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1 営業秘密の該当性 2 禁止される侵害行為 (1) 意義ある情報が 営業秘密 ( 法 2 条 ) に該当するとき 営業秘密の本質は一種の情報であるところ 当該秘密情報を侵害する行為として 以下の場合が 情報の自由な流通 は 民主社会の根幹をなす重規定されています ( 法 10 条 1 項各号 )

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Academic year: 2021

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近年、日本では知的財産権の保護に関連し、営業秘 密に対する保護の重要性が注目されていますがi、こ うした営業秘密の重要性は、諸外国においても同様に 当てはまりますii。そして、「営業秘密の侵害に対す る厳罰化」という国際的な立法の趨勢等を背景として、 台湾(中国大陸とは法制度が異なります)においても、 2013 年に刑事罰を新設する内容の法改正が行われま した。そこで今回は、営業秘密に関する単行法も有す る台湾の法制度・実務についてご説明します。 第1 はじめに 営業秘密の保護を内容とする法令のうち、その中 心となる法令は、営業秘密法(以下、「法」とい う)です。同法は全 16 条から構成されますが、 1996 年に制定された後、2013 年に一度、改正を 経ています。営業秘密法の立法目的は、「産業倫理 と競争秩序を維持し、社会公共の利益を調和する」 点にありますので(法 1 条)、その性質上、競争 法に位置づけることも可能ですが、法令の管轄は経 済部知的財産局により行われています。 日本と同様、台湾にも特許法、商標法、著作権法 等の知的財産権法が存在し、これらが当該権利に係 る情報を公開し、権利を取得する点に本質があるの に対し、営業秘密は登録・登記を経ることなく、非 公開の情報として保護を図る点に本質があります。 第2 問題となる事案の類型 営業秘密に関する問題を理解する手段として、 経済部知的財産局の資料iiiが有用であるところ、同 資料によると、重要な裁判例として大きく以下の 4 つに分類されます。 ①国内漏えいの事案 例:離職する従業員が、業務で知り得た秘密を私用ア ドレスに転送し、この秘密を転職先で利用したケー ス(秘密漏えい罪等により有罪) ②国外漏えいの事案 例:携帯電話の設計を事業内容とする会社の設計士ら が、国外の携帯電話業者と通謀し、社内の製品に関 するユーザーインターフェイス、パネルインターフ ェース等の重要な情報を持ち出そうとしたケース (営業秘密法における秘密漏えい罪(法 13 条の 2)等による訴追) ③仮処分による予防措置を内容とする事案 例:A 社で 10 年以上の職務経験を有する研究開発部 門の長が、海外の B 社に引き抜かれたことから、A 社は同社の営業秘密が漏えいされることを恐れ、元 従業員である長に対して、予防措置を目的とする仮 処分を申し立てました。これに対し裁判所は、元従 業員による B 社への転職は認めるものの、同人が A 社に秘密保持義務を負うことを理由として、営業 秘密の漏えいを禁じるほか、A 社の研究開発部門の スタッフに関する資料の提供や引き抜きを禁じる旨 の判断を下しました。 ④競業禁止条項の合理性判断を内容とする事案 例:A 社のフラッシュ設計部門の責任者甲が、同社を 退職するに際し、退職時から 1 年間、A 社と直接・ 間接に競争関係に立つ業務に従事することを禁じ、 これに反した場合には、損害賠償義務を負う旨の合 意を締結しましたが、甲は禁止期間中に、同業他社 B 社に転職しました。判決では、禁止期間、禁止さ れる業務の内容、及び、甲が A 社と B 社で扱う製 品の内容等を検討のうえ、両者の合意の中で定めた 金額(転職先で受け取る給与の 2 倍の金額)につ いて、A 社による損害賠償請求を認めました。 第3 営業秘密法の概要 ある情報が法で定める営業秘密に該当する場合 (後述1)、これを侵害する一定の行為が禁止さ れます(後述2)。侵害行為に対しては、民事上 の救済(後述3)と刑事罰(後述4)が存在し、 侵害行為が予想される場合の防止措置として、民 事上の手段(後述3(1))も規定されています。 また、営業秘密法は特別法に位置付けられます ので(法 1 条)、法に定める営業秘密に該当しな い情報については、私法の一般法である民法等に よる保護の可能性があるほか、契約の相手方との 契約関係を通じた保護が考えられます(後述第 4)。これらを踏まえ、保護の仕組みについては、 以下の図のとおり整理されます。 【保護の仕組み】 台湾における法令の最新動向 ~営業秘密に対する保護 民事上の救済 (後述3) 該当侵害行為の禁止 (後述2) 刑事罰 (後述4) 営業秘密 の該当性 (後述1) 該当しない 主として契約関係を通じた保護 (後述 第4)

海外法務ニューズレター(台湾) Vol.9

2014 年 7 月

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1 営業秘密の該当性 (1)意義 営業秘密の本質は一種の情報であるところ、 「情報の自由な流通」は、民主社会の根幹をなす重 要な要素といえます。他方、営業秘密として保護を 与えることは、「情報の自由な流通」を制限するこ とを意味しますので、その保護は一定の場合に限り、 認められるべきという判断が働きます(社会の公益 と情報所有者の利益の調和)。 そこで、営業秘密法により保護される「営業秘 密」は、「方法、技術、製造過程、調合方法、プロ グラム、設計又はその他生産、販売若しくは経営に 用いられる情報」(客体)であり、かつ、次の 3 つ の要件(保護要件)を満たすものを指します。 ①当該種類の情報に関わりのある一般の者が知るも のではないこと(秘密性) ②その秘密性により、実際又は潜在的な経済価値を 有すること(経済性) ③所有者が既に合理的な秘密保持措置を採ってい ること(合理的な秘密保持措置の実施)」(法 2 条) ①~③の保護要件については、それぞれ、日本法 における「非公知性」(①)、「有用性」(②)、 「機密管理性」(③)に相当すると言えます。 (2)類型 上記①~③の保護要件のうち、最も争いとなりや すい要件は、①秘密性の有無です。裁判例において、 企業内部の営業秘密は、「商業性営業秘密」(顧客 名簿・販売拠点・商品売価・取引の最低価格・人事 管理・コスト分析等)と「技術性営業秘密」(方 法・技術・製造過程・調合方法等)に分けられると ころ、両者の性質は異なる帰結として、「①秘密 性」に該当するための条件にも差異が生じることに なります。 この点、「商業性営業秘密」については、オープ ンソースから容易に知ることができるか否か、企業 が当該情報に対する整理・分析を行い、企業経営に おいて重要な情報となっているか否かが、秘密性の 有無を判断する上でポイントと考えられます。 他方、「技術性営業秘密」については、当該情報 たる技術が会社に専属し、同業他社はそれに近似す る技術を有していないか否かが、秘密性の有無を判 断する上でポイントと考えられます。 2 禁止される侵害行為 ある情報が「営業秘密」(法 2 条)に該当するとき、 当該秘密情報を侵害する行為として、以下の場合が 規定されています(法 10 条 1 項各号)。後述のと おり、当該機密情報が侵害されたとき、又は侵害さ れるおそれがあるときは、その具体的な態様に応じ て、営業秘密法に定める民事上救済が可能であり、 刑事罰の対象となります。 (1)①不正な方法により営業秘密を取得した場合 (同条 1 号) 一般に「経済スパイ」、「産業スパイ」と言われ る行為が、本号で規定される侵害行為にあたります。 「不正な方法」とは、「窃盗、詐欺、脅迫、賄賂、 無断複製、守秘義務違反、他人に対する守秘義務違 反の働きかけ、又はその他これらに類する方法」 (同条 2 項)を指します。不正な方法により営業 秘密を取得する者と営業秘密の所有者との間に、雇 用関係等の法律関係が存在することは求められてい ません。 (2)② ①の営業秘密であることを知りながら、又 は重大な過失により知らずに当該営業秘密を取得、 使用又は漏えいした場合(同条 2 号) 本号は、その者自身が不正な方法により、営業秘 密を「直接」取得したのではないものの、他者によ り不正に取得された情報である点に鑑み、営業秘密 の所有者の正当な利益を保護するため、当該営業秘 密の伝播・公開を防ぐ点に目的があります。故意 (営業秘密であることを知っている)、重大な過失 は、当該営業秘密を取得した時点で判断されます。 (3)③営業秘密を取得した後、それが①の営業秘密 であることを知りながら、又は重大な過失により 知らずに当該営業秘密を使用又は漏えいした場合 (同条 3 号) ②と同様、他者により不正に取得された営業秘密 について、営業秘密の所有者の正当な利益を保護す るため、当該営業秘密の伝播・公開を防ぐ点に目的 があります。②とは異なり、当該営業秘密を取得し た時点では、不正に取得された営業秘密であること を知らない(善意無過失)、又は知らないことに重 大な過失はない(善意軽過失)ものの、その取得後、 不正に取得された営業秘密であること知った、又は 重大な過失により知らない場合について、その使用 又は漏えいを禁じています。

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(4)④法律行為に基づいて取得した営業秘密を、不 正な方法により使用又は漏えいした場合(同条 4 号) 「法律行為」とは、雇用関係、委任関係等の契 約、又は代理権の付与等の単独行為を指します。 そこで本号は、被用者、受任者、代理人、取引の 相手方等の立場に基づき、営業秘密を正当に「取 得」したものの、当該営業秘密を不正な方法によ り「使用」又は「漏えい」する行為を禁止してい ます。 (5)⑤法令により営業秘密に対する守秘義務を負い ながら、当該営業秘密を使用又は理由なく漏えい した場合(同条 5 号) 本号では、正当な方法により営業秘密を知り、法 令上、守秘義務を負う立場にある者が、守秘義務に 反して、当該営業秘密を使用又は理由なく漏えいす ることを禁止しています。 3 民事上の救済 営業秘密が侵害されるおそれが存在する場合、事 前の救済方法として、侵害行為の防止請求が規定さ れています。第2の「③仮処分による予防措置を内 容とする事案」に見られるとおり、まずは仮処分の 手続きを通じて、防止請求の行使を図ることになる と考えられます。また、既に侵害行為が行われた場 合、事後的な救済方法としては、侵害行為の排除請 求、損害賠償請求権の行使が規定されています。 (1)侵害に対する排除請求・防止請求 営業秘密はその性質として、相当の独占性・排他 性を有することから、営業秘密が侵害された場合、 被害者はこれに対する排除を請求することができ、 営業秘密が侵害されるおそれがある場合、これに対 する防止を請求することができます(法 11 条 1 項)。損害賠償請求権(後記(2))が債権的効力 しか有しないとは異なり、これらの請求権は準物権 的な効力を有します。そのため、侵害者の故意・過 失は不要であり、客観的に侵害又は侵害のおそれが 存在すれば、その行使が認められます(具体的な損 害が生じることは不要)。また、訴訟上、訴訟外の いずれの方法による行使も可能です。 また、同法 1 項の請求権を拡張する権利として (単独での請求は不可)、被害者が侵害に対する排 除請求又は防止請求を行使する際、侵害行為により 作成されたもの又は専ら侵害するために用いられた ものについて、廃棄その他必要な措置を請求するこ とができます(法 11 条 2 項)。 (2)損害賠償請求権の行使 営業秘密の侵害により、その所有者等に損害が生 じた場合、損害賠償の法理に基づき、侵害者に故 意・過失があるときは、損害の填補を目的として、 被害者に損害賠償請求権が認められます。数人が共 同して不法に侵害した場合は、侵害者は連帯して賠 償責任を負います(法 12 条 1 項)。損害賠償請求 権の消滅時効については、①請求権者が侵害行為と 賠償義務者を知ったときから 2 年、②侵害行為が 行われたときから 10 年となります(同条 2 項)。 無体財産の性質を有する知的財産権は、有体財産 が侵害された場合に比して、損害賠償額の算定が困 難ですが、このことは営業秘密にも当てはまります。 そこで、算定の困難を軽減するため、以下の 3 つ の算定方法が規定されています(法 13 条 1 項各 号)。 ①被害者が受けた損害及び失った利益を上限とす る金額(民法 216 条の一般規定) ②「通常の状況下で営業秘密を使用することによ り、予期される利益」から、「侵害後に同一の 営業秘密を使用することにより得た利益」の差 額 ③侵害者が侵害行為により得た利益。この場合、 侵害者がコスト又は必要な費用を立証できない ときは、侵害行為により得た収入のすべてが利 益とされます。 また、故意による侵害行為の発生を減少させるた め、侵害行為が故意により行われた場合、裁判所は 被害者の請求に基づき、侵害の態様に応じて、実際 の損害額を超える(3 倍を超えない範囲において) 賠償金額を定めることができます(法 13 条 2 項)。 4 刑事責任 営業秘密の侵害といっても具体的な態様に応じて、 適用される可能性のある刑事罰の規定は異なります が、以下においては、その主たる刑事罰の規定につ いてご説明します。 (1)営業秘密法 冒頭に述べました国際的な立法の趨勢(営業秘密 の侵害に対する厳罰化)や、従業員の離職に伴う営 業秘密の持ち出しの事件が続いたこと等を背景に、 営業秘密の侵害に特化した刑事罰の規定が新設され、 2013 年 2 月 1 日より施行されました。現時点、同 法違反による裁判例が既に存在するほか、判決には 至っていないものの、起訴された事案が見られます。

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同法の施行後、十分な期間を経ていないため、同法 違反に基づく立件や裁判実務の動向については、今 後の運用、裁判例に着目する必要があります。 ①図利・加害目的による営業秘密の侵害(法 13 条の 1) 自己もしくは第三者の不法な利益を図るため、又は、 営業秘密の所有者の利益を侵害することを目的とし て、営業秘密を侵害する所定の行為ivを行ったとき は、5 年以下の有期懲役又は拘留に処し、ニュー台 湾ドル 100 万元(日本円約 350 万円に相当)以上 1000 万元(日本円約 3500 万円に相当)以下の罰 金を併科することができます(法 13 条の 1 第 1 項)。刑法における財産犯のうち、目的犯の多く犯 罪は未遂犯を処罰する規定を設けていることに鑑み、 本条の未遂行為についても処罰の対象となります (同条第 2 項)。また、この罪は親告罪です(法 13 条の 3 第 1 項)。 ②国外での使用を目的とする営業秘密の侵害(法 13 条の 2) 外国や、中国、香港又はマカオで営業秘密を使用す ることを意図して、営業秘密を侵害する所定の行為 vを行ったときは、1 年以上 10 年以下の有期懲役に 処し、ニュー台湾ドル 300 万元(日本円約 1050 万円に相当)以上 500 万元(日本円約 1750 万円 に相当)以下の罰金を併科することができます(法 13 条の 2 第 1 項)。台湾の外において営業秘密を 使用することを目的とする場合、台湾内の産業の国 際競争力に対する影響が著しいことに鑑み、前条 (法 13 条の 1)よりも処罰が加重されています。 前条と同様、未遂行為についても処罰の対象となり ます(同条第 2 項)。 (2)刑法 ①秘密漏えい罪(刑法 317 条) 法令又は契約に基づき、業務上、知り又は所持する 工商秘密に対する守秘義務を負いながら、理由なく、 当該秘密を漏えいしたときは、1 年以下の有期懲役、 拘留に処し、又はニュー台湾ドル 1000 元(日本円 約 3500 万円に相当)以下の罰金に処せられます (刑法 317 条)。この罪は、行為者が業務上、工 商秘密に対する守秘義務を負う場合に限られるため、 「経済スパイ」、「産業スパイ」のように、こうし た守秘義務を負わない者による行為には適用されま せん。 ②背任罪(刑法 342 条 1 項) 他人のために事務を処理する者が、自己もしくは第 三者の不法な利益を図るため、又は本人の利益を侵 害することを目的として、その任務に違反する行為 を行い、本人の財産に損害を与え、又は他人に利益 をもたらしたときは、5 年以下の有期懲役、拘留に 処し、又はニュー台湾ドル 1000 元(日本円約 3500 万円に相当)以下の罰金に処し、又は併科す ることができます(刑法 342 条 1 項)。 (3)公正取引法 脅迫、利益誘導その他の不公正な方法により、他 の事業の生産・販売に係る機密、取引相手の情報、 その他技術に関する秘密を取得する行為は、不公正 な競争に該当します(公正取引法 19 条 5 号)。そ して、事業者が不公正な競争に該当する行為を行っ た場合、公正取引委員会は、当該事業者に対し、そ の行為の停止、改善、又はその他必要な更正の措置 を講じるよう命じることができます(同法 41 条)。 しかし、これにもかかわらず、事業者がその行為を 停止、改善せず、又は必要な更正の措置を講じない とき等においては、2 年以下の有期懲役、拘留に処 し、ニュー台湾ドル 5000 万元(日本円約 1 億 7500 万円に相当)以下の罰金に処し、又は併科す ることができます(同法 36 条)。 公正取引法で禁止される行為は「秘密の取得行 為」に限られるため、秘密の漏えいや使用について は、規制の対象となっていません。不公正な競争行 為を行った場合、一次的には行政による取締りが行 われ、これが奏功しない場合は、刑事罰が科される 仕組みとなっています。 第4 営業秘密に該当しない情報等に対する保護 前記第3の1で述べた「営業秘密」に該当する 場合、当該情報は、営業秘密法による救済や刑事 罰の対象となります。法に定める「営業秘密」に 該当しない場合、法律に基づく民事上の救済とし ては、個々の事情に応じて、例えば、民法の侵権 行為(184 条~)等による責任追及の可能性もあ ります。 また、従業員や取引相手など契約関係に立つ者 との間viにおいては、個々の契約内容で保護される 情報の範囲を広く規定し、営業秘密法における 「営業秘密」に該当しない情報や営業秘密の「漏 えい」、「使用」等の立証が困難な場合も含めて 保護を図ることが可能です。例えば、会社と従業 員等との関係においては、入社時の秘密保持契約 の締結、営業秘密管理規程の作成、重要な営業秘

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【監修者】パートナー 弁護士 田中 亜希 【執筆者】 弁護士 安藤 勝利 (萬國律師事務所(台北市)にて実務研修中) 〘大 阪〙北浜法律事務所・外国法共同事業 〒541-0041 大阪市中央区北浜 1-8-16 大阪証券取引所ビル TEL 06-6202-1088(代)/FAX 06-6202-1080・1130・9550 〘東 京〙弁護士法人北浜法律事務所東京事務所 〒100-0005 東京都千代田区丸の内 1-7-12 サピアタワー14F TEL 03-5219-5151(代)/FAX 03-5219-5155 〘福 岡〙弁護士法人北浜法律事務所福岡事務所 〒812-0018 福岡市博多区住吉 1-2-25 キャナルシティ・ビジネスセンタービル4F TEL 092-263-9990/FAX 092-263-9991

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本ニューズレターは法的助言を目的するものではなく、個別の案件につ いては当該案件の個別の状況に応じ、弁護士の助言を求めて頂く必要が あります。また、本稿に記載の見解は執筆担当者の個人的見解であり、 当事務所又は当事務所のクライアントの見解ではありません。本ニューズレ ターの発送中止のご希望、ご住所、ご連絡先の 変更のお届け、又は本ニ ューズレターに関する一般的なお問合せは、下記までご連絡ください。 北浜法律事務所・外国法共同事業 ニュースレター係 (TEL: 06-6202-1088 E-mail: newsletter@kitahama.or.jp) 密を扱っていた従業員等とは競業避止義務契約vii 締結等が挙げられ、従業員等がこれらの契約・規 程に違反した場合は、懲戒処分、損害賠償金や違 約金viiiの支払義務を定めることが考えられます。競 業禁止義務に違反した従業員等に対し、会社が差 止めを求める仮処分につき、これを認める裁判例 もあります。また、取引の直接の相手方との関係 では、秘密保持に係る合意を行うことにより、営 業秘密法における「営業秘密」に該当しない情報 についても、契約関係を通じた保護を図ることが 可能です。 以 上 i 経済産業省の知的財産戦略室は、営業秘密の管理に対する一 連の情報が公開されているほか、 (http://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/trade -secret.html)、内閣府知的財産戦略本部の「営業秘密タスク フォース」が設けられ、活発な議論が行われている。 ii 日本・米国の法制度・実務を解説した最近の論文として、ヨ ーク・フォークナー・中村小裕・田中亜希「営業秘密保護強 化のための法制度に関する考察-主に米国実務を参考とし て」NBL1026 号 31 頁が有益である。 iii 経済部知的財産局編著「営業秘密保護実務教戦手冊」2013 年 12 月、本稿全体について、同資料を参照した。 iv 次の 4 つの行為が規定されている。 ①窃取、横領、詐欺、脅迫、無断複製、もしくはその他不 正な方法により営業秘密を侵害し、又は取得した後、さらに これを使用、漏えいすること(同項 1 号)、 ②自己が知り又は所持する営業秘密について、権限なく又 は自らの権限の範囲を超えて、複製、私用、又は漏えいする こと(同項 2 号)、 ③自己が所持する営業秘密について、その所有者より削除、 破棄するように命じられたにもかかわらず、削除、破棄をし ないこと、又は当該営業秘密を隠匿すること(同項 3 号)、 ④他人が知り、又は所持している営業秘密が、1 号から 3 号に係る事情があることを明確に知りながら、当該営業秘密 を取得、使用又は漏えいすること(同項 4 号) v ⅲと同様の行為が規定されています。 vi 契約関係にある当事者の間では、債務不履行に基づく責任 (民法 220 条)が生じる可能性があります。 vii 競業禁止を定める規定の有効性について、実務では一般に 5つの基準(①会社が固有の知識や営業秘密を保護する必要 性の有無、②元従業員の退職前における職務・地位の内容、 ③従業員が就業の制限を受ける対象(就職先の会社)・期 間・地域・業務の内容が合理的か否か、④元従業員に対する 代償措置の有無・内容、⑤元従業員の競業行為に明らかな背 信性があるか否か)が採用されています。 viii 裁判例では違約金として、元の会社を退職する前の一年間 の給与総額や競業禁止に違反している期間中に得た収入総額 の二倍を定める例が挙げられます。

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