レジュメ
第 11 回
創作のキモ
長唄における
〈はまり〉と〈ふしづけ〉の基礎
講師 今藤 政貴
実演 今藤 政貴、今藤 長龍郎
2019.9.25.(水)
於:アコ・スタディオ
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長唄における<はまり>と<ふしづけ>の基礎 レジュメ
目次
Ⅰ はじめに
Ⅰ-1 見取図
Ⅰ-2 ふしづけ(広義)の主体
Ⅱ <はまり>の基礎
Ⅱ-1 <はまり>と<リズム>の関係
Ⅱ-2 <はまり>のいろは
Ⅱ-3 文字の“なわばり” 音の進行と<はまり>の関わり
Ⅲ <ふしづけ>のはなしを少し
Ⅲ-1 おもな原則
Ⅲ-2 いろんな工夫
Ⅳ 唄の<ふし>と<はまり>とか三味線の<手>と
か
Ⅳ-1 やっぱり「ふっつり」はすごい
Ⅳ-2 汐汲クドキのハイライト「待たば」
Ⅴ 本日のキモ
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Ⅰ はじめに
Ⅰ-1 見取図
ふしづけ…狭義には、歌詞に旋律をつける 広義には、旋律、リズム、はまりをひっくるめたうた全体をつくる はまり…字詞や旋律が三味線の手のなかにどう配置されているか、ということ旋律 リズム 旋律 (狭義のふし) はまり ≠リズム 長唄(あるいはその類)の作曲 ↑ 対応 ↓ うたをつくる 三味線の手をつくる うたをつくる
=
(狭義の)ふしづけ (広義の)ふしづけ はまりを決める ↓ リズムを決める2
Ⅰ-2 ふしづけ(広義)の主体
◎いずれにせよ、最低限、法則の理解がもとめられる。Ⅱ <はまり>の基礎
Ⅱ-1 <はまり>と<リズム>の関係
cf.譜例①A 越後獅子より「うつや太鼓の〜」 ◎<リズム>が「時間のなかで音がどういうタイミングで動くか」ということ を問題にしているのに対して<はまり>は、「拍子のなかにどう配置されるか」 ということが問題となる。Ⅱ-2 <はまり>のいろは
い ろ は に ほ へ と ち り ぬ る を い ろ は に ほ へ ど ち り ぬ る を ◎韻文を音読してみるとはまりが見えてくる。本来は作曲者
いろんな事情で作曲者以外の人がふしづけをすることも少なくない
一定の法則に従っていれば〈ふし〉は演奏者の裁量によって、ある程度
自由に決められるとういう習慣
長唄がもともと口伝であることの影響
↕
↑
↑
3 例 1. これやこの ゆくもかえるも わかれては しるもしらぬも おおさかのせき 例 2. おおえやま いくののみちの とおければ まだふみもみず あまのはしだて 例 3. みわたせば はなももみぢも なかりけり うらのとまやの あきのゆうぐれ 例 4. こころなき みにもあはれは しられけり しぎたつさわの あきのゆうぐれ ※七文字のことばに注目! ◎偶数伯に当てはめようとすると… 三文字の場合は 1 拍あまる → ふつう 2 拍目から出る 四文字の場合はあまらない → 1拍目から出る cf.譜例①A 越後獅子より「うつや太鼓の〜」 譜例② 風流船揃より「にぎおう すだの」 ↓ ◎以下の例でなぜ唄い出す前の手の数が違うか(違えたくなるのか)がわかっ てくる。 cf.譜例③ 紀州道成寺より「のぞみ足りぬと〜」 譜例④C 汐汲より 「それから 深う〜」 「なにが なにして」型 「なにして なにが」型 七文字のことばにおける一般的な組み合わせ 〇なにが なにして なにして ㋓なにが or なにして なにが㋐ 母音をのばす=産む <産み字>の素
4 例題 1 道成寺のマリ唄で「恋の分里〜」と「花の都は〜」は「オイ」という 掛け声で出るのに、「ぼんのう」の前だけは「フッヤ」とかかるのは なぜか?
Ⅱ-3 文字の“なわばり” 音の進行と<はまり>の関わり
◎ふつう、あるフレーズのなかの、それぞれの文字の拍数は同じ。 ex.越後獅子「打つや太鼓〜」 ●「打つや太鼓」の部分のような曲は1文字1拍 ●切迫した感じやスピード感を出したときなどは1文字半拍 ex.勧進帳「日は照るとも〜」 ●しっとりした感じがほしいとき、唄をしっかり聴かせたい場面などでは 1文字2拍 ↓ ex.クドキ、メリヤス etc cf.譜例⑤ 明の鐘 cf.譜例④A 汐汲より「おうたそのときゃ〜」 ◎1文字2拍フレーズでは、ふつう1文字目と2文字目をつめる 単語をききとりやすくする 単語と単語の区切をわかりやすくする ことばを聴きやすくする 進行がおちつく 産字も長くなる5 ◎また、軽快なノリでひけば”しっとり感”や”おちつき”感はあまり出ない が ”おいしい歌“にはなりやすい。 cf.譜例①B 越後獅子より「おらが女房~」 例題2 越後獅子より「おらが女房~」のくだりを「おいらがつまを」と歌詞 を変えて唄ってみよ。 ↑ ◎字数のくみあわせが変わったときは<はまり>を変える。 ☆以上のように曲想によって「字」と「拍」の関係にはある法則性を見出すこ とができるが、法則にこだわりすぎると曲が単調になりがち。
規則は破るためにある!?
原則をはずすことで唄を良くする工夫もある cf.譜例⑥A 娘道成寺より「恋の手習い~」 ※ちなみに「チントンシャン」とか「トンチントンシャン」「チャンチャン チャン」などは1文字2拍を誘導する。 ☆-つづきの曲のなかで、字と拍数の関係をスイッチすることで曲を躍動させ る工夫もある。 cf.譜例⑦ 勧進帳より「これやこの~」
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Ⅲ <ふしづけ>のはなしを少し
Ⅲ-1 おもな原則
ⓐ
三味線の音と不即不離の関係を保ちながら、そのフレーズの解決音に向う ◎三味線の音から、唄の音が離れることを「そらす」というが、そういうとき でも、唄の音は基本的にそのフレーズの中心音が支配する音階のなかで動く。参考
長唄にみられる主な音階 (1の糸を“シ”としたとき) cf.譜例⑦ 勧進帳より「これやこの~」ⓑ
ある程度江戸弁のイントネーションを反映する ex.越後獅子「うつや太鼓の~」 汐汲「それから深ういいかわしまの~」 例題3 汐汲「逢うたそのときゃ」を「ふすまあるときゃ」に変えてみよ。 ※イントネーションを守るより“良いふし”を作ることがしばしば優 先される。また、作曲者の意図をはかることも重要。田舎節 ラ シ レ ミ #ファ ラ 三下り系 田舎節 シ ド ミ #ファ ソ (ラ) シ シ #ド ミ #ファ #ソ シ 二上り系 ラ ♭シ レ ミ ファ (ソ) ラ 都節 ミ ファ ラ シ ド (レ) ミ ミ #ファ ラ シ #ド ミ 都節 田舎節 本調子系 都節
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