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教育水準の向上をめざして : イギリスの教員養成制度にみる教育改革

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(1)

教育水準 の向上 をめ ざ して

∼イギ リスの教員養成制度 にみ る教育改革∼

紀* 真 内 柿 教 員養成 制度

,教

育改 革

¢eacher Training,Education Reform

Towards Raising Standards in Education in England

Initial Teacher Training under the Education Reform―

h/1aki KAKIUCHI キー ワー ド :イ ギ リス,

key words I England&Wales,Initial

は じ め に

イギ リス(本稿ではイングラン ドとウェールズ)では

,約

10年前の1988年教育改革法の成立以来, 教育改革が際だつた進行 をみせている。市場原理導入が貫かれなが ら一方で中央集権 の方向性 を持 つ この教育改革は

,政

権が保守党か ら労働党 に交代 して も政府の基本的な姿勢 には変化がみ られな い。確 か に労働党①の教育政策 を保守党 と同 じである と片づ けるのはまだ早いか も しれ ない。た だ,「教育水準の向上」 とい う基本路線 は同 じであると考 えて よい。 イギ リスが教育水準の向上 に力 を注 ぐのは

,ひ

とつには

,イ

ギ リス経済の衰退原因 を教育 に求め たことにあると言 えるだろう。ほんの一握 りの人々に開かれた高等教育

,ま

た義務教育後 (16歳) の進学率の低迷

,学

校で何 を教 えるのかが法規 によつて規定 されていない状態などターゲ ッ トはい くつかあった。 1988年教育改革法では

,周

知の とお リナシ ヨナル・カリキュラムの実施が義務教育段 階

(5∼

16 歳

)の

公営学校 に義務づけられた。 また生徒 の達成度 を評価す るためのナシ ヨナル・テス トが実施 され

,結

果が公表 されることになった②。 こう して「イ可をどれだけ学習 したのか

Jが

,学

校外 に持 ち出 されることにな り

,学

校選択 の尺度 として用い られるようになったのである。同時 に

,ナ

シ ョ ナル・カリキュラムの実施は

,教

師の力量 をこれまで とは異 なる意味で求めることになった。それ はかつて

,カ

リキュラムの編成が教師の仕事であったこととは異 な り

,決

め られたナシ ヨナル・カ リキュラムをどの ように実施で きるかに教師の力量 を測る焦点が移 されたのである。 そ こで

,本

稿では

,教

育水準向上のために

,イ

ギ リスの教師 を目指す者たちにどの ような力量が 養成段階で求め られているのかについて考察 し

,イ

ギ リスで展開 されている教育改革の一端 をみ る `附属教育実践研究指導センター

(2)

182 こ とに した い。

2.教

員養成制度

柿内真紀 :教育水準の向上をめざして

(1)教

員養成制度の概要 イギ リスの教員養成制度改革については

,い

くつかの先行研 究③が詳 しいが

,度

重 なる制度 の変 更のために再確認が必要 となっている。それだけに制度 を理解す ることが簡単で はな くなってい る。 イギ リスの場合

,公

営の初等学校

,中

等学校 の教員 になるには,「有資格教師の地位」

(QTSi

Qualiユed Teacher Status)① を得 なければな らないのだが

,そ

の地位 を得 るルー トの多様化が近年

進 んで きている。それは

,高

等教育機関での養成か ら

,い

わゆる学校 中心型養成への拡大 にみ られ る。教員養成課程 に入るには

,1998年

9月 か ら

GCSE(中

等教育一般修了証)の 英語 と数学でグレー ドC以上成績 を有 していることが条件づ け られている⑤

o QTSを

得 るルー トは次の ように主 に

3つ

ある0。 ①学士課程 (undergraduate)ル ー ト 学士課程 (多くの場合

BEd,BA,BSc)を

4多了するもので

, 3年

または

4年

制 となっている。 このルー トは初等学校の教員養成または

,中

等学校の「体育」,「デザインと技術

Jの

教員養成向け が最 も多い。 ②学士課程修了後 (postgraduate)の ルー ト

ー般的なのは

,自

分が教える教科に関係する学士号 を取得後

,PGCE(Post Graduate Cerdicate

in Education)課 程を修了するもので

,通

1年

制である。このルー トは多 くが中等学校の教員養

成向けであるが

,初

等学校の教員養成にも広がってきている。

PGCEの

コースを大学やカレッジが

各学校 と提携 して

,学

校中心の教員養成をおこなう場合がある。また

,学

校が教員養成課程 を持つ 「学校における教員養成 (SCITT i Schoo卜 Centered lnitial Teacher Training)」 のルー トもある。

学士号取得者またはそれと同等の資格を有すると判断された者が

,学

校単独 もしくは複数の学校か

らなる教員養成連合体 に属 して 1年 間の養成 を受 け

,修

了後 に

QTSに

認定 される。初等学校では

1993年か ら

,中

等学校では1994年から導入 されている。 ③雇用ベース (empioymen←

based)の

ルー ト

学卒教師プログラムと登録教員プログラム (GRTP:Graduate Teacher Programme and Regis‐

tered Teacher Programme)が

あ る。これ は,「ラ イ セ ンス教H雨計 画 (Licensed Teacher

Scheme)0」 に代わつて1997年12月か ら導入された。24歳以上で

GCSEに

おいて数学 と英語でグレー ドC以 上の成績を持つ者が

,学

校 に未有資格教員 として雇用 されて

QTSに

つながるようにデザイン された個々の養成プログラムを受ける。登録教員 プログラムは養成のための助成金 を支給 される が

,給

与は支払われない。 以上の うち

,最

も一般的なルー トは① と②の高等教育機関で行われるルー トである。

SCITTや

GRTPの

ようなルー トの多様化は

,イ

ギリスで続 く教員不足③を最大の起因に

,保

守党政権時代の 高等教育への不信 もあったともされる③。このようなルー トの多様化による各機関の学生獲得競争 により

,教

員養成課程の養成の水準 を向上 させ

,そ

れが教師の力量向上 につながる とい う図式か ら

,保

守党政権の教育政策であった「選択 と多様性 (choice and diversity)」 をみてとることがで

(3)

鳥取大学教育地域科学部紀要 教育・人文科学 第

2巻

2号 (2001) 183

きるとい う高野 (1998)の考察・ °がある。 これはまさに

,ナ

シ ヨナル ・カリキュラム と評価テス ト の導入が もた らした もの と同 じ図式 なのである。

さて

,現

在 これ らの教員養成課程 を認可 してい るのは

,1994年

に設置 され た教員養成担当機 関

(TTA:Teacher Training Agency)で

あ る。そ れ まで の 約10年 は

,教

員 養 成 課 程 審 議 会 (CATE i Council for the Accreditation of Teacher Education)が お こなつてヤヽた。 この

CATE

に代 わって設置 された

TTAは

認可審査 を引 き継 ぎ

,加

えて教員養成課程への政府補助金の配分 も 担当することになった。補助金配分 に際 しては

,視

学機関である教育水準局

(OFSTED:Orice fOr

Standards in Education)の 視察報告 を参考 に している。つ ま り

,財

政権限 をもつ

TTAが

,教

員養 成課程の品質管理 をお こなうことを意味 しているのである。その背景 には

,教

育水準の向上のため には高品質の教師 を。う, とい う政府の意図がみえる。 ここに も

,ナ

シ ヨナル・カリキュラムと評価 テス トの結果公表 による学校 の品質管理 と同 じ構造がある。

(2

教員養成課程 に進 む学生数 ここで

,教

育雇用省 の教育統計か ら

,1996年

か ら1999年の過去

3年

間に教員養成課程 に進んだ学 生数 をみてみ よう (表 1)。 初等教員養成では学士課程へ

,中

等教員養成では学卒後課程へ進 む学 生の割合が大 きい。ただ し

,初

等教員養成での学卒後課程 の割合が増加 しつつあ り

,学

士課程 との 差は

,中

等教員養成の場合 とは大 きく異 なる。 また

,上

で述べ た

3つ

のルー トの うち

,高

等教育機 関以外 または学校 中心 に行 われる教員養成課程へ進 む割合 も初等教員養成課程では増加 している。 これを教員養成ルー トの多様化の効果 とみることもで きる。 次 に同 じ統計か ら

,1997年

に教員養成課程 を4妖了 した者の うち

,教

職 に就いた割合 をみてみると (表

1)教

員養成課程に進学する概算人数 (単位 :人

]%は

小数点第1位で四捨五入) 1996/97 1997/98 1998/99 初等教員養成 学士課程 学卒後課程 (内数

)※

8,360(60%) 5,450(40%) (170)(3%)

(1%)

7,800(60%) 5,220(40%) (210)(4%)

(2%)

(実績 値) 7,430(57%) 5,640(43%) (370)(7%)

(3%)

(目標値) 合計 で12,650 (達成度103%) 中等教員養成 学士課程 学卒後課程 (内数

)※

2,580(15%) 14,260(85%) (370)(3%)

(2%)

2,650(16%) 14,260(84%) (460)(3%) (30/o) (実績 値) 2,200(14%) 13,140(86%) (410)(3%)

(3%)

(目標値) 合計 で20,355 (達成度75%) ※学校中心 または高等教育機関以外での養成課程 を示 し

,内

数の上段の

%は

学卒後課程 に進 む人数に対する割合 を

,下

段の

%は

初等教員養成 に進 む人数全体 に対す る割合 を示す。 出典 │つ距

E Sa4角

δ 「

6F五

つSCttTrOAr aθ βttθrs E/2が2辺♂βコ♂ 力

"益

99θ

Eddon

(4)

柿内真紀 :教育水準の向上をめざして (表2)1997年の教員養成課程修 了者 の うち教職 に就 いた人数 と割 合 (1998,3.31現 在) 全修 了者数 教職 に就 いた人数 学士課程 ルー ト4笏了者 学卒後課程 ルー ト修 了者 雇用ベ ースルー ト修 了者 10,590ノ( 17,690ノ( 800ノ ( 7,660人 (72%) 12,590人 (71%) 580人 (73%) ※パ ー トタイム を含 む。 また修 了後 の進路 が すべ て把 握 され て はい な

出典

:DfEE,ST4

γKデクИGδ OF Eつ」

CA例

りⅣ Cea昴 弱 I力∬βコJ,コ ♂ フ陶Fes■999Edition● Юヾ β′),The stationary Office,pp l併 22の表をもとに筆者作成 (表

2),上

3ル

ー トの どれ もお よそ

70%が

教職 に就 いている。 しか し

,一

方で学士課程 ルー ト の約

28%,学

卒後課程 ルー トの約

29%が

近い者は教職 に就いていないのである。 この数字 を

,高

野 (1998)が 算出 した1993年の4多了者の場合 (学士課程 ルー トで27。

8%,学

卒後課程 ルー トで

26.1%)

と比較 して も大 きな変化 はない。学卒後課程 では割合 は増 えてさえいる。教員不足のなかでのこの 原因には

,低

給与があげ られることが多い。か。 また

,教

員養成課程 に進学するには

,GCSE(中

等教育一般修了証

)の

試験 において

,英

語 と数 学でグ レー ドC以上 の成績 を有 していることが条件づけ られてい ることを先 に述べ たが

,実

際 にこ の条件 を満たす者 はどの くらいいるのだろうか。それを

,2000年

6月 に実施 され, 8月 に結果が公 表 された

GCSEの

結果一覧表か ら算 出す ると

,英

語では58.60/0,数 学では

49,2%で

あった(0。 この うち

,両

方 ともにグレー ドC以上の者の割合 を算出す ることは一覧表か らはで きないが

,約

半数 は 教員養成課程 に進 むことが困難 となるだろう。入 り口において も

,教

師 を目指す者 に対 してこれだ けの基礎的な学力の品質管理がなされていることになる。ただ し

,教

員養成課程 をもつ大学等が こ の基準 に不十分 な者 には相当のテス トを課す ことがで きるので

,道

は開かれてはいる。けれ ども, これを乗 り越 えるには

,教

師にな りたい とい う意志の強 さが問われることになる。

3.QTSで

求 め られている教師 と しての力量

教育雇用省は「

QTSの

ためのナショナル・スタンダー ド (National Standards for Qualined

Teacher Status)」 ,「教員養成ナシヨナル・カリキュラム■0」

,「教員養成課程の全 コースの必要条 項(Requirements for all courses of lnitial Teacher Training)Jを 制定 した「回状(circular 10/97)」 を1997年に出 した。 さらに「回状 (Circular)4/98」 で若干

,改

訂 され

,1998年

か ら実施 に移 さ れた。これらから

,教

員養成課程での養成が求められる教師の力量 を考察することができる。ただ し

,教

員養成ナシヨナル・カリキュラムについては冨田 (1999)の 研究が詳 しいので

,こ

こでは 「

QTSの

ためのナショナル・スタンダー ド」に注 目し

,さ

らに

,2000年

か ら実施 されることになつ たスキル・テス ト住9について述べることにする。 (1)「

QTSの

ためのナショナル・スタンダー ド」 「

QTSの

ためのナシヨナル・スタンダー ド」・ °か ら

,ど

の ような力量 を

QTSを

得 るのに求め られ

(5)

鳥取大学教育地域科学部紀要 教育・人文科学 第

2巻

2号

(2001) てい るの か をみ てい くこ ととす る。 内容 は大 き く

4つ

(A:知

識 と理解

,B:計

,学

習 指 導

,学

級 経 営

,C:監

,評

,記

,報

,応

答 説 明責 任

,D:他

の専 門的必 要条件

)に

分 け られ て い る。 ①

A:矢

日識 と理解

1.中

等教育の専門教科のためのス タンダー ド

2.初

等教育の教科ためのス タンダー ド

3.3∼

8歳

または3∼11歳コース履修者のための早期 (ナーサ リー とレセプシ ョン

)段

階の ス タンダー ド このセ クシ ョンでは

,上

記の3つに分 けて

,QTSに

認定 されるときに何 を修得 してい るべ きか について示 されている。た とえば

,中

等教育であれば

,教

科 については公営学校で義務化 されてい るナシ ョナル・カリキュラムの各教科の どのキー・ステージ (KS i key stage)t分 の知識が必要 と されているのか

,と

い う具合 にナシ ヨナル・カリキュラム と対応 させた記述が されている。9。 初等 教育ではナシ ョナル・カ リキュラム全体の 目的

,ス

コープ

,構

,バ

ランスを理解す ることが求め られている。 ここに1988年教育改革法 におけるナシ ヨナル・カリキュラム制定の教員養成課程への 影響 をみることがで きる。 初等 ・中等学校 ともに

,英

,数

,科

学 については,「教員養成 ナシ ヨナル・カ リキュラム」 が別 に設 けられている。同 じく

,教

科指導 における情報 コ ミュニケーシ ョン技術 (ICT:InfOrma―

tion and Communications Technology)に ついて も教員養成ナシ ヨナル・カ リキュラムが設け ら れてお り

,こ

れ らの知識 と理解が重要視 されてい る。 このほか

,宗

教教育 を専科 とす る者 (スペ シヤリス ト

)は ,宗

教教育のモデル,シラバスの詳細 な知識 を要求 してい る。 また,「専 門教科 に ついて

,生

徒が よ く間違 える点 を知 つてお くこと」,「教科 における生徒の学習は身体 的

,知

,感

情的

,社

会的な発達 によつて どれほど影響 を受ける ものなのかについて理解 してお くこと」 など, 生徒の学習過程への理解へ要求 も言及 され

,知

識 ・理解が単 に教科のそれに絞 られていないことが わかる。 ②

B:計

,学

習指導

,学

級経営

1.初

等教育の英語

,数

,科

2.初

等 ・中等教育の専門教科

3.中

等教育の英語

,数

,科

4.初

等・中等教育の全教科

5,3∼

8歳

または3∼11歳コース履4雰者のための早期 (ナーサ リー とレセプシ ョン

)段

階の ス タンダー ド このセクシ ョンは上記の5つか ら成 る。1∼ 3は,「教員養成 ナシ ヨナル・カ リキュラム」の英 語

,数

,科

,教

科指導 にお ける

ICTで

示 された学習指導 と評価 についての知 識 ・理解 と

,い

, どのようにそれを使 うのかを修得するようにと書かれている。 4は

,計

,学

習指導 と学級経営 に分 けて書かれている。 どのような点 に注意 して教 え

,学

級経 営 を してい くのか について

,か

な り詳細 に示 されている。 この部分 は

,QTSが

求 め る教 師像 を描 いていると言 える。簡約すれば次の ようになる。

(6)

柿内真紀 :教育水準の向上 をめざして 〔計画〕

a.生

徒が学習 において進歩 を遂 げるために学習指導 は,「

i.指

導の目標 と内容 をはっき りさせ, どの ように教 え

,評

価するのか明確 にす る」,「

ii.課

題 をクラスー斉

,個

人やグループ活動

,宿

題 を含めて編成す る」,「 iil.生徒 の学習への高い期待 を示す」,「

.生

徒の学習 目標 を生徒 にわ か りやす く明確 にす るJ,「

v.特

別 な教育ニーズが必要 な者

,優

秀 な者

,英

語が うま く使 えない 者 など

,さ

まざまな生徒がいることを自覚 し

,援

助 についての情報 を知 ってお く」 ことを考慮 し て計画する。

b.短

,中

,長

期 それぞれの授業の構造 を明確 にす る。

c.生

徒の評価 を次の授業や学習指導や計画 に効果的に活用す る。

d.生

徒の個人的

,精

神的

,道

徳的

,社

会的

,文

化的発達 に貢献す るような機会 を計画す る。

e,関

連する試験 の シラバスやナシ ョナル ・カ リキュラムの学習計画 をカバ ーす る ように考慮 す る。 〔学習指導 と学級経営〕

f.指

導 目標 に応 じた

,一

斉授業やグループ・個別授業 など効果的な学習指導方法 を用 いる。

g.し

つか りとした学習 と規律 を確実 に指導す るときには監督 し

,干

渉する。 h。 目的意識のある学習の雰囲気 をつ くる。

1.生

徒の行動 (behavlor)に は高い期待 を示す。

i.安

全 な環境 をつ くる。

k.生

徒 のや る気 を保 ち,「

i.教

科 に対 す る知 的 な好 奇心等 を刺激す る」,「

ii.教

科 の内容 に 合 ったアプローチ をする」,「

.概

,目

,ポ

イン トを押 さえた要約 などの要素 をうま く構造 化す る」,「 。適切 な教科専 門用語

,絵

や例 を用いてプ レゼ ンテーシ ョンをわか りやす くす る」, 「

v.わ

か りやすい指導 と実演 と的確 なペースの説明をする」,「

.場

面 に応 じた効果的な質問 をす る」,「v

.生

徒 の間違いにはよく注意する」,「

.生

徒 の発言 を注意深 くきく」,「

.テ

キ ス トやICTや学習材 を指導 目標 に応 じて適切 に選び

,活

用す る」,「

x.生

徒 が知識 と最大 限の機 会 を強化で きるようにするJ,「

xi.生

徒 の読み書 き能力

,数

的処理能力

,情

報 コ ミュニケー シ ョ ン能力 の基礎 的スキルな どを向上 させ るようにす るJ,「

xl,生

徒 の幅広 い教育 的発 達 の質 に貢 献す るような機会 をつ くりだすJ,「xili。 ジェンダーや

,文

化的・言語的背景の違い に関係 な く, すべ ての生徒 に高い期待 を示す」,「 x

.実

際の仕事 に関係 した事例 を使 いなが ら

,生

徒 の よ り 幅広 い理解 を発展 させるような機会 を提供す る」 ことを通 してすべての生徒 に関わ らせ るような 指導方法 を用いる。

1.特

別 な教育ニーズについての証明 とアセスメ ン トに関する実施規約等 について知 ってお く。

m.生

徒が教科 における知識 とスキル と理解 を確実 に習得で きるようにする。

n,自

分 自身の学習指導 を批判的に評価 し

,効

果的な改善 に活用する。 以上の うち,「計画」か らは

,目

標 を しっか り立 て

,授

業 を編成 し

,評

価 し

,フ

イー ドバ ック し てい くことが貫かれ

,そ

れを生徒がわかるように計画す ることが要求 されていることが わか る。 ま た

,生

徒への高い期待 を示す必要性 は「学習指導 と学級経営

Jで

も触れ られているが

,こ

れは「女 性だか ら

,労

働者階級だか ら

,移

民の子 どもだか ら

,障

害があるか ら

,あ

なたはここまでで よい」 といった教師の示す低い期待が

,イ

ギ リスの教育水準の低迷 を招いた一因 とされていることに関係 があると考 えられる。かつての上位

20%に

重点 を置いた教育 システムではな く

,中

,下

位 か ら全 体の底上げを教育水準の向上 につなげ ようとす るシステムヘの転換 とも言 えよう。 さ らに,「生徒

(7)

鳥取大学教育地域科学部紀要 教育・人文科学 第

2巻

2号

(2001) の個人的

,精

神的

,道

徳的

,社

会的

,文

化的発達 に貢献す るような機会 を計画する

Jは

,1988年

教 育改革法 において公営学校 でのカ リキュラム編成の必要条件 として記 された内容が生 か されてい る。 もう一つ,「関連す る試験のシラバスやナシ ョナル・カ リキュラムの学習計画 をカバーす るよ うに考慮する

Jと

い う記述は

,GCSE等

の試験 を意識 させ

,さ

らにナ シ ョナル・カリキユラムの確 実な実施 を示唆す ることになる。ナシ ョナル・カリキュラム導入以前 も

,中

等学校 では外部試験

(GCSEや

その前身の

GCE, CSEの

試験)のシラバスにカ リキュラム編成が左右 されていた とされ, 実質的 には各学校独 自とい うわけではなかったのだが

,こ

こではそれ を思 い出 させ る。 また

,ナ

ショナル・カリキュラムは評価 テス トの実施 と組み合 わせて考察することで市場原理の導入がわか ることは既 に別の拙稿°ωで も述べたが

,こ

こで もこの点 にも留意 したい。 「学習指導 と学級経営

Jで

,具

体 的な学習指導の組立 て方法が記述 されている。クラスの環境 や雰囲気づ くりには言及 しているが

,い

じめや不登校への対応 については言及 されていない。 さま ざまな背景 をもった生徒 に対応することは述べ られているが

,や

や学習指導 中心の記述 となってい る。他 に注 目してお きたいのは

,教

師が 自己評価 をす ることを求めている点である。 自己評価 の積 極的な活用がその 目的であることがわかる。 しか しなが ら, どの ような方法で評価するかが問題 と なって くる。それについては

,Cの

セクシ ョンで述べ られている。 ③

C.監

,評

,記

,報

,応

答説明責任 このセクションでは

,学

習目標がどのように達成 されたかを評価 し

,そ

の評価 を学習指導の改善 に用いることなど

,評

価の方法やその利用法

,評

価 にあたっての留意点が示 されている。また,

GCSE試

験のシラバスやナシヨナル・カリキュラムに示 されている達成 目標などについても知って お くように記 されている。さらに

,ナ

ショナル・カリキュラムのテス トのデータを含めて国家 レベ ルや地方 レベルや学校 レベルのデータがどのように生徒の達成目標を設定するために活用できるか についても知る必要性が記 されている。これらから

,評

価結果をいかに用いるかにやや重点がおか れた内容 となってお り

,そ

のために

,評

価の基準 となる

,ナ

シヨナル・カリキュラム等の達成 目標 の熟知が求められていることたがわかる。やはリナショナル・カリキュラムと評価テス トの実施の 組み合わせで考察することの必要性をここでも主張できる。 ④D。 他の専門的必要条件 このセクションでは

,教

師の専門職 としての義務や給与に関する法や

,人

種関係法 (Race Rela― tion Act 1976),性 差別法 (Sex Discrimination Act 1975)や教師の慣習法

,子

どもの福祉 に関す

る法などについての法的な知識 と理解を要求 している。また同僚たちと協働することや

,教

育学や 教科に関する研究の進展 に遅れをとらないように自分 自身の専門性の開発に責任 を持つことなども 求められている。このセクションの内容は教職を支え

,専

門職 としての自覚を促す ものと捉えられ る。

(2)ス

キル・ テス ト さて

,新

任教員 は採用後 の1年間

,導

入教 育 (induction)を 採用校 の先輩教員 か ら受 けるこ と になる。 この期 間が終了するまでに新 しく

QTSに

認定 された教 師たちはスキル・テス ト (数的処 理能カテス ト

)を

受けて合格することが必修 となった90。 2001年 5月 1日 以降に教員養成課程 を修 了予定の者 は

,QTS認

定前 に3つのスキル・テス ト(読み書 き能力

,数

的処理能力

,ICTの

テス ト)

(8)

柿内真紀:教育水準の向上をめざして の合格が義務づ け られ るようになる。 ここで

,TTAの

ホームページ伽)からこれ らのスキル・テス トの内容 をみてみることにする。 ①数的処理能カテス トの内容 暗算 (mental arithmetic) (例

)OFSTEDの

報告書 をみて

,す

ばやい計算がで きるか。 一般算数の使用 と応用 (例

)通

貨両替の際の換算

,予

算書作成の際の利用 などがで きるか。 統計数値の利用 と解釈 (例

)日

標設定やベ ンチ・マークのデータ解析 の際にグラフの利用や解釈がで きるか。

②読み書き能カテストの内容

スペ リング 文法 句読法 読解 ③ICTのテス ト 学校での専 門的利用のための情報機器 を使 つた情報収集 情報 (情報機器

)の

有効利用 プレゼ ンテーシ ョンでの情報機器の利用 コミュニケーシ ョンのための情報機器の利用 情報機器の操作 2000年 6月 に第1回 , 7月 に第2回の数的処理能カ テス トが実施 されているが

,1799人

(テス ト を受験することになっている者の

7.4%)が

未合格である°分。これに対 し

,TTAの

広報担当は,「難 しくしようとは思 っていない」 と語 っている。 また

,政

府 と

TTAは

このテス トの評価 を実際 に受 験 した者の協力 を得 て

,春

にも行 う予定であると発表 している。 これ らの読み書 き能力

,数

的処理 能力

,ICTを

教師に求め られる基礎的なスキル とみな した品質管理がスキル・テス トを通 して教員 養成課程の出口で も行 われることになる。児童・生徒 のカ リキュラム編成 において もこれ らに重点 が置かれ

,特

に初等学校での読み書 き能力

,数

的処理能力習得 は徹底 して図 られていることにも関 係する。児童や生徒 にとってのカリキュラム編成が教員養成のカリキュラム編成 をコン トロール し ている。

4.教

員 養 成 課 程 の コ ー ス構 成 事 例 さて

,各

教員養成課程では

,以

上を受けて

,実

際にどのような課程構成がなされているのだろう か。

PGCEコ

ース99を事例に考察 してみることにする。

PGCEコ

ースは

,中

等教育の教員養成がそ のほとんどを占める。 どの専門教科が開講されているかは

,各

大学によって異なる。それでは, シェフイール ド大学 とバーミンガム大学の

PGCEコ

ースの概略9°を比較 してみよう。

(9)

鳥取大学教育地域科学部紀要 教育・人文科学 第

2巻

2号

(2001) 189

PGCEコ

ースの期間の長さ

2大

学 ともに

,36週

のうち

,24週

を学校で

,12週

を大学で過ごすことになっている。24週を学校 ベースの養成に費やすのは

,前

述 した「教員養成課程の全 コースの必要条項 (Requirementt for al courses of lnitial Teacher Training)Jに 示 されているフルタイムの中等教育(36週

PGCEコ

ース)

の場合の最低限の長さである。最低限ではあるが

,こ

の長 さの適用が一般的に最 も多いようであ る。

②コースの構成

'

どちらの大学も4要素からコースが構成されているが

,そ

の内容はやや異なる。以下

,各

大学の

コース説明から要点を抜粋 してみる。

シェフイール ド大学〕

カリキュラム・ワーク

教育専門学習 (EPS:Educational and Professional Studies) 共同研究 学校 での実習 「カリキュラム・ワーク」 では

, 1つ

の教科 について指導方法

,学

習方法 を学ぶ。 シェフィール ドでは

,科

学 (バランスの とれた科学 (Balanced science)と 生物

,バ

ランスのとれた科学 と化学, バ ランスの とれた科学 と物理

),数

,英

,地

,歴

,現

代外 国語 の各教科 について履修す る ことがで きる。「精選 された内容 と指導ス トラテジーを含む授業計画」,「異 なる年齢

,異

なる到達 度の生徒の動機づけ」,「適切 な学習材 の創造 と選択」,「生徒の進歩への フ イー ドバ ックの集約」, 「学習の評価」,「異なる文化的背景 を持つ生徒の学習指導」,「ジェンダー

,人

,階

,身

体的障 害 に関係 な くすべてに開かれた平等 な機会の確実化」,「生徒の能力 にみあった学習活動」,「ナシ ヨ ナル・カ リキュラムにおける教科 の位置づ け」 に焦点 をあてて大学 で も学校 で もカ リキュ ラム・ ワークをおこなう。 さらにICTの学習 もお こなう。 「教育専 門学習(EPS)」のゼ ミナールは

,異

なる教科専攻の学生がいっ しょに受講す る。ゼ ミナー ル・プログラムの全体的な目的は

,学

生たちの

,教

科指導の直接的関心 を超 えた教 師の専門職的な 実践 についての自覚 と準備 を手助けす ることにある。テーマには

,カ

ウンセ リングとガイダンス, 生徒 の内面的な発達や個人指導 における役割

,人

格 ・社会教育 (PSE I Personal and Social Educa―

ion),学

習指導 と法律が含 まれる。 「共同研究」 では

,そ

れぞれの専攻する教科 またはクロス・カリキュラー・テーマに関す る

3,4

つの共同研究にグループで取 り組む。 「学校 での実習」では

,最

初 は初等学校 で授業参観す ることか ら始 まる。学校 での本格的な教育 実習は2つの期 間に分 けて異 なる学校で

,大

学 と学校 とのパー トナーシ ップに よつてお こなわれ る。 〔バーミンガム大学〕 専攻する教科の学習 専攻以外の 2コ ースを選択履修 学校全体に関わる問題 学校ベースの実習 バー ミンガムでは,「専攻する教科」 として

,英

,地

,歴

,数

,現

代外 国語

,体

,宗

教教育

,科

学 (生物

,化

,物

)を

履修できる。また「専攻する教科

Jに

加 えて,「2コ ースの

(10)

柿内真紀 :教 育水準の向上をめざして 選択履修」「学校全体 に関わる問題」 を履修す る。すべ ての教科ベースの活動 (work)│ま

,中

等教 育段階の生徒 に学習指導 をお こなうための高い レベルの能力 を身に付 けること

,さ

まざまな異 なる 文化的背景の生徒 と共 に活動す るための 自信 と手腕 を身に付 けること

,そ

して さまざまな年齢

,能

,興

,ユ

ーズをもった生徒 たちと共に活動することにチ ャレンジし続けることを目的 としてい る。 「専攻以外の2コ ースを選択履修」では

,

ドラマ

,カ

リキュラムを横断する読み書 き能力 と言語, 環境教育

,職

業教 育

,カ

リキ ュ ラム を横 断す る数 的処理 能力

,ICTと

学 習

,人

格・社 会教 育

(PSE),体

,シ

チズ ンシップ

,特

別な教育ニーズか ら

, 2つ

選択する。これ らの コースは

,専

攻教科を超えて教育の実践的な経験 を広げることを可能にする。 「学校全体に関わる問題」では

,広

い視野から教育や学校の特有の根1面をカバーする。このプロ グラムは,「学級経営」,「機会均等J,「特別 な教育ニーズが必要な生徒」,「評価」,「パス トラル・ ケアJ鬱),「ICT」 の 6つ のテーマがある。 比較するには材料が十分であるとは言えないが

,簡

易な考察をおこなうと

,シ

ェフイール ド大学 の「カリキュラム・ヮーク」はバーミンガム大学の「専攻する教科の学習

Jに

対応 し

,同

様 に

,「

教 育専門学習 (EPS)」 は「学校全体に関わる問題」に,「学校での実習」は「学校ベースの実習」に 対応 している。また

,シ

ェフィール ド大学の「共同研究」とバーミンガム大学の「専攻以外の2コ ー スを選択履修」は

,異

なる構成要素に見えるが

,教

科の枠組みを超えた学習・実践経験 を持つとい う目的は同 じである。シェフィール ド大学では専攻教科の異なる学生でグループを形成することに よって

,グ

ループごとに異なった教科の枠組みを超えた経験が創 り出されるのに比べて

,バ

ーミン ガム大学は具体的に選択コースを設けることに依っている。方法の優劣はここでは問題ではなく, 教科の枠組みを超えた経験 をどのように学生に与えられるのかは

,大

学内の環境や地域の社会的背 景の相違にも配慮 して考えなければならないことを指摘 してお きたい。 また

,両

大学 とも

,ク

ロス・カリキュラーや文化的背景の異なる生徒への対応や

PSEが

考慮 され た構成 となっている。さらに

,バ

ーミンガム大学では特別な教育ニーズが重視されているようであ る。これらは

,イ

ギリスが多文化社会であ り

,そ

れを日常の生活で少なくとも自覚 していることを 物語つている。クロス・カリキュラーに関する記述 について も

,上

述の「

QTSの

ためのナシ ョナ ル・スタンダー ド

Jで

もその用語 さえ触れられていなかったことや

,か

つてのカリキュラム審議会 が「全体 カリキュラム

Jに

おいて

,ナ

シヨナル・カリキュラムを補 うものとしてクロス・カリキュ ラーの役割が強調 されて も

,時

間的な余裕がないことを理由に実施が困難 に陥ったことを考 える と

,教

員養成課程ではことさら注 目すべ きことである。 5日 お わ り に 以上

,イ

ギ リスではどのようにして教師が養成 されるのか

,ま

たその教師はどの程度の力量を修 得することを要求 されているのかをみてきた。

QTSを

得 るために求められている ものをみると, そこでは徹底 して

,基

礎的な知識・理解・技量をつけた教師を養成 しようと意図されていることが わかる。それも

,ど

れだけ習得できたかを

,ス

キル・テス トによってチェックされ

,教

員養成課程 を開設する機関は

OFSTEDの

視学官調査 を受ける。 どちらもわか りやすい品質管理方法が採 られ ている。わか りやすいということは

,一

方でわか りやす くしなけらばならない根拠があ り

,何

かが 意図されていることにも注意 しなければならない。この構造を教育改革の全体像か らみると

,本

稿

(11)

鳥取大学教育地域科学部紀要 荻育 。人文科学 第

2巻

2号

(2001) 191

でも何度か言及 した ように

,ナ

シ ョナル・カリキュラム と評価 テス トによって児童 。生徒が何 をど れだけ習得す るのかを示 し

,教

師 も同 じような構 図で養成 されていることがわかる。 ともに

,教

育 水準の向上 を目指すために

,わ

か りやす く商品規格 を定め

,

どれだけ規格 にあっているかで品質管 理がおこなわれ

,水

準の向上への貢献がチェックされているのである。 また

,

ヨーロ ッパ統合 に伴 って

,職

業資格の統一が整備 されてい くことにな り

,そ

の際 に問題 と なるのは

,教

師の質である。 イギ リスで養成 される教 師の質は もはや

,イ

ギ リス内だけの問題では な くなって くる。現在

,QTSを

得 るルー トは

,イ

ングラ ン ドとウェールズ以外 で養成 された教 師 について もひ らかれてはいる90。 ところで

,QTSを

得 た後の採用 は

,各

学校 の学校理事 会が取 り扱 う。学校理事会 は親代 表

,地

方教育当局代表

,校

,教

員代表

,そ

の他で構成 されている。予算

,人

,カ

リキュラムについて 決定権 を持 つているため

,各

学校単位での公募 ・採用 がで きるのであ る。毎年

,春

か ら秋 にか け て

,タ

イムズ教育版 (TES:Times Educational Supplement)に は多 くの公募が掲載 されている。 教員不足が続いているためか

,そ

の折 り込み冊子 は厚 い もの となっている。教員給与 については, 雇用者 との契約で決め られるが

,そ

の際 には政府の示 した給与基準表 に基づ くことになっている。 また

,優

秀 な教師 を確保するため として

,能

力給 (performance pay)の 2000年 9月か らの導入が, 組合の大反対 を受 けなが らも決定 されている。 最後 に

,イ

ギ リスの教 師たちは一般的にどの ように評価 されているのかを世論調査か ら考察 して みよう。

GTCが

正式発足前の2000年 7月 にイングラン ドで行 つた面接世論調査9つでは ,「教 師の仕 事は高い技術 を伴 うと思 う」ついては

91%が

肯定,「もっ と教 師は尊敬 されるべ きだ」 については

78%が

肯定,「自分の子 どもの興味 に教師が良い判断 を している と信用 してい る」 については

82%

が肯定,「概 して教師は学校 で良い仕事 を している」 は

81%が

肯定

,と

かな り良い評価が下 されて いる。 これほど信頼度が高いのは

,子

どもが学校で何 をどれだけ習得 したのか をスクール・ リポー トや評価表で知 ることがで きるようになったことが貢献 しているのか もしれない。教育改革以前 よ りははるかに

,学

校 でお こなわれていることが親 たちには見 えやす くなっているのでは確 かであ る。世論調査 での厚い信頼 をよそに

,一

方では既述の とお り教員不足が続 き

,教

員養成課程 に進 む 学生は減少 している。 このギ ャップはなぜおこるのだろうか。それについて

,手

がか りとなる現職 の教師たちの声がある。それは

,現

職の教師たちは給与や仕事量

,限

られた出世 (career)の 機会 などに不満 を募 らせ

,新

採用 の教 師たちは自分 たちの給与 にが っか りし

,困

つた問題 だ とみてい る, とい うものである傷)。 給与問題 だけではな く

,教

師 とい う仕事の性質 をキャリア・ア ップを含 めて多角的に分析する必要があるだろう。それには

,

日本 の教員養成制度 との比較分析 も有効 か も しれないがそれは次への課題 としたい。 さらに付加すれば

,多

角的な分析の手助 けとなるのか どう か

,2000年

9月 に教職協議会 (GTC:General Teaching Council)が 発足 した。

GTCは

,教

師の登 録

,教

授方法や教員養成 などについて教育大臣への助言

,な

どを行 う。64名か らなるメンバーは, 教師が半数以上 を占め

,親 ,教

員組合の代表 も含 まれている。ス コッ トラン ドでは1965年か ら設置 されてお り

,イ

ングラン ドでは念願だったようである。今後注 目される

,教

員養成 を含めた教職 に 対す る

GTCの

活動が始 まろうとしている。 (注) (1)労働 党 の教 師 に関す る教育政策 は次 のグ リー ン・ペ ーパ ーが基本 になっている。

(12)

柿内真紀 :教育水準の向上 をめざして

教育雇用省 (DfEE:Department for Education and Employment), Tc,c・ /2θ郊/22θθ肋 ♂肋θ ttβ′7θコ″

〆 εね,コ』で,December 1998 閉 ナ シ ョナル ・カ リキュラムの制定 に関す る考察 については

,次

の拙稿 を参照 されたい。 「ナショナル・カリキュラム (英国

)研

究ノー ト∼DeaAng Reportに至る再検討の動向∼」,『〈教育と 社会〉研究』第4号

,一

橋大学 〈教育 と社会〉研究会,1994 「イングランドの学校カリキュラムの課題∼ナショナル・カリキュラム再検討及び改訂動向と関わつて ∼」『〈教育と社会〉研究』第5号

,一

橋大学 〈教育と社会〉研究会,1995 「イングランドのナショナル・カリキュラム制定過程における一考察∼政府の対応を焦点に∼」『〈教育 と社会〉研究』第 6号 。一橋大学 〈教育と社会〉研究会,1996 俗

)次

の3つ をあげてお く。以下の先行研究を補 うことが本稿の役割の一つでもある。 高野和子「イギ リスの教員養成の動向」,『変動期の教員養成』

,同

時代社,1998年 冨田福代「新 しい英国教員養成改革の動向」,『カリキュラム研究』第8号 ,日本カリキュラム学会, 1999 篠原康生「イギ リス」,『諸外国の教育改革』, ぎょうせい,2000年 (4)独立学校(independent school)の 教員 になるにはQTSは必要ではないが

,QTSを

求める学校 も多い。 (5)DfEE,Circular 4/98,Annexes,Requirements for All Courses of lnitial Teacher Training

さらに,1979年 9月以降に生 まれ

,か

,初

等学校 の教 員 を目指す者 は,さ らに科学関連 の教科で

GCSEグレー ドC以上が求められている。これ らの英・数・科学はナショナル・カリキュラムのコアの 3 教科であることか ら

,ナ

シ ョナル・カリキュラム実施 と教員養成課程改革 との関連が裏付 けられる。ナ

シヨナル・カリキュラムとの関係 については

,前

,冨

田 (1999)でも述べ られている。

16)ここでは

,DfEE,ST4 TrSttS OF五

3a4角

Na望

励θJs fr2ゴan♂β,ど 力物′θG F99フ E″所伽 微 ο】 伽ガ),The stationary Omce,p9およつ靖TA(Teacher Training Agency)のホームページhttp:〃

www

teachrtta,gov.ukか らHow can l be a teacher?(2000年 10月 15日現在)を用いて3ルー トに分けている。

(7)1989年か ら導入 された「ライセンス教師計画 (Licensed Teacher Scheme)」 では

,対

象 となるのは24 歳以上で

GCSE(中

等教育一般修了資格)に おいて数学 と英語でグレー ドC以 上の成績を持つ者で

,か

つ, イギリスの全 国制高等教育 を2年以上修了 している者である。 ライセ ンス教師は

,配

属 された学校 に2 年間勤務 し

,十

分 な成績で勤務 を修了すれば

,QTSに

認定 されていた。 (8)現在で も約4000以 上の教師のポス トが埋 まっていないと報道 されている。

TES(Times Educaional

Supplement),September 8,2000 ① 前出

,篠

原康生「イギ リス」

10

同前 住

0

前出

,高

野和子「イギ リスの教員養成の動向」は教員養成制度改革の多角的な考察がなされてお り詳 しい。本稿での考察 もこれに依拠するところがある。

12

同 じ統計か ら1998年 3月 現在のフルタイムの新採用教員の給与平均 をみてみると

,お

よそ15,000ポ ン ド(約250万 円

)で

あつた。これは

,男

女別

,初

等 ・中等別でみて も

,ほ

とんど同 じ額である。ただ

,額

自体 よりも

,仕

事量 に見合 っているか給与かどうかが重要視 されている。

op cit,,DfEE,ST4 TrSК

S OF ttD3a4蜀

り内r γb2oια6 frPダβ

tt」 β盟♂ フ乃んd′θθθ E″所伽 rpr9芽

前οコガ),p.24

131 GCSE Resultsin TES,August 25,2000

10

教科教育 における情報処理技術

,初

等および中等の英語

,数

,科

,に

ついて示 された。 10 DfEE,Addendum to DfEE Circular 4/98,Apri1 2000

161 DfEE,Circular 4/98,Annexes,National Standards for Qualined Teacher Status

19

ナショナル・カリキュラムは

5-16歳

を4つのキー・ステージ

(KS)に

分 けて

,各

教科でその内容が 示 されている。KSllま

5-7歳

,KS2は 7-11歳

,KS31よ11-14歳

,KS4は

14-16歳となっている。

(13)

鳥取大学教育地域科学部紀要 教育 ・人文科学 第

2巻

2号

(2001)

0

中等学校であれば

,KS3お

よび

KMの

レベルが もちろん要求される。

19

前出

,拙

稿 (1995)「イングラン ドの学校 カリキュラムの課題∼ナショナル・カリキュラム再検討及び

改訂動向と関わって∼」

90

スキル・テス トは

,グ

リー ン・ペーパーであるDfEE(1998),Tcattθ FS 122θθ肋ど 4/2θ 勤妙 プ

誠♂刀遁βで提言 され,DfEE,Addendum to DEE Circular 4/98,Apri1 2000で 実施が示 された。2000年5

月 1日 ∼2001年 4月30日にQTSの認定 を受ける者 に対 して,2000年 6月 に第 1回 数的処理能カ テス トが 行われた。テス ト時間は45分 間。

90 htu〃

www,teach tta gov.uk/skllstests/(2000年 10月 15日現在)

9D TES,August 25,2000に よると,まだ722人 が未受験で,664人が再受験 していず,363人が2回とも不 合格だった。受験チヤンスは全部で5回である。 90 100を超 えるコースが主 に大学で提供 されている。httpノ/www,teachita,gov.uk/teach/(2000年 10月15 日現在)

90

コース内容は各大学のホームページか ら収集 している。2つの大学は

PGCEの

ページに,こ こでの比較 要素 (構成内容

,教

職専門に関する学習

)が

含 まれているため

,比

較対象 に選んだ。シェフィール ド大 学 (httpノ/www shetac.uk/),バ ー ミンガム大 学 (httpノ/www.edu bham.acruk/)。 (2000年10月 15日現 在)

90

生徒 を教育的

,個

人的

,社

会的な全面か らケアをする。たとえば

,教

育相談

,進

路相談

,PSEな

どで ある。

TF2θ上ガβθた7e//L働/2どう09/f9rEdlrε2廟οヵ,BIackwell,1995

90 Teachers trained outside England&wales,from httpプ /www teach― tta.gov uk/teach/(2000年 10月15

日現在)

99 4ど財 yJθd釣7″・Js先2誠θぉ 手θ Ptrttjじ

の カイ伽 δ″yθ/RθsLFyぉ,2000 90 TES,August ll,2000

(2000年10月 19日受理)

Towards Raising Standards in Education in England ― Initial Teacher Training under the Education Reform― ―

KAKIUCHI Maki

Abstract

ln England,the radical education reform has intrOduced since 1988 when education reform bill was enacted.Under this reform,the National Curriculum has implemented in maintained schools. This means that the essential role of teachers is changed from designing the curriculuni to hOw to teach the National Curriculumo With having views upon this issue,in this paper,I try to dis― close a part of the education refOrln in England,by considering abilities that are reQuired tO get Qualined Teacher Status(QTS)at the end Of initial teacher training(ITT).

This paper is cOmposed of fol10wing 4 main sectiOns:

1. ITT system

(1)The Outline of the system

(2)Analysis from the number of pupils who enter the ITT cOurse 2. Abilities that are required to get QTS

(14)

柿内真紀 :教育水準の向上をめざして

(2)Skill tests

3, E=amples of PGCE couttes wih a comparaive perspecive

4, C6nclusion

ln condhiOn,I pOint out following things.FiFStly,the structure Of ITT is highly co4trolled by entrance requirements,natonat standards for QTS and ITT national curriculumi and lskill tests, which are prov ed for dear targets to raise standards in education,This works as well益 the nadonal curriculum and he asSettment ieSt for puptti Secondly,the quality of teaching ttill be・ comes the issue beyond Englana under he European unity.It has also an induence on ITT in England ln additiOn to above, accOrding tO the public OpiniOn pol, people`attitudes tOwardS teachers are very gooi but shortage of teacheFS haS Stll been a big prOblem,Itる important to consider teaching prOfessbn fron different ewpoint,foF example,cOmparing win that of Ja― pan.And the rOle of GeneFal TCaching Council(GTC)set up in September 2000 also mutt be noted.

参照

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