香川大学農学部学術報望 みかん作における農道ゐ労働時間効果に関する一考察 桂 瑛 12 Ⅰ 課 題 国民所得の増大に伴うみかん需要の拡大とみかん価格の上昇は,みかんの増植を促した.この過程におい て九州を中心、とする新しいみかん産地が形成され,産地間競争が激化する気運が高まりつつある 傾向の中で,いわゆる旧産地とよばれるみかん産地で表面化して釆た重要な問題ほ,新興産地に比較して一・ 般に経営の自然的環境が劣悪であるという事実である(1).それは旧産地が産地間競争において不利な状態に 陥いらなければならない極めて探刻な事態なのである‖ 他方,日本経済の高度成長は農業労働力を非農業部門に急激に流出させており,農業部門における労働力 の不足状態さえひ新区している..こう−した現象は経済発展の過程にみられる極く−・般的な傾向である一.しか し農業部門は残された資源を用いて規模を拡大しつつ,食糧供給という国民経済拘要諦と農工問所得格差の 是正という農業靂済的要請に応えなければならない. 旧産地は,これら二つの問題に同時に直面しなければならず,資本構成の高度化による労働生産性の向上 が基本的な課題として重要になって来ている.ここで取りあげる農道(本稿でいう農道は軽自動車以上の車 の通行可儲な農業用車道である)もそうした観点から大きな期待がかけられている.. そこで本稿では,旧産地タイプの一例である徳島県名東都佐那河内村嵯峨地区の農道受益農家24戸を事例 に,農道の敷設がみかん作労働に及ぼす効果を明らかにし,且つそこに含まれる問題点を指摘することを課 題とするり 調査は構造改善事業による農道が全く敷設されていなかった昭和36年皮と事業の最終年度で農道のほぼ完 成をみた昭和40年度の比較として,調査農家の全みかん園を対象にして聴取調査の方法で行なわれた山 Ⅱ 調査地区と農道投資の概況 調査地区は,国鉄徳島駅からバスで約50分のLLI間のみかん産地で,ここ数年来増砥が盛んであるい 36年に は農業構造改善事業パイロット地域の指定を受け,みかんを基幹作目として事業にとり組んだ.この地区は 平均傾斜度20∼25度という地形的条件にあり,みかん園はLL川夏に階段状に開かれ,最高部では標高500mに も及んでいる.又園は区画も示さく,かつ不整形をなしてしiて、平均一億家当り5∼6屈地に分散しでい る 調査農家について経営環境の概要をみておくと、みかん園平均面積ほ36年で78・1α,40年現在では988α となっている… 又団地数は平均36年で5,40年で6であり,みかん囲までの平均距離(母屋から各みかん団 地までの距碓の総和を,団地数で除したもの)の平均は36年の6428mに対して40年では6371mとなってい るり さらに母屋とみかん園との平均標高差(各みかん園の標高と母屋の標高との差の禍和を団地数で除した ものである… ただ母屋と園の間に尾根や谷がある場合は,それらと母屋又は園との標高差が加算してある) の平均は36年が668m,40年が709mであるい
こうした意条件の改善を目的として,37年度から40年度の4年度にわたって,構造改善率発給額の488%
にあたる71,292千円を投資して延長6,107mの農道の敷設を行なった‖ その結果農道密度(母屋から各固 への延べ距離に占める車道延べ距離の割合)は平均751%になった,そして自動車の利用も増え,24戸中6 戸だけが自動車の利用を行なわず,テイラーー・に頼っているにすぎない.. Ⅲ 農道の労働効果 新しく農道が敷設される場合,農道は直接的にはそれがもつ機能,すなわち場所的離隔の克服を通して物13 第19巻第1弓(1967) 財の移転を容易ならしめ生産,消費における効果をして極大に発揮せしめるという交通のもつ一・般的な経済 的機能(2)を・媒介として農家経済に,種々の効果をもたらすのである.具体的には農家生活上の効果,農産 物出荷・販売上の効果,未墾地の開発上の効果、そしてここで問題にしようとする労働上の効果等をあげる ことが出来る.. 農道のもたらす労働面での効果を農道の労働効果とよぶことにすれば,それは大きく質的な効果と意的な 効果とに大別することが出来る. まず質的な効果というのは,いいかえるならば労働苦痛度の軽減ということである.しかし質的な効果を 経済論としてとりあげる場合,効用問題として抽象的次元でとらえることば出来ても,具体的次元で量的に とらえることば容易でない..そのような理由からこの問題はとりあげていない. 次に畳的な効果というのは,いいかえれば労働時間におよぼす効果である..本稿で問題にする労働効果は この量的な効果の側面であり,それをここでは労働時間効果とよぶことにする. 労働時間効果はこれを1)労働時間節約効果,2)労働時間最適配分効果,3)労働時間平準化効果の三つ に分類する.もちろんこれら三つの効果には必ずしも明確な区別を与えることば容易ではない.なぜならば これらの効果は併列的なものというより,一つの効果を三つの側面でとらえたといった方がよいからである. しかしここでは労働時間節約効果としては,もっぱら所要労働時間の節減を意味し,労働時間最適配分効果 とは,所要労働時間の配分が適正化すること,そして労働時間平準化効果とは所要労働時間の農家間格差が 縮小することを各々意味している.. ところで労働との関係では農道は,それと運搬手段の機械化,すなわち自動車の利用というセットの投資 として,みかん作労働の中でも運搬作業の合理化を最大の目的の−㌦つとするものである.もちろん農道が開 発されることによって,それまでは機械を園内に持ち込めなかったために不可能であった園内作業における 機械化が実現可儲となって,園内作業の合理化が達成されるということも考えられるであろう.しかし現在 の技術段階においてほ,そうした面での可能性は極めて限られたものでしかない仙 したがって農道のみかん 作における労働時間効果は,運搬作業を通じてのみ生み出されるといってもいい過ぎではない. Ⅳ− 農道の労働時間効果 イ 労働時間節約効果 運搬作業はどの作業を行なうにも欠くことの出来ないものである… そのため各作業に伴う運搬作業をこと ごとく網羅的に計上することば困難である..そこで運搬作業が特に大きな比重を占めている施肥,収控,出 荷の三つの作業に限定して節約効果を検討することにし,こ.れらに伴う運搬作業を各々施肥運搬,収穫運搬, および出荷運搬とよぶことにして次のように定義しておく.施肥速搬とは,肥料を肥料置場から園に運搬す る作業と肥振りを終えて園から家へ帰りつくまでの作業である.収穫運搬とは,採果され,選り分けて箱詰 にされているみかんを貯蔵する場合は貯蔵庫へ運搬しておろすまでの作業も 文政出荷する場合は自宅ない し出荷地点まで運ぶ作業をいう..出荷運搬ば,貯蔵庫の棚から出してあるみかんを出荷地点まで遇ぶ作業を 意味する. まず施肥述搬であるか,施肥運搬時間を左右する一つの要因である運搬回数についてほ,幼木園では施肥 どとの回数は少いが,施肥回数自体が多く,成木園では逆に施肥ことの回数は多いが施肥回数自体が少いの で総体として余り差異はないものと考えられる..そこでみかん閑10α当りの施肥運搬時間を鈴出することに した..しかし農家によって肥料の分施状態に差があり,その結果農家によって施肥回数に違いを生じている. 36年皮と40年度の施肥回数の違ぃは,施肥運搬時間の農道による影響に対して一つの抵乱要素となる.そこ で施肥運搬時間の比較については施肥1回当り,10α当り施肥運搬時問の算出によってそうした回数の問題 を回遊した1. 以上のごとき考慮を加えて,施肥運搬時間を比較してみると,第1表に示すように36年度で施肥回数1回 当り,みかん園面積10(石当りで1iO時間を要していたものが,40年度においては0う3時間に減少し,差引 0‖57時間の省力となっている.
香川大学農学部学術報告 第1表 ノ梅肥運搬時間の変化 36年1回10 α 当 施 肥 運 搬 時 間 40年1回10 α 当 施 肥 運 搬 時 間 1匝IlO(Z当 施 肥 運 搬 省 力 時 間 施 肥 運 搬 省 力 率 平 均 標準偏差 0.55 1 0.42 いま極めて凝制的な計算ではあるが,以上の結果から−・経営当り平均総省力時間を方馴巴運搬について算出 してみよう.施肥回数は平均すると36年度で45回,40年度で4・8回となっているから平均して4∴7回と仮定 する.叉みかん園面積は36年度で平均781α,40年度で98・8αであるから平均して880αと仮定する..以上 の二つの仮定によって推計すると238時間となる. 文単位施肥回数当り,10(ヱ当り施肥運搬省力時間の36年度における施肥遥搬時間に対する割合として施肥 運搬省力率を瓢出すると,平均515・9%となる. 次に収穫運搬時間の変化について検討する.収穫運搬時間は面積よりも収盈に左右される.そこで3,750 Kg当りの収穫運搬時間を算出することによって比較すると,第2表のように36年度で27・−8時間を要してい たものが,40年度においては12ト8時間に減少し,差引ほ0時間の省力となっている.施肥運搬と同じ考え方 で省力率を計算すると,平均して45.9%となる. 施肥運搬と同じく一・経営当りの平均収穫運搬総省力時間を推算しておこう.この場合問題なのは収盈であ るが,収盈の平均は36年度で一戸当り平均総生産量は15,256Kg,40年度で22,056Kgであるから平均して 18,656Kgの総生産蓋があるものとする.この仮定によれば収穫運搬の一・経営当りの平均総省力時間は75.0 時間になる. 猿後に出荷運搬時間の変化である.出荷という作業は運搬が主要な位置を占めている.この作業でほ実際
第19巻第1号(1967) 15 第2表 収穫運搬時間の変化 36年3,750kg 当 収 穫 運 搬 時 間 40年3,750kg 当 収 穫 運 搬 時 間 3,750kg当 収 穫運 搬 省 力 時 間 収 穫 逮 搬 省 力 率 12.8 1 15 O 平 均 標準偏差 問題として貯蔵庫の棚からみかんをおろす作業と,棚からおろしてあるみかんを出荷地点に運搬する作業と は,切りはなして考え.ることが困難である… そこで出荷はこれをひとまとめにして出荷時間として聴取して いる.ただ出荷時間の変化は主として出荷運放時間の変化によるものであるといえよう..したがって出荷時 間の年次的変化を出荷運搬時間の変化と考え.ることにする..この場合問題になるのは,この変化の中には通 作時間(休けいのため園と母屋を往復する時間)の変化による影響が含まれていることである.しかし貯蔵 庫はほとんどが宅地の中にあるので,その場合には適作時間は無視出来る.又出荷作業は−・般に短い時間で 終るという性格をもっているので,たとえ貯蔵庫が宅地外にあっても通作時間は0とみて大きな誤りはない ものと考えられる. 調査地区では園芸農協がトラックで農家毎に設定された地点まで集荷にまわっている.したがって農家は そこまでみかんを出しておけばいいわけである.農道の新設でトラックは貯蔵席により近い地点まで入るよ うになり,農家の出荷労働は劇層節約されるようになった.しかしそれ故に出荷運搬の省力には,個別農家 の立場からする,しかも見かけの省力を含んでいることに注意しなければならない.出荷運搬の省力時間は, その何割かは園芸農協の集荷走行距離の増加として現われ,当然個別農家に対して集荷料という形で費用化 される. 出荷時間の平均的変化をみると、第3真のように36年度に3,」750Kg当り3J7.4時間であったものが,40年度
香川大学農学部学術報告 16 では19い5時間に減少している仙 したがって差引17.9時間の省力である.なお出荷運搬省力時間の出荷時間に 占める割合を出荷運搬省力率とよべば49.4%になるが,これを出荷運搬時間に占める割合でみれば,もう少 し省力率は高くなる. 第3表 出 荷 時 間 の 変 化 標準偏差 出荷運搬時間についても,収穫運搬時間と同じ仮定のもとに一・経営当りの平均出荷総省力時間を推計して おくと89い5時間となる小 以上で施肥運搬,収穫運搬,出荷逼搬の時間的変化を検討してきたが,これら三つを総合すると,−・経営 当り平均総省力時間は188.3時間と推計することが出来ようい 又これを36年度に対する省力率として表わせ ば,平均省力率は弧3%になるが,この率は上述のように出荷運搬省力率が小さく出ているので,いくらか ひかえめの値と考えられる. 農道がみかん作労働に与えた主要な労働時間節約効果は以上のように結論づけることができるであろう.. ロ 労働時間最適配分効果 労働時間最適配分効果というのは,既述のように労働時間配分の適正化を意味する小 しかし労働時間の配 分をとらえる側面は作業主体,作業種類,作業内容,作業時間等極めて複雑で且つ多面的である‖ そこでこ こでは作業主体についてのみ考えることとし,それを中心に効果を分析してみることにする.
17 第19巻第1号(1967) しかし作業主体と一・口にいっても,そこにも又,例えば経営基幹労働とその他自家労働,婦人・老人・子 供労働,男子労働と女子労働,自家労働と雇用労働,後継者労働と兼業従事者労働等種々の局面がある.そ こで作業主体をさらに限定して,自家労働と雇用労働および自家労働における男子労働と女子労働という二 つの面について検討することにする. ところで問題にしなければならないのは,労働時間配分の適正化という場合,何を基準にしてその適正度 を評価するかということである..この問題は労働時間研究の一つの重要な分野であろうが,ここではこれに ついては余り深く考えずに,前者については雇用労働に対して,後者に関しては女子労働に対して各々依存 の度合が減少することというほどの意味に解しておく. まず雇用労働依存度の変化から検討■してみるが,みかん作労働において雇用労働が重要な位置を占めてい るのは,現在ではほとんど収穫だけである..そこでこの間題は収穫労働について考えることにする. 第4表によって収穫総労働時間に占める雇用労働時間の割合を36年と40年について比較すると各々33・・う%, 39い8%であり雇用労働への依存度が高まっていることが分る.これは収盈の増加によるものであり,とくに 採果についてみると,36年の33.8%から40年の42・1%へと増加している.しかし収穫運搬時間では36年の 30い3%から40年の27.2%へと収量の増加にもかかわらず,逆に雇用労働への依存度合は減少している.これ は明らかに農道の敷設による自動車利用の影響である. 次に第5表によって雇用労働における男女割合の変化を収穫労働についてみてみると,雇用依存度合が増 第4未 収穫における雇用労働割合 421
18 香川大学農学部学術報告 加する中で,とくに婦人の雇用労働の増え方が大きく,その結果雇用労働に占める女性労働の比率が高くな っている.すなわち36年で昇55・・4%,女44u6%であったものが,40年では男4LO%,女59小0%へと変化して いる小 これは主として農道の敷設によって収穫運搬時間が上述のように省力化され,それだけ収穫労働にお ける運搬の比重が減少し,採果の比重が大きくなってきたことと関係している.収穫道政のためにはどうし ても男子労働が必要であったものが,採果労働が中心になるとなれば一人前の男子労働を雇い入れる必要が 少くなる.こうして農道は男子一人前の雇用労働に対する必要性を小さくするという仕方で雇用労働依存度 を緩和している.. 第5表 収穫雇用労働に占める男女労働割合 以上二つの面で農道が雇用労働依存度合を小さくしたことを明らかにした.しかし雇用労働の必要性を基 本的に変えるものでないことば節約効果の小さいことからも明らかである.その上家族員数も36年から40年 にかけて総合すると若干の増加がみられるし,又雇用労働にしても特に男子労働の逼迫が著しいという事情 がある.したがって最適配分効果を過大評価することば出来ない.. 次に自家労働における婦人労働依存の問題を考えてみる.これについては施肥労働と収穫労働とについて みていくことにする.まず施肥労働について自家労働に占める自家婦人労働の割合を比較すると,第6表に 示すように施肥捻労働では36年の24・・8%から40年の243%へ、施肥運搬では6・6%から6.8%へ、又肥振りで は318%から25・3うるへと各々変化している.施肥運搬では婦人労働割合が増えているが,元来施肥運搬での
第19巻第1号(1967) 19 婦人労働の比重は小さいので余り問題とはならない.従って全体として婦人労働依存度は若干小さくなった といえよう 第6表 白家施肥労働作業別婦人労働割合 次に収穫労働について同じく婦人労働割合を比較すると第7表のように総労働で36年の453ク♭から44い5% へ,収穫運搬では」7・1%から3い8%へ,そして採果では58・0%から54・0%へ各々減少している. 以上の施肥と収穫においては運搬がほとんど男子によって行なわれており,農道の建設による運搬労働の 節減が男子労働を運搬から他の作業にふり向け,その結果女子の労働時間割合が減少することが予想される のである..しかし自家労働における女子労働への依存度合の減少もやはり余り大きいものではないといわな ければならない. ハ 労働時間平準化効果 労働時間節約および敢適配分化の中に農家間における施肥,収穫,出荷の労働時間の格差が縮/卜している ことが見い出される一.いまそれを標準偏差注によってみてみよう.まず第8表によって施肥,収穫,出荷に ついて標準偏差を比較すると,施肥が36年の3い3から40年の2・5に,収橙が14・3から8い9に,そして出荷が 18い0から8い0へと各々/トさくなっている.. 又施肥迎搬,収穫運搬,出荷遥搬についてみても,第1表,第2表,第3表に示しておいたように,各々 0.55から0い42,180から80,14‖3から89へと標準偏差は小さくなっている.
香川大学農学部学術報告 第7表 自家収穫労働作業別婦人労働割合 第8表 施肥,収穫,出荷時間の偏差および標準偏差 荷 施 肥 l 収 穫 40年
36年 40年 】 36年 【 40年
21
第19巻第1号(1967)
第9表 採果,肥振り時間の偏差および標準偏差
1 38 1り09
香川大学農学部学術報告 22 ー・方収穫におけ’る採果および施肥における肥振りについても,第9表のごとく各々36年の44∴7から40年の 34.7,1・38から1・09へと小さくなっている. 肥振りや採果作菜時間の農象間格差が縮小した理由についセは,技術が標準化したことを考えることが出 来るだろう.したがって施肥、収穫,出荷労働時間の平準化は,ナつにはこれらが作用しているといえる小 しかし運搬時閤の平準化も同様に施肥,収私 出荷労働時間の平準化に寄与していることは明らかである. ところで遊搬時蘭の平準化は,農道の敷設と自動車の利用による機械化の効果によって説明することが出 来る.すなわち,自動車を利用すれば少々の傾斜や距離は運搬時間に大きな影響を及ぼさないからであるu 以上のような労働時間の平準化は,農家間の経営環境の相異にもかかわらず,労働時間格差が小さくなっ たことを意味する, このことば,これをマクロ的にみるならば,急傾斜地で園が極めて分徽状態にあるという旧産地のもつ劣 悪な経営条件が緩和され 他地域に対する相対的な地位が若干なりとも向上し,所要労働時間の地域間格差 が是正されたことを意味している.もっともこれも余り過大に評価することば出来ない.. 注 施肥については1臥10‘Z当り,収穫と出荷については3,7・50Kg当りで算出する‖ Ⅴ 結 語 以上本稿では実態調査にもとずいて,農道の労働効果の量的側面である労働時間効果を,労働時間節約効 果,労働時間最適配分効果,労働時間平準化効果とに分類して事例的に考察してみた山 しかしながらそこで の効果は労働生産性を向上させる手段としては極めて小さいものでしかないことが明らかとなった..もちろ ん農道の労働時間効果は運搬作業に限られるものではないし,文運搬作業も施肥運搬,収種連搬,出荷運搬 に限られるものでもないハ しかし今日の段階ではたとえより詳細に効果を集積してみたとしても,労働時間 効果に関していうならば,上述の結論をくつ返す結果になるとは考えられない、. 現在完成した農道はすべて幹線農道であり,支線農道の開発ほ今後の問題として残されてはいる‖ しかし 労働時間効果に関していうならば,ほたして現在のごとき零細な経営規模の状態下で既成園に農道を敷設す ることによって莫大な効果,したがって労働生産性の向上を期待出来るであろうか.. 調査地における農道の敷設は,農業構造改善事業の一・環として行なわれたものである.しかしそれは規模 の零細性という農業構造の基本的性格のわくの中で実施されたものである∩ しかも労働時間効果の極めて小 さいことを考えるならば,その経営規模拡大への波及効果を期待することも無理であろう.すなわち労働生 産性向上における農道の労働時間効果の主導性に大きな期待をかけることば危険であると考えられる. ただ注目しなければならない点は,労働時間効果が絶対値としてほ小さいものではあるが,たとえ.ば省力 率をみてみると平均して・50%をやや越える値を示していることである.したがって農道は経営規模が拡大さ れた後においてばかなりの効果を発揮することが期待される‖農道を既成園に敷設して,節約された労働を 規模拡大の要員として期待するのではなく,農道のもつ別の機能,すなわち未利用地の開発機能に注月し, 労働効果磯能ほその補完機能として考える方が,我国のごとき零細経常下におけてほ,より看効な方法では ないであろうか. 調査地においても農道の経済性が認識され,ある農家のごときは所有地を鯉償提供することによって積極 的に未墾地に農道を敷設し,将来の開墾にそなえているい このことが一つの示唆を与える結果になるのでは ないかと思われる。 しかし労働生産性向上という課題を解決するには,園内労働の機械化がより根本的であることも忘れるこ とは出来ない. 付記 本稿取りまとめに当っては,本研究室の森和男教授の懇切な御指導を得た..ここに疎く感謝の意を・ 表します..
第19巻第1号(1967) 参 考 文 献 (1)森 和男:永友繁雄編著,地域開発と農業の (196、7) 展開(みかんの主産地形成),58−61,明文書房 (2)佐波宣平:交通概論,即,有斐閻(1967) 23 E飴ctsoftheagriculturalcarrlagIeWayCOnStruCtiononthe
WOrkinghoursinthecitrusindustry
EiichiKATSURA
1・Inthis paper,ananalysis was tried todetermine thee鮎cts ofthe newlyconstructed
agriculturalcamagewayonthe workinghoursin the citrusindustry・The eHects were
dividedintothreeclasses−SaVlnge任6ct,allocatione鮎ctandequalitye鮎ct・Savinge鮎ct
means economlZlng Ofworking hour・S,allocation efftctmeans reasonablearTangementOf
WOrkinghours and equalitye鮎ctmeans standardizing ofworkinghoursamong growers・
Thesearenotquiteheter・OgeneOuSbutthreesidesof■onee鮎ct.
2・The generalview ofthe reglOn WherIe the analysis was tr・ied was asfbllow:analyzed
growerswer・e24,their・aVerage OrChardacreagewas98・8ar・eS,theaverager・ate Ofnewly
COnStr’uCted carriageway bear to a11available roadin their working was75.1%,the averageinclination of■theirIOrChard was20−25degrees,and theaveragedistance tothe orchard fiOm their farmhouse was637.1meters.
3・InsplteOfcareflllanalysis,the e甘ects wer・e Slight.The averagesavlng hoursper・One
grower was188・3hours a yearand thisis only7.3%ofallworkinghoursin1961. Thesehoursweresavedinfbrtilization,Picking,andshipmentand the others were negli− gible・Thisalsoshowsthatallocatione鮎ctandequalitye鮎ctwereslight.
4・Itseemsthatthe uslng Ofthe newwaybythesmal1scalegrowersdoesnotbringmuCh
e鮎ctstothem・王tseems to be more e鮎ctivetoconstructnewwaylnunCultivatedare
andtouseitasameansofextendingtheir・OrChardacreage.