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患者学講座第1講「医療と社会」

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Academic year: 2021

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(1)

国際比較調査報告

2

~各国の看取りと専門職の役割~

成蹊大学アジア太平洋研究センター

渡邉大輔(

[email protected]

(2)

本報告の背景と目的

終末期におけるチームの重要性

専門職間の考え方の違い

調査データから看取りと専門職の関

連について分析する

各国の“文化”に還元しない理解を試み

(3)

分析で用いるデータ

1.

2010~2011年調査

目的:終末期医療への意識についての国際比較

8カ国(日本、韓国、フランス、オーストラリア、イスラエ

ル、チェコ、オランダ、アメリカ

)

N=566

「看取り」の実績がある事業所における専門職

2.

2011年日韓調査

目的:地域レベルの悉皆調査による前調査の追試、死

生観の詳細な分析

日本:中央区、守山市(滋賀県)

545人

韓国:ソウル、光州

670人

地域内のすべての看取りにかかわる事業所の専門職

(4)

調査の特徴

仮想ケースを用いて様々な判断を問う

専門職としての「理想的」判断と、これまで

の経験を踏まえた「現実的」判断の双方

を扱う

専門職の考え方の違いを理解

かい離の要因の追及

(5)

ケースの紹介

がんケース

末期がんの女性、

85歳。余命1ヶ月

一人暮らし、息子夫婦が

15分ほどの場所に居住

在宅での治療継続を希望

認知症ケース

重度認知症の男性、

80歳

誤嚥性肺炎を繰り返し、経口摂取が困難

夫婦

2人暮らし

妻は在宅介護を希望も、妻の介護力は低い

(6)

死についての意識、死への不安

日本、韓国は死について考える頻度が大きく、死への不安

も強い

82.3% 79.7% 19.7% 46.4% 23.6% 39.3% 42.9% 22.7% 47.7% 40.5% 13.1% 8.9% 34.5% 18.5% 10.7% 22.7% 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

Japan Korea Israel Australia Chzeck Nederland France USA 死について考える(ときどき 以上)

死への不安(やや感じる以 上)

(7)

がんケース

:

看取り場所についての理想と現実の乖離

看取りの場所については乖離が大きい(理想は在宅)

方針は理想も現実も疼痛ケア

88.6% 44.3% 66.7% 76.4% 87.3% 50.0% 71.4% 100.0% 16.9% 16.9% 24.2% 16.4% 27.5% 14.3% 7.1% 9.1% 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

Japan Korea Israel Australia Czech Nederland France USA

場所

方針

(8)

がんケース

:

今後の方針についての現実的判断の理由

すべての国が

QOLか尊厳を重視

日本では、家族の意向を重視

QOL向上

尊厳の保持

家族の意向

その他

Japan

15.6%

54.1%

16.1%

14.2%

South Korea

22.1%

58.4%

9.1%

10.4%

Israel

36.1%

19.7%

6.6%

37.7%

Australia

40.4%

42.1%

7.0%

10.5%

Czech

34.5%

38.2%

1.8%

25.5%

Nederland

32.1%

57.1%

3.6%

7.1%

France

39.3%

46.4%

0.0%

14.3%

USA

5.0%

60.0%

35.0%

0.0%

(9)

がんケース:専門職別の今後の方針(日本)

0.0% 0.0% 0.0% 100.0% 0.0% 1.0% 0.0% 0.5% 96.4% 0.0% 1.6% 0.9% 2.8% 88.6% 0.9% 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0% 抗がん剤 高度な積極的治療 代替医療 疼痛ケア 何もしない 医師 看護 介護 3.6% 0.0% 0.0% 96.4% 0.0% 5.2% 0.5% 1.0% 90.2% 0.5% 5.8% 1.9% 2.2% 85.0% 1.9% 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0% 抗がん剤 高度な積極的治療 代替医療 疼痛ケア 何もしない 医師 看護 介護

(10)

がんケース:専門職別の今後の方針(韓国)

16.7% 0.0% 0.0% 83.3% 0.0% 6.4% 11.6% 4.3% 74.2% 0.0% 11.0% 21.7% 11.0% 52.7% 0.7% 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0% 抗がん剤 高度な積極的治療 代替医療 疼痛ケア 何もしない 医師 看護 介護 16.7% 0.0% 0.0% 83.3% 0.0% 12.9% 10.7% 4.3% 70.8% 0.4% 12.6% 16.0% 9.5% 57.4% 1.6% 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0% 抗がん剤 高度な積極的治療 代替医療 疼痛ケア 何もしない 医師 看護 介護

(11)

認知症ケース:終末期判断と職種

終末期と判断する割合は医師が高い(とくに、日本、

韓国、オーストラリア)

65.0% 50.0% 44.0% 90.0% 41.7% 33.3% 82.4% 73.3% 43.1% 34.9% 27.8% 77.8% 35.7% 40.0% 57.1% 100.0% 33.1% 36.8% 36.8% 53.8% 50.0% 33.3% 80.0% 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

Japan Korea Israel Australia Czech Nederland France USA

(12)

認知症ケース

: 理想と現実の乖離

どの国も類似した傾向にある

韓国が非常に少なく、アメリカが突出している

66.8% 26.6% 48.4% 54.5% 70.4% 57.1% 70.4% 95.5% 36.2% 18.2% 32.8% 43.1% 45.2% 29.6% 42.9% 90.9% 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

Japan Korea Israel Australia Czech Nederland France USA

(13)

認知症ケース:

今後の方針についての理想と現実

44.5% 19.3% 27.1% 9.2% 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% ともに経管 ともに経管以外 理想は経管以外、 現実は経管 その他 乖離なし 乖離あり

JAPAN

58.4% 23.4% 10.4% 7.8% 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% ともに経管 ともに経管以外 理想は経管以外、 現実は経管 その他 乖離なし 乖離あり

Korea

11.8% 45.1% 29.4% 13.7% 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% ともに経管 ともに経管以外 理想は経管以外、 その他

Australia

7.1% 50.0% 10.7% 32.1% 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% ともに経管 ともに経管以外 理想は経管以外、 その他

France

(14)

認知症ケース:

今後の方針についての理想と現実

47.5% 19.7% 23.0% 9.8% 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% ともに経管 ともに経管以外 理想は経管以外、 その他

Israel

29.6% 40.7% 14.8% 14.8% 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% ともに経管 ともに経管以外 理想は経管以外、 現実は経管 その他 乖離なし 乖離あり

Nederland

9.1% 0.0% 90.9% 0.0% 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0% ともに経管 ともに経管以外 理想は経管以外、 その他

USA

35.7% 19.0% 33.3% 11.9% -20.0% 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% ともに経管 ともに経管以外 理想は経管以外、 現実は経管 その他 乖離なし 乖離あり

Czech

(15)

認知症ケース

: 現実的判断の理由

がんに比べてばらつきが大きい

日本は「尊厳の保持」や「

QOL向上」の割合が低い

生存時間

QOL向上

尊厳の保持

家族の意向

その他

Japan

38.8%

6.7%

16.7%

31.6%

6.2%

South Korea

42.7%

17.3%

26.7%

10.7%

2.7%

Israel

8.6%

29.3%

20.7%

10.3%

31.0%

Australia

7.8%

23.5%

49.0%

9.8%

9.8%

Czech

7.3%

41.5%

31.7%

4.9%

14.6%

Nederland

4.5%

18.2%

31.8%

9.1%

36.4%

France

10.3%

13.8%

41.4%

20.7%

13.8%

USA

4.5%

31.8%

22.7%

22.7%

18.2%

(16)

認知症ケース

:

理想の

方針とその理由の対応分析

-0 .2 0 .0 0 .2 0 .4 0 .6 Japan Korea Israel Australia Czech Nederland France USA -0.5 0.0 0.5 1.0 -0 .5 0 .0 0 .5 1 .0 経管栄養 リハビリ 現状維持 何もしない 完治可能性 延命 QOL 本人の尊厳 家族の意向

(17)

認知症ケース

:

現実の

方針とその理由の対応分析

-0 .4 -0 .2 0 .0 0 .2 0 .4 0 .6 Japan Korea Israel Australia Czech Nederland France USA -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 .0 -0 .5 0 .0 0 .5 1 .0 経管栄養 リハビリ 現状維持 何もしない 完治可能性 延命 QOL 本人の尊厳 家族の意向

(18)

認知症ケース:専門職別の今後の方針(日本)

39.3% 0.0% 14.3% 39.3% 3.6% 3.6% 56.5% 1.0% 10.4% 28.0% 1.0% 3.1% 52.7% 1.3% 19.0% 22.2% 0.6% 4.1% 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0% 人工栄養 代替医療 嚥下訓練 現状維持 何もしない その他 医師 看護 介護 60.7% 0.0% 7.1% 28.6% 3.6% 0.0% 77.6% 1.0% 3.6% 16.7% 0.5% 0.5% 77.0% 0.6% 4.5% 14.9% 1.3% 1.6% 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0% 人工栄養 代替医療 嚥下訓練 現状維持 何もしない その他 医師 看護 介護

(19)

認知症ケース:専門職別の今後の方針(韓国)

83.3% 0.0% 0.0% 16.7% 0.0% 0.0% 69.0% 0.9% 7.8% 22.4% 0.0% 0.0% 52.9% 4.0% 7.0% 34.7% 0.5% 0.9% 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0% 人工栄養 代替医療 嚥下訓練 現状維持 何もしない その他 医師 看護 介護 66.7% 0.0% 16.7% 16.7% 0.0% 0.0% 65.2% 1.3% 9.9% 21.9% 0.4% 1.3% 45.8% 5.1% 10.0% 37.0% 0.9% 1.2% 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0% 人工栄養 代替医療 嚥下訓練 現状維持 何もしない その他 医師 看護 介護

(20)

認知症ケース:専門職別の今後の方針の理由

0.0% 32.1% 3.6% 3.6% 25.0% 35.7% 0.0% 2.8% 29.4% 11.7% 1.1% 11.1% 42.8% 1.1% 1.3% 35.4% 4.7% 1.0% 18.5% 38.4% 0.7% 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 完治可能性 生存時間 QOL向上 経済的 尊厳の保持 家族の意向 ガイドライン 医師 看護 介護 0.0% 16.7% 16.7% 16.7% 33.3% 16.7% 0.0% 1.7% 43.7% 16.2% 0.9% 24.9% 12.7% 0.0% 0.9% 24.1% 19.7% 3.0% 41.9% 10.1% 0.2% 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 完治可能性 生存時間 QOL向上 経済的 尊厳の保持 家族の意向 ガイドライン 医師 看護 介護

(21)

分析のまとめ

がん: 専門職内、間でコンセンサスがある

疼痛ケアが重視されている

単親世帯の在宅での看取りは難しいという判断

認知症: 専門職内、間でのコンセンサス自体が乏し

く、また、国の違いも大きい

日本、韓国、イスラエル、チェコ、アメリカは経管栄養重視

日本は「家族の意向」を重視する傾向

他国は

QOLや尊厳を重視する傾向

なぜこの違いが?

日本では、とくに看護師、介護職が家族の意向や意図をくみ

取っている → 家族の身体的・精神的な負担軽減のため

(22)

今後の終末期医療・介護に向けて

国による違いだけでなく、専門職間の考え方の違いが

とくに認知症において大きい

チーム作りにおいて、個々の国の文脈を理解することが重要

方法論だけでは立ちゆかない可能性

制度整備による意識の違いも大きい (

ex.ホスピス)

「家族の意向」を非常に重視する点が日本の特徴

尊厳を無視するわけではない。しかし、最後は「家族」

家族の意向と本人の尊厳を

「両立」させる

仕組みづくりとバッ

クアップ体制が重要

とくに家族の負担軽減がポイント

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