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福知山市学校教育審議会「答申」(最終)について

2009 年 4 月 福知山の子どもと教育を考える会(福知山教育ネット) 福知山市学校教育審議会は、3月27日、最終答申を市教育委員長に提出しました。そこには、「学校 規模・配置の適正化の基本的な考え方」として、以下の6項目が示されています。 ① 複式学級を解消することが、緊急を要する課題と考えます。 ② 学級編成基準の人数とは別に、教育効果発揮のためには、概ね20人程度で構成する学級集団が必 要と考えます。 ③ 児童生徒の減尐による学校の過尐・小規模化の課題を改善するためには、適正規模・適正配置を考 える必要があります。 ④ 適正規模・適正配置を考える際には、学校施設の状況や地理的状況、通学距離や通学時間を十分に 考慮する必要がありますが、学校や地域の歴史・文化等も併せて検討することが必要です。 ⑤ 通学距離が遠距離となった場合は、スクールバスの運行など通学の条件整備に努める必要がありま す。 ⑥ 近い将来複式学級になる可能性のある学校は、早急に検討を始める必要があります。 そして、「適正規模・適正配置の具体的な案」―統廃合―として6項目、―学区の修修正―として1項 目を示しています。 ―統廃合― 1 複式学級の解消を念頭に、統廃合を検討します。 2 各学年に単学級は設置できても概ね20人の学級集団を著しく下回る学校についても統廃合を検 討します。 3 小学校は、基本的に現在の中学校区単位での統廃合を検討します。ただし、中学校区内で小学校 が複数存在しない場合は、隣接する中学校区内の小学校との統廃合を検討します。 4 中学校は、隣接校を基本とし統合を検討します。 5 児童生徒数の将来推計も要因に統合を検討します。 6 複式学級の解消は、義務教育標準法第3条に基づく学級編成を仮定し検討を行います。 ―学区修正― 児童生徒数の将来推計や地理的接続生、通学距離・時間、地域コミュニティ(ママ)、文化・歴史など の総合的な意見に対し、市民の合意形成が得られる場合に、学区修正を検討します。 今回の答申は、公誠・北陵小中一貫校建設中止の押しつけから始まり、学校教育審議会の設置、中間 答申、そして、本答申と、教育論議や市民的合意をめざし民主的手続きを装う手法をとりながらも、実 は文科省や財務省の方針に沿って、学校の統廃合を進めるという行政の一貫した考え方が貫かれ、結論 に向かって本答申まで準備されてきたことを示すものと言えます。 その論拠の一つは、あくまでも「適正な学級規模、学級数は概ね12~18学級…」(1956 年昭和 31 年旧文部省事務次官通達に始まる)「20人程度学級が適正規模」という考え方を絶対視し、その基準に 合わない学校は整理の対象と見なし、例外は認めないとしていることです。今回は複式学級の解消にと どまらず、「近い将来複式学級になる可能性のある学校」も「早急に検討」、つまり、学校統廃合の対象 -1-

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とすることを打ち出しています。これにより、現在複式学級の設置がない学校も対象となっています。 上豊富小学校と庵我小学校の2校は「20人程度学級」前後であることから「当面児童数の動向を見守 る」としていますが、常に統廃合の対象校としての不安が続くことになります。 2つめは、本答申概要には中間答申概要と同じように「児童生徒の推移予測」の表を載せていますが、 適正化部会等で扱っている資料は、現在の府の設置基準(例えば、複式学級設置は2個学年12名以下、 1年生を含む場合は4名―実際には1年生との複式はなく、1年生は1名でも単式)ではなく、文科省 の「標準法」を基にしており、(国基準は2個学年合わせて16名以下、小学1年生を含む場合や中学校 の場合は8人)、これまでの現場・父母・地域が願いを積み上げ、府当局が独自に制度化してきた到達点 を見ないで、「将来地方分権が進み、標準法が適用される可能性がある」として、歴史を逆転させる発想 と文科省基準を絶対視する進歩のない姿勢で「福知山の教育」の将来を見ている、官僚的、閉鎖的体質 が読み取れることです。これでは、歴史を逆転させる発想で、市民的、府民的批判は避けられないでし ょう。 ちなみに、松山市長の「市長公約プロジェクト検討結果概要」の「大型事業の見直し 新学校給食セ ンター建設事業」の検討結果概要の中で「○コスト削減の可能性 ・今後10年以内での児童数・生徒 数の大きな減尐はなく、現計画の規模(7,000食)は適正と判断する。」とコメントしています。実 際、審議会資料を見ても、平成20年(7,061人)から26年(7,018)では小学校で141 名の減、中学校で98名増、トータルで43名の減が予想されています。児童・生徒数の大きな減尐は 無いのです。 3つ目は、「子どもたちの明日のためにー進めよう学校教育改革、保護者・地域・市民とともに!」(本 答申概要表題)と本答申に至るまで教育的視点を貫いたかの装いを凝らしていますが、学校統廃合は、 実は財政論であり教育の合理化であることを意図的に隠していることです。そこには、財政的検討は一 切出てきません。学校数の減と1学級当たりの児童生徒数を増やすことによる教職員定数の削減が予想 されます。それは、教職員のリストラでもあるのです。中間答申までは、複式学級や小規模校のメリッ ト、デメリット論は出てきますが、本答申では、事務局(教育委員会)主導による統廃合に向けた「青 写真」をはっきり示し、教育委員会に迫る形をとっています。 北陵・公誠問題の経過を見ると、2007年7月5日の当時の高日市長は記者会見で、次のように述 べています。「市はこれまで一貫して『小学校は地域コミュニティーの拠点として、現行のまま残す』と の方針を示してきたが、尐子化の進行と国の教育改革の動向を受けて、転換することになる。2005 年10月の中央教育審議会の答申で『学級編成の権限を現行の府教委から市教委に移すこと』や『教職 員定数についても府から市ごとの算定に改めること』などが打ち出され、今年(注2007年)4月2 3日に府教委からこの答申内容の実施が近いとの情報が入り、情報把握に乗り出した。京都府では学級 編成について国より手厚い基準を設けているが、市に権限が移る場合は国の基準に従うことが前提にな る。『複式学級増え、教員減の可能性も』【見出しは両丹新聞】学級編成基準の権限が市に移った場合の 状況を試算した結果、現在27小学校のうち7校にある複式学級が、12校に増える。6年後には半数 以上の14校になり、1校当たりの複式学級も増える。今はない中学校1校でも複式学級が出来ること もわかった。教職員の小規模校への配置が著しく減る可能性もあるという。5月30日に市教委からこ の内容が伝えられ、全市的な学校の適正規模・配置の検討が直面する課題として浮上した。高日市長は 『「小学校は旧村単位にあり、その大きなメリットは分かっている。しかし、同学年の多くの子どもたち -2-

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が一緒に過ごせることは大切で、全市的な学校の適正規模・配置について考える必要があるとの結論に 達した。統廃合も視野に入れて、やっていかなければいけない』と話した。」(2007年7月6日両丹 日々新聞より) この後、市や市教委がとった施策は、地元自治会やPTA関係者に、建設延期、凍結、取り消し、休 校・閉校という道です。平成22年春の開校をめざして一旦合意していたことを「明かりをつけといて、 コンセントを抜くようなことになり…」(前高日市長発言)と力づくで破棄してきました。そこには、文 科省方針に沿って財政と教育の合理化を進めるねらいがはっきりと読み取ることが出来ます。 今一つは、「明日の夜久野の教育を考える会」の動きから見えてくることがあります。設立趣意書や市 長、市教委に対する申し入れなどから市教委との接点が見えてきます。「…この会は夜久野の教育につい て、福知山市教育委員会と連携し、現状を正しく認識し、様々な意見を出し合い、住民自らの意志と願 いを生かした学校の再編成、施設・設備の充実や、小中一貫校・学校選択制なども視野に入れた討議・ 協議を行うことにしました。…平成20年10月16日 夜久野町連合自治会長・明日の夜久野の教育 を考える会会長 西谷久夫」(自治会広報誌より)つまり、複式学級の解消と耐震構造化は難しい、全面 立て替えは難しい、だから1校統合を、その際は小中一貫校に、となっています。これに対して、「来賓 の市教委事務局の西山直樹理事(注 現桃映中学校校長)が『…子どもたちのために頑張ろうと会を立 ち上げられ、敬意を表する』とし、複式学級解消などを盛り込んだ市学校教育審議会の中間答申の内容 を説明した。…」(両丹日々新聞2008年9月17日付けより)と報道されています。その後、200 9年2月10日に市長と教育委員長に要望書を手渡しています。地元と合意していた北陵・公誠の小中 一貫校建設中止、休校・閉校に追い込み、地元自治会、住民、・保護者やPTA関係者に大きな怒りと苦 悩をもたらせてきたことと対照的な動きです。行政がいうところの「地域の要望」も大きな差異がみら れます。物差しは行政の方針に沿っているかどうかです。住民が主人公の原則から外れています。 福知山市学校教育審議会の「審議会の運営」では、「教育は地域・市民活動と相互に結びついて運営さ れるものでありますし、学校は地域の様々な活動拠点であり、地域の人々の心の拠り所であります。教 育政策の形成は、行政のみで決めるのではなく、審議会での検討段階から市民の皆さんに対してきめの 細かい情報提供を行うと共に、丁寧な意見聴取を行っていきます。」と書いてありますが、言葉の持つひ びきとはかけ離れた疑問だらけです。審議会そのものはそうした構えだったのかもしれませんが、事務 局(市教委)はそれを実行したのでしょうか。「学校は地域の様々な活動拠点…、地域の人々の拠り所…」 とはどこの学校、どこの地域の話でしょうか。答申では、いくつの学校、いくつの地域を「人々」「市民」 から奪うのでしょうか。 「きめの細かい情報提供」とはだれに対してのことでしょう。中間答申に対するパブリックコメント の応募者は42件でした。そのうち教員は26人(62%)で全市民的な集約となっていたでしょうか。 ちなみに、福知山市議会が議員定数についてのアンケート結果は、回収数 1,696通、回収率 5. 42%」となっています。最終答申に対する市民の声を本当に大切にしてほしいものです。 「丁寧な意見聴取」とはだれからでしょうか。中間答申までは、審議会としていくつかの学校を回り 意見聴取も行っています。(3小2中、校長・教頭より)、また保護者(PTA役員)からの意見も聞い ています。(非公開)そこでは、複式学級や小規模校のメリット・デメリット論が述べられました。本答 申では、メリット論はどこへ行ったのでしょうか。しかも、残念ながら、複式に携わったあるいは担任 をしている現場関係者の頑張りや悩みを聞き、これまでの複式学級や小規模校、僻地校の教育の成果に -3-

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学ぶというものではありませんでした。なるほど学校を代表する校長や教頭から聞けば十分という考え かも知れませんが、現場の教職員には「統廃合問題は発言しないように」と釘を刺しながら、ブロック 毎の校長・教頭・教務主任など一部に意見具申を取りまとめさせるなど非民主的な学校運営があり、市 教委にもその実態を指摘してきたところです。「丁寧な」「きめ細かな」とはおよそかけ離れていました。 その上、「きめの細かい情報提供」という点ではどうでしょうか。市のホームページに「福知山市学校 教育審議会」が載せてあります。中間答申を出したのが2008年(平成20 年)8月1日、HPではそ れ以降、約7ヶ月間一切情報の更新はせず、その間の部会は非公開とし、最終答申間際の3月に入って から中間答申に対する42件のパブリックコメントや審議会・部会の経過や資料など一度に公開しまし た。これまで、徹底して情報を出さなかった市教委に何があったのでしょうか。この間、福知山市は松 山市長の方針で従来よりかなり踏み込んで市民に対する情報公開を進め、市政の透明化を進めています。 この方針に沿ったのでしょうか。あるいは、最終答申が迫ったことで、審議会情報を更新することで情 報公開を行ったという方針上のつじつま合わせでしょうか。とかくその閉鎖性、密室性が指摘され、福 知山市教育委員会独自のHPも無く、他市より数段遅れた情報公開の実態の改善が見られない中の最終 答申でした。付言すれば、答申の「教育のまち ふくちやま」の「開かれた教育委員会」の内容として、 「○教育委員会活動の点検・評価 ○学校支援チームの設立」と記述してありますが、情報公開などに は全く触れられておらず、市民、地域の目線は感じられません。 こうした問題点とともに、最終答申に対するいくつかの疑問があります。 その一つは、複式学級、尐人数学級は、あったら‘ダメ’なのか?ということです。小規模学級や学 校の存在を許さない、多様性を認めないという乱暴な考え方ではないかということです。福知山市に複 式学級や小規模校があってはいけないのでしょうか。メリット・デメリットの論議も消し去り、例外な く統廃合を進めるという頑な方針は何を意味するのでしょうか。複式学級や小規模校は全国で存在し、 そこには多くの子どもたちが学習しています。 ① 全国では(平成20年度確定値「全国基本調査」より) ◇小学校数は、 国立73(校) 公立22,197(うち分校305) 私立206 ◇学級編成は、 単式学級 244,793 複式学級 6,198 特別支援学級27,674 ② 京都府では(平成20年度) ◇小学校数は、 国立2校 公立434 私立9 ◇学級編成は、 単式学級 5,525 複式学級266 特別支援学級1,527 ③ 福知山市では、(平成20年度) ◇小学校数は、 公立27校 ◇学級編成は 単式学級180 複式学級25 特別支援学級19 合計224 (注 審議会資料「児童生徒数および学級数の現状と推移」より。この資料も「学級は義務教育標準 法第3条を仮定した学級編成基準による数値です。」と但し書きがついている。府の統計では249 校となっている。これは、府の複式学級設置基準でカウントしているためか。) このように複式学級は存在しています。これを「解消する」(吸収統合)として否定してしまうのでし ょうか。勿論、福知山市教委が言うところの「適正規模」に満たない学級や学校は全国にたくさんあり ます。 また、答申では、「検討対象校」として小・中学校の児童数、学級数(単式・複式)最遠距離通学(自 -4-

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治会名、距離)を記した表を載せていますが、「※上記表中、児童生徒数、学級数からは特別支援学級は 除いています。」と注釈をつけています。通学の安全や授業内容、指導のあり方に最も配慮と工夫が必要 とされる児童生徒のことは検討から除外されていることを見ても、その考え方は「教育の町」とか「人 権の町」とかのイメージからほど遠いものです。 21年度府教委の「指導の重点」には、「4 特別支援教育 ノーマライゼーションの進展を踏まえ、 発達障害を含む障害のある幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じ、障害に基づく種々の困難の改 善・克服を図りながら個性や能力の伸張に努め、…」と方針を示しています。障害の内容によって設置 されている支援学級は地域にある学校だからこそその意義は大きいと言われます。近年は保護者や府民 的な要望、運動もあり、一人でも開設されるようになってきました。もし、中学校ブロックの1校に設 置された学級ならば、遠距離通学や教職員定数の減などによる教育条件の低下となります。 また、昭和小や惇明小には言語教室が設置されており、両校だけでなく旧3町からも通級という形を とりながら専門的な学習と指導が行われています。通級のための交通手段やそのための時間確保は各保 護者、家庭が行っており、我が子のこととは言え負担は決して軽くはありません。ゆきとどいた教育、「教 育の町 福知山」なら各校のニーズに応じた施策が考えられてもいいのです。こうした点の検討を除外 する適正規模・適正配置(学校統廃合)とは、だれのためなのでしょう。改めて疑問になります。 同じく「指導の重点」では、「6 へき地教育 へき地、小規模及び複式形態の特性を活かした教育活 動を推進し、学力の充実・向上に努めるとともに、確かな学力表現力、豊かな社会性及びたくましい実 践力を身に付けた児童生徒の育成を図る。」としています。そして、「(1)へき地、小規模の特性を踏ま え、個に応じた指導を工夫するとともに、主体的に学習する意欲と態度を育てる。(2)複式学級の指導 においては、児童生徒の実態に即し、効果的で効率的な指導計画の作成と指導形態の工夫改善に努める。 (3)恵まれた自然や地域の産業、伝統文化など地域の素材を積極的に取り上げ、特色ある教育実践に 努める。」など5項目を「具体的対応」として示しています。答申は、現にこうした方針で行われている 教育活動を認めないということでしょうか。対象校は、統廃合までその教育活動全てを否定されながら 生きなければならないのでしょうか。 二つ目は、なぜ、「解消」しなければいけないのか?ということです。20人基準から外れているから? 20人程度学級の基準とは、本当に根拠があるの? ということです。統廃合を進めるときに金科玉条 のように持ち出されますが、改めて検討する必要があります。 昭和の大合併(1953~61年)に伴う学校統廃合に当たって、中教審が1956 年に答申を行い、そ れを受けた事務次官通達、そして、1958 年に定めた学校教育施行規則などで「標準の通学距離は小学校 は4 キロ、中学校は 6 キロ以内。小中学校の学級数の標準は 12~18」と定められた経過があります。こ の基準を審議会は絶対視していますが、その後1973 年文科省の、いわゆる「学校統廃合のUターン通達」 が出されています。(資料1)趣旨は「学校規模を重視するあまり無理な統合をして地域住民との紛争が 生じることを避けるべき」「小規模校には教職員と児童・生徒との人間的なふれあいや個別指導の面で教 育上の利点があり、総合的に判断して小規模校として存置し、充実する方が望ましい場合もある」「統合 にあたっては、通学距離や時間、児童・生徒の心身に与える影響、学校のもつ地域的意義、統合後の学 校運営上の問題や児童・生徒への教育的効果や影響を考慮すべき」としています。 そして、現状は「過疎地域活性化特別措置法」(1990 年平成 2 年)それを引き継いだ「過疎地域自立 促進特別措置法」(2000 年平成 12 年)として「過疎地域に所在する小規模校の小学校及び中学校におけ -5-

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る教育の特殊事情にかんがみ、その教育の充実について適切な配慮をするものとする」とし、参議院文 教科学委員会(2001 年平成 13 年 3 月 27 日)の答弁で河村副大臣は 1956 年の文部省通達の内容が機械 的、一律的であり、統合にあっては過疎地における小規模校の意義等を考慮すべきことを確認していま す。(資料2)つまり、福知山市学校教育審議会が統廃合を進める根拠としている「適正規模は12~1 8学級」「20 人程度学級」は全国の到達点を見ないで歴史を後戻りさせるだけのことであり、その根拠は 絶対ではないということです。まして、持ち出されている「適正規模」は教育上の「適正規模」を定め たものではないのです。 三つ目は、複式学級や小規模校では教育効果が上がらないから?…教育効果って?…果たしてそうで しょうか。 審議会では教育効果と捉える二つの資料が市教委から提出され検討されたようです。「平成20 年度『「全 国学力・学習状況調査』の結果等について」と「平成19 年度福知山市小学校新体力テスト結果」の2つ です。資料には、学力については、「本市の児童生徒の学力は、概ね良好であるといえる。…」としてい ます。部会で検討され話されていることは、直接学校統廃合推進に結びつく緊急性はない内容が多く、 むしろ現状の福知山市教育の内容、実際をどうしていくのかという論議が交わされているように思いま す。中間答申で強調された「20 人程度学級なら切磋琢磨され教育効果は上がる」ということをきちんと 検証した後が見られません。 小規模校の方が成績がよいという国際的なデーターがあります。「国連のWHO(世界保健機関)が『学 校規模と教育効果』に関する論文を集め、多面的に分析した報告によれば、学校規模は『生徒 100 人を 上回らない規模』で小さくなければならないし、教育機関内部の機関(学級)も小さな規模を保たなけ ればならないとされています。規模が大きくなれば秩序維持のために規則と規制で子どもに接する場面 が増え、その結果、教育にとって重要な間関係が損なわれ、一人一人の子どもに即した個性的な教育活 動が困難になり、そのため教育効果の達成がはばまれる」(京都教育センター 市川 哲氏)というもの です。 さらに、大きな教育課題である不登校児童・生徒数が全国13 万人とされていますが、京都府下では中 丹地域が高い数値を占めています。中でも福知山市の数値は高いものがあります。都市部で家庭生活を していたが、様々な理由で田舎に帰ってきてそこで子育てを行う。そして、元気を取り戻すことが出来 た例、市内大規模校で不登校になった中学生が北陵中学校に通うようになって、毎日地域の人と出会い、 そこでの見守りや励ましに心を開き自信を取り戻していった例が報告されています。つまり、小規模校 はそうした人間らしく成長できる条件をより多く持っていると指摘されています。学校は子どもたちが 学び成長する場であるからこそ地域との関わりがとても大きいのです。 四つ目は、子どもが生まれた地域、住む地域によって、小さいところ(過疎地域)は大きいところに 行くのは当たり前なのか?…小さいことは悪いことなのか?ということです。 答申では、成和中学校区では修斉小学校に、六人部中学校区は下六人部小学校に、川口中学校区は上 川口小学校(適正部会での発言「この地域には思い切った措置が必要。地域的な考えでいけば上川口と なる」)に。そこには天津、公誠小学校も対象とされています。日新中学校区では、佐賀小が対象校で成 仁か遷喬小学校、もしくは学区の変更とされています。(三町の中学校区における統合校の場所は特定さ れていません。)考え方は複式学級や小規模校は「適正規模校」になるように吸収統合となっています。 先の3町が福知山市に吸収合併(注 合併の形態では対等合併ではない)されて以降、父母負担費の-6-

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増など教育条件の切り下げが見られましたが、(補助金の削減や低額の教育予算、あるいは大江町で行わ れていた地域特産の丹後和紙による卒業証書の打ち切りなど。)この計画が進めば今回は市全体で過疎地 域の子育ての様々な負担が増すことを意味します。子どもたちの学習権や基本的人権等からみて看過で きません。 特に、地方自治法の第一条の二では、「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、 地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。」とされており、福知山市 は住民の命とくらし、福祉と教育を守る第一議的な役割を持っています。教育分野で直接責任を負う市 教育委員会は同じ立場です。審議会として、「住民の福祉の増進」に逆行するような、レベルの低い国基 準を厳格に当てはめようとする考え方はすべきではないと思います。 五つ目に、複式学級や小規模校が「解消」されると、どんな学校になるのかということです。…答申 (概要)では、「今後の通学区域のあり方について」として、「本市の現状と将来を考えると、指定学校 制を維持しつつ特定地域選択制または特認校制により学区の弾力化を図るか、あるいは区域外通学許可 基準の緩和を検討する必要があると考えます。」とし、イメージ図を載せています。これは何を意味する のでしょうか。何でもありです。まさに、自ら設けた「20人程度学級」「適正規模校」に合わせるため に、あらゆる通学方式を列挙したものと思われます。自由学区制に道を開き、地域コミュニティーの崩 壊を進めるものと言えます。既に、自由学区制を導入した自治体のいくつで地域の崩壊と学校間格差の 著しい進行が見られ見直しが始まっています。また、鳴り物入りで統合し「日本一の学校」として紹介 された京都市の御所南小学校の現在の実態もぜひ参考にすべきです。中心校に集まるのはいわゆる「経 済力のある」保護者であり、その学校周辺の地価は上がりマンションが建つ…。周辺地域は過疎化し小 規模校化する、また、「適正規模校」ではないから統廃合の対象、通学区の一層の弾力化…などが懸念さ れます。勿論京都市という大都市と福知山市は違います。しかし、今でもそうであることから今後も福 知山市中心部だけ人口が増え周辺部は過疎化が一層進むということが目に見えています。なぜなら、学 校のないところに子育ては難しいからです。 答申は「通学距離が遠距離となった場合は、スクールバスの運行など通学条件整備に努める」として います。子どもは本来家庭で育つことが必須となっています。審議会答申では、対象校は統合から確実 に家庭との様々な意味での距離は遠くなります。スクールバス通学の弊害については、中間答申に対す る見解で述べたように、様々な問題点があり安易な導入はすべきではありません。 六つ目に、「通学区域の弾力化や基準の緩和」と合わせ「新しい教育制度の導入」として、「小中一貫 教育、学校運営協議会制度、学校支援地域本部制度、学校選択制の導入…」を掲げています。合同部会 報告では、「…今後進められるであろう学校統廃合を契機に、構造改革特別区制度等も活用し、小中一貫 教育制度や学校運営協議会制度・学校選択制の導入など具体化に向けた取組を進めていく必要がありま す。」と述べています。しかし、様々な問題点があり、「先進地域」「先進校」といわれる実態やその問題 点をきちんと検証して安易な導入はすべきではありません。福知山市の実態からは、まさに地元と一旦 合意した公誠・北陵の特認校である小中一貫校建設は府下や(笠取小)や全国(高知大川村)の先進に 学んだ一つの選択であったと言えます。 七つ目に、福知山市の緊急の課題である、耐震構造化や大規模校(40人学級の解消)の改善はどう なるのかということがあります。…何度も指摘されているように、保護者や地域、市民的な願いは子ど もたちへのゆきとどいた教育であり、教育条件の整備です。今年度の教育予算は松山市長の公約10% -7-

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には及びませんでしたが、総額全体に占める割合は5.7%から7.3%と前進を伺わせる内容でしたが、 耐震化計画を計画通り実施しても53.4%であり、他市と比べても低すぎます。統廃合待ちではなく、 子どもたちと地域の安全な避難場所としての学校を耐震化することは急務です。国や文科省も促進をい っています。専門図書館司書の配置もなく、図書の蔵書も府下で最低レベルであり、施設設備の点でも 極めて不十分です。40人学級を解消し30人学級にするための教職員の定数を増やすこと、給食法や 食育法の基づくゆきとどいた小中の完全給食を実施する、またそのための栄養職員を各校に配置する、 あるいは地方交付税として市におりている各校1名当たりの特別支援教員の配置をきちんと行うなどた くさんの切実な願いがありますが、答申はこれらに言及していないのはなぜでしょうか。 八つ目は、市長の公約、施策、町づくり姿勢と合致するのかということです。松山市長はその公約で 教育問題について、「小中学校の適正規模と配置については市民の文化の拠点であり、地元の意見をしっ かりと聞き対応します。」(両丹日々新聞2008年平成20年6月12日)としています。市長の進め る農村活性化対策などとの整合性も問われることでしょう。まさに、学校問題は村づくり、町づくりの 問題です。地域の歴史と文化を活かした地域活性化の取組で2014 年平成 26 年には児童数が 12 名から 24 名に倍加が見込まれている雲原地区、三和の川合地域の各種の取組、大江の都市住民と結びついた取 組など地域の特徴を活かした活性化事業が進められています。今後答申を受けた教育委員会がプランを 策定し具体化を図っていく上で、こうした町づくりの観点をどのように位置づけるのかが問われること でしょう。 最後に、詳述はこれからの分析となりますが、今回の福知山市学校教育審議会の答申は、「結論」に向 かって「20人程度学級」「適正規模校」が一人歩きして、地域や子どもたちが見えていない最終答申と なりました。多くの審議委員は真摯に問題解明と課題意識を持って提言を行い、審議を行ったように伺 えますが、一部有力委員と事務局(市教委)の強引な運営ぶりが目立ちました。また、公開されている 部会での発言内容をみても市教委の意を受けた方向にリードする発言は目立っています。 今後は、①答申を受けた福知山市教委事務局で検討 ②推進プログラム案を策定 ③教育委員会協議、 理事者協議、市議会協議 ④意見聴取(パブリックコメント) ⑤市教委事務局で補正 ⑥推進プログ ラム案決定 ⑦教育委員会協議、理事者協議、市議会協議 ⑧推進プログラム策定 ⑨地元説明会 と いうスケジュールになっています。作業はおそらく急ピッチで進められることでしょうが、そのプロセ ス一つ一つに情報の公開性、透明性を求めて、市民的注視をしていくとともにパブリックコメントは勿 論のこと様々な場面で一人一人の意見や思いを届けることが大切だと思います。 私たちの主張は「拙速な学校統廃合や学区の変更ではなく、ゆきとどいた教育と地域に根ざした教育 で、安心して子育てのできる地域の学校を!」です。住民が主人公です。行政による一方的な学校統廃 合を許さず、未来を担う子どもたちの教育環境をどのように整えるのかという点で、PTAの保護者は 勿論、児童・生徒、学校、地域の住民が時間をかけて丁寧に議論を尽くし、住民合意が尊重されるよう にすることが大切です。仮に、統廃合や学区の変更を行うとしても、あくまで住民合意が大切であり、 行政による一方的強制は教育になじまないばかりか、その後に禍根を残すおそれすらすらあります。 また、一部「適正規模校」以外のほとんどの学校は統廃合対象校です。そこに通う児童・生徒がいま す。今学んでいる学校がその存在を否定されたことから受ける精神的な苦痛や働く教職員、保護者や地 域の人々が受ける苦悩は大きいものがあります。そうした心に寄り添いながら市民的議論を進めること が求められています。 -8-

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