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(1)

放射光を利用したXRDラインプロファイル解析

~伸線加工パーライト鋼の転位キャラクター解析への応用~

放射光を利用したXRDラインプロファイル解析

~伸線加工パーライト鋼の転位キャラクター解析への応用~

東北大学 金属材料研究所

佐藤

成男

2014年2月14日

SPring-8

金属材料評価研究会(第9回)

-金属組織と加工・変形現象の解析-研究社英語センタービル

 はじめに

• ラインプロファイル解析の紹介

 実験室X線回折装置を利用したパーライト鋼のラインプロファイル解析

・加工率の変化に伴う転位密度の変化とそれに伴う強化機構の考察

 エネルギー分散型X線回折法によるパーライト鋼のラインプロファイル解析

BL28B2利用

 高輝度マイクロX線を利用したラインプロファイル解析

BL22XU利用

 まとめ

Outline

(2)

材料の力学特性(強度、延性、破壊、疲労等)、加工誘起変態、析出・・・・

転位、転位セル組織、転位dipole

等が関与

→ 転位の分布、密度の把握と諸特性とを関連づける研究

従来の転位の評価法

→ 電子顕微鏡による直接観察

→ ◎視覚的に形状、分布を評価

△転位密度の定量的な評価

・統計精度を得るには多大な努力を要する

・サンプリングに伴う転位の変化

・複雑な組織を持つ場合、転位を選択的に観察することが困難

異なるプローブによる転位の定量評価法が必要

→ X線回折におけるラインブロードニングは“サイズ効果”と

“転位などによるミクロひずみ効果”

→ 古典的な理論の限界

(どこまで正しいのか?)

→ 近年の理論による転位キャラクターの評価

(材料強度特性を議論できるのか?)

なぜラインプロファイル解析が必要?

塑性変形に伴う回折ピークの形状変化

40 60 80 100 120 103 104 2 for Cu K1 / deg Intensity / cps

純鉄(17%冷間圧延)

40 60 80 100 120 103 104 Inte nsity / cps

純鉄(熱処理材)

110

200

211

310

• 解析理論はいくつかある。 • どのピークを使えば良いか? • ピーク幅だけ注目すれば良いか?

塑性変形により転位導入

→ ラインブロードニング

(3)

古典理論の問題点

3 2 3 3 2 2 2 2 2 2 1 2 1 1 2 2 ) / ( sin ) / ( sin ) / ( sin ) / ( sin ) / ( sin ) / ( sin a s a s a s a s a s a s                          N N N F I I e

2 2 2

6 2N exp ( / )(Na) ( s) F I Ie     ラウエ関数をガウス関数で近似 Scherrerの式

   cos ) 2 ( D A B(A: Scherrer定数) ラウエ関数をガウス関数で近似する点や、 Scherrer定数の粒子形状・回折指数依存に 伴う誤差を許容すれば、ナノ粒子サイズの 解析においては比較的妥当な結果を導く。 Williamson‐Hallの式 そもそも転位を考慮していない。 金属組織の結晶粒内には転位によるミクロ ひずみを含むため、適用できない。 ただし・・・ * * d d d d    (d*: 面間隔の逆数) ブラッグの式( )より    2 cos * d * sin 2  d   sin 2    D A K 回折拡がりがサイズ効果とひずみ効果の和とすれば

ミクロひずみ() ミクロひずみを定数として単純化し、 試料間のミクロひずみを試料間で相対的に 評価可能 次の点を考慮していない・・・ • 結晶方位による弾性定数の違い • Burgers vectorと結晶方位の関係 • 転位配列によるミクロひずみの緩和 • ミクロひずみは転位芯からの距離の関数 ただし・・・ 0.0 0.2 0.4 0.6 0.00 0.04 0.08 0.12 0.16

400

200

111

222

sin(2



/2)/

K

(

cos

(2

/ 2) /



Cu合金(50%冷間圧延)のWilliamson-Hall plot

どの回折を解析に利用すべきか?

回折面により

ミクロひずみの

現れ方は異なってくる

※主な要因

→ 結晶面によるヤング率の違い

{111}面:158.2 GPa

{100}面: 96.8 GPa

(4)

b

k

k・b = 0

転位による回折ピークの拡がり : 小

b

k・b ≠ 0

転位による回折ピークの拡がり : 大

k

b : a/2<110> on {111} for FCC

考慮すべき転位によるひずみの異方性

screw

or 

edge ?

弾性定数

の異方性

回折指数ごとに転位のコントラストは変化

この特徴を解析すれば、転位キャラクターの精密解析が可能

∆ 0.9 2 ∙ sin 2θ 2 /λ

modified Williamson‐Hall

modified Warren‐Averbach method

modified

Williamson‐Hall method

modified

Warren‐Averbach method

∆ 0.9 π 2 2 2 1 2 ∙ ∙ C12 2C ln ≅ ln S π 2 2 ∙ 2∙ ln 2C 2C 2 A(L): real part of Fourier coefficients of structural profile L: Fourier length Re: effective outer cut‐off radius of dislocations AS(L): size component of Fourier coefficients K: breadths of diffraction peaks D: crystallite size T: constant depending on the effective outer cut‐off radius of dislocations b: modulus of the Burgers vector C: average contrast factor Ungar T., Borbely A., Appl. Phys. Lett. (1996) 69, 3173. ln ln 2 2 2 22 〈 2 2 4 ln C=Ch00[1-q(h2k2+h2l2+k2l2)/(h2+k2+l2)2] for cubic crystal らせん・刃状転位の割合より変化 c11, c12, c44の弾性コンプライアンスより算出

ミクロひずみの異方性を考慮し、

全ての回折を利用した解析法

ミクロひずみの異方性 → コントラストファクター:C

(5)

解析例:純鉄板(圧延率:38%):XRDパターン

‐0.06 ‐0.03 0.00 0.03 0.06 110 0.013 ‐0.06 ‐0.03 0.00 0.03 0.06 200 0.020 ‐0.06 ‐0.03 0.00 0.03 0.06 211 0.016 ‐0.06 ‐0.03 0.00 0.03 0.06 222 0.017

k  k

B

 / nm

‐1 (k = 2 sin/ ) 0 50 100 0.0 0.5 1.0

A

(L

)

110 0 50 100 0.0 0.5 1.0

A

(L

)

200 0 50 100 0.0 0.5 1.0

A

(L

)

211 0 50 100 0.0 0.5 1.0

A

(L

)

222

L / nm

XRDパターン

フーリエ係数

ピーク幅+ピークテール形状に基づく modified Warren-Averbach解析 ピーク幅に基づく modified Williamson-Hall解析

純鉄板(圧延率:38%):

0 5 10 15 0.00 0.01 0.02 0.03 222 211 200 K  /  nm ‐1 K / nm‐1 110

classical Williamson‐Hall plot

 ジグザグな変化

Reflection Contrast factor (Chkl) 110 0.121 200 0.284 211 0.121 222 0.066 転位の影響:大 転位の影響:小 0 1 2 3 4 5 0.00 0.01 0.02 0.03 222 211 200 K  /  nm ‐1 K<C>1/2  / nm‐1 110

modified Williamson‐Hall plot

 コントラストファクター補正による

放物線上にプロット

コントラストファクターによる

Williamson-Hallプロットの修正

(6)

L b R b L L X( )/ ( /2) ln e ( /2) ln 2 2 2

純鉄板(圧延率:38%):

modified Warren-Averbach法による

転位密度、結晶子サイズの解析

0 5 10 15 ‐1.5 ‐1.0 ‐0.5 0.0 200 211 222 L = 30 L = 25 L = 20 L = 15 L = 10 ln  A (L ) K 2<C> / nm‐2 L = 5 110

M < 1

M:転位の配列状態

M > 1

0 20 40 60 80 0.0 0.5 1.0 A S (L ) L / nm L = 72 nm 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 ‐0.0004 ‐0.0002 0.0000 X (L L 2 ln L = 1.8x1015 m‐2 Re = 4.6 nm M = 0.19 (M = Re * 1/2  ) ・転位dipole ・小角粒界 ・転位セル構造

転位密度:2x10

15

m

‐2 -0.2 -0.1 0.0 0.1 0.2 M = 1 Gauss = 0.011 Lrentz = 0.070 M = 0.2 Gauss = 0.001  Lorentz = 0.004 -Fe 110 reflection -0.2 -0.1 0.0 0.1 0.2 220 reflection M = 1 Gauss = 0.054  Lorentz = 0.017 M = 0.2 Gauss = 0.017 Lorentz = 0.022 k kB / nm-1 回折ピークの拡がりにも影響

転位の配置状態を表す

M

値について

M:転位ひずみ場のスクリーン効果の度合い M = Re・1/2 Re: 転位によるひずみ場の大きさ: 転位密度 M < 1 → スクリーン効果により、Reが小 M > 1 → スクリーン効果が小さく、Reが大 転位密度が等しい場合でも、 転位の配列状態によりラインブロードニングは変化する。 M<1の場合、ピーク幅は小さくなり、 Lorentz成分が大きくなる。

(7)

 はじめに

• ラインプロファイル解析の紹介

 実験室X線回折装置を利用したパーライト鋼のラインプロファイル解析

・加工率の変化に伴う転位密度の変化とそれに伴う強化機構の考察

 エネルギー分散型X線回折法によるパーライト鋼のラインプロファイル解析

BL28B2利用

 高輝度マイクロX線を利用したラインプロファイル解析

BL22XU利用

 まとめ

Outline

S. Sato, et al., ISIJ International, Vol. 53 (2013), 673–679.

パーライト鋼の伸線加工に伴う強化機構

 パーライトラメラ(ラメラ周期 : 数十nm)の

フェライトに導入される転位による加工硬化

 フェライト相の細粒強化

 セメンタイト相の分解に伴うフェライト相中の

炭素濃度の増加

転位、結晶子の定量評価 従来研究: 透過電子顕微鏡による定量化の試み セメンタイト-フェライトラメラの複相微細組織により、転位を 選択的に抽出することは難しく、その定量解析には課題がある。 本研究: XRDラインプロファイル解析による定量化 転位キャラクターの定量解析と サブグレインに相当する結晶子サイズをもとに粒径効果を評価 → 伸線加工に伴う強化機構を考察 金属組織写真集 鉄鋼材料編(日本金属学会)

(8)

試料名

C

Si

Mn

P

S

73C

0.73

0.19

0.50

0.021

0.0072

84C

0.84

0.21

0.75

0.021

0.0049

パーライト鋼試料の成分 (mass%)

パーライト鋼試料の加工量と機械的性質

試料名

原料径

(mm)

線径

(mm)

減面率

(%)

ひずみ

引張強さ

(MPa)

73C

5.50

5.00

17.3

0.19

1194

4.05

45.8

0.61

1370

84C

4.60

4.05

22.5

0.25

1412

3.20

51.6

0.73

1584

試料提供:

東京製綱/研究所

試料:炭素量、ひずみを変えたパーライト鋼

加工ひずみ増加 に伴う 引張強度の増加 共析点近傍の 2種類の組成 炭素の組成増加に 伴う引張強度の増加 転位キャラクターをもとに考察 40 60 80 100 120 0 2000 4000 6000 80 90 100 110 120 100 200 300 2 / deg 40 60 80 100 120 0 2000 4000 40 60 80 100 120 0 2000 4000 6000 8000 40 60 80 100 120 0 2000 4000 6000 310 220 211 110 80 90 100 110 120 100 200 300 400 80 90 100 110 120 100 200 300 400 80 90 100 110 120 200 400 600 73C – 0.19 strain 73C – 0.61 strain 84C – 0.25 strain 84C – 0.73 strain

X線回折パターン

 加工量の増加に伴いピーク幅 は増加する傾向  炭素量が多い方が、ピーク幅 が大きい傾向 ↓ 転位による結晶歪みの増加 and / or 結晶子サイズの微細化 ‐0.15 ‐0.10 ‐0.05 0.00 0.05 0.10 0.15 Normalized  intensity kk0 / nm‐1  73C‐0.19  73C‐0.61  84C‐0.25  84C‐0.73 Comparison of 310 reflections

(9)

Classical and modified Williamson-Hall plots

84C

0 2 4 6 0.00 0.04 0.08       Strain  0.19  0.61 310 220 200 211 110  K  /  nm ‐1 K<C>1/2 / nm‐1  0 4 8 12 0.00 0.04 0.08 310 220 211 200 K / nm‐1   K  /  nm ‐1 110 0 2 4 6 0.00 0.04 0.08       Strain  0.25  0.73 310 220 211 110  K  /  nm ‐1 K<C>1/2 / nm‐1  0 4 8 12 0.00 0.04 0.08 310 220 211 K / nm‐1   K  /  nm ‐1 110 Classical Williamson‐Hall Modified Williamson‐Hall

73C

Classical Williamson‐Hall Modified Williamson‐Hall  classical method はジグザグな変化  modified method によりほぼ線形的な変 化に修正される。  73C と 84C の 勾 配 を比較すると、84Cが より大きい ↓ 転位による結晶ひずみ は 73C よ り 84C が 大 きい傾向

modified Warren-Averbach method:73C試料での解析例

0 10 20 30 40 ‐3.5 ‐3.0 ‐2.5 ‐2.0 ‐1.5 ‐1.0 ‐0.5 0.0 310 220 200 L = 20 L = 16 L = 12 L = 8 ln  A (L ) k2 <C> / nm‐2 L = 4 (nm) 110 211 73C ‐ 0.19 strain 0 10 20 30 40 ‐3.5 ‐3.0 ‐2.5 ‐2.0 ‐1.5 ‐1.0 ‐0.5 0.0 73C ‐ 0.61 strain L = 20 L = 16 L = 12 L = 8 L = 4 (nm) k2 <C> / nm‐2 ln  A (L ) 310 220 200 110 211 切片:サイズ情報 勾配変化:結晶ひずみ ひずみ量の変化にかかわらず 切片位置は変わらない ↓ 結晶子サイズの変化小を示唆 ひずみ量の増加に伴い 勾配変化が大きくなる ↓ 結晶ひずみの増加を示唆

(10)

Specimen Strain Crystallite size (nm) Dislocation density,  (m‐2) Outer cut‐off radius of  dislocations, Re (nm) Dislocation arrangement parameter, M (=Re・1/2) 73C 0.19 69 2.74x10 15 8.1  0.42 0.61 70 4.05x1015 7.6  0.48 84C 0.25 55 3.82x10 15 6.8 0.42 0.73 53 5.48x1015 6.5 0.48

ラインプロファイル解析から求められたミクロ組織パラメーター

 ひずみ量0.7程度まで、結晶子サイズは 変化しない ↓ このひずみ領域において、結晶子サイズの変 化は小さいことを示唆  炭素の組成量が多いほど結晶子サイズが 小さい ↓ 結晶子サイズは炭素組成の増加に伴い微細化  約0.2の低ひずみでも1015 m-2オーダーの高 密度の転位が導入  ひずみ量の増加に伴い転位密度が増加  炭素の組成量が多いほど転位密度は高い傾向  炭素の組成量、ひずみ量にかかわらず転位の 配置パラメーターは変化しない。 ↓ 炭素の組成が変化しても転位の配置、dipoleキャ ラクターへの影響は小さく、単純に転位密度を大 きくする効果として作用する。

= 

0

d

SG





ss 

(cementite)

全強化量 微細効果:小 サブグレインサイズ変化:小 dislocation strengthening 転位密度に依存 solid solution hardening フェライト中の炭素量に依存

M

Gb 

1/2

M :  Taylor factor (3)

:  constant parameter (0.24)

G :  shear modulus (77.5 GPa)

b :  Burgers vector (0.248 nm)

:  dislocation density

試料名

引張強さの増加量

TS / MPa

転位密度増加による強化量



dislocation

/ MPa

73C

176

164

84C

172

156

パーライト鋼の強化メカニズムの理論式とそれに基づく考察

 引張強さの増加量は転位密度増加から見 込まれる強化量とおおよそ一致する。 ↓  転位密度の数値の妥当性を支持  ひずみ量0.7程度までのパーライト鋼強化 機構は転位密度の増加が支配要因となる。  セメンタイト分解に伴う固溶強化の効果は 小さく、セメンタイトの体積減少による強 度低下に相殺されていると推察される。 セメンタイト分解

(11)

X線回折ラインプロファイル解析により伸線加工を施したパーライト鋼の結晶子サイ

ズと転位キャラクターの定量化を試みた。得られた知見は以下の通りである。

 炭素の組成量が大きくなると結晶子サイズは小さくなる。一方、加工に伴うサイズ

の変化は小さい。

 炭素の組成量が大きくなると加工に伴う転位蓄積は大きくなる。

 ひずみ量0.2程度の小さい伸線加工でも10

15

m

-2

オーダーの転位が導入される。

 ひずみ量0.7程度までの強化機構は転位密度増加が支配要因となる。

実験室回折装置から転位密度を解析することは可能

ただし・・・

構造体内部、またその内部における転位密度分布を

解析するにはマイクロビーム・高エネルギーが利用できる

SPring-8の高輝度X線源が不可欠

 はじめに

• ラインプロファイル解析の紹介

 実験室X線回折装置を利用したパーライト鋼のラインプロファイル解析

・加工率の変化に伴う転位密度の変化とそれに伴う強化機構の考察

 エネルギー分散型X線回折法によるパーライト鋼のラインプロファイル解析

BL28B2利用

 高輝度マイクロX線を利用したラインプロファイル解析

BL22XU利用

 まとめ

Outline

S. Sato, et al., Mater. Character., Vol. 83 (2013), 152–160.

(12)

背景および目的

center surface surface plastic strain

伸線加工パーライト鋼

(用途:橋梁のサスペンションケーブル、タイヤのスチールコード、など)

ダイスとの表面摩擦 → 中心より表面側の塑性変形が大きい ダイスとの表面摩擦 → 中心より表面側の塑性変形が大きい 引き抜き方向 マイクロビームX線回折を利用した ラインプロファイル・残留応力解析 一方・・・ × マイクロビームによるX線フラックスの減少 × 複数の回折ピークが必要 測定位置あたりの測定時間が大きくなり、マッピング測定には不適

エネルギー分散型X線回折を利用した

ラインプロファイル-マッピング測定の開発とパーライト鋼への応用

目 的

ダイス 塑性ひずみの 直径方向分布 表面から中心への 転位形成、残留応力に分布 40 60 80 100 2 / deg

エネルギー分散型X線回折

  E : fixed

角度分散型X線回折測定

エネルギー分散型X線回折測定

: fixed  ○:良好な逆空間分解能 △:角度走査により長い測定時間 △ :角度走査に伴いゲージボリュームの変化 ×:検出器のエネルギー分解能に依存し、 逆空間分解能は低い ○:角度走査不要のため短い測定時間 ○:角度走査不要のためゲージボリューム固定 ラインプロファイル解析には不適切 回折角により分解能が変化することを利用し、エネルギー分解能の影響を制御 60 80 100 120 Energy / keV 一方・・・ X線反射率法では散乱角を 小さくすることで、 微細振動構造が再現

(13)

実験方法

●試料 組成:Fe-0.84%C-0.21%Si-0.75%Mn -0.021%P-0.005%S 伸線加工:真ひずみ: 0.25(φ4.60→φ4.06へ減面) 形状:φ4.06 mm棒状(長さ:3mmで切断) ●X線回折測定 ビームライン:BL28B2 @ SPring-8 (白色X線ビームライン) X線検出器:Ge半導体検出器 (GLP-16195/10P4, ORTEC) エネルギーキャリブレーション:LaB6粉末(NIST SRM660b) 光学系ラインプロファイル: LaB6粉末 ビームサイズ:60×600 m2 (残留応力解析) 100×600 m2 (ラインプロファイル解析) ‐Fe Fe3C 2 Specimen SSD

検出器エネルギー分解能

E → 逆空間分解能

k

0.08 0.06 0.07 0.05 0.03 0.04 0.02 310 220 211 200 110 110 200 211 220 0.01 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 50 100 150 200 Pb K } } } } 2

/ deg Energy / keV Pb K W K W K

hc

E

k

2

sin

/

2

sin

/

hc

E

k

2

sin

/

2 2 2

2

.

355

el

E

F

E

F: Fano factor

: pair creation energy

el

: electronic noise

E = 205 eV @ 5.9 keV

525 eV @ 122 keV

回折角が小さいほど 分解能は向上する  回折角が小さくなるとBragg反射は 高エネルギー側にシフト  50keV以下のX線は試料に吸収  光学系由来のPb, Wの蛍光X線が発生  150keV以上のX線フラックスは低下 2θ = 3.8°for 110, 200 2θ = 5.5°for 211, 220, 310

(14)

試料ラインプロフィルのデコンボリューション

0.0 0.5 1.0 measured profile instrumental profile sample profile 110 0.0 0.5 1.0 200 0.0 0.5 1.0 211 Normalized in ten sity 0.0 0.5 1.0 220 -0.3 -0.2 -0.1 0.0 0.1 0.2 0.3 0.0 0.5 1.0 310 k  kB / nm-1 測定位置:試料中心

fmeasured= fsample⊗ finstrumental fsampleのデコンボリューション

 Stokes法によるデコンボリューション

fmeasuredfinstrumentalのFWHMに大きな差が必要

→ 適用不可

 Voigt関数フィット

fmeasuredfinstrumentalのGaussian、Lorentzian項を

もとにデコンボリューション 測定プロファイルと装置プロファイルの差は小さいが、 Voigt関数を利用したデコンボリューションにより、 ラインプロファイル解析が可能 = ⊗

解析方法(残留応力)

●残留応力解析:3軸応力解析 測定回折:α-Fe 110反射 回折角:3.2°

測定方位:radial, hoop, axial directions

axial radial

hoop

k

S can direction for radial strain

Incident X

-ray 2

S can direction for hoop strain

Gauge area S ide view kk → S can direction for hoop strain S can direction for radial strain

S pecimen

S tage S can direction for axial strain

Incident X -ray S pecimen k → Top view Incident

X -ray DiffractedX -ray Gauge area

S can direction for axial strain

2

Axial direction

Radial and hoop directions

ヤング率:110= 223.5 GPa

(15)

残留応力の半径方向分布解析結果

 フェライト相には中心部軸方向において 700MPaの高い残留応力が存在する。  セメンタイト相には逆の残留応力が加わり (>1GPa)フェライト相との応力バランスを形成 している。  表面側のフェライト相の軸方向残留応力は中心 部の約半分である。 ラインプロファイル解析による転位密度の分布解析 から、残留応力との関係を議論 center surface center surface 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 -800 -600 -400 -200 0 200 400 Radial Hoop Stress / MPa r / mm Axial 0 1 2 -1500 -1000 -500 0 500 1000 1500 Radial Hoop Axial r / mm Stress / M P a

α-Fe

Fe

3

C

試料ラインプロフィルのデコンボリューション

0 10 20 30 -8 -6 -4 -2 0 310 220 200 211 111 l = 25 l = 20 l = 15 l = 5 ln A (l ) k2 <C> / nm-2 l = 10 0 4 8 12 0.00 0.03 0.06 0.09 310 220 211 200  / nm -1 k / nm-1 110 0 2 4 6 0.00 0.03 0.06 0.09 r = 0.0 (center) r = 2.0 (surface)  / nm -1 k <C>1/2 / nm-1 110 200 211 220 310

Classical Williamson-Hall plot

Modified Williamson-Hall plot

弾性異方性と転位との方位関係 によりジグザグな変化

コントラストファクターによる 補正より、放物線上にプロット

Modified Warren-Averbach plot

 Modified W-Hプロット 表面より中心位置の勾配が大きく、 中心位置における転位密度が大きい ことを示唆 勾配:転位密度とひずみ場の大きさ 切片:結晶子サイズ

(16)

結晶子サイズ分布、転位密度分布

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 45 50 55 60 65 70 Cryst all it e size / n m 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 1.2 1.4 1.6 1.8 2.0 2.2 2.4 Di sl oca ti on dens it y / 10 15 m -2 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 350 400 450 Vic k er s Hardness r / mm surface  結晶子サイズは最表面で大きい傾向にある。 ダイスとの表面摩擦によりワイヤ表面の温度上昇が生じ、 その結果、結晶子サイズの増加につながったと推測される。  転位による強化の寄与, : = MGb1/2

(M: Taylor factor, G: shear modulus, b: Burgers vector, : dislocation density)

転位による強化は770 MPaに達する。 中心部における高い残留応力700 MPaを許容  転位密度の分布は小さい。  Vickers硬度は均一であり、転位密度はほぼ一定であることを示 唆している。 center

エネルギー分散型X線回折の分解能が小角回折により改善され、ラインプロファイル 解析を実現した。 伸線加工パーライト鋼に本手法を適用し、得られた知見は次の通りである。  フェライトに形成される残留応力の特徴として、伸線方向に対する大きな圧縮応力 である。この圧縮応力は線材中心で最も高く、表面にむけて緩和する傾向を持つ。  結晶子サイズは線材中心より表面で大きい。これは加工時のダイスとの摩擦熱によ り表面が高温となり、回復が生じたためと推定される。  半径方向における転位密度分布と残留応力分布の相関は小さい。  線材表面から中心にかけての塑性変形量の違いにもかかわらず、転位密度の分布は 小さい。

メリット:構造体内部を探る力は極めて高い。

残留応力も評価可能。

デメリット:d-space分解能は決して高くはないため、

転位密度:小、結晶子サイズ:大の試料は不適。

(17)

 はじめに

• ラインプロファイル解析の紹介

 実験室X線回折装置を利用したパーライト鋼のラインプロファイル解析

・加工率の変化に伴う転位密度の変化とそれに伴う強化機構の考察

 エネルギー分散型X線回折法によるパーライト鋼のラインプロファイル解析

BL28B2利用

 高輝度マイクロX線を利用したラインプロファイル解析

BL22XU利用

 まとめ

Outline

微細粒のCeO2粉末からはデバイリングを測定できるが、 LaB6粉末からはリング状の回折を得ることができない。

背景および目的

エネルギー分散型X線回折ラインプロファイル解析

塑性変形量が大きい試料に対応

アンジュレーター光源と二次元検出器を利用した

ラインプロファイル測定・解析系の構築

平行度の高いマイクロビームを使用した場合、

装置プロファイルを定義する標準試料(LaB

6

粉末)

の粒径が大きいため、その回折を得ることは難しい。

目 的

課題

低ひずみ加工試料への対応

LaB

6

CeO

2

(18)

実験方法

●試料 組成:Fe-0.73%C-0.20%Si-0.47%Mn -0.012%P-0.006%S 伸線加工:真ひずみ: 1.39(φ5.50→φ2.74mmへ減面) 形状:1mm厚さに切断 ●X線回折測定 ビームライン:BL22XU @ SPring-8 入射X線 :30.036 keV X線検出器 :PILATUS100K ビームサイズ:200×200 m2 測定時間 :50 s/frame(5 frame※ 試料-検出器間距離:約 860 mm ※ PILATUS移動により-Feの 110~310反射を測定 ワイヤ試料を 1mm厚さに切断 測定位置を スキャン PILATUS (半径方向) PILATUS (軸方向) 試料ステージ 110 200 211 220 310 軸方向

装置プロファイルの算出方法

SPring-8で測定されるCeO2粉末のラインプロファイル:FCeO2(SP8) は ・SPring-8装置系のラインプロファイル:Finst(SP8)

・CeO2構造由来のラインプロファイル: FCeO2(struct)

のコンボリューション

 FCeO2(SP8) = Finst(SP8) ⊗ FCeO2(struct)

あらかじめ、 FCeO2(struct) を求めればFinst(SP8)が求められる。

実験室系XRD で測定されるCeO2粉末のラインプロファイル:FCeO2(Lab) は

・実験室装置系のラインプロファイル(LaB6粉末):Finst(Lab)

 FCeO2(Lab) = Finst(Lab) ⊗ FCeO2(struct)

の関係がある。

実験室系XRD装置で評価したCeO

2

粉末

(19)

デコンボリューション例

-0.05 0.00 0.05 0.0 0.5 1.0 measured instrumental structural 110 -0.05 0.00 0.05 0.0 0.5 1.0 200 -0.05 0.00 0.05 0.0 0.5 1.0 211 Intensity (a.u.) -0.05 0.00 0.05 0.0 0.5 1.0 220 -0.05 0.00 0.05 0.0 0.5 1.0 310 k kB / nm-1 SPring-8装置系プロファイルの主な拡がり要因 ・ビームサイズ(200 μm) ・試料厚さ(1 mm) これらの要素は、試料-検出器間距離(約 860 mm) より十分小さいため、試料の測定プロファイルに与える 影響は小さい。 低ひずみ加工試料に対するラインプロファイル解析が 可能であることを示唆 測定位置:試料中心

ミクロひずみのワイヤ半径方向分布

~ modified Williamson-Hallプロットからの考察 ~

R=1.37mm

r

中心より表面側で勾配減少 ↓ ミクロひずみ (転位密度 or 転位のひずみ場) 中心 > 表面側 塑性変形量(中心 < 表面)からの予想と矛盾 0 1 2 3 4 5 6 0.00 0.05 0.10 310 200 220 211 r = 0 mm r = 0.33 mm r = 0.66 mm r = 1 mm

K

/ nm

-1

K <C>

1/2

/ nm

-1 110

(20)

ミクロひずみのワイヤ半径方向分布

~ modified Williamson-Hallプロットからの考察 ~

R=1.37mm

r

0.0 0.5 1.0 1.8 2.0 2.2 2.4 Dislocation density / 10 15 m -2 0.0 0.5 1.0 0.5 1.0 1.5 M 0.0 0.5 1.0 45 50 55 C rystallite size / nm

Distance from the center / mm

半径方向の塑性変形量の勾配は

転位増加にはつながらず、

転位再配列を促す。

転位密度は変化なし 表面側で転位dipoleの発達 表面側で転位再配列に伴い 結晶子サイズの増大 転位密度 転位配列状態 結晶子サイズ

 実験室XRDにて構造プロファイルを定義したCeO

2

粉末を用いることで、

放射光装置由来のプロファイルを定義することが可能。

 伸線ワイヤ加工を施したパーライト鋼において、ワイヤ半径方向の転位

密度分布はほとんど生じていない。

 伸線加工に伴う半径方向の塑性変形量の勾配は転位の安定配置への再配

列につながる。

【2次元検出器を利用したXRDラインプロファイル解析の特徴】

 本研究の対象試料は切断により残留応力が解放 → 残留応力評価は不可

ただし・・・

 高分解能、かつ短時間で、転位キャラクターの精密解析が可能

(21)

まとめ

 ラインプロファイル解析理論の進歩により、材料強度特性を議論できる

転位キャラクター解析が可能となった。

 実験室XRDラインプロファイル解析:試料表面の情報

 放射光XRDラインプロファイル解析:

• 構造体内部の情報

• ハイスループットによるマッピング測定

• エネルギー分散型XRDでは残留応力の同時解析

※※※

ラインプロファイル解析の留意点

※※※

 ピーク幅のみに着目せず、

ピークテールの形状を正確に再現することが重要

S/N、S/Bに応じた測定条件を設定すること。

 Williamson-Hall解析の勾配増加は必ずしも転位密度増加を意味しない。

転位のスクリーン効果を念頭に入れること。

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