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Vol. 39, No Aluminum-transition metal alloys Junichi KANEKO*, Takeshi MURAKAMI** and Norio FURUSHIRO***

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Vol. 39, No. 2 147

アル ミニ ウム お よ び アル ミニ ウム 合金

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アル ミニ ウム-遷 移 金 属 系 合 金

金 子 純 一*・村 上 雄**・古 城 紀 雄***

Aluminum-transition

metal

alloys

Junichi KANEKO*, Takeshi MURAKAMI**

and Norio FURUSHIRO***

1. は じ め に 展 伸 用 アル ミニ ウム合 金 中 に は 遷 移 金 属 が 添 加 され る 場 合 が 多 い が, 主 要 合 金 元 素 と して添 加 され るの はAl-Mn系 が 主 で あ り, 他 は副 次 的 な合 金 元 素 と して 添 加 さ れ る。 しか し, 種 々の ア ル ミニ ウ ム合 金 の組 織 制 御 を理 解 す る上 で, 遷 移 金属 の作 用 を 考 え る こ とは きわ め て重 要 であ る。 と くに, 展 伸 材 の 結 晶 粒 組 織 の制 御 は, 遷移 金 属 との 金 属 間 化合 物 の粒 子 の 分 散 状 態 を 熱 処 理 条 件 に よ り制 御 す る こ とに よって 行 わ れ る こ とが 多 い。 本 稿 で は, 多 くの遷 移 金 属 の 中 か ら ア ル ミニ ウ ムの 合 金 元 素 と して 重要 なFe, Mn, Ti, Zr, Hf, Crな どの 系 に つ いて 述 べ る。 な お, 紙 数 が 限 られ て い るた め, 原則 と して2元 系 に つ い て のみ 言 及 す る こ と に した。Al-Mn 系 は3000系 合 金 を形 成 し, 実 用 アル ミニ ウ ム合 金 の主 要 合 金 元 素 とな りうる唯 一 の遷 移 金 属 で あ るが, 3000系 合 金 を対 象 と したAl-Mn系 合 金 に つ い て は す で に 本 講 座 の 別 稿1)で述 べ られ て い る の で参 照 され た い。 ま た, 純 ア ル ミニ ウ ムの特 性 を考 え るに は, 不 純 物 と して 含 まれ る微 量 のFeの 影 響 が 大 きい が そ の点 に 関 して は, 工 業 用 純 ア ル ミニ ウム につ い て述 べ た別 稿2)で詳 し く述 べ ら れ て い る。 Feを 主 要 合 金 元 素 とす る3元 系 以 上 の 合 金 は 急 冷 凝 固 粉 末 合 金 と して 重 要 で あ り, 耐 熱 性 に す ぐれ たP/M 材 が 開 発 され て い る。 主 な 合 金 と して は, Al-Fe-Ce系, Al-Fe-Mo-V系, Al-Fe-Zr-V系 な どが あ る。 この ほ か, Al-Cr系 を ベ ー ス と し たAl-Cr-Fe系, Al-Cr-Zr-Mn 系 の 急 冷 凝 固粉 末 合 金 も開発 され て い る。 2. ア ル ミニ ウ ム-遷 移 金 属2元 系 状 態 図 す べ て の遷 移 金 属 は ア ル ミニ ウム との 間 に金 属 間 化 合 物 を 形 成す る が, 組 成 比 の異 な る3種 類 以 上 の平 衡 化 合 物 を形 成す る場 合 が 多 い。 ア ル ミニ ウ ム と各種 遷 移 金 属 との2元 系 状 態 図 のAl側 を ま とめ た もの が表1で あ る。 遷移 金属 は ア ル ミニ ウムに比 べ て融 点 がか な り高 いか ら, 2元 系 平 衡 状 態 図 のAl側 に は 包 晶反 応 が 現 れ る 場 合 が 多 い。 比 較 的 融 点 の 低 い遷 移 金 属 (約1600℃以 下) に 対 して は共 晶反 応 が起 こ る。 ア ル ミニ ウム 中へ の遷 移 金 属 の 最 大 固 溶 限 は 一 般 的 に 低 く, Mnの1.82wt% (0.90 at%) が 最大 で あ る。 ア ル ミニ ウム合 金 の 材料 使 用 温 度 表1 ア ル ミニ ウ ム-遷移 金属 系 合 金 の平衡 状 態

* 日 本 大 学 生 産 工 学 部(習 志 野 市)。College of Industrial Technology, Nihon University (Narashino-shi, Chiba).

** 東 京 工 業 大 学 工 学 部 (東 京 都)。Tokyo Institute of Technology (Meguro-ku, Tokyo). *** 大 阪 大 学 工 学 部 (吹 田 市)。Faculty of Engineering, Osaka University (Suita-shi, Osaka).

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域 で の 遷移 金 属 元 素 の固 溶 限 は きわ め て 小 さ いか ら, 遷 移 金属 は 化合 物 粒 子 を 形成 して ア ル ミニ ウム 中 に分 散 し て い る場 合 が 多 い。 な お, Al側 に 現 れ る 金 属 間 化 合 物 は, 平 衡 相 の も の以 外 に 準 安 定 相 で あ る化 合 物 を形 成 す る こ とが知 られ て い る。 3. Al-Fe系 合 金 3.1 Al-Fe系 平 衡 状 態 図 Al-Fe系 の 平 衡 状 態 図 を 図1に 示 す3)。AlとFeと の 間 に は 多数 の組 成 の異 な る 金属 間化 合 物 が 存 在 す るが, Al側 の平 衡 相 の 化 合 物 はFeAl3で あ る。FeAl3は 単 斜 晶 系 で, 格 子 定 数 は, a=1.5487nm, b=0.8083nm, c= 1.2476nm, β=107.43°, 空 間 群C2/mで, 実 際 の 組 成 は, そ れ よ りや やAl側 に 寄 っ たFe2Al7とFe6Al19の 間 で あ る と報 告 され てい る4)。平 衡 状 態 で の 共 晶 反 応 (L ⇔Al+FeAl3) が1.7∼2.2wt%Fe, 655℃で 起 こ る が, こ の よ うに共 晶 組 成 が 定 まら な い の は共 晶組 織 が 不 定 形 で 一 定 の 形 態 を と らな い た め で あ る4)。ア ル ミニ ウ ム中 の Feの 最 大 固 溶 限 は655℃で0.03∼0.05wt%と され て い る が, 固溶 限 の 温 度 に よ る変 化 に つ い て は電 気 抵 抗 法5)と メ スバ ウ ア ー法6)に よ る測 定 値 が 報 告 され て お り, 本 講 座 の別 稿2)で述 べ られ て い る。 3.2 Al-Fe系 の 非平 衡 相 Al側 のAl-Fe系 平 衡 状 態 図 は こ の よ うに比 較 的 簡 単 な も の で あ る に もか かわ らず, Al-Fe合 金 の 組 織 と構 成 相 は 複 雑 な様 相 を 呈 す る場 合 が 多 い。 平 衡 状 態 が 容 易 に 達 成 で きず, い くつ か の非 平 衡 相 が 生 成 しや す い た め で あ る。 非 平 衡 相 は まず凝 固 時 に生 成 しや す く, そ の 後 の 熱 処 理 に よ って も生成 され, 熱 処 理 温 度 の 上 昇 と共 に 平 衡 相 (FeAl3) へ と変 態 す る。 急 冷 凝 固 に よ って 生 成 さ れ る 非 平 衡 化 合 物 に は, FeAl6, FeAlm, Fe2Al9な どが 報 告 され て い るが, これ ら の生 成 は 安 定 相 (FeAl3) の 核 生 成 が 困難 で あ る た め と考 え られ て い る7)。 これ らの 非 平 衡 な また は準 安 定 な金 属 間 化 合 物 に つ い て は 本連 載 講 座 の 別 稿2)です で に詳 し く述 べ られ て い る。 固 溶 限 の拡 大 も急 冷 凝 固 に よ っ て 得 られ る が, Al-Fe 系 で は 約10wt%Feま で格 子 定 数 の直 線 的 変 化 が 得 られ た 例 が報 告 され て お り, 平 衡 固 溶 限 に 比 べ て 著 し く拡 大 され て い る。 図28)にFeの 固 溶 に 伴 うア ル ミニ ウ ム の 格 子 定 数 の 変化 を示 す が, 急 冷 凝 固 に よ って 得 られ る固 溶 限 の 拡 大 され た 固溶 体 は 完 全 な 均 一 固 溶 体 で は な く, 一 部 のFe原 子 が 析 出 して い る 可 能 性 が 指 摘 され て い る8),9)。 Feを 拡 大 固 溶 した過 飽 和 固 溶 体 は 常 温 で は そ の ま ま 変 化 せ ず に 存在 し続 け るが, 加 熱 に よ って 準 安 定 化 合 物 を生 成 して 分 解 し, さ らに 高 温 で加 熱 す る と平 衡 相 を 生 成す る10)。準安 定 化 合 物 で あ るFeAl6お よびFeAlmも 加 熱す る こ とに よ って安 定 相 に 変 態 す る11),12)。 な お, 非 平 衡 相 で あ るFeAl6お よびFeAlmに 対 して も Alは 共 晶反 応 を 起 こす こ とが 知 られ てい る。 図3はAl-FeAl6の 準 安 定共 晶 組 織 の 一 例 を 示 す13)。な お, Al-Fe 図1 Al-Fe系 平 衡 状 態 図3) 図2 Al中 へ のFeの 固 溶 に よる格 子 定 数 の 変化8)

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Al6の 準 安 定 共 晶 組 成 は, 3.0wt%14), 2.2∼2.3wt%13)と Al-FeAl3共 晶 組 成 よ りも高Fe側 に, した が っ て共 晶温 度 は 低 温 側 に移 行 す る と報 告 さ れ て い る。Al-FeAl3お よ びAl-FeAl6の どち らの 共 晶 凝 固 が 起 こ るか は, Fe組 成 の ほ か に, 凝 固 条件 に よ って 決 ま る こ とが 明 らか に さ れ てい る。 す な わ ち, 高 い 冷 却 速 度, あ るい は 高 い 凝 固 速 度 と高 い温度 勾配 で準安 定共 晶反 応 が起 こ る13),15)∼18)。 3.3 Al-Fe合 金 の性 質 Feの 添 加 に よ りア ル ミニ ウ ム の 密 度 は 当 然 増 加 す る が, そ の 割 合 は1wt%当 た り18kg/m3で あ る19)。熱 膨 張 係 数 はFe1wt%当 た り約1.25%ず つ 減 少 す る19)。電 気 抵 抗 は 固 溶Fe1wt%当 た り2.56μΩ・cm増 加 す る が, 化 合 物 を 形 成 す る場 合 は1wt%当 た り0.058μΩ・cmに 増 加 率 は 下 が る19)。アル ミニ ウム に対 して 平衡 固溶 限 の低 い Feは, 電 気 伝 導 率 の低 下 を 抑 え な が ら強 度 増 加 を 図 れ るの で, アル ミニ ウム導 電 材 料 の 有 効 合 金 元素 の一 つ と して 重 要 であ る。 な お, 純 アル ミニ ウ ムに 対 す る微 量 の Fe添 加 の 効 果 の うち, 再 結 晶 挙 動, 加 工 硬 化 特 性, 耐 食 性 な どへ の 影響 につ い て は本 連 載 講 座 の別 稿2)を参 照 され た い。 急 冷 凝 固 に よ って 固溶 限 の 拡 大 が 得 られ るが, Al-Fe 合 金 の 過 飽 和 固 溶体 の分 解 過 程 はGPゾ ー ンや 中 間 相, 準 安 定 相FeAl6の 生成 が平 衡 相FeAl3の 生 成 に先 立 って 起 こ る こ とが 報 告 さ れ て い る20),21)。また, Fe量 と共 に 析 出硬 化 量 は 増 大 す る20)。しか し, Al-Fe合 金 に お い て 平衡 固 溶 限か らの拡 大 を 図 るに は 高 い速 度 で の急 冷 凝 固 が 必要 で, 105∼106K/sの 冷却 速 度 範 囲 で は初 晶 化 合 物 の 晶 出 は抑 え ら れ る が, セ ル境 界 に共 晶化 合 物 が 分 布 す る セ ル 状 組 織 に 凝 固 す る。Al-8wt%Fe合 金 の セ ル 径 と 凝 固冷 却 速 度 の 関 係 を図422)に 示 す。 この よ うに, 冷 却 速 度 の増 加 と共 に セ ル径 は 減 少す る。 Al-Fe合 金 の 弾 性 率 はFe1wt%当 た り約2.5%の 割 合 で増 加 す る4)。Al-Fe合 金 の 強 さは 主 と してFe化 合 物 の 分 散 状 態 に よ っ て決 ま る。急 冷 凝 固 に よ り微 細 な 分 散 を 図 る こ とに よ り高 強 度 が 得 られ る。Al-Fe合 金 の急 冷 凝 固 材 の 硬 さ を 金 型 鋳 造 材 と比 較 しな が ら示 した の が 図 523)で, 急 冷 され た ゾー ンAで はFe添 加 量 と共 に 硬 さ は直 線 的 に 増 加 して い る が, 金 型 鋳 造 材 で はFe量 と共 に硬 さ の増 加 は 飽 和 す る傾 向 を示 す。 した が って, 急 冷 凝 固材 に お い て は 多量 のFe添 加 に よる 強 度 増 加 の 効 果 が発 揮 され る。 3.4 急 冷 凝 固 粉 末 合 金 Al-Fe合 金 に お け るFe化 合 物 の微 細 な 分 散 は, 時 効 硬 化型 合 金 の析 出粒 子 に比 べて 熱 的に も安定 であ るた め, Al-Fe系 を ベ ー ス と した急 冷 凝 固 に よ る耐 熱 ア ル ミ ニ ウ ム合 金 が 開 発 され て い る。Alcoa の 開 発 したAl-Fe-Ce 合 金24)が代 表 的 な 合 金 で あ るが, 他 に もAl-Fe-Mo系25), Al-Fe-Co系26), Al-Fe-Ni系26)な ど の3元 系, さ らに は, Al-Fe-Mo-V系24)やAl-Fe-Zr-V系27)な どの4元 系 も知 られ て い る。 い ず れ も3元 系 以 上 に して合 金 元 素 の全 添 加 量 を 増 す こ と に よ り化 合 物 粒 子 の 体 積 率 を 増 し な が ら, 急 冷 凝 固 に よ り微 細 分 散 を 図 った 合 金 で, 200∼ 図3 Al-FeAl6の 準 安 定 共 晶 凝 固 組 織 の 一 例13) 図4 Al-8wt%Fe合 金 の デ ン ド ラ イ トセ ル サ イ ズ と凝 固 冷 却 速 度22)

図5 Al-Fe合 金 の 硬 さ とFe量23)(ゾ ー ンA: 急 冷 凝 固 材 表 面, ゾ ー ンB: 同 内 部)

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300℃の 範 囲 で の 高 温 強 度 に す ぐれ た 材 料 と してTi合 金 の 代 替 な ど を 狙 っ て い る。Al-8wt%Fe-4wt%Ce合 金 の急 冷 凝 固粉 末 か ら作 製 したP/M材 の耐 力 の温 度 に よる変 化 を 従来 合金 と比 較 しな が ら示 した の が図628)で あ る。 従 来合 金 に 比 べ て200℃以 上 の 温 度 で の優 位 性 が 明 らか で あ る。 4. Al-Mn系 合 金 4.1 平衡 状 態 図 (組織 と構 成 相) Al-Mn系 平 衡 状態 図 を 図73)に 示 す。 本 系 合 金 の状 態 図 に つ い て は 本 講 座 の31)で 述 べ られ て い る の で, 補 足 的 な こ とを述 べ る に と どめ る。 最 近 の集 録29)による と, 高純 度 の マ ンガ ンが 得 られ る よ うに な った の は 比較 的 最 近 の こ とであ り, また マ ンガ ンは 酸 化 しやす く高 アル ミ ニ ウム組 成 で も蒸 気 圧 が 高 い の で, これ まで の 本 系合 金 の状 態 図 につ い て は 多 くの 混 乱, 不 一 致 が あ った とされ て い る。 加 え て, Al-Mn系 で は 安 定 な 準 安 定 相 の 数 が 多 く, 研 究 者 を 戸 惑 わ せ る トラ ッ プが 多 い こ と も原 因 に 挙 げ られ てい る。 最 近 の 研 究 に よる と, 従 来 よ りAl4Mnと 呼 ば れ て い る相 は格 子 定 数 の 異 な る λ(hcp, a=2.84nm, c=1.24 nm) お よび μ(hcp, a=1.995nm, c=2.452nm) の二 種 類 の平 衡 相 に 分 類 され て い る29)。 実 用 上 はAl3Mnと 呼 ば れ る 平 衡 相 は, 高 温 で安 定 な Al11Mn4 (Mn組 成25∼28.7at%, 空 間 群Pnma) お よび 低 温 で安 定 なAl11Mn4 (Mn組 成27at%, 空 間群P1) の 二 種 類 に 分 類 さ れ て い る。 実 際 に 用 い られ て い るAl-25%Mn母 合 金 に は これ ら 高 融 点 のAl4Mnお よびAl3Mnが 存 在 し, 溶 解 速 度 を 低 下 さ せ る30)。Al-Mn 2元 系 状 態 図 の 詳 細 に つ い て は文 献29)を参 照 され た い。 4.2 非平 衡 相 Mnは 遷 移 金 属 の 中 で はAl中 の平 衡 状 態 で の 最 大 固 溶 限 が 最 も大 き く, さ ら に急 冷 凝 固 に よ って 約12wt% Mnま で固 溶 限 が 拡 大 す る。 図8は 過 飽 和 固 溶 体 の格 子 数 を示 す29)。過 飽 和 固 溶 体 か らは 相分 解 に よ って 種 々の 準 安 定 相 が生 成 す る。 これ ら の準 安 定 相 の ほ と ん どは 通 常G相 と名 付 け られ て い るが, 研 究 者 に よ っ て 相 の 呼 び方 は異 な っ て い る の で結 晶 系 ご とに列 挙 してみ る と以 下 の とお りに な る29)。 (1) 最 初 にG相 と報 告 さ れ た 単 純 立 方 晶 でa=1.328 nmで あ る相。 (2) bccのAl12W型 構 造 の 相。a=0.7507∼0.754nm, 空 間群1m3。 この 相 が 現 在G相 と呼 ばれ て い る。 (3) αAl12Mn3Siの 構 造 に 類 似 した 単 純 立 方 晶 の 構 造 の相。 (4) Al7Cr型 の斜 方 晶 でa=0.251, b=2.48, c=3.03 nmの 相。 (5) 六 方 晶 のa=0.754, c=0.784nmの 相。 こ の 相 の 格 子 定 数 はAl1oMn3に つ い て 報 告 され て い る 値 と類 似 して い る。 (6) 三 方 晶 のa=2.86nm, α=36.0°の相。 図6 Al-8Fe-4Ce合 金 の 急 冷 凝 固P/M材 の 耐 力28) 図7 Al-Mn系 平 衡 状 態 図3)

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(7) 準 結 晶。 準 結 晶 は並 進 対 称 操 作 の み で は三 次 元 空 間 をす ぎ間 な く埋 め つ くす こ とは で きな い正 二 十 面 体 よ りな る非 平衡 相 で, 最 初 はAl-14at%Mn合 金 の メル ト ス ピ ニ ン グ に よ る 急 冷 実 験 で 発 見 さ れ た31)。点 群 は m35で2回 軸 を15個, 3回 軸 を10個, 5回 軸 を6個 もつ。 電 顕 で は 多 重 双 晶 の 実験 的 証 拠 は 見 い だ され て い な い。 さ ら に 高Mn組 成 で は, T相 と呼 ば れ る10回 対 称 の 準 結 晶 も報 告 され て い る。 これ ら の準 結 晶 は加 熱 に よ って 安 定 相 のAl6Mnと α固 溶 体 に分 解 す る32),33)。 Kuo34)に よれ ば, 現 在 の問 題 点 は 次 の三 点 に あ る。 第 一 に 準 結 晶 は はた して実 際 に 存 在 す るの か, 多重 双 晶 の 可 能 性 は ま っ た くな い の か とい う点 で あ る。 第 二 に230 個 の 空 間群 に慣 れ た 者 に と っ て準 結 晶 の非 結 晶学 的 な対 称 性 は 依然 と して懐 疑 的 に な ら ざ るを え な い とい う点 で あ る。 そ して, 第 三 に 準 結 晶 の 結 晶 構 造 に 関 して はた と え ば Penrose タイ リ ング な ど の モ デ ル が提 案 され て い る が, 現 在 研 究 され て い る最 中 で あ り, 原 子構 造 もい まだ 知 られ て い な い こ と であ る。 特 性 に つ い て も, 現 在 研 究 が 盛 ん に行 わ れ て い るが, きわ め て 硬 く脆 い性 質 を も っ て お り, 高 電 気 抵 抗 で あ る こ とは わ か って い る が, 常 温 で強 磁 性 を 示 す よ うな 有 用 な 機 能 特性 は い まだ 報 告 され て い な い35)。 4.3 高 温 強 度 Dudzinski ら36)によっ て マ ンガ ンの 添 加 は ア ル ミニ ウ ム の ヤ ング率 を 高 め るの に 効 果 が あ る こ とが 示 され て 以 来, 急 冷 粉 末 を 押 出 しに よ って 固 化 す る こ とに よ って 高 マ ンガ ン組 成 の2元 合 金 を 得 よ う と した研 究 は多 い。 図 9は Savage ら37)によ っ て ま とめ られ たAl-Mn合 金 の 弾 性 率 お よび 引 張 強 さ に 及 ぼ すMn量 の 影 響 を 示 す。 Mn量 の 増 加 と共 に ヤ ン グ率 お よび 引 張 強 さ と もに 増 加 す る。 そ の増 加 率 は イ ン ゴ ッ ト材 よ りも急 冷 材 の方 が 大 き い。 しか し, 高 温 強度 を高 め る た め には2元 合 金 の ま ま では 不 十 分 で あ り, 第3お よび第4添 加 元 素 の 効 果 に つ い て 詳 し く調 べ られ て い る。 表2に 代 表 的 研 究 の 合 金 組 成, 粉 末 あ る い は フ レー クの作 製 方 法 お よび 固 化 方 法 を 示 す。 Al6Mnを 主 な 分 散 相 とす る種 々の 化 合 物 の微 細 分 散 に よ って 分 散 強 化 を 図 っ て い る こ とはAl-Fe系 合 金 と 同 様 で あ る。 した が って, 組 成, 加 工温 度 な どに よ って 得 られ る特 性 は 異 な る。 一 例 と して, 図10に Terlinde ら43)の結 果 を 示 す。 押 出 し温 度 が 低 い402℃の 方 が 押 出 し方 向 お よび横 方 向 と もに 高 温 強 度 は優 れ て い る。 Al-Mn-Cr系38)で は 時 効 硬 化 性 が 認 め られ るの で, 未 時 効 状 態 の低 強 度 の と き加工 を行 った後, 時 効 熱 処 理 を 行 え る利 点 が あ る。 しか し, Al12Mnの 析 出 お よ び 成 長 に伴 っ て延 性 が 低 下す る の で硬 化 ピー クで の使 用 は 無 理 図8 Al-Mn過 飽 和 固 溶 体 の格 子 定 数29) 図9 ヤ ン グ 率(a)お よ び 引 張 強 さ(b)に 及 ぼ す Mn量 の影 響37)

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と され て い る。 Alcoa 社 に お け る耐 熱 ア ル ミニ ウ ム粉 末 合 金 の 開 発 過 程26)では, 第 三 元 素 と してCoあ る い はNiを 添 加 した 場合 は, 室 温 お よび 高 温 で の 強 度 と延 性 の バ ラ ンスが と れ た材 料 とは な らな い こ とが 明 らか に な っ たた め, 途 中 か ら除 外 され て い る。 Al-Mn合 金 の 高 剛 性 を 生 か す た め に7075合 金 お よび Al-17wt%Mn合 金 の ア トマ イ ズ粉 を 混 合 して圧 粉 体 と した 後, 押 出 しに よ って延 性 も高 め た合 金 を得 よ うと し た試 み もあ る44)。 5. Al-Ti系 合 金 5.1 平 衡 状 態 図, 組 織 と構 成 相 Al-Ti2元 系 平 衡 状 態 図 は 図11に 示 す よ うに ア ル ミニ ウ ム側 に 包 晶 反 応 を も ち, また, チ タ ン濃 度 の 高 くな る とい くつ か の 金 属 間化 合 物 が 存 在 す る45)。こ こで は 詳 述 し な い がAl3Ti, AlTi, AlTi3な どは 優 れ た 耐 熱 性 を 具 備 した 新 素 材 と して注 目され て い る。 と ころ で, 包 晶反 応 で の 最 大 固 溶度 す な わ ち 包 晶 組成 に つ い て み る と, 従 来 多 くの 論 文 で0.28wt%Ti46)な る 値 が 用 い られ て きた が, そ の 後, 表3に 示 す よ うに, こ れ に つ い て の い くつ か の報 告 が な され て い る46)∼53)。図 表2 P/M法 に よ る急 冷 凝 固Al-Mn合 金 表3 アル ミニ ウム 中へ の チ タ ンの最 大 固溶 度 の報 告 図10 Al-10%Mn-2.5%Si急 冷 合 金 の 高 温耐 力 に 及 ぼ す 押 出 温 度 の 影 響3) 図11 Al-Ti系 平 衡 状 態 図45),53)

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12お よび 表4は 強 加 工 後長 時 間焼 鈍 した 試 料 を 用 い て調 べ た 堀 ら53)の結 果 で, こ こ で は 合 理 的 に こ の 組 成 を 1.32wt%Tiと して い る。 た だ し, アル ミ ニ ウ ム 中 の チ タ ンの拡 散 速 度 が 小 さ く平 衡 状態 に 容 易 に は到 達 し難 い の で, 通 常 の 鋳造 組 織 で は地 質 の チ タ ン濃 度 が著 し く低 くな りや す く, 平 衡 状態 と の差 異 が 相 当 に大 き い こ と も 考 慮 す る必 要 が あ る53)。 Al-Ti系 に 含 まれ る各 平 衡 相 の 結 晶 構 造 デ ー タは 表5 に示 され る45)。組 織 につ い て は 次項 で ま とめ て述 べ る。 5.2 非 平 衡相 (1) 急 冷 凝 固組 織 と非 平 衡 晶 出 相54) Al-1.6%Ti合 金 を10℃/s程 度 の 速 度 で 徐 冷 す る と, 図13の よ うに針 状 の 平 衡 相Al3Ti (DO22型 規 則 構造) が 晶 出 し, そ の 周 りに 包 晶反 応 に伴 うデ ン ドリテ ィ ッ クセ ル を 生 ず る。 冷 却 速 度 を3×103℃/sに 上 げ る と初 晶 は 針 状 か ら図14(a)の よ うに 花 び ら状 と な り, デ ン ド リテ ィ ッ ク セ ル は よ り明 瞭 に 観 察 さ れ る よ う に な る。 図 14(b)は こ の試 料 を, よ う素-メ タ ノ ー ル溶 液 に 浸 漬 し て チ タ ン濃 度 の 希 薄 な部 分 を 溶 解 除去 した も の のSEM 写 真 で, これ と方 位 解 析 結 果 か ら花 び ら状 組 織 は 写 真 中 央 に み られ る よ うに, 立 方 体 の 八 つ の角 か ら<111>方 向 図12 Al-Ti系 平 衡 状 態 図 のAl側53) 図13 10℃/sで 凝 固 したAl-1.6%Ti合 金 に み られ る針 状 平 衡 相56)(三 次 元 的 に は 薄 板 状 を 成 す)。 地 質 に は デ ン ドリテ ィ ック セ ル に対 応 す る模 様 が かす か に み られ る。 表4 ア ル ミ ニ ウ ム 中 へ の チ タ ン の 固 溶 度 の 温 度 変 化53) ln(at%Ti)=-4.19×103×(1/T)+4.17 表5 Al-Ti系 平 衝 相 の 結 晶 構 造 デ ー タ45),53)

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に伸 長 した 形 態 で あ る と考 え られ て い る。 そ して伸 び た 八 つ の角 に連 な って 比 較 的 高 い濃 度 の チ タ ンを 強 制 固 溶 した デ ン ドリテ ィ ッ ク セ ル が の び て いる。EPMA分 析 に よ る と花 び ら状 組 織 で8∼11at%Ti, デ ン ドリテ ィ ッ クセ ル で は2∼3at%Tiで あ る。 さ ら に これ を電 顕 観 察 した 一 例 を 図15に 示 す。 これ ら よ り花 び ら状 組 織 は 単 一 相 で は な く, Al母 相 と微 細 に 晶 出 したL12型 の 準 安 定 Al3Ti相 か らな る混 合 組 織 で あ る こ とが わ か り, こ こ の 組 成 が8∼11at%Tiで あ っ た こ とに 対 応 し て理 解 さ れ る。Schurnhoff55)ら は こ の 花 び ら状 組 織 をAl9Ti相 で あ る と報 告 した が, か れ らは こ の組 織 を単 一相 と考 え て し ま った 可 能性 が高 い。 同 一 組 成 の試 料 で み る と こ の花 び ら状 組 織 は 冷 却 速 度 が 速 くな る と次第 に 小 さ くな り, さ らに冷 却 速 度 を 上 げ る と見 られ な くな って, チ タ ン原 子 は ア ル ミニ ウ ム中 に す べ て 強 制 固溶 され る。 この よ うな 冷却 速 度 と凝 固 組 織 との 関 係 は 図16の よ うに ま とめ られ る56)。 (2) 強 制 固溶 体 の 相 分 解 上 述 の急 冷 凝 固 組 織 は そ の 後 の500℃程 度 で の 加 熱 処 理 に よ り相 分解 す る54)。花 び ら状組 織 は前 述 の 微 細 混 合 組 織 か ら図17の よ うに 平 衡 相Al3Tiの 集 合 体 に 変 化 す る。 この 平衡 相 と地質 との お よそ の 方位 関 係 は(100)Al// (100)Al3Ti, (110)Al//(110)Al3Ti, (111)Al//(112)Al3Ti と表 され て い る57)。一 方, デ ン ド リテ ィ ックセ ル領 域 で は 図18に 示 す よ うに まず 準 安 定Al3Ti相 が 微 細 に 析 出 し, つ い で十 字 状 か ら棒 状 の平 衡 相 とな る。 な おAl-Ti 合 金 の 場 合 は これ ら の時 効 に 伴 う試 料 全 体 の 硬 さ変 化 は ほ とん ど検 知 され ない。 5.3 結 晶粒 微 細 化 前 項 の 図16と 対 応 してTi濃 度 と結 晶 粒 度 の 関 係 を 冷 却 速 度 で整 理 した の が 図19で あ る。 これ よ りまず ア ル ミ ニ ウ ム溶 湯 中 の固 溶 チ タ ン濃 度 が増 え る と共 に ア ル ミニ 図14 3×103℃/sで 凝 固 し たAl-1.6%Ti合 金 の 組 織54), (a)光 顕 組 織 お よび(b)よ う素-メ タ ノ ー ル溶 液 に 浸 漬 した試 料 のSEM組 織 (中央 が花 び ら状 組 織 で, それ に 連 な っ て デ ン ドリ テ ィ ッ クセ ル が み られ る)。 図15 Al-Ti合 金 に み られ る花 び ら状 組 織 の透 過 電 顕 写 真54)。(a), (b)明 視 野 像, (c), (d)で 得 ら れ たLI2型 規 則 構 造 の 回 折 点 に よ る 暗 視 像。

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ウ ム結 晶粒 は顕 著 に微 細 化 され る こ とが わか る。 そ れ ぞ れ の冷 却 速 度 で1wt%当 た り1桁 程 度 細 か くす る。 冷 却 速 度 が や や 早 い と きに 花 び ら 状 に 晶 出 した 準 安 定 の Al3Ti相 は ア ル ミニ ウ ム結 晶 粒 内 に1個 以上 存 在 す る こ とは な く, ま た これ が み られ る条 件 で さ らに微 細 化 して い る こ と よ り, この 花 び ら状 の 準 安 定Al3Ti相 は ア ル ミ ニ ウ ムの 凝 固核 とな っ て地 質 結 晶 粒 を 微 細 にす る こ と が わ か る。 一 方, 晶 出 した 平 衡Al3Ti相 の微 細 化 能 は きわ め て小 さい。 周 期 律 表IVa族 の チ タ ン, ジル コニ ウ ムお よび ハ フ ニ ウムは い ず れ もア ル ミニ ウ ム側 に 包 晶 反 応 を も ち, 結 晶 図16 各種 のAl-Ti合 金 を種 々 の冷 却 速 度 で 凝 固 し た と きの組 織56) 図17 Al-Ti合 金 の花 び ら状 組 織 の 相 分 解 を示 す 電 顕 組 織。 長 時 間 時 効 に よ り平 衡 相Al3Ti (DO22構 造) とな る。 図18 Al-Ti合 金 の デ ン ド リ テ ィ ッ ク セ ル 領 域 で の450℃で の 時 効 組 織。(a) 30h, (b) 600h, (c) 1055h. 図19 種 々 の冷 却 速 度 で 凝 固 したAl-Ti合 金 の結 晶 粒 度 に及 ぼ す チ タ ン濃 度 の 影 響56)

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粒 微 細 化 効 果 が あ る56),58),59)。そ の 効 果 を 冷 却 速 度 を 3×103℃/s (チ ル キ ャ ス ト状 態) と一 定 に して 比 較 す る と図20の よ うに な り60), チ タ ンの効 果 が 顕 著 に 大 き い こ とが 示 され て い る。 6. Al-Zr系 合 金 6.1 平衡 状 態 図, 組 織 と構 成 相 Al-Zr 2元 系 平 衡 状 態 図 を 図21に 示 す45)。Al-Ti系 と 同様 に アル ミニ ウ ム側 に包 晶反 応 を もつ。 各 温 度 での ア ル ミニ ウ ム中 へ の ジル コニ ウム の固 溶 度 に つ い て は 図22 に 示す よ うに61)∼63)必ず し も確 定 され てい な い。 た だ し, Fink と Willey61)の結 果 に つ い て は平 衡 化 焼 鈍 時 間 不 足 で 過 小 評 価, 一 方, Glazov ら63)の場 合 は あ ま り変 化 し な い 微 小 硬 さに よ ってい るた め 固 溶 量 の過 大 評 価 を そ れ ぞ れ して い る可 能 性 が あ るの で, 実 際 の 固溶 度 は これ ら の 中 間 に 位置 す る と予 想 され る62)。ただ し, チ タ ン同 様 ア ル ミニ ウ ム中 の ジ ル コニ ウム の拡 散 速 度 が 小 さ く平 衡 状 態 に 容 易 に は到 達 し難 い こ とを念 頭 に お くべ きで あ ろ う。 Al3Zr相 は平 衡 状 態 で はDO23型 の 規 則構 造 を と るが, 準 安 定 相 はAl3Ti相 と同 様L12型 の 規 則 構造 で あ る。 6.2 非 平 衡 相 (1) 急 冷 凝 固 組織 と非 平 衡 晶 出 相 Al-Zr 2元 合 金 を種 々の 冷 却 速 度 で 凝 固 した と きの 組 織 はZr量 に 対 して 図23に ま と め られ る64)。ま た, 図23 中 のaか らeに 対 応 す る 組 織 を 図24に 示 す。 これ らは 図20 ア ル ミ ニ ウ ム 凝 個 組 織 の 微 細 化 に 及 ぼ す チ タ ン, ジ ル コ ニ ウ ム お よ び ハ フ ニ ウ ム の 影 響60) 図21 Al-Zr系 平 衡 状 態 図45) 図22 ア ル ミニ ウ ム 中 へ の ジ ル コ ニ ウ ム の 固 溶 度 図23 各 種 のAl-Zr合 金 を 種 々 の 冷 却 速 度 で 凝 固 した と き の組 織64)

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Al-Ti系 の場 合 と類 似 した結 果 とな って い る。 す なわ ち Zr量 が 少 な く, か つ, 冷 却 速 度 が 適 当 に速 い とaの よ うに デ ン ドリテ ィ ックセ ル が み られ る もの の単 相 組 織 で あ るが, Zr量 が 増 す とbに 示 す よ うな 角 状 晶 出 物 (以 下, 角 状 組織) がみ られ る よ うに な る。 ま た この試 料 を 比 較 的 徐 冷 した 場 合 に はcの よ うに平 衡 相 のAl3Zrが 針 状 に 晶 出 す る。 こ こで の 角状 組 織 はAl-Ti系 で み られ た と同 様 に, 微 細 な デ ン ドライ ト状 に 晶 出 したL12規 則 構 造 を も つ 準 安 定Al3Zr相 と α-Alの 混 合 組 織 で あ り, こ れ は 凝 固 核 の役 割 を果 た す64)。さ らに冷 却 速 度 を上 げ る と ジル コ ニ ウム はす べ て ア ル ミニ ウ ム中 に 強制 固溶 され る。 (2) 強 制 固溶 体 の 相 分解 Al-Zr合 金 の 急 冷 凝 固 組織 に み られ る角 状 組 織 はそ の 後 の 加 熱 に 伴 い棒 状 相 に と形 態 を 変 化 す る が, 依然 と し て 結 晶 構 造 はL12型 の ま まで あ る。 デ ン ド リテ ィッ クセ ル 内 は 強 制 固溶 体 とな って お り, この 領 域 で は 析 出 に よ る相 分 解 が進 行す る。 この 析 出反 応 に つ い て は 次項 で ま とめ て の べ る。 6.3 析 出 と再 結 晶 (1) 析 出 Al-Zr合 金 の 時 効 析 出 に つ い て は 荒 木 と小 森65)∼67), 西 川 ら68)∼70), 山 田71)∼73)およ び 堀 ら73),74), に よ って 系 統 的 に調 べ られ て い る。Al-0.22%Zr合 金 に つ い て報 告 され た 結 果 を 図2574)に示 す。 こ こで10,000時 間 に及 ぶ 実 験 よ り350℃で 顕 著 な時 効硬 化 が 起 き る こ とが 示 され て い る。 この 硬 化 の 原 因 は粒 内 で準 安 定Al3Zr (L12) の微 細 球 状 析 出 で, 最高 硬 さを と る条 件 で 析 出 物 の 直 径 は約 280Åと 報 告 され て い る。 この粒 内 で の連 続 析 出 反 応 と 同時 に, 粒 界反 応 の 進 行 も観 察 され る。 この組 成 で は こ 図24 図23に 示 さ れ たa∼eに お け る 組 織64) 図25 Al-0.22%Zr合 金 の 時 効 に よ る(a)硬 さ お よ び(b)電 気 抵 抗 変 化 率 の 変 化74)

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の粒 界 反 応 面 積 率 は た か だ か数%で, か つ, この析 出 物 も準 安 定Al3Zr (L12) で あ る。 また, 長 時 間時 効 に よ っ て準 安 定 相 の 析 出領 域 で は そ れ の凝 集 粗 大 化 はみ られ る が, 平 衡 相 が 観察 され た こ とは な い。 過 包 晶 組 成 合 金 につ い て は, 急 冷 な どに よ り強 制 固 溶 体 と した 上 で 時 効 析 出挙 動 が調 べ られ て い る75)。この 場 合 も基 本 的 に は上 述 の よ うに, 同 じL12型 規 則 構 造 を も つ 準 安 定Al3Zr相 が粒 内 で連 続 析 出 も し くは 粒 界 反 応 型 (不連 続) 析 出 す る。 そ の際, 析 出 速 度, 析 出量 お よび こ の両 析 出 の 割合 な ど は ジ ル コニ ウ ム濃 度 お よび 時 効 条 件 に よ り当 然変 化 す る。 一 般 的 に い っ て ジ ル コ ニ ウ ム濃 度 が 高 くな る と粒 界 反 応 型 析 出 の割 合 が 多 くな るた め, ジル コ ニ ウ ム添 加 に よ る強 度 や 耐 熱 性 の 向上 に 対 して 有 効 で な い。 そ のた め, 工 業 的 には 粒 界 反 応 型 析 出 を 抑 制 す る必 要 が生 じ, 第3元 素 添 加 が 調 べ られ, シ リコ ンお よび ク ロ ムの添 加 が これ に 顕 著 な 効 果 を もつ こ とが わ か って い る。 ここ で, シ リコ ンは 粒 内 の 連 続 析 出 を 促進 す る76),77)こと で, ク ロ ム は粒 界 に い ち早 く析 出す る な ど して粒 界 を ピ ン止 め す る こ と78)で, 結 果 と して粒 界反 応 型 析 出 を ほ ぼ完 全 に 抑 え る。 (2) 再結 晶

図25(a)中 でA, B, Cお よ びDで 示 し た 状 態 のAl-0.22%Zr合 金 を90%冷 間 圧 延 し, 1時 間 の等 時 焼 鈍 に よ り再 結 晶挙 動 を 調 べ た結 果 を図26に 示 す。 こ こ でAは 溶 体 化 処 理 した ま ま, Bは 平 均 直 径 が 約160Aの 整 合 粒 子 (L12型Al3Zr) が 均 一 分 布 した もの, Cは 同 じ く約 280Åの 微 細 析 出 組織 で最 大 硬 さ を示 す も の, DはL12 型 構 造 で あ る が非 整 合 の 数100か ら2000Åの 粗 大 粒 子 を 含 む 組 織 で あ る。 な お, 地 質 の 固 溶Zr量 は そ れ ぞ れ 0.22, 0.19, 0.11お よ び 同 じ く0.11%と 見 積 も ら れ て い る。 同程 度 の純 度 で しか も ジ ル コ ニ ウ ムを 含 ま な い純 ア ル ミニ ウ ム の90%加 工 材 の 再 結 晶 温 度 は200∼220℃で あ る。D, Aの 再 結 晶 温 度 は そ れ よ りそ れ ぞれ 約100お よ び200℃も 高 い の で, 本 合 金 の再 結 晶 は 固 溶Zr原 子 に よっ て抑 制 され る こ とが わ か る。 さ ら に, 固溶Zr濃 度 が 低 くて も, 整 合 球 状 粒 子 を 分 散 させ る こ とで 回 復 ・再 結 晶 を 大 き く遅 滞 させ る こ とが で き る こ とが わ か る。 こ の場 合, 粒 子 は転 位 お よび亜 粒 界 の移 動 を 顕 著 に 抑 制 し て 再結 晶温 度 を著 し く高 くす る。 高 温 で は 粒 子 の 固 溶 が 起 きる の で あ る程 度 の粒 子 径 が ない と再 結 晶温 度 上 昇 効 果 を もた らす こ とが で き な い よ うで あ る62)。 (3) 実 用 材 料 ア ル ミニ ウム に少 量 の ジ ル コニ ウ ムを 添 加す る と再 結 晶 温 度 が 著 し く上 昇 す る こ とが Harrington に よ って 報 告79)され て 以 来, ジル コ ニ ウ ムは ア ル ミニ ウム の耐 熱 性 改 善 元 素 と して 注 目 され て い た。 ま た, わ が国 の電 線 業 界 が 世 界 的 な 銅 価 格 の 高 騰 お よび変 動 の激 しさか ら電 線 の アル ミニ ウ ム化 を 進 め, と くに遠 隔地 よ りの 大 電 力 送 電 の要 求 が 高 ま る と共 に, 高 力, 耐 熱, 高 伝 導 アル ミニ ウ ム線 の研 究 が本 系 合 金 を 中心 に して精 力 的 に 行 わ れ て きて い る。 本 系合 金 を基 礎 に した高 力 耐 熱 アル ミニ ウ ム 合 金 線 の 開 発 過 程 お よび 詳 細 に つ い て は 別 の優 れ た 解 説80)∼82)を参 照 願 いた い。 7. Al-Hf系 合 金 7.1 平 衡 状 態 図, 組 織 と構 成 相 チ タ ン, ジ ル コ ニ ウ ム と同 様 に 周 期 律 表IVa族 に 属 す る ハ フ ニ ウ ム と アル ミニ ウ ムの2元 系平 衡 状 態 図 に は, 図27に 示 され る よ うに, ア ル ミニ ウム側 に包 晶反 応 が 存 図26 図25(a)に 示 され たA, B, C, Dの 試料 を90% 圧 延 し, 各 温 度 で1時 間 焼 鈍 した と き の硬 さ変 化62) 図27 Al-Hf系 平 衡 状 態 図45),83)

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在 す る。 この こ とが ア ル ミニ ウム の凝 固 組 織 や 諸 性 質 と 大 きな か か わ りを もつ。0.49か ら約68%Hfの 本 系 合金 を 平 衡 凝 固 す る 際 晶 出 す るAl3Hf相 は, 高 温 (700お よび 950℃) で は 平 衡 相Al3Zrと 同 じDO23型 の 規 則 構 造 (a=3.899Å, c=17.155Å) を と り, 低 温 で は 平 衡 相Al3

Tiと 同 じDO22型 の 規 則 構 造 (a=3.893Å, c=8.925Å) を と る84)。これ ら の構 造 の 原 子 配 列 を, 次項 に述 べ る準 安 定Al3Hf相 (L12型 規 則構 造) と共 に図28に 示 す。 7.2 急 冷 に よ る 非 平 衡 晶 出 相 お よび 過 飽 和 固 溶 体 の 相 分 解 Al-1%Hf合 金 を溶 体化 後450℃で30h時 効 した と きの 光 顕 お よび 電 顕 組 織 を図29に 示 す59),85)。これ に は 粒 界 反 応 型 析 出 が観 察 され る。 この 析 出 物 はL12型 規 則 構 造 (図28(a)) で あ り, 準 安 定 相 が 粒 界反 応 型 析 出す る点 で Al-Zr系 と同 様 で あ る。 な お, こ の組 成 で は2000hの 時 効 時 間 で も粒 内析 出物 は み られ な い。 Al-Hf合 金 を3×103℃/sの 速 度 で急 冷 凝 固 す る と, 3%ま で 固 溶 限 を拡 大 す る こ とが で き る。 さ ら に ハ フ ニ ウ ム量 を 増 す とAl-3.5%Hf合 金 につ い て 図30に み る よ うに, 各粒 に角 状 組 織 とそ れ に 連 な る デ ン ドリテ ィ ッ ク セ ル がみ られ る59)。これ はAl-Ti合 金 で み られ た 花 び ら 状 組 織 (図15), Al-Zr合 金 で み られ た 角 状 組 織 (図 24b, d) と 同様 の も の で あ る。 この 角状 組 織 は各 結 晶 粒

図28 LI2, DO22お よ びDO23型 の 規 則 構 造 を も つ Al3Hfの ユ ニ ッ トセ ル 図29 Al-1%Hf合 金 を 溶 体 化 後450℃で30時 間 時 効 し た と き の(a)光 顕 お よ び(b)電 顕 組 織85) 図30 Al-3.5%Hf合 金 を3×103℃/sで 急 冷 凝 固 し た と き の 光 顕 組 織59) 図31 ス プ ラ ッ トクエ ン チ 法 で 凝 固 したAl-6%Hf 合 金 の比 較 的 冷 却 速 度 の 遅 い 領 域 で 観 察 さ れ る角 状 組 織86)

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界 に1個 以上 は 含 まれ ず, そ の サ イ ズは 冷却 速 度 が大 き くな る と小 さ くな る。 図31はAl-6%Hfを ス プ ラ ッ トク エ ンチ法 で超 急 冷 した試 料 の 電 顕 組 織 で こ こ では1∼2 μmの サ イ ズ とな って い る。 内部 組 織 を 詳 細 に 観 察 す る と86),87), Al-Ti系 の 花 び ら状 組 織 お よ びAl-Zr系 の角 状 組 織 と同 様, L12構 造 のAl3Hfが<111>方 向 に 微 細 な デ ン ドライ ト状 に 晶 出 し α-Alが そ の 間 を埋 め て い る二 相 混 合 組織 で あ る こ とが わ か って い る。 また, この角 状 組 織 は試 料 の切 断 面 に よ りそ の2次 元 断面 で のみ えか た が 正 方形, 長 方 形 お よび三 角 形 的 に と系統 的 に変 化 す る こ とか ら, これ の 立 体 図 は図32に 示 す よ うで あ る と結 論 さ れ る。 これ らの比 較 的 高 い ハ フ ニ ウ ムを 強 制 固溶 した も のを 時 効 す る と, 図33(a)に 示 す よ うな 粒 界 反 応 型 析 出 領 域 とそ れ の見 られ な い領 域 で よ り長 時 間時 効 で観 察 さ れ る 粒 内 で の 微 細 球 状 の連 続 析 出領 域(b)に 相 分 解 す る。 こ れ ら の 析 出物 は いず れ もL12型 規 則 構 造 で あ り, 3.5% Hf合 金 で は そ の 後 の 単 な る時 効 処 理 で は 角 状 組 織 も含 め て平 衡 相 が 観 察 され る こ とは な い。Al-6%Hf合 金 で は ほ とん ど粒 界 反 応 型 析 出 で 占め られ る。 と こ ろ で, Hf合 金 に シ リコ ン を添 加 す る と, Al-Zr合 金 の 場 合 と同 様, 粒 内 の 微 細 球 状 析 出 が 促 進 され る88)。そ の結 果 と して粒 界 反 応 型 析 出 が 抑 制 され, さ ら に は 準 安 定 相 か ら平 衡 相 へ の時 効 過 程 が 実 験 可 能 な時 間 内 で 観 察 さ れ る よ うに な る。 図34はAl-3%Hf合 金 に種 々の量 の シ リコ ンを添 加 した と きの 時 効 硬 化 曲 線 で, こ こで は0.3%程 度 の 添 加 で 著 効 が あ る。 す な わ ち, シ リ コ ンを含 まな い 場 合 は時 効 して もほ とん ど粒 界 反 応 型 析 図32 Al-Hf合 金 を急 冷 凝 固 した と きに み られ る角 状 組 織 の構 造86)。(a)立 体 模式 図 お よび地 質 の(b)(100), (c) (110)お よ び(d)(111)面 で 切 断 され た と きの 形 状 と観 察 例。 図 中 の 矢 印 は針 状LI2Al3Hf相 の 成 長 方 向 <111>を 示 す。

図33 急 冷 凝 固 したAl-3.5%Hf合 金 を450℃で 時 効 した とき の(a)粒 界 反 応 型 (不連 続) 析 出 組 織 お よび(b)(a) のみ られ な い 領 域 で そ の後 進 行 した 微 細 球 状 の連 続 析 出組 織 (LI2型 規則 反 射 に よ る暗視 野 像)

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出 で 占め られ る に 対 し, 0.3%の シ リ コ ン添 加 で そ れ は 完 全 に抑 制 され, 硬 さの 上 昇 も大 き い。 時効 に よる組 織 変 化 を 解 析 した 結 果 か ら, L12相 か らDO22相 へ の 変 化 の詳 細 は図35の よ うに な る こ とが報 告 され て い る89),90)。 7.3 再 結 晶85) 図36に アル ミニ ウム の再 結 晶 に及 ぼ す ハ フ ニ ウ ム添 加 の効 果 に つ い て の結 果 を示 す。 こ こで純 ア ル ミニ ウ ム の 結 果 は 他 の 同 程 度 の 純 度 の も ので, か つ, 同 様 に 急 冷 凝 固 した 試 料 を そ の ま ま80%圧 延 して用 い てい る。 固 溶 ハ フ ニ ウ ム も再 結 晶 温 度 上 昇 の 効 果 が あ るが, 加工 組 織 へ の 析 出 も さ らに再 結 晶 を 遅 らす。 あ らか じめ 時効 した と きの 再 結 晶温 度 の上 昇 は 図37に 示 す よ うに そ うで な い も の よ りや や 小 さ い。 8. Al-Cr系 合 金 8.1 平 衡 状 態 図, 組織 と構 成 相 King91)は 数 多 くの2元 系 に つ い て 格 子 定 数 の 組 成 依 存 性 の デ ー タか ら, 固溶 体 中 で の溶 質 の原 子 体 積 お よび 原 子 寸 法 を 求 め, これ ら を Volume size factor お よ び Linear size factor と して ま とめ て い る。 ア ル ミニ ウム 中 の溶 質 に つ い て King の与 え た 数 値 を表6に 示 す。 これ ら は ア ル ミニ ウ ム固溶 体 中 で の溶 質 と地 質 の 実 際 の サ イ ズ の違 い を 定 量 化 した も ので, た とえば 図3892)の よ うに 添 加 量1at%当 た りの 剪 断 応 力 の 増 加 量 と Volume size factor の 絶 対 値 は よ い正 の相 関 を もつ。 ク ロムは こ こ に 図34 種 々 の量 の シ リコ ン を含 むAl-3%Hf強 制 固 溶 体 合 金 の時 効 に よる硬 さの 変 化88) 図35 Al3Hfが 準 安 定LI2相 か ら新 し く見 い だ され た も うひ とつ の 準 安 定H相 を 経 て, 平 衡 相 (DO22型 規 則 構 造) へ 変 態 す る際 の 剪 断 モ デ ル89),90). 図 中 の 矢 印 は 次 の段 階 へ の 可 能 性 あ る剪 断 を示 す。 図36 急 冷 凝 固 し80%冷 間 圧 延 した 純 ア ル ミニ ウ ム, Al-1, 3.5お よ び4%Hf合 金 を 各 温 度 で 1時 間 焼鈍 した とき の硬 さ変化85) 図37 急 冷 凝 固 し350, 400ま た は450℃で200時 間 時 効 し て か ら80%冷 間 圧 延 し たAl-3.5Hf合 金 の 等 時 焼 鈍 (1時 間) に よ る 軟 化85)

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示 さ れ る よ うに ア ル ミ ニ ウ ム と の サ イ ズ 差 が 大 き く, 少 な く と も ア ル ミ ニ ウ ム の 固 溶 強 化 に 非 常 に 有 効 で あ る こ とが わ か る。 Al-Cr系2元 平 衡 状 態 図45)を 図39に, そ れ の ア ル ミ ニ ウ ム 側 を 図40に 示 す。 こ こ で, β相 (θ相 と よ ば れ る こ と も あ る) は Cooper93)に よ っ て 詳 し く 検 討 さ れ, ユ ニ ッ トセ ル にCr14原 子 と 約90のAl原 子 を 含 む 構 造 で あ る と され て い る。 また この 相 につ い ては こ の ほ か に3種 類 の構 造 の報 告 が あ る。 した が っ て, 現 時 点 で は この相 を Al90Cr14と 表 して もAl13Cr2と し て も十 分 で は な く, こ こで は慣 用 に従 ってAl7Cr相 と よぶ。 8.2 過 飽 和 固 溶体, 準 結 晶 とそ れ らの 相 分 解 Al-Mg系 やAl-Zn-Mg系 合 金 を は じめ 高 力 ア ル ミニ ウム合 金 に は ク ロムが添 加 され た も のが 多 い。 これ は前 項 で述 べ た よ うな 固 溶 強化 に加 え, 結 晶粒 の微 細 化, 再 結 晶温 度 の 上 昇, 耐 応 力腐 食 割 れ 性 の改 善 な どをね らい と して い る。 これ らの ね ら い に対 しては ア ル ミニ ウム中 で の クロ ムの 存 在 状態, 分 布 状 態 な どが 大 き く影 響 す る と考 え られ る94)。ア ル ミニ ウ ムへ の ク ロ ム の 固溶 限 は平 衡 状 態 で は0.77wt%と 小 さ く, 析 出現 象 は 認 め られ て い る も の の ク ロム の 体 拡 散 が 非 常 に 遅 い た め95)もあ っ て, これ まで 本 系 固 溶 体合 金 の析 出現 象 を 研 究 した も の は 比 較 的 少 な い。 しか し, 急 冷 凝 固 法 に よ っ て平 衡 固 溶 限 以 上 に ク ロ ム を 強 制 固 溶 したAl-Cr合 金 の 組 織 と相 分 解 に つ い て は い くつ か報 告 され て い る92),96)∼102)。 急 冷 凝 固 に よ る冷 却 速 度 が3×103℃/sの と き 固 溶 限 表6 ア ル ミ ニ ウ ム と の 二 元 固 溶 体 に お け る 溶 質 元 素 の Volume size factor お よ び Linear size factor91)

図38 添 加 元 素 量1at%当 た り の 剪 断 応 力 の 増 加 (⊿τ/⊿C) と そ の 元 素 の Volume sige factor (Sf) の 絶 対 値 の 関 係92)

図39 Al-Cr 2元 系 平 衡 状 態 図45)

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は3wt%ま で 拡 大 し, 図41に み る よ う に 硬 さ は 顕 著 に か つ 直 線 的 上 昇 す る94)。 ク ロ ム が3%を 超 え る と 塊 状 の Al7Cr相 が 晶 出 し, そ の ま わ り に デ ン ド リ テ ィ ッ ク セ ル を 形 成 し, 硬 さ の 増 加 傾 向 が 小 さ くな る。 こ の 場 合 の 晶 出 相 は 平 衡 相 で あ り, 準 安 定 相 の 晶 出 す るAl-Zr, Al-Tiお よ びAl-Hf系 と は 異 な る。 冷 却 速 度 が お よ そ105 ℃/sと さ ら に 大 き く な る と お よ そ10%ま で 強 制 固 溶 さ れ る。 こ の 速 度 で さ ら に ク ロ ム 量 が お よ そ9∼30%と 多 く な る と, 凝 固 組 織 に は Levine と Steinhardt 103),104)に よ っ て 定 義 さ れ た 準 結 晶 が 現 れ る よ うに な る31),105)。 こ の 準 結 晶 は 急 冷 凝 固 し たAl-Mn2元 合 金 で 見 い だ さ れ31), Al-Cr以 外 に もAl-V31), Al-Ru106), Al-Re107), Al-W107), Al-Mo107), Al-Fe108)な ど の 遷 移 金 属 元 素 と のAl基2元

系 合 金 や, Al-Li-Cu109), Al-Mg-Cu109), Al-Mn-Fe110), Al-Mn-Si110), Al-Li-Cr-Mg-Zr111)な ど のAl基 多 元 系 合

金, Ti-Ni112), Ti-Fe113), Pu-U-Si114), Cu-Cd115)な ど の 非 Al基 合 金 に も 見 い だ さ れ て い る。Al-Cr系 の 準 結 晶 領 域 は そ の 後 の 加 熱 に よ り平 衡Al7Cr相 に 占 め ら れ る よ う に な る105)。 一 方, 強 制 固 溶 体 か ら の 析 出 に つ い て は 堀 ら94)に よ っ て 詳 細 に 検 討 さ れ て い る。 す な わ ち200∼600℃の 各 温 度 で 等 温 時 効 実 験 の 結 果, 時 効 に よ り電 気 抵 抗 は2段 階 に 減 少 し, 電 顕 観 察 と の 対 応 に よ っ て 第1段 階 はAl7Cr 相 の 粒 界 へ の 優 先 析 出 に, 第2段 階 は 同 じAl7Cr相 の 粒 内 析 出 に 起 因 す る こ と が わ か っ て い る。 た と え ばAl-2.75%Cr強 制 固 溶 体 合 金 を4000℃で 時 効 し た と き の 電 気 抵 抗 比 ρ/ρ0 (ρ0: 時 効 前 の 抵 抗, ρ: 時 効 後 の 抵 抗, 測 定 温 度: -196℃) お よ び 電 顕 組 織 の 変 化 を 図42に 示 す。 粒 界 での 析 出 は 初 期 に 粒 界 に 沿 って 薄 く膜 状 を な し 後 期 に は厚 さ方 向 の 成 長 が 大 き く レ ンズ状 か ら塊 状 に近 づ く。 こ れ の 成 長 は 図43に 見 る よ う に Aaron と Aaronson116)が 提 案 し たRight-angled“collector plate” 機 構 に よ る と考 え られ て い る。 以 上 の よ うな析 出形 態 で あ る こ と と ク ロム の固 溶 硬 化 が大 きい の で, 本 系 合 金 で は 析 出 硬 化 は ほ とん ど見 られ な い。 一 方, 上 述 の よ うに 固 溶 強 化 の大 き い こ とお よび 粒 界 上 へ の優 先 析 出 が比 較 的短 時 間 か ら進 行 す る こ とに よ り, 結果 と して ク ロム添 加 に よ る粒 界 ピン止 め 効果 が 図41 急 冷 凝 固 した ア ル ミニ ウ ムの硬 さに 及 ぼ す ク ロ ム添 加 の 影響94) 図42 Al-2.75%Cr強 制 固 溶 体 を400℃で 時 効 した と き の 電 気 抵 抗 比 ρ/ρ0 (ρ0: 時 効 前 の抵 抗, ρ: 時 効 後) お よび 電顕 組 織 の変 化94) 図43 Aaron と Aaronson115)の モ デ ル に よ る 粒 界 上 で のAl7Cr析 出 相 の 成 長94)

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大 き くあ らわ れ る。 図44は これ ら の こ とを 示 して お り, Al-1.8%Cr強 制 固 溶 体 を400℃で 時 効 し, Al7Cr相 を 粒 界 そ して粒 内 に 析 出 させ た と して もほ とん ど硬 化 を 示 さ な い こ とが わ か る。 ま た, Al-1.7%Zr強 制 固 溶 体 合 金 を 時 効 して も粒 界 反 応 型 析 出 (準安 定Al3Zr相) しか 見 られ ず 時 効 硬 化 が さほ ど大 き くな い が, 1.8%の ク ロ ム を 添 加 し て時 効 す る と, 粒 界 反 応 析 出 が 完 全 に 抑 え ら れ, 全 領 域 で微 細 球 状 の 準 安 定Al3Zr相 が 連 続 析 出 す る。 そ の た め最 高 硬 さに到 達 す るに は 粒 界 反 応 析 出 の み のAl-1.7%Zr合 金 よ り長 時 間 を 要 す るが, 到 達 硬 さ 値 は顕 著 に上 昇す る78)。 9. そ の 他 の 合 金 ニ ッ ケル は高 圧 蒸 気 に対 す る耐 食 性 を 改善 す る た め に 鉄 と共 に添 加 され る。 バ ナ ジ ウ ムを 添 加 し高速 度 で 凝 固 した ア ル ミニ ウ ムの再 結 晶温 度 は微 細 なAl11V相 の 分 散 に よ り上 昇 す る117),118)。タ ン グス テ ンの 添 加 も再 結 晶 温 度 を上 げ る。 しか し, これ らの 元素 の 添加 効 果 は ク ロ ム に比 較 す る と小 さ い119)。 10. む す び 遷 移 金 属 を主 要 合 金 元 素 とす る実 用 ア ル ミニ ウム合 金 は, 現 在 の と こ ろAl-Mn系 合 金 の み で あ る が, 遷 移 金 属 の合 金 元 素 と して の重 要 性 は ます ます 増 大 す る も の と 予 想 され る。 ア ル ミ ニ ウ ム合 金 に お い て, Tiの 微 量 添 加 は 鋳 塊 結 晶粒 の 微 細 化 に 欠 か せ な い し, ア ル ミニ ウ ム 超 塑 性 材 料 の 多 くはZrな どの 添 加 に よ り結 晶粒 組 織 の 制 御 を 図 った 合 金 で あ る。 急 冷 凝 固 技 術 や 粉 末 冶 金 技 術, 表 面 改 質 技 術 な どの 進 歩 と共 に, ア ル ミニ ウ ム合 金 の有 用 性 を 拡 大 す る こ とも遷 移 金 属 を 含 む アル ミニ ウム 合 金 に期 待 され て い る。 ま た, ア ル ミニ ウ ム と遷移 金属 との金 属 間 化 合 物 は き わ め て 多数 に のぼ るが, 軽 量耐 熱 材 料 と して 注 目 され て い るTiAlを は じめ と して, 今後 の 発展 が 期 待 され る材 料 で あ る。 本稿 は アル ミニ ウム と遷 移 金 属 と の2元 系 合 金 に つ い て述 べ るに と ど ま った が, 二 つ 以 上 の遷 移 金 属 を添 加 し た3元 系 以 上 の アル ミニ ウム合 金 は急 冷 凝 固 法 に よる耐 熱 合金 と して 注 目 され る 材料 で あ る。 な お, Cu, Al-Mg-Siな ど の 主 要 ア ル ミニ ウ ム合 金 に 対 す る遷 移 金 属 添 加 の影 響 に つ い て は, 重 要 な事 項 に限 って 本 講 座 の そ れ ぞれ の別 稿 で 述 べ られ て い る。 本稿 は, 遷 移 金属 の 中か らFe, Mn, Ti, Zr, Hf, Crの 6種 類 を選 ん で, 各 々 の2元 合 金 につ い て概 観 的 に述 べ た の で, 個 々の 合 金 に つ い て の記 述 はか な り省 略 せ ざる を 得 なか った。 末 尾 の参 考 文 献 な ど を併 用 して 補 い な が ら本稿 を 活 用 して頂 けれ ば幸 で あ る。

図44 Al-1.8Cr, Al-1.7Zrお よ びAl-1.8Cr-1.7Zr強 制 固 溶 体 合 金 を400℃で 時 効 し た と き の 硬 さ 変 化78)

参 考 文 献

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