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調査 統計 歯科心身症患者における自律神経機能の評価 - 心拍変動に対する周波数解析を用いた検討 - 1, 三輪恒幸 * 天神原亮 ) 小笠原岳洋 ) 渡辺信一郎 ) 亀井英志 ) 1) 東京歯科大学臨床検査学研究室 ) 長栄歯科クリニック 抄録目的 : 長栄歯科クリニックでは 歯科心身症が疑われる

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Title

歯科心身症患者における自律神経機能の評価 : 心拍変動

に対する周波数解析を用いた検討

Author(s)

三輪, 恒幸; 天神原, 亮; 小笠原, 岳洋; 渡辺, 信一郎;

亀井, 英志

Journal

日本口腔検査学会雑誌, 2(1): 78-81

URL

http://hdl.handle.net/10130/1926

Right

(2)

三輪恒幸

1, 2 *

、天神原 亮

2)

、小笠原 岳洋

2)

、渡辺 信一郎

2)

、亀井英志

2)

 

抄 録 目的:長栄歯科クリニックでは、歯科心身症が疑われる患者に対し、自律神経機能検査を 行っている。今回我々は、歯科心身症の痛みや慢性不快症状が自律神経機能に与える影響 を心拍変動に対する周波数解析を用いて検討した。 方法:2008 年 7 月 1 日から 2009 年 6 月 30 日までに長栄歯科クリニックにて痛みや慢 性不快症状を有する歯科心身症が疑われた 50 人を対象とした。自律神経機能検査には、 APG ハートレータ- SA-3000P(東京医研)を用いた。 結果:歯科心身症患者における自律神経の活性度は、健常人と比較して全体的に有意な低 下が認められた。歯科心身症患者における副交感神経の活動は、健常人と比較して有意な 低下が認められた。歯科心身症患者における自律神経活動のバランスは、健常人と比較し て明らかな有意差は認められなかった。 結論:歯科心身症の痛みや慢性不快症状が自律神経の副交感神経を低下させ、自律神経活 性の全体的な低下が認められたことが示唆された。

キーワード:psychosomatic disorders in dentistry, autonomic nerve system, heart rate 論文受付:2010 年 2 月 22 日 論文受理:2010 年 3 月 1 日 *:〒 261-8502 千葉県千葉市美浜区真砂 1-2-2 TEL:043-270-3582 FAX:043-270-3583 e-mail: miwatsuneyuki@tdc.ac.jp

歯科心身症患者における自律神経機能の評価

-心拍変動に対する周波数解析を用いた検討-

1) 東京歯科大学臨床検査学研究室 2) 長栄歯科クリニック 緒 言  近年、顎顔面口腔領域に慢性疼痛や不定愁訴を呈す るいわゆる歯科心身症患者が増加していることが報 告されている1) 2)。一般に歯科受診の動機は、「痛み」 が 60%といわれ、そのうちの 5~10%が歯科心身症 に相当すると推測され、代表的な疾患に舌痛症、非定 型歯痛、顎関節症などが挙げられる3)。一方、慢性疼 痛の発生と維持には、自律神経活動を司る交感神経が 密接に関与していることが報告されている4) 5)。痛み による自律神経機能の変化を客観的に評価すること は、痛みの発生や遷延に自律神経がどのように関与し ているかを推定することにつながるといえる。近年、 様々な自律神経機能検査が臨床の場で使用されてい るが6)、その中に脈波から心拍変動を記録し、周波 数解析を行い、自律神経機能を評価する APG ハート レータ- SA-3000P(東京医研)がある。今回我々は、 顎顔面口腔領域に慢性疼痛や不定愁訴を呈するいわ ゆる歯科心身症が疑われる患者に対し、APG ハート レータ- SA-3000P を用い、自律神経機能を評価し、 歯科心身症が自律神経機能に与える影響を検討した。 対象および方法  2008 年 7 月 1 日から 2009 年 6 月 30 日までに、 長栄歯科クリニックにて歯科心身症が疑われ、自律

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日本口腔検査学会雑誌 第 2 巻 第 1 号:     , 2010 神経機能検査を行った 50 人を対象とした。被験者の 性差は、男性 7 人、女性 43 人で、平均年齢は 49.7 ± 14.7 歳(26~85 歳)であった(図 1)。また、対 照群として、特記すべき既往歴や合併症を有さず、 かつ、顎顔面口腔領域に慢性疼痛や不定愁訴を認め ない 15 人の健常人で行われた。患者と対照群の間に 平均年齢において有意差はなかった。対照群の性差 は男性 2 人、女性 13 人で、平均年齢は 45.0 ± 11.3 歳(28~62 歳)であった。  自律神経機能検査には、APG ハートレータ- SA-3000P を用いた。検査には、10 分以上の仰臥位安静 とした後で、非観血的連続動脈圧(示指で測定)を、 自発呼吸下にて 5 分間測定し、心拍変動に対する周 波数解析を施行した。  自律神経機能を評価する指標としては、以下の諸 指標を用いた。自律神経の全体的活動度の指標とさ れる全周波数帯心拍変動パワー(TP-RRI)、交感神 経と副交感神経の活動を同時に反映する指標とされ る低周波数帯心拍変動パワー(LF-RRI)、副交感神経 の活動に対する指標とされる高周波数帯心拍変動パ ワー(HF-RRI)、交感神経活動と副交感神経活動のバ ランスの指標とされる低周波数帯心拍変動パワー / 高周波数帯心拍変動パワー比(LF/HF-RRI ratio)を 用いた。測定結果は平均値±標準偏差で表わし、統 計学的検討には、繰り返しのない一元配置の分散分 析(ANOVA)を用いた。検定の有意水準は P<0.05、 P<0.01 とした。 結 果  歯科心身症患者における自律神経活動を示す各指 標の測定結果を表 1 に示した。 ①自律神経の全体的活動度(TP-RRI)  歯科心身症患者の TP-RRI の平均値は 581.72 ± 540.82 ミリ秒2であり、健常人の TP-RRI の平均値 は 1,211.21 ± 861.88 ミリ秒2であった。ドライア イ患者以外の歯科心身症患者における TP-RRI は、健 常人と比較して有意な低下が認められた(表 1)。歯 科心身症患者群 50 人と健常人対照群 15 人の TP-RRI の分布を図 2 に示した。 表 1 各指標の測定結果 顎関節症 舌痛症 口腔乾燥症 非定形歯痛 ドライアイ 味覚障害 健常人対照群 (n=23) (n=21) (n=19) (n=15) (n=8) (n=3) (n=15) TP-RRI (ミリ秒2 669.13 ± 545.44** 880.61 ± 636.47** 534.48 ± 525.57** 606.89 ± 566.03** 1014.73 ± 590.38 1039.05 ± 793.65* 1211.21 ± 861.88 LF-RRI (ミリ秒2 194.11 ± 199.70 363.27 ± 213.93 183.91 ± 198.97 186.74 ± 179.40 276.70 ± 177.76 279.15 ± 235.57* 303.51 ± 210.00 HF-RRI(ミリ秒2 209.94 ± 200.75* 236.84 ± 211.49* 145.97 ± 132.00* 292.83 ± 483.25 322.08 ± 272.42 367.60 ± 307.37 433.63 ± 548.77 LF/HF-RRI 1.65 ± 1.77 1.34 ± 1.04 1.30 ± 0.97 1.95 ± 1.89 0.99 ± 0.52 0.75 ± 0.46 1.03 ± 0.53 平均値±標準偏差で表記 . *P <0.05、 **P <0.01 v.s. 健常人対照群 78-81 図 1 歯科心身症患者 1 0   2 0   3 0   4 0   5 0   6 0   7 0   8 0(歳代) 14 12 10 8 6 4 2 0 (人) 0 2 4 6 8 10 12 14 10 20 30 40 50 60 70 80 男性 女性 男性 女性 図 2 TP-RRI の分布 16 14 12 10 8 6 4 2 0 (人) 0 2 4 6 8 10 12 14 16 対照健常者 口腔心身症患者 対照健常者 口腔心身症患者 0 - 199 200 - 399 400 - 599 600 - 799 800 - 999 1000 - 1199 1200 - 1399 1400 - 1599 1600 - 1799 1800 - 1999 (ミリ秒2

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②交感神経と副交感神経両方の活動の指標(LF-RRI)  歯科心身症患者の LF-RRI の平均値は 174.22 ± 192.56 ミリ秒2であり、健常人の LF-RRI の平均値 は 303.51 ± 210.00 ミリ秒2であった。健常人と比 較して、味覚障害患者で有意な低下が認められたが、 歯科心身症患者群全体では、明らかな有意差は認め られなかった(表 1)。 ③副交感神経活動の指標(HF-RRI)  歯科心身症患者の HF-RRI の平均値は 174.19 ± 182.73 ミリ秒2であり、健常人の HF-RRI の平均値 は 433.63 ± 548.77 ミリ秒2であった。健常人と比 較して、顎関節症患者、舌痛症患者、口腔乾燥症患 者で有意な低下が認められた(表 1)。 ④交感神経活動と副交感神経活動のバランスの指標 (LF/HF-RRI)  歯科心身症患者の LF/HF-RRI の平均値は 1.51 ± 1.56 ミリ秒2であり、健常人の LF/HF-RRI の平均値 は 1.03 ± 0.53 ミリ秒2であった。健常人と比較し て、歯科心身症患者群で明らかな有意差は認められ なかった(表 1)。歯科心身症患者群 50 人と健常人 対照群 15 人の LF/HF-RRI の分布を図 3 に示した。 考 察  歯科心身症患者における自律神経の全体的活動度 を示す指標(TP-RRI)は、健常人と比較して有意 に低下していた。また、副交感神経活動を示す指標 (HF-RRI)は、顎関節症患者、舌痛症患者、口腔乾燥 症患者で健常者と比較して有意に低下していた。しか し、交感神経・副交感神経両方の活動を示す指標(LF-RRI)は、健常者と比較して明らかな有意差は認めら れなかった。慢性疼痛疾患患者における自律神経活動 を評価した報告6)で、自律神経の全体的活動度、特 に副交感神経活動が有意に低下している要因として、 慢性疼痛疾患患者の身体的活動度の低下が反映され た可能性があることを推測している。歯科心身症患者 の痛みや慢性不快症状が、身体的活動の低下に反映さ れ、自律神経の全体的活動度、特に自律神経の副交感 神経の低下を引き起こしたことが示唆された。  歯科心身症患者における交感神経活動と副交感神 経活動のバランスを示す指標(LF/HF-RRI)は、健常 者と比較して、若干の増加傾向が認められたが、明ら かな有意差はなかった。慢性疼痛疾患患者における自 律神経活動のバランスを評価した報告7)で、ほぼ同 様の結果を得ていることから、副交感神経活動の低下 があっても歯科心身症患者が必ずしも交感神経優位 ではないことが示唆された。  今回、自律神経機能検査に使用した APG ハートレー タ- SA-3000P は、脈波から心拍変動を測定し、内 蔵された周波数解析ソフトにより、患者の自律神経活 動の状態と自律神経のバランスを評価することがで きる。しかし、検査時の患者の精神的緊張度による影 響を受けることが報告されており8)、検査のデータ解 析時にこの影響も考慮する必要があり、検査時にも歯 科用チェアで行うのではなく、壁の色や観賞植物を配 置するなどの精神的にも落ち着くような別室にて検 査を行うなどの配慮が必要であると考えられた。  長栄歯科クリニックでは、歯科心身症患者に対し て、薬物療法、星状神経節近傍照射、スプリント療法、 カウンセリング治療などを行っており、治療前後に自 律神経機能を測定している。今回の研究では、治療前 後での自律神経機能検査の測定結果を示していない ので、治療が自律神経活動に与える影響を評価するこ とは困難であった。今後は、治療開始前後での検討が 必要であると考えられた。 結 論  歯科心身症患者における自律神経の全体的活動度 および副交感神経活動度の両者において、有意な低下 が認められたことから、歯科心身症患者の自律神経機 能は低下していると考えられた。痛みや慢性不快症 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 (人) 対照健常者 口腔心身症患者 0 - 0.49 0.5 - 0.99 1.0 - 1.49 1.5 - 1.99 2.0 - 2.45 2.5 - 2.99 3.0 - 3.49 3.5 - 3.99 4.0 - 4.49 5.5 - 5.99 6.0 - 6.49 6.5 - 6.99 (ミリ秒2 図 3 LF/HF-RRI の分布

(5)

日本口腔検査学会雑誌 第 2 巻 第 1 号:     , 2010 状を呈する歯科心身症患者は、原因が多岐にわたり、 診断に苦慮する。今回我々が行った歯科心身症患者 の自律神経機能を評価することは、検査方法の 1 つ として有用である可能性が考えられた。 参考文献 1)  北嶋禎治、古賀千尋、境野秀宣、亀山忠光、高向和宣: 当科における平成元年度と平成 10 年度のいわゆる口腔 心身症患者の検討、日歯心身、16:43-49、2001 2)  木村有希、伊藤幹子、木村宏之、荒尾宗孝、伊藤隆子、 栗田賢一:当科における 2004 年度口腔心身症患者の臨 床統計的検討、日歯心身、21:1-7、2006 3)  豊福 明:歯科口腔領域の慢性疼痛-歯科心身症を中心 に-、ペインクリニック、29:391-399、2008 4)  小川節郎:慢性疼痛と交感神経活動、ペインクリニック、 23:831-838、2002 5)  小川洋二郎、岩崎賢一:自律神経性の循環調節機能評価、 ペインクリニック、29:1633-1639、2008 6)  廣瀬宗孝、細川豊史、大森美佐子、中川博美:Ⅱ.慢性 疼痛の診断に必要な知識 1.診断に役立つテスト 4)自 律神経系テスト、ペインクリニック、28:66-73、2007 7)  後閑 大、加藤 実、小川節郎、小川洋二郎、岩崎賢一: 各種慢性疼痛疾患患者における自律神経活動の評価:心 拍・血圧変動に対する周波数解析を用いた検討、ペイン クリニック、29:495-502、2008 8)  後閑 大、加藤 実:脈波を用いた自律神経機能検査機器、 ペインクリニック、30:36-42、2009 78-81

参照

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