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香川県における耕地利用率向上に関する研究. 三豊郡大野原町L部落のアンケート調査資料の分析-香川大学学術情報リポジトリ

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香川大学戯学部学術報告 第29巻籍61号45∼59,1977 45

香川県における耕地利用率向上に関する研究

三豊郡大野原町L部落のアンケート調査資料の分析

和 男

STUDIES ON THE FARMING LAND UTILIZATION

IN KAGAWA PREFECTURE

AnAnalysisof Questionnaire Researchin the CommunityofOnohara

Ⅸazuo MoR工

S11mmary

The questionnaire researchon the utilization of paddyfieldin the community of Onohara,

Kagawa Prefecture.The question paper was sent to55fArmers and the answer was received

from50in September,1976.

(1)Itwasfoundthat Onoharais oneofthehighestland utilizingdistrictsin:KagawaPre−

f■ectur・e.

(2)The utilization offarminglandisgenerally under theinfluenceofconditions oflocation

anditis related to weather,SOiltype,Water SuPply and market condition.

(′3)In the same community where the farms arelocatedin simi1ar conditions,however,it

depends on the way of farming. Farmers whohave smallfarmlngland engagein side

business and show the tendency oflow utilization of farming1and.

(4)Eventhefarmerswhogetlargeincomefromsidebusine占splantonionstosome extent

after rice,but they do not have the wi11to grOWintensive crops such aslettuce,Water・

melons and tobaccos which need alot oflaborin growlng and packing.

(5)The highutilization of farminglandin this communityisd11e tO the growingofsecond

crops after harVeSting rice by both types of farmers whodo onlyfarmlng andwhohaveside

business. 要 約 昭和51年9月,香川県三豊郡大野原町の→部落,55戸の農家紅射し,耕地,とくに水田利用に関するアンケート調査 を行なった.回収率91%.その資料の分析の結果は次のごとくである (1)この地域は,香川県内でも耕地利用率の相対的に・高い地域である・(2)耕地(とくに水田)の利用率は, −・般的に立地条件(気象,土壌,市場条件および水利事情など)との関係が大きい.(3)しかしこ.れらの条件をは ば同じぐする同一部落内においても,農家階層間の羞が大きい,すなわち,農外所得依存の高い(兼業依存度の高い) 農家はど,また経営規模の小さい農家はど,耕地利用率が相対的紅低い.またレタスやスイカ,タバコなどの集約的作 物の割合が低く,たまねぎの割合が高い傾向がある.(4)その理由としてほ,農外収入依存度の高い兼業農家ほど虚 栄労働の質と襲および良策収入増大意欲が低下していること,したがって毎日欠くことのできないトンネルやハクス内

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森 和 男 香川大学農学部学術報告 46 の温度調節や池永.などの作業とか,ある期間にわたる収穫・選別・出荷などに,多くの労働や資材を要するレタスやス イカなどの栽培を避け,片手間的労働でも栽培しやすいタマネギなどの割合を相対的に高めていると考えられる.(5) そして兼業農家が専業農家とともに.水田袈作をしているこ.とが,この地域の耕地利用率を高めている理由であろう. 1.は じ め に 昭和48年未の石油ショックを契機として,わが国の経済の基調が高度経済成長から低経済成長へと変化し,生産資源 の節約と高度利用,食糧自給率の向上などが重要視されるに伴なって,耕地利用率向上の問題が全国的に周光を浴び, いかにして耕地利用率を高め,農業生産力を増大するかが問題となっている. ところで香川県は戦前から耕地利用率,とくに・水田利用率が高い県であったが,高度経済成長の進展とともに.,耕地 利用率は35年189.4%,40年163.1%,45年138.1%,48年111.8%,50年114.8%と低下している.全国の35年134%,40 年123.8%,45年108.9%,50年103小5%に.くらべると相対的にほ高いが,低■下傾向ほいちじるしい(1).なお耕地利用を 乱畑別に分けてみると,香川県の田の耕地利用率軋42年169・4%(全国98・5%),48年116・0%(全国92・3%)であ る(2).水田利用率でも最近の低下はいちじるしいが,全国平均にくらぺれは相対的にかなり商い。しかも水田利用率 は畑利用率よりも低いのが普通であるが,(昭和49年の全国平均は田97.0%,畑109.7%)(3),香川県は上記の48年の2 数億からもわかるよう紅,水田利用率が畑の・それよりも高い,数少ない県の一つでもある.この理由については別個の 検討を要するが,少なくともこのことほ,香川県の耕地(47,30肋a)の構成が阻72%,畑28%,しかも畑(13,300ba) の71%が通年的−−・一■・毛作利用地とみられる樹園地であるだけに(4),香川県の耕地利用率紅大きく影響するものは水田利 用率であり,水田の裳作利用率の消長が,耕地利用率の上に大きな影響をもっているといえ.よう..香川県の水田袈作率 (水田の冬作物延べ栽培面積率)は,S27年87%,35年92%,37年90%,42年69%,47年32%,となっでおり(β〉,全 国的に.みれば高い方であるが,最近の低下はいちしるしい。 そこで香川県の耕地利用率を高めるために・は水田利用率,とく紅水田裏作率を高めることが先決であるといえよう. したがって耕地利用率向上のため紅は,最近に・おいて何故に耕地利用率,とくに.水田裏作率が低下したのか,その理 由を明らかに.するとともに,今後それらを伸ばすためには,いかなる条件の設定が必要であるかを検討することが必宴 であるけ このため筆者は香川県農林部,とくに」\豊島地区を除く5地区の虚栄改良普及所のご協力を得て,昭和51年9月∼12 月に,かって香川県の代表的耕地(水田)利用方式を示す典型的部落として選定された5地区の5部落(¢),すなわち 三豊郡大野原町L部落,丸亀市(旧仲多度郡垂水町)M部落,坂出市(旧綾歌郡林田町)N部落,高給市(旧木田郡十 河町)0部落,大川郡長尾町(旧長尾町)p普β落について−,①当該部落の−・般的動向調査 ⑧各部落の代表的農家5戸 の個別経営調査および,⑧L,M,Pの3部落の農家全戸に対するアンケート調査を実施し,若干の既存資料や文献と 合わせて総合的に検討し,課題の解明を試みつつある・ 第1表 香川県の市町別耕地利用率(昭和49年) 耕地利用率l 市 町 名 直島 池田 (小豆郡),内海,牟礼,庵治,宇多津,粍間,国分寺 土庄,仁尾,志度 (木田郡),高瀬,津臥 綾上,綾南,白鳥,大内 (大川郡),一重重用壁画津田隆二遍l (県討),(香川郡),(綾歌郡),津田,香南,飯山,琴南,三木 塩江煙表憂‡寒川,山本,三野,豊中,財田 (三豊郡),(仲多度郡),大内,香川,仲南,多度津 薯通寺市,綾酎云牽垂満濃 観音寺市,豊浜 琴平 60%以下 60∼70%未満 70∼80 80・−90 90′−′100 100 ∼110 110 ′・・ノ120 120∼130 130∼140 140、′150 150・一160 注)本葬は香川県農林統計協会「香川農林水産統計年報」昭和49年坂咤よ考

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第29巻第61号(1977) 耕地利用率向上に.関する研究 47 そこでこの調査研究の第1報として,本稿では第1表にみるよう紅,香川県においても,また調査地区の中でも,最 も耕地利用率の高い三豊郡大野原町,とくにL部落紅おけるアンケ」−ト調査資料を中心に課題への第一・次的接近を試み ることに.する。 なお本稿で使用する「部落の…・般的動向調査」は農協や役場の関係者およびL部落代表農家の出席を得て’聴取調査を 行なった.またアンクート調査紅ついて−は,大野原町役場職員を通して,部落農家55戸に調査表を配布,回収したもの である(回収戸数50戸,回収率91%)¶ したがって調査もれも少なくないとみられ,集計された耕地利用率は実情より 若干低いと思われる 2.調査地区の概況と耕地利用の一般的動向 (1)大野原町の概況と一般的動向 調査対象とした三豊郡大野原町ほ香川県の西部に.位置し,東と北は観音寺市把.,西ほ豊浜町に,南は阿讃山系を境と して,徳島県池田町および愛媛県川之江市に.隣接している.年平均気温16.90C(7),(多度津測候所の平年平均気温が 15.5◇Cなので高過ぎると思われる・)年間降雨鼠1,196m机無頼期間229日.地質は平坦地帯ほ沖積層が大部分を占め, 一都に洪硫層がある・町の南部の阿讃山系は和泉層群で占められるが一部庭.花崗岩層があり,畑,樹閑地はこの傾斜地 に大部分が展開している・土性は砂質壌土と埴壌土地帯で,概しで耕土ほ深いが海岸地帯は秋落田が多い.交通運輸条 件は国鉄予讃線観音寺駅より5随,豊浜駅より2‰・国道11号線をはじめ県道,町道が縦横に.通じているので交通は便 利である. 総世.層数3122(8〉,(総人口13,052人)うち総農家数は1,889戸で61%を占め,町経済の主体となっている.(昭和50年 農業粗生産額5,371百万円,工業製品出荷額3,46相方円)・なお農家のうち専業417戸(22%)1種兼業662戸(35%)2 種兼業810戸(43%)で,香川県平均のそれぞれの比率,28%,10%,20%,70%に.くらぺると,いちじるしく鹿家割 合と専業・1種兼農家の比率が高い・いわば純農村的色彩を残す地域といえよう・なお耕地面戟規模別では0.511a未満 34%,1Ila以上23%,農家1戸当り平均88aである・県平均のそれぞれ51%,12%”64aにくらぺると相対的には大 きいが,零細なことに変りない・ 本町の農業粗生産額は5,371百万円であるが,そのうち米19・0%,野菜28・0%,果実10・0%,工芸作(タバコが主体) 9.8%,畜産29・2%で,野菜と畜産の割合が高い・これを昭和40年のそれにくらぺると粗生産額で3.2胤また40年の構 成比が米23u4%,野菜14・4%,果実18・1%,工芸作19・3%,畜産17・5%であったから,この10年間紅おける野菜と畜産 の伸びがいちしるしかったことが知られる・そしてこの間紅農家1戸当り農業粗生産額も朗万円から150.7方円紅増加 した・香川県平均が56・3万円から77・1万円へと増加したのにくらぺていちじるしく大きい・なお虚業所得統割(S50) に・よると,「耕地10a当り」と「農業従者1人当り」の農業所得は,県平均の12・2万円,97・4万円紅対し,本町は17.0万 円,94・3万円で,労働生産性でほやや劣るが,土地生産性はかなり高い・また本町は第1次および発2次構造改善事業 をはしめとして客種の事業が行なわれており,日本農業賞受賞にかがやく豊南農協の存在とともに,県下を代表する虚 業地域である. ところで本町の土地利用は,昭50年総面積4,982ba,うち耕地は33・5%(1,669ba),林野48.1%である. 第2表 主要作物の作付面積の変化 (単位:ba)

一:こ・:・・・‥= 昭 45 昭 50 836 99 6 18 959 24 31 10

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香川大学農学部学術報告 森 とど つ ぺ ま ち 48 と い き ゃ 菜 結球ほくさ た ま ゎ い ぎ だ い レ タ ん ス こ ⑧一 小 計 れ ん げ 牧 嘩 ⑥ 小 計 (A)合 計

触診蘭空 0 5 0 0 4 0 6 0 3 2 4 00 1 0 3 3 9 0 7 1 8 7 9 7 7 6 別 12 14 11 3 缶 1 20 11 1 1 2249 124 141600 1669 1000 60 609 2380 142 1702 1060 161 135 施 設 園 芸 面 積a ) (B)耕 地 面 鏡 (C)水 田 面 私 (D)普通畑簡砥 (E)樹園地面積 作 付 延 面 槙 / ̄\ 耕 地 利 用 率% ) (F)①+⑧+④+⑥ (G) (C)+(D) ( (F)パα田普通佃利用率% ) A/BxlOO(%) 注)本表ほ香川県農林統計協会「農業を支えるわが市わが町」 昭和47年2月およぴ50年2月発行版より作表… また耕地面積の地目構成および主要作物の作付面横と耕地利用率の変化をみると第2表のどとぐであり,耕地面椴の減 少,とくに.水田面積の減少がいちじるしいが,樹園地の増加,とくにみかん面積の増加が昭40年から45年にいちじるし く,さらに.引続いて45年から50年にも増加しているのが注目される・ なお耕地利用率は昭40年173%から45年153%,50年142%と低下している・しかし一・般的に・通年的−・毛作利用(耕地 利用率100%)とみられる樹園地を含む場合の耕地利用率と,樹園地を除いた田畑利用率を比較して−みると,いずれも 低下傾向を示してはいるものの,両者の相対的較差が,樹園地の増大とともに拡大している・このことは耕地利用率の 動向をみる場合,樹閑地面積の消長が影野すること,耕地利用率の算定が栽培期間,換言すれば耕地利用期間は考慮せ ず年間延べ作付面破から算出されているので,同じ耕地用率100%の場合でも,稲作による水田の−・毛作的利用と,魂 かんに.よる畑の一・毛作利用とでは若干意味を異にすること?が往事されなければならない,

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舞29巻算61号(1977) 耕地利用率向上に.関する研究 49 いずれにして−も香川県の耕地利用率の昭40年163%,45年138%,50年115%にくらべると,40年ではほとんど変りな いのに,45年,50年の県計の激減に対して,本町のそれは,相対的にかなり高い水準紅ある.(昭50年耕地利用率では琴 平町162%,観音寺市149%,豊浜町145%についで県下第4位に.ある.しかし本町は上記市町に.くらぺて中山間地域を 多く含んでいるので臨海部から南東に向って扇状に.拡がる平坦部の旧大野原町地区などの耕地利用率は200%を上廻る といわれている.) なお主要作物の作付面積の変化をみると,普通作物の減少,とくに麦作の大幅な減少が目立つはか,たばこ作も45年 から50年にかけていちじるしく減少している.これに対して野菜の激増および果樹の増加がみられるが,とくにレタス と玉ねぎの増大が目.立つ・この2作物は栽培戸傲に・おいても昭50年それぞれ642戸,1,283戸(農家戸数1,889戸)で多い. とくに・玉ねぎほ昭40年,45年の麦作農家数2,089戸,1,704戸につぐ導入戸数の多い作物となっている(米作農家数は, 40年995戸,45年857戸)・なお本町では未だ必ずしも多くはないが,施設園芸が農家戸数,面積ともに増大しているこ とも注目に償いしよう (2)調査部落(Lと備称)の概況と動向 調査部落(L)は大野原町,旧大野原町地区のはば中央に庖置する平遡地で,昭30年以後町道の拡幅は装が行なわれ るなど,交通条件にも恵まれている∴胆帯数は昭和元年頃ほ農家のみの47戸であったが,51年現在68戸■となり21戸増加 している・・うち11戸は親せきその他の関係で他地域から転入した非農家といわれる 農家戸数は昭和初期の47戸から35年54戸に・なり,45年は3戸せ減じたが,再び増加して51年は55戸隠なっている.同 じ傾向は専業農家の消長にもうかがえ,45年の10戸ふら14戸(構成比25%)に増加している.なお兼業農家では,2穂兼が −潰して増加しているが50年23戸(44%)で,ほぼ大野原町討に一哉しており,1種兼業の割合が比較的高い(31%).

寛3表 農 用 土 地 の 構 成

採 草・放 牧 地(01ba) 山林のうち,採草・放牧地(01王1a) 注)1975年農林業センサス「集落集計」紅よる.

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森 和 男 50 香川大学農学部学術報告 また農林共センサスによると農用地面積の構成は第3表のどとぐで,昭30年以降宅地に60a,町道拡幅に.30aが転用 された紅もかかわらず,耕地面敬は35年の㌘・曲aから45年31.蝕aに増加している.もっとも昭50年は30.8haと拍a減 少しているが35年よりも大きい・これほ3。3haの地区外出作(関係農家6戸)と,47年頃から活発になった五郷地区琴 南冷地での野菜出作り1.411a(関係農家4戸)の増加があったからである. なお耕地の面椴30u紬aの構成は,水田25・7ba(83%)樹園地3.蝕a(11%)普通畑】..8ba(6%)である一.耕地条件と しては水田は総べて乎建地に.あり,一部に半湿田的粘質壌土もあるが,砂壌土ないし壌土で排水良好であり,かつては 恩給他の完成,近くは香川用永の導入など,用水事情の改善とともに野菜やタバコ作などを容易乾する条件を有してい る.なお耕土がやや浅く(12∼15cm),秋落田的なこともあって水稲の10a当り収蔑をあげ紅くいともいわれて.いる.ま た耕地区画が小さいところも少なくなく,トラックダーなどの使用は/できるとはいわれるものの,作業能率の面からほ 不十分な状況にある.また農家1戸当り平均耕地面積は,昭35年51a,45年62a,50年59aであるが,耕地規模別でほ 1ha以上の農家は8戸(15%)乾すぎず,農家の48%(お戸)ほ50a未満である.なお山林を保有する農家は5戸, 7.1haにすぎない. つぎに家畜飼養農家数と頭数では,昭和35年に.は,乳用牛2戸で6頚,肉用牛37声で39頭,にわとり7戸と,はとん どの農家が家畜を飼養していたとみられる.しかし50年では肉用年が2戸で2頭,にわとり飼養農家1戸があるにすぎ ない. つぎにこの部落の農柴挽業人口をみると..(第4表) 算4衆 愚 業 就 業 人 口

∴. ●ト・・‥・.・−∴

昭 50 注)出所は第3表と同じ 男女合計で45年から50年の間に118人から104人(うち男49人が46人)紅減ずるととも紅,男女とも49才未満の背・壮年 層の城少と65才以上の老年層の増加が相対的に大きい.また虚栄専従者については,「■男1人」の農家が23戸で最も多い が,「1人もいない」と「女のみ」を合わすと26戸(47%)になる・したがって農兼労働力構成に・おいてこの部落は,香 川県としては比較的良い方ではあるが,弱体化してきていることも否定できない. ただ労働手段の整備状況をみると(第5表)

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51 耕地利用率向上に関する研究 算5義 盛 機 具 の 構 成 第29巻算61号(1977)

昭亜l昭50

・ ‥. 動力耕うん機牒P誌 P 雫ヲク夕空J設呈∈ ︵個人有+共有︶ 戯用機械所有台数 走行式動力防除機 動 力 田 植 機 米麦用動力刈取機 自脱型コンバイン 米麦用乾燥機

柑32736

22 (台) 注)出所は第3表と同じ. 昭29年に共同で初めて導入されたといわれる動力桝うん機が,45年にほ10PS未満のものながらはとんどの農家に導入 されるに至っでおり,さらに50年には10PS以上の自動耕うん械ないし乗用トラックタ一に代えられて−いる・また動力 田植機,米麦用動力刈取機(主にパインダー),米麦用乾燥機など,米麦機械化一選体系の整備を中心としていちじるし く強化されている.いわば農業労働力の弱体化を機械化によってカバーしてきたともいえよう. (3)耕地の利用状況 この部落の作物別収かく面積をみると(籍6表) 第6表 主要作物収穫面積 利 用 面 槙(01ha) 田 畑 計(01ba) 利 用 率(%) 1∼l‡I 】〔1 注)出所ほ第3表と同じ.()内の数字ほ百分比(%)を示すり

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森 和 男 香川大学農学部学術報告 52 昭45年,50年とも和が最も多い.しかし両年次をくらぺると,稲と麦類面税のいちじるしい減少に対して野菜面積のい ちじるしい増加と,タバコおよび花き・花木がわずかながら増加しているのが注目される.なお近時5戸の農家で40a の簡易ハクスが導入され,野菜(キュクリ,トマト)やキクの栽培が行なわれており,施設園芸化への弄ばえともみら れる. なおセンサス資料からこの部落の田畑の利用率を計静して−みると,45年199%,50年161%で低下している.しかし大 野原町計のそれよりもかなり高く,しかも集約作物の割合が増大しているといえよう.なお樹園地3.3土1aは給ぺて温州 み.かんである. 最後に農産物販売収入第1位部門別構成と農産物販売金額規模別農家構成にふれておくと,前者では昭45年から50年 の間に「いね」が23戸から10戸へと大きく減少したのに対し,「野菜類」が6戸から19戸に増大し,「工芸作(たばこ)」 は18戸ふら16戸とはば横ばい傾向を示している.そして販売収入規模別農家では,昭50年は45年よりもランクを低下し た農家が多くほなっているが,100∼300万円の農家が最も多く,300∼500万円層農家は45年の1戸ふら50年ほ4戸に増 大しており,農家階層間紅,耕地利用や集約化において,分化の進行が暗示されているともいえる.そこでアングー・ト 調査によりこの点を分析してみよう 3・アンケ一ト調査資料による耕地利用の階層的分析 (1)階層別農家区分 L部落農家55戸庭対するアンケ・−・ト調査で回収された50戸紅ついて,箪・兼業別と,耕地面積規模別に階層区分する と,つぎのごとくである.すなわち農家所得中の農業所得の割合により,盛装所得100%の農家を専兼農家(以下Sと する),50∼100%未満農家を第1種兼業農家(以下Ⅹ.とする),50%未満の農家を第2種兼業農家(以下Ⅸ2とする) として分類すると,S16戸■(32%),Klll戸(22%),K223戸(46%)紅なるけ また経営耕地面椒50a未満農家(以■下 Aとする),50∼100a未満鹿家(以下Bとする),100∼150a未満農家(以下Cとする),150a以上農家(以下Dとす る)に分類すると.A22戸(44%),B21戸(42%),C5戸(10%),D2戸(4%)となる.これらの数字は前述した 昭50年虚林業センサス結果とくらぺると若干異っているが,調査時点が51年9月で約1年半の推移が考えられること, また5戸の未回収農家があることなどから,■一応許容しうるものとされよう. (2)家族の就業状況と農業労働力構成 まず農家1戸当り平均家族数はS4.4人,K14.7人,Ⅹ24.6人,うち就業者S2.6人,K12.9人,Ⅹ22.2,また農業従 事者数においてもS2.6人,K12.6人,K22.0人で大差はない.しかし農業就業日数は,慮外就業日数などとの関連で異 っており,経営主の平均年令がS43.6才,Ⅹ145.6才,K248.7才と,農外依存度の高い農家の方が高まっていることと共 に.注目される.すなわち階層区分に従って農米および農外就業日数別従事者を整理すると算7表のごとくである. 欝7表 大野原町L部落紅おける続き柄別・慮外依存度別・耕地規模別・従事日数別就業状況(単位:人)

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算29巻第61号(1977) 耕地利用率向上に.関する研究 53 注)本表は大野原町L部落に.おけるアンケ−ト調査(昭和51年9月実施)紅よる. 凡例 S……専業農家 A…‥・50アール未満農家 イ…・虚業従事日数別人数 Ⅹ1……第1揮発業農家 B…‖一50∼100ア−ル未満魔家 ロ……農外従事日数別人数 Ⅹ2・……弟2種兼業農家 C……100∼150アー・ル未満農家 D……150∼200アール未満農家 これに・よると経営主では,Sの全員が農業従事日数150日以上で農外就業がないのは当然であるが,Ⅹ1,K2と慮外依 存の高まるはど農業従事日数が少なく農外従事日数の多い農家数が増大している.こ.のことは妻の場合にも同様にみら れるが,全般紅農業就兼日数の比較的多い人が多い.「その他家族」でほ,Sはもち論Klでも農菓従事日数の多少はあれ 虚業のみに・従事する人が多い.しかしⅨ2では農外従事日数150日以上が圧倒的紅多く.虚業従事が全くないか,150日 以下の手伝い程度の就業者が多くなっている.このことは「その他家族」の平均年令がS47.3才,K154才に対し,K2 32・2才であるこ.とから,SおよびK.では,経営主の父母などが補助的阻農業紅従事しているの紅対し,K2では農外就 業の若夫婦などが補助的従事者になっていることを示すといえ.よう. なお後継者紅ついて量ると,「いる」「現在はいないが将来はできる」とするものが,全体の66%をしめているが,「い ない」が10(20%)あり,S,Kl,Ⅹ2のいずれにもみられる.しかし規模階層別ではA,B層に集中している.した がって経営耕地面積規模は後継者の確保に大きな関係があるといえよう. (3)農家所得と農業所得の構成 鹿家所得と虚業所得の構成をみると(発8表) 第8表 農家階層別農家所得構成と虚栄所得構成

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香川大学農学部学術報告 注)本表の出所は第7表と同じ. 当然のことながら,S・→Kl−>K2になるほど農業所得の割合は低下している.とくに.KlとⅩ2闇の,またAとB間の落 差が大きい. また農業所得の作目別構成をみると,S・→Ⅸ1→Ⅹ2 と稲作割合が増大している・タバコ作を内容とする工芸作の割合 はⅩ.の31%を最高に.,Sの23%紅対して,K2は16%に過ぎない・ただこの集落では野菜作の割合はいずれも30%以上 である.しかしSでは33%で,花き作の12%と工芸作の23%と共に集約な土地利用を窺わせる. また耕地規模別では,Aは兼業所得と財産利用得を合わせると69%で,農業所得割合は31%に.すぎず,K2農家が多いこ とを示している.そ・の他の噂層ではいずれも農業所得割合が慮外所得より高く,とく紅Cでは98%でDの90%よりも高 い.また農業所得構成を主要作目別に・みると,Aは稲作割合が過半を占め(54%),また果樹(みかん)がDの20%に ついで高い.しかしエ芸作や野菜作ほ最も低い・階層Bほ稲作,野菜作がともに31%で大きいが,たばこも26%,花き も10%で大きい.つぎに階層Cは野菜作が50%を占めているのが目立つ.階層Dはみかん園面積が大きいだけ紅煙草30 %と共に果樹が20%と大きく,稲作と野菜作割合が相対的に小さい・なお耕地規模別と専兼別を組み合わせて載ると, AにはSはいないが,KlはK2よりも煙草や野菜の割合が大きい・つぎに・Bでは,Sは工芸作や花き作,その他の割 合が大きく,むれだけ野菜作が若干低下している・またKlとⅩ2を比較するとKlほ工芸作割合が高く,野菜作の割 合ほほば同じである.それだけ把水稲割合が低くなっている・ (4)耕地の構成と利用状況 寛9表 農家階層別耕地の構成(1戸当り平均,単位:アーール)

経 営 耕 地 面 積 中 の

農家階層 水 田 S50年度不作付地面硫 1年以上の不作付地面唐 施設面積 普通風樹園地敵軍畑l合 計

ニラ 主ご.−・ミ ニ:

i.仁 王

相田l乾田 ニニ丁∴∴こ ビニーー・ル憐ラ ス 1.1!10.4 l l ヽ ヽ ヽ 8 1 J68 注)本表の出所は前表と同じなお本表中の①,⑧叫…の数字は該当農家戸数を,()内の数字は該当農家の みの一戸当り平均面横を示す・また本義の「半湿田」は文字通りの半湿田ではなく,粘質壌土などの場合 を合意しているものとるられる. 耕地の構成ほ第9表のように,水田,および樹園地面積は,とも紅K2よりKl,Sへ,またAからB,Cへと増大し

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第29巻第61号(1977) 耕地利用率向上に.関する研究 55 ている・ただDはCよりも水田面積が小さく,みかん園の大きいことから耕地面積が最大になっている. つぎに・みかん園は耕地利用率1.00とみなし,また普通畑は小面積であるため調査項目から除いたので,ここでは永田 についての耕地利用率と主要作目別栽培面積を,耕地規模別,専兼別軋整理しで第10表に赤めそう. 第10表 耕地規模別・専兼別農家1戸当り平均作物別面積(単位:ア−ル) 農 家 階 層 1.626.615..2 4.5 15.4 9.910.3 0.7 0.7 0.3 0.9 42.7 (11) (36)(23)(24)(2)(2) (2)(100) 49.4 174 総平均 0.、4 8.714.0 1.0 5.4 5.7 0小3 (8) (42)(45)(2) ⑧ ⑧ ⑨ 6.3 31.539.0 0.4 12.8 (3)(100) 24.0 150 23.1 A(与i9) 20.312.2 0.5 6.614.4 13.310.0 (57)(43) 3.9 4.9 (36)(46) 2 8 5 4 1 1 7 8 6 1 3 2 3︶ ・3 0︵ B(与i8)

8︶96︶0︶3︶

臥16⑧9.〇.柑L172.極 ︵ l l︵l︵ 4.331.315.9 1.持①〇.3.待

7︶03︶

3 0︶02︶0︶00︶ 〇.柑⑲臥2.201.173.12 1︵ l l︵l︵ ︵

l︶02︶0︶5︶

3.24⑨7.9.15臥加5.50 1︵ 4 ︵l︵l︵

7︶92︶4︶3︶

L39⑧臥5.彪5.399.30 2︵ 42︵2︵ ︵ 6 4 7 16 5 51.5 7.2 34.1 7.0 36.225.2 3.018.822.5 B−S B−Ⅹ1 B一正2 C(与包) 8 8 3 1 9 4 2 1 1 0 0 5 0 4 2 5 6 5 10.062.013.8 0.8 せ 4.0 0.8 ︵1.〇︶ 008 5.父④7.5▲ 4︵ 54 6︶006 6.19④〇.6. 1︵ 21 0︶00 L24①5.1. 2︵ 02 1 0︶00 4.待⑧〇.4. 1 1 7 1 7 1 0 1

85.8 10.062.013.8

0︶00︶

2〇.伽①4〇.4〇.廊 0︶0 5.侍①〇. 1 0︶0 〇.40①〇. 4︵ 00 65.022.5 ■ ヽ← 87.5 40.035.0 90.010.0 5︶00︶ 7.け①5.5.13 11︵ 1︵ 33︵ 5.15①〇.〇.27

0︶00︶

5︶00︶ 7.け①5.5.13 11︵ 6.棒①乱3.12 11︵

5︶00︶

5︶ ・0 10 01 1︵ 9 7 0 9 1 5 0︶0︶ ●0 ・0 3000 1191 1︵ ︵ 00 9 1 1 00 0 94.0 200 100.0 190 80.010.0 (89)(11) 注)1・本表中の⑨,⑨などの数字ほ栽培戸数()内の数字は100分比割合(%)を示す.また()内の 分数は平均戸数を示す, 2.本表の出所は前表と同じ小

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森 和 男 香川大学農学部学術報告 56 これ把.よると,水田利用率は総平均174%であるが,規模別でほA150%,B165%,C171%,D195%であり,専兼別 では,S175%(ただし,ハウス面税7.2aを入れると184%),K.182%,K2146%となっている.そしてSの主要作目 構成では,1戸当り平均袈作延面積73a,うちレタス34%(25a),煙草30%(22a)を中心としてニ,玉ねぎ,麦,西 瓜,南瓜花きなどが作られている.ただし栽培農家数とその1戸当り平均面項にみるように,南瓜西瓜ほ各1戸が 30a,また栽培戸数の多いレタス,玉ねぎでも,栽培農家1戸当り平均では,それぞれ38a,18aであり,煉草,麦で も55a,16aと,いずれも平均10a以上の栽培面楷となっている.そしてSの中でも農家紅より基幹作目に若干の分化 がみられる. またⅩ1では,1戸平均延べ裏作面積53a(100%)のうち,煙草が27a(51%)で最も大きく,ついで玉ねぎ14a (26%)レタスと麦が各6a(11%)となっている.ただここでも玉ねぎが9戸坤の8戸把.,煙草が9戸坤の5戸粧そ れぞれ平均16a,49aが栽培されている.しかしレタス,麦の栽培農家はそれぞれ3戸だけで平均18aを栽培している にすぎない.同様紅K2では14a(ユ.00%)のうち,玉ねぎ7a(50%),煙嘩5a(36%),麦,レタス各1a(7%) で玉ねぎの割合が圧倒的に高い.しかも,玉ねぎは20戸申の13戸■が平均11aを作っているが,麦ほ.20戸のうち5戸が 平均6aを栽培するに.すぎない.なお,煙草,レタスは20戸ヰの各3戸,2戸がそれぞれ平均33a,10aを栽培してい る. つぎ紅耕地規模階層別紅量ると,Aは1戸平均裳作延べ作付画稿12・8a(100%)のうち,玉ねぎ5.7a(45%),煙草 5.4a(42%),麦1a(8%)が主体で,レタスの栽培は殆んどない・しかし調査農家申の栽培戸数からみると,玉ね ぎは9戸で1戸当り平均39aであるが,煙乳麦は各3戸で平均31・5aと6・3a紅なって−いる・なお同階層のKlとⅩ2を 比較するとKlの方が1戸平均煙草面臥割合ともにはるかに大きい・また玉ねぎも面墳としては大きいが,割合とし てはK2が大きいのが注目される・階層Bでほ1戸平均延べ裏作面積55日3a(100%)のうら,煙草21.7a(39%),玉 ねぎ13.1a(24%),レタ.ス10a(18%),麦8・8a(16%)などとなっているり しかし調査戸数1辞i−の申の栽培戸数で はレタスが10戸で1戸当り平均18a,ついで煙草,麦が各8戸で1戸当り平均48.9a,さらに玉ねぎは5戸で平均47 a,南瓜は1戸で30aと.かなり集中的に栽培されている小なお,これを専兼別紅みるとK2−ヰⅩ1→Sと農業へのウエ イトが高まるほどレタス,煙草の面積,割合ともに高く,逆に・玉ねぎ割合の減少がみられる つぎ紅階層Cほ1戸平均裏作延べ面積88・2a(100%)のうち,レタスが45・8a(52%)で最大,ついで煙草21a(鎚 %),玉ねぎ16・6a(19%),花き4a(5%)などとなっており,レタ・スの栽培面積の多いのが特徴的である.もっと も調査農家5戸(全戸がS)のうち栽培戸数ではレタス,玉ねぎほ各4戸にそれぞれ平均57・8a.201.8aが栽培されて おり,レタス面煩が拡大されている・なお煙草は1戸の農家で105aが栽培されており,花きも2戸■の農家で各10aが 栽培されている.最後に階層DにはSとⅩ1,各1戸が含まれているが,平均的紅みる限り,賽作延べ面横101.5a(100 %)のうち,煙草39%,レタス20%,西瓜15%などとなっている・しかしS農家ではレタス40a,西瓜30a,その他の 野菜や花き,麦などを栽培する野菜作農家となって小る・これ紅対しKlでは煙草80aに玉ねぎ10aが栽培されている小 なお上に.みたように,各階層の平均値に・くらぺてその下方に・示されている栽培農家数とその1戸当り平均栽培面積ほ かなり異っでいる.たとえば煙草作の栽培面積は,階層平均のS22a,Ⅹ127a,K25a紅対し栽培農家1戸平均ではS 55a,K.49a,K233aでかなり大きい.その他の品目でも,栽培農家は1品目10a以上を栽培していることがわかる. そ・して栽培農家戸数の比較的多い作物ほ,Sではレタス(10戸で農家普及率63%)次いで,玉ねぎ(9戸で56%)であ る.Kl−K2はともに長ねぎの栽培農家率が高い・(K165%,K289%)とく紅K2では他の品目にくらペると著しく商 いのが注目される. 以上の分析を総合すると栽培規模の拡大紅伴なって,煙革中心農家と,レタスを主体とする野菜作農家に分化する儀 向が与られる.なお耕地面横規模が大きくなり,また同一親模階層内でも農薬に蚤点をおく農家はど,レタス,西瓜, 南瓜煙草などの作目の面積・割合が増大する傾向がある・他方兼業紅深化した農家はど耕地利用率が相対的に低く, 作目としては玉ねぎのウエイトが高まっている・また零細なA階層のⅩ1やK2農家でも煙苛を栽培する良家があるの に対し,レタス,西瓜などの導入がないことも注目される・こ.れは煙草,レタス,西瓜などは,ともに.集約的な作物で あり,レタスや西瓜などでは,トンネル栽培における温度管理やかん水など,労働の拘束が伴なうこと,収穫期間が長 く,調製,出荷把手数を要すること,ビエ−ルなどの資本投下の多いこと,技術かく差が大きく出やすいこと,したが って常時農業に専従しうる労働力を必要とする程度が高いからであろう.他方玉ねぎなどは植付けや,収かく時に労働 を要するものの,その間の所要作業は少なく,また玉ねぎはある程度貯蔵がきくので,労力に応じて調製出荷が可能で

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弟29巻第61号(1977) 耕地利用率向上紅関する研究 57 あることなど,殆んど総べての作業が日曜首姓的管理紅よって処理されうるからと考えられる・ (5)耕地利用率低下の理由 最近における耕地利用率の低下理由紅ついでは,(第11表) 第11表 経営耕地規模別・専兼別農家の耕地利用率低下の理由 耕地規模別 専・兼 別 質 問 内 容

A B C・D

兼業との競合に.よる労力不足のため. 81 4 3 1 労力的にほやれないこともないが,慮外収入もあるの で手間のかかる裏作はしない. 5 41 91 4 4 1 ハウス栽培・家畜の多頭羽飼育など,経営内他部門と の競合に.よる労力不足のため. 3 2 裏作をすると稲作などの作菜手順が悪くなり,稲も作 りにくくなるから.

1 11 2】

2 稲の直播栽培の導入で寡作困難なため. 1 I 1 賽作を機械化により省力化するに.しても規模が小さく 採算が合わないから. 1 2 31 61 3 2 1 省力的な麦作などの裏作物は長雨,そ 贋,収畳の変動が大きく不安定だから 1 2 1 3‡ 2 1

書聖£盟琴璧撃墜坪野空堀く,野菜などほ価格が不安】2 3 6llll6 3 2

定で採算が合わないから 周囲の宅地化,その他での「排水不良」や「薬剤散布 の制約」などで裏作がしにくいから. 収益の高い裏作物は労力集約で面積拡大が困難だか ら. 21 2 その他(労力不足) 1 11 注:本表の出所は前表と同じ. 「麦などの裳作物は価格が低く」また野菜などは「価格が不安定で採算が合わないから」とするものがS,Kl,K2を 通じてあり,回答総数39(100%)のうち11(28%)で最も多い.しかしア,ク,コなどのなんらかの意味で労働不足 を要周とするものを合計すると15(38%)となり,相対的に最も大きくなる.とくにノ\クス園芸を行なっているS農家 4戸が,「ハクス閑芸部門の競合」や「収益性の高い裏作物を作ると面積規模拡大ができない」ことをあげているのが注 目される.またKlやK2農家が,「兼業との労働の競合」をあげていることほ当然ともいえるが,特に注目されるのは Ⅹ1,Ⅹ2農家の中紅「イ,労力的にはやってやれないことはないが,慮外収入もあるので,手間のかかる寡作はしない」 とする農家が9戸(23%)もあり,単一項目順位では2位を占めていることである.このことは家族経営の現実的な目 標が必ずしも利潤の追求や,永続的最大の農業所得の追求ではなく,血定の標準目標所得の確保,充足にあることを暗 示しているともみられること,および兼業所得などの増大が,農家の耕地利用増進を,単紅労力的だけでなく,心理的 にも抑制することに.つらなってこいることを暗示しているといえよう・ なお「カ,共作を機械化に.より省力化するに.しても,規模が小さく採算に合わない」とする農家が6戸(15%)ある ことにも注目したい小 (6)耕地利用率の向上対策 農家の考える耕地利用率の向上対策紅ついてほ,回答数20戸(回答率40%)ときわめて低率ではあるが,S,Kl,K2 に.共通的に多くみられるのほ,「高能率な機械化栽培ができるように土地基盤を整備す−る」(10戸)や「技術指導を徹底す る」(8戸)であり,次では「農協などによる受委託式集団栽培に.条件さえととのえば応ずる」(7戸)となっている・しか し,K2の申紅「受委託に応じたくない」(3戸)と「積極的紅応ずる」(1戸)がみられることも注意される・ なお裏作物の収益性に.関連して,「あなたはどのくらいの所得があれば裏作物を作るか」を「①10a当り所得」と「⑧ 労働1日当り所得」紅ついてみると,総平均では,10a当り所得は39万円,労働1日当り所得は5,000円である・これ を専・兼別に.みると,①10a当り所得ではS(13戸平均)34万円,Ⅹ1(3戸平均)42万円,Ⅹ2(4戸平均)53万円,ま

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香川大学農学部学術報告 森 和 男 58 た⑧労働1日当り所得ではS(8戸平均)4,900円,Ⅹ1(2戸平均)5,000円,Ⅸ2(4戸平均)5,100円となり,兼業に 深化している農家はど高くなっている.またこれを耕地面積規模別にみると,①10a当り所得では,A60万円,B31万 円,C39万円,⑧労働1日当り所得でほA5,100円,B4,800円,C5,000円で,兼業腰家のみから構成される階層Aが 最も高くなっている.このことは兼業農家では,兼業所得との関連を重視するのに対し,Kl−>Sと農業に蛋点を置く農 家ほど,.土地利用や労働配分などの観点から,多少とも10a当り収益や,労働1日当り所得が低いものでも導入して, 全体としての絵所得を多くせざるを得ないとする反映であろう. 4.むすび一新地(とくに水田)利用率の規定要因 以上,昭和51年9月に香川県三豊郡大野原町L部落農家55戸を対象に実施した「耕地,とくに.水田利用に・関するアン ケート調査」の集計結果(回収率91%)の分析を中心に.,大野原町,とく紅同町内L部落の概況と耕地,とくに水田利 用の実態に.ついて述べた.そ・こで最後匿,これらの調査結果との関連において,耕地,とくに・水田利用率を規定する諸 要因を要約してむすびとしよう. (1)香川県下の耕地利用率ほ,昭50年ごろから若干上向いているとはいえ.,35年ないし40年からみるといちじるし く低下している.また麦作の激減とともに作目構成も変化している.しかし耕地利用率や作目構成の変化は,地域ある いは部落に.よってかなり大きく相異している.本報告の調査研究対象とした三豊郡大野原町,とくにL部落に・おいても 耕地利用率と作目構成の変化がみられるが,比較的高い耕地,とく紅水闇利用率を維持している (2)ところで耕地(とく紅水田)利用率を,先ず規定するのは立地条件であるが,調査地区は,気象的には二毛作 ないし三毛作可能地域である.また耕地条件としても,平坦で排水良好な耕地(水田)が多い・したがって,耕地区画 や農道などの整備は不十分ではあるが,香川用水をはじめとする水利改善とともに,野菜その他の作付けを高度化する 条件に恵まれている..さらに経済的条件としても,香川県の西端にあるとはいえ,京浜や京阪神,その他地域への出荷 条件において特に問題はない・むしろ県内の商工業地域(高松市や坂出市など)に比較的遠いことから,いわゆる都市 化の影響が県内としては比較的少なく,兼業の深化を相対的に・おくれさせたともいえよう小 (3)しかもこのような条件下の農業経営は・,水田主体の耕地面槙規模の比較的零細なものが多く,米質ほ良いが収 盈を増大し紅くいので,裏作を重視する傾向が伝統的紅強かったとみられる (4)しかもそこ.に.豊南農協などの適切な指導の下に,比較的高収益作物としての野菜(レタス,玉ねぎなど)がま とまって・導入され,レタス,玉ねぎ,夏秋きゅうりの指定野菜産地として有利な共同出荷体到が確立されている・と同 時に.技術,とく紅省力的技術の進歩(たとえば道路整備や機械化除草剤の発達,あるいはレタス,西瓜煙草などの トンネル,マルチ栽培など)に伴って,栽培面積の拡大を可儲に・し,また豊南農協のバーーク堆肥の供給などが,地力の 維持や野菜作の安定に役立っでいることも見逃し得ないであろう しかしここで特紅注目すべき要因ほ(5)上述した諸要因との関連において,かなりの専業農家と1種兼農家とが維持 されて.おり,集約的な耕地利用が行なわれていると同時に,2種兼農家においても,労働条件に・みあったかたちの袈作 的利用や,相対による短期′ト作的耕地利用の流動化が行なわれていることである・すなわち,L部落においても應家階 層間に,耕地(水田)利用率と作目構成において差異がみられ,農外所得依存度の高い農家はど,また経営耕地面棍規 模の小さい農家はど,耕地利用率が相対的紅低いこと,また作目構成においてレタスや西瓜,煙嘩などの集約的な作目 の割合が相対的紅低く,いねや玉ねぎの割合が高い傾向にあるに・しても,専菜的農家とともに兼業農家もまた,玉ねぎ などを栽培するとか,1年毎の契約(口頭)更新に・よる短期小作(小作料ほ優良煙草地で米5へ′7俵,普通地で米3∼4 俵)を縁故者間を中心に行ない,専業的農家の規模拡大と地域の耕地利用率の維持向上軋役立っていることである. 以上が三豊郡大野原町,とくにL部落における耕地(とくに水田)利用率が相対的に高く維持されてきた理由ないし 要因と考えられる.しかしこの分析はアンケ一−ト調査資料という制約がある軋もせよ,水田裏作の論理をふまえた経営 経済的な解明に.は至っていない・この点についてほ個別経営調査の分析と,L部落などとは逆紅,耕地(とくに水田) 利用率がいちじるしく低下した地域についての要因分析とをあわせて,他日に展開を期することとしたい・ 「付 記」 なおL部落の「一般的動向調査」や「アングーート調査」紅は彗南農協組合長,大野原町産経課長,三豊農業改良普及

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耕地利用率向上に.関する研究 59 第29巻第61号(1977) 所長をはじめ,調査対象虚家の皆さんに格別のご協力を頂き,また資料の集計などには,研究補助員の松崎美紀代・池 内良土子両嬢の援助をうけた.明記して感謝の意を表する・ 引 用 文 献 (5)香川県農林統計協会「’香川應林水産統計年報」の 各年度版. (6)農業生産調査会「香川県における作付体系とその 経済性」(昭和36年3月刊). (7)香川県大野原町「農薬振興地域整備計画の概要」・ (8)以下の統計数字は,特記しない限り,香川農林統 計協会「農業を支えるわが市わが町」昭和52年2 月発行版,および昭和47年2月発行版. (1977年5月31日 受理) (1)農林省統計表に・よる・ ただし昭和40年以降の数字は,農林省農林経済局 統計情報部,「昭和50年,耕地および作付両税統 計」. (2)香川県農林統封協会r■香川應林水産統計年報」各 年次版. (3)ポケット農林統計(昭和49年版)・ (4)香川県農林統計協会「香川農林水産統計年報」(昭 和50年版).

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