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透析療法期における理学療法

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(1)理学療法学 第 46 巻第 4 号 283 ∼ 288 頁(2019 年) 透析療法期における理学療法. 283. 理学療法トピックス シリーズ 「糖尿病重症化予防と理学療法」. *. 連載第 3 回 透析療法期における理学療法. 河 野 健 一 1). 慢性透析療法の疫学からみた理学療法の必要性. で運動器疾患の発症リスクが高いことも認識する必要が ある。.  最新(2017 年 12 月 31 日現在)の日本透析医学会統.  理学療法士が透析患者とかかわる機会は,糖尿病,心. 計調査によると,慢性透析療法を受けている患者総数は. 血管疾患,運動器疾患の重症化を含めた予防的疾患管理. 334,505 人,国民 379 人に 1 人が透析患者であり,患者. に加え,急性疾患に罹患し機能低下や活動制限に至った. の平均年齢は 68 歳で年々増加している。新規透析導入. 入院患者,退院し外来透析に復帰したものの機能低下や. 患者の平均年齢が 70 歳,導入患者を 5 歳刻みで層別化. 活動制限の残存した患者に実施することが多い。透析と. するともっとも割合の高い年齢層は男性が 75 ∼ 79 歳,. 関連する多様な疾患やその病態に関する知識だけでな. 1). と高齢での透析導入例が多いこと. く,予防理学療法の視点,機能や活動の向上に必要な有. が平均年齢増加の要因と考えられている。また,透析歴. 効性が実証された理学療法評価や理学療法を提供する能. の長い患者も一貫して増加している。このような背景を. 力が求められる。本説では,透析患者に対して理学療法. 有する慢性透析患者の死亡原因は,感染症と心不全が多. 士がかかわる現状の実態を踏まえ,最新の研究成果を含. い。加えて,透析患者の疫学で重要なアウトカムとなる. め実証状況に即した理学療法と今後の課題について概説. 入院理由も腎移植を除くと心・血管疾患(脳血管疾患,. する。. 女性が 80 ∼ 84 歳. 1). 大動脈・末梢血管疾患を含む),感染症の割合が多い 。 また,透析導入に至る原疾患は糖尿病性腎症がもっとも. 透析患者に対する理学療法士のかかわりの実態. 多く,高血圧に起因する腎硬化症も年々増加している。.  日本糖尿病理学療法学会は 2017 年に糖尿病足病変・. 透析導入後も糖尿病慢性合併症の細小血管症や大血管症. 糖尿病腎症患者における理学療法士のかかわりの実態. に起因する足病変,冠動脈疾患,そして末梢動脈疾患の. 調査を報告した. 重症化予防に向けた予防的疾患管理が生命予後の改善だ. 答 1,363 件のうち透析患者に理学療法を行っているとの. けでなく入院を抑制するうえで重要となる。そして,年. 回答は 49% で,かかわる場面として,入院のみは 52%,. 代別で入院理由を概観すると,75 歳以上の後期高齢者. 外来のみは 2%,入院・外来両方は 33% だった。診療報. はそれ以前の年代と比較し,整形外科疾患の割合が明ら. 酬を算定しているとの回答は 74% で,廃用症候群がもっ. 1). かに高い 。大. 7). 。学会員 4,680 名を対象とし,有効回. 骨頸部骨折の発症率は高齢透析患者ほ. とも多く 64%,続いて運動器 54%,心大血管 35%,非. 2). 算定 2% だった(重複回答あり)。透析日の理学療法の. 糖尿病性腎症の患者は,慢性腎臓病(chronic kidney. 実施時間帯は,透析後が 82% ともっとも多く,透析前. disease:CKD)保存期の過程で腎障害が進むにつれて,. 59%,透析中 20% だった(重複回答あり)。また,透析. ど,また糖尿病罹患者ほど高いこともわかっている. 3‒5). など下肢筋力が低下. 患者に対して実施する理学療法は,ストレッチ 81%,レ. すること,そしてフレイルの割合が高いことが報告され. ジスタンス運動 81%,有酸素運動 79%,ADL 練習 78%. 膝伸展筋力. や足趾の把持力. 5). 。. 6). ている 。つまり高齢かつ糖尿病患者は透析導入の時点. が多く,在宅での身体活動量増加指導は 50% と少なかっ た。理学療法を行っていない理由として,医師からの処. *. Physical Therapy for Dialysis Patients 1)国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科理学療法学分野 (〒 286‒8686 千葉県成田市公津の杜 4‒3) Kenichi Kono, PT, PhD: Department of Physical Therapy, International University of Health and Welfare Graduate School キーワード:透析,身体機能,理学療法,運動療法,日常生活活動 指導. 方が出ない 40%,診療報酬が算定できない 15%,マン パワー不足 9%,運動療法のエビデンスが少ない 2% と いう結果だった。  以上の実態をまとめると,透析患者に対する理学療法 は,入院患者にかかわる機会が多いが外来患者にもかか.

(2) 284. 理学療法学 第 46 巻第 4 号. わる,廃用症候群や運動器疾患など活動制限を併存しや. 外来通院中の透析患者に実施すべき理学療法 評価と理学療法. すい患者にかかわる機会が多い,透析日は透析後に理学 療法を実施することが多い,機能練習や ADL 練習が主 体で在宅復帰後の活動に関する指導の実施割合が少な.  外来通院中の透析患者に対する理学療法の目的は,糖. い,という現状がうかがえた。また理学療法士自身は理. 尿病足病変,冠動脈疾患,末梢動脈疾患の重症化予防に. 学療法の必要性や有効性を既有のエビデンスレベルで認. 向けた年齢を問わない予防的疾患管理が中心となる。加. 識しているが,診療報酬等の制度上の問題を含め医師や. えて,高齢および長期透析患者においてはフレイルの予. 他職種との間で理学療法の役割や有用性を十分に共有す. 防や改善,そして転倒や整形外科疾患の予防も重要な役. ることができていない現状も推察された。. 割となる。いずれも入院加療やそれに伴う廃用症候群の. 透析患者に対する理学療法にかかわるエビデ ンスの外観  透析患者に対する理学療法のエビデンスとして,腎 8). 臓リハビリテーションガイドライン. 発症を予防し,身体機能,活動,参加を維持しながら慢 性透析を継続できるという点で,患者だけでなく家族や 通院透析施設にとって大きな利益となり,慢性透析療法 以外に費やされる社会保障費の抑制にも寄与する。. が参考になる。. Clinical Question「運動療法は透析患者において有用. 1.理学療法評価の視点. か?」に対して,透析患者における運動療法は,運動耐.  上述した予防を達成するためには,在宅生活におい. 容能,歩行機能,身体的 QOL の改善効果が示唆される. て身体活動量を高く保つことが重要と指摘されてい. ため,行うことを推奨する(エビデンスレベル I B)と. る. 明記されている。加えて,本ガイドライン以外にも複. 命予後が 2 ∼ 3 倍高いこと,また運動指導等にて 1,000 歩. 数のシステマティックレビューならびにメタ解析論文. 活動量を増加させることで死亡リスクが 0.8 倍程度に減. において,運動療法によって運動耐容能 力. 9‒12). 9‒11). 9)10). ,身体的 QOL(quality of life). ,歩行能. が改善する. ことが明らかにされている。筋力は,腎臓リハビリテー. 14‒16). 。非透析日の身体活動が 4,000 歩以上の患者は生. 少すると報告されている. 14). 。また,身体活動量を高く保. つためには身体機能を低下させないことが重要なのはい うまでもなく,下肢筋力 19). 17). ,歩行速度 18),ADL(activity. が優れる患者ほど生命予後がよいこ. ションガイドラインではその有効性を統計学的には示す. of daily living). ことができていないものの改善傾向を指摘しており,他. とも実証されている。加えて,アウトカムを転倒とした. のメタ解析論文において下肢筋力の有意な改善が報告さ. 場合,SPPB(short physical performance battery)や握. れている. 10). 。. 力の低い患者,透析中の血圧低下. 20). が生じやすい患 21)22). 。さ.  ガイドライン等のエビデンスの活用にあたり配慮すべ. 者は転倒発生率が高いことがわかっている. きこととして,実態に即した研究成果かどうかを見極め. らに SPPB にて評価した身体機能は,GNRI(geriatric. る必要がある。システマティックレビューやメタ解析論. nutritional risk index)にて評価した栄養状態が不良な患. 文に採用された対象患者は,諸外国かつ 65 歳未満の安. 者ほど低いことも明らかにされている. 定した(急性疾患に罹患して間もない患者は除外され. アルブミンと体重から推定する簡易的なスクリーニング. た)維持期の透析患者となっている。65 歳以上の高齢. 指標である。予後予測において他の栄養指標に対する優. 者を対象にメタ解析を試みた報告. 10). 13). においても,採用. 位性が指摘され,生命予後. 23). 。GNRI は血清. 24). ,動脈石灰化の進行 25)に. であり,椅子からの. 対するカットオフ値は 90 と報告されている。また,日本. 立ち上がりを反復する筋力強化運動にて下肢筋力が改善. 透析医学会のガイドラインでは,血清リン濃度が 3.5 を. する傾向にあることを示すに留まっている。つまり,入. 下回る場合に食事摂取量や低栄養評価の必要性を認めて. 院中の透析患者や身体機能の向上が必要な外来通院中の. いる. 高齢透析患者に対する運動療法の明確なエビデンスは存. 栄養状態や身体機能の評価ならびにそのカットオフ値を. 在しないことを認識したい。しかしながら,エビデンス. 表 1 に示した。. された無作為化比較試験は 1 編. 26). 。外来透析患者に対して推奨されるリスク管理,. レベルが高くないことと,目前の透析患者に対する理学 療法にて効果をもたらさないという臨床判断は当然イ. 2.理学療法(運動療法,運動指導)の視点. コールではない。症例検討や観察研究であったとして.  身体活動量の低下した患者に対するアプローチとし. も,個々の患者に応じて実証された成果を拡大解釈せず. て,図 1 に示すフローチャートを参考に運動療法ならび. に活用する姿勢が重要と考えられる。. に運動指導を進めることが腎臓リハビリテーションガイ ドライン. 8). ならびにその原典 27) において推奨されて. いる。ここで示されている身体活動量の目標値は,最低 限確保すべき目標と述べられている。理学療法評価の結.

(3) 透析療法期における理学療法. 285. 表 1 外来透析患者に対する評価とカットオフ値 評価の観点. 判別するカットオフ値. 透析治療管理 透析前,中,後の血圧変動. 透析中の血圧低下(収縮期血圧 30 mmHg 以上低下)20). 透析日間の体重増加量の変動. −. ドライウェイトの変更の有無. −. 栄養状態の評価 GNRI. < 90 24)25). 血清リン濃度. < 3.5 mg/dL26). 身体機能の評価 身体活動量. < 4,000 歩 14). 快適歩行速度. < 1.0 m/ 秒 8)27). 最大歩行速度. 男性:1.48 m/ 秒 8)27) 女性:1.42 m/ 秒 8)27). SPPB. < 12 点 8)27). 等尺性膝伸展筋力. < 0.4 kgf/kg(ドライウェイト)8)27). 5 sit-stand test. > 14.5 秒(着座まで)8)27). 握力. 男性:< 26 kg 8)27) 女性:< 18 kg 8)27). 6 分間歩行距離. < 300 m 8)27). 運動耐容能(peak VO2). < 17.5 mL/ 分 /kg 8)27). GNRI, geriatric nutritional risk index; SPPB, short physical performance battery. 図 1 外来透析患者に対する身体機能と身体活動量の評価および運動療法・指導のフローチャート (文献 8,文献 27 より一部改変して引用). 果に基づき,合併症の重症度や透析治療状況を把握しつ. その概要をまとめた。. つ,身体機能の低下があると判断されれば個別的な監視.  図 1 のフローチャートにおける判断基準に含まれて. 型運動療法を併用し,身体活動量の向上につながる理学. いない視点として,加齢の影響を考慮する必要がある。. 療法として,運動療法や運動指導を実施したい。表 2 に. 2009 年度末の日本透析医学会の統計調査の結果,75 歳.

(4) 286. 理学療法学 第 46 巻第 4 号. 表 2 外来通院中の透析患者に対する理学療法 時間帯. 種目と方法. 有酸素運動. 透析時間以外. 透析中. 運動時間. 運動頻度. 運動強度. 週3∼5回. ・RPE11 ∼ 13 ・嫌気性代謝閾値の心拍数. エルゴメータ,トレッドミル. 20 ∼ 40 分. 自宅歩行. 30 分 / 日. 週4∼7日 息切れが生じない速さ (非透析日中心に). 身体活動量. 4,000 歩. 週4∼7日 ・RPE11 ∼ 13 (非透析日中心に). 重錘 エラスティックチューブ レジスタンス運動 (セラバンド) 自重トレーニング. 10 ∼ 20 分. 週 3 ∼5回. ・RPE13 ∼ 15 ・1RM の 60 ∼ 70% ・15RM. 物理療法. 治療的電気刺激療法. 20 ∼ 40 分. 週3回. 耐えうる最大の出力. バランス運動. バランスマット上 片脚立位,タンデム立位, セミタンデム立位,閉脚立位. 5分. 週3∼5回. 上肢支持なしで,最低 10 秒以上は保持可能な姿勢. 有酸素運動. エルゴメータ. 20 ∼ 40 分. 週3回. ・RPE11 ∼ 13. 重錘 レジスタンス運動 エラスティックチューブ (セラバンド). 20 ∼ 40 分. 週3回. ・RPE13 ∼ 15 ・1RM の 60 ∼ 70% ・15RM. 物理療法. 20 分. 週3回. 耐えうる最大の出力. 治療的電気刺激療法. RM, repetition maximum; RPE, rating of perceived exertion, SLR, straight leg raising 文献 8 を改変して引用. 図 2 高齢透析患者の日常生活活動度(文献 28 より一部改変して引用) 高齢者を年代ごとに非糖尿病,糖尿病に分けて 1 日の活動状況を示した.高齢者 また,糖尿病患者ほど活動度が低い.. 以上の高齢透析患者は,日常生活活動として半日以上臥 床している割合が約 25% と報告されている. 28). (図 2) 。. 患者の多くはフレイルやサルコペニアの状態,もしくは そのリスクがきわめて高いと推察される。個別的な監視. また,第 1 四分位が 57 歳,第 3 四分位が 72 歳の年齢を. 型運動療法や在宅での身体活動量を向上させる指導を,. 対象とした先行研究において,身体機能低下を判断する. 多くの透析患者が必要としている現状が示唆される。し. 等尺性膝伸展筋力のカットオフ値 0.4 kgf/kg を下回る. かし,外来透析施設においてリハビリテーションの施設. 患者は 47.4% と高い割合である. 17). 。つまり,高齢透析. 基準を取得し,専従の理学療法士が勤務する施設はきわ.

(5) 透析療法期における理学療法. 287. めて限定的でありその役割を十分に担えていない。医師. 学所見を慎重に確認しながら運動負荷量を調整する必要. や関連職種と現状を共有し,理学療法(士)の必要性を. がある。. 共通認識とするとともに,理学療法介入によって上述し.  入院中の透析患者に対する理学療法は,在宅復帰なら. た問題,つまり身体機能が改善,在宅での身体活動量が. びに入院前からの外来透析施設へ安定して通院できる身. 向上,長期予後として入院加療の割合が低下するといっ. 体機能,活動(移動能力)を確保することが最低限の目. たエビデンスを構築していくことが喫緊の課題といえる。. 標となる。加えて,在宅復帰後に身体機能が低下し活動 制限が増悪しないための指導,つまり身体活動量の確保. 入院中の透析患者に対する理学療法. とそのための運動指導や生活指導を,入院の原因疾患に.  入院中の透析患者は,入院の原因疾患,疾患の重症. 由来する症状を踏まえ,患者自身や療養をサポートする. 度,原因疾患によって出現した機能低下や活動制限が. 家族等に個別的に実施する必要がある。加えて,病診連. 患者ごとに多様であり,障害構造に応じた個別的理学. 携や地域連携の担当者を介して理学療法の視点から見た. 療法を実施しなければならない。しかし,これまでの先. 患者の生活状況について情報共有を図ることも重要とい. 行研究において入院中の透析患者を対象とした理学療法. える。. の成果は十分に明らかにされていない。その中で,脳神 経疾患,整形外科疾患,切断,心血管疾患,呼吸器疾. 最 後 に. 患,廃用症候群の患者を包括的に対象とした観察研究で.  透析患者の理学療法について,疫学的視点,理学療法. は,透析患者は非透析患者と比較し,FIM(functional. のかかわる実態,そして外来患者と入院患者それぞれの. independence measure)効率が悪く,在院日数も長い. 特徴を考慮した観点から概説した。透析医療においては,. ことが報告されている. 29). 。下肢切断患者に限った先行. 研究でも同様の結果が示されている. 30). 。透析患者では,. 脊椎外科や人工膝関節全置換術の周術期に有害事象が 多いこと. 31‒33). ,また,心臓外科術後の離床期にリハビ 34). 高齢化に加え,糖尿病を中心とした多くの慢性合併症を 併存し,身体機能が低下し,活動制限を有する患者が今 後ますます増加していくことが予想される。そのような 透析患者の多くが診療を受けている外来通院施設では,. がわ. 理学療法を必要としながらも施設基準を含めた診療体系. かっており,透析治療を含めた医学管理の長期化が身体. を構築できていない施設がほとんどである。診療体系を. 機能や ADL の回復,そして在宅復帰を遅らせる一因と. 構築するためには, 「理学療法の介入成果を実証データと. 推察される。そのため,透析患者では入院の契機となっ. して社会や関連職種に提示すること」を理学療法士自身. た病態が改善し,また透析療法も安定して実施できるよ. の担う職能としての役割として実践する必要がある。こ. うになった後,いかに理学療法の量を高められるかが課. れは職域の拡大にもつながる重要な活動と考えられる。. 題となる。. 透析患者の重症化予防は,患者の病態,症状,生活環境.  入院中の透析患者に理学療法を進めるにあたり,特に. によって介入方法は異なるが,すべての患者において必. 透析日の実施時間を確保するのに苦労することが多い。. 要な取り組みであり,理学療法士個々の役割を日常臨床. 多くの患者は透析前と比較して透析後に疲労感を強く訴. や臨床研究において発揮していかなければならない。. リテーションパスから逸脱する患者が多いこと. える。しかし,前述した理学療法士のかかわりの実態調 査を見返すと,透析日の理学療法は透析後にもっとも多 く実施されている。疲労感に関連する要因として,低い ADL や抑うつ的感情に加え,透析後の回復時間や炎症 性サイトカイン高値といった,透析治療自体がもたらす 問題も指摘されている. 35). 。したがって,透析日の理学. 療法は透析時間を調節し,可能な限り透析前に実施する ことで疲労感を抑えつつ理学療法の実施時間を確保する ことにもつながると考えられる。これは,同一施設内で 実施された先行研究においても実証されており,透析を 午後遅めの時間帯で設定し透析前にリハビリテーション を 3 時間実施した期間群は,透析日のリハビリテーショ ン実施時間が短かった期間群と比較し,FIM 効率が有 意に改善し,在院日数も有意に短いことが報告されてい る. 36). 。一方で,透析前はうっ血状態,高血圧,電解質. 異常といったリスクがあることを認識し,循環器系の理. 文  献 1)新田孝作,政金生人,他:わが国の慢性透析療法の現況 (2017 年 12 月 31 日現在).透析会誌.2018; 51: 699‒766. 2)Wakasugi M, Kazama JJ, et al.: Increased risk of hip fracture among Japanese hemodialysis patients. J Bone Miner Metab. 2013; 31: 315‒321. 3)Hiraki K, Yasuda T, et al.: Decreased physical function in pre-dialysis patients with chronic kidney disease. Clin Exp Nephrol. 2013; 17: 225‒231. 4)音部雄平,平木幸治,他:保存期慢性腎臓病患者における 筋力値および健常者平均値との比較.理学療法学.2017; 44: 401‒407. 5)Kataoka H, Miyatake N, et al.: Decrease in toe pinch force in male type w diabetic patients with diabetic nephropathy. Clin Exp Nephrol. 2018; 22: 647‒652. 6)Kakio Y, Uchida H, et al.: Diabetic nephropathy is associated with frailty in patients with chronic hemodialysis. Geriatr Gerontol Int. 2018; 18: 1597‒1602. 7)公益社団法人日本理学療法士協会:職能に資するエビデン ス研究糖尿病足病変・糖尿病腎症患者における理学療法.

(6) 288. 理学療法学 第 46 巻第 4 号. 士の関わりの実態調査報告書.http://www.japanpt.or.jp/ upload/japanpt/obj/files/chosa/tounyou_houkokusyo_2016. pdf(2019 年 4 月 10 日引用) 8)日本腎臓リハビリテーション学会:腎臓リハビリテーショ ンガイドライン.南江堂,東京,2018,pp. 38‒71. 9)Pu J, Jiang Z, et al.: Efficacy and safety of intradialytic exercise in haemodialysis patients: a systematic review and meta-analysis. BMJ Open. 2019; 9: e020633. doi:10.1136/bmjopen-2017-020633. 10)Matsuzawa R, Hoshi K, et al.: Exercise training in elderly people undergoing hemodialysis: a systematic review and meta-analysis. Kidney Int Rep. 2017; 2: 1096‒1110. 11)Sheng K, Zhang P, et al.: Intradialytic exercise in hemodialysis patients: a systematic review and metaanalysis. Am J Nephrol. 2014; 40: 478‒490. 12)Segura-Orti E: Exercise in haemodialysis patients: a systematic review. Nefrologia. 2010; 30: 236‒246. 13)Matsufuji S, Shoji T, et al.: Effect of chair stand exercise on activity of daily living: a randomized controlled trial in hemodialysis patients. 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