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近畿地区で検出されたblaIMP-34を保有するプラスミド pKOI-34の解析

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Academic year: 2021

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別記様式第 6 号(第 16 条第 3 項,第 25 条第 3 項関係)

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

博士の専攻分野の名称 博士( 医学 ) 氏名 嶋田 徳光 学 位 授 与 の 条 件 学位規則第 4 条第 1・2 項該当 論 文 題 目

Complete nucleotide sequence of pKOI-34, an IncL/M plasmid carrying blaIMP-34 in

Klebsiella oxytoca isolated in Japan

(近畿地区で検出されたblaIMP-34を保有するプラスミド pKOI-34 の解析) 論文審査担当者 主 査 坂口 剛正 印 審査委員 志馬 伸朗 審査委員 横崎 典哉 〔論文審査の結果の要旨〕 【目的】現在、世界中の医療施設でカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)に よる感染が発生しており重大な問題となっている。広島県ではイミペネムには感受 性を示したが、メロペネムには耐性を示すステルスタイプの腸内細菌科細菌が確認 され、メタロ-β-ラクタマーゼ(MBL)遺伝子 blaIMP-6 が関与していることが判明し た。我々は近畿地区で分離されたステルスタイプを示す腸内細菌科細菌より新規 MBL である IMP-34 を見出し、それをコードする遺伝子 blaIMP-34がプラスミド上に 存在することを明らかにした。そこで blaIMP-34保有プラスミド pKOI-34 の塩基配列 決定および解析を目的とした。 【対象と方法】2004 年から 2010 年に近畿地区で分離された blaIMP-34を保有する K. oxytoca 2 株 ( MS5279 ・ MS5280 ) , K. pneumoniae 3 株 ( MS5284 ・ MS5285 ・ MS5286) を 使 用 し た 。 各 菌 株 か ら 大 腸 菌 BL-21 株 に 接 合 伝 達 し て 得 ら れ た transconjugant 株からプラスミドを精製した。配列決定には MS5279 株由来のプラ スミド pKOI-34 を使用し、次世代シークエンンサーで得られたドラフト配列に対 してPCR-based gap close 法で contig を連結して環状プラスミドの全配列を得た。得 られた遺伝子配列よりOpen Reading Frame (ORF) 解析後に、Blastp Program を用い た解析を行った。他の 4 株のプラスミドは pKOI-34 の遺伝子配列から 22 種類のプ ライマーセットを作成しPCR scanning 法にて比較解析した。

【結果】pKOI-34 は 87,343bp (GC content 53%, 104 ORFs)のプラスミドであった。複 製に関する蛋白 RepA のアミノ酸配列より IncL/M プラスミドに属することが判明 した。耐性遺伝子や Mobile element を持たないプラスミド pEL60 (60,145bp)が IncL/M プラスミドの祖先と考えられているが、pKOI-34 は pEL60 に類似した基本

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骨格に2 個の Mobile element (8.8kb, 19.5kb)を有した構造であった。前者はトランス ポゼース tnpA, tnpR と砒素耐性遺伝子群を含む遺伝子群であり、19.5kb Mobile element はトランスポゾン Tn21 に類似した構造に加え、その両端に挿入配列 IS4321R を含んでいた。トランスポゾン Tn21 はトランスポゼース Tn21 tnp と水銀 耐性遺伝子群mer より構成され、様々な薬剤耐性遺伝子の伝達に関連する可動性遺 伝子群として知られている。この Tn21 に類似した構造に様々な薬剤耐性遺伝子を 出し入れするインテグロン構造(In808)が組みこまれ、インテグロンカセットに blaIMP-34が存在していた。 他の4 株(MS5280, MS5284, MS5285, MS5286)に対して PCR scanning を行った 結果では 22 個のプライマーセットのうち 4 株と No3,4 のセットで増幅が得られ ず、配列解析の結果8.8kb の Mobile element が欠落していた。Multi Locus Sequence Typing(MLST)法による解析では MS5279・MS5280 は ST1771 に、MS5284・ MS5285・MS5286 は ST334 に属していた。 広域スペクトラムのβラクタム耐性を持つ多剤耐性 IncL/M プラスミドが世界中 で報告されており、これらは同様の基本骨格を持っている。pKOI-34 は日本で初め て報告されて多剤耐性を有する IncL/M プラスミドであった。これまで報告された 薬剤耐性 IncL/M プラスミドへの耐性遺伝子群の挿入部位を比較すると 2 ヶ所の hot spot があるが、pKOI-34 の挿入部位はこれまでの報告とは異なる部位であっ た。

【まとめ】薬剤耐性遺伝子 blaIMP34を保有するプラスミド pKOI-34 の全塩基配列を 決定し、それを解析した。pEL60 を基本骨格とした IncL/M プラスミドが様々なβ-ラクタム耐性遺伝子を獲得して腸内細菌科細菌に拡がっている。本研究では新規 MBL 遺伝子 blaIMP-34が接合能を持つ pEL60 骨格に挿入され可動性薬剤耐性遺伝子 として存在することを明らかにした。

以上の結果から本論文は、blaIMP-34を保有するプラスミド pKOI-34 は接合伝達能 を有するうえに、トランスポゾンやインテグロン構造を取り込みながら薬剤耐性遺 伝子の拡散に関与していることを明らかとした。

よって審査委員会委員全員は、本論文が嶋田徳光に博士(医学)の学位を授与する に十分な価値あるものと認めた。

参照

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