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日本アスレティックトレーニング学会誌第 5 巻第 1 号 3-11(2019) 特集 < 腰部 体幹のアスレティックトレーニング > 体幹筋機能のエビデンスとアスレティックトレーニング 1) 大久保雄 : 体幹安定性, 筋電図, パフォーマンス 体幹筋は四肢に力を伝達するための土台であり, ス ポー

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<腰部・体幹のアスレティックトレーニング>

体幹筋機能のエビデンスとアスレティックトレーニング

大久保 雄

1) キーワード:体幹安定性,筋電図,パフォーマンス

Ⅰ はじめに

 体幹筋は四肢に力を伝達するための土台であり,ス ポーツパフォーマンスに関与することから様々な体幹筋 トレーニングが現場で行われている.さらに,腰痛治療 においても体幹筋機能が重要であることは広く知らてお り,2017 年に改訂された米国内科学会による腰痛診療 ガイドライン1)においても,慢性腰痛に対して最もエビ デンスのある治療法は『運動療法』である.そこで本稿 では,主に筋電図学的研究から基本動作や体幹筋トレー ニング時の筋活動様式を紹介し,運動パフォーマンスに 対する体幹筋トレーニングの効果をレビューする.

Ⅱ 体幹筋の分類(ローカル筋,グローバル筋)

 体幹筋は腰椎安定化作用における機能の違いから, ローカル筋とグローバル筋の 2 つに分類される2)(表 1). ローカル筋はいわゆるインナーマッスルであり,起始も しくは停止が腰椎に直接付着する筋と定義され,体幹深 部に位置し腰椎の分節的安定性を制御している.体幹筋 のみならず,関節の深部に位置する筋は関節に適度な緊 張を与え安定性を高める働きをしており,肩では回旋肩 板,膝では内側広筋,股関節では中殿筋がこれにあた  る3).一方,アウターマッスルにあたるグローバル筋は 脊椎に直接付着しない多分節間を横断する表在筋であ り,脊椎運動時のトルクを発生し運動方向をコントロー ルしている.多分節間を横断していることから張り網の ように作用し,胸郭から骨盤に力を伝達する役割を有し ている.この 2 つの筋システムが相互に作用することに より腰椎の安定性が増加し,体幹の剛性が高まる4)

Ⅲ 筋活動様式からみた基本的な体幹筋機能

 従来,体幹筋の機能向上には,腹筋・背筋運動を代表 としたグローバル筋に対する体幹筋トレーニングが行わ れてきたが,1990 年代からローカル筋機能の重要性を 報告した研究が多く発表されるようになった.その代表 的研究が,Hodges ら5, 6)によって報告された四肢運動時 の腹横筋フィードフォワード作用である.上肢挙上時に 腹横筋は主動筋(三角筋)に先行して活動し,体幹筋の 中で最も早く活動を開始する5).同様の結果が下肢の運 動でも確認されており6),四肢運動時に腹横筋は主動筋 よりも早く活動するフィードフォワード作用を有する. 我々の研究においても,ジャンプ動作時に腹横筋は外腹 斜筋や腹直筋よりも有意に早く活動し,蹴り出し期 (push-off phase)にて大きな地面反力を受ける準備段階 として働くことを報告している7)(図 1-A).以上の通り, 腹横筋は様々な動作において先行して活動する『Early  activity』によって,四肢への力の伝達や円滑な運動制 御をしている.  また,ローカル筋は歩行など負荷の低い反復運動や姿 勢制御を行う際には,低い筋活動量を保ちながら持続的 に活動する『Tonic activity』を有する.Saunders ら8) は,歩行速度を変えて体幹筋群の筋活動を評価したとこ ろ,遅い歩行速度ではグローバル筋(腹直筋)は活動し ていないのに対し,ローカル筋(腹横筋や内腹斜筋)は 歩行周期全体を通じて活動していることを報告してい る.  一方,ランニング8)など負荷の高い運動では,ローカ ル筋とグローバル筋は共同収縮を示す相かつ筋活動量が 著明に低い相の両者が混在する『Phasic activity』を呈 する.ジャンプ動作時の腹筋群においても,地面反力を 強く受ける push-off phase では全ての腹筋群の活動量が 共同収縮を示すが,空中の floating phase では筋活動量 が一気に低下する on/off のある筋活動様式を示した7)(図 1-B).  ローカル筋は上記 3 つの筋活動様式(表 2)が協調的 に作用することで,関節への負荷やグローバル筋の過剰 収縮を軽減していると考えられる.よって,体幹筋のア スレティックトレーニングでは,これらのローカル筋活 動様式を意識しながら運動処方することが重要となる.

特 集

1)埼玉医科大学保健医療学部理学療法学科,〒350-0496 埼玉県入間郡毛呂山町川角 981

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Ⅳ  体幹筋機能を向上させるアスレティックトレー

ニング

4.1 3 種類の腹筋群活動様式  体幹筋機能を向上させるための基礎トレーニングとし て行われているのが Draw-in(Hollowing)であるが, まず 2 種類の Draw-in と Bracing との違いについて解 説する(表 3).Draw-in は腹横筋の選択的収縮を促通 する手法であり,ゆっくり内腹斜筋の収縮が入らない時 点まで引き込ませる.この時,腹横筋は内腹斜筋の深層 を滑走するように収縮するため,触診部位(上前腸骨棘 の内側)では膨隆する感覚よりむしろ深層の腹横筋が横 方向に滑走していくことを感じる.  一方,腹部を最大限まで引き込んでいくと,後半は内 腹斜筋の収縮によって触診部位が膨隆し指が押し出され る感覚を感じる.これは内腹斜筋の収縮を含む Draw-in (Submaximal draw-in)であり,腹横筋および内腹斜筋 の共同収縮となる.Draw-in よりも収縮強度が上がるた め,Submaximal Draw-in は Draw-in の 次 の 段 階 の ト レーニングとして用いる手法と考えられるが,現場にお ける Draw-in と Submaximal draw-in の使い分けについ ては詳細な検証が行われておらず,今後の課題である.  Bracing は腹筋群全体の共同収縮を促通する手法であ り,腹部全体に力を入れて膨らませる.Bracing は体幹 の剛性を高めるトレーニングとなり,Draw-in や Sub-maximal draw-in よりも収縮強度は高くなる.体幹安定 性の向上には Bracing が有用であることが報告されてい るが4, 9, 10),これらの研究では脊椎全体を剛体モデル化し 『動かない=安定性』と捉えているものが多い.しかし, 機能的な体幹には安定性と可動性が共存すべきであり, 前述したローカル筋の Early activity や Tonic activity 表 1 ローカル筋・グローバル筋の分類 * 大腰筋は股関節筋として考えられ,ローカル筋に含まれない こともある 表 2 各筋活動様式の特徴 図 1 立ち幅跳び時の腹筋群のオンセット(A)と筋活動量(B)(文献 7 を一部改変) Toe-off を基準とした(0 秒)をしたオンセットにおいて,腹横筋は外腹斜筋,腹直筋よりも有意に早い(A).筋活動量では, Push-off phase で全ての腹筋群の活動量が有意に高いが,floating phase では筋活動量が低下する(B)RA : 腹直筋,EO : 外腹斜 筋,TrA : 腹横筋

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の中で大きな力を産生するグローバル筋が働く必要があ る.そのためには,ローカル筋の Motor control exer-cise から始めて,徐々に運動強度を上げていく段階的な 体幹のアスレティックトレーニングが重要と考える.

4.2 ローカル筋の Motor control exercise

 前述の通り,ローカル筋は Early activity や Tonic  activity による体幹筋活動の土台となるため,トレーニ ン グ の 初 期 段 階 と し て ロ ー カ ル 筋 の Motor control  exercise を行う.腹横筋に対しては,息を吐きながら腹 部を引き込ませる Draw-in を用いる(図 2-A).先行研 究により,Draw-in はグローバル筋(腹直筋,外腹斜筋) の活動が抑制された中で腹横筋の活動量が最も大きくな り,特に背臥位で下腹部のみを引き込ませることが腹横 筋の下部および中部線維の促通に有効であることが示さ れている11).また,片側性に腹横筋を促通する場合,促 通する側を下にした側臥位にて Draw-in を行う Side  draw-in が有用である(図 2-B).  多裂筋に対する Motor control exercise は,腹臥位や 四つ這い姿勢でゆっくり骨盤の前傾を促すよう運動させ る(図 3).この際,表層脊柱起立筋の過剰収縮を認め ず,下位腰椎の多裂筋の収縮が起きていることを触診に て確認する.  このような深部筋の選択的トレーニングは,対象筋の 神経筋反応時間を改善させることがシステマティックレ ビューにより明らかにされており12),腹横筋や多裂筋の Early activity を生み出し,機能的な体幹を作る土台と なる.実際に,Draw-in や多裂筋エクササイズがローカ ル筋の Early activity を改善し13, 14),腰痛再発予防にも 有効15)であったことが報告されており,トレーニング の初期段階として実施されることが推奨される. 4.3 Bridge exercise  Motor control exercise によりローカル筋機能を向上 表 3 3 種類の体幹筋活動様式の説明とエコー画像

Draw-in では腹横筋のみが滑走するように収縮し,Submaximal draw-in では内腹斜筋の収縮がメインとなる.Bracing は 全ての腹斜筋群が収縮している.

図 2 Draw-in(A)と side draw-in(B)

息を吐きながら腹部を引き込ませ,腹横筋の選択的収縮を促通する(A).side draw-in は側臥位で draw-in を行わせ,ウエスト を持ち上げるように指導する(B).

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させた後,機能的な体幹の剛性を高めるために Bridge  exercise が行われる.基本的な Bridge exercise として, Elbow-toe,Hand-knee,Back ridge,Side bridge があ り,各エクササイズに上下肢挙上を行わせて難易度を調 整する.我々はワイヤ電極を腹横筋および多裂筋に刺入 し,各 Bridge exercise 時の体幹筋活動様式を検証して きた.その結果,Elbow-toe が腹筋群の共同収縮,Back  bridge が背筋群の共同収縮,Hand-knee では 30~40%  MVC の腹筋・背筋群の共同収縮を示し,Side bridge で は支持側の外腹斜筋の活動量が特異的に大きかった16, 17) (図 4).つまり,Bridge exercise では床面に面してい る体幹筋群が抗重力位になることで共同収縮を示し,現 場で促通すべき体幹筋によってエクササイズを適切に選 択する必要がある.  また,Bridge exercise における上下肢挙上の筋活動 変化では,Elbow-toe にて,上肢挙上側と同側の腹横筋 と反対側の外腹斜筋の活動量が有意に増加した18)(図 5).よって,臨床現場において,Elbow-toe で右上肢挙 上が困難な場合,右腹横筋あるいは左外腹斜筋の機能低 下が疑われる.一方,Hand-knee での上下肢挙上では, 挙上した下肢と同側の多裂筋および反対側の脊柱起立筋 の活動量が有意に増加した18)(図 6).よって,Hand-knee 右上肢・左下肢挙上時に大きな代償動作が確認さ れる場合,左多裂筋あるいは右脊柱起立筋の機能低下が 疑われる.このように,Bridge exercise は体幹筋機能 不全の評価および促通の両者に利用することができる. 図 3 多裂筋の Motor control exercise

ゆっくり骨盤前傾方向に力を入れさせ,セラピストは下位腰椎棘突起の側面に指を置き,多裂筋の収縮を確認する(A). この時,脊柱起立筋に過剰な収縮が生じていないことは重要となる.エコー画像では胸腰筋膜の下にある多裂筋の筋厚が 厚くなっている(B)

図 4 基本的な Bridge exercise 時の筋活動様式(文献 17 を一部改変)

Elbow-toe では腹筋群の共同収縮,Hand-knee では中等度の腹筋・背筋の共同収縮,Back bridge では背筋群の共同収縮,Side  bridge では外腹斜筋の活動量が大きくなる傾向を示した.

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 Front bridge の段階上げとして,Hand-knee → Elbow-knee → Elbow-toe の順に負荷が上がる.そこで,3 つ の Front bridge 時 の 筋 活 動 量 を 比 較 し た と こ ろ, Elbow-toe で腹部グローバル筋(腹直筋,外腹斜筋)の 活動量が有意に大きかったのに対し,背筋群(脊柱起立 筋,多裂筋)の活動量は Hand-knee で有意に大きかっ た( 図 7). し か し, 腹 横 筋 の 活 動 量 は 3 つ の Front  bridge で有意差を認めなかった(Hand-knee:38.0± 33.5%MVC,Elbow-knee:37.5±34.1%MVC,Elbow-toe:46.9±41.2%MVC).様々な文献により,筋力強化 に必要な筋活動量の目安は 45~66%MVC 以上されてい るが19-21),neutral zone(わずかな負荷によって生理学 的椎間運動が生じる領域)において腰椎安定性を制御す るには 30%MVC 程度の活動量で十分であると報告され ている22, 23).よって,体幹安定性向上を図ったトレーニ ングでは,高負荷トレーニングを処方する必要はなく, 特にローカル筋機能に焦点を当てる場合は Elbow-toe の ような高負荷トレーニングではなく,Elbow-knee や Hand-knee などに一側四肢挙上を伴わせる特異的なト レーニングが有用となる. 4.4 筋筋膜経線に沿った体幹筋トレーニング  体幹筋を抗重力位にした Bridge exercise を習得した 後,より機能的な体幹筋機能を作るために,筋筋膜経線 を意識した体幹筋トレーニングを実施する.人体の筋肉 は筋膜で連結されており,あらゆる動作において共同的 に活動することで,体幹安定性を高める24).体幹前面で は,一側の外腹斜筋が反対側の内転筋へと前斜走スリン グによって連結されている25).前斜走スリングを促通す るには side bridge 姿勢を上側の下肢で支持する adduc-図 5 Elbow-toe での上下肢挙上による筋活動変化(文献 18 を一部改変) Elbow-toe では,左上肢挙上で左腹横筋,右上肢・左下肢挙上で右腹横筋と左外腹斜筋,左上肢・右下肢挙上で左腹横筋と右外 腹斜筋の活動量が有意に大きかった.つまり,挙上した上肢と同側の腹横筋が賦活化される. 図 6 Hand-knee での上下肢挙上による筋活動変化(文献 18 を一部改変) Hand-knee では,左下肢挙上で左多裂筋,右上肢・左下肢挙上で右脊柱起立筋と左多裂筋,左上肢・右下肢挙上で左脊柱起立筋 と右多裂筋の活動量が有意に大きかった.つまり,挙上した下肢と同側の多裂筋が賦活化される.

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tor side bridge が有効である(図 8A).  一方,背面の筋群では,一側の広背筋から腰背筋膜を 介して反対側の大殿筋へと後斜走スリングによって連結 されている25).この後斜走スリングの促通には,背筋運 動に対側の肩関節伸展と股関節伸展を伴うクロスモー ション背筋(図 8B)が有効である.また,前述の Hand-knee 対側上下肢挙上時における下肢挙上側の多裂筋お よび反対側の脊柱起立筋の共同収縮も背面の筋筋膜経線 に沿ったエクササイズとなる(図 6)18) .特に,Hand-knee は運動負荷が高くないため,高齢者などにも処方 することができる.

Ⅴ  体幹筋機能は運動パフォーマンスを向上させる

か?

 ここまで,筋電図学的な視点からの体幹筋機能や体幹 筋トレーニングを紹介したが,実際にこれらの体幹筋機 能が運動パフォーマンスと関連しているか否かを先行研 究からレビューする.Nesser の研究グループは腹筋群, 背筋群,腹斜筋群の持久性テストの total score を core  stability の指標とし,様々なフィールドテストとの関連 を検討した結果,垂直跳び,アジリティ,スプリント能 力に弱~中等度の相関を示したことを報告している26, 27) また Imai らは Elbow-toe, Side bridge の保持時間を体 幹筋機能の指標として評価し,持久力やアジリティと中 ~強い相関を認めたことを報告している28) .一方,Shar-rock ら29)は,Double leg lowing test(両側 SLR-90°の 姿勢から,腰部の圧を変化させずに両下肢を降ろしてい ける角度を測定)とパフォーマンスの関連をみた結果, メディシンボール投げの距離にのみ弱い相関を認め,ア ジリティやスプリント,ジャンプ能力には相関がないこ とを示した.以上の通り,体幹筋機能とパフォーマンス との関連について一致した見解が得られていないが,体 図 7 3 種類の Front bridge(右上肢・左下肢挙上)における体幹筋活動量

Elbow-toe では腹部グローバル筋(腹直筋,外腹斜筋)の活動量が有意に大きく,Hand-knee や Elbow-knee では多裂筋や脊柱 起立筋の活動量が大きい.一方,腹横筋は 3 種類の Front bridge の中で有意差を認めなかった.

図 8 前斜走スリング(A)と後斜走スリング(B)に沿ったトレーニング

Adductor side bridge では,上側の足で体重を指示し, 下側の腹斜筋群と上側の内転筋の共同収縮を促通する(A).一方,クロ スモーション背筋では,対側の上肢と股関節を伸展させ,広背筋と大殿筋を共同収縮させる(B).

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幹筋機能をある姿勢を保持する持久性テストにて評価し ている研究が多い26-28)ため,持久力との相関が強くな る傾向がある.  さらに,ここまで紹介した体幹筋トレーニングがパ フォーマンスに及ぼす影響を検証した介入研究も数多く 行われている.まずジャンプ能力に関する研究として, 9 週間の体幹安定性トレーニングが下肢筋力トレーニン グ同様に垂直跳びの初速を増加させることが報告されて いる30).Sharma ら31)は,バレーボール選手に対する体 幹安定性トレーニングによって,ブロックジャンプ高が 向上したことを報告している.我々の研究チームにおい ても,Bridge exercise を用いた体幹安定性トレーニン グが即時的にジャンプ効率を高める32)ことや,長期的 にリバンドジャンプ能力を向上させる33)ことを報告し ている.このように,体幹安定性トレーニングがジャン プ能力を向上させることを示した研究は非常に多い.こ れは前述した通り(図 1 参照),ジャンプ時は離地前の 腹 横 筋 の Early activity か ら 活 動 が 始 ま り,push-off  phase で腹筋群の大きな phasic activity が必要となる腹 筋群の筋活動様式が重要になることに由来している可能 性がある.また,ジャンプ能力だけでなく,体幹安定性 トレーニングが 5,000 m のタイム34)や Cooper 走(12 分 間走)の距離33)を向上させるなど,持久力に対しても ポジティブな結果を示す研究が多い.これは体幹安定性 トレーニングが一定時間姿勢を保持するトレーニング様 式であることが要因の 1 つとして考えられる.  一方で,体幹安定性トレーニングはパフォーマンスを 向上させないと報告している研究もある.特に,スプリ ント35)やランニング能力36)に対しては効果がないと報 告されており,ポジティブな結果を示した研究も少な い.また Jamison ら37)は,体幹のコントロール能力に おいても,従来のレジスタンストレーニングと体幹安定 性トレーニングの介入効果に差がないことを示してい る.  以上のように,体幹筋機能が運動パフォーマンスに及 ぼす影響について様々な見解が報告されている.その中 で 2008 年のシステマティックレビュー38)では体幹安定 性トレーニングがパフォーマンスを向上させるエビデン スはないと結論づけられていたが,近年のシステマ ティックレビュー39, 40)では「わずかなエビデンス」があ ることが示されており,徐々にその有効性が認められつ つある.「わずかなエビデンス」にとどまっている要因 として,体幹安定性を評価するアウトカムや体幹安定性 トレーニングの定義が標準化されていないことが挙げら れ,今後それらの点が明確になることで,より有用な体 幹筋トレーニングの考案につながると考える.

文 献

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(9)

Evidence of trunk muscle function and athletic training

Yu OKUBO1) 1)Faculty of Health and Medical Care, Saitama Medical University,   981, Kawakado, Moroyama, Saitama, Japan, 350-0496 Abstract    Adequate knowledge of trunk muscles is useful to provide the best possible treatment of  low back pain, as well as for improvement of athletic performance. Thus, trunk muscle exercises are  commonly performed and taught on the athletic field.   Muscle function in the neutral zone is important for trunk stabilization. Trunk muscles are classified  into a local and a global muscle system. The local muscle system includes deeper muscles with their  points of origin or insertion directly or indirectly on the lumbar vertebrae such as the transversus  abdominis and the lumbar multifidus. The global muscle system includes muscles that are not directly  attached to the lumbar vertebrae, such as the rectus abdominis and the external oblique muscles. Local  muscles play a key role in trunk stability and postural responses. Hodges and Richardson reported that  the onset of the transversus abdominis is earlier than that of agonist muscles (early activity) during  upper  limb  movement.  Moreover,  local  muscles  are  partially  activated  through  low-load  tasks  and  postural control such as with walking (tonic activity). In contrast, high-load movements such as running  and jumping lead to co-activation of local and global muscles (phasic activity). Adequate training to  achieve motor control of the local muscles using specific exercises is important to enhance optimal  activation of trunk muscles during various movements. Therefore, I explain progressive trunk muscle  training with electromyographic data from motor control exercise to bridge exercises and co-contraction  of the trunk muscles along myofascial line.   Many studies investigated the effects of core stability training on athletic performance. Some recent  systematic reviews revealed that core stability training provides marginal benefits to athletic perfor-mance. However, further research is necessary to better understand how trunk stability and stability  affect athletic performance.

図 2 Draw-in(A)と side draw-in(B)
図 4 基本的な Bridge exercise 時の筋活動様式(文献 17 を一部改変)
図 8 前斜走スリング(A)と後斜走スリング(B)に沿ったトレーニング

参照

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