【論 文】
UDC :691
.
17 :699.
82日本 建 築 学 会 構 造 系 論 文 報 告集 第414号
・
1990 年8月Jeurnal
of Struct.
ConstT.
Engng.
AIJ,
No.
414,
Aug.
,
1ggO建
築
用
ゴ
ム
系材料
の
暴 露 試
験
EXPOSURE
TESTS
OF
RUBBER
SHEETS
USED
FOR
BUILDINGS
田
中
享
二 * ,清 水 市
郎
* * ,小 池
迪 夫
* 紳KyOf
TANAKA
,
Ichirou
SHIMIZU
andMichio
KOIKE
Four
kinds
ofbutyl
blended
withEPDM
rubber sheets whichhave
different
properties
against・
ozone were exposedinside
or outside of abuilding
toknow
the effect of the environment.
Dumb −
bell
specimens were cut outfrom
the sample sheets and were stretched up to elongation rates Qf論
・:
1
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℃ and 60%R ,
H .
Most
of allexposure tests started
in
springin
1987.
An
additional test startedin
winter in 1988 to
know
the誰
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during
the tests was pointed out.・
Key
ωotzis:E鋼 5鷹 纏 」〜ubber sheet,
陥 励 6r,
Oxone,
Crack, TemPerature
L
ま えがき 1.
玉 研 究の 目的建 築 物には様々 な部 位に ゴ ム系材料が使 用され る。 例 え ば屋根の防 水シ
ー
ト, 窓 ガラス固定のた めの ガスケッ ト, 外壁パ ネル外 周での シー
ル材,
出入口 などの ビー
ド 類, 床の制震ゴ ム,
最 近で は免 震 構 造に用い ら れ る支 承 等と して である。
ところで これ らの使 われ方 を見る と,
すべ て が力 学 的 負 荷の予 想 さ れ る所であり,
材 料にひず みの生 じて い る ことが前 提と さ れ る。 これ ら材料は有機 質材料で あり, 無機質材料に比べ て劣 化し や すい性 質を 持つ。
特にひずみ を生じて い る状 態で は オ ゾンに より劣 化が進 行するV−
4)。
こ れ には,
オ ゾン濃度, 温 度といっ た環 境条件の ほ か,
生 じ ている ひずみの大きさ とい っ た 力 学 的 負 荷条件も密 接に関 与し5)・
6),
その結 果,
材料に は亀 裂,
破 断 といっ た欠 陥を生 ずる。
そのた め建 築 物に ゴ ム系材 料 を使 う際には,
力学 的 負 荷 を受け ている状態 下で の耐 久 性 評 価が重 要な課 題と なる。
研 究の最 終 目的はこれ ら材 料の耐 久 性 をい かに評 価す る か お よ びそ の方 法 を確 立す るこ とにあるが
,
その た め に は, ま ず材 料がどの よ うに劣 化し,
環 境 条件の影響を どの よ うに受け る か とい う基本 的な問 題 を 明ら かに し な けれ ば な ら ない。
本 論 文はその第 1 段階と して 劣 化 が どの よ う に進 行 す る か, 地域差が どの程 度 存 在す る か
,
室内環 境は どの よ うに考えれば良い の か,
こ れ ら劣化 は何に起 因 する の か とい っ た諸 点を明ら かにする目的で,
気象 環 境 の極 端に異な る 三地点で の屋 外 暴 露 試 験,
お よ び室 内暴 露 試 験を実 施し,
考 察 を加え た もの で ある。
L2
既 往の研 究ゴム系 材料の 耐 久 性は重 要な問 題であ り
,
研 究の歴 史 ‡ 東 京工業 大 学工 業 材 料 研 究所 糧 (財 )建材試 験センター
*i* 東 京工業 大 学 工 業 材 料研究所 助 教授・
工博 教 授・
工博 拿 AssociatePrQf
.
of Tokyo Inst重tute of TechnQlogy,
Dr.
Eng.
牌Japan
Testing Center for ConstrucしiQn Materials 紳 卓 PrQf
,
も古く
,
か な り蓄積の ある分 野で ある。
そ の耐 久 性を 知 る一
つ の方法と し て屋 外 暴 露 試 験 も しばしば実施 され る が,
ほ と んどの もの は製 品の劣 化を記 述 する だ け の実 務 的 な 立 場か らの もの が 多く, そ の材 料を どの よ うに評 価 すれ ば良いの か とい っ た使う側か らの観 点の ものは少な い。
こ の立場か ら研 究さ れ たもの と しては大 気 中の オ キ シダン ト,
オゾン の影 響につ い て論 じ たAntti
Soininen
らηのヘ ル シンキで の屋 外 暴 露 試 験 報 告,Haagen・
Smit
ら8切 ロ スア ンジェ ル ス で の屋 外 暴 露試 験報 告,
あ るい は促 進 オゾン試 験結果との関係 を調べ る ために行っ た,
Vocca9
}の ロス ア ン ジェ ル ス,
ユ マ , フ ロ リ ダの3
地域 での暴 露 試 験 報 告,
同 様な 目的で行わ れ た須 賀Lωの東京 での屋外暴露 試 験 報 告が あ る。 これ ら はい ずれ も一
般工業用ゴム 系材 料につ い て行わ れ た もの で あ る が, 建 築 用ゴ ム系材料に焦 点 を合わ せ た も の は さ ら に少なく,
わずかに合成高分 子ルー
フィ ング の耐 候 性を調べ る た めに高 木ら11)によ り行わ れ た東 京で の屋 外 暴 露試験, オ ゾン試 験との関 係を 調 べ る た めに行 わ れ た藤木12 ) に よ る大 阪での, ま た加藤ら13切 千葉での 屋 外 暴 露 試 験の各報 告が ある程 度である。 これら研 究は多少本研 究での 目 的と は異な る た め,
屋 外 暴露 試 験 が 特 定の地域につ い ての み に限 定さ れて お り,
環境の差 を調べる に は不十 分で ある。
ま た気 象 環境 と の関係につ いての吟 味が十 分な さ れ ていない。
さら に 建 築材料の使用さ れ る場 所と して はいま ひ とつ重 要であ る室 内 環境の劣化に関する知 見が ほ と ん ど 得 ら れて い な い のが実情で あ る。
.
2.
暴 露 試 験の概 要 2.
1 試 料および試験 片 伸 長状態に あ る ゴム系 材 料は,
劣 化 因 子と して オ ゾン が主に影 響を及ぼ す といわ れてい る。
そ の影 響を調べ る ために は耐オ ゾン性の優れ た も の か ら劣るものまでの幅 広い材 料につ い て検 討す る 必要が あ る。
そのた め本 研 究 では耐 オゾン性に数 段 階の差を設け たゴ ム シー
トを試作 した。
耐 オゾン性の段 階 付け はゴ ム配合の基 本 的 手 法で 表一
1 試 料お よ び基 本 物 性 値 試 料 100/080 /2D70 /3050 〆50 配 合 表 ブ チ ル ゴ ム (工IR ) エチ レ ンブ ロ ビ レ ン ジェン モ ノマ 〔EPDM 》 酸化亜鉛 ステア リン酸 HAF カー
ボンブ ラック タルク パ ラフ ィ ン系オイ ル カ瞳促進剤 (TMTm 加硫促進 剤(MBT ) 輾 100 0 5 1604030 L o.
5 L.
5 8020 同 左 7030 同 左 動 駟 同 左 基 本 物 性 厚 さ mm 引蠍 さ kgf /c皿
2 破 断’
% 引 裂強さ k呂£ /c皿
硬 さ HS〔Jis A) 1.
112 且 49231 図 1.
且 1095L52952 LoL395503657 1,
lLO452229 騎 引 張:
ダンベ ル3号型【標 点閭 距 隘:20回) 引裂:
B型、
引張運度 500 魍/ 分 硬 度3 スプ リ ング式A彫2
単
位
図一
1 ダンベ ル状 1号 形試 験片 あ る オゾン劣 化 を 生じや すい ブチル ゴム と オゾンに対 し て抵 抗 性の あ るEPDM
の両 者の配 合比 を変え る考え方 によっ た。 予備 試験で適 当な グレー
ド付 け可 能な配合比 を調べ 表一
1の よ う に決 定し た。
また同表に は引 張 試験,
硬さ試 験に よる試 作さ れ た材料の基 本 的 物 性 値も合わ せ 示す。
試 験 片は図
一
1に示すJIS
K
6301 に規 定さ れ るダン ベ ル状1
号 形 試 験 片 を 使 用し た。 ダンベ ル状 試 験 片を使 用 し たの は, 観 察が長 時 間に わ た る た め た んざく状 試 験 片で し球
しば発 生す るつ か み具 端 部での破 損 を避け る た めであ り,1
号 形 試 験 片 を使 用し たの は, 同JIS
に規 定 さ れてい るダンベ ル状 試 験 片の中で観察 し うる面 積が最 も 広いた め で ある。
2.
2 暴 露 場所暴 露 場 所は環境因子の影 響 を強く受 ける と考え ら れ る 屋 外 環 境, 比 較 的穏や か と想 定され る室内
瑠
境,
最も安 定し た状 態で の比 較,
保存のた めの環 境の 3条 件と し た。
(1) 屋 外 環 境気象 環 境の地 域 性に起 因する差 異を明ら かにす る目的 で
,
寒 冷地と し て札幌市, 温 暖 地と して横 浜 市,
亜 熱 帯 地 域とし て那覇市郊外 西 原 町 (那 覇と略 記 〉を選 定し た。 以 下に具 体 的 暴露位置, 写真一
1に暴 露 状 況を示す。
写 真一
1 暴 露 試験 状況札幌 :北海道 大 学
,
建 築工学 科,・3F
建物屋上 横浜 :東京工業 大 学,
工業 材 料 研 究 所,9F
建 物ペ ン ト ハ ウス屋 上 那 覇 :琉 球 大学, 工学 部,lF
実験棟屋 上 (2) 室 内環 境 室 内 環 境は中で行わ れ る活動に よっ て差の生 ずる可能 性があるが,
本 研 究で は人 間が通常使 用 する室 とし た。
これには材 料 を劣 化 させ る可能性の あ る と思わ れる機器 類の設置さ れ て い る室も含め た。 複写室:静 電 式 複 写 機8台 設 置さ れて いる室 内 (作 業中 は換 気 扇 使 用 ) 会 議 室 :パ ッケー
ジ型冷 暖房器が設 置 され てい る室内 (必 要に応じ て運転 ) 恒温 恒 湿 室 :温 度 20±2℃,
湿度 65±10%R .
H,
の室 内 (3) 比 較 保存環境 暴 露の影 響 を比較す るための,
最も劣化 を生 じにくい 環境と して, 次の保 存 環 境 とし た。
窒素ガス充て ん容器 :材 料 を 劣 化さ せ る気体を完 全に排 除す る た めに不 活 性な窒 素ガス で置換し た容 器 中。
2.
3
暴 露 期 間 (1) 屋 外 暴 露材料の欠 陥 発 生に直 接 影響 を 及 ぼ す気 象は季節に よっ て異 なる。 し たがっ て屋 外 暴露の開始 時 期に よっ て差の 生ず ること が予 想 され る
。
その た めこ こ で は春か ら夏の 暑く な る時 期に向か っ て 暴 露 す る ものと冬の寒く な る時 期に向かっ て暴露す る も の の2
条 件 とし た。
暑く な る時 期で の暴 露はすべ ての 地域で行い,
札 幌お よび , 横浜で は 1987年 5月 1日 か ら,
那 覇で は ユ987 年 4月17
日か ら, 各々2
年間 行っ た。 寒 くな る 時 期に暴 露 を開 始し たもの は横浜 だ けで実施 し,
1988年1月 10日 か ら2 .
年間行っ た。 (2) 室内暴 露 複写 室は 1987年 4 月 15日 か ら, 会 議 室は1987
年 5月28 日 か ら,
恒温恒湿 室は 1987年 5月 1 日か らの 2年 間と した。
(3 ) 比較保 存 環 境 暴 露 窒 素 ガス充て ん容器中に他の暴 露 場 所と同様の伸 長 率の試 験片を 1987年 5月 1 日か ら2 年間 保 存 した。
2,
4 暴 露 条 件 (1)力 学 負 荷 条件
ダン ベ ル状 1号 形 試 験 片の標 点 間 距 離40mm に 対 し20
,50,
100 %伸張と し た。 伸 長 率は材 料 表一
2 亀 裂 判 定 黼 亀裂の大 きさ及 び深 さ A :亀裂 小数 1:肉眼で は見えないが10倍の拡大鏡 では確 認できるもの B :亀裂 多数 2 :肉眼 で確認できるもの C :亀裂無数 3 :亀黝 躱 くて比 較的 大 きいもの(1咀未満) 4 ;亀 裂が 深 くて大 きいもの( 以上3圓耒 満 ) 5 :3皿 以上の亀裂 または切断 を起こ しそ う な も の の用 途に応 じ て決 定さ れ るべ きであ る が,
現 行の国内外 の規 格nCM
}『
211 を調 査し た と こ ろ ほ と ん ど が 100%以 下 で あっ た ため, ここ で は最 大を ユ00% とし た。 な お試 験 片の伸 長作 業は各暴 露 開 始の直 前 とし た。 (2 ) 環境条件屋外暴 露につ い て は, 劣化要 因に差 を生 じ さ せ る 目的 で, 日 な た と日陰の 2条 件 とし た
。
前者は写真一
1に示 す よ う に試験 片は完 全に露 出さ れ,
水平に暴 露さ れてお り, すべて の気 象 因 子の影 響を受 ける。 後 者は百葉箱内 に設置さ れてお り, 日射, 雨水が遮ら れて いる。
室内暴 露につ い ては,
試 験 片は すべ て直
接日射の当た ら ない位 置に置か れて お り, 直接的な屋 外 気 象の影 響を受け ない 状態にある。
比較保存環 境につ い ては,
試験片が窒 素ガ’
ス を充てん し た容器中に設 置され, し か も 全体が 20℃ に制 御された恒温 室に置か れ ており最も劣 化を受けに く い状 態である。 2.
5 試 験 片の観 察試験 片の観 察は, 屋外暴 露の場 合 最 初の 1週間までは 毎日, その後 1カ月 まで は 週に 2回
,
その後は周1
回ず つ観 察した。
室 内暴 露の場 合は,
欠 陥 発 生の遅い こと が 予 想さ れ たため, 暴露開始後 1カ月 まで は週1
回,
その 後半年まで は月に2
回,
その後は月 1回ずつ 観 察した。
図一
2 屋 外 暴 露 試 験 結果 (日 な た,
春 期に開 始) ケ月 1口図
一3
屋外暴露試験結果 (日陰, 春 期に開始 ) 欠陥の評 価は,
表一2
に示すJIS
K
6301 (加 硫ゴム物理 試 験 方 法 )の亀 裂 判定法に準拠した。
3.
試 験 結 果 3,
1 屋 外 暴 露 試 験 結 果 (1 )、
春 期に開 始 し た屋 外 暴 露 試 験結果2
年までの 日な た暴 露 試 験 結 果を図一
2に, 日陰暴 露 試 験結果 を 図一
3に示 す。
全 体 的に日な たの場合の欠陥 発 生が早く,試料によっ て当 然の こと な が ら 差 は あ る が, 早い もの で数 週 間,、
遅い もの でも1
年程 度で亀 裂が発 生 し た。
ブチル ゴ ムだけ の試料は亀 裂 発 生 まで の時 間が短 く,EPDM
の配合
比 を高 めた試料で は遅くな る。
暴露 の進 行に伴い亀 裂の数は次 第に増 加し, 深 く, 大きくな り,一
部の もの で は破 断し た。 ま た伸長
率の影 響 も顕著 に見ら れ,
伸長 率 が 大 きく な るに従っ て欠陥発 生まで の 時間が早め ら れ る。
写 真一
2に各試 料ご との亀 裂の発 生 状態の例を示す。
(2
) 冬 期に開 始し た屋 外 暴 露 試 験結果図
一
4に試 験結果 を示 す。
こ の場合は暴露 地 横 浜のみ で し か 実 施 され てい ない が,
基 本的には春 期に暴 露し た 写 真一
2屋外暴露に よる亀 裂 例 (那覇
,
日陰,
伸 長 率 互00%) ヶ月 場合と同様の傾 向 を示しtt 亀 裂が発 旧生し, 破 断に い た る
。
し か し春期に 開 始し た場 合に比 較し全 体 的に遅 く な る傾 向 が 見ら れ る。 3.
2 室 内 暴 露 試 験 結 果試験結 果を図
一
5に示す。 室内で も亀裂が発生し, 伸 張 率の大 きい一
部の試料で は破 断し た。
た だ し室 内 の 場 合は,
環境条件の差が大き く,
暴 露す る室に よっ て欠 陥 発 生の状 況 が異なり,
恒 温 恒 湿 室で は試 料の一
種 類に亀裂が発生し た だ けで あっ た が,
複 写 室,
会議 室で は か な りの も の に亀裂が発 生し,
破 断して いるも の も あっ た。3.
3 比 較 保 存 環境暴露試験 結果 図一
6に試 験 結 果を示す。
窒素ガス容器中の試 料に は全く亀 裂の発 生 が み ら れ なか っ た。
4.
結 果の考察 (1 ) 暴 露場所の差試 験 片が暴 露され た場 所の差を調べ る た めに
,
伸長率 100 %の場合につ い て屋 外 (横 浜 〉,
室 内,
保存環境を 比 較 し,
図一
7に示す。
亀 裂 発 生,
破 断の いずれも欠陥 発 生 まで の時 間に差は あるが, そ の傾 向は同じであ る。
暴 露 場 所の違いが明瞭に 現 れ て お り,
全 体 的に屋 外 環境 が最も早く, 室内 環 境が 遅い。
比 較の ための保 存 環境に 暴 露 した試 料には一
切亀裂は発 生して い な い。
図
一8
に参考 として 1988年6
月1
日か ら1989
年5
月 31日 まで の 1年間の暴 露 地 横 浜で の オゾン濃 度の一
日 で の最 高値と最低値 を示 すが,
ゴム系材料の亀 裂発生に は主た る劣化 因子 として大 気 中に微量 に存在す る オ ゾン が関 与す る7}−
9),
12}と 言われており,
屋外が その影 響 を強 く受 ける た めに欠陥発 生が早かっ た もの と 思 わ れ る。一
方 室内は,
欠陥発 生が遅く なっ て いる。 オゾンは分解さ れや す く 室内では, 新し い大 気 供 給が 比較 的少ない た め と推 定 され る。 ただ し, オ ゾン発生の可 能 性を 持つ と 思 われ る機 器類が設 置され て い る室 内では,
多少欠陥が 早 め ら れ る。
それ で も 屋外に比べ る と か な り遅い。
これ は 機器 類の運 転は間 欠 的であ り, その影 響を受け る時 間は そ れほど長く ないた め と 思 わ れる。
またオ ゾン劣 化は材 料 表 面に新しい オ ゾンが どの程 度接 触す る か とい うこと と も強く関係 するZ2}が,
室 内で は 風速が 屋外に比べ ると 著し く小さいこと も原因 となっ てい る の か も し れ な い。
比 較 環 境と し ての窒 素ガス容 器中は大 気を 窒素ガス で 置換して あり, 全く オ ゾンが存 在し ないた め, どの試 料 に も亀 裂が発生 し な かっ た もの と考え ら れ る。
4
月 ケ ロ 図
一
4 屋 外 暴 露 試 験結 果 (横浜,
冬期に開 始 ) 明 日 図一
5 室内暴 露 試 験 結果 月 図一
6 比 較 保 存環境試 験 結 果 (2) 屋 外に お け る暴 露 方 法の差欠 陥発生は暴 露 方 法に よっ て差が あ る。 図
一
9に伸 長 率 100%の試 験 片につ い て 日な た と 日陰 を 比較し て示 す。
図 中 斜め に 2等分 し た直線の上側は 日 な たで の欠 陥 発生が 早い こと を示し, 下 側は 日陰で の欠 陥 発 生が早い こと を示す。
亀裂 発生,
破 断の いずれ も 2等 分 線の上 側 の範 囲に位 置 し て お り,
日 な たで の欠 陥 発 生が早い こ と を示して い る。
日なた と 日陰の 試料に作 用する気 象 要 素 は,
日射と雨 水の点に差 異が ある。 こ の 中で雨 水は直接 的にこれ らの材 料の亀 裂 発 生, 破 断に影 響を及ぼす もの では ない た め,
主に 日射の違い によ る もの と 推定さ れ る。
とこ ろ で 日射の持つ意味 は2つ あると考え ら れ る。
ひとつ は日射に含ま れ る紫外線の効果で あ り
,
いま一
っ は 材料温度 上 昇の効 果で あ る。 前 者につい て eit否 定的 な意 見231が あるもの の ゴ ム系材 料に ひび割れ状の 亀裂を発 生 さ せ る原因の一
つ とし て指摘され ており,
まずこの影 響 が可能性と して考え ら れ る。 後者につい て は筆 者ら 6) が 蝿 磐酎 亀 凱 ついて 〔1° 嘱 伸鋼 ) 破 断に ついて (10。弘伸 長時) :・
.
1 ’ 751 屋 外(欄 浜) 室 内卩
: 比 較 保 存「
屋 外 (横浜 ) 室 内 夛 「 比較保 存 ロ、
麟 匝 州 駅 釁 ’ ’1
酬
11
、 眉 ’ ’ 、 1尸1 〜1
ノ麟
1
πン尠 1 ’ l Jψ r l r f llI ノ 〜 壽 農.
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ノ 厂 ’ 麺 1 ノ.
1 1 ノず
呂.
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一
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一
一
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7
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一
.
一冒
r一
o 日 日 な 陰 た 復 会 恒 写 議 温 室 室 墓 蜜 窒 素 ガ ス 中 日 日 な 陰 た 復 会 恒箋
峯
豊
室 斐 中 図一
7 各暴 露場所にお け る 欠 陥 発 生 日 数 (伸長 率100% に つ い て整 理) 示し た よ うに温 度 上 昇はオゾン劣 化を促 進す る。
この報 告で は, 本 暴 露 試験で用い たもの と同一
の 試料につ い て 温 度の影 響が定量的に検 討さ れて お り,
各試料につ いて 表一3
に示す よ う に温 度 を考 慮し た オゾン劣化を表す数 式が得ら れ ている。
こ こで はこ れ を もと に考 察す る。
概 略の傾向 を知る た めに次の仮定をお く。
日陰の試 料は外 気 温と ほ ぼ同じで あり,
日 な たの試料はこ れ より10℃ 高い もの と す る。
横浜の年 平 均 気温 は約 15°
C
で ある の で,
この温度と,
表一
3 オ ゾン濃 度と温 度を変数 と し た時の破 断まで の時間を表 す 数 式 試 料 100/080 ×207e !3050 /50 数 式 t . la(5・
52XID2 /T +1・
22)/X1・
00 t . 10(L63x10S 〆T−
2・
13)/xo・
eg t= 10(2・
29 ・10ヲT−
3・
91)/X°・
9S * t :破 断ま で の時 間 (hrs)、
T t 材料の絶 対 温 度 (K) X :オゾン濃 度(pphm )、
* :破 断 し な かっ た た め数式 な し毳
’5
凶
O
k5
0
日 最 高値一
一一
一一
一
日最低 値、
欠 測 欠 測 欠籥
測訊
呈 鼻 气 氏 鎮 蓋嶋
轟螽・^ 1988年
6
月7
月8
月9
月 lo月 !1
月12
月 Igag年2
月3
月4
月5
月1
月 図一8
暴 露 地 横 浜でのオ ゾン濃 度 測 定 値 (1988.
6.
1〜
1990.
5.
31> 亀 匝 姻 螺 繭 鯉 e 屮 誣 ロ 日 な た での亀 裂 発 生 日数 日 な たで の破 断発生 日数 図一
9 日 な た と 日 陰の 比較 〔伸長 率 100% につ い て整理〉6
表
一
4暴 露地 横 浜の破 断につ い て の日陰と 日 な た との比 較 (平 均 オ ゾン濃 度3pphm
,
日陰の試 料は平均外気温,
日 な た は平均外気温 より10℃ 高いと仮 定1
暴 露 方 法 試 科 100〆0 臼〕/2070 /3050 /50 日 陰 仮定計 算に よる結 果 19日 53日 156日 * 暴露 試験結果 34日 54〜
102日 172日 破断せず冖
口 な た 仮定計算による結果 亶6日 34日 85日 * 暴露試默結果 28〜
29日 66〜
73日 1正5〜
117日 破断せず *計算式 が得られて い な いの で計 鱆値はない。
そ れ よ り10℃ 高い 25℃ の 場 合につ い て試算 する。
オ ゾン濃度は平 均 的 な 値と し て3pphm
を 仮 定 する。
これ は文 献24)・
25) で示さ れて い る大気中に存 在する バ ック グラ ン ドオ ゾ ン濃 度の平 均 的な値であ る。 試 算結果を表一
4 に示す が同表に は本 暴 露試 験で の結 果 も合わ せて示し た。
もち ろ ん試 算は か な り大ざっ ぱな仮 定の上に行っ た もの であ るた め実際の観察結 果 とは差は あ る が,
温 度 が 高く な るこ とによっ て欠陥発 生まで の時 間は明ら か に短 縮されて お り,
屋外暴 露で は従 来それ ほど強く指 摘さ れ て は い な か っ た が,
温 度の効 果 が日 な たと日陰に差を生 じさせ た重要な原 因と推 定さ れる。
(3
)暴 露 地の差図
一10
に伸 張率 100 %時の 日陰 暴 露に お け る亀 裂 発 生, 破 断につ いて 三暴露地 の比 較 を示 す。
地域差が明 確 に見ら れてお り,
お お む ね暴 露 地那覇で の試料の欠 陥発 生が最も早くつ い で横浜で あ り,
札 幌 が最も 遅い。 こ の 原 因を考 察 する た め に,
図一
11に各 地 域の 1987年4月 751 匝 5 口 1 亀 裂に つ い て q 丶 丶試 料 丶 05 (tl!50
\ \
a
こここ こ翼
聖
め 破断につ い て 50!50 は破断せず驪
驪
灘
率 長 那 覇 伸 険 旧 横 浜 較.
比 の 札 幌 数 舶 醗 )欝
懿
灘
横 浜 瞭 肋鬻
札 幌 各 −0 10一
一
図 コ 4 3 21 00 5 E = 巳 几
.
遮 劇凸
、 嵐 る 晋 最 韓 降 皿 紀 週3D2Q 旧 o 月平 均気温
齷
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一
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一.
」
一
一一 コ
横浜
一
≧ 避 .
一
. ∫・
∫
響
図一
11 月 ア 89lO II 12樋 」 254 暴 露 地のオ キ シ ダント濃 度と気温 (1987.
4−
1988.
4) か ら1年 間の オキシダン ト濃 度,
気 温 デー
タを示す。
こ れ ら は いずれ も 環 境庁,
気 象 庁で測定さ れ てい る デー
タ2S)・
Z7〕を整 理し た もの であ る。
こ の中で オ キ シダン トに つ い ては局地気候的要素が強いた め,
唯一
点の測 定 局の デー
タではな く,
暴 露 地の近傍 3 測定局の平 均 値で示し た。
一
般に オ キ シダン トのか な りの割 合 をオゾン が占める といわ れてい る が,
環 境デー
タ を見る と欠 陥 発 生の原 因 とな るオ キ シダン ト濃 度は必 ずし も那覇が高 くなって い ないe 特に試料に亀 裂が多く発 生し た暴 露 初 期 数カ月 に 着目 す る と,
オキシ ダン ト濃度は逆に札 幌,
横 浜, 那覇 の順と なっ てい る。 し たがっ て欠陥発 生の理 由 を オゾン のみに求め よ う とすると暴 露 試 験結果と相 反する ことに なる。一
方気 温につ い て調べ る と同 時 期では圧倒 的に那 覇の方が高く,
以 下 横 浜, 札幌の順と なっ ている。
前項(
2
)に おける考 察 と 同様,
オゾン劣化に及ぼ す 環境温 度の影 響を合わせ て考える と,
この試 験 結 果が理解でき る。
す な わ ち屋 外 暴 露にお け る欠 陥 発 生に は材料温度も 重要な要素と.
して関与 していることを示 唆す る もの であ る。
(4 ) 暴 露 開 始 時 期の影 響図
一12
に春に暴 露 試 験 を 開 始 し た場 合と,
冬に開始 し た場 合の比 較 を 伸長率 100%につ い て横浜で暴 露 し た試料につ い て整 理し, 示す。 亀 裂 発 生, 破断の いずれ も明ら かに春に試 験 を開始し た場 合の方が冬に暴 露し た 場合より早く な っ てい る。 春に開 始し た場 合はその初 期 の頃に高いオ キシダン ト濃度に さら さ れ,
しかも試料温 度も高い。
それに比ぺ る と冬に開 始し た 場 合は オキシダ ン ト濃 度 が低く, 試料温度も そ れ ほど高く な ら ない。 欠 陥 発 生はオ キ シダン ト濃 度が高く, 試 料 温 度が高く なる に した がっ て早め ら れ る。
これ が暴 露 開 始 時 期に よ る差 を生じ さ せ た大き な 原 因で ある と推 定さ れ る。さ らに注目すべ き は同じ時 間 暴 露し て も, 暴 露 開 始時 期の影 響が残ること で あ る
。
表一
5に春に開 始した場 合5cvso 欠 陥 発 生せ 50tSO 欠 陥 発 生せず 7 ゆ 1 皿 田 螺 豊 尽 QP 部 憾 壮 」 銀 竃 思 日なた 暴 震の場 合
惣
駕
。 。 。 ‘,
5◎ θo x破断 o 亀 裂 発 生丶
5cvso 皿 麹 駅 鯉 ぢ e 暫 麟 抵 挈 ⇒ 沒 麗 犁 卿 日陰 暴 露の場合
禽謡
t」
x 破 断 o 亀裂 発 生丶
軸
琳 却 剥 蝦 鯉 尽 1 ◎0 751 1 P P◎ 751 春va 開始 し た試 験で の欠 陥 発 生 日数 春に開 始 した試 験での欠 陥 発 生日数 図一12
暴 露 開 始時期による欠 陥 発 生日数の比較 (伸ft
率 100% につ い て整理) 表一
5 春に開 始し た場合と冬に開始した場 合の同時間経 過 後の 欠 陥の比較 (横 浜,
日かげ暴 露,
100%伸 長 } 1年後 2年後 試 料 春に開始 冬に開始 春 に開始 冬 に開始 100/0 × X Xx XX 80/20 Xx c3c3 Xx XX 70/30 XC3 幻 嶋 XX Xc3 50/50 AlA1oO
A1Al 配 《1 x :破断O
:異 常な し る。
す な わ ち, 両 者 を組み合わ せて考 察す ると
,
春に開 始 し た場 合は応 力が比 較 的 高い レ ベ ル にあ る う ちにオゾン 劣 化に とっ て厳しい環 境 下にさ ら さ れ, 早めに欠 陥が発 生 する。一
方冬に開始し た場合は,
高 応 力レ ベ ル の間は 劣 化 環 境と しては穏やか な条 件 下にあ り,
春か ら夏に か けて の厳しい環 境に な る時には,
応力緩和が十 分 進 行し て応 力が低く なっ てお り劣 化は加 速さ れ に くい 2s〕。
これ が 同じ期 間 暴露しても試 験を開 始す る 季節に よっ て結 果 に差 を生じ さ せ た, いま一
つ の要 因と推定さ れ る。
ただ 応 力 緩 和 現 象は,
温度の影 響 も同時に受け る た め,
応 力 の変 化 も含 めた測定が必要であ り, 今 後 厳 密な 検討の要 す る ところであ る。
と冬に開 始した場 合の, 同 時 間 経 過 後の 100%伸長時 の比較を示 すが,
同じ1 年間暴露し て も春に開 始し た 場 合は, か なり の も の が破 断して し まっ て い るのに対し,
冬に開 始した場 合はひ とつ も破 断して い な い。 丸2 年後 の結果につ い て も 同様の こと がい え, 例え ば試 料70
/30
の よ うに春に暴 露 開始し た場 合はすべ て破 断して いるの が, 冬に暴露 開 始し た 場合は一
部まだ残っ て いる。
この よ うに同じ時 間 暴露して も結 果は同じと な らず
,
春に開始し たものの劣化が著しく, 冬に開 始し たもの は 劣 化が少ない。
もち ろ ん環 境条件が 1年 目と・
2年 目と が 同一
で ない の は当 然である が, そ れ でもそれほ ど極端に 異なっ て いる と は考え られず Vacca9〕も指摘し てい る よ う な 理由,
材料の応 力 緩 和 現象によ る影 響もある の で は ない か と推定され る。 ゴ ム材 料の 劣化に は,
力 学 的 負 荷 の条件と環 境の条 件を考え る必 要 が あるが,
こ.
の試 験の 場 合,
前者につ いては試 料が粘弾性的性質 を持つ た め,
応 力 緩 和に よ り時 間の経 過 と と もに応 力が低 下し てい る こと,
後 者につ いては春か ら夏にか けては オ キ シダン ト 濃 度,
材料温 度 が 高 く厳しい環 境とな り, 冬は逆に両 方 と も低く な り穏や か な環 境と なる こと を考え る 必要 が あ5.
結 語環 境 条 件の影 響に関す る基 礎 的 知 見 を得る た め の 屋外 お よび室内の暴 露 試 験を行っ たが得ら れ た成果は次のと お り で あ る
。
(1 ) 窒 素ガス雰 囲気 中以 外の暴 露 環 境で はすべ て に欠 陥が生 じた。
した がっ て室 内も含めて大 気 環境下で使 用 さ れ る建 築 用ゴム系 材料に は欠 陥発 生の可 能 性が存 在す る。
(2
) 使用環 境 条 件に よっ て欠 陥 発 生まで の時 間,
欠陥 の状態に は差 が ある。 屋外環境が厳しく室内 環 境はか な り穏 和で ある。
た だ し室 内環 境で は種々 の機器 類使用の 可能 性が あ る が, オ ゾン発 生の可 能性を 持つ機 器が持ち 込ま れ た場合は ゴム系 材 料にとっ て厳 しい環 境と な る。
(3
) 暴露方 法によっ て も差が あ り, 日な たと日陰と を 比 較 すると,
日な た の方が欠 陥 発 生が早い。 これ に は主 と して日射の違い に起 因 するが,
紫 外 線の影響 ばか りで な く材 料 温 度上昇も理 由の一
つ と推定 さ れ る。
(4) 屋 外 環境で は暴 露 地の差が顕著であり,
劣化の厳 しさで は 那覇,
横 浜,
札幌の順である。
これ に は オキシ ダン ト濃 度だけで は説 明で きず, 温 度の影 響 も含め る こ8
とに よっ て そ の解 釈が可 能 とな る
。
こ の こ と お よ び (3) を合 わせ考え る と,
暴 露 試験の結 果はオ ゾン濃度 と温 度 との複合 劣 化 問題と して考え る必 要 があ る と 思わ れる。
(5
)屋 外 暴 露 開 始時期に よっ ても結果に差 を生じ, 春 に開 始した場 合が冬に開 始した場 合よ り欠陥 発 生が早 く,
ま た同じ時間暴 露して も劣 化の著しい も の が多い。
これ は単に環 境 条件か ら ばか り で はな く,
応力 緩 和と 言っ た材料の力学 的挙 動の時 間 的 変 化も組み合わせ て評 価 することの必要 性を示唆して いるもの と 思 わ れ る。
謝 辞本 研 究 を 進め る に あ たり, 試料作成に はバ ン ド
ー
化学 (株 〉 阿 部 幸 夫氏,
屋 外 暴 露 試 験に は北海道 大 学鎌田 英 治教 授
,
琉球 大学天 野輝久助教 授
,
安 座 間喜得氏,
実 験に は東京工業大 学 大 学 院 生宋炳昌 君の協 力 を得ま した
。
心よ り感謝いたし ます。
参 考 文 献1> A
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