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薬害イレッサ訴訟における製薬会社及び国の責任について

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説 〕

薬害 イレッサ訴訟 における製薬会 社及 び国の責任 について

目次 一、 事 案 の 概 要 と問題 の 所 在 二 、 大 阪判 決 ・東 京判 決 三 、 製 薬 会 社 の製 造 物 責 任 四 、 国 の 国 家 賠 償 法 上 の 責 任 五 、 医薬 品 副 作 用 被 害 救 済 制 度 に よ る救 済 六 、 終 わ り に 一 、事案の概要 と問題の所在 分 子 標 的 薬 の イ レ ッサ は、 抗 が ん 剤 と して手 術 不 能 再 発 非 小 細 胞 肺 が ん に使 用 され る。 イ ギ リス に本 社 が あ る 日本 法 人(大 阪市)の ア ス トラゼ ネ カ社(以 下 に、 「ア社 」 と記 す 。)が 輸 入 販 売 して い る。 平 成14年 当 時 、 厚 生 労 働 省 は、 新 薬 開 発 に っ いて 欧米 諸 国 と の格 差 を な くす た め に、 新 薬 の承 認 を迅 速 に 進 め て い た。 イ レ ッサ は 、 平 成14年2月 に新 薬 と して 承 認 が 申 請 され 、 同 年7月 に世 界 で 初 め て 承 認 さ れ た。 承 認 申請 に先 立 って 、 延 命 効 果 を証 明 す る臨 床 試 験 が 行 わ れ ず 、 腫 瘍 縮 小 効 果 を証 明 す る こ と で 延 命 効 果 が 代 替 的 に評 価 され て 、 市 販 後 に延 命 効 果 を 証 明 す る こ とを 条 件 に承 認 が な さ れ た の で あ る。 ア社 は 、 イ レ ッサ に っ いて 、 承 認 さ れ る前 か ら、 マ ス コ ミに プ レ リ リー ス を発 し、 医 療 関 係 者 にパ ン フ レ ッ ト ・小 冊 子 を配 布 して 、 医 学 雑 誌 に広

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告 記 事 を 掲 載 す る と と も に、 医療 関 係 者 や患 者 に向 け て説 明 書 や 同意 書 を 作 成 した。 さ らに 、 ホ ー ム ペ ー ジを 開 設 して 、 従 来 の抗 が ん 剤 が 正 常 な 細 胞 も傷 っ けて 大 き な 副 作 用 を伴 うの に対 して、 イ レ ッサ が 副 作 用 が少 な い 「夢 の 新 薬 」 で あ る こと を広 告 して い た。 そ の後 、 諸 外 国 で も イ レ ッサ の 延 命 効 果 は証 明 さ れ な か っ た。 ア メ リカ 合 衆 国 で は、2005年 に 新 規 患 者 に 対 して イ レ ッサ を投 与 す る こ とが 禁止 さ れ た。EUで は 、2005年 に承 認 の 申請 が 取 り下 げ られ 、2009年 、 再 申請 後 に対 象 者 をEGFR遺 伝 子 変 異 患 者 に限 定 して承 認 さ れ た。 イ レ ッサ が 間 質 性 肺 炎 を発 症 させ る こ とに よ る副 作 用 被 害 は、 非 常 に深 刻 で あ る。 厚 生 労 働 省 に よれ ば、 平 成22年9月 ま で に819人 が死 亡 し、 そ の 被 害 は 、 承 認 直 後 の 時 期 に集 中 して い て、 半 年 で180人 、1年 で294人 が 死 亡 し た。 承 認 さ れ る前 か ら、 国 内 の 臨 床 試 験 で133人 中 致 死 的 症 例 が3 例 、 海 外 臨 床 試 験 で も死 亡 例 が あ る。 審 査 報 告 書 に は、 国 内 外 で 間質 性 肺 炎 に よ る死 亡 例 が あ る こ とが 明記 され て い る。 こ の よ うな 副 作 用 症 例 に もか か わ らず 、 平 成14年7月 の 第1版 添 付 文 書 に は、4っ の 重 大 な 副 作 用 の最 後 に間 質 性 肺 炎 が 記 載 さ れ 、 警 告 欄 が な く、 死 亡 リス クが 記 載 さ れ て い な か った 。 患 者 同意 書 に は、 副 作 用 と して風 邪 の よ うな 症 状 と記 載 され て い た。 同 年10月15日 、 第3版 添 付 文 書 で 記 載 さ れ る内 容 が次 の よ う に改 訂 され た。 「警 告 」 欄 が 追 加 さ れ、 「本 剤 の 投 与 に よ り急 性 肺 障 害 、 間 質 性 肺 炎 が 現 れ る こ とが あ るの で 、 胸 部X線 検 査 な どを 行 うな ど観 察 を 十 分 に行 い 、 異 常 が認 め られ た場 合 に は投 与 を 中 止 し、 適 切 な措 置 を 行 う こ と、 な お 、 患 者 に対 し副 作 用 の 発 現 にっ い て 十 分 説 明 す る こ と」 と記 載 さ れ た こ と に 加 え、 「重 要 な基 本 的 注 意 」 欄 に 間 質 性 肺 炎 に関 す る記 載 が 追 加 さ れ、 ま た 「重 大 な副 作 用 」 欄 の記 載 順 序 が 改 め られ 、 「(1)急 性 肺 障 害 、 間 質 性 肺 炎 」 と され て、 警 告 欄 と 同様 の 記 載 が され た。 同 日、 ア社 は、 医 療 機 関 に緊 急 安 全 性 情 報 を 配 布 した。 平 成16年7月 、 大 阪 地 裁 で 、 患 者 と遺 族 ら11人 が 、 次 い で 同 年11月 、 東 京 地 裁 で 、 患 者 と遺 族 ら4人 が、 ア社 及 び 国 に対 して損 害 賠 償 を求 め て 提 訴 した。 原 告 らは 、① イ レ ッサ に 有 用 性 が な く設 計 上 の 欠 陥 が あ り、 ま た、 添 付 文 書 や 広 告 な ど に も欠 陥 が あ るの で、 ア社 は製 造 物 責 任 法3条 に基 づ いて 責 任 を 負 う、 及 び ② 厚 生 労 働 大 臣 が 有 用 性 の な い イ レ ッサ を承 認 し、 添 付 文 書 の 記 載 に っ い て 規 制 権 限 を 行 使 しな か っ た の は 違 法 で あ る の で 、

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国 は 国家 賠 償 法1条 に 基 づ い て責 任 を 負 う、 と主 張 した。 こ れ らの 訴 訟 は 、平 成23年1月 に結 審 し、 大 阪 地 裁 及 び 東 京 地 裁 が和 解 を勧 告 した が 、 被 告 側 が こ の勧 告 に応 じる こ と を拒 否 した 。 和 解 勧 告 に お い て、 次 の よ うな 所 見 が 示 され て い る。 ① 添 付 文 書 に は副 作 用 の十 分 な 情 報 が記 載 され て い な か った、 ② 国 と ア社 は 、 間 質 性 肺 炎 へ の 注 意 を ア社 が 医 師 に 促 す よ う緊 急 安 全 性 情 報 が 出 さ れ た 平 成14年10月15 日 ま で に 、 イ レ ッサ が 投 与 さ れ て 副 作 用 で 間 質 性 肺 炎 を 発 症 した患 者 を 救 済 す る責 任 が あ る 、⑧ 同 日以 降 に 間 質 性 肺 炎 を 発 症 した 患 者 に対 して も誠 実 に協 議 して 解 決 を 図 る、 及 び④ ア社 は、 イ レ ッサ に っ い て 、 患 者 ら に副 作 用 の程 度 が 小 さ い新 た な抗 が ん 剤 で あ る と認 識 さ せ て 、 重 篤 な副 作 用 が な い と期 待 させ た、 と。 平 成23年2月25日 、 大 阪 地 裁 は 、 被 告 ア社 にっ い て、 製 造 物 責 任 法 に基 づ い て、 第1版 添 付 文 書 に指 示 ・警 告 上 の 欠 陥 が あ る と して 、 患 者3人 に 対 す る損 害 賠 償 請 求 を 一 部 認 容 した が 、 被 告 国 にっ い て 、 イ レ ッサ の承 認 は違 法 で な く、 第1版 添 付 文 書 の 行 政 指 導 が 著 し く合 理 性 を 欠 く もの で は な い と して 、 請 求 を退 け た(大 阪 判 決)。 同 年3月23日 、 東 京 地 裁 は、 ア 社 につ い て、 大 阪 判 決 と同 じ判 断 基 準 で 請 求 を一 部 認 容 し、 国 につ い て も、 第1版 添 付 文 書 に対 す る行 政 指 導 が 安 全 確 保 の た め の情 報 提 供 と して不 十 分 で あ り著 し く合 理 性 を 欠 く と して 、 請 求 を一 部 認 容 した(東 京 判 決)。 本 稿 で は、 まず 、 大 阪 判 決 と東 京 判 決 に お け る ア社 の製 造 物 責 任 と国 の 賠 償 責 任 にっ い て要 約 し、 次 に、 製 薬 会 社 の製 造 物 責 任 や 国 の 国 賠 法上 の 責 任 に っ いて 考 察 す る。 本 件 訴 訟 に際 して、 原 告 側 は、 抗 が ん 剤 に っ いて 救 済 制 度 を確 立 す る こ と を 国 に 求 め て き た。 医 薬 品 の副 作 用 被 害 を受 け た患 者 は 、 一 般 に 医薬 品 副 作 用 被 害 救 済 制 度 に よ って 救 済 給 付 を受 け る こ と が で き るが 、 イ レ ッサ は、 除外 医 薬 品 と して 本 救 済 制 度 の 適 用 が 除 外 され て お り、 こ の 当 否 にっ いて も検 討 す る。 二 、 大 阪 判 決 ・東 京 判 決 本 項 で は、 大 阪 判 決 と東 京 判 決 が 、 ア社 と国 の賠 償 責 任 につ い て どの よ う に判 断 した の か、 各 々 が 判 示 した 順 序 に沿 って 要 約 して 一 瞥 す る。

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1大 阪 判 決 (1)ア 社 の 製 造 物 責 任 「製 造 物 責 任 法 は、 被 害 者 保 護 の観 点 か ら、 被 害 者 は 、 製 造 物 に存 在 し た欠 陥 に よ って 損 害 を 受 け た こ とを 証 明 す れ ば 、 製 造 業 者 等 に対 して損 害 賠 償 請 求 を す る こ とが で き、 製 造 業 者 等 が免 責 され る た め に は、 製 造 業 者 等 に お い て 同 法4条 所 定 の免 責 事 由 を 立 証 す る必 要 が あ る と して、 民 法 の 不 法 行 為 に基 づ く損 害 賠 償 請 求 にお け る立 証 責 任 を上 記 の 限度 で転 換 した 」。 「非 小 細 胞 肺 が ん の治 療 に使 用 さ れ る抗 が ん 剤 は 、 難 治 性 で 予 後 が 悪 い 疾 患 を対 象 とす る もの で あ り、 そ の 性 質 上 、 重 篤 な副 作 用 が 発 生 す る危 険 を伴 う薬 剤 で あ る とい わ ざ る を得 な い に もか か わ らず、 治 療 に使 用 され て い る こ とを 考 慮 す れ ば 、 副 作 用 の 程 度 が 重 篤 な こ と か ら直 ち に 当該 抗 が ん 剤 に欠 陥 が あ る とい う こ と は で きな い。」 よ って、 「製 造 物 責 任 法 上 の 欠 陥 を 判 断 す る に際 し、 急 性 肺 障 害 や 間 質 性 肺 炎 の 副 作 用 が 発 症 し、 そ の 副 作 用 が 重 篤 で あ る との事 実 か ら、 直 ち に 当該 抗 が ん 剤 の欠 陥 の 存 在 を推 認 す る こ とは で き な い。」 製 造 物 責 任 は、 製 造 業 者 が 引渡 時 まで 損 害 の 発 生 を支 配 しえ た こ とを 根 拠 と し、 「引 渡 した 時 期 」(同 法2条2項)が 考 慮 さ れ る の で 、 「製 造 物 の 欠 陥 は、 製 造 業 者 が 当 該 製 品 を 引 き渡 した 時点 、 す な わ ち 製 造 業 者 等 が 当 該 製 品 を 最 初 に流 通 に置 い た 時 点 を 基 準 に判 断 」 さ れ て 、 「そ の 判 断 は 、 そ の 時点 にお け る安 全 性 の判 断 に 影 響 を及 ぼ し得 る知 識 の す べ て を基 礎 と して 行 わ れ る」。 「したが って 、製 造 物 が 医 薬 品 で あ る場 合 に は、 医 薬 品 の欠 陥 の 判 断 は、 当 該 医薬 品 が 最 初 に 流 通 に置 か れ た 当 時(承 認 時)の 知 見 に基 づ い て判 断 す る」。 「そ の 知 見 は、 そ の当 時 に お け る医 学 、 薬 学 等 の諸 学 問 の水 準 に照 ら して 当該 医 薬 品 の有 効 性 、 安 全 性 等(有 用 性)を 判 断 す る に 当 た って 影 響 を及 ぼ し得 る知 識 の す べ て 」 で あ る。 承 認 後 の 現 時 点 の知 見 を基 準 と して 欠 陥 を 推 認 す る こ とを 肯 定 して製 造 業 者 等 に 無 過 失 責 任 を 負 わ せ る こ と は、 製 造 業 者 の予 見可 能 性 を害 す る の で 、 相 当 で な い。 現 時 点 で 有 用 性 を 欠 く と は い え な い 事 情 は 、 「引 渡 時 に お い て も当 該 医 薬 品 は客 観 的 に有 用 性 を欠 く と は い え な か っ た こ とを推 認 させ る間接 事 実 と して 評 価 で き る」。 「医 薬 品 の 客 観 的 性 状 の 変 化 は な い が 、 引 渡 時 以 降 に、 医 薬 品 の 添 付 文 74-169

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書 等 に お け る指 示 ・警 告 が 追 加 して 記 載 さ れ る な ど の安 全 性 確 保 の た め の 措 置 が講 じ られ た場 合 、 そ の よ うな 医 薬 品 は、 改 訂 後 の 添 付 文 書 記 載 の 指 示 ・警 告 と と も に流 通 に置 か れ た 医 薬 品 とい う意 味 に お い て 、 改 訂 前 の 添 付 文 書 記 載 の 指 示 ・警 告 と と もに 流 通 に置 か れ た医 薬 品 と は性 質 が異 な る に至 った 」 の で 、 「指 示 ・警 告 の欠 陥 該 当性 を 判 断 す る に 際 して は、 当 該 医 薬 品 の 引 渡 時 の添 付 文 書 を基 準 に欠 陥 該 当 性 を判 断 す る」。 (a)設 計 上 の 欠 陥 厚 生 労 働 大 臣 が 医 薬 品 を 承 認 す る可 否 を 決 す る基 準 に した が って 、 「医 薬 品 の効 能 、 効 果 と副 作 用 と を比 較 考 量 し、 そ れ が 医薬 品 と して の有 用 性 を有 しな い 場 合 、 す な わ ち、 医薬 品 の 有 効 性 が 認 め られ な い場 合 又 は医 薬 品 の効 能 、 効 果 な い し有 効 性 に比 して 著 し く有 害 な副 作 用 が あ る場 合 に は、 当 該 医薬 品 は、 医 薬 品 と して 通 常 有 す べ き安 全 性 を有 して い る とい う こ と はで きず」、 設 計 上 の欠 陥 が あ る。 現 時点 にお い て 、 イ レ ッサ に っ いて 、 臨 床 試 験 に よ って 延 命 効 果 が あ る と推 測 さ れ る。 「副 作 用 と して 間 質 性 肺 炎 を 発 症 す る危 険 が十 分 に あ り」、 「発 症 す る問 質 性 肺 炎 は、 従 来 の抗 が ん 剤 よ り も、 重 篤 又 は致 死 的 な も の で あ り発 症 頻 度 も高 い が 、 副 作 用 死 亡 率 自体 は従 来 の抗 が ん 剤 と大 き く異 な る もの で はな か っ た」。 間質 性 肺 炎 の 副 作 用 報 告 数 も減 少 傾 向 に あ る。 よ って、 有 用 性 が 認 め られ る。 イ レ ッサ に は、 「承 認 時 か ら現 時 点 ま で客 観 的 性 状 に変 化 が な い の で 、 現 時 点 の 有 用 性 か ら承 認 時 の 有 用 性 が 推 認 さ れ て 」、 設 計 上 の欠 陥 が あ る と解 さ れ な い。 (b)指 示 ・警 告 上 の 欠 陥 医 薬 品 の性 質 上 、 「治 療 上 の 効 能 、 効 果 と と もに 何 らか の 副 作 用 の生 じ る こ とは 避 け難 い もの で あ り、 医 薬 品 と して の 有 用 性 は 、 承 認 さ れ た 用 法 、 用 量 そ の 他 使 用 及 び取 扱 上 の注 意 が 遵 守 さ れ る限 りに お い て 認 め られ る」。 「当 該 医薬 品 の安 全 性 は、 添 付 文 書 等 に よ る使 用 方 法 や 危 険 性 等 にっ い て の 適 切 な 情 報 が 適 切 に 提 供 さ れ る こ と と密 接 不 可 分 な 関 係 に あ り、 い わ ば、 医 薬 品 を 販 売 す る場 合 に は、 そ の 使 用 方 法 や 危 険 性 等 に つ いて 適 切 な情 報 を 医 薬 品 と併 せ て販 売 す る こ とが 予 定 さ れ て い る」。 「した が って 、 医 薬 品 が 添 付 文 書 等 に よ り使 用 方 法 や 危 険 性 等 の 情 報 が

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適 切 に提 供 され な い ま ま販 売 さ れ た 場 合 」 に は、 指 示 ・警 告 上 の欠 陥 が あ る。 医 療 用 医 薬 品 に つ い て 、 添 付 文 書 の 名 宛 人 は医 師 等 が 予 定 さ れ て い る。 「製 造 業 者 等 は、 当 該 医 薬 品 の 販 売 時 点 に お い て、 当該 医 薬 品 を 安 全 か っ 適 正 に使 用 す る た め に 必 要 な情 報 を 、 医 療 現 場 で 当 該 医薬 品 を 使 用 す る こ とが 想 定 され る平 均 的 な 医 師 等 が 理 解 で き る程 度 に提 供 す る必 要 が あ り、 か っ そ れ で足 り る」。 使 用 に 当 た って 患 者 の 判 断 は介 在 し な い の で 、 患 者 に と って 必 要 な 情 報 を提 供 す る こ と は予 定 さ れ て い な い 。 「医 師 等 に よ り 処 方 さ れ た 医 薬 品 を服 用 す る に 際 して は、 患 者 が 当 該 医 薬 品 等 の副 作 用 等 の 危 険 性 等 につ い て も十 分 に理 解 した上 で これ に同 意 す る こ と が必 要 で あ るが 、 これ は医 師 の患 者 に対 す るイ ン フ ォー ム ドコ ンセ ン トの 問題 で あ る。」 医 療 用 医 薬 品 は、 添 付 文 書 に よ って 医 師等 に情 報 が提 供 され る こ とが 予 定 さ れ て い るの で(薬 事 法52条1号)、 指 示 ・警 告 が 提 供 さ れ て い るか 否 か は、 引 渡 時 の医 学 的 、 薬 学 的知 見 に基 づ い て 、 添 付 文 書 に記 載 さ れ た 内 容 を 中 心 に判 断 さ れ る。 「イ レ ッサ の 副 作 用 と さ れ る急 性 肺 障 害 ・間質 性 肺 炎 等 に 関 す る医 学 的 、 薬 学 的知 見 、 医 療 現 場 の医 師等 に 対 して提 供 され て い た情 報 の 内容 、 医 療 現 場 の 医 師 等 の認 識 等 を総 合 考 慮 して 」 判 断 され る。 「平 成14年7月 当 時 、 イ レ ッサ に よ る 間質 性 肺 炎 に関 し、 イ レ ッサ に よ り症 例 に よ って は死 に 至 る こ とが あ り得 る 間 質 性 肺 炎 を 発 症 す る可 能 性 は 否 定 で きず 、 少 な く と も既 存 の抗 が ん 剤 と同程 度 の 間質 性 肺 炎 が 発 症 す る 可 能 性 は あ る と い う こ とが 判 明 して い た」。 「第1版 添 付 文 書 に お い て は 、 上 記 の よ う な イ レ ッサ に よ る 間 質 性 肺 炎 に関 す る情 報 につ い て 、 当 時 の 医 療 現 場 の 医 師 等 に よ るイ レ ッサ に対 す る 認 識 を根 拠 に、 イ レ ッサ を安 全 に か っ 適 正 に使 用 す る た め の 情 報 を、 医 療 現 場 に お い て イ レ ッサ を 使 用 す る こ とが 想 定 され る平 均 的 な医 師等 、 す な わ ち必 ず し も肺 が ん化 学 療 法 に っ いて の十 分 な 知 識 と経 験 を 有 す る と は限 らな い医 師等 が理 解 す る こ とが で き る程度 に」 指 示 ・警 告 され る必要 が あ っ た。 「被 告 会 社 の 関 与 に よ る イ レ ッサ に 関 す る情 報 提 供 の 内 容 は 、 被 告 会 社 が 少 な く と も平 成14年3月 下 旬 ま で は、 問 質 性 肺 炎 を、 イ レ ッサ との 関 連 性 が 否 定 で き な い副 作 用 と して公 表 す る必 要 は な い と判 断 して い た こ と を 反 映 し、 プ レ リ リー ス や ホ ー ム ペ ー ジ に お い て も、 副 作 用 は軽 度 か ら中 程 74-167

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度 の皮 膚 反 応 や下 痢 に と ど ま るな ど と して、 副 作 用 が少 な い と い う こ と を イ レ ッサ の 特 筆 す べ き長 所 と して 強 調 す る一 方 で 、 間質 性 肺 炎 の発 症 の 危 険 性 を公 表 して い な か っ た。」 「平 成14年7月 当 時 、 分 子 標 的 治 療 薬 に つ い て の 医 療 現 場 の 医 師 等 の 理 解 は十 分 で は な く、 被 告 会 社 に よ る情 報 提 供 や 医 学 雑 誌 か ら情 報 を 得 る ほ か な い状 況 に あ った こ と を考 え る と、 上 記 情 報 提 供 を受 け た当 時 の 医 療 現 場 の 医 師 等 の イ レ ッサ に関 す る認 識 は、 非 小 細 胞 肺 が ん 治 療 で セ カ ン ドラ イ ンの奏 功 率 が27.5%と 日本 人 に 非 常 に よ く効 く新 しい タイ プ の抗 が ん 剤 で あ り、 従 来 の抗 が ん 剤 と は異 な って 副 作 用 が 軽 微 で あ る と い う もの で あ り、 加 え て 患 者 が 自 宅 で 服 用 す る こ とが で き る経 口薬 で あ る と い う性 質 か らす れ ば 、 従 来 の抗 が ん 剤 に比 して 副 作 用 に 関 す る警 戒 を 十 分 に しな い ま ま広 く用 い られ る危 険 性 が あ った 」。 副 作 用 の 記 載 は、 内 容 か らみ て 重 要 な事 項 を 前 の方 に 序 列 す る と され て い た が、 第1版 に お い て 間 質 性 肺 炎 が4っ の重 大 な副 作 用 の 最 後 に記 載 さ れ て い て 、 重 要 とは考 え られ な い もの と解 釈 され る お そ れ が あ った。 本 件 の 間 質 性 肺 炎 は、 致 死 的 な 副 作 用 が 発 現 す る結 果 極 め て 重 大 な 事 故 につ な が る可 能 性 が あ る場 合 で、 か っ と くに 注 意 喚 起 を す る必 要 が あ る場 合 で あ るの で 、 警 告 欄 へ の記 載 が 必 要 で あ る。 イ レ ッサ にっ い て 「認 識 す べ き危 険 性 を上 記 医 療 現 場 の 医 師 等 に対 して 正 確 に伝 え る た め に は、 少 な く と も第1版 添 付 文 書 の重 大 な副 作 用 欄 の 最 初 に、 間 質 性 肺 炎 を記 載 す べ きで あ っ た」。 ま た、 「警 告 欄 に記 載 して 注 意 喚 起 が 図 られ な い ま ま 販 売 さ れ た イ レ ッサ は、 抗 が ん剤 と して 通 常 有 す べ き安 全 性 を 欠 い て い た も の と い わ ざ る を得 ず 、 平 成14年7月 当 時 に イ レ ッ サ に は指 示 ・警 告 上 の 欠 陥 が あ った 」。 平 成14年10月15日 、 添 付 文書 の 内 容 が 第3版 と して改 訂 さ れ て、 「イ レ ッ サ に よ って 、 場 合 に よ って は重 篤 な 間 質 性 肺 炎 が 発 症 す る可 能 性 を誤 解 な く認 識 す る こ とが 可 能 に な った」 の で 、 第3版 添 付 文 書 に 指 示 ・警 告 上 の 欠 陥 は な い。 (2)国 の 責 任 (a)承 認 の 違 法 につ いて 厚 生 労 働 大 臣 に よ る イ レ ッサ の 承 認 行 為 が 違 法 で あ るた め に は、 薬 事 法 14条 所 定 の 承 認 拒 否事 由 が あ るに もか か わ らず 承 認 した こ とが 必 要 で あ る

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が 、 イ レ ッ サ に は 有 用 性 が 認 め ら れ る の で 、 拒 否 事 由 に 該 当 し な い 。 (b)規 制 権 限 不 行 使 の 違 法 に つ い て 薬 事 法 上 、 「医 薬 品 の 添 付 文 書 の記 載 内容 は、 承 認 審 査 の 対 象 と は され て お らず 、 承 認 の 際 に 必 要 に応 じて 行 政 指 導 を す る こ とが 予 定 さ れ て い る に と ど ま る」。 記 載 内容 に つ い て 、 専 門 的技 術 的判 断 が 必 要 で あ る の で 、 厚 生 労 働 大 臣 の 自 由裁 量 に委 ね られ て い る。 行 政 指 導 に っ いて 作 為 義 務 違 反 が 問 題 に な る に は 、 「裁 量 権 の逸 脱 濫 用 に 当 た る場 合 、 す な わ ち行 政 指 導 を しな か っ た こ とが 当 時 の 医学 的 、 薬 学 的知 見 の下 に お いて 、 そ の 許 容 され る限 度 を 逸 脱 して 著 し く合 理 性 を 欠 く と認 め られ る場 合 に限 られ る」。 「厚 生 労 働 大 臣 が 、 承 認 時 に お い て 、 被 告 会 社 に 対 し、 イ レ ッサ に よ る 間 質 性 肺 炎 を 『重 大 な 副 作 用 」 欄 に記 載 す るよ う行 政 指 導 した に と ど ま っ た こ とは 、 添 付 文 書 に 関 す る行 政 指 導 とい う規 制 権 限行 使 の 内 容 に お い て 、 必 ず し も万 全 な もの で あ っ た とは い い難 い」。 「イ レ ッサ が 、 医 療 現 場 の 医 師 等 に よ り、 間 質 性 肺 炎 に関 す る警 戒 が な い ま ま広 く用 い られ、 そ の結 果 、 死 亡 を含 む重 篤 な副 作 用 が 発 症 す る と い う危 険 が 現 実 化 す る お そ れ が あ る と い う こ とを 、 高 度 の 蓋 然 性 を も って 認 識 す る こ と が で き た と ま で い う こ と は で き な い。」 ま た、 行 政 指 導 に は法 的 拘 束 力 が な い の で、 重 大 な副 作 用 を 回 避 す る こ と が で き た と い え な い 。 厚 生 労 働 大 臣 の行 政 指 導 にっ い て は、 「上 記 の製 造 物 責 任 法 にお け る解 釈 と 同様 に解 す る考 え 方 もあ り得 る一 方 で、 医 薬 品 の添 付 文 書 の記 載 内 容 にっ い て は製 造 業 者 等 が 第 一 次 的 責 任 を負 う こ と を前 提 に 、 薬 事 法 令上 の 添 付 文 書 の 規 定 との適 合 性 を審 査 し、 後 見 的 に指 導 を行 う に と ど ま る も の で あ るか ら、 上 記 の製 造 物 責 任 法 上 の 指 示 ・警 告 上 の欠 陥 の 判 断 方 法 と は 異 な り、 添 付 文 書 の記 載 内 容 と薬 事 法 令 及 び使 用 上 の注 意 通 達 等 との適 合 性 の み を判 断 す る方 法 を 採 る べ きで あ る との考 え 方 もあ り得 る」。 後 者 の 考 え 方 を前 提 に、 「被 告 会 社 に対 し、 イ レ ッサ に よ る 間 質 性 肺 炎 を 「重 大 な 副 作 用 』 欄 に記 載 す る よ う行 政 指 導 した こ とは 、 当 時 の 医学 的 、 薬 学 的知 見 の 下 に お い て は、 一 応 の 合 理 性 を有 す る もの と い う こ とが で き、 その 許容 され る限度 を逸 脱 して 著 し く合理 性 を欠 くと い う こと はで き な い。」 平 成14年10月15日 、 被 告 ア社 に 対 して、 添 付 文 書 を改 訂 す る と と も に、 緊 急 安 全 性 情 報 を 配 布 す る行 政 指 導 を行 っ た こ と に は 、 「そ の 時 期 及 び 内 容 に お い て、 一 応 の 合 理 性 が あ った 」。14日 時 点 ま で に、 当 該 措 置 を採 ら 74-165

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なか っ た こ とが 、 厚 生 労 働 大 臣 の 権 限 の 性 質 等 に照 ら して、 「そ の 許 容 さ れ る 限度 を 逸 脱 して 著 し く合 理 性 を 欠 く もの と認 め る に 足 り な い。」 2東 京 判 決 (1)国 の 責 任 (a)承 認 の 違 法 につ いて 厚 生 労 働 大 臣 に よ る イ レ ッサ の 承 認 行 為 が 違 法 で あ るた め に は、 薬 事 法 14条 所 定 の 承 認 拒 否事 由 が あ るに もか か わ らず 承 認 した こ とが 必 要 で あ る が 、 イ レ ッサ に は有 用 性 が 認 め られ る の で 、拒 否 事 由 に 該 当 しな い。 (b)規 制 権 限 不 行 使 の 違 法 に つ い て 「国 は、 イ レ ッサ に よ る間 質 性 肺 炎 の 副 作 用 に っ いて 、 そ の承 認 前 の 時 点 に お い て 、 他 の抗 が ん 剤 と 同程 度 の 進 度 や重 篤 度 で発 症 し、 致 死 的 と な る可 能 性 の あ る もの で あ る と認 識 ・判 断 して い た」。 「そ の 認 識 ・判 断 は国 内 臨 床 試 験 の 結 果 等 に 基 づ く合 理 的 な もの で あ る」。 薬 事 法52条 は、 医 薬 品 の 添 付 文 書 に、 「用 法 、 用 量 そ の 他 使 用 及 び取 扱 い上 の必 要 な 注 意 」 を 記 載 す る こ とを 義 務 づ け る。 最 判 平 成8年1月23日 民 集50巻1号1頁 は 、 「医 薬 品 の 添 付 文 書(能 書)の 記 載 事 項 は、 当該 医 薬 品 の危 険 性(副 作 用 等)に っ き最 も高 度 な情 報 を有 して い る製 造 業者 又 は輸 入 販 売 業 者 が 、 投 与 を受 け る患 者 の安 全 を 確 保 す るた め に、 これ を 使 用 す る医 師 等 に対 して 必 要 な情 報 を 提 供 す る 目的 で 記 載 す る もの で あ る」 と して 、 「医 師 が 医 薬 品 を使 用 す る に当 た って 右 文 書 に 記 載 さ れ た 使 用 上 の 注 意 事 項 に従 わ ず、 そ れ に よ って 医 療 事 故 が 発 生 した 場 合 に は、 これ に 従 わ な か った こ とに っ き特 段 の合 理 的 理 由 が な い限 り、 当 該 医 師 の過 失 が 推 定 さ れ る」 と判 示 し、 最 判 平 成14年11月18日 判 時1809号30頁 は、 精 神 科 医 に つ い て 、 抗 精 神 剤 を 治 療 に使 用 した場 合 に、 お か れ た 状 況 の も とで 可 能 な限 り副 作 用 の最 新 情 報 を収 集 す る義 務 が あ り、 添 付 文 書 に記 載 され た 副 作 用 の 本 件 症 候 群 の 症 状 や 原 因 を 認 識 す べ きで あ る と判 示 した。 した が っ て 、 「そ の 時 点 に お け る 医 学 的、 薬 学 的 知 見 に基 づ い て 、 医 薬 品 の副 作 用 等 そ の安 全 性 を確 保 す る た め に必 要 な注 意 事 項 は基 本 的 に 添 付 文 書 に記 載 され て い な けれ ば な らな い」。 「医 師 等 の使 用 が 予 定 さ れ て い る も の に っ い て は、 これ を 使 用 す る こ とが 予 定 され た 医 師 等 の 知 識 、 経 験 等 を 前 提 と して 、 当該 医 師 等 が 添 付 文 書 に記 載 され た使 用 上 の 注 意 事 項 の 内

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容 を理 解 で き る程 度 に 記 載 さ れ て いれ ば足 り る」。 「厚 生 労 働 大 臣 の 薬 事 法 上 の 権 限 の行 使 にっ い て は、」 専 門 的 裁 量 的判 断 に よ るの で、 「当 該 医薬 品 に 関 す る そ の 時点 に お け る医 学 的 、 薬 学 的知 見 の 下 に お い て 、 薬 事 法 の 目的 や厚 生 労 働 大 臣 に付 与 さ れ た 権 限 の性 質 等 に 照 ら し、 そ の 規 制 権 限 の 不 行 使 が そ の 許 容 され る限 度 を 逸 脱 して著 し く合 理 性 を欠 く と認 め られ る と き に 限 り、 そ の不 行 使 は、 副 作 用 に よ る被 害 を 受 け た者 との 関 係 に お い て 国 賠 法1条1項 の 適 用 上 違 法 と な る」。 「添 付 文 書 の行 政 指 導 が 行 わ れ ず 、 医 薬 品 に よ る被 害 が 発 生 した 場 合 に お い て も、 それ が厚 生 労 働 大 臣 の 権 限 の性 質 等 に照 ら し、 そ の権 限 の 不 行 使 が そ の 許 容 さ れ る限 度 を逸 脱 して 著 し く合 理 性 を認 め られ る と きに 限 り、 そ の 不 行 使 が 国賠 法 上 違 法 とな る」。 添 付 文 書 の 性 質 上 、 「安 全 確 保 の た め の必 要 な 記 載 が欠 けて い れ ば、 記 載 す るよ う行 政 指 導 す る権 限 を 行 使 す べ き責 務 が あ る」。 「添 付 文 書 に安 全 性 確 保 の た め の必 要 な 記 載 を す る責 務 は第 一 次 的 に は 当該 医 薬 品 の製 造 業 者 又 は輸 入 販 売 業 者 に あ る が、 営 利 企 業 で あ る こ れ ら業 者 が 安 全 性 確 保 の た め に営 業 上 不 利 益 と な る情 報 を 進 ん で記 載 す る こ と は十 全 に は期 待 し難 い こ とで あ るか ら、 こ の面 に お け る厚 生 労 働 大 臣 の 指 導 は 医 薬 品 の安 全 性 確 保 の た め に不 可 欠 の も の と い うべ き で あ って 、 医 薬 品 の 安 全 性 確 保 の た め に必 要 な 記 載 が欠 けて い る の に これ を放 置 した り、 一 応 の 指 導 を した の み で 安 全 性 確 保 を貫 徹 しな い ま ま にす る こ と は、 医 薬 品 に よ る国 民 の健 康 被 害 を 防 止 す る観 点 か らは許 さ れ な い」。 した が っ て 、 「厚 生 労 働 大 臣 が 、 医 薬 品 の 輸 入 を 承 認 す る に 当 た り、 そ の 添 付 文 書 に安 全 性 確 保 の た め の 必 要 な記 載 が 欠 け て い る に も か か わ らず 、 上 記 権 限 を 行 使 しな か っ た と きは 、 他 に安 全性 確 保 の た め の 十 分 な措 置 が 講 じ られ た な ど の特 段 の 事 情 が な い限 り、 そ の 権 限 の不 行 使 は、 そ の 許 容 され る限 度 を 逸 脱 して 著 し く合 理 性 を 欠 く もの と して、 そ の 投 与 を受 け る 患 者 との 関 係 に お い て 、 国 賠 法 上 違 法 とな る」。 「本 件 添 付 文 書 第1版 を見 た医 師 らが 、 「重 大 な副 作 用 』 欄 に間 質 性 肺 炎 の 記 載 が あ る こ との み を も っ て」、 間 質 性 肺 炎 が 「従 来 の 抗 が ん 剤 と同 程 度 の頻 度 及 び重 篤 度 で 発 症 し、 致 死 的 と な り う る もの で あ る こ とを 直 ち に 理 解 す る こ と は困 難 で あ った 」。 イ レ ッサ が 「重 篤 な副 作 用 、 致 死 的 な 副 作 用 の乏 し い抗 が ん剤 と して 、 広 く使 用 さ れ る危 険 が あ っ た。 よ って、 問 質 性 肺 炎 に っ い て 、 「 『重 要 な 基 本 的 注 意 』 欄 又 は 『重 大 な副 作 用 』 欄 の ほか の副 作 用 よ り も前 の 方 に記 載 す る のが 相 当 で あ り、 か っ 、 致 死 的 な も 74-163

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の と な る可 能 性 が あ る こ とを 『重 要 な基 本 的 注 意 」 欄 又 は 『重 大 な 副作 用 」 欄 に記 載 す るの が 相 当 で あ っ た」 の で 、 本 件 第1版 の 記 載 で は、 「安 全 確 保 の た め の 情 報 提 供 と して は不 十 分 で あ った」。 「厚 生 労 働 大 臣 は、 イ レ ッサ の 輸 入 を承 認 す る に 当 た り、 被 告 会 社 に対 して 、」 第3版 の よ う に 「記 載 を改 め る よ う に指 導 す べ くそ の 権 限 を行 使 す べ きで あ っ た の で、」 「権 限 を行 使 しな か った こ と は、 イ レ ッサ の投 与 を 受 け る患 者 と の関 係 に お いて 、 国 賠 法 の適 用 上 の違 法 が あ る」。 「第3版 の と お り記 載 す る 旨 の指 導 を した こ と に よ り、 そ の権 限不 行 使 に よ る違 法 状 態 は解 消 され た」。 (2)ア 社 の 製 造 物 責 任 「製 薬 会 社 は、 薬 事 法 等 の規 制 の下 に、 人 の 生 命 、 身 体 に危 害 を 及 ぼ す お そ れ の あ る医 薬 品 を 業 と して製 造 、 販 売 す る も の で あ るか ら、 これ に伴 う法 的責 任 と して、 医 薬 品 の安 全 を 確 保 し、 医 薬 品 の投 与 を 受 け る患 者 に 対 す る健 康 被 害 を可 能 な 限 り防止 す べ き注 意 義 務(安 全 性 確 保 義 務)を 負 う」。 医 薬 品 に 関 す る患 者 との 情 報 格 差 を 考 慮 して 、 「製 薬 会 社 は、 医薬 品 の 製 造 販 売 に際 し、 薬 事 法 の諸 規 定 を 遵 守 す る こ と は も と よ り、 そ の 時 々 の 最 高 の 医 学 、 薬 学 との 学 問 水 準 に基 づ き、 副 作 用 の危 険 を 未 然 に 防止 す る最 大 限 の 努 力 を払 わ な けれ ば な らな い」。 「抗 が ん 剤 の よ う な 医 薬 品 は 、 一 定 の 効 能 、 効 果 を有 す る反 面 、 あ る程 度 の 副 作 用 は避 け られ な い と い う性 質 を 有 して い る」。 そ の欠 陥 の 有 無 に っ い て は、 「当 該 医 薬 品 の 効 能 、 効 果 、 通 常 予 見 され る 処 方 に よ っ て使 用 され た場 合 に生 じ得 る副 作 用 の 内 容 及 び程 度 、 副 作 用 の 表 示 及 び警 告 の 有 無 、 他 の 安 全 な医 薬 品 に よ る代 替 性 の 有 無 並 び に当 該 医薬 品 を 引 き渡 した 時 期 に お け る医 学 的、 薬 学 的 知 見 等 の 諸 般 の事 情 を総 合 考 慮 して判 断 す べ き」 で あ る。 (a)設 計 上 の 欠 陥 「副 作 用 に よ る有 害 性 の 程 度 が 、 そ の 医薬 品 の有 効 性 を 考 慮 す る とな お 許 容 され 得 る」 とい う医 薬 品 の特 性 を考 慮 して 、 「副 作 用 に よ る有 害 性 が 著 し く、 そ の 医 薬 品 の 有 効 性 を考 慮 して もな お 使 用 価 値 を 有 しな い と認 め られ る場 合 に 、 当該 医 薬 品 に っ い て 設 計 上 の 欠 陥 が認 め られ る」。 製 造 業 者 等 は、 欠 陥 責 任 を 負 う リス クを 負 担 す る の で 、 設 計 上 の 欠 陥 の有 無 は、

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現 時 点 で 存 在 す る 資料 に基 づ い て 判 断 さ れ る。 現 在 ま で の 臨 床 試 験 に よれ ば 、 イ レ ッサ は、 「EGFR遺 伝 子 変 異 陽 性 患 者 に高 い 有 効 性 を有 す る」。 「非 小 細 胞 肺 が ん の 化 学 療 法 に よ る副 作 用 死 亡 率 は1%程 度 で あ る もの とみ られ るが 、 臨 床 試 験 に よ って は、2%以 上 の 死 亡 率 を 示 す 場 合 も あ る と こ ろ」、 イ レ ッサ に よ る間 質 性 肺 炎 の 発 症 率 が 「2%以 上 の死 亡 率 を示 した と して も、 そ の こ とに よ って 直 ち に 臨 床 的 有 用 性 を否 定 され る と はい え な い」。 よ って 、 現 在 の知 見 に お い て、 「イ レ ッサ の 副 作 用 に よ る有 害 性 が著 し く、 そ の 有 効1生を考 慮 して もな お 使 用 価 値 が な い もの とは 認 め られ ず 、 イ レ ッサ に 設 計 上 の欠 陥 が あ る とは いえ な い」。 (b)指 示 ・警 告 上 の 欠 陥 添 付 文 書 は 、 「患 者 の 安 全 を 確 保 す る た め に、 これ を 使 用 す る医 師等 に 対 して必 要 な 情 報 を提 供 す る 目的 で 記 載 さ れ る も の で あ って 、 医 薬 品 を 治 療 に使 用 す る医 師等 が 必 ず 確 認 し、 そ こに記 載 され た使 用 上 の 注 意 事 項 に 従 わ な け れ ば な らな い も ので あ るか ら、 医 薬 品 の副 作 用 等 そ の 安 全 性 を 確 保 す るた め に必 要 な使 用 上 の注 意 事 項 は基 本 的 に添 付 文 書 に記 載 さ れ て い な け れ ば な らな い」。 「これ を欠 く場 合 に は他 の 方 法 に よ り安 全 管 理 が十 分 に図 られ た な ど の特 段 の事 情 の な い 限 り、 指 示 ・警 告 上 の欠 陥 が あ る」。 「な お 、 医 療 用 医 薬 品 の よ うに 、 医 師 等 が 使 用 す る こ とが 予 定 され て い る もの に っ いて は、 これ を 使 用 す る こ とが 予 定 され た 医 師 等 の 知 識 ・経 験 等 を前 提 と して 、 当該 医 師 等 が 添 付 文 書 に記 載 され た使 用 上 の 注 意 の 内容 を 理 解 で き る程 度 に記 載 され て い れ ば 足 りる」。 「本 件 添 付 文 書 第1版 の 記 載 で は、 イ レ ッサ を使 用 す る医 師 等 に対 す る 間 質 性 肺 炎 の 副 作 用 に 係 る安 全 性 確 保 の た め の 情 報 提 供 と して 不 十 分 な も の で あ った と認 め られ 」、 「イ レ ッサ に は指 示 ・警 告 上 の 欠 陥 が あ る」。 「本 件 添 付 文 書 第3版 は、 安 全 性 確 保 の た め の 情 報 提 供 と して 十 分 な も の と認 め られ る」 の で、 添 付 文 書 の 改 訂 に よ って 第1版 の 指 示 ・警 告 上 の 欠 陥 は消 滅 した 。 三 、 製 薬 会 社 の 製 造 物 責 任 大 阪判 決 と東 京 判 決 は 、 被 告 ア 社 の 製 造 物 責 任 に つ い て 同 一 の判 断 を し た 。 イ レ ッサ につ い て 、 延 命 効 果 につ い て有 効 性 を認 め た うえ で、 間 質 性

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肺 炎 の副 作 用 の発 症 率 な ど を考 慮 して 設 計 上 の 欠 陥 を否 定 した 。 ま た、 平 成14年10月14日 以 前 の 第1版 添 付 文 書 につ い て 指 示 ・警 告 上 の 欠 陥 を肯 定 し、 同 月15日 以 降 の 第3版 添 付 文 書 につ い て 否 定 した。 製 造 物 責 任 法 に お い て 、 製 造 業 者 等 は、 製 造 物 の欠 陥 に よ っ て発 生 した 損 害 に っ い て 賠 償 責 任 を負 う(1)。 製 造 物 に っ い て 、 設 計 段 階 で 十 分 に 安 全 が 配 慮 され な か った た め に安 全 性 を 有 しな い 場 合 に は 、 設 計 上 の 欠 陥 が 認 め られ る。 効 用 が優 って い るが 除 去 し得 な い 危 険 が存 在 して 、 設 計 上 の 欠 陥 が あ る と は い え な い場 合 に は 、 製 造 業 者 等 は、 危 険 の 発 現 に よ る被 害 を ユ ー ザ ー側 で 防 止 ・回 避 す るた め の 適 切 な情 報 を提 供 す る必 要 が あ る。 こ の よ うな 情 報 が提 供 され な い場 合 に は、 指 示 ・警 告 上 の 欠 陥 が認 め られ る。 医 薬 品 は、 適 正 な使 用 目的 の た め に適 正 に 使 用 さ れ た場 合 に も、 人体 に 有 害 な副 作 用 を もた らす こ と が避 け られ な い。 効 能 が副 作 用 を 上 回 る と評 価 さ れ るの で あ れ ば、 有 用 性 が あ る と判 断 され て 、 使 用 す る こ とが認 め ら れ る の で あ る の 。 東 京 地 判 平 成22年5月26日 判 時2098号69頁 は、 医 薬 品 の この よ うな性 質 を考 慮 して 、 医 薬 品 の 欠 陥 の判 断 基 準 を次 の よ う に判 示 し た。 「当 該 医 薬 品 に副 作 用 が あ る こ と を も って 直 ち に欠 陥 が あ る と は い え ず、 副 作 用 に よ る有 害 性 の 程 度 が 、 そ の 医 薬 品 の有 用 性 を考 慮 して もな お許 容 され な い場 合 に、 当該 医 薬 品 に っ いて 設 計 上 の 欠 陥 が認 め られ る とい うべ きで あ る。 た だ、 当該 医 薬 品 に代 替 品 が あ るの で あ れ ば 、 危 険 性 を犯 して 当 該 医薬 品 を 使 用 続 けな くと も、 代 替 品 の使 用 に切 り替 え る こ とに よ り危 険 を 回避 す る こ とは可 能 で あ るか ら、 そ の場 合 、 当 該 医 薬 品 の 有 用 性 を 小 さ く評 価 す べ き で あ る。 ま た、 当 該 医 薬 品 に 設 計 上 の欠 陥 が 認 め られ な い場 合 で も、 当該 医薬 品 が 流 通 に 置 か れ た 時点 で 既 に知 られ て い た 医薬 品 の副 作 用 につ い て は、 医 師 等 に対 す る指 示 ・警 告 が 適 切 に な され て い な けれ ば、 当 該 医 薬 品 に っ い て 、 指 示 ・警 告 上 の 欠 陥 が 認 め られ る」、 と。 と ころ で 、 製 造 物 責 任 法 が 施 行 され 以 前 に は、 製 造 物 の 欠 陥 に よ って 発 生 した 損 害 に っ い て 、 製 造 業 者 等 は民 法709条 の過 失 責 任 に基 づ い て 賠 償 責 任 を負 担 した。 判 例 は、 製 薬 会 社 が 患 者 の生 命 ・身 体 の 安 全 性 を確 保 す る注 意 義 務 を 高 度 化 す る こ と に よ って 、 実 質 的 に は厳 格 責 任 と い え る責 任 を 製 薬 会 社 に認 定 して き た。

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東 京 ス モ ン訴 訟 に お い て 、 東 京 地 判 昭 和53年8月3日 判 時899号48頁 は、 被 告 の製 薬 会 社 の 注意 義 務 に っ い て 、 次 の よ う に判 示 した 。 予 見 義 務 に つ い て 、 「当 該 医 薬 品 の ヒ トの 生 命 ・身 体 に及 ぼ す 影 響 に つ いて 認 識 ・予 見 す る こ とが 必 要 で あ るか ら、 製 薬 会 社 に要 求 さ れ る予 見 義 務 の 内容 は、 ① 当該 医 薬 品 が 新 薬 で あ る場 合 に は、 発 売 以 前 に そ の 時点 に お け る最 高 の 技 術 水 準 を も って す る試 験 管 内 実 験 、 動 物 実 験 、 臨 床 試 験 な ど を行 な う こ と で あ り、 ま た、 ② す で に販 売 が 開 始 さ れ 、 ヒ トや動 物 で の 臨 床 使 用 に供 さ れ て い る場 合 に は 、 類 縁 化 合物 を含 め て 、 医 学 ・薬 学 そ の 他 関 連 諸 科 学 の分 野 で の 文 献 と情 報 の 収 集 を常 時 行 な い 、 も し これ に よ り 副 作 用 の 存 在 につ き疑 惑 を生 じた と き は、 さ ら に、 そ の 時 点 ま で に 蓄 積 さ れ た 臨床 上 の 安 全 性 に 関 す る諸 報 告 と の比 較 衡 量 に よ って 得 られ る 当該 副 作 用 の疑 惑 の 程 度 に応 じて 、 動 物 実 験 あ る い は当 該 医薬 品 の 病 歴 調 査、 追 跡 調 査 な どを 行 な う こ と に よ り、 で き る だ け早 期 に 当該 医 薬 品 の副 作 用 の 有 無 お よ び程 度 を確 認 す る こ とで あ る。 な お 、 製 薬 会 社 は 、 右 予 見 義 務 の 一 環 と して、 副 作 用 に 関 す る一 定 の 疑 惑 を抱 か しめ る文 献 に接 した と き は、 他 の(同 種 の 医 薬 品 を 製 造 ・販 売 す る)製 薬 会 社 に あ て て これ を指 摘 した うえ 、 過 去 ・将 来 を 問 わ ず 、 当該 医 薬 品 の副 作 用 に 関 す る情 報 を求 め、 よ り精 度 の 高 い副 作 用 に 関 す る認 識 ・予 見 の把 握 に努 め る こ とが 要 請 され る の で あ る」、 と。 結 果 回 避 義 務 に つ いて 、 「予 見 義 務 の履 行 に よ り当 該 医 薬 品 に関 す る副 作 用 の 存 在 な い し は そ の 存 在 を 疑 う に 足 り る相 当 な 理 由(以 下 、 こ れ を 『強 い疑 惑 」 と呼 ぶ)を 把 握 した と き は、 可 及 的速 や か に適 切 な 結 果 回 避 措 置 を講 じな け れ ば な ら な い。 そ して 、 この 結 果 回 避 措 置 の 内 容 と して は、 副 作 用 の 存 在 な い しそ の 『強 い疑 惑 』 の 公 表 、 副 作 用 を 回 避 す る た め の 医 師 や一 般 使 用 者 に対 す る 指 示 ・警 告 、 当 該 医薬 品 の一 時 的 販 売 停 止 な い し全 面 的 回 収 な ど が考 え ら れ る の で あ るが 、 これ ら の うち、 そ の いず れ の 措 置 を と るべ きか は、 前 記 予 見 義 務 の 履 行 に よ り把 握 さ れ た 当 該 副 作 用 の 重 篤 度 、 そ の 発 生 頻 度 、 治 癒 の可 能 性(こ れ を逆 に いえ ば、 いわ ゆ る 不可 逆 性 の有 無)に 加 え て 、 当 該 医 薬 品 の 治 療 上 の価 値 、 す な わ ち、 そ れ が有 効 性 の顕 著 で 、 代 替 性 も な く、 しか も、 生 命 ・身 体 の救 護 に 不 可 欠 の もの で あ る か ど うか 、 な どを 総 合 的 に検 討 して 決 せ られ な け れ ば な らな い。」、 と。 欠 陥責 任 に お け る 欠 陥 と は 「通 常 有 す べ き安 全 性 を欠 く こ と」 を意 味 し 74-159

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て い る。 過 失 責 任 に お け る製 薬 会 社 の 結 果 回避 義 務 は、 患 者 の 安 全 性 を 欠 く医 薬 品 を 出 荷 す る こ と を回 避 した か 否 か が 問 わ れ る こ と に な り、 欠 陥 を 基 礎 づ け る事 実 と同質 の 事 実 に よ って 認 定 され る こと に な る の 。 指 示 ・警 告 上 の欠 陥 は、 製 造 業 者 等 の指 示 ・警 告 行 為 を 対 象 と して、 ど の よ うな措 置 を採 る べ きで あ った か と い う行 為 態 様 が評 価 され 、 結 果 回 避 義 務 違 反 と 同 質 の評 価 が な さ れ る こ とに な るCa)。 製 造 上 の 欠 陥 や 設 計 上 の 欠 陥 に っ いて は、 製 造 物 の客 観 的 性 状 が 評 価 され る が 、 欠 陥 と評 価 され る性 状 を 有 す る製 造 物 を 製 造 ま た は設 計 した行 為 に責 任 が 帰 せ られ るの で 、 結 果 回避 義 務 違 反 と同 質 の評 価 が な され る の で あ るCJ)。 した が って 、 製 造 物 責 任 に お け る欠 陥 責 任 は、 過 失 責 任 と同 質 で あ り、 危 険 の認 識 につ い て、 開 発 危 険 の 抗 弁(同 法4条1号)と して 立 証 責 任 が 製 造 業 者 等 に転 換 さ れ た もの と解 す る こ とが で き る。 大 阪判 決 及 び東 京 判 決 は、 欠 陥 責 任 にっ い て こ の よ うに 過 失 責 任 と同 質 に解 す る こ と を前 提 に 、 被 告 ア社 の 責 任 を判 断 して い る。 大 阪 判 決 は、 民 法 の不 法 行 為 の立 証 責 任 を同 法4条 所 定 の 免責 事 由 を 限 度 と して製 造 業 者 等 に転 換 した 、 と解 した 。 東 京 判 決 は、 被 告 ア社 の安 全 確 保 義 務 、 即 ち 過 失 責 任 に お け る結 果 回 避 義 務 を負 う こ とを前 提 と して、 そ の 責 任 を判 断 し て い る。 そ こで 、 イ レ ッサ に 関 す る設 計 上 の 欠 陥 、 指 示 ・警 告 上 の 欠 陥 に っ い て 、 過 失 責 任 にお け る安 全 性 確 保 の た め の 結 果 回避 義 務 違 反 を 判 断 す る基 準 に 照 ら しな が ら考 察 す る こ と に す る。 1設 計 上 の 欠 陥 大 阪判 決 及 び東 京 判 決 は、 イ レ ッサ につ い て 、 有 効 性 と副 作 用 を比 較 考 量 して著 し く有 害 な 副 作 用 が あ る場 合 に、 設 計 上 の欠 陥 が 認 定 で き る と し たが 、 臨 床 試 験 を通 じて 有 効 性 が 認 め られ、 副 作 用 死 亡 率 な ど を考 慮 して 著 しい有 害 性 が な い の で 、 設 計 上 の 欠 陥 が 存 在 しな い と判 断 した。 この よ うな判 断 に は、 次 の よ う な問 題 が あ る。 第 一 に 、 判 決 は 、設 計 上 の欠 陥 が 認 め られ る に は、 有 効 性 よ り も副作 用 が 著 し く有 害 で あ る こ とが 必 要 で あ る と解 し、 代 替 療 法 に っ い て検 討 して い な い。 非 小 細 胞 肺 が ん が 難 治 性 で 予 後 が悪 い こ と が考 慮 され て い る と思 わ れ る。 しか し、 疾 患 が 難 治 で あ る こ とに よ って 、 医薬 品 の 効 能 が小 さ く て も有 効 性 が 認 め られ る余 地 は あ ろ うが 、 副 作 用 の程 度 が 著 しい こ と は容

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認 さ れ る もの で は な い 。 第 二 に 、 抗 が ん剤 の 有 効 性 は延 命 効 果 に よ る生 存 期 間 に よ っ て評 価 され るが 、 イ レ ッサ の延 命 効 果 が 証 明 され て い るか 疑 問 で あ る。 臨 床 試 験 にお いて 、 延 命 効 果 に つ い て 腫 瘍 縮 小 効 果 を代 替 評 価 項 目 と して 有 効 性 が評 価 され て い る。 第 三 に 、 イ レ ッサ が 間 質 性 肺 炎 を 発 症 さ せ る副 作 用 に っ いて 、 有 用 性 を 否 定 す る に値 しな い と判 断 で き るか 疑 問 で あ る。 判 決 は 、 イ レ ッサ に よ る 間 質 性 肺 炎 にっ い て、 従 来 の抗 が ん 剤 と比 べ て 、 重 篤 ま た は致 死 的 で あ り 発 症 頻 度 が2.23倍 程 度 、 投 与 後4週 間 以 内 で3.80倍 程 度 も あ る こ と を認 定 しな が ら、 イ レ ッサ の 有 用 性 が否 定 さ れ な い と判 断 す る。 緊 急 安 全 性 情 報 が 配 布 され て か ら間質 性 肺 炎 の症 例 数 が 減 少 して い る こ と も考 慮 さ れ て い る よ うで あ るが 、 医薬 品 の使 用 を 限 定 す る こ とで 副 作 用 が 減 少 す る の は、 有 用 性 を 否 定 す る根 拠 と もな り得 る。 ま た、 証 拠 資 料 に っ いて 、 科 学 的 に 信 頼 で き る手 法 に よ るの か も検 討 され て い な い 。 第 四 に 、 東 京 判 決 は、 イ レ ッサ に っ いて 、EGFR遺 伝 子 変 異 陽 性 患 者 に 対 す る有 効 性 を考 慮 して 有 用 性 を 認 め て い るが 、 特 定 の 類 型 の 患 者 に対 す る有 用 性 に よ っ て一 般 の 患 者 に対 す る有 用 性 を 認 め る こ と はで き な い。 特 定 の類 型 の 患 者 へ の有 用 性 の み が 認 め られ るの で あ れ ば 、 当 該 類 型 の 患 者 に対 して の み 使 用 で き る と い う限 定 が な さ れ な い こと が 、 設 計 上 の 欠 陥 に 該 当 す る。 製 造 物 責 任 に お け る欠 陥 判 断 の 基 準 と な る時 点 は、 立 法 趣 旨 に よ れ ば 、 製 造 業 者 等 が 当 該 製 造 物 を 引 き渡 した 時 点 で あ る ㈹ 。 製 造 物 の 欠 陥 に っ いて 製 造 業 者 等 が 責 任 を 負 う根 拠 は、 欠 陥 の あ る製 造 物 を 製 造 して 引 き渡 した こ と にあ り、 製 造 業 者 等 は、 製 造 物 を 引 き渡 す 時点 ま で 製 造 物 を そ の 支 配 の も と に置 い て い るか らで あ る。 これ に対 して 、 大 阪 判 決 は、 設 計 上 の欠 陥 を 判 断 す る基 準 時 に っ い て 、 製 薬 会 社 の 予 見 可 能 性 が 害 さ れ な い よ うに、 最 初 に流 通 に 置 い た時 す な わ ち承 認 時 と解 した。 東 京 ス モ ン訴 訟 判 決 に よ れ ば、 製 薬 会 社 は、 製 造 販 売 す る 医薬 品 にっ い て、 承 認 後 も副 作 用 の疑 惑 の 程 度 に応 じて 安 全 を確 保 す る こ とが 求 め られ て い る。 医 薬 品 にっ い て 、 欠 陥 の有 無 を 判 断 す る基 準 時 を他 の製 造 物 と異 な る基 準 に よ る合 理 的 な理 由 は な い し、 む しろ、 医薬 品 につ い て は、 副 作 用 に よ って 重 篤 な 健 康 被 害 を 発 生 さ せ る危 険 が あ る こ と を 考 慮 す る と、 流 通 に 置 い た 時点 を 欠 陥 判 断 の 基 準 と す る こ とが 不 可 欠 で

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あ る 。 2指 示 ・警 告 上 の 欠 陥 医 薬 品 は、 添 付 文 書 に所 定 の事 項 が 記 載 され て い な け れ ば な らな い(薬 事 法52条)。 「記 載 は、 他 の文 字 、 記 事 、 図 画 又 は図 案 に 比 較 して見 や す い 場 所 に さ れ て い な け れ ば な らず 、 か っ 、」 「当該 医 薬 品 を一 般 に購 入 し、 又 は使 用 す る者 が 読 み や す く、 理 解 しや す い よ う な用 語 に よ る正 確 な記 載 が な け れ ば な らな い。」(同 法53条)。 これ らの 規 定 に違 反 す る 医薬 品 の販 売 は禁 止 さ れ る(同 法55条)。 薬 事 法 に よ る医 薬 品 に対 す る行 政 規 制 は、 安 全 性 を確 保 す る こ とを 目的 と して お り、 こ れ らの 規 定 に反 す る記 載 は、 製 造 物 責 任 の 指 示 ・警 告 上 の 欠 陥 に 当 た る と解 さ れ る。 大 阪判 決 及 び東 京 判 決 は、 医療 用 医 薬 品 で あ る イ レ ッサ につ い て、 担 当 医 師 の判 断 に よ って処 方 され るの で 、 添 付 文書 は平 均 的 な 医 師 が 理 解 で き る程 度 に 記 載 さ れ て い るか 否 か と い う観 点 か ら、 添 付 文 書 の 指 示 ・警 告 上 の 欠 陥 の 有 無 を 判 断 した 。 承 認 時 の 第1版 添 付 文 書 に は 、 間 質 性 肺 炎 が 「重 大 な 副作 用 」 欄 の 最 後 の4番 目 に記 載 され 「警 告 欄 」 が 設 け られ なか っ た こ とか ら、 指 示 ・警 告 上 の欠 陥 が あ る と判 断 し、 これ らの 点 が改 め られ た第3版 の 添 付 文 書 に は、 この よ う な欠 陥 が解 消 さ れ た と判 断 した。 イ レ ッサ の 添 付 文 書 は、 用 法 、 効 能 、 副 作 用 な ど に つ い て 、 医 師 だ けで な く、 服 用 す る患 者 に も情 報 を伝 え て い る とい え る。 しか し、 判 決 は、 イ レ ッサ が 医 療 用 医 薬 品 で あ って 医 師 の 判 断 を 介 して 患 者 が 服 用 す る こ と を 根 拠 と して 、 添 付 文書 に平 均 的 な 患 者 が 理 解 で き る よ うな 記 載 を求 め て い な い。 麻 酔 薬 の よ うに 専 ら医 師 の 判 断 に よ って 医 療 用 医薬 品 が 使 用 され る 場 合 に は 、 患 者 の判 断 が 介 在 す る余 地 は極 め て 少 な い。 これ に対 して、 患 者 が 経 口薬 と して服 用 す る イ レ ッサ にっ い て は、 他 の療 法 や 抗 が ん剤 で 治 療 を受 け る選 択 肢 もあ る ので 、 患 者 は、 担 当 医 師 か ら添 付 文 書 な ど を 通 じ て 有 効 性 や 副 作 用 に 関 す る説 明 を 受 けて 、 服 用 す る か否 か 判 断 す る こ と に な る。 患 者 が イ レ ッサ を 服 用 す るの に、 患 者 の 判 断 も介 在 す る。 この点 に っ い て、 判 決 は、 医療 行 為 の イ ン フ ォ ー ム ドコ ンセ ン トの 問 題 で あ り、 医 薬 品 の指 示 ・警 告 上 の 欠 陥 の 問題 で は な い と解 して い る。 しか し、 イ レ ッ サ は、 承 認 され て 緊急 安 全 性 情 報 が 配 布 さ れ る まで 、 処 方 す る医 療 機 関 が 指 定 さ れ ず に、 十 分 な 判 断 力 を有 しな い医 師 に よ って も処 方 さ れ て お り、

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医 師 が患 者 に十 分 な情 報 を提 供 して 、 患 者 が そ の情 報 に 基 づ い て適 切 な 判 断 を す る こ とが 期 待 で き なか った と い え る。 こ の よ うな こ と も考 慮 す れ ば、 添 付 文 書 につ い て、 平 均 的 な患 者 が 理 解 で き る程 度 の記 載 が さ れ る こ と も 必 要 で あ る と解 さ れ る。 判 決 は 、 イ レ ッサ の 指 示 ・警 告 上 の 欠 陥 に 関 して 、 医 師 が 添 付 文 書 の 記 載 に した が って 医 薬 品 を 使 用 す る こ とか ら、 広 告 宣 伝 上 の 欠 陥 に っ い て 観 念 で きな い と判 断 す る。 医 薬 品 に っ いて 指 示 ・警 告 上 の 欠 陥 が 問 わ れ る場 合 に は、 製 造 物 の欠 陥 が 問 わ れ て い る以 上 、製 造 物 に付 属 す る添 付 文書 の み が 判 断 の対 象 とな る と考 え られ る傾 向 が あ るfii。 しか し、 上 述 した よ う に、 イ レ ッサ に つ い て 、 患 者 に 対 す る指 示 ・警 告 上 の 欠 陥 が 問 わ れ る も の と解 す るな らば、 患 者 は、 添 付 文 書 の み か ら そ の有 効 性 や 副 作 用 の情 報 を 得 るの で は な く、 む しろ、 製 薬 会 社 の ホ ー ム ペ ー ジ、 広 告 記 事 か ら得 る 情 報 の影 響 を 強 く受 け得 る し、 病 院 で 療 法 を選 択 す る に 際 して は、 添 付 文 書 よ り も患 者 向 け の説 明 書 な ど か ら得 る情 報 の 影 響 を受 け る と い え るの で 、 製 薬 会 社 は、 こ の よ うな 様 々 な媒 体 を 通 じて 医 薬 品 の安 全 性 を確 保 す る こ とが 求 め られ て 、 指 示 ・警 告 上 の 欠 陥 の有 無 を 判 断 す る対 象 が 添 付 文書 に 限 定 され な い と解 され る(R)。 この よ う に、 患 者 が 医 薬 品 を服 用 す る こ と を選 択 す る過 程 で提 供 され る情 報 を 総 合 的 に考 慮 して、 指 示 ・警 告 上 の 欠 陥 の有 無 を 判 断 す る べ きで あ る。 な お、 大 阪 判 決 及 び 東 京 判 決 は 、 指 示 ・警 告 上 の欠 陥 の 判 断 基 準 時 を 引 渡 し時 で あ る と解 して い る。 本 件 で は争 わ れ て い な い が 、 判 決 に よ れ ば 、 製 薬 会 社 が 医 薬 品 を 出 荷 した後 で 患 者 が 服 用 す る ま で に 提 供 した情 報 にっ いて は、 指 示 ・警 告 上 の 欠 陥 の有 無 を 判 断 す る に際 して 考 慮 さ れ な い こ と に な る。 東 京 ス モ ン訴 訟 判 決 に お いて 、 製 薬 会 社 は、 過 失 責 任 の も とで 、 患 者 の安 全 を 確 保 す るた め に、 出 荷 後 も副 作 用 の疑 惑 に 応 じて 適 切 な措 置 を 採 る こ とが 求 め られ て い る。 製 造 物 責 任 に お いて も、 製 造 物 が 通 常 有 す べ き安 全 性 を 有 す る こ と を確 保 す る た め に、 引 渡 後 の情 報 提 供 に関 して も、 指 示 ・警 告 上 の欠 陥 を 判 断 す るに 際 して 問 題 とす る べ きで あ る(9i。 四 、 国 の 国 家 賠 償 法 上 の 責 任 大 阪判 決 及 び東 京 判 決 は、 厚 生 労 働 大 臣 に よ る イ レ ッサ の 承 認 行 為 につ いて 、 イ レ ッサ に有 用 性 が 認 め られ て 薬 事 法14条 所 定 の 承 認 拒 否 事 由 に該 当 しな い の で 、 違 法 で な い と判 断 した。

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他 方 、 添 付 文 書 が第3版 に改 訂 され る ま で 、 添 付 文 書 に 関 す る行 政 指 導 を怠 った 違 法 性 が あ るか 否 か を巡 って 、 判 断 が 分 か れ て い る(]n)。 ク ロ ロキ ン訴 訟 判 決(最 判 平 成7年6月23日 民 集49巻6号1600頁)は 、 厚 生 大 臣 が 欠 陥 医 薬 品 の 承 認 を取 消 す 権 限 を行 使 しな い 違 法 性 に つ い て 、 医 薬 品 の 有 用 性 に つ い て 高 度 の専 門 的 か っ 総 合 的 な判 断 が 要 求 さ れ るの で 、 「副 作 用 を 含 め た 当 該 医 薬 品 に 関 す るそ の 時 点 に お け る 医 学 的 、 薬 学 的 知 見 の下 に お いて 」、 「薬 事 法 の 目的 及 び厚 生 大 臣 に付 与 さ れ た権 限 の性 質 等 に照 ら し、 右 権 限 の 不 行 使 が そ の 許 容 さ れ る限 度 を逸 脱 して 著 し く合理 性 を欠 く と認 め られ る と き は、 そ の 不 行 使 は 、 副 作 用 に よ る被 害 を受 けた 者 と の 関係 にお い て 同項 の 適 用 上 違 法 と な る」、 と判 示 した(11)。 大 阪判 決 及 び東 京 判 決 は、 ク ロ ロ キ ン判 決 の 基 準 に基 づ いて 、 イ レ ッサ の 承 認 時 に第3版 の 内 容 の添 付 文 書 を 付 け るよ う に行 政 指 導 を す る こ と を 怠 った こ と にっ い て、 違 法 性 の有 無 を 判 断 した 。 大 阪 判 決 は 、 「必 ず しも万 全 な もの で あ った とは い い難 い」 と評 価 し た に もか か わ らず 、 次 の 理 由 で 、 「当 時 の 医学 的 、 薬 学 的 知 見 の下 に お い て は、 一 応 の 合 理 性 を有 す る もの と い う こ とが で き、 そ の 許 容 さ れ る 限度 を 逸 脱 して 著 し く合 理 性 を 欠 く」 と評 価 で き な い と判 示 した 。 ① イ レ ッサ が 、 医 療 現 場 で 間 質 性 肺 炎 を 警 戒 す る こ と な く広 く用 い られ て 、 重 篤 な 副作 用 が 発 症 す る こ と を高 度 の 蓋 然 性 を も って 認 識 で き な い、 ② 行 政 指 導 に は法 的 拘 束 力 が な い の で、 副 作 用 を 回 避 す る こ とが で き た とい え な い、 及 び ③ 行 政 指 導 は、 製 造 業 者 等 が 第 一 次 的 責 任 を負 う こ と を 前 提 に 、 「薬 事 法 令 上 の 添 付 文 書 の規 定 との適 合性 を 審 査 し、 後 見的 に指 導 を行 うに と ど ま る」 の で 、 添 付 文 書 の記 載 内 容 と薬 事 法 令 及 び使 用 上 の注 意 通 達 等 との適 合 性 の み を判 断 す る方 法 を 採 るべ きで あ る との考 え 方 もあ り得 る、 と。 これ に対 して 、 東 京 判 決 は、 「他 に安 全 性 確 保 の た め の十 分 な措 置 が 講 じ られ た な ど の特 段 の 事 情 が な い 限 り、 そ の権 限 の不 行 使 は、 そ の許 容 さ れ る限 度 を 逸 脱 して著 し く合 理 性 を 欠 く」 と判 示 して、 違 法 性 を肯 定 した。 製 造 業 者 等 が 所 定 の事 項 を添 付 文 書 に記 載 す る第 一 次 的責 務 を負 うが 、 営 利 企 業 が安 全 性 確 保 の た め に営 業 上 不 利 益 とな る情 報 を 進 ん で 記 載 す る こ と を従 前 に期 待 で きな い」 の で、 厚 生 労 働 大 臣 の行 政 指 導 が 不 可 欠 で あ る か らで あ る。 医 薬 品 に よ る事 故 を 抑 止 す る に は、 行 政 指 導 に よ って製 造 業 者 等 に 医 療 関 係 者 に情 報 を提 供 させ る こ とを 通 じて 、 医薬 品 に よ る 副作 用 被 害 を効 率 的 に抑 止 で き る の で あ る。

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医 薬 品 にっ い て は、 患 者 の生 命 ・身 体 の安 全 を確 保 す る ため に、 薬 事 法 に お い て 、 厚 生 労 働 大 臣 の承 認 が な けれ ば製 造 販 売 で きず 、 承 認 後 も再 審 査 や 再 評 価 の制 度 が定 め られ て い る 働 。 大 阪判 決 及 び 東 京 判 決 は、 イ レ ッ サ の有 用 性 を 肯 定 して 設 計 上 の欠 陥 が な い と判 断 す る と と も に、 イ レ ッサ に有 用 性 が あ るが ゆ え に薬 事 法14条 所 定 の拒 絶 事 由 に該 当 しな い と して 承 認 行 為 の 違 法 性 を 否定 して い る。 薬 事 法14条 所 定 の拒 否 事 由 に お い て も、 設 計 上 の 欠 陥 の判 断 に お いて も、 イ レ ッサ の有 用 性 に っ い て 同 一 の判 断 が な さ れ て い る。 と くに 大 阪 判 決 は 、 イ レ ッサ にっ い て、 医 薬 品 が 承 認 され る基 準 に 従 って 有 用 性 が 認 め られ る こ と を理 由 と して、 設 計 上 の欠 陥 を 否 定 して い る。 こ の よ う に、 医 薬 品 にっ い て は、 製 薬 会 社 が 新 薬 を開 発 して 市 販 す る場 合 に は、 有 用 性 が 認 め られ る な らば 承 認 さ れ て 市 場 に流 通 し、 有 用 性 が 認 め られ な い な らば承 認 が 拒 否 さ れ て 市 場 に流 通 す る こ とが 阻 止 され る こ と に な る。 この よ うに、 医 薬 品 の有 用 性 や 安 全 性 を 確 保 す るた め に、 製 薬 会 社 と国 とが 相 互 に協 働 す る こ とが 求 め られ て い るの で あ る。 さ らに 、 本 件 で は、 厚 生 労 働 省 が 、 製 薬 企 業 が 研 究 開 発 の 拠 点 を 海 外 に 移 して 国 内 で 新 薬 が 開 発 され な くな る こ とを 防 止 す る た め に、 新 薬 の 治 験 を迅 速 化 す る政 策 を推 進 す る な か で 、 海 外 で承 認 さ れ て い な い イ レ ッサ が 十 分 な治 験 を 経 る こ とな く、 承 認 申 請 さ れ て か ら短 期 で 承 認 さ れ て 副作 用 被 害 が発 生 した とい う事 情 も十 分 に考 慮 さ れ る必 要 が あ る。 した が って 、 添 付 文 書 の記 載 に っ いて 、 製 造 業 者 等 が 第 一 次 的 責 務 を 負 い、 国 が 補 充 的 な責 務 を 負 うに と ど ま る と解 す る こ と は で き な い。 国 も製 薬 会 社 と協 働 して 医薬 品 の安 全 性 を 確 保 す る義 務 を負 うの で 、 本 件 の よ う に添 付 文 書 に関 す る行 政 指 導 を怠 っ た こ とに っ いて 、 患 者 の 生 命 ・身 体 の 安 全 を 確 保 で きず に 損 害 を 発 生 させ た と評 価 され て、 「薬 事 法 の 目 的 及 び 厚 生 大 臣 に付 与 さ れ た 権 限 の性 質 等 に照 ら し、 右 権 限 の 不 行 使 が そ の 許 容 され る限 度 を 逸 脱 して 著 し く合 理 性 を 欠 く と認 め られ る」 の で 、 違 法 で あ る と判 断 で き る。 五 、 医 薬 品 副 作 用 被 害 救 済 制 度 に よ る 救 済(13) わ が 国 で は、 昭 和30年 代 か ら40年 代 に か けて 、 サ リ ドマ イ ド事 件 や ス モ ン事 件 とい う医 薬 品 に よ る大 規 模 な 副 作 用 被 害 が 発 生 した 。 こ れ らの薬 害 事 件 を 訴 訟 や 和 解 を 通 じて 解 決 す る な か で 、 次 の よ う な 教 訓 が 示 さ れ た(14)。① 副 作 用 被 害 の 原 因 医 薬 品 を 特 定 す る の が 困 難 で 長 い年 月 を要 す 74-153

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る こ と、 ② 大 量 に市 販 され た 医薬 品 が 副 作 用 を 発 生 さ せ て 莫 大 で深 刻 な 被 害 を発 生 させ る こ と、 及 び⑧ 副 作 用 被 害 に 関 す る損 害 賠 償 請 求 訴 訟 の追 行 に は、 莫 大 な 時 間 と費 用 を要 す る こ と な ど で あ る。 重 篤 な 副 作 用 の あ る医 薬 品 が全 国 的 に市 販 され て 使 用 され る と、 短 期 間 に大 量 の 副 作 用 被 害 が 発 生 す る一 方 で 、 訴 訟 を 通 じて 被 害 救 済 を実 現 す る に は莫 大 な時 間 と費 用 を 要 す るの で あ る。 こ の よ うな 教 訓 を 通 じて 、 昭 和51年 、 「医 薬 品 の 副 作 用 に よ る被 害 者 の 救 済 制 度 研 究 会 報 告 」 が 厚 生 省 に 提 出 さ れ て検 討 作 業 が 開 始 さ れ た。 昭 和 54年9月 、 医 薬 品 副 作 用 救 済 基 金 法 が 国 会 で可 決 さ れ、 同 年10月1日 に公 布 さ れ て 同 日 に施 行 され た。 本 法 が 定 め る救 済 制 度 は、 製 薬 会 社 か ら拠 出 金 を徴 収 して 救 済 基 金 を 設 立 し、 患 者 に対 して 一 定 の救 済 給 付 を行 う も の で あ る。 本 法 は、 医薬 品 副 作 用 被 害 救 済 ・研 究 振 興 調 査 機 構 法 を経 て、 平 成16年4月 、 独 立 行 政 法 人 医 薬 品 医 療 機 器 総 合 機 構 の設 立 に伴 って、 独 立 行 政 法 人 医 薬 品 医 療 機 器 総 合 機 構 法 に移 行 した 。 本 法 で は 、 医 薬 品 に っ い て 広 く救 済 の対 象 と さ れ る に も か か わ らず 、 「が ん そ の他 の 特 殊 疾 病 に使 用 さ れ る こ とが 目的 と され て い る医 薬 品 で あ っ て 、 厚 生 大 臣(厚 生 労 働 大 臣)の 指 定 す る もの 」 は救 済 の 対 象 か ら除 外 さ れ て い る(医 薬 品 副 作 用 救 済 基 金 法2条1項 但 書1号 、 独 立 行 政 法 人 医 薬 品 医 療 機 器 総 合 機 構 法4条5項 但 書1号)。 当 該 医 薬 品 の 使 用 に よ って 相 当 の頻 度 で 重 い副 作 用 の 発 生 が予 想 さ れ て も、 重 篤 な疾 病 等 を 治 療 す る た め に使 用 が 避 け られ ず か っ 代 替 す る治 療 方 法 が な い の で 、 患 者 は副 作 用 を 受 忍 せ ざ るを 得 な い と考 え られ て い る ⑮ 。 抗 が ん 剤 を 除 外 医薬 品 とす るの は、 救 済 制 度 が 創 設 さ れ た趣 旨 か ら不 合 理 で あ る。 イ レ ッサ訴 訟 の経 緯 を み る と、 患 者 が 容 易 に 服 用 で き る経 口 の 医 薬 品 が 大 量 に市 販 され て 、 集 団 的 で 重 大 な 副 作 用 被 害 を 発 生 させ 、 訴 訟 が 長 期 化 し解 決 が 難 航 して い る。 な お 、 製 造 物 責 任 法 に 基 づ い て製 薬 会 社 に賠 償 請 求 す る に は 、 救 済 制 度 が 創 設 され た 当 時 の よ うに 民 法709条 の 過 失 責 任 に 基 づ い て請 求 す る の で は な い の で、 患 者 は製 薬 会 社 の 過 失 を証 明 す る必 要 はな いが 、 これ まで み た よ う に欠 陥 の 有 無 な どを 巡 っ て過 失 責 任 と同 様 の 争 いが 展 開 され て い る。 救 済 制 度 が 創 設 さ れ る教 訓 と な った サ リ ドマ イ ド事 件 や ス モ ン事 件 と 同 じ経 緯 を辿 って い る の で あ る。 ま た、 昭 和 54年 当 時 か ら現 在 に 至 って 、 手 術 療 法 に よ る こ とが で きな い場 合 で も、 抗 が ん 剤 治 療 だ け で な く、 放 射 線 療 法 、 免 疫 細 胞 療 法 な ど、 癌 の 治 療 法 も発

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