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Part 1 クルーから構成されるチームにより競技を行う 競技フィールドに立ち入りを許されるのは 正式にエントリーした学生 名のみで ピットクルーはバックヤードでの作業に限られる 大会出場に関する審査は 段階になっている 第 1に書類審査 第 に1 次ビデオ審査 そして最終段階には 次ビデオ審査があ

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Academic year: 2021

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Part 1

 特別寄稿

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はじめに

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技術系、特に機械系、電気電子系、情報系を目指し て大学へ入ってくる学生の中には、ロボット作りを するという目的を明確に持っている者が確実に存在 する。また、自ら何かを在学中に作りたいと意識して いる学生も多い。著者が在籍する京都工芸繊維大学 では、学生が主体となり教員のサポートを得て学外 の技術的な競技やコンペに参加し上位入賞(優勝)を 目指すためのす資金的支援を行う「学生と教員の共 同プロジェクト」制度がある。これを利用し、NHK大 学ロボコン(現 NHK学生ロボコン)への挑戦を目的 とした学生プロジェクト「ROBOCON挑戦プロジェ クト」を、2006年から開始した。本稿では、その経緯 と成果などについて紹介する。

京都工芸繊維大学 機械工学課程

とROBOCON挑戦プロジェクト

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本学は、1902年創立の京都高等工芸学校と1914 年創立の京都高等蚕糸学校を前身とし、1949年に新 制大学として発足した。学生総数は約2800名、大学 院を合わせると約4000名を擁している。本稿で紹介 する「ROBOCON挑戦プロジェクト」は、機械系の学 生が中心となって活動している。その学生の多くが 所属する機械工学課程は、機織工芸学科を原点とす る生産機械工学科と機械工学科が合併して現在の機 械工学課程に至る。 本学のROBOCON挑戦プロジェクトは、2006年 に当時の機械系学生有志が集まり、著者が教員代表 となって結成された。これ以前には、学生が個人的か つ散発的にチームを結成してロボコン活動をすると いうことはあったが、大学の支援を受けた正式な組 織的活動はなされなかった。本稿で紹介するプロ ジェクトは、NHK大学ロボコンに出場し優勝すると いう遠大な目標を掲げ、約40名の初期メンバーで活 動を開始し、2007年から正式に学生と教員の共同プ ロジェクトとして正式に認められた。設立当初から、 NHK大学ロボコン2007年大会を目標として準備を 進め、初出場を果すことができた。以来、7大会に出場 すると共に、特別賞を3回、デザイン賞を1回受賞、現 在も次年度の大会へ向けての活動を行っている。

NHK大学ロボコンについて

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NHK大学ロボコン(現 NHK学生ロボコン)はNHK (日本放送協会)とNHKエンタープライズが主催し、 これらが関わる他の2つのロボコン大会、高専ロボコ ン、ABUロボコン※1と並び日本を代表するロボコン 大会の1つである。第1回大会は1991年に開催され、 2001年の第10回大会までは海外からの参加も可能 であったが、2002年の11回大会以降はABUロボコ ンの日本代表選考会を兼ねて日本国内からの参加の みの大会として運営されている。2015年大会から は、参加資格が大学だけでなく高等専門学校(4、5年 生)および大学校にまで拡大された。 NHK大学ロボコンに出場するためには、同じ大学 に所属する学生3名と教員1名、そして3名のピット ※1 ABUロボコン: アジア太平洋放送連合が主催するアジア圏 の国際的ロボコン大会

ロボットコンテストを通しての

ものづくりへの取り組み

Part

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特別寄稿

京都工芸繊維大学大学院 機械工学系 准教授

澤田祐一

SAWADA Yuichi

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クルーから構成されるチームにより競技を行う。競 技フィールドに立ち入りを許されるのは、正式にエ ントリーした学生3名のみで、ピットクルーはバック ヤードでの作業に限られる。 大会出場に関する審査は、3段階になっている。第 1に書類審査、第2に1次ビデオ審査、そして最終段階 には2次ビデオ審査がある。第1段階の書類審査は、 エントリーシートにより行われる。審査は、開発体 制、作業環境・予算・安全対策、開発スケジュールと ビデオ審査時に見せるロボットの特徴・性能・技術 的根拠・ロボットの完成度・試合で勝つための戦 術・戦略に関して行われる。11月上旬に書類審査が あり、1月中旬に1次ビデオ審査、4月上旬に2次ビデ オ審査が行われる。1次ビデオ審査では、製作してい るロボットを用いてデモンストレーションを行い、 ロボットの特徴や技術的なアピールを行う。この時 点では必ずしも全てのロボットが完成している必要 はないが、動きは見せる必要はある。この審査によ り、30チームほどに絞られる。2次ビデオ審査では、 全てのロボットの完成度を示すデモンストレーショ ンを見せる必要があり、技術的に確実に機能するこ とを示さなければならない。ここで最終的に20チー ムほどに絞られ、6月の本大会出場チームが確定 する。 大会ルールは、毎年8月末頃にABUロボコン公式 サイト(http://www.aburobocon2016.com/)に掲 載され、9月上旬にはNHK大学ロボコン公式ページ (http://www.official-robocon.com/jp/daigaku/) に日本語版が掲載される。競技ルールは、ABUロボ コン開催国が発表し、これに従って各参加国で代表 選考が行われる。近年の競技ルールは、技術レベルの 向上と搭載可能なコンピュータやセンサ、アクチュ エータの性能向上もあって、大学生を対象としてい るものの非常に難易度の高い競技となっている。

NHK大学ロボコンへの挑戦

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本学のROBOCON挑戦プロジェクトは2007年大 会から参加しており、その2007年以降の戦績を表− 1に示す。2011年、2012年は、残念ながら本戦出場 を果たせなかったが、その2年間以外は出場を果たせ ている。NHK大学ロボコンに出場するためには、競 技を攻略するための戦略を策定し、その戦略を実行 できるロボットを設計、製作する必要がある。図−1 は、本プロジェクトの年間スケジュールである。競技 ルールが発表される8月末から、ルールの分析と戦略 を策定する作業に取り掛かり、その後、戦略に合わせ たロボットの設計に着手する。設計が完了した時点 で、策定した戦略とロボットの設計図を基にエント リーシートを作成し、NHKへ送付して書類審査を受 ける。11月から、1次ビデオ審査までの間にロボット の第1次試作を行い、一連の動作などを確認した上で 競技攻略が可能であることを示すビデオ映像を製作 して1次ビデオ審査を受ける。この間、年末年始を挟 む約2ヶ月間でロボットを完成させる必要がある。1 次ビデオ審査通過後、2次ビデオ審査までは約3ヶ月 あるが、この間に1次試作で明らかとなった不具合を 修正または設計変更して第2次試作を行い、2次ビデ 開催年 競技名 優勝大学 京都工芸繊維大学 戦績 2007年 ハロン湾の伝説 金沢工業大学 出場 ベスト8 2008年 ゴヴィンダ 豊橋技術科学大学 出場 予選リーグ敗退 2009年 旅は道づれ 勝利の太鼓を打て 豊橋技術科学大学 出場 予選リーグ敗退株式会社任天堂より特別賞 2010年 ロボ・ファラオ ピラミッドを築け 金沢工業大学 出場 予選リーグ敗退 2011年 ロイ・クラトンの火をともせ! 東京大学 1次ビデオ審査落選 2012年 平安大吉(ペンオンダイガ) 東京大学 最終審査不通過

2013年 THE GREEN PLANET 金沢工業大学 出場 ベスト8 ローム株式会社より特別賞 2014年 A SALUTE TO PARENTHOOD 名古屋工業大学 出場 ベスト8 NHKデザイン賞、トヨタ自動車株式会社より特別賞 2015年 ROBOMINTON:BADMINTON ROBO-GAME 早稲田大学 出場 ベスト16

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オ審査に備える。4月に2次ビデオ審査のための映像 を製作し、完全に全ての動作ができ、競技を攻略でき ることを見せ、戦略やロボットの特徴もアピールす る。無事に2次ビデオ審査に合格すれば、本戦出場資 格が得られる。以後、本大会までは細かな改良やロ ボット操作の練習が待っている。

ロボコン活動で得るもの

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前章で説明したように、NHK大学ロボコン出場ま での準備期間には、年末年始を挟みかつ学期末試験 もあるため、時間的に非常にタイトな時期である。時 間的な管理や金銭的管理、人的リソースの管理など、 社会に出てからも遭遇する問題を乗り越えていく力 が試される。また、技術的な多くの問題をクリアする ことをも要求されるため、持てる知識、技術だけでは 不足することも多い。その中で、学生がどのように問 題を解決しているかを紹介しよう。 2015年大会の競技ルールは、ロボットによるバド ミントンの試合を行うものであった。バドミントン のシャトルをロボットが振るラケットで打ち合うた め、自機の位置認識と共にシャトルの飛行軌道を測 定し落下点とその速度を推定すること、そして落下 点に自機をシャトル落下予想時刻までに移動させ相 手コートへ適切に打ち返すことが要求仕様となる。 これを実現するために必要な技術として、少なくと もモーター制御と駆動系のシステム設計、ロボット の構造設計、画像認識技術、自己位置推定技術、機械 加工・組み立て技術、回路設計技術、ソフトウェア技 術などが必要とされる。ロボットを製作する際に作 業を担うのは1年生から3年生までの学生であるが、 学年によってその知識レベルと技術レベルは大きく 異なる。本プロジェクトに所属する学生の多くは、1 年次の入学時点からの参加者が多い。1年生がプロ ジェクト参加直後にロボットの設計、製作経験を 持っているケースはほぼ皆無であるため、基礎的な 知識の習得と技術習得から始めることになる。ここ では、機械系の学生の場合に絞って説明する。大学入 学時点において、機械工学課程の学生は機械工学に 関する専門知識は持ち合わせておらず、1年次から3 年次にかけて機械工学分野の専門知識と技術を学 ぶ。しかしながら、ロボコン活動においては、ロボッ トを設計製作することを可能な限り早く始めること が求められ、正規カリキュラムよりも早い時点で幾 つかの技術(3次元CAD操作、旋盤・ フライス盤・ ボール盤などの基礎的機械加工技術、駆動系などの 機構や制御技術)を駆使することを求められる。学生 にとって、高いモチベーションを持ちながら正規カ リキュラムよりも早く知識や技術を習得すること は、なぜその知識や技術が必要なのかというFACTを 図−1 ROBOCON挑戦プロジェクト年間スケジュール

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背景に学び、後から正規のカリキュラムでその理由 や理論的基礎を学んで自身の体験や持っている知 識、技術の裏打ちをして確固たる専門知識を身に着 けるプロセスの起点となり得る。通常は、専門の講義 や演習を経てから学んだ知識や技術を、初めて使っ てみるというのが従来の工学教育のスタイルである が、それを逆にした形となる。ロボコン活動を経験し た学生は、卒業研究や博士前期課程進学後に携わる 実験装置の設計製作においては、他の学生よりも高 いポテンシャルを持っている傾向がある。 図−2は、2015年大会のために製作されたバドミ ントンロボットのアイデアスケッチから実機までの 設計プロセスと最終的に製作された実機の写真であ る。スケッチは非常にラフなものであるが、これを具 体的な機構と構造に落とし込み、3次元CADで設計 が行われた。3次元CADの図面では電子回路や搭載 コンピュータに相当する部分は書き込まれていない が、実機と同じ構造がCADで描きこまれている。こ の図から、部品単位の図面を描き起こし、学生自身が 学内の工場施設(ものづくり教育研究センター)で加 工し組み立てた。1、2年生の知識と技術習得は、プロ ジェクト内で上級生による講習会を開催して、上級 生から下級生への伝達が行われている。機械加工に ついては、通常2年生で加工実習を正規カリキュラム で行うが、これより早く加工ができるようになるた めに、ものづくり教育研究センター主催の一般学生 および職員向けの技術講習会を受講することで、加 工機に触れる資格を取得し、その上で上級生の指導 を受ける。こうして、通常の学生よりも早い段階で実 技面と一部の専門知識を習得する。プロジェクトに 参加している学生は、実際面での設計や加工作業を 通して現実の問題に接し、これを解決することを求 められ、また解決しようとするモチベーションを高 く持っているため、学生自身がさらに自ら学ぶ姿勢 を持つことになる。これが、正規カリキュラムでの講 義を受け、理論面を理解することで強固な本当の知 識となる。実際にプロジェクトに参加している学生 が、著者が提供している講義「システム制御理論」や 学生実験で提供している「DCモータのフィードバッ ク制御」などを受講した際に感想を聞くと、ロボコン でなんとなく使っている技術が理論的に説明を受け たことで非常によく理解できた、ということを言う。 同様の感想を複数のプロジェクト参加学生から聞く ことから、先に述べた相乗効果が十分に機能してい ると見てよい。 一方、プロジェクトという観点からこの活動を見 ると、大きなチームを率いてプロジェクトを運営す るという、プロジェクトマネジメントの非常に良い 訓練と実践の場になっている。決して、一般に良く知 られているプロジェクトマネジメントツールを使用 しているわけではないが、人的資源、資金、時間のマ ネジメントをリーダーが行っている。チームは、リー ダーをトップにして、メカを担当するグループとソ フトウェアと電子回路を担当するグループに分かれ 図−2 バドミントンロボットのアイデアから設計、実機までの変遷 (a)アイデアスケッチ (b)3次元CADモデル (c)製作したバドミントンロボット

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てそれぞれにサブリーダーが配置されている。さら に、対外的な折衝や広報活動、会計などを行う専任で はないが間接部門も置かれている。毎年、NHK大学 ロボコンの大会が終了し、その後彼ら自身が総括を 行いその報告会を教員に対して行うのであるが、そ の内容は、年を追うごとにマネジメント面での反省 が見られ、年々改善されている。 以上のように、本プロジェクトはものづくりのみ ならず、プロジェクト運営をも含めた経験を学生に させることができる非常に良い機会と捉えることが できる。すなわち、実践的な教育の場として非常にう まく機能していると言えよう。

おわりに

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現在、ロボットコンテストは日本国内で多数開催 され、エンジニアを目指す生徒や学生にとってもの づくりの世界への入り口となっている。基本的に課 外活動であるが、ものづくりの実践教育の場でもあ る。NHK大学ロボコンの場合、優勝者はABUロボコ ンの日本代表となり、アジア圏の参加各国代表と戦 うことになる。ABUロボコンを見ていて感じること は、全体に非常にレベルが高いことである。各国の国 内大会はその国のスケジュールで開催されるが、 NHK大学ロボコンよりも早く開催されるところも ある。それを考えると、日本の参加チームよりも早く にロボットを完成させていることになり、それなり のスピード感を持って設計・製作スケジュールをこ なしていることになる。その意味では、日本の将来を 担う学生もうかうかとしていてはいけないであろ う。産業界を見ても、日本は産業用ロボットに関して は早くに立ち上がったが、その他のサービスロボッ トや災害現場などの苛酷な環境下で使用することを 想定したロボットでは遅れが目立つ。将来の日本の 技術力を確固たる物にするためにも、大学生のみな らず小中高生にももっと“ものづくり”に興味を持っ てほしいと願う次第である。

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