施した。 ②バイオ燃料事業 (1)の課題を受け、調査を実施した結果を以下のとおりまとめた。 i) プロジェクトサイトの概要調査 (a)住民植林(HTR)実施状況 調査した村の中で HTR が実施されていた村は Botumoito 村のみであり、伐期を迎える前 に伐採し、農地に転換されている場所が顕著に見られ、当初計画通りに進んでいるかは疑 問であった。HTR については、農作物も栽培してよいことになっているが、植林と農作物の 栽培の線引きが十分に検討されていないことが分かった。 (b)森林減少状況 森林減少について、実際は多くの森林が農地に転換されているのが現地調査時にも散見さ れたが、地方行政や地域住民の意識としては、森林区分に属さない土地は森林ではなく森 林保護の対象になっていないので、農地として使用することは違法ではないと認識されてい た。森林と農地の区分と境界の厳密化、地方政府関係部局との横の連携、地方政府と地域 住民とのコミュニケーションが十分でないため、地方行政もコミュニティも森林減少に対する 意識が薄いように思われた。 (c)農業 栽培している作物は、単年生作物としてはトウモロコシとトウガラシが、多年性作物ではコ コナッツとカカオが主流であった。農業以外の所得創出活動は、黒糖加工、農作業労働、 蜂蜜採取、ラタン採取、露天商、シュガーパームの皮剥、木材の運搬など多様性に富んで いた。農作物の作付・収穫時期は、Taua(5~7 月)と Hulita(10~12 月)という 2 つの時期に 行われていた。Taua と Hulita 以外の時期が農閑期にあたり、農民は主にこの期間に農業以 外の生計活動を営む。このプロジェクトサイトで、燃料作物を栽培するとすれば、この農閑期 を利用することが農民にとって効率的であることが分かった。 (d)コミュニティの抱える問題 Rumbia 村では、農産物の生産性の低下、洪水、灯油の不足、貧困(収入源の不足)が上 位を占めた。Rumbia 村のコミュニティが抱えている主要な一般的問題は、森林減少や燃料

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問題と関係が深いためプロジェクトの導入も比較的容易と考えられる。一方、Botumoito 村の コミュニティが抱える一般的な問題の上位は、インフラ(道路)と高い教育コストで、投票数全 体の約半分を占めた。このことから、住民の森林減少に対する意識は Rumbia 村に比べ低 いと考えられる。森林減少に対し、意識の低いあるいはモチベーションの低いコミュニティに 対しては、例えば、所得向上につながるコンポーネントをプロジェクトの中に盛り込むことで、 意識やモチベーションを向上させるためのインセンティブ付けが必要である。 ii) 燃料作物調査 (a)農村の燃料利用実態 ゴロンタロ州ではガソリンをはじめとする化石燃料が慢性的に不足している。農村住民の 主な燃料は薪と灯油であった。ボアレモ県では週 1 回しか灯油が購入できないため、薪をた くさん利用していた。その多くは家から遠い森林から伐採してきたものではではなく、家に近 い kebun(農園)から拾い集めてくるとこのことだった。各家庭には灯油用のコンロと薪用のカ マドの両方があるのが一般的であった。灯油には政府の補助金が導入されており、価格が 低く抑えられていた。インタビューの結果、村人の多くは現在の約 2 倍の購入量を求めてい ることがわかった。また、灯油の代替燃料があるならば使いたいとの要望があった。 (b)燃料作物の利用可能性 バイオディーゼルやバイオエタノール製造が可能と考えられるジャトロファ、クミリ、ココナ ツ、サゴヤシについて、現地で燃料作物として利用可能かインタビュー調査を中心に検討し た。対象地域でバイオディーゼルを製造することは資材の調達も難しく、また製造した BDF を消費する市場からも遠いので、BDF 製造より現地で不足している灯油を代替する植物油 を製造することが最も現実的だった。また植物油の原料となる燃料作物は現地に多く存在 するココヤシと、食糧と競合せず油脂が灯油に近いとされるジャトロファが期待できた。 4. 新メカニズム事業・活動の実現可能性に関する調査結果 (1)事業・活動の実施による排出削減効果 ①REDD+事業 REDD+のプロジェクトでは、プロジェクト対象地において森林減少の脅威となる要 因を分析し、これを排除または緩和するのに効果的な対策を検討することが重要とな る。森林減少・劣化の主な要因としては、次のものが挙げられる。 表 1 森林減少・劣化の主な要因とその対策(案) 要因 概要 対策(案) 地域住民向け 事業者向け 地方・中央政府向け 違法伐 採 保全林、保護林等 で許可されてい ない地域で森林 が伐採・販売され ている。 ・違法伐採の監視・取 締りの強化 ・経済的インセンティ ブの付与 環境教育の実践 ・違法伐採の監視・取 締りの強化 ・政策導入・強化(違 法伐採対策) 焼畑延 焼 農地開墾や耕作 地維持のために 焼畑が行われて いる。 ・森林火災防止対策の 強化 ・森林火災防止対策の 強化 ・政策導入・強化(森 林火災防止対策)

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農地拡 大 ・ 伐 採需 要増大 農産物の生産増 加等を目的に森 林伐採が行われ ている。 ・農産物の高付加価値 化による生産性向上 ・農業技術の移転等に よる効率化 ・経済的インセンティ ブの付与 ・コンセッションの保 有(or コンセッション 保有企業との協力) ・持続可能な森林経営 の実践 ・政策導入・強化(コ ンセッション発行・ 運用、ゾーニング等) -住民植林(HTR) - 生 態 系 修 復 林 (RE) これらの対策を実施することで森林減少の抑制に伴う排出削減の効果が期待でき る。さらに、施策の実効性を向上させることができれば森林減少抑制に効果があるだ けでなく、政府担当者の能力開発や能力向上にもつながる。こうした支援の取り組み が長期的な政策運営能力の向上にもつながると考えられる。 ②バイオ燃料事業 本事業で提案するバイオ燃料事業は様々なGHG の削減要素が含まれる。それぞれ の構成要素により、以下に示すGHG 削減が期待される。 表 2 GHG 削減が期待できるプロジェクト構成要素 GHG 削減が期待できる要素 期待されるGHG 削減効果 1 燃料作物栽培による持続的な土地 の管理 燃料作物の栽培による二酸化炭素吸収 2 収穫した植物油の灯油代替利用 灯油代替による二酸化炭素削減 3 〃 灯油の運搬に係るGHG の削減 4 搾油残渣より堆肥を製造し、農地の 収量増加 農地拡大による森林減少による二酸化炭 素排出防止 5 搾油残渣より堆肥を製造。 化学肥料の削減によるGHG の削減 (2)リファレンスシナリオ及びバウンダリーの設定: ①REDD+事業 プロジェクトの対象地において、森林減少抑制のための対策(違法伐採の取り締ま り強化、環境教育、農産物の高付加価値化、農業技術の移転等)が実施されず、従来 の森林減少および劣化のトレンドが継続する状況をリファレンスシナリオとした。 このとき、①過去の当該地域における森林減少率、②現在の土地被覆の状況、③土 地利用の現況、④今後の土地利用計画等のデータを組み合わせて検討を行うが、過去 の森林減少率の推計結果をもとにそのトレンドが継続することを基本方針とした。 以下に、それぞれのデータの特徴を整理する。 表 3 リファレンスシナリオを検討する際の要検討事項 データの種類 概要 ①過去の当該地域におけ る森林減少率 衛星画像の解析結果、過去の分析結果等を基に、森林面 積の減少率を推計し、リファレンスシナリオの基礎デー タとした。 ②現在の土地被覆の状況 土地被覆の現況データをもとに、森林・非森林の識別、 さらにその詳細分析のための基礎データとして活用し た。 ③土地利用の現況 保全林、保護林、生産林(通常、制限、転換)等の土地

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利用区分およびその利用の現況を調査、把握し、リファ レンスシナリオの策定に活用した。 ④今後の土地利用計画 住民植林・生態系回復林等、今後の森林利用計画(ライ センス発行)等を調査し、将来の森林減少率の推計の精 緻化、プロジェクトシナリオ策定のために参照した。 ボアレモ県におけるプロジェクトサイトの候補として4 地点を抽出し、分析を実施 した。 表 4 プロジェクトサイトの候補地とその概要 候補地 地域 土地利用区分 当該サイトの概要 オプション1 県中央部 住民植林・生態系 修復林等 市街地から近く、全般に小規模プランテーシ ョンが散見される。100 軒規模の集落が 3-4 つくらい存在する。 オプション2 県南部 生態系修復林等 市街地から近く、平地側で大規模プランテー ション、山側で植林が実施されている。道路 沿いに集落が存在する。 オプション3 県東部 制限生産林等 多くの焼畑、裸地、草地が存在。プランテー ションおよび集落は数が少ない。 オプション4 県北部 転換生産林等 河川近くの低地で森林が多く伐採されてい る。開発された土地は農地として利用されて いる。 さらに、プロジェクトサイト(バウンダリー)を設定するに際しては、次の評価基 準に基づいて検討を行った。 ・行政区界とできるだけ適合させる。 ・利用計画が「生態系修復林(RE)」および「住民植林(HTR)」となっている土地 を中心に選定する。 この結果、プロジェクトサイトは、次のとおり、ボアレモ県(Boalemo)のボトゥ モイト郡(Botumoito)を中心とした 5 村(Ayuhulalo、Botumoito、Hutamonu、 Dulangeya、Rumbia)と設定した。 Site 図 3 ボアレモ県の土地利用図

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②バイオ燃料事業 本事業のベースラインは地域住民の灯油利用を植物油で代替することにより、排出削減 が可能であることから、対象地域で使われる灯油量がベースラインとした。また、灯油はゴロ ンタロ市街地方面から運ばれてくるため、運搬に係る化石燃料も排出削減になると考えられ、 ベースライン排出量に含まれると想定されるが、今回の調査では運搬に関する詳細情報が 収集できなかったため、保守的に見積もる観点からも試算には加えない方針とした。この結 果、調査対象 5 村の年間灯油配布量は 145.6 千ℓ であり、この値をベースライン排出量とし た。 (3)モニタリング手法・計画: ①REDD+事業 モニタリング計画については、LANDSAT および ALOS の後継機を使用する。これまでの LANDSAT と同じ空間分解能・観測波長帯を持つ LANDSAT 後継機の打ち上げが予定さ れている。データの継続性は、長期間のモニタリングには重要であり、かつ今後州レベル・ 国レベルの取り組みに展開する際にも LANDSAT の観測幅は最適である。また、インドネシ アのような熱帯雨林地域では、雲による観測不可の影響を避けることが難しい。そのため、 雲の影響を受けない SAR データも併用する。特に L バンド SAR データについては、これま でに後方散乱係数と材積量との相関を示す事例が多く示されている。日本において、L バン ド SAR である ALOS/PALSAR の後継機 ALOS-2 の打ち上げが 2013 年度に予定されてお り、このデータを用いたモニタリングが有用である。 炭素量を推定するためには、現地調査による毎木調査が必要だが、本事業における調査 プロット数は最低限であった。モニタリングの精度を向上するためには、ボアレモ県林業局 に調査方法を指導して調査プロット数を充実させる必要がある。森林区分4区分、森林階層 3種類の合計 12 区分について、各 10 プロットの調査を実施すると、合計 120 個所の調査が 必要となる。毎木調査については森林の生育速度を考慮して3~5年毎に実施し、衛星画 像解析によるモニタリングは毎年実施するのが望ましい。 ②バイオ燃料事業 REDD+事業を推し進める活動主体である貧困農家にインセンティブを効率的に配分し、 農地拡大を抑制させる効果を高める事がバイオ燃料事業の主目的である。従い、バイオ燃 料による灯油代替で BOCM クレジットの獲得を目指すものではない。但し、貧困農家の収 入や支出に少なからず影響を及ぼし、REDD+事業の持続性に直接関係する重要な事業で ある為、燃料樹種を育成した土地の利用履歴や栽培面積、また燃料種子の収穫量や粗油 精製量をモニタリングする事で、次年度以降の活動計画に利用する事が重要と考えている。 具体的には土地利用については農民グループのリーダーを通じてデータを収集、バイオ燃 料の収穫量や精製量は買い取りを行なう民間企業がモニタリングを行なう計画である。 (4) 温室効果ガス排出量及び削減量: 本事業では、森林減少・劣化の抑制に伴う GHG 排出削減量を定量的に評価し、その削 減量に応じたクレジットを発行することを最終的な目的としている。具体的には、VCS 方法論 等を参照しつつ、実現可能性を加味した方法論の確立に向けて検討を行った。 一般に、排出削減量の算定にかかる分析フローは、下表に示すとおり、プロジェクトサイト の設定に始まり、リファレンスシナリオの策定、事業実施シナリオの検討、モニタリングの実施、 排出削減量の算定、というフローとなる。これに沿って、以下で算定フローについて述べる。

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表 5 排出削減量の算定フロー ① プロジェクトサイトの設定 ② リファレンスシナリオの策定 ③ 事業・活動実施シナリオの検討 ④ モニタリングの実施 ⑤ 排出削減量の算定 炭素蓄積量推定に用いる原単位は、森林区分毎に森林階層と毎木調査の結果を考慮し て設定した。リファレンスエリアについては本事業のプロジェクトサイトは 20,196ha であるため、 VCS 方法論(VMD0007)によれば、リファレンスサイトは約 147,000ha 以上に設定する必要が ある。ボアレモ県西部だけでは面積不足のため、ウォノサリ郡全域および西側の HP(通常生 産林)の範囲を追加して、本事業のリファレンスサイトを 155,018ha とした。 0 1,000,000 2,000,000 3,000,000 4,000,000 5,000,000 6,000,000 7,000,000 8,000,000 9,000,000 1991年 2000年 2010年 プロジェクトサイト リファレンスサイト 図 4 左:プロジェクトサイト(青枠)とリファレンスサイト(黒枠)、 右:炭素蓄積量の推移(単位:tC/ha) さらに森林減少率の分析結果を元にベースライン排出量およびプロジェクト排出 量の評価を実施した。ベースラインシナリオでは、2010 年時点の森林面積から▲ 0.68%/年の割合で減少し続けると仮定した。一方、プロジェクトシナリオでは、各種 の対策を実施することによって森林減少は抑制されると仮定した場合(プロジェクト シナリオ①)と、そこからさらに森林劣化も回復し、1991 年水準の森林状態に戻る と仮定した場合(プロジェクトシナリオ②)の2つのシナリオを想定した。この結果、 当該プロジェクトの見込み削減量は、20 年間全体で 392,934~1,228,580 [tCO2](年 平均19,647~61,429 [tCO2])程度になることが分かった。 表 6 プロジェクトサイトでのベースライン排出量、プロジェクト排出量、 見込み削減量(プロジェクトを開始して20 年が経過した時点) 森林減少率▲0.68%の場合(2000 年基準) 種別 総CO2 排出量 年平均CO2 排出量 ベースライン排出量 392,934 [tCO2] 19,647 [tCO2/yr] プロジェクト排出量 0 [tCO2]

-835,646 [tCO2] -41,782 [tCO2/yr] 0 [tCO2/yr] 見込み削減量 392,934 [tCO2]

1,228,580 [tCO2] 19,647 [tCO2/yr] 61,429 [tCO2/yr] プロジェクト排出量および見込み削減量とも、上段がプロジェクトシナリオ①、下段がプロジェ クトシナリオ②を示す。

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(5)排出削減効果の測定・報告・検証(MRV)手法: 本事業の MRV 手法については、既存スキームおよび規格等を参照しながら、新メカニズ ムの制度の下で活用可能なものとなるように検討するものとすることを目指した。 具体的には、REDD+分野で広く認知されている VCS 方法論や、ISO 規格等を参考にし ながら、検討すべき要求事項等を検討した。このとき、コストや手続き等、できる限り多面的 に検討を行い、現地での実現可能性に十分配慮した。 ①測定 本事業による排出削減効果は、図5の考え方により算定される。 図 5 排出削減量の算出 出典:JICA「REDD-plus」 http://www.jica.go.jp/publication/pamph/pdf/redd.pdf 基本的に、REDD+事業における GHG 排出量は、リモートセンシングデータから算出され た森林減少面積と、地上調査によって得られた炭素蓄積量を基に算定され、バイオ燃料事 業における GHG 排出量は、現地において代替された灯油量を基に算定される。 リモートセンシングによる測定に際しては、データ処理方法の一貫性を保つため測定期 間を通じて同一の解析方法(分類等)やデータ類(本事業の場合は LANDSAT データ)を使 用することに留意した。また正確性については、可能な限り雲やノイズ等の少ない画像を用 いて森林面積や森林階層区分の分類精度を保ちつつ、現地調査のデータも加えて原単位 の種類を増やしたり、精度を向上したりするように留意した。 ② 報告 プロジェクト実施事業者は、制度運用者(日本政府およびインドネシア政府を想定)からプ ロジェクト実施の承認を得ることを前提とし、既存制度(J-VER 制度、VCS、国連 CDM 等)を 参照しつつ、次の書類の提出または準備が必要になると想定した。 <想定される提出資料> ・プロジェクト概要説明書:プロジェクト開始時の概要説明資料 ・プロジェクト計画書:プロジェクト登録に必要となる基礎資料 ・妥当性確認結果報告書:計画書の妥当性を検証後、プロジェクト登録に活用 ・モニタリング報告書:第三者検証を通じてクレジット発行の基礎資料 ・検証結果報告書:第三者機関による検証結果の報告書 等 ③検証 気候変動分野の GHG 排出量の算定報告分野でも、国際的に広く認知されている ISO 認

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証規格(ISO 14064-3:2006: Greenhouse gases -- Part 3: Specification with guidance for the validation and verification of greenhouse gas assertions)等を参考にし、妥当性確認や排出 削減量の検証に必要な手続きおよび要求事項について検討した。 ISO 14064-3:2006 は「温室効果ガスに関する主張の妥当性確認及び検証のための仕様 並びに手引」であり、温室効果ガスの排出量を定量的に評価した結果の妥当性確認及び検 証を行う上で要求される実施事項について記述されており、適用範囲、原則、計画および 評価手順等に関する要求事項が規定されている。 (6)環境十全性の確保: 本事業で期待される環境面の好影響は植生や生態系機能・サービスの維持や回復が挙 げられる。具体的には水源涵養機能や土砂流防止機能、希少種の植生回復・生息地保護 などである。特にプロジェクトサイトであるスラウェシ島は動植物の固有種が多く存在すること で有名であり、国立公園でも生物多様性保全に注力をしている。一方で地域住民は生物多 様性の重要性を正確に認識しておらず、生態系が損失・崩壊するリスクは高い。このリスクを 回避するための対策としては森林状態と合わせて生態系に関するモニタリングを実施するこ とや既存の生物多様性保全活動との連携等が挙げられる。 一方、本事業で生じ得る悪影響としては周辺地域の自然環境悪化や天然資源の減少な どが考えられる。これらを回避するための措置として、プロジェクト実施に関して地域住民の 合意を得ること、また地域住民の経済状態や就農状況を鑑みて十分な技術移転と教育を提 供することが有用である。さらに、プロジェクトサイトのみならず、周辺地域についても環境調 査を実施しておく必要がある。 (7)その他の間接影響: その他の間接影響としては、地域住民の経済活動との競合や新しい農業技術・知識等の 不適合、文化的・宗教的な不適合などが考えられる。例としては森林地域における鉱山開 発の利権との衝突などが挙げられる。これらを回避するためには、プロジェクトサイトの経済 状態、地権状況、宗教観等を幅広く調査し、地域住民や関係者から合意を得ることが必要 になる。 (8)利害関係者のコメント: REDD+プロジェクトは、森林を保全、あるいは、植林をしていくことでクレジットを取得して いく事業であり、また、プロジェクトサイトが広域なため、そこで日常の生計を営んでいる住民 の協力は欠かせない。そこで、プロジェクトサイトの対称的な 2 村でワークショップを開催し、 セーフガードとして植物油を灯油の代替燃料事業の実施可能性について、住民の意見を 聴取した。両村ともシステムには賛成で、試してみたいとのことであったが、マーケットの有無、 搾油や販売の主体、燃料作物の最終所有者、初期投資やシステムのマネジメントについて、 懸念しているという意見が多かった。これらについては、プロジェクト内で解決する事項とし て、今後検討していくことを説明した。 (9)事業・活動の実施体制: 中央政府、州政府、事業開発者の3 者にクレジットが配分される想定で以下の通り に実施体制を策定した。

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表 7 実施体制案 REDD+事業 インドネシア中央政府 DNPI は事業登録やクレジットの管理を行い、林業省は REDD+事業の進捗を把握すると共に、ゴロンタロ州林業局 がまとめる REDD+に関するモニタリングデータを一括管 理し保存する。 ゴロンタロ州及びボアレ モ県 地域住民に対しては、ワークショップ等を通じて森林保全 に関するキャパシティビルディングを実施すると同時に、 農家に対しては指導員を通じて農業生産技術のキャパシテ ィビルディングを実施する。 活動資金には BOCM クレジットの売却収入の一部を充て る。 兼松㈱、大樹総研㈱ REDD+開発事業会社(デベロッパーとしての SPC)を組成 し、インドネシア日本友好協会と協力して事業活動の実施 とモニタリング等の管理を行なう。 インドネシア日本友好協 会(Panasonic Gobel 社) まず REDD+事業の組成に向けて中央政府、現地政府の連 携を促す。また、ゴロンタロ州に強いネットワークを持つ 人材を中心に、食品流通企業等の現地民間企業と連携し、 とうもろこしの買い上げを行なう。この時、BOCM クレジ ットの売却収入を一部インセンティブとして活用する。 地域住民グループ(農家) ボアレモ県政府からのキャパシティビルディングや技術指 導を受け、農業の収量を上げる事で焼畑移動農業を減少さ せ、森林減少を食い止める。林業局が実施する森林炭素蓄 積量モニタリングに参加したり、自らの農地使用履歴のモ ニタリングを実施する事で、REDD+のモニタリングデータ を準備する。 バイオ燃料事業 ボアレモ県 林業局(エ ネルギー局) バイオ燃料の栽培促進の普及活動を行いながら、地域住民 グループに対して苗木の配給を実施、栽培方法についての キャパシティビルディングも同時に行い、バイオ燃料(粗 油)の収量増大を図る。 地域住民グループ 栽培面積、収穫量を記録し、地域住民(農民)は記録した レポートをグループリーダに提出、リーダーはこれをボア レモ県林業局に報告する 民間企業 地域住民グループから種子の買い取りを行い(通常の市場 価格より高く買い上げ)、以前導入済みの植物油精製装置を 多数活用し粗油を生産、地域住民グループに適価で配給す る。尚、販売量と灯油代替数量をモニタリングして記録し、 REDD+プロジェクトのモニタリングデータとして保存す る。 (10)資金計画: 現地情報や関係者ヒアリングから試算した結果を以下に示す。 表 8 資金計画試算結果 2012 2017 2022 2027 2032 Total Project Year 0 5 10 15 20 Credit Volume(tCO2e) 0 61,000 61,000 61,000 61,000 1,220,000 (lower side 10% less) 0 54,900 54,900 54,900 54,900 1,098,000 Credit Price(US$/t) 0 18 21 21 21

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(lower side 10% less) 0 16 19 19 19 Credit Income 0 1,098 1,281 1,281 1,281 23,790 (worst case) 0 889 1,038 1,038 1,038 19,270 PDD -200 Validation -40 Verification -30 -30 -30 -30 Carbon Stock Monitoring SV -15 -15 -15 -15

Carbon Stock Monitoring -10 -10 -10 -10

Remote Sensing -15 -15 -15 -15

Capacity Building -200 -200 -200 -200

Bio-fuel refinement -100 -100 -100 -100

Total Cost -240 -370 -370 -370 -370 -7,705

• Carbon Stock Monitoring: 林業局のスタッフ、GIS コンサル、農民と実施する炭素蓄積

量モニタリングに掛かるコスト

• Capacity Building : 農業技術の指導に必要なキャパビル費用

• Incentive for corn price : トウモロコシを通常より高く買い取るのに必要なコスト

• Bio-fuel refinement : 粗油を精製するのにかかるコスト

• Incentive for bio-fuel : 種子の買い取り等にかかるコスト

(11)日本製技術の導入促進方策: 本事業において、衛星リモートセンシングを利用した森林モニタリングは非常に重要であ ることから、今後日本で打ち上げが予定されている以下のセンサの導入を促進する。 i) ALOS-2(衛星搭載レーダセンサ) 2013 年度に打ち上げが予定されている ALOS-2 は、ALOS/PALSAR の後継機であり、L バンド合成開口レーダの搭載が計画されている。インドネシアを含む REDD+の対象国とな る熱帯雨林地域では、衛星モニタリングに際して常に雲の影響が存在する。そのため、雲の 影響を受けない SAR 画像を利用した衛星モニタリングは重要であり、特に L バンド SAR の PALSAR では反射強度である後方散乱係数と材積量との相関を示す事例が複数挙げられ ている。衛星搭載の L バンド SAR を保有していた(および計画している)のは日本のみであ り、ALOS-2 データを併用したモニタリングは非常に重要であると考える。 ii) ALOS-3(衛星搭載光学センサ) 2015 年度に打ち上げが予定されている ALOS-3 は、パンクロ/マルチ/ハイパースペクト ルセンサの搭載が計画されている。ALOS の PRISM/AVNIR-2 センサの空間分解能が ALOS-3 によって高分解能化されるため、森林/非森林を含む土地利用分類の高精度化 が期待できる。これにより、森林の炭素蓄積量および排出量の推定精度の向上が期待され る。さらに、ハイパースペクトルセンサを併用することで、空間分解能は 30m と粗いが波長分 解能が向上するため、森林の状況を詳細に把握することができる。特定の波長帯域をモニ タリングすることで、森林劣化の把握が期待される。 (12)今後の見込みと課題: i) インドネシア政府の REDD+方針 インドネシア政府はまだ REDD+によるクレジットの配分ルールを最終的に決めていない。 中央政府、州政府、事業開発者の 3 者にどのようにクレジットが配分されるかが重要な課題 である。事業稼動開始時期は配分ルールが具体的に決められた後になる。

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ii) NAMAs との整合性 国連で議論されている NAMA について、インドネシア政府は森林減少率の低下を NAMAs の一部と位置づけている。従い、本事業・活動の内容は、同政府の NAMAs との整 合性に注意を払いながら全体計画を検討していく必要がある。 iii) 初期投資 初期投資がなければ事業・活動の開始は困難である。バイオ燃料事業を含めた REDD+ 事業の全体計画を具体的に策定し、利害関係者との共同の取り組みとして実施可能性があ るかを更に検討し、環境ファンド等から必要なファイナンスが得られるかどうかを検討していく 必要がある。 5. コベネフィットに関する調査結果 環境省が策定したコベネフィット定量評価マニュアルにおける評価対象分野は「水質改 善」「大気質改善」「廃棄物管理」の 3 項目が挙げられており、本事業の実施によってもたらさ れるコベネフィットとしては、森林資源の回復等による「水質改善」と「大気質改善」が想定さ れる。これらのベネフィットを把握するためには森林の多面的機能と保全効果の定量的測定、 また生物多様性保全に対するネガティブインパクトの評価等を行う必要があることが分かっ た。 森林の多面的機能と保全効果の定量的測定については、プロジェクトサイトで優先される べき機能について実現可能性の高い手法で評価を実施していくことが重要と考えられる。こ の評価を用いて保全効果を高めることによって、実際の洪水発生抑制や水質改善、大気質 改善が期待できる。また、REDD+事業は、生物多様性条約において生物多様性保全と気 候変動緩和のコベネフィットの仕組みとしてとらえられている。具体的には生物種数、個体 群の大きさや分布などをモニタリングすることによってネガティブインパクトを評価することが 有用であることが判明した。 6. 持続可能な開発への貢献に関する調査結果

イ ン ド ネ シ ア 中 央 政 府 で は “UNDANG-UNDANG REPUBLIK INDONESIA NOMOR 41 TAHUN 1999”を発行し持続可能な森林管理を促進していた。さらに 「2011 年 100 万本植樹計画(Sukseskan Penanaman 1 Milyar Pohon tahun 2011)」 プログラムも実施しており、地域コミュニティにおける植林を推進していた。

またゴロンタロ州政府はボアレモ県で森林減少が進行していることを把握してお り、ボアレモ県政府も“buku master plan rehabilitasi hutan dan lahan 2009-2013” を出版し、森林の植生回復を推進していた。

本事業は森林保全・植生回復とともに、地域住民の能力強化(キャパシティビルディング、 エンパワーメント)を実現することが可能であり、これは上記の現地政府の方針に合致するも のであり、持続可能な開発への貢献にも十分に資することが分かった。

図   3 ボアレモ県の土地利用図
表   5 排出削減量の算定フロー ①  プロジェクトサイトの設定 ② リファレンスシナリオの策定 ③ 事業・活動実施シナリオの検討 ④ モニタリングの実施 ⑤ 排出削減量の算定  炭素蓄積量推定に用いる原単位は、森林区分毎に森林階層と毎木調査の結果を考慮し て設定した。リファレンスエリアについては本事業のプロジェクトサイトは 20,196ha であるため、 VCS 方法論(VMD0007)によれば、リファレンスサイトは約 147,000ha 以上に設定する必要が ある。ボアレモ県西部だけでは面積不足のため
表   7 実施体制案 REDD+ 事業 インドネシア中央政府 DNPI は事業登録やクレジットの管理を行い、林業省は REDD+ 事業の進捗を把握すると共に、ゴロンタロ州林業局 がまとめる REDD+ に関するモニタリングデータを一括管 理し保存する。 ゴロンタロ州及びボアレ モ県 地域住民に対しては、ワークショップ等を通じて森林保全に関するキャパシティビルディングを実施すると同時に、 農家に対しては指導員を通じて農業生産技術のキャパシテ ィビルディングを実施する。 活動資金には BOCM クレジットの売

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