1 2012年5月18日
井原市行政視察報告書
甲府市議会議員神山玄太
視 察: 岡山県井原市 日 時:2012年5月14日 テーマ:光害防止条例による星の見えるまちづくりについて ・旧美星町で制定された「美しい星空を守る井原市光害防止条例」について ・星空を活かしたまちづくりについて ・美星天文台について 【視察理由】 旧美星町は1989年に全国で初めて光害を防止する「美しい星空を守る美星町光害防止 条例」を制定した。合併し井原市となった現在も条例を改正し、継続して光害の規制を行っ ている。また流れ星伝説に結びついたまちづくりを行い、美星天文台も有している。 甲府市にも県立科学館があり、天体観測も行われている。また毎年「ライトダウン甲府バ レー」と題して、「天の川の見える美しい星空を次世代に」を合言葉に、生活する上で消し ても困らない照明を消して、きれいな星空を取り戻そうという運動も行われている。 そこで井原市の取り組みが、まだ美しい星空が残っているという甲府市の価値を高めるた めの参考になると考え、「美しい星空を守る井原市光害防止条例」を中心とした星空を活か したまちづくりについて、これまでの経過や実績、具体的な取り組みなどお聞きするととも に、条例施行後の効果について調査した。また合併したことによる星空を活かしたまちづく りへの影響を伺った。 まだ美しい星空が残っていることが甲府の価値の1つだと考えており、井原市の取り組み は非常に参考になると考えている。2 美星天文台の綾仁一哉台長より説明を伺う 【井原市(旧美星町)光害防止条例制定の経過】 昭和57年(1982年) ・美星町の愛称を「星の郷」とすることを決める 昭和62年(1987年) ・美星天文台などの建設が、自治省リーディングプロジェクト事業の指定を受ける 昭和63年(1988年) ・アマチュア天文グループの協力で、星をテーマにしたイベント「星の降る夜‘88」を 開催し、この時のアマチュア天文グループの交流会で、アマチュア天文家から光害防止 の条例化が提案された ・これを受けて、町が条例案作成を開始し、広島天文協会の資料を参考にして、天文学者 等の協力も得ながら条例化作業をすすめる 平成元年(1989年) ・「星の降る夜‘89」を開催し、以後、平成14年(2002年)まで毎年夏休みに開 催し、光害防止をテーマにしたシンポジウムなどで町民に光害防止をアピールした ・天体観測の専門家の他、町議会、商工会、婦人会、自治公民館の代表、岡山県大気保全 課長などで構成した光害防止条例審議会を開催し、条例の内容を協議 ・光害防止条例案が美星町議会に提案され、総務委員会、全員協議会で審議され、11月 の美星町議会臨時会にて光害防止条例案可決
3 【井原市(旧美星町)光害防止条例制定後の動き】 平成2年(1990年) ・光害防止啓発看板設置 ・光害防止モデル照明設置 ・光害防止モデル地区の指定 ・光害防止小冊子の発刊 ・光害防止対策補助(看板灯交換、防蛾灯を防蛾ネットに交換) 平成3年(1991年) ・心安らぐ夜の景観を考えるシンポジウム「光環境フォーラム」開催 平成5年(1993年) ・美星天文台オープン 平成13年(2001年) ・美星スペースガードセンター完成 平成17年(2005年) ・井原市との合併に伴い、地域限定の条例として、井原市の条例として制定 美星天文台のエントランスには、晴天を祈っててるてる坊主が掲げられている
4 【井原市(旧美星町)の取り組み、施策】 美星町のまちづくりのコンセプト =「星の郷」 =1982(昭和57)年に美星という名前にちなみ、町の愛称を「星の郷」とした →星のマークの入った道路案内を設置するなど星と関連付けたまちづくりを推進 →交流による活性化を目指す「星の郷「中世吉備の庄」いきいきまちづくりプロジェ クト」が自治省リーディングプロジェクト事業の指定を受け、美星天文台はこの事 業で建設された 美しい星空を守る美星町光害防止条例 =イベントに参加したアマチュア天文家から光害防止の条例化が提案された ⇒「星の郷」をコンセプトとしていた美星町が条例化作業を開始し、1989(平成元) 年に制定 →星空を守っていくということを全国的に訴えた →住民からは当初、「星空で飯が食えるのか」というような厳しい反応もあった →しかし、全国から美星の星空や取り組みが注目され、評価されるうちに住民のプ ライドが高まった 美しい星空を守る美星町光害防止条例の特徴 条例の目的 =光害の防止及び適正な照明に関し、市、市民及び事業者それぞれの責務 を明らかにするとともに必要な事項を定めることにより、市民の生活に 必要な夜間照明を確保しつつ、光害から美しい星空を守ること ⇒光害防止対策費用の補助 →市は、配光基準に適合した屋外照明器具の新設、改造又は取替えに対し、規則で定 める補助基準により、必要な経費の一部を予算の範囲内において補助する 【まとめ:神山玄太の考え】 井原市の旧美星町は、美星というその名前にちなみ、まちづくりのコンセプトを「星 の郷」として一貫したまちづくりが行い、その「星の郷」としてのまちづくりの象徴 として美星天文台の建設された また「星の郷」のまちづくりのもう1つの象徴として「美しい星空を守る美星町光害 防止条例」が制定された 条例制定には当初は懸念の声もあったようだが、まちづくりのコンセプトが「星の郷」 で一貫してきていたことから、住民の理解、協力もあり、全町的に光害防止の取り組 みは推進されていった
5 旧美星町内は街灯も少なく全体的に暗い印象であるが、住民は外が暗いことに不自由 さを感じないかと問うたことに対して「特に問題はない」とコメントし、光害防止の 理念が浸透していることが感じられた しかし、光害防止条例は井原市の条例であり、さらに適用区域を旧美星町に限ってい ることから、主な光源である瀬戸内海沿岸の岡山市や倉敷市の光害を防止することは できていない これらのことから考えると、光害防止条例は美しい星空を残すということに効果を発 揮しているというよりも、美星町におけるまちづくりにおいて、その哲学やコンセプ トを町民が共有し、かつ外部に対して発信することで、美星町の価値を高めることに 寄与していると判断できる
6 2012年5月18日
倉敷市行政視察報告書
甲府市議会議員神山玄太
視 察: 岡山県倉敷市 日 時:2012年5月15日 テーマ:市民の生活の足を確保する公共交通政策について ・公共交通政策における倉敷市の理念について ・市民の足を守る公共交通維持のための諸施策について ・市民が守り、育てる公共交通となるための諸施策について ・乗り合いタクシー、コミュニティバスについて ・学校モビリティ・マネジメントについて 【視察理由】 甲府市の公共交通の利用者数は減少傾向にあり、赤字を補てんして路線を維持するのが精 いっぱいという状況にある。そんな中、昨年度に甲府市公共交通体系基本構想を策定し、1 5年後のリニア中央新幹線の開業に向けたまちづくりとあわせて、公共交通に対する取り組 みがやっと本格的に始まったところである。 一方、倉敷市は2008年に倉敷市公共交通体系基本計画と倉敷市総合交通戦略を打ち出 し、様々な取り組みを行うとともに、翌年には倉敷市地域公共交通総合連携計画を策定し、 取り組みを強化している。そこで、各計画における倉敷市の考え方や市民の足を守る公共交 通維持のための諸施策、そして公共交通を市民が守り育てるための倉敷市の取り組みを調査 した。また、交通政策を推進するための財源や人的資源についても伺った。 公共交通政策の各施策として、倉敷市は乗り合いタクシー、コミュニティバスなど様々な 方法を組み合せているが、その取り組みの経過や実績、効果などを調査した。また今後、甲 府市は各地区で公共交通を考える勉強会を実施していくとしているが、倉敷市が学校教育で 行っているモビリティ・マネジメントはその勉強会の参考になると考えている。 倉敷市の公共交通政策における取り組みは、今後の甲府市の公共交通政策における取り組 みに大いに参考になると考え、調査した。7 【倉敷市の取り組み、施策】 倉敷市の公共交通政策 =3つの計画があるが、ほぼ同じ内容である ・倉敷市公共交通体系基本計画 ・倉敷市総合交通戦略 ・倉敷市地域公共交通総合連携計画 =市民、企業、交通事業者、行政の4者の役割を明確化 =バス路線を運行頻度や重要度に応じて、幹線、準幹線、準幹線(施設連結型)、支線 の4つに分類 ⇒4分類したバス路線ごとに、4者がそれぞれ対応するように規定 地域公共交通活性化再生総合事業 ・水島臨海工業地帯の企業を対象としたモビリティ・マネジメントによるエコ通勤 =市民や企業の公共交通利用に関する意識啓発等を促進し、公共交通利用者の増加 により、路線の維持、充実を図る →平成20年度~22年にかけて実証実験を行ったが、結果として、事業化は難 しいと判断 →路線バスが廃止になった地域であり、また工業地帯の企業のほとんどが社員用 の駐車場を完備しているため、バスよりも自家用車の方が利用しやすい環境が 整っている ⇒バス路線がなくなった地域に再度、公共交通を根付かせるのは難しく、既存のバ ス路線が維持されていくことが重要である ・乗換情報案内板等の整備 =JR倉敷駅改札前に乗換案内のモニターを設置 →JR倉敷駅は各地域との重要な公共交通結節点であり、スムースな乗換を可能 とするために設置 →もともとJRの職員が市民からバスについての問い合わせを多く受けていた ことから、バスの発車状況を示すことへの需要はあった =インターネットによる運行時刻検索システムの構築 →市内に複数のバス業者があり、それぞれが情報提供を行っていたため不便であ ったが、インターネットによる検索システムを構築することにより一体的に情 報を提供することが可能となった
8 ・鉄道・バス意識啓発 =小学生等に環境や交通について考えてもらうことで意識形成を促し、将来に向け た公共交通利用の促進を図る →バス教室を開催し、バスの乗車体験や交通安全などについて説明 →中国運輸局などと連携はしたものの、プログラムは市で企画立案した 倉敷市の交通政策の担当者から話を伺う 倉敷市乗合タクシー制度 =路線バスの廃止や公共交通空白地などにおいて、高齢者等の移動手段を確保するため に地域が主体となり運行される乗合タクシーに対し、運行費用の一部を支援する制度 =地域が運行経費の一部を負担しながら自主的に運営する乗合タクシーに対し、市民の 足として存続させるため、地域住民を支援 ⇒乗合タクシーの特徴 ・自治会等の地域が自主的に運営委員会を組織し、主体的に事業を行う ・バスと同様に停留所を設置し、定められた路線や時間に運行 ・基本的には予約が必要(=デマンド運行) ・料金はバスに比べるとやや割高であるが、タクシーに比べれば安く利用できる ・利用状況に応じて、デマンド運行から定時運行に、セダンからジャンボタクシー車 両へ、ステップアップが可能
9 ⇒補助金交付の条件 ・自治会等に乗合タクシー事業の運営を行う組織があること ・運行経費の一部を自治会等が負担していること ・運行に使用する車両は,乗合タクシー事業者自らが保有する車両であること ⇒補助制度の内容 ・運行経費の赤字額に対する8割を補助(地域負担:2割) ・利用促進・啓発事業に対する8割を補助(地域負担:2割) ・運行稼働率が50%未満の場合は、地域負担が別途必要 倉敷駅前に設置されたバス案内板は市民から好評だという
10 【まとめ:神山玄太の考え】 2011年10月に民生文教委員会の委員会視察で倉敷市を訪れた際に、約48万人 の人口の割にバス運行が少ないと感じ、倉敷市が直面している公共交通における課題 や交通政策を調査することが甲府市における公共交通政策対して大きな示唆があると 思い、視察した しかし、実際に倉敷市の公共交通政策を調査したところ、理念、コンセプトがしっか りとしており、それに従って施策が展開されていることが明らかになった 倉敷市の公共交通政策における理念、コンセプトは、「公共交通路線の空白地帯を作ら ない」ということにある それは、上記の地域公共交通活性化再生総合事業で紹介したエコ通勤事業で明らかに なったように、バス路線が廃止され、自家用車が便利に使える環境が整ってしまうと、 再度バスに転換しようと思ってもそれは難しいからである 倉敷市の交通政策は、市民、企業、交通事業者、行政の4者の役割を明確化し、また バス路線を運行頻度や重要度に応じて4つに分類し、その上で4分類したバス路線ご とに、4者が状況に応じてそれぞれ役割を果たすように展開した点が評価できる 「公共交通路線の空白地帯を作らない」ために、倉敷市ではバスとして残せる路線は 幹線として残し、バス事業者が撤退する地域には市民の移動手段を確保するための代 替手段として乗合タクシーを提案するとした バス事業者が路線を廃止すると判断しても、市民の移動手段として乗合タクシーをで 継続させることで、路線をなくすことはない 乗合タクシーであっても公共交通路線が残っていれば、需要が出てきたときに次の展 開が可能であるからである また倉敷市の乗合タクシー事業は、地域で組織した実行委員会が運営するため、住民 にも当事者意識が生まれてくる点が高く評価でき、補助金も地域の実行委員会を通じ てタクシー事業者に支払われるため、あくまでも当事者は地域となる このように倉敷市の公共交通政策は、案内板の設置などで利便性の向上を図りながら、 「公共交通路線の空白地帯を作らない」ためにそれぞれの役割を明確化し、それぞれ に主体性を持たせながら事業を展開している点が高く評価できる
11 2012年5月28日
岡山市行政視察報告書
甲府市議会議員神山玄太
視 察: 岡山県岡山市 日 時:2012年5月15日 テーマ:(1)中心市街地活性化について ・広範な中心市街地におけるマネジメントの考え方について ・中心市街地におけるゾーニングの考え方、またその効果について ・中心市街地活性化基本計画の評価とこれからの展開について テーマ:(2)岡山市都市交通戦略ついて ・市民の足を守る公共交通維持のための諸施策について ・市民が守り、育てる公共交通となるための諸施策について 岡山市で担当者から中心市街地活性化計画について説明を受ける (中心市街地活性化について) 甲府市の中心市街地は、人口規模の割に広く、中心街の賑わいが面として広がっていない という問題点がある。一方、岡山市も歴史的経緯から中心市街地が広大にわたっており、こ12 の点は甲府市と共通するところがあるが、岡山市は岡山市中心市街地活性化基本計画の中で 中心市街地のゾーニングを打ち出すことでゾーンごとのまちづくりを進めており、この考え 方は甲府市における中心市街地活性化に大きく参考になると考え、調査した。 また甲府市の中心市街地活性化基本計画が今年度で終了することもあり、岡山市のこれま での評価とこれからの展望について伺った。 (公共交通政策について) 甲府市の公共交通の利用者数は減少傾向にあり、赤字を補てんして路線を維持するのが精 いっぱいという状況にある。そんな中、昨年度に甲府市公共交通体系基本構想を策定し、1 5年後のリニア中央新幹線の開業に向けたまちづくりとあわせて、公共交通に対する取り組 みがやっと本格的に始まったところである。 一方、岡山市は2001年に岡山市交通基本計画を策定し、2009年から岡山市都市交 通戦略を展開している。そこで、交通戦略における岡山市の考え方や市民の足を守る公共交 通維持のための諸施策、そして公共交通を市民が守り育てるための岡山市の取り組みを調査 した。また、交通政策を推進するための財源や人的資源についても伺った。 平成21年に政令指定都市になった岡山市は、庁舎もやはり大きい
13 2012年5月○○日
直島町行政視察報告書
甲府市議会議員神山玄太
視 察: ベネッセアートサイト直島、直島町 日 時:2012年5月16日 テーマ:ベネッセアートサイト直島について ・ベネッセアートサイト直島の取り組みについて ・民間企業が地域で文化事業を行う意味、目的について ・民間企業と行政がともに取り組むアートによる地域経営について 直島をアートの島とした美術館とホテルが一体なったベネッセハウス (ベネッセアートサイト直島について) ベネッセホールディングス(当時、福武書店)が直島でアート活動を始めてから20年以 上が経過し、ベネッセアートサイト直島の評価は様々なところで耳にするようになった。そ こで甲府市においてアートによるまちづくりを推進するために、ベネッセアートサイト直島 の取り組みについて、また民間企業が地域で文化事業を行う意味、目的について伺った。14 直島は島全体がまるで美術館であり、島内を歩いているだけでアートに触れることができ る。甲府市において過去2回、「こうふのまちの芸術祭」と題して甲府の中心市街地を舞台 に、まち歩きの中でアートに親しむイベントが市民の活動として行われてきた。今年も開催 が予定されているが、このイベントを市内在住のアーティストの表現の場として、またアー トによるまちづくりで甲府市の価値を高めるために1つのシンボルにまで育てていきたい と考えている。ベネッセの直島での取り組みは、甲府市のアートによるまちづくりにおいて 大きな参考になると考え、調査した。 2013年は山梨県で年間を通じて国民文化祭も行われることもあり、アートによるまち づくりを展開する好機でもある。甲府市でもアートによる地域経営に取り組んでいくために、 ベネッセの取り組みを調査した。 あわせて直島町の担当者にも話を伺い、行政の立場からの視点によるアートによる地域経 営についても調査した。 直島建築と呼ばれる直島町役場