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Art Education Association 2001 Art in Primary Education in an Islamic Country A Case Study of the National Curriculum in the Republic of the Maldives

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(1)

1

)研究の目的および背景

  本 論 文 の 目 的 は, イ ス ラ ム 国 家 で あ る モ ル デ ィ ブ共 和 国(

the Republic of the

Maldives

)の初等教育課程における美術カリ キュラムを事例として,我々とは異なる文化 的基盤をもつ世界における美術教育の特色と その意義について明らかにすることである。  イスラムの世界では,人物や動物の表現 が忌避されるなど,美術表現にある種の制 約があることが広く知られている。メイソ ン(

Rachel Mason

)は,イ ス ラ ム世界で美 術教育を実践する際には,イスラムの教義を 十分に理解し尊重した上でなければその行為 が「神への冒涜」となりかねないと述べて いる1)。ただし,美術表現に対するムスリム (イスラム教徒)の見解には幅があり,国・ 地域・個々人によって様々に解釈されている こともわかっている2)。筆者はこれまでに, そのようなムスリムの美術表現に対する意識 のバリエーションを整理し,それらに対する モルディブの子どもたちがもつ意識の位置づ けを明確化する研究に取り組んでいる3)  では,イスラムの世界では実際にどのよう な美術教育が行われているのであろうか。本  イスラム教を文化的基盤とする 国・地域では,美術表現に対する解 釈が我々日本人とは異なっているこ とがある。筆者は,そのようなイス ラムの世界における美術教育の特色 を明らかにするために,イスラム国 家の一つであるモルディブ共和国を 事例として取り上げ,同国の初等教 育課程における美術カリキュラムに ついて調査した。 そ の結 果, 本 論 文 で 対 象 と し た

2001

年版ナショナルカリキュラム においては,自国の独自性を強調す る側面がみられることが明らかとな り,その内容には,全国民がイスラ ム教徒というモルディブの文化的特 質が反映されていることが推察され た。

イスラム

国家

初等教育課程

における

美術教育

モルディブ

共和国

2001

年版

ナショナルカリキュラムを

Art in Primary Education in an Islamic Country

− A Case Study of the National Curriculum in the Republic of the Maldives (published

in 2001) −

*

箕輪佳奈恵 MINOWA Kanae

*箕輪佳奈恵/筑波大学大学院人間総合科学研究科博士後期課程

芸術専攻

MINOWA, Kanae / University of Tsukuba, Graduate School of Comprehensive Human Sciences, Doctoral Program in Art and Design

(2)

論文で対象とするモルディブと同様イスラム 国家であるマレーシアにおける美術教育につ いては,福田の研究4)に詳しい。マレーシア は国教をイスラム教としながらも,多様な民 族・宗教が共存する多民族国家であり,教 育にも多文化理解の側面がみてとれる。それ は,多文化社会の中で,伝統文化の継承と国 際社会に対応するための文化の創造との両立 を目指す試みであるといえる5)  これに対して,モルディブはイスラム教徒 が国民の

100

%を占める国である6)。そのよ うな国は,世界でモルディブとオマーンのみ であるとする説もある7)。では,モルディブ のようにイスラムの教えを絶対とする世界に おいては,何が「美術」であり「美術教育」 なのであろうか。これを明らかにすること は,今や世界人口の約

4

分の

1

を占め8),な お拡大を続ける9)ムスリムの人々とその国々 に適した美術教育を考える上で,重要な知見 になり得ると考えている。  そもそも,筆者がイスラム世界の美術教育 を,しかもモルディブを研究の対象として取 り上げるのは,同国における筆者自身の美術 教育実践の経験に由来する。モルディブの美 術教育を「支援する」という目的で現地の小 学校に赴任した筆者が書き残した活動記録の 分析から,実践を進める上で直面した様々な 課題が明らかとなったが,その大きな要因の 一つは,美術教育に対する筆者と現地の人々 とのとらえ方の相違にあるのではないかと考 えられた10)。教育支援という行いは,先進 国の方法や理念を安易に導入するだけでは解 決しない。特に芸術の分野はその土地の文化 を反映するので,日本における常識が通用せ ず,何をもって「正解」とするかが見出せず に標を失い,思い悩む場面が幾度もあった。 今改めて,現地での実践に携わった立場から モルディブの美術教育をとらえ直すことで, 同国の人々にとっての美術教育が何であるの かを明らかにしたい。それは他の途上国,特 にイスラムの国々における美術分野の教育支 援にとっても,当時の筆者が持ち得なかった 「標」となるのではないかと期待している。  また,モルディブは現在教育の転換期にあ る。

2007

年より進められてきたナショナル カリキュラム刷新の作業11) が漸く終了し,

2014

4

月に新カリキュラムの一部が公布 されたばかりである。しかし美術教育が学校 教育として導入されたのも,

1984

年と比較 的最近のことである。教育現場に定着するま での期間も考慮すると,教育としての方向性 が定まらないままの転換であるといえる。新 カリキュラムは現カリキュラムと異なり,全 教科においてイスラムの教えに則ることを前 提としている。制度としての美術教育が大き く動こうとしているのである。その意味で, モルディブの美術教育は今まさに「発展」 「進化」を遂げている段階であり,今後の動 向と方向性を見守るべき事例として興味深い 対象といえる。

2

)研究の方法  本論文では,国として美術教育をどう規定 しているのかを明らかにするため,モルディ ブのナショナルカリキュラムを調査・論考の 対象としている。現在準備段階である新カリ キュラムとの比較につなげることを考え,本 論文は

2001

年に改訂された現行のカリキュ ラム12)を取り上げる。  まず,カリキュラムの構成・内容について 体系的に整理・分析することで,モルディブ の美術教育にみられる特徴を指摘する。そし てその特徴は,モルディブにとってどのよう な意義をもつのかについて,同国の文化的背 景を踏まえて考察を加える。

3

)本文中の語句の解釈 ①美術教育  モルディブにおける現在の美術教育は,

Practical Arts

(以下

PA

)という教科の中の 一部として存在する。

PA

は,美術や音楽な ど芸術系の他に,家庭科などに相当する技術

(3)

系の領域も含む13)。しかし,そのような一 見美術教育の範疇に含まれるとは考えづらい 領域の中にも,「美術教育ではない」とは断 言しかねる内容を含んでいる箇所があり,明 確に「美術教育」と「それ以外」とを区別す ることは難しい。よって本論文では,同国 の

PA

という教科が我が国における美術教育 とは異なっているということを前提とした上 で,教科全体を「美術教育」として扱ってい る。 ②初等教育課程  モルディブの初等教育課程は

1

7

学年 で14)

PA

の対象学年も同じく

1

7

学年ま でである。ただし実際は,

6

7

年生は「初 等教育の中の上級レベル(ミドルスクール

middle school

またはアッパープライマリー

upper primary

)」という位置づけであり,カ リキュラムの構成も

5

年生までとは異なっ ている。本論では,

1

5

年生までを対象と している。 ③ナショナルカリキュラム  モルディブでは,ナショナルカリキュラム を文書化したもの,つまり日本における学習 指導要領に相当するものを「シラバス」と呼 んでいる。これはシンガポールにおいても同 様であり,シラバスという名称をそのまま用 いている邦語文献もある15)。しかし,この 名称を用いた場合,日本における「シラバ ス」の意と混同され混乱を招くことが懸念さ れるため,本論文では「国が定めた教育課程 の基準」を意味する語として「ナショナルカ リキュラム」を採用する。ただし,モルディ ブのカリキュラムであることを特に強調すべ きと判断した文脈を除き,基本的に「カリキ ュラム」とだけ表記している。

2

.美術

カリキュラムの

成立

変遷

2001

年版ナショナルカリキュラムについ て論じる前に,その歴史的な位置づけを明確 にするため,同国における美術教育の成立と 変遷について,大まかに整理しておきたい。

1

)教育行政概略  現在のような公教育制度は,

1978

年に全 国統一の教育制度への移行が明言されたこ とから始まる。

1960

年に首都マーレにイギ リス式のカリキュラムや教育方法に倣った 学校が設立されたのがきっかけであり,そ れ ま で は マ ク タ ブ(

makthab

) や マ ド ラ サ (

madhrasa

), キ ヤ ワ ー ゲ(

kiyavaage

)16) いった伝統的な教育機関が各島に普及し,コ ーランの詠唱やイスラムの教義,モルディブ の母国語であるディベヒ語などが教えられて いた17)

1984

年,同国初のナショナルカリキュラ ムが導入される。このカリキュラムには

PA

も含まれており,学校教育としての美術は この時正式に誕生したことになる18)。その 後,カリキュラムは各教科で何度か改訂を重 ねるが,

PA

の改訂は

2001

年の一度のみであ る19)   同 国 で は,

2007

年 か ら カ リ キ ュ ラ ム の 刷 新 が 進 め ら れ て き た が,

2014

年 に 新 カ リ キ ュ ラ ム の枠組 み(

Framework

) と 各教 科のカリキュラムの一部が国家教育研究所 (

National Institute of Education

) に よ っ て 公 布 さ れ た。 新 カ リ キ ュ ラ ム で は,

PA

Creative Arts

に取って代わられ,学習の内容 表 1  教育行政に関する主な出来事

(4)

も大幅に変更された。

2

)美術カリキュラムにおける学習領域の変  上述の通り,

1984

年のナショナルカリキ ュラム導入以降一度の改訂を挟んで今回の刷 新であるので,同国にはこれまでに

3

通り の美術カリキュラムが存在したことになる。 改訂・刷新の度に,学習の内容や対象学年も 変更されているため,各カリキュラムにお ける変遷を表

2

に整理した。なお,カリキ ュラムで定められている学習内容のまとま りを,筆者は仮に“学習領域”と呼称してい る。  学習領域は,

1984

年版カリキュラムでは 僅かに

4

つのみであったが,

2001

年版では 新たに領域が追加され,計

8

つの領域によ る構成となっている。  

2014

年版では,

Creative Arts

へと科目名が 改められた。

PA

が技術系の領域も含んでい たのに対し,芸術の領域のみに絞った内容と なっている。また,美術の領域に限っていえ ば,従来の学習領域であったものが“サブ領 域”となり,「視覚芸術」という大きな一つ の領域に集約されるかたちで再構成された。

3

2001

年版

カリキュラム

:概観

1

)カリキュラム構成  カリキュラムを構成する要素は,“学習領 域”“学年”“項目”の

3

つに大別される。 前節で述べた通り計

8

つの学習領域がある が,一つの学習領域のまとまりの中に,一学 年から順に各学年の項目が列挙されている。 図

1

は,学習領域【描画および彩色】を例 に,カリキュラムの構成を図示したものであ る。  なお,各項目の内容は概ね表

3

の通りと なっている。

2

)各学習領域における主な学習内容

8

つの学習領域における主な学習の内容 については,[推奨される題材・活動]を整 理し表

4

に示した。  [推奨される題材・活動]は,実際は更に 細分化されている。また,表の内容が全学年 表 2  各カリキュラムの変遷 図 1  カリキュラム構成要素の関係図 表 3  各項目の内容

(5)

共通というわけではない。ここでは,初等教 育課程で学ぶ共通の内容が,大まかに伝わる 範囲での分類を示すにとどめた。ただし,一 読しただけでは内容を推測し難いものもある ので,内容について詳説する意味も込めて, 以下に補足する。  例えば【描画および彩色】の内容の一つで ある〈興味関心〉では,「自転車に乗る(

3

学年)」「大き く な っ た ら…(

5

学年)」な ど,描画の詳細なテーマが提案されている。 また,【プリントおよびデザイン】の〈質感 と模様〉では,「粗い表面をこする(

1

2

学年)」というフロッタージュで質感を表す 題材や,「糸を引く(

3

学年)」といったス トリングの手法を用いて模様を作るなどの題 材が紹介されている。  上記の【描画および彩色】のように詳細な テーマまで掲げられている領域もあれば, 【コラージュ】のように用いる材料のみに言 及した領域もあり,領域によって記述の仕方 に幅がある。

3

2001

年版への対応:教師用指導書   子 ど も 用 の 教 科 書 は な い20) が, カ リ キ ュラムとは別個に,

2001

年版カリキュラム に対 応 し た 教 師 用 の 指 導 書(

Practical Arts

Teachers

Guide

)が

1

4

学年まで作成さ れている。

5

学年用は作成されておらず,

1984

年版カリキュラムに合わせたものが未 だに出回っているようである21)  指導書では,題材の例がカリキュラムより も詳細に,授業の流れに沿って解説されてい る(図

2

)。ほぼ全ての学習領域を網羅して いるが,

1

3

学年用の指導書には【美術鑑 賞】の領域のみがない。

1

3

学年までの 指導書が

2002

年発行なのに対して

4

学年用 だけが

2005

年発行なので,作成および発行 の時期によって内容にも相違があることがわ かる。

4

)ナショナルカリキュラムの効力  ここまでの概観から,

2001

年版カリキュ ラムが,学習領域をはじめ授業における具 体的な題材や材料など,かなり細部にまで渡 って規定していることがわかる。ただし,

PA

に限らずモルディブのナショナルカリキ ュラムは,法的拘束力をもつものではない (

2010

年時点)。モルディブには,教育に関 する法律を制定する国家としての特別な規 定が な く,教育行政は教育省(

Ministry of

Education

)に一任されているからである。 しかし,

2008

7

月に憲法が改正され,新 たな条文が承認されたのに伴い,

2009

年に は国の教育を規定する強力な法的枠組みとし ての教育法が起草されている23)。ナショナ ルカリキュラムの刷新も加え,同国における 教育を取り巻く法整備は,刻々と変化してい るのである。 図 2  指導書の題材例22) 表 4  学習領域と学習内容対応表

(6)

4

カリキュラムからみる

「美術教育」

1

)カリキュラムを読み解く  カリキュラム,特に[目標]および[指 導上の手引]において記述されている内容 は非常に複雑で冗長である。脈絡のない文 章の羅列が続いたかと思えば,既述の内容に 酷似した文言が再度登場したりする箇所もあ る24)。適切に理解するためには,各文章に 解釈を加えるという分析の作業を挟む必要が あった。よって,表

5

に示す分析結果の例 は,カリキュラムの内容を直訳したものでは ない。また,カリキュラム内の複数の文章を 複合させて一つの文としている場合もある。 同表はあくまで,全体的な特徴・傾向とそれ らの学年による相違とを把握するために示す ものである。  

1

学年の[目標]を例に,【紙工作】の原 文とその邦訳を図

3

に示した。  例えば,冒頭の「子どもたちに紙くずを使 用するよう励ます」とその後の「廃材を用い て面白い絵を制作するよう子どもたちを励ま す」の二文については,目標として同じもの であると判断し,まとめて〈廃材の活用〉と 解釈している。また,

5

学年の[目標]の一 つである「廃材から面白いおもちゃを作れる よう子どもたちの創造性を促進する」につい ては,一文に

2

つの目標が包含されている ととらえ,〈廃材の活用〉および〈創造力の 育成〉の両方に反映させている。

2

)イスラム教との関連  モルディブの文化的基盤であるイスラム教 との明確な関連を示す特徴は,全ての学習領 域および項目においてほとんどないといっ てよい。[推奨される題材・活動]として, 【描画および彩色】において「幼い頃の断食 月の祝い(

3

学年)」が,【音楽および身体 表現】において「宗教歌(

4

学年)」が,そ して【美術鑑賞】の[推奨される教材]とし て「モスク(

5

学年)」が紹介されているだ けである。  その一方,複数の学習領域において,子ど 表 5  【紙工作】の分析結果(灰色が該当箇所) 表 6  人物・動物表現が含まれる学習内容の一例 図 3  [目標]原文(一学年【紙工作】)

(7)

も自身や家族などの人物,また,鳥や魚など 動物を絵に描いたり,マスクや折り紙といっ た立体に表したりする題材が数多く紹介され ている(表

6

)。「

1

.はじめに」で述べた ようにイスラム世界では人物・動物表現を忌 避する傾向があり,ムスリムが多く居住する 地域においては,ムスリムの子どもたちに美 術表現をさせる際の配慮事項についてまとめ た文書を作成している事例もあるが25),そ のような記述は一切ない。  つまり,全国民がムスリムというイスラム 国家であるにも関わらず,宗教色の薄いカリ キュラムとなっているのである。

3

)「美術教育」としての特徴  では,美術カリキュラム全体としてはどの ような特徴がみられるのか。本節では主に, 教科として何を目指すものであるのかを探る ために[学習成果]および[目標]を,その 達成のために設定された具体的な学習内容を 知るために[推奨される題材・活動]を,そ れぞれ論考の対象として取り上げる。各領域 の[推奨される題材・活動]の概要について は表

4

を参照されたい。  まず,

8

つの学習領域は,【美術鑑賞】の “鑑賞”とそれ以外の“表現”の

2

つの分野 に分けることができる。“表現”の[学習成 果]は,【音楽および身体表現】を除く全領 域において,表

5

に示した内容とほぼ同文 である。即ち,当該領域における基本的な素 材を利用しながら技術を習得することから始 め,徐々にそれらから得た知識や経験を活か しつつ,自分自身の考えや工夫を活かせるよ うになることを目指す学習となっている。こ れに対して“鑑賞”は,[学習成果]も上記 とは異なり(表

7

参照),“表現”と切り離 された別個の分野であることがうかがえる。 一部[目標]に〈子どもの作品の鑑賞〉〈作 品制作への応用〉が挙げられているなど,表 現との関わりもみられるが,基本的には「特 定の対象物を鑑賞する」という独立した一つ の領域として成り立っている。したがって, カ リ キ ュ ラ ム上 の 区分 は な い も の の,“鑑 賞”と“表現”の活動は「観る」または「つ くる」で完結しており,相互の関連は薄いと いえる。  このような各領域にみられる性質の相違 は,単に「観ること」「つくること」という 行為の違いに依るものだけではない。[学習 成果]および[目標]の詳細な内容・各文言 を比較してみると,より本質的な個々の領域 における特色の違いとその傾向とがみえてく る。  【美術鑑賞】の領域では,自国の文化・歴 史を意識させようとするねらいが明らかであ る。実際に「文化」という具体的な文言が登 場するのは

3

学年からであるが,低学年で は身近な自然や生活圏に存在する事物の観察 をすることから始め,高学年になるとモルデ ィブの伝統や遺産などを取り上げるようにな 表 8  【描画および彩色】:各学年における[目標]の違い (灰色が該当箇所) 表 7  【美術鑑賞】:各学年における[学習成果]の違い

(8)

る。鑑賞の範囲を進級とともに徐々に広げる ことで,モルディブの特色について無理な く,そして幅広く理解させようとしているの である(表

7

)。なお,【美術鑑賞】につい ては本章

3

節においてさらに詳しく解説し ている。  一方“表現” の 分野 は,【描画 お よ び 彩 色】にのみ同様の特色がみられる。

4

学年 以上の[目標]に〈生活様式の理解〉が,

5

年生には〈モルディブの風景の描写〉が挙げ られていることからも,それが窺える(表

8

)。これは,具体的な題材に目を向けると 更に顕著である。〈観察と気付き〉〈観察と 思い出〉26) など,事実を基に描かれる題材で は,「雨の中で遊ぶ(

1

学年)」などモルデ ィブの子どもの身近な生活風景に焦点を当 てたテーマから,「独立記念日の祝い(

4

学 年)」という同国の史実や,前章でも触れた ように「幼い頃の断食明けの祝い」という宗 教的慣習と結びつけられたテーマなどが紹介 されており,【美術鑑賞】同様,学年が上が るにつれてより広い対象を題材として扱うよ うになっている。また,それ以外の題材に ついても,〈想像〉における「小舟に乗った オバケとわたし(

2

学年)」「宇宙での魚釣 り(

3

学年)」「想像上の漁師(

3

学年)」や 〈興味関心〉における「大統領と出会う(

4

学年)」「国旗または国歌と国章(

5

学年)」 「勝利の日に(

5

学年)」など,モルディブ 国内の様々な事象に関連するテーマが紹介さ れている。これらのテーマからは,単に「モ ルディブの特色」というよりも,むしろ「モ ルディブ・そしてモルディブ人だけがもつ独 自性」といった,より強固な自国へのこだわ りが感じられる。  それに対して,【描画および彩色】以外の 領域では,【紙工作】の[目標]に見られる ように(表

5

参照),〈造形活動を楽しむ〉 〈自己の表現〉など基本的に表現行為そのも のと,〈技巧の向上〉〈装飾の能力〉など,表 現活動に付随して獲得される能力・技術の 発達および向上を目指す役割とに徹してお り,それらと文化的背景などとの関わりは 基本的に見られない。一部,廃材や自然物の 活用を推奨することで周辺環境に目を向けさ せようとする意図がうかがえる箇所があった り27),授業のヒントとして国花の制作を推 奨していたりするなど28),モルディブ固有 の事物との繋がりも部分的にはみられるが, 当該領域の全学年においてそれが一貫してい るわけではない。  つまり,

2001

年版カリキュラムにおける 美術教育には,自己表現や表現技術の獲得と いった役割だけではなく,学習を通して自国 の特色を意識・理解するという,子どもが生 きる現実のモルディブ社会との関連を視野に 入れた役割があるといえる。そしてそれは, モルディブの独自性やモルディブ人としての 国民性を強調させて認識するという側面が強 く,その意味では,国家意識・愛国心を高め る意図が含まれていると解釈することもでき るだろう。

4

)「美術」の概念  上記のように,自国の特色を理解する学習 であるというモルディブの美術教育がもつ特 徴が明らかとなったが,では,その中心的な 学習である【美術鑑賞】の領域では,何を鑑 賞の対象としているのであろうか。本節で は,【美術鑑賞】における具体的な対象につ いて,現地事情を踏まえて整理・考察するこ とで,美術カリキュラムで扱われている「モ ルディブの特色」とは何かを明らかにする。 それは,数あるモルディブの特色の中から 「美術」と解釈されたもの,つまり

2001

年版 カリキュラムにおける美術の概念を明らかに することでもある。  ここでは,鑑賞活動の具体的な対象につい て言及がある[推奨される題材・活動][目 標][推奨される教材]に焦点を当て,それ らを以下の

a.

から

c.

までの

3

つと,それぞ

(9)

れに属するいくつかの項目とに分類した。な お,これらはカリキュラム上の分類ではな く,カリキュラムの中で鑑賞の対象とされて いた事物について,その性質の相違を基に筆 者が類型化したものである。 ①鑑賞の対象:

3

つの類型

a

.伝統文化・遺産  自国の文化,という意味合いではその中心 ともいえる“伝統文化・遺産”は,〈伝統工 芸〉〈建築〉〈遺物〉の

3

つに分けられる。  まず〈伝統工芸〉であるが,美術カリキュ ラムでは「漆工芸が紹介されている。これは 木製の容器(花器や小物入れなど)に赤や緑 の漆で彩色し,緻密な花柄文様などが施され たモルディブの工芸品である29)。主に土産 物屋で目にすることが多く,少なくとも現代 においては,モルディブ国民が日々使う日用 品という位置づけではないようである。  続いて〈建築〉では,「大統領官邸」「モス ク」「家」が挙げられている。大統領官邸と モスクについては一目瞭然であるが,家には 具体的な言及がなく,どのような家を指すの か判然としない。ただし,モルディブの伝統 建築ということで推測するならば,ブロック 状のサンゴを建材として作られた家が思い浮 かぶ。環境保護の面から,新たに建築するこ とは禁じられているという話もあり,現在は あまり頻繁には見かけなくなっているが,地 方の島では未だに残存している家も多い。  そして〈遺物〉は,首都マーレにある国立 博物館の収蔵品である30)。これはいわゆる 美術品というよりは,古い時代に使用された 調度品や,かつてモルディブが仏教国であっ た頃の出土品など,考古学的史料のことを指 す。

b

.自然美  “自然美”は,大きくとらえて〈植物〉〈動 物〉〈海の素材〉の

3

つに分けることができ る。  〈植物〉で挙げられているのは,「葉/枯れ 葉」「花」「草木」「果物」である。モルディ ブは各島の土地が狭小で,見ることのできる 植物の種類はそれほど多くはない。よく目に する代表的なものは,ココナッツの木やハイ ビスカスの花などである。特にココナッツは 人々にとって馴染み深く,実を食用にする 他,葉は編んで日除けのような用具(装飾に も用いる)や箒にしたり,乾燥させて燃料に したりするなど,生活に欠かせない身近な存 在となっている。  〈動物〉では,「魚」「鳥」「昆虫」「(その他 の)動物」が挙げられている。植物と同じよ うな事情により,同国において生きものの種 類は限られており,動物園等の施設もないた め,大型の動物,特に哺乳類に遭遇する機会 はほとんどないといってよい。ただし,毎日 食する魚に関しては,カツオやマグロ,カジ キなど量も種類も豊富であり,なじみ深い生 きものといえる。また,鳥や小動物は比較的 よく見かけることができ,前者はマーカナと いうシラサギに似た鳥が,後者はトカゲやコ ウモリ,ネズミなどが広く分布している。  そして〈海の素材〉は,「貝殻」と「サン ゴ」である。いうまでもなく,南国の島国で あるモルディブでは,美しい貝殻やサンゴを 海辺で容易に入手することができる。  ここまで挙げた,自然美に関わる

3

つの 対象について,鑑賞の学習ではその美しさを 単に愛でるのではなく,それらがもつ構成要 素や特徴を観察によって理解することが求め られているということを付け加えておきた い。

c

.美術作品  人の手による狭義の美術作品については, 「子どもの作品」「現地アーティストの作品」 「海外アーティストの作品」の

3

つに分けら れる。ただしこれら

3

つのうち「子どもの 作品」以外の

2

つについては,言葉通りに 受け止めてしまうと適切な理解の妨げとなる ことが予想されるので,ここでは現地の美術

(10)

事情も交えながら,「現地アーティスト」「海 外アーティスト」が意味するものについて解 説してみたい。  まず「現地アーティスト」の作品である が,現在モルディブには美術大学などの美術 を専門に学ぶ機関はなく,地元の作家は海外 で美術教育を受けたり,独学で絵を描くなど したりして活動している人がほとんどであ る31)。彼らの作品についても,国土全体と 個々の島々の狭小さ,限定された展示スペー スなどの事情を考えると,子どもたちのため に本物を鑑賞する機会を設けることは困難で あり,また,作家に関する情報を入手するこ とも日本ほど容易ではない。ただし,首都マ ーレにあるナショナルアートギャラリーのウ ェブサイト32) から現地人作家作品の画像を 入手することもできるので,作品鑑賞自体は 不可能ではない。同ホームページに掲載され ているのは絵画や写真などの平面作品で,モ ルディブの何気ない日常の風景や昔の暮らし を描き出したものが多い。絵画作品について は写実のほか抽象やイラスト風など,そのス タイルは多様である。  そして「海外アーティストの作品」の解釈 については,更に注意が必要である。「海外 アーティスト」といいながらも,カリキュラ ムの中で具体的な作家名・作品名は挙げられ ているわけではなく,教師用指導書にも例が 載っていない。教科書や資料集もないので, 授業を担当する教師のもつ知識・興味と自発 的な教材研究に任されることになる。ただ し,同国がイスラム国家であるという背景を 踏まえると,海外アーティストを題材とする 場合その対象はかなり制限されることが予想 される。キリスト教的な主題の作品は禁忌で あるためいわゆる西洋美術を扱うことは難し いであろうし,性的な表現も−たとえ過激な ものでなくとも,裸体や肌を露出させた表現 は不適切とみなされると考えられるので−や はり避けるべきである。  よって,同国の事情を鑑みれば,ナショナ ルカリキュラム内の「美術作品」と,我々が 普段認識している美術作品には隔たりがある と考えるべきである。 ②補足とまとめ  上記の他,「公園の見学」という題材が紹 介されていたが,公園の何を鑑賞するのか− 公園内の自然なのかあるいは遊具などなのか −ということが明確でなく,また,

3

学年の カリキュラムのみにみられる限定的な題材で あったため,

3

つの分類には含めていない。  

3

つの類型の要点を簡潔にまとめるなら ば,カリキュラムにおける「美術」の概念 が,絵画や彫刻など我々が思い浮かべる「一 般的な作品」よりもむしろ自国の文化・遺 産,さらには周囲の自然などの身近な事物を 主体としているということである。これは, カリキュラム作成上の都合という観点で考え ると,

c.

美術作品にて解説したとおり「いわ ゆる」美術作品に触れる機会が限られている という現状と,さらには資源に乏しい狭小の 島国であるという事情とを鑑み,身近な周辺 環境に着目せざるを得なかった結果,とみる こともできる。  しかし筆者は,ありふれた日常から素材を 選びとったことにより,独自の「美術」の概 念が構築されていることに目を向けたい。そ れは結果的に,モルディブにおける特徴的な 事物の集積であり,アイデンティティーの象 徴だからである。また,周辺環境から美を見 出したという点で,子どもが日々生活する世 界に寄り添った内容となっているともいえ る。それはカリキュラム作成当時,美術教育 を拡充してゆく時期にあった同国が「何を美 術とするか」を模索する中で作り上げられ た,試行錯誤のプロセスそのものであるよう に思えてならない。

5

)総括  本章におけるモルディブの美術教育につい ての論考は,「モルディブの美術教育には,

(11)

自国の独自性を強調する側面があり,それは 同国の文化的アイデンティティーであるイス ラム教を前面に出すものではなく,身近な環 境から見出された事物を扱うことが中心とな っている」と集約することができる。  このように,周辺の素材を通して自国の独 自性を学ぶことに重きを置き,他国・他文化 への言及がないに等しいというモルディブの 美術教育の特徴は,宗教という観点からいえ ばほぼ一様な文化を共有する社会であるとい う,同国の文化的背景の反映であることが指 摘できる。個々人や各地域によって信仰のレ ベルに当然差はあるものの,全国民がムスリ ムであり,加えて地理的な要因により生活圏 が限られるため,日常の暮らしの中で文化の 相違や多様性を意識する機会がさほど多くな いと考えられるからである。また,転じてい えば,皆がムスリムであることが当然であ り,その状況を特別視することがないので, 敢えてそこに焦点を当てる必要がないともい える。そのため,イスラムに関する表立った 言及が含まれないのかもしれない。  モルディブの美術教育は,冒頭に挙げたマ レーシアの例と比較してもかなり趣を異にす るものである。同じイスラムの国であって も,多文化国家であるマレーシアの美術教育 が多様性に富んだ社会への適応を試みている のに対して,モルディブのそれは同質性の高 い文化社会への応答を目指しているのであ る。前者を美術教育の「多様化」とするなら ば,後者は「純化」と位置づけることもでき るだろう。  このようなモルディブの美術教育につい て,宗教的見地から,つまりイスラムの信仰 との関係から考察するためには,現地の宗教 事情やその実態も含めた更なる調査が必要で あり,また,本来イスラムの世界は多様な様 相を呈しているので,不用意にイスラムの教 義と教育制度の一側面とを結びつけて「これ がイスラム世界の美術教育である」という結 論を導き出すことはできない。しかし,あく までその一例として,モルディブの美術教育 をとらえることは可能であろう。

5

おわりに

 本論文では,

2001

年版カリキュラムにお ける美術教育の特徴について,自国の独自性 を認識するための学習であるという側面が強 く,またその内容は,全モルディブ人がムス リムであるという同国の文化的特質を反映し ているのではないかと指摘した。  ここまで

2001

年版美術カリキュラムにつ いて論じてきたが,冒頭でも触れたように,

2014

年に新カリキュラムが公布され,

2015

年には施行される予定である。新カリキュラ ムによる教育改革のポイントはいくつかある が,その一つは,カリキュラムを構成する上 で全教科を貫く

8

つの原則が掲げられ,そ のうちの一つが「イスラム」という点であ る。つまり,現カリキュラムとは異なり,宗 教を基盤とする教育であることを前提とし, さらにそれが明言されているのである。  美術教育に相当する「

Creative Arts

」のカ リキュラム冒頭では,上記の「イスラム」と 「

Creative Arts

」との関連について以下のよ うに説明されている。 Creative Artsを教 え 学 ぶ こ と に は, ア ッ ラ ー (神)の創造物の美的な価値を認める機会を子ど もに提供することによって,イスラムへの信仰心 をより強固なものにするというねらいがある。 (Teaching and learning in the Creative arts has the

scope for strengthening learners Islamic beliefs by providing students with opportunities to value and appreciate the aesthetics of Allah s creations.)33)  これは,宗教に関する記述がさほどみられ なかった現カリキュラムからの大きな転換で あるといえる。このように宗教に対する言及 が,特に信仰心を高めるというような文言が 含まれるカリキュラムがもうじき導入されよ

(12)

1) Rachel Mason. Art Education and Multiculturalism. London: Croom Helm, 1988.

2) Richard Hickman. “Teaching Art to Muslim Students.”

Visual Arts Research, University of Illinois Press, 30, no. 2, 2004, pp.55-61. 3)箕輪佳奈恵「イスラム世界の美術教育における人物・ 動物表現−学習者のもつ意識の側面から−」『芸術学研 究』第19号,2014,pp.89-96. 4)福田隆眞「マレーシア初等教育における美術の意義につ いて」『大学美術教育学会誌』第40号,2008, pp.369-376.など 5)福田隆眞「美術文化の伝達と教員養成カリキュラム− マレーシアの事例−」『年会論文集』第18号,2002, pp.109-110. 6)外務省HP www.mofa.go.jp「最近のモルディブ情勢と 日モルディブ関係www.mofa.go.jp/mofaj/area/maldives/ index.html」[Last checked: 8.December.2014] 7)在スリランカ日本大使館HP http://www.lk.emb-japan. うとしている背後には,何らかの事情がある と推察される。今後はその背景も踏まえて考 察する必要があるだろう。またそれととも に,本論文で扱った現カリキュラムと新カリ キュラムの比較を通して

2

つのカリキュラ ムの相違を明らかにし,同国の美術教育の目 指す方向性を探ることが肝要であると考えら れる。  いずれにせよ新カリキュラムについては, その「枠組み(

Framework

)」と各教科の一 部(

Creative Arts

に関しては

1

3

学年ま での「キー・ステージ

1

」のみ)が公布さ れただけであり,現段階では未だ準備中であ る。モルディブの美術カリキュラムに関して は,残りのカリキュラム公布,そして

2015

年の施行を待った上で,稿を改めて論じた い。 謝辞: 本論文の一部は,青年海外協力隊時代におけ る筆者自身の見聞に基づいています。当時の 関係者各位,特に配属先であるハーフィズア ハ メ ド ス ク ー ル(

Hafi z Ahmed School

) に は心より感謝申し上げます。

go.jp/indexjp.html[Last checked: 26.August.2014] 8) THE PEW FORUM: http://www.pewforum.org[Last

checked: 27.August.2014]., “Mapping the global Muslim population.”

9) ldid., [Last checked: 27.August.2014]., “Resources on the future of the global Muslim population.”

10) 箕輪佳奈恵「モルディブ共和国での美術教育実践に関 する研究−教育開発の現場における活動記録の質的分析 −」『美術教育学』第35号,2013,pp.485-498.

11) UNESCO-IBE. World Data in Education 7th edition. 2010.

12) Educational Development Centre. Practical Arts in the National Curriculum Grade1-5. Malé, Maldives: Author, 2001. 2001年版カリキュラムは,イスラム・クルアー ン・ディベヒの 3 科目を除き,公用語のディベヒ語で はなく全て英語で作成されたものが公開されている(デ ィベヒ語版が存在するかどうかについては未確認のため 不明)。 13) 5 年生の内容までであれば「実践的芸術」とも訳せ そうだが, 6 ・ 7 年になると農業や漁業など,より専門 的な職業技術とも呼べる領域も加わるため,「Arts=芸 術」と単純に訳すことが出来ない。 14) 諸説あり。モルディブ教育省のHPでは,初等教育は 1 ∼ 5 学年(通常 6 歳∼10歳)の 5 年間としている。 15) 佐々木宰「シンガポールの初等学校美術教育における 新シラバスと教科書−2009年実施のシラバスと教科書 に基づいて−」『美術教育学』第34号,2013, pp.205-216. 16) ディベヒ語で「教える家」の意。 17) UNESCO-IBE, op.cit. 18) 実際 は, ナ シ ョ ナ ル カ リ キ ュ ラ ム の 教育現場 へ の 導入は,PA以外の教科も含め て1980年頃か ら段階的 に実施されていたようである(Ministry of Education. Maldives: country report for the 38th session of the International Conference on Education, Geneva, 10-19 November 1981. Malé, Maldives: Author, 1981.)。 19) National Institute of Education. Creative Arts in the

National Curriculum. Malé, Maldives: Author, 2014.

20) 6 ・ 7 学年にのみ,「Pupil s Book」という資料集のよ うな冊子がEDC(Educational Development Centre)に より作成されていることを確認している。

21) 1987年発行。名称も2001年版カリキュラムのものと 異なり,「Practical Arts Teachers Handbook」。 22) Educational Development Centre. Practical Arts in the

National Curriculum Grade2. Malé, Maldives: Author, 2001.

23) UNESCO-IBE, op.cit.

24) 例 え ば,【 立 体 制 作 】 4 学 年 の[ 目 標 ] で は,「To encourage team work in planning and organization.」 の次 の 文 章 が「To encourage team work in planning, organization and problem solving in play activity」 と な っている。

(13)

(London Borough of Ealing)では,「宗教教育諮問委員 会(SACRE=Standing Advisory Councils on Religious Education)」によって,ムスリムの子どもに対する指 導の手引書(“Guidance for schools with Muslim pupils”,

2006)が作成されている。手引書によると,当時イー リング地区の学校に通う児童生徒の25%をムスリムの 子どもが占めていたという。 26)〈観察と気付き〉は 1 ・ 2 学年,〈観察と思い出〉は 3 ∼ 5 学年が対象であるが,題材の性質としては同種に 分類されると考えてよい。 27)【コラージュ】の領域の[目標]に「学校や家の周辺 環境についてもっと知ることができるよう子どもたちを 励ます」とある。コラージュでは,自然物や廃材など身 近な素材の利用を奨めている。 28) 3 学年の【立体制作】における[指導上の手引]に のみ,「国花を作らせる」との一文がある。

29) Creative Arts & Crafts Training Centre: http:// creativitymaldives.org[Last checked: 23.August.2014] 30) かつては公園(スルタンパーク)の片隅に構えられた 小さな建物だったが,中国の援助により,2010年に大 きく新しい博物館が近隣に設置された。ただし2001年 作成のカリキュラムであるので,基本的には前者を指し ていると考えてよい。 31) 難波祐子編『呼吸する環礁 モルディブ−日本現代美 術展』国際交流基金,2012.

32) National Art Gallery: http://artgallery.gov.mv[Last checked: 23.August.2014]

表  1   教育行政に関する主な出来事

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