Year Book 1
糖尿病・肥満・脂質異常
埼玉医科大学小児科
菊池透
第52回 日本小児内分泌学会学術集会
会期 2018 年10月5日(金)
会場 ホテルイースト21東京
イースト21ホールA
日本小児内分泌学会
CO I 開示
発表者名: 菊池透
日本小児内分泌学会の定める利益相反に関する開示事項に則り開示します。
Year Book 1
糖尿病・肥満・脂質異常
1型糖尿病
Hybrid Closed-Loop insulin pump
Real time CGM
吸入インスリン
経鼻グルカゴン
肥満
妊娠糖尿病・1型糖尿病・2型糖尿病の児の肥満
メチレーションと食行動
【目的】
MiniMed 670GシステムのHCL(Auto Mode)とopen loop(OL)での
適正血糖(Time in range、70-180mg/dL)を比較検討した。
【対象と方法】
対象は31名(14-26歳)の1型糖尿病患者。HbA1c,
8.7±0.9%。最初の2週間OLで、その後3ヵ月間Auto Modeを使用し、開始
時OLと開始後1週間、1カ月、2カ月、3カ月のデータを比較した。
MiniMed 670G insulin pump with incorporated HCL algorithm, the
Guardian Sensor 3 CGM system, the CONTOUR NEXT Link blood
glucose meter
Auto Modeでは、ベーサルインスリンは5分ごとにシステムによってダイナ
ミックに決定される。
目標血糖は120㎎/dL、インスリン効果値は、1800ルールで決められ、血糖
150mg/dLの場合、補正ボーラスをした。
Optimizing Hybrid Closed-Loop Therapy in Adolescents and
Emerging Adults Using the MiniMed 670G System.
Messer LH, Forlenza GP, Sherr JL, Wadwa RP, Buckingham BA, Weinzimer
SA, Maahs DM, Slover RH.
【結果】
Carbo-to-insulin比は、全ての食事で低くなった。TDD,basal-to-bolus比は変化がなかった。 Time in rangeはAuto Mode 3ヵ月後
で14%増加し、HbA1cは0.75%減少した。センサーやインスリン注入
のアラートのため、 Auto Modeをやめる対象が72%であった。
【結論】
提供者は、 Auto Modeを突然やめることや、食事ボーラスが
信頼できるようになることを予測すべきである。このユニークな670G
システムについて、提供者は、臨床的な指導や教育を続けるべきで
ある。
Optimizing Hybrid Closed-Loop Therapy in Adolescents and
Emerging Adults Using the MiniMed 670G System.
Messer LH, Forlenza GP, Sherr JL, Wadwa RP, Buckingham BA, Weinzimer
SA, Maahs DM, Slover RH.
overall HCL Mode OL Baseline 55.3 ± 14.9 55.3 ± 14.9 Days 1–7 68.4 ± 11.5 69.7 ± 10.6 56.6 ± 28.1 Days 22–28 67.4 ± 10.1 69.5 ± 8.5 56.8 ± 25.9 Days 50–56 70.2 ± 8.9 71.9 ± 8.1 60.3 ± 19.7 Days 78–84 69.0 ± 12.0 71.5 ± 10.3 57.4 ± 28.8
Time in range (70-180mg/dL)の推移
【目的】小児思春期1型糖尿病患者において、第6世代のCGM(Dexcom G6)が正確であ るか検討した。
【方法】6-17歳の49名の1型糖尿病患者。10日間CGMを装着し、6-12時間ごとに血糖測定 をした。G6 CGMシステムによる推定血糖値(EGVs)と検査室で測定した血糖値(YSI)との 比較をした。
【結果】1387EGV-YSIペアで、全体のMARD(mean absolute relative difference)は7.7% であった。全体の中で、YSIの20%以内、20㎎/dL以内は96.2%であった。
EGVsとYSIの差の99.9%は、臨床的なリスクはほぼないと考えられた。
【目的】 吸入インスリンが、適正血糖(Time in rage)および食後の高血糖を改善 することを明らかにするために、CGMを使ってMDIで治療中の1型糖尿病患者を 対象に、吸入インスリンとアスパルトによる The pilot,
investigator-led,collaborative, open-label,multicenter, clinical research trial を行った。
【対象と方法】 成人1型糖尿病60名。吸入インスリン群、アスパルト群に分けて検 討した。吸入インスリン群では、従来の食事インスリン量に合わせて、表2のよう に、吸入インスリン単位を使用した。また、食後1時間で151㎎/dL以上、2時間で 201mg/dL以上の場合は4-8単位の補正インスリンを使用した。
n=36
n=24
The primary efficacy endpoints:
glucose time-in-range (TIR: 70–180 mg/dL) and
postprandial glucose excursions (PPGE) in 1–4 h
using a real-time continuous glucose monitor (CGM) The secondary efficacy endpoints :
• change in HbA1c, under the curve(AUC) for PPG,
• hypoglycemia (defined as time below range: <70, <60, and <50 mg/dL), • hyperglycemia (defined as timeabove range: >180 mg/dL),
【結論】
食事の時の吸入インスリンは、適正に補足することによって、 MDIで治療中の1型糖尿 病の低血糖や体重増加をきたすことなく、TIRとPPGEを改善することができる。この結 果は、今後の大規模な臨床試験を後押しする。
Pediatr Diabetes. 2018 Aug;19(5):1007-1013. 【対象】小児思春期1型糖尿病14名 【方法】3㎎経鼻グルカゴンを33回中等度 低血糖(70mg/dL以下かる有症状)で使 用 【結果】全例が30分以内で症状回復 前値 42-70mg/dL 15分値 79-173 mg/dL 操作はとても簡単 全使用の60%で、30秒以内に使用できた。 重度なadverse eventはなかった。
【結論】
3㎎経鼻グルカゴンは、小児思春期1型糖尿病患者に中程度の症状がある低血糖に対 して、リアルワールドで有効であった。経鼻グルカゴンは、手技は非常に簡単で、注射グ ルカゴンに比べ、針がなく、利用者に優しい。
LGA-OGDM(n=24)
nonLGA-OGDM(n=80)
nonLGA-OGDM(n=80)
LGA-OGDM(n=24)
Growth trajectory in offsprings of GDM mothers
(104 Dutch children, delivered 1996-2006)
ODM2 (n=44)
ODM1 (n=78)
LGA-ODM2 (n=19)
LGA-ODM1(n=37)
nonLGA-ODM2 (n=25)
nonLGA-ODM1
(n=41)
Growth trajectory in offsprings of
Hammoud NM. Diabetologia (2018) 61:1037–1045
Growth trajectory in offsprings of
GDM, T1DM, T2DM mothers (226 Dutch children)
ODM2 (n=44)
ODM1 (n=78)
Growth trajectory in offsprings of
GDM, T1DM, T2DM mothers (226 Dutch children)
LGA-ODM2 (n=19)
LGA-ODM1
(n=37)
LGA-OGDM(n=24)
nonLGA-ODM2 (n=25)
nonLGA-OGDM(n=80)
nonLGA-ODM1
(n=41)
【結論】 これらの結果から、妊娠糖尿病、妊娠中の1型糖尿病、2型糖尿病を適切に治療 し、妊娠中に巨大児をさけるこが重要であることを強調する。The Hyperglycemia and Adverse Pregnancy Outcome (HAPO) Study, Offspring 11 y.o.
【目的】臍帯血のインプリンティング遺伝子(insulin-like growth factor 2/H19 and
Delta-like, Drosophila, homolog 1/maternally expressed gene 3)のdifferentially methylated
regions(DMRs)のメチル化と食行動の特徴およびBMIとの関連を探索する。
【対象と方法】 the Newborn Epigenetic Study(a North Carolina-based birth cohort) に参加している317名の幼児(平均3.6歳)。臍帯血から抽出したDNAを用いてインプリン ティング遺伝子のDMRsメチル状態を解析した。また、小児食行動質問票(Children’s Eating Behaviour Questionnaire)を用いて食反応性( food responsiveness)と満腹反 応性( satiety responsiveness)を調べた。 【結果】 IGF-2 DMRメチレーションの増加が、満腹反応性と関連していた。満腹反応性の 高値は、低BMIと関連していた。 【結論】 本研究は、出生前のエピジェネティックな多様性が、食行動の特徴やBMIと関連 することを、初め報告した。また、個人の肥満の素因である食行動の特徴に関連する未知 のジェネティックおよびエピジェネティックな機序が明らかにすることにも寄与する