26.妊
婦 の 勤 労 状 態 と切 迫 早 産 徴 候 に 関 す る
コ ホー ト研 究
島根 県立看護短期大学 〇三 島 み ど り ・産業 医科大学病 院 徳 井 教 孝 産業医科大学 医療 技術短期 大学 新 小 田春 美 産業医科大学病 院 福 本 弘 子 ・福 岡県済生会 入幡総合病 院 広 永 悦 子 国立小倉病院 石 川 恵 ・山 口県立中央病 院 山 下 満 枝 九州大学 医療 技術短期大学 浅 生 慶 子 1.は じめ に 近年,女 性 の 職 場 進 出 は 目覚 ま し く,女 子 労働 力人 口の 中 で 有 配 偶 者 の 占め る割合 は約5割 を 占 め1),そ れ に伴 っ て 妊 娠 中 も就 業 す る 者 が 増 加 し て い る。 勤 労 妊 婦 は 職 業 と家 事 と,あ る い は育 児 な ど2 重,3重 の 役 割 を背 負 って妊 娠 期 を過 ご さ な けれ ば な らな い。 そ の た め に 勤 労 に よ る妊 娠 分 娩 へ の影 響 を検 討 す る こ とは 母 子 保 健 管 理 を お こ な う 上 で重 要 な課 題 の ひ とつ で あ る。 そ こ で今 回妊 婦 の 勤 労 の 負 担 が切 迫 早 産 の 危 険 因子 に な りう るか ど うか を コホー ト研 究 を行 い検 討 した の で報 告 す る。 II.方 法 調 査 対 象 は1994年1月 か ら1995年10月 まで に 島 根 県,福 岡 県,山 口県 に あ る5施 設 の 大 学 及 び国 公 立 病 院 の 産 婦 人科 外 来 を妊 娠16週 以 前 に受 診 し 調 査 協 力 が 得 られ た妊 婦 で,解 析 対 象 者 は,1994 年12月 末 ま で の妊 娠30週 の 時期 の 妊 婦 で411名(初 産173名,経 産238名)で あ る。 調 査 方 法 及 び 内容 は,基 本 調 査 と して16週 以前 に受 診 した妊 婦 に 対 して,妊 娠 ・出産 歴,既 往 ・ 現 病 歴,職 種 な どを面 接 法 に よ り行 っ た。さ らに, 妊 娠16週,22週,30週 の 時 期 に,妊 婦 の勤 労 状 態 と して勤 務 形 態,仕 事 量,仕 事 の 負担 感,実 労働 時間,超 過 勤 務 の 有 無 人 間 関 係 上 の ス トレ スの 有 無 な どにつ い て,自 記 式 記 名 式 質 問 票 に よ る調 査 を郵 送 法 で行 った 。 勤 労 状 態 は,妊 娠30週 の 時 期 に仕 事 を継 続 して い た者 を勤 労 者,妊 娠 前 か ら専 業 主婦 の 者 を専 業 主 婦 と定 義 した。表1の 勤 務 形 態 に つ い て は,「不 規 則 の者」 と 「夜 勤 の み の 者 」 を交 替 制 の 者 に含 め て 「交 替 制 の 者 」と して検 討 し た。 仕 事 量 は 「か な り減 っ た」,「少 し減 った 」 を 「仕 事 量 が 減 少 し た者 」 と して検 討 した 。 負 担 感 の 項 目 につ い て は 「全 く負 担 で は な い 」 と 「あ ま り負 担 で は な い」 表1勤 労状 態 に関 す る質 問 内容 と選 択 肢 1)現 在 の お 仕 事 の 状 況 は 次 の ど れ で す か ・続 け て い る ・病 休 中 ・退 職 し た ・転 職 し た 2)勤 務 形 態 は 次 の ど れ で す か ・常 昼 勤 ・交 代 制(二 交 代,三 交 代) ・不 規 則 ・夜 勤 の み 3)現 在 の 仕 事 量 は 妊 娠 前 に 比 べ て 変 化 し ま し た か ・か な り減 っ た ・少 し 減 っ た ・変 わ ら な い ・増 え た 4)現 在 仕 事 を 負 担 に 感 じ て い ます か ・全 く 負 担 で な い ・あ ま り負 担 で な い ・少 し 負 担 ・と て も 負 担 5)現 在 の 実 働 時 間(休 憩 時 間 は 除 き,超 過 勤 務 は 含 む)は1日 どの 位 で す か ・4時 間 未 満 ・4∼7時 間 未 満 ・7∼8時 間 未 満 ・8時 間 以 上 6)最 近 超 過 勤 務 が あ り ま す か ・は い ・い い え 7)休 憩 時 間 に 心 身 を リ ラ ッ ク ス で き ま す か ・は い ・い い え 8)あ な た の 職 場 環 境 の 中 で 気 に な っ て い る も の が あ り ます か ・は い ・い い え 9)人 間 関 係 で ス トレ ス に な る こ とが あ り ま す か ・は い ・い い えを 「仕 事 負 担 な しの 者 」と し,「 少 し負 担 」,「とて も負担」 を 「仕 事 負担 あ りの者 」 と して検 討 した 。 実 働 時 間 は8時 間 を境 に し,休 憩 時 間 及 び 人 間 関 係 の 「どち ら と もい え な い」 につ い て は,状 態 が 悪 い方 に 入 れ て検 討 した 。切 迫 早産 の 診 断 は,1) 下 腹 部 痛,2)腹 部 緊 張,3)性 器 出血 の い ず れ か の 症 状 が あ る場 合 と し,外 来 カ ル テ よ り調 べ た。 解 析 は,ま ず,対 象 を初 産 婦,経 産 婦 に分 類 し, 次 に 各妊 婦 を専 業 主 婦 と勤 労 者 に分 け た 。 勤 労 者 に お い て は,妊 娠16週 と22週 の両 時 点 に お いて 各 項 目 ご とに 勤 労状 態 の 評 価 の 方 法 に則 して,両 時 点 と もに 負 担 が な か っ た者 群 と,い ず れ か の 時 点 に 負担 が あ っ た者 と両 時 点 と もに負 担 が あ っ た 者 を ひ とつ の群 と して合 計2群 に 分 け た。 そ して, 専 業 主 婦 に対 して,勤 労 者 の 勤 労 状 態 が その 後 の 22週 以 降30週 の時 期 の切 迫 早 産 の 罹 患 とどの よ う な関 連 を もっ て いの るか を,Logistic regression analysisを 用 いて 相 対 危 険 度 を算 出 し検 討 し た。 III.結 果,お よ び考 察 初 産 婦,経 産 婦 別 に相 対 危 険 度 を検 討 し た結 果, 初 産 婦,経 産 婦 と も勤 労 者 の 方 が 専 業 主 婦 に 比ベ リス クが 低 い傾 向 が 認 め られ た(表2)。 特 に初 産 婦 で は,仕 事 の負 担 以 外 は すべ て 勤 労 者 の 方 が 専 業 主 婦 に 比 べ 有 意 に低 い リス ク を示 した 。 経 産 婦 に お い て も,勤 務 形 態,仕 事 負 担,仕 事 時 間 の3 項 目に 関 して,同 様 に 勤 労 者 の方 が 専 業 主婦 に 比 べ 有 意 に低 い リス ク を示 した。 これ までの研 究で は,切 迫 早 産 は 専 業 主 婦 に 比 べ て 勤 労 妊 婦 に 多 く2),ま た 薬 物 治 療 対 象 者 を切 迫 流 早 産 と し た も の で は,勤 労 の初 産 婦 に 高 い こ とが 報 告 され て い る3)。今 回,こ の よ うな知 見 と異 な る理 由 と して は,本 調査 で は高 危 険度 職 種 の 対 象 者 の 割 合 が 少 な か った こ と と,妊 婦 は勤 労 を して い る こ と で よ り健 康 管理 に 注 意 を払 うよ うに な っ た こ とが 考 え られ る。 要 因別 に切 迫 早 産 の 危 険 度 をみ る と,勤 務 形 態 で は,初 産 婦 に お い て,専 業 主 婦 の切 迫 早 産 の り ス クに 比 べ,常 昼 勤 務 者 お よび 交 替 勤 務 者 の初 産 の 方 が リス クは そ れ ぞ れ0 .5,0.1と 有意 に低 かっ 表2 勤 労 状態 別 の切 迫早 産 にお け る危 険度 初産婦 経産婦 相対危険度(対 象数)相 対危険度(対 象数) ・勤務 形態 専 業主 婦1.0(67)1.0(131) 常昼 勤 務 者0.5*(40)0.5*(53) 交替 制0.1*(9)0.9(9) ・仕事 量 専 業 主婦1.0(67)1.0(131) 仕 事 量減 少 した者1.3(10)0.3(11) 仕 事 量変 化 な しの者0.4*(28)0.6(40) ・仕 事 負担 専 業主 婦1.0(67)1.0(131) 仕事 負 担 な しの者0.6(34)0.4*(35) 仕事 負 担 あ りの者0.3(14)0.5(25) ・仕事 時 間 専 業 主婦1.0(67)1.0(131) 実 働 時間8時 間 未満0.4*(31)0.4*(45) 実 働時 間8時 間 以上0.4*(21)0.8(17) ・超 過 勤務 専 業主 婦1.0(67)1.0(131) 超過 勤務 な し0.3*(25)0.5(34) 超過 勤務 あ り0,4*(26)0,6(28) ・リラ ッ クス 専 業 主婦1.0(67)1.0(131) 休憩時間りラ ンクスあり0.1**(14)0.3(28) 休慈時間リラックスなし0.5*(38)0 .6(17) ・職 場環 境 専 業主 婦1.0(67)1.0(131) 職場 環 境問 題 な し0,2*(16)0 .6(27) 職場 環 境問 題 あ り0.5*(33)0.5(34) 人 間関 係 専業 主婦1.0(67)1.0(131) 人間関係 ス トレスな し0.4(12)0 .7(18) 人間関係 ス トレスあ り0.4**(39)0 .5*(44) *:P<0.05 **:P<0.01 た。 経 産 婦 に お い て も,同 様 な 結 果 で あ っ た 。 こ れ まで の 研 究 で は,看 護 婦 や 自営 の も の に切 迫 早 産 が 多 か っ た と い う報 告4)5)があ る が,今 回 の コ ホー ト研 究 で は逆 の結 果 を示 した。 仕 事 量 仕 事 の 負担,実 働 時 間,超 過 勤 務 な ど の 物 理 的,心 理 的 労 働 負 担 の 要 因 に 関 して は,労
働 負 担 が あ るな しに 関 わ らず,ほ とん どの要 因 は 専業 主 婦 に比 べ 勤 労 者 は リス クが 有 意 に低 い値 を 示 した。 つ ぎに,休 憩 時 間 の リラ ッ ク ス につ い て は,初 産婦,経 産 婦 と も専 業 主 婦 に 比 べ,休 憩 時 間 に リ ラ ッ クス で き る妊 婦 の リス クは 有 意 に低 い値 を示 し,特 に初 産 婦 で は0.1と 非 常 に低 い 値 で あ っ た。 この こ とか ら,勤 労 上 に お け る休 憩 時 間 の リラ ッ クス の必 要 性 が うか が えた 。 母 性 保 護 の 立場 か ら,労 働 基 準 法 な どで妊 産 婦 にか か る保 護 が 明確 に され て い るが,今 回 の研 究 よ り,現 在 の勤 労 女 性 の切 迫 早 産 に関 して,専 業 主婦 よ り もそ の リス クが低 い こ とが 示 唆 され た。 IV.ま とめ 勤労 状 態 が 妊 産 婦 の切 迫 早 産 の 危 険 因子 に な る の で は な いか と検 討 を行 っ た。本研 究 で は,初 産, 経産 婦 と もに専 業 主婦 よ り勤 労 者 の 方 が,仕 事 量 の減 少 を 除 い て相 対 危 険 度 は低 値 を示 し て い た。 したが っ て勤 労 者 は,勤 労 状 態 に 関 わ らず 切 迫 早 産徴 候 に は影 響 が 少 な い こ とが うか が え た。 今 後 は,勤 労 状 態 との 関 連 を よ り明確 に す る た め に,対 象 者 を増 や す こ と と,職 業別 解 析 が 必 要 で あ る と考 え られ る。 参 考 文 献 1) 労 働 省 婦 人 局:婦 人 労 働 の 実 情,平 成3年 版, P.1-4,1991. 2) 浜 松 加 寸 子 他:勤 労 婦 人 と 産 科 異 常 に つ い て,母 性 衛 生,30(3),P.413-419,1989. 3) 佐 道 正 彦 他:就 労 妊 婦 の 妊 娠 ・分 娩 結 果 に つ い て の 調 査 成 績,母 性 衛 生,32(2),P.168-175, 1991. 4) 細 道 太 郎 他:看 護 婦 の 妊 娠 ・分 娩 に 関 す る実 態 調 査 と そ の 検 討,周 産 期 医 学,14(5),P. 741-746,1984. 5) 平 岡 友 良 他:妊 婦 の 労 働 と 妊 娠 ・分 娩 の 予 後, 母 性 衛 生,27(2),P.246-251,1980 6)太 田 孝 夫:切 迫 早 産-そ の 病 態 と診 断 の ポ イ ン トー-,Perinatal Care,14(9),P.803-808, 1995. 7)小 野 雄 一 郎:勤 労 婦 人 の 労 働 環 境 と妊 娠,周 産 期 医 学,22(8),P.1097-1104,1992. 8)苅 部 正 隆:切 迫 早 産 の 最 新 知 見;定 義 か ら 治 療 ま で,助 産 婦 雑 誌49(6),P.461-464,1995.
9) Harumi Shikoda, et al; Psychological Dis-tress In Pregnancy And Threatened Preterm-Delivery, The Japan Academy ofNursing ScienceSecond International Nursing Research Conference, P.368-369, 1995.
27.マ
タニ テ ィブ ル ー ズ 発 症 予 知 に 関 す る基 礎 的 研 究
-妊婦 の精神 身体状 況 とPGD2と
の
関連-名 古屋市立大学看護短期大 学部 ○ 長 川 ト ミヱ 川 村 恵 美 小 笠 原 昭 彦 1.は じめ に Pittに よれ ば1),マ タニ テ ィプ ル ー ズ は,「 産 後 3∼4日 」 に 「軽 い抑 うつ症 状 を呈 し達,「頻 度 が 高 いjこ とを3主 徴 とす る もの と定 義 して い る。 しか し,診 断 基 準 は は っ き り決 め られ て お らず, ま た,予 防 的 基礎 資 料 は乏 しい。マ タニ テ ィブ ルー ズの 発 症 予 防 は早 期 予 知 に あ る こ とか ら,わ れ わ れ は,中 枢 神 経 作 用 との 関連 が 示 唆 され て い るプ ロ ス タ グ ラ ン デ ィ ンD2(以 下PGD2)に 着 目 し, その 測 定 値 と褥 婦 の精 神 身体 症 状 との 関 連 を検 討 して い る とこ ろ で あ る が,今 回 は,妊 娠 中 のPGD2 値 と妊 婦 の 精 神 身体 状 況 との 関 連 を分 析 したの で 報 告 す る。 II.研 究 方 法 1.対 象 1995年7月 と8月 の2か 月 間 に名 古屋 市 内2病 院 の 中期 母 親 学 級 受 講 者 で,同 意 の得 られ た 妊 婦 58名(初 産 婦42名,経 産 婦16名)。 2.方 法 1)自 己式 質 問 紙 調 査 ① 妊 婦 の ソー シ ャ ルサ ポー トネ ッ トワ ー クの 大 き さは,現 在 大 切 に思 っ て い る人 すべ て の 人 数 を 列 記 す る。 ② マ タ ニ テ ィプ ル ー ズの 測 定 尺 度 は,Zung抑 うつ 尺 度(SDS)20項 目 と妊 産 婦 の 自覚 症 状5項 目 を4段 階 評 価 と した。 ③ 心理 的 要 因 と して は,マ タ ニ テ ィプ ル ー ズ と 関 連 が 深 いMPI-神 経 症 尺 度24項 目 を3段 階 評 価 と した. 2>PGD2値 の 測 定 ① 唾 液1mlを 採 取 し,直 ち に凍 結 保 存 した 。 ②PGD2値 の 測 定 に は,酵 素 免 疫 測 定 法 の キ ッ トを用 い た 。 測 定 の 安 定 性 につ い て は,キ ッ トの メー カ ー に よ り確 立 され た方 法 で あ る。 3)デ ー タの 分 析 ①SDSと 自覚 症 状 は,質 問 項 目の も っ と も肯 定 的 な 回答 に4点,最 も否 定 的 な 回答 に1点 の配 点 と し,t検 定 を用 い た, ②MPIは,質 問項 目の 「は い 」 に2点,「 ど ち らで も な い」に1点,「 い い え」に は0点 の 配 点 と し,t検 定 を用 い た 。総 得 点 の 平 均 値+1SD以 上 を 「神 経 症 強 い群 」,平 均 値-1SD以 下 を 「神 経 症 弱 い群 」 と した。 ③PGD2の 測 定 に はELISA法 を用 い.図1は 標 準 曲 線 で あ る。 図1PGD2-MOX(pg/ml)の 検 量 線 唾 液 中PGD2量 は,こ の 検 量 線 範 囲 内(10∼1000 pg/ml)に あ り,希 釈 或 い は 濃 縮 す る 必 要 は な か っ た 。 測 定 値 が100pg/ml以 上 を 高 値 群,以 下 を 低 値 群 と し た. III.結 果 1,背 景 初 産 婦42名(72.4%),経 産 婦16名(27.6%)で あ り,平 均 年 齢 は,29.4±3.85歳 で あ っ た 。 妊 娠 週 数 は,妊 娠 中 期53名(91.4%),妊 娠 後 期5名(8. 6%)で あ っ た.家 族 構 成 は,核 家 族50名(86.2%),複 合 家 族8 名(13.8%)で あ っ た 。 ネ ッ トワ ー ク の 大 き さ は, 1∼4人 は15名(15.8%),5∼9人 は32名(55. 2%),10∼15人 は11名(19.0%)で あ っ た 。 2.妊 婦 の 精 神 身 体 状 況 1)SDSと 自覚 症 状 の 程 度 軽 度 以 上 に 自 覚 さ れ た 項 目 で 出 現 頻 度 が 高 か っ た の は,SDSで は 疲 労 感87.9%,不 快 気 分63.8%, 便 秘62.0%,い ら い ら感51.9%で あ り,自 覚 症 状 で は 不 安 感50.0%,憂 慮48.3%で あ っ た 。 頻 度 が 低 く 自 覚 さ れ た 項 目 は,SDSで は 希 死 念 慮0.0%,体 重 減 少8.6%,自 己 過 少 評 価13.8%, 希 望 喪 失17.3%で あ り,自 覚 症 状 で は 脱 力 感18。 9%で あ っ た 。 SDSの 平 均 得 点 は29.39点,自 覚 症 状 の 平 均 得 点 は7.16点 で あ っ た 。 高 橋 ら の 褥 婦 のSDS平 均 点26.35点,自 覚 症 状 平 均 点6.53点 に 比 べ る と 高 得 点 で あ っ た 。 ま た,マ タ ニ テ ィ プ ル ー ズ 判 別 値 の 36点 以 上2)を 示 し た の は9名(15.5%)で あ り,高 橋 らの6.5%の2倍 以 上 で あ っ た 。 2)MPIとSDS・ 自覚 症 状 と の 関 連 MPI24項 目 の 総 得 点 平 均 は11.6±9.27で あ っ た 。 「神 経 症 強 い 群 」・「神 経 症 弱 い 群 」 とSDS・ 自覚 症 状 と を 比 較 し た 。(表1)SDSで は11項 目 に 有 意 差 を 認 め,自 覚 症 状 で は3項 目 に 有 意 差 を 認 め た 。 ま た,MPIとSDS・ 自覚 症 状 と の 相 関 係 数 はr:0.78で 高 い 相 関 を 認 め た 。 3)ネ ッ ト ワ ー ク の 大 き さ とSDS・ 自覚 症 と の 関 連 現 在 大 切 に 思 っ て い る 人 の 人 数 が 「4人 以 下」 ・ 「10人 以 上 」 とSDS・ 自 覚 症 状 と を 比 較 し た と こ ろ,(表1)SDSで は2項 目 に 有 意 差 を 認 め た 。 4)PGD2値 とSDS・ 自 覚 症 状,MPIと の 関 連 PGD2測 定 値 の 平 均 は102pg/ml(最 高 値409pg/ ml)で あ っ た 。 高 値 群 は23名(40.4%),低 値 群 は 34名(59.7%)で あ っ た 。 高 値 群 ・低 値 群 とSDS・ 自 覚 症 状 と を 比 較 し た と こ ろ,(表1)SDSで は 「啼泣 」,「不 眠 」,「動 悸 」,「精 神 運 動 焦 燥 」,「い ら い ら感 」に 有 意 差 を 認 め た 。自覚 症 状 で は 「悲 哀 感 」はP<0.08で あ っ た 。 また,PGD2高 値 群 に,褥 婦 に み ら れ る マ タ ニ テ ィプ ル ー ズの 主 要 症 状 を認 め る こ とが で き た。 SDS得 点36点 以上 を示 した9名 のPGD2値 は, 高値 群5名,低 値 群4名 で あ っ た。 こ の 高得 点 者 9名 のSDS総 得 点 を基 準 変 数 と し,20項 目 の 内, 全 対 象 者 が 否定 した「 死 ん だ 方 が 人の ため に な る と思 う」を除 い た19項 目に重 回帰 分 析 を実 施 した。 「い らい ら感」 「性 的 関 心 低 下」 「精 神 運 動 制 止 」 「精 神 運 動 焦 燥 」 「啼泣 」の5項 目にF値 が 有 意 と な っ た。 PGD2高 値 群 ・低 値 群 とMPIと を比 較 した とこ ろ,(表2)24項 目 中9項 目 に有 意 差 を認 め た。 IV.考 察 マ タニ テ ィプ ルー ズ発 症 予 防 は,要 因 と思 わ れ る 因子 を早 期 に 発 見 す る こ とに あ る。 マ タニ テ ィプ ル ー ズの 発 症 要 因 に は,性 格 的 要 因,社 会 的 要 因 が 関 与 して い る2)と考 え られ て い るが,客 観 的 指 標 と な る報 告 は少 な い。 そ こで, 褥 婦 の 唾 液 中のPGD2と 精 神 身体 状 況 との 関連 に つ い て は す で に 報 告 して い る とこ ろ で あ るが,今 回 は 妊 婦 の 唾 液 中PGD2と の 関 連 を明 らか にす る 目的 で 本研 究 をお こ な っ た. マ タニ テ ィプ ル ー ズ測 定 尺 度 のSDS・ 自覚 症 状 とMPIと に は相 関 が 高 く,妊 婦 に お い て も,神 経症 要 因 と精 神 身体 状 況 に は 関 連 が あ る こ とが 明 らか に な っ た 。 また,妊 婦 を取 り囲 む ソー シ ャ ル サ ポ ー トネ ッ トワ ー クの 大 き さ と関 連 す る可 能 性 が あ り,妊 婦 の 不 安 や い らい ら感 を早 期 に 察知 し, そ れ に 対 応 す るサ ポ ー トシス テ ムづ く りの 必 要 性 が再 認 識 で きた。 今 回 の結 果 か らは,妊 婦 の精 神 身 体 症 状 と して 「い らい ら感 」 「性 的 関 心 低 下」「精 神 運 動 制 止 」 「精 神 運 動 焦 燥」 「啼泣 」の5項 目が あが っ た。 こ れ は,妊 婦 の 抑 うつ の特 徴 的 症 状 と考 え ら れ る。 一 方 高橋 らの ,褥 婦 の マ タニ テ ィプ ル ー ズ の特 徴 的 な症 状 で,今 回 の 結 果 と共 通 す るの は,「啼 泣 」 と 「精 神 運動 制 止 」 で あ り,「 い らい ら感 」 「性 的 関心 低 下」 「精 神 運 動 焦 燥 」は妊 婦 の み に現 れ た症 状 で あ っ た。 した が っ て,ZungのSDSに 現 れ る
抑 うつ傾 向 が 高 く と も,妊 婦 と褥 婦 とで は そ の 内 容 が 異 な る可 能性 が あ る と考 え られ る。 この 点 に つ い て は,分 娩 後 測 定 したSDSの 結 果 も合 わせ 検 討 す る必要 が あ る。 PGD2測 定 値 と精 神 身体 状 況 との 間 に 関 連 が み られ,特 にPGD2高 値 群 で す で に マ タ ニ テ ィブ ルー ズ の 主要 症 状 と類 似 の 症 状 が 認 め られ た こ と か ら,産 褥 期 の マ タニ テ ィブ ル ー ズ発 症 に も関 わ る可 能 性 が あ る と考 え られ る。 更 に分 娩 後 の測 定 値 と比較 検 討 して い きた い 。 V.結 論 産 後 の マ タニ テ ィブ ルー ズ の 発 症 予 知 の 目的 で,妊 婦 の精 神 身体 状 況 と客 観 的 指 標 と して 唾 液 中PGD2と の 関 連 を検 討 し,以 下 の結 果 を得 た。 1)妊 婦 に も マ タ ニ テ ィ ブ ル ー ズ と 類 似 し た 症 状 が 発 現 し て い る 。 2)妊 婦 の 精 神 身 体 状 況 は 神 経 症 要 因 と関 連 性 が あ る 。 3)PGD2と 妊 婦 の 精 神 身 体 状 況 と の 関 連 性 を 認 め た 。 引 用 文 献 1) Pitt,B:MaternityBlues,Brit.J.Psychiat, 431-433,1973. 2) 高 橋 三 郎 他:わ が 国 に お け る マ タ ニ テ ィ ブ ル ー ズ の 実 態,ペ リ ネ イ タ ル ケ ア 臨 時 増 刊 号, 4478-99,メ ヂ ィ カ 出 版,1989 3) 染 矢 俊 幸 他:マ タ ニ テ ィ ブ ル ー ズ,周 産 期 医 学,21,276-277,1991. 表1 SDS・ 自 覚 症 状 とMPI・ ソ ー シ ャ ル ネ ッ トワ ー ク の 大 き さ ・PGD2値 と の 関 係 *P<0.05**P<0 .01***P<0.001
表2 MPIとPGD2値 と の 関 係
28.吸
畷 反 応 分 析 テ ス トを用 い た
経 口哺乳開始 時期 の検討
一 判定 基 準 の妥 当性 につ いて一
長野 県立 こども病院 ○ 黒 柳 志 の ぶ 菅 沼 明 美内田美恵子
三輪百合子
1.は じめ に 私 達 は 第9回 日本 助 産 婦 学 会 に お い て,実 際 に 経 口哺 乳(瓶 哺 乳)を 行 って い る児(哺 乳 群)と 経 口 哺乳 を行 って い な い 児(非 哺 乳 群)に 分 け て 吸 畷 反応 パ ター ンの 分 析 を行 い。 経 口哺 乳 開 始 時 期 に つ い て 客 観 的 基 準 の 試 案 を 作 成 し発 表 し た 。1)その 後,そ の 試案 に 基 づ き,ア イ ビ ジ ョ ン社 の協 力 で コ ン ピ ュー ター を用 い た 自動 判 定 プ ロ グ ラム(以 下,吸 畷 反応 分 析 テ ス ト)の 作 成 を行 っ た 。今 回 この 吸 畷 反 応 分 析 テ ス トを行 な い 経 口哺 乳 に 移 行 した症 例 を分 析 し,吸 畷 反 応分 析 テ ス ト の 妥 当性 に つ い て検 討 した の で 報告 す る。 II.方 法 1.対 象;1995年3月 ∼1995年11月 ま で に 当 院 新 生 児 病 棟 に 入 院 し た 出 生 週 数27週0日 か ら33週2 日平 均31週2日 ±2週1日 。出 生 体 重 は710gか ら 1900g平 均1419.5g±490.8gの 低 出 生 体 重 児 で 表1 出 生時 週 数 と抜 管時 まで の 日令 及 び週数 呼 吸 ・循 環 状 態 が 安 定 し空 乳 首 を くわ え させ る と 吸 畷 運 動 が 見 られ た 児 の 中 で 吸 畷 反 応 分 析 テ ス ト に 合 格 し経 口哺 乳 を 開 始 した 児11症 例(表1) 2.測 定 方法 1)使 用機 種;ア イ ビ ジ ョン社 製 呼 吸 機 能 測 定 装 置VM-840に 解 析 用 コ ン ピュ ー ターNECPC -9801と 印 刷 機 エ プ ソ ンHI-80を 接 続 した シ ス テ ム に 吸 畷器 具(ビ ジ ョン社 製 乳 首 に ポー テ ッ クス 社 製 気 管 内 挿 管 チ ュー ブ サ イ ズ3.5mmを 接 着 剤 で 固定 した もの)を 図1の 様 に 接 続 し,吸 畷 圧 と吸 畷 パ ター ン を画 面 上 お よび 記 録 用 紙 に 記 録 した 。 (図2) 2)測 定 時 間;当 院 の 定 時 の授 乳 時 間 前 で 空 腹 図1 吸 畷 圧 測定 装 置 の 略 図 図2 模 式 図かつ 覚 醒 状 態 に あ る時 3)測 定 回数;各 測 定 と も1分 間 の 測 定 を3 回行 う 4)吸 畷 反 応 の分 析 指 数2)(一 部 追 加) Pmax(cmH20);最 大 吸 畷 圧 B(Burst);2秒 以 上 の 休 止 を含 まな い 一 連 の 畷 反 応 ST(Suckingtime);1分 間 の バー ス ト合 計 時 間 BF(Burstfrequency);1分 間 の バ ー ス ト回数 5)吸 畷 反 応分 析 テ ス トの判 定 基 準 測定 した吸 畷 パ ター ン か ら最 大 吸 畷圧(Pmax), 1分 間 の バ ー ス ト合 計 時 間(ST),1分 間 の バ ー ス ト回数(BF)を 自動 的 に分 析 し,下 記 の 判 定 式 で コン ピ ュー ター が 自動 判 定 し合 否 を決 定 し た。 第一 判 定;最 大 吸 畷 圧 とバ ー ス ト合 計 時 間 の 関 係 図4 第 一判 定 Pmax>55-STで は無 条 件 で 哺 乳 可 能(合 格) Pmax≦45-STで は無 条件 で 哺 乳 不 可(不 合 格) 45-ST<Pmax≦55-STの 場 合 は更 に 第 二判 定;最 大 吸 畷圧 とバ ー ス ト回 数 の 関 係 (図5) Pmax≦30-2.5BFで 哺 乳 可 能 〈合 格 〉 また今 回は3回 の測 定 の う ち1回 以 上 合 格 し, 医 師 の 許 可 が で た場 合 経 口哺乳 を開 始 した。 III.結 果 1)吸 畷 反 応 分 析 テ ス トに合 格 して 医 師 よ り即 図5 第 二 判定 時 哺 乳 許 可(合 格 日 の 翌 日 を含 む)が お り た 症 例 は11例 中9例 で,9例 全 例 経 口 哺 乳 が で き た 。 医 師 よ り許 可 が お り ず 経 口 哺 乳 が 遅 れ た 症 例 は 修 正 週 数 や 体 重 が 小 さ い 症 例 で あ っ た 。(表2) 2)吸 畷 反 応 分 析 テ ス トに 合 格 し た 週 数 は32週 4日 か ら43週4日 で,平 均 修 正 週 数 は35週6日 ± 3週4日 で あ っ た 。 超 低 出 生 体 重 児 が 合 格 し た 平 均 修 正 週 数 は39週6日 ±2週 で1000∼1900gの 低 出 生 体 重 児 が 合 格 し た 平 均 修 正 週 数 は33週4日 ± 1週2日 で 明 ら か に 超 低 出 生 体 重 児 が 合 格 し た 週 数 は 遅 れ て い た 。(表3)(図6) 3)吸 畷 反 応 分 析 テ ス トに 合 格 し た 体 重 は1400 gか ら1712gで,平 均 体 重 は1542g±115.3gで あ っ た 。 超 低 出 生 体 重 児 が 合 格 し た 平 均 体 重 は 1480.5g±158.1gで1000∼1900gの 低 出 生 体 重 児 が 合 格 し た 平 均 体 重 は1577.1g±75.3gだ っ た 。 4)経 口 哺 乳 を 開 始 し た 週 数 は32週4日 か ら43 週4日 で,平 均 修 正 週 数 は36週4日 ±3週3日 で あ っ た 。 超 低 出 生 体 重 児 の 平 均 修 正 週 数 は40週4 日 ±2週 で1000∼1900gの 低 出 生 体 重 児 の 平 均 修 正 週 数 は34週1日 ±1週 で あ っ た 。 5)経 口 哺 乳 を 開 始 し た 体 重 は1400gか ら1742 gで 平 均 体 重 は1566.9g±106.8gで あ っ た 。超 低 出 生 体 重 児 で は 平 均1540.5g±9159.5gで 1000∼1900gの 低 出 生 体 重 児 で は 平 均1582g± 74.6gだ っ た 。
表2 吸 畷 反応 テ ス ト結 果及 び経 口開 始 週数 *経 口開 始週 数 は哺乳 出来 た週数 を 言 う 表3 テス ト合格時及び経 口哺乳開始時の平均週数及び体 重 図6 吸畷 反応 分 析 テ ス ト結果(第 一 判 定) IV.考 察 1)吸 畷 反 応 分 析 テ ス トの 妥 当 性 今 回 吸 畷 反 応 分 析 テ ス トに合 格 した 症 例 は 全 症 例 経 口哺乳 出 来 た。 も と も と判 定 基 準 を作 成 す る に あ た り集 め た 『哺 乳 群 』 は実 際 に経 口哺 乳 を行 な わ れ て い た,し か も 出生 週 数 が30週 以 下 の 症 例 で あ る こ と を考 え る と,判 定 基 準 そ の もの の 妥 当 性 は高 い と考 え られ る。 だが,吸 畷 反 応分 析 テ ス トに合 格 し たに もか か わ らず 医 師 か ら経 口 哺乳 開 始 の許 可 が 降 りなか っ た 症例 が い た 。 その 症 例 は 体 重 ・修 正 週 数 が 従 来 の規 定 に達 して い な い 児 で あ っ た。 私 達 が 吸 畷 反 応 分 析 テ ス トを始 め て2年 に な るが,そ の 判 定 基 準 の信 頼 性 は 医 師 に ま だ認 め られ て い な い こ とが 考 え られ る。 今 後 症 例 を増 や し検 討 を続 け て い く必 要 が あ る。 2)修 正 週 数 に よ る経 口哺 乳 開 始 時 期 の 妥 当 性 吸 畷 反 応 分 析 テ ス トの 合 格 修 正 週 数 は,32週4 日か ら43週4日 とば らつ きが 大 き く,出 生 体 重 に よ る差 が 大 き い。 超 低 出 生 体 重 児 は 人 工 呼 吸器 装 着 期 間 が 長 く,抜 管 時 の修 正 週 数 が す で に35週 を 越 え て お り,吸 畷 反 応 分 析 テ ス トの 平 均 合 格 修 正 週 数 は約40週 で あ っ た。 しか し児 の 吸 畷 運 動 と,嚥 下 運 動 は34週 で協 調 的 に働 く とい わ れ て お り3)横尾 らは 超 未 熟 児 で も 33.3±1.0週 で 経 口練 習 を開 始 し35 .0±1,0週 で確 立 で きて い る。4)と述べ て い る。ま た鈴 木 ら は経 管 授 乳 中お よ び授 乳 直 後 の 口腔 刺 激 が 低 出 生 体 重 児 経 口哺 乳 の移 行 を早 め る効 果 を もつ こ と を明 らか に して い る。5)私達 も経 管 栄 養 中 空乳 首 で 口腔 内 刺 激 を行 っ て い るが 開 始 時期 や,刺 激 時 間 等 に統 一 性 が な い の で ,今 後 積 極 的 に 口腔 内刺 激 を行 な っ こ とに よ り,吸 畷 反 応 分 析 テ ス トに合 格 す る修 正 週 数 を早 め る こ とが で き る と考 え る。 3)体 重 に よ る経 口哺 乳 開 始 時 期 の 妥 当 性
吸 畷 反 応 分 析 テ ス トに合 格 した体 重 は今 回 の 結 果 で は1400gか ら1712gで あ っ たが,そ の 後 の 追 跡調 査 で2000gを 越 え る児 もお り体 重 が 経 口哺 乳 の 開始 の指 標 に な りに くい 。 4)吸 畷反 応分 析 テ ス トの 安 全 性 経 口哺 乳 を開 始 した修 正 週 数 や,体 重 は11例 症 中9症 例 が 吸 畷 反 応分 析 テ ス トに合 格 した 当 日 ま たは 翌 日に経 口哺 乳 を開 始 した の で 吸 畷 反 応 分析 テ ス ト合 格 時 と経 口哺 乳 開 始 時 の 間 に 大 きな 差 は 見 られ な か った 。 テ ス ト合 格 直後 に 医 師 よ り許 可 が でな か った 症例4,10も9日 後 と4日 後 に 無 事 経 口哺乳 が で き た。 今 後 経 口哺乳 確 立(経 管 栄 養 の併 用 が ない)に 要 す る期 間や 呼 吸 状 態 の 変 化 な ど詳 し く分 析 し吸 畷 反 応 分 析 テ ス トの安 全 性 につ い て検 討 して い く必 要 が あ る。 V.ま とめ 1.吸 畷 反 応 分 析 テ ス トを用 い て,『 合 格 』と判 定 さ れ た全 症 例 に お い て 経 口哺 乳 を開 始 す る こ と が で き た。 こ の こ と よ り,当 病棟 で作 成 した経 口哺 乳 開 始 時 期 の判 定 基 準 は 妥 当 で あ る。 2.吸 畷 反 応 分 析 テ ス トに合 格 し た修 正 週 数 や 体 重 はば らつ きが大 き く経 口哺 乳 開 始 の 指 標 とす る事 は難 しい。 3.吸 畷 反 応 分 析 テ ス トに 合 格 す る と経 口哺 乳 を 行 うこ とが で き るが,そ の安 全 性 につ い て今 後 検 討 し て い く必 要 が あ る。 謝辞 本 研 究 に あ た り,吸 畷 反 応分 析 テ ス トのプ ロ グ ラム作 成 して下 さ っ た ア イ ビ ジ ョンの 安達 哲 夫 氏 に深 謝 い た し ます。 文献 1)伊 藤 ゆ き他;極 小 未 熟 児 に お け る吸 畷 パ ター ンの 評 価 と経 口 哺乳 開 始 時期 に つ い て 日本 助 産 学会 誌 第8巻2号p64-67,1995.
2) Peter H. Wolff, MD; The serial organiza-tion of sucking in the young infant. Pediatrics Vol.42, NO.6, December p943-956, 1968.
3)仁 志 田 博 司;新 生 児 学 入 門,91医 学 書 院 1992. 4)横 尾 京 子;未 熟 児 お よ び 双 胎 児 と母 乳 保 育, ペ リ ネ イ タ ル ケ ア 冬 季 臨 時 増 刊 号 母 乳 保 育Vo1. 4NO.14,p221,1985. 5)鈴 木 え り 子 他;未 熟 児 に お け る 経 管 授 乳 中 の 口 腔 内 刺 激 が 早 期 コ ッ ト移 床 に 及 ぼ す 効 果 NICU,(3).No.6,P459-464,1990.
29.3D-CG(3次
元COMPUTERGRAPHICS)
を用 いた分娩 機 転 の学 習教材 の 開発
聖路加看護大学大学院
○有森
直子
聖路加看護大学
三橋
恭子
1.は じめ に 学 生 が分 娩 機 転 を理 解 す る 上 で 直 面 す る課 題 は,見 え な い現 象 を イ メー ジ化 す る こ とで あ る。 イ メー ジ化 は,学 習 者 が 現 象 を理 解 す る過 程 に お い て 重 要 な構 成 概 念 で あ り,特 に,現 象 の 実 在 感*1)が学 習 者 の 理解 を助 け る。 認知 科 学 で は 理 解 す る こ とに お け る実 在 感 が 重視 され 、 教 育 に お い て様 々 な学 習方 法 の 開発 研 究 に 導 入 され て い る。 単 に 断片 的 な知 識 を頭 の 中 に 映像 と して視 覚 的 に描 くだ け で な く,実 在 感 の あ る様 々 なエ ピ ソー ドを互 い に 関 連 させ な が ら学 習 す る こ とが,イ メー ジ化 とい う学 習 ア プ ロー チ の 特 徴 で あ る。 こ れ に よっ て,学 習 者 は,理 論 と現 象 の統 合 と,予 測性 の獲 得 が 可 能 とな る。 イ メー ジ化 は,① 様 々 な側 面 か らの見 え方,感 じ方 を知 る こ と,② それ ぞれ を連 続 性 を もっ て知 る こ と,③ 吟 味 す る こ と,と い う認 知 過 程 で構 成 され る1)。我 々 は,地 図 をみ る とき,ど こに何 が あ るの か,自 分 が ど こ に移 動 す れ ば,ど こに何 が み えて くるか,風 景 と して た ど る こ と もで き る。 こ れ は,自 分 の 視 点 を動 か し,イ メー ジ化 の過 程 を た ど って い るの で あ る。 学 生 が 分 娩 機 転 の 理 解 に お い て 直 面 して い る 「わ か ら な さ」は,胎 児 と産 道 の関 係 性 の 変化 が, 視 覚 的 に見 え な い こ とに よ る,上 下 ・左 右 ・奥 行 き とい う空 間 的感 覚 を発達 させ る こ との 難 し さ を あ ら わ して い る。 さ らに,学 生 は,分 娩 進 行 の過 程 の 中 で分 娩 機 転 を統 合 す る とい う課 題 に 直 面 す るが,こ れ は,単 に空 間的 に理 解 す るだ け で な く, 実 在 感 の あ る様 々 なエ ピ ソー ドや 文 脈 と共 に,多 様 な見 え 方 を知 る こ とや 吟 味 す る とい う学 習 の 機 会 を必 要 とす る。 こ の よ うな イ メー ジ化 とい う学 習 ア プ ロー チ を 補 助 す る学 習 教 材 の一 つ と して,研 究 者 は,2次 元 の 平 面 的 表 現 で は な く,奥 行 きの あ る立 体 感 を 表 現 す る3D(3次 元)CG(ComputerGraphics) に 着 目 し,こ れ を活 用 し て 分 娩 機 転 を 学 習 す る CAI(Computer Assisted Instruction>プ ロ グ ラ ム の 開 発 を 企 画 した 。 今 回 は,分 娩 機 転 を3D -CGと して 作 成 す る ま で の 過 程,お よ び3D -CGのVTR教 材 に つ い て 報 告 す る。 II.3D-CGのVTR教 材 の 概 要 主 題:胎 児 の 児 頭 の 回旋 ・下 降 と,骨 盤 の 形 態 的適 合 に つ い て 学 習 目標:正 常 な分 娩 経 過 に お け る分 娩 機 転 を, 分 娩 三 要 素 の 中 の 胎 児,産 道(今 回 は 骨 産 道)の 関 係 か ら理 解 す る。 III.作 成 過 程 1.企 画 1)助 産 学教 育 カ リキ ュ ラム の 助 産 診 断 学 ・助 産 技術 学 に お け る分 娩機 転 学 習 の位 置づ け の 明 確 化 2)学 習 者 に とっ て効 果 的 な学 習教 材 につ い て の 検 討 と,分 娩 機 転 学 習 プ ロ グ ラム の構 築 3)学 習 方 法 と して のCAIの 検 討 2.分 娩 機 転 学 習 プ ロ グ ラ ム の ア ウ トラ イ ン作 成 1)分 娩 機 転 を構 成 す る要 素 と入 力 デ ー タの 検 討 2)学 習 の順 序 性 の 検 討 3)シ ミュ レー シ ョン ・シナ リオ の 作 成 胎 児 の 児 頭 の 回旋 ・下 降 と,骨 盤 の 形 態 的 適 合 に 焦 点 を あ て た,分 娩 機 転 の シ ミ'レ ー シ ョン ・シ ナ サオ 3.教 材 とな る 画 面 の フ レー ム 原 案 ・テ キ ス ト作 成1)フ レ ー ム 原 案 作 成 2)入 力 原 案 作 成 入 力 デ ー タ:胎 児 模 型 お よ び 骨 盤 模 型 児 頭 お よ び 骨 盤 の 各 種 計 測 値 の 平 均 値 3)ナ レ ー シ ョ ン 原 案 作 成 4.シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 画 面 作 成 フ レー ム 原 案 の 画 面 設 計 に 従 い,2Dソ フ ト. 3Dソ フ トを 用 い て,CG画 面 を作 成 す る 。(2D ソ フ トは 画 面 デ ザ イ ン 作 成 時 に お い て 使 用 す る。) 1)第1段 階 骨 盤 ・児 頭 の 輪 郭 を 作 る モ デ リ ン グ 作 業 。 2)第2段 階 骨 盤 ・児 頭 を 配 置 し た3D空 間 を,カ メ ラ か ら 眺 め た 状 態 で 画 像 を 作 成 す る レ ン ダ リ ン グ作 業 。 こ れ は,骨 盤 ・児 頭 の 形 や 色 な ど を 設 定 し, 質 感 を も た せ る 。 最 後 に,シ ミ ュ レ ー シ ョ ン ・シ ナ リオ に そ っ て ア ニ メ ー シ ョ ン 化 す る 。 使 用 機 器:Power Macintosh 8100/80 シ ン ボ リ ッ ク スXL1200 使 用 ソ フ ト:S-Products,Adobe Photo-shop IV.今 後 の 課 題 1.3D-℃G 教 材 の 改 善 1)分 娩 三 要 素 をす べ て含 め る。 2)胎 児 の 児 頭 の 応 形 機 能(骨 重積)を 含 め る。 3)胎 児 の 身体 全 体 と 児 頭 との 関 連 性 を 表 現 す る。 2.CAIプ ロ グ ラム の 開 発 本3D-CGを 発 展 させ たCAIプ ロ グ ラ ム を開 発 す る。 1)VTRの よ う な一 方 向 の提 示 教 材 で は な く, 学 習 者 が,様 々 な状 況 を想 定 し なが ら ス トー リー を展 開 して い く相 互 的 学 習 教 材 とす る こ と。 2)様 々 な状 況 を展 開す るた め の 応 用 シ ミュ レー シ ョ ン を作 成 す る こ と。 今 回 は 入 力 デ ー タ と して模 型 の 測 定 値 を,画 像 化 した 。 現 在,人 体 形 状 の三 次 元 計 測 に つ い て,い くつ か の 方 法 が 報 告 され て い る2)。分 娩 の 経過 は,産 婦 の 産 道 と胎 児 の形 態 に よ っ て も異 な る。 倫 理 的 な手 続 き を経 た上 で,対 象 に侵 襲 の な い計 測 法 を用 い て個 別 的 な デ ー タ を入 手 で きれ ば,よ り現 実 に近 い実 在 感 の あ る シュ ミレー シ ョ ン を作 成 す る こ とが 可能 とな る。 3)プ ロ グ ラム の 評価 方 法 の 開 発 。 特 に,イ メー ジ化 とい う学 習 の視 点 か らプ ロ グ ラ ム を検 討 す る こ と。 3.今 回 の デ ー タ を基 に,マ ル チ メデ ィ ア の 技術 を用 い た イ ン タ ラ クテ ィブ 性 の あ る コ ン ピュー タ メデ ィア(CD-ROM,イ ン ター ネ ッ ト)に お け る学 習教 材へ の発 展 も考 え られ る。 注 ・1)実在 感:ま るで 目の 前 で現 象 が 生 じて い る よ うな 実感 。 謝 辞 本教 材 の作 成 に あ た り,ご 協 力 い た だ き ま した 学研 の建 部 氏 、 ス リー エ ー シ ス テ ム ズ の西 川,尊 田両 氏 に 深 謝 い た し ます 。 引 用 文 献 1) 佐 伯 絆: イ メー ジ化 に よ る知 識 と学 習, 東 洋 館 出 版 社, 1992. 2) 吉 澤 徹: 人体 形 状 の 非 接 触 三 次 元計 測, 人 間 工 学, 30(3), 119-123, 1994.