Stroke Care Unit における理学療法実施回数の増加がFIM の改善に与える影響について
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(2) 334. 理学療法学 第 43 巻第 4 号. 表 1 対象者の基本情報 増員前群. 増員後群. p値. 年齢 (歳). 74.4 ± 12.1. 72.1 ± 12.8. n.s.. 性別 (名). 男:87 女:72. 男:63 女:55. n.s.. 診断名 (名). 脳梗塞:155. 脳出血:79. 開始時 FIM(点). 脳梗塞:79. 脳出血:20. くも膜下出血:15. くも膜下出血:19. 47.4 ± 26.3. 47.5 ± 27.2. n.s.. n.s.. 平均値±標準偏差 n.s.:not significant. 表 2 開始期間,SCU 入院期間,1 日あたりの平均単位数の比較 増員前群. 増員後群. p値. 平均 (日). 1.4 ± 1.8. 1.3 ± 1.5. n.s.. 最短 (日). 0. 0. 最長 (日). 7. 5. SCU 入院期間 (日). 7.1 ± 4.2. 7.2 ± 3.9. n.s.. SCU 入院中の理学療法 (単位). 1.7 ± 0.8. 2.9 ± 1.2. <0.01. 一般病棟入院中の理学療法(単位). 2.4 ± 0.7. 2.6 ± 0.8. 0.053. 作業療法 (単位). 2.0 ± 0.4. 2.1 ± 0.5. n.s.. 言語聴覚療法 (単位). 1.8 ± 0.5. 2.0 ± 0.5. <0.01. 理学療法開始までの期間. 1 日あたりの平均単位数. 平均値±標準偏差 n.s.:not significant. タベースを用いて後方視的に調査した。1 日あたりの平. 別,診断名,理学療法開始時の FIM に有意な差は認め. 均単位数は,SCU 入院中の理学療法と一般病棟入院中. なかった。. の理学療法,入院中の作業療法,入院中の言語聴覚療法. 入院から理学療法開始までの期間や SCU 入院期間,1. の項目とし,入院期間中の合計単位数を入院日数で除し. 日あたりの作業療法の平均単位数は有意差を認めなかっ. て 算 出 し た。FIM 利 得 は, 開 始 時 ∼ 1 週 間 後 ま で を. た。SCU 入院中の 1 日あたりの理学療法の平均単位数. FIM 利得 A,開始時∼ 2 週間後までを FIM 利得 B,1. および 1 日あたりの言語聴覚療法の平均単位数は増員後. 週間後∼ 2 週間後までを FIM 利得 C とした。また,理. 群が有意に多かった。一般病棟入院中の 1 日あたりの理. 学療法の平均単位数の増加と FIM 利得との関係を検証. 学療法の平均単位数は,2 群間に有意差を認めなかった. するため,SCU 入院中の 1 日あたりの理学療法の平均. が,増員後群が増加傾向(p = 0.053)を示した(表 2) 。. 単位数を四分位で 4 群に階層化し,FIM 利得 B との比. FIM 利得の結果を表 3 に示す。理学療法開始時∼ 2. 較検討を行った。. 週間後までの FIM 利得 B および開始 1 週間後∼ 2 週間. 統 計 学 的 処 理 に は, 統 計 解 析 ソ フ ト JSTAT for. 後までの FIM 利得 C で増員後群が有意な改善を示して. Windows を用いた。年齢と入院から理学療法開始まで. おり,増員による FIM 利得の改善の効果は,1 週間以. の期間,1 日あたりの平均単位数,FIM 利得には対応の. 降にみられた。. 2 ない t 検定を,性別と診断名には χ 検定を,FIM には. SCU 入院中の 1 日あたりの理学療法の平均単位数は,. マンホイットニーの U 検定を使用した。また,理学療. 四分位にて単位≦ 1.50,1.54 ≦単位≦ 2.08,2.09 ≦単位. 法の平均単位数の増加と FIM 利得との関係の検証は,. ≦ 2.83,2.91 ≦単位に分けられた。それぞれの FIM 利. Kruskal-Wallis 検定後に Scheffe 法にて多重比較を行っ. 得 B の結果を図 1 に示す。SCU 入院中の 1 日あたりの. た。いずれも有意水準は 5%とした。. 理学療法の平均単位数の違いで FIM 利得 B に差を認め. 結 果 対象者の基本情報を表 1 に示す。入院時の年齢と性. た(p < 0.01)。また,2.91 ≦単位の FIM 利得 B は,単 位≦ 1.50 の FIM 利得 B に比べ有意な改善を認めた。.
(3) SCU における PT 実施回数の増加が FIM の改善に与える影響. 335. 表 3 FIM 利得の比較 増員前群. 増員後群. p値. 開始時 FIM (点). 47.4 ± 26.3. 47.5 ± 27.2. n.s.. 1 週間後 FIM (点). 58.5 ± 32.4. 61.9 ± 33.3. n.s.. 2 週間後 FIM (点). 66.4 ± 36.1. 73.5 ± 38.2. n.s.. FIM 利得 A(点). 11.1 ± 25.9. 14.5 ± 20.9. n.s.. FIM 利得 B (点). 19.0 ± 27.9. 26.0 ± 25.1. <0.05. FIM 利得 C (点). 7.8 ± 12.9. 11.6 ± 14.9. <0.05. 平均値±標準偏差 n.s.:not significant. 床に対する介入は,3 ヵ月後の modified Rankin Scale 0 ∼ 2(まったく症候がない∼軽度の障害)という良好な 結果に含まれる割合を減少させた. 8). という報告もある。. FIM 利得 B. しかし,本研究では FIM 利得に良好な結果を示した。 これは,理学療法の開始が,平均 1.3 ± 1.5 日(最短 0 日∼最長 5 日)と 24 時間以降であったことが影響して いるものと考えられた。今回の調査によって,発症 1.3 ± 1.5 日より開始された理学療法 2.9 単位,作業療法 2.1 単位の計 5.0 単位の実施量,そして理学療法 2 回,作業. 図 1 SCU 入院中の理学療法平均単位数の四分位別,FIM 利 得の比較 **:p<0.01. 療法 1 回の計 3 回の頻度,この程度の実施量と実施頻度 によって FIM 利得が改善することが示された。 今回の増員による FIM 利得の改善の効果は,理学療 法開始 1 週間以降にみられた。SCU 入院期間は 7.1 ± 3.9 日であったため,FIM 利得の改善は,理学療法実施回 数を増加させた SCU 入院中ではなく,一般病棟転室以. 考 察. 降であった。佐鹿ら. 9). は,脳卒中急性期患者に対して,. 今回,SCU 担当理学療法士の増員および実施回数の. 体幹機能と麻痺肢の回復を主目的としたプログラムを 2. 増加を図ることにより,SCU 入院中の理学療法の平均. 週間実施したことにより,2 ∼ 4 週の間で下肢の随意性. 単位数の増加を認め,FIM 利得の改善を認めた。また,. や座位能力の改善を認め,付加したプログラムの効果は. 理学療法士の増員を図った期間中の作業療法の平均単位. やや遅れて発現したと報告しており,本研究と同様で. 数の変化は認めなかったが,言語聴覚療法の平均単位数. あった。また,SCU 入院中の理学療法の平均単位数の. は有意な増加を認めた。. 増加に加えて,一般病棟入院中の理学療法の平均単位数. 言語聴覚療法の平均単位数の増加に関しては,言語聴. に有意差は認めなかったが,増加傾向を示しており,一. 覚療法の治療領域が他と異なり,ADL 改善に与える影. 般病棟転室以降に FIM 利得の改善を認めた要因となっ. 響が少ない. 6)7). ため,FIM 利得の改善に対する影響が. た可能性も考えられた。. 少ないものと考えられた。また,リハ実施量に関する先. 本研究の限界として,本研究は,具体的な治療内容に. 行研究では,1 日の理学療法および作業療法,自主練習. 関する検討を行っておらず,質の評価が十分でなかった. の総実施量が多いほど,ADL 改善度・改善率が大きく. ことが挙げられる。治療内容や治療効果について具体的. なること. 2). や,理学療法および作業療法の実施量の増 6). に検討することが今後の課題である。また,本研究は,. が報告さ. 実施頻度を増加することで実施量の増加を図った。その. れている。今回,作業療法の平均単位数に変化を認めて. ため,FIM 利得に影響を与えた要因が実施頻度の変化. おらず,SCU 入院中の理学療法の平均単位数の増加に. であったのか,実施量の変化であったのか明らかにする. より,FIM 利得の有意な改善を認めたことから,SCU. ことは困難である。また,Kalra は,Stroke unit(以下,. 入院中の理学療法の実施量の増加が,FIM 利得の改善. SU)と一般病棟で管理された脳卒中患者を比較した研. に関与しているものと思われた。. 究 に お い て,SU で 管 理 さ れ た 脳 卒 中 患 者 の 方 が,. 一方,急性期リハにおける研究において,脳卒中発症. Barthel Index の早期改善や入院期間の短縮を認めたが,. 24 時間以内に開始した早期からの高密度・高頻度の離. その結果は,理学療法および作業療法の実施量の増加が. 加により,FIM の有意な改善を認めたこと.
(4) 336. 理学療法学 第 43 巻第 4 号. なくても達成されたと報告しており,患者および介助者 と専門職との連携が図られたことが結果に影響を与えた 可能性を指摘している. 10). 。今回の研究では調査が行え. ていないが,実施頻度を増加した副次的効果として,患 者やその家族,そして看護師等の多職種との連携を図る 機会が増えた可能性もあり,これらも結果に影響を与え た可能性が考えられた。今回は,理学療法士のかかわり のみの調査であり,患者やその家族,多職種とのかかわ りについての調査も行う必要があると思われた。 結 論 今回,SCU 入院中の理学療法実施回数の増加が FIM に与える影響について検証した。早期より多くの理学療 法を実施することにより ADL の早期改善を認めた。今 後は,具体的な治療内容や治療効果に対する検討,さら には患者やその家族,多職種とのかかわりが及ぼす影響 についても調査を行う必要がある。 文 献 1)日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会(編):脳卒 中 治 療 ガ イ ド ラ イ ン 2015. 協 和 企 画, 東 京,2015,pp. 21‒23.. 2)日本脳卒中学会脳卒中ガイドライン委員会(編) :脳卒 中 治 療 ガ イ ド ラ イ ン 2015. 協 和 企 画, 東 京,2015,pp. 277‒278. 3)近藤克則:訓練量とリハビリテーションの効果.リハビリ テーション医学.2004; 41: 849‒853. 4)服部愛子,大塚 功,他:脳卒中ケアユニットのリハ実 施量増加による合併症予防効果の検証.第 48 回日本理 学 療 法 学 術 大 会.https://www.jstage.jst.go.jp/article/ cjpt/2011/0/2011_Ba0293/_pdf(2015 年 7 月 12 日引用) 5)服部愛子,大塚 功,他:脳卒中ケアユニットのリハ実 施量増加による,運動機能,ADL,合併症予防に対する 効果検証.第 49 回日本理学療法学術大会.https://www. jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2012/0/2012_48101441/_pdf (2015 年 7 月 12 日引用) 6)渡邉 誠,奥山夕子,他:回復期脳卒中患者における訓 練単位増加と年齢別の ADL 改善との関係.脳卒中.2012; 34: 383‒390. 7)奥山夕子,園田 茂,他:脳卒中患者に対する FIT(Fulltime integrated treatment)プログラムの現状.理学療法 科学.2010; 25: 275‒280. 8)The AVERT Trial Collaboration group: Efficacy and safety of very early mobilisation within 24 h of stroke onset (AVERT): a randomised controlled trial. Lancet. 2015; 386: 46‒55. 9)佐鹿博信,今吉 晃,他:高齢脳卒中患者に対する理学療 法と作業療法による急性期リハビリテーションの効果に関 する研究.リハビリテーション医学.2003; 40: 196‒204. 10)Kalra L: The influence of stroke unit rehabilitation on functional recovery from stroke. Stroke. 1994; 25: 821‒825..
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