(続)
FPC~PRC~RC梁の
統一的長期曲げ設計法
(2013.4.16)
2015.2.17
於:兵庫県建築構造技術研究会
PC付着研究会
中塚 佶
RC梁の長期曲げ設計
・設計曲げモーメント:Mdesが与えられる
・断面仮定(b×D )
D=L/10、b≒0.5Dと仮定すると
・引張鉄筋量(at )は
at= Mdes/ft・j
ft :長期許容(限界)応力度
j:応力中心距離(≒7d/8)
引張側の鉄筋の長期許容(限界)応力ftを指標にした設計
PCに対する現状認識 (1)
2章 p.13
理屈はよく分からないけど、
PC梁は
、RC梁に比べ
同じ断面なら
大きなスパン
、同じ荷重なら
小さな断面
が可能。
e PC鋼材(梁断面)
偏心距離 断面図心 (Mdes) (梁断面自体が (PによるM(=P・e)) 断面下縁側に偏心距離eだ け離れた位置にプレストレ ス力Pを加える(=設計荷(曲げモーメントのみから見た直感的な解釈)
付録10 p.200
設計の方針(FPC,PPCの設計条件)
・長期荷重時に断面下縁応力が限界応力を越えない。
(断面引張側に曲げひび割れを認めない。)
付録10 p.200
PRCの設計方針(設計条件)
・長期荷重時に断面引張側に曲げひび割れを認める。
・ひび割れ幅制御の為、引張鉄筋応力が限界応力を越えない。
PCに対する現状認識(3) (PRCの場合)
FPC~PRC~RCはすべて補強コンクリート。
統一化のためのポイントは2つ。
1.長期設計における引張応力限界の条件が違うだけ。
FPC(PPC)
は全断面が有効で断面の下縁(上縁)のコン
クリート応力が限界値に達する条件。
PRC~RC
は、曲げひび割れを認めるので、ひび割れ幅
制限のために引張鉄筋応力が限界(許容)値に達する条件。
2.断面に作用する(M,P (N))と、それによって
生じる応力状態とは、
M-P (N) 平面
を利用すると、
1:1に対応
づけて表現できる。
統一的長期曲げ設計法のポイント
○弾性設計(許容応力度設計)では
P/AとM/Zによる断面応力の足し合わせ(合成)が成り立つ。
逆に言えば、ある応力状態は軸力P成分とM成分に分解できる。
→ (M/Z) - (P/A)平面で断面応力状態が表示できる
ポイント1: M-N(P)平面では、断面力と応力状態は1:1対応
P/A-M/Z=σt
P/A+M/Z=σcPによる
+
P/A
M/Z
合成応力
σt σc断面応力が限界応力時の(P/A)-(M/Z)平面への表示
上・下縁応力を限界(許容) 応力度とした時のM-N関係(限界線)
P/A-M/Z=
ft
P/A
→y
M/Z
→x
P/A+M/Z=
fc
y= -x+
fc
y=x+
ft
fc
ft
45° 45° fc ft断面上縁応力
断面下縁応力
次に、プレストレス力の作用の
M-N(P)平面上での表示
2章 p.13
○下左図のように、断面の図心より、断面
下縁側
に偏心距離eだけ
離れた位置にプレストレス力Pを加える(→
eは負数
)
・Pによる圧縮力
・P・eによる曲げモーメントM
P、(設計荷重Mdesとは逆方向)
e PC鋼材(梁断面)
偏心距離 断面図心M-P 平面上でのプレストレス力作用の表示
P/A
M/Z
-M/Z
e/k1
注:P/A軸との角度: (M/Z)/(P/A) =(M/P)/(Z/A)=e/k1 核半径k1:断面に引張応力 を生じさせない偏心軸力の作 用位置 + = P/A 軸力成分 P・e/Z 曲げ成分合成応力
σt′(=0) σc′ 圧縮 引張Pの増大は、圧縮軸力と負の
曲げモーメントを生じさせる
ので、第2象限の原点からの
黒矢線で表示される。
黒矢線上の応力分布は以下の
合成応力
まずは、梁に曲げひびがなく
全断面が有効な
FPC
(フルプレストレスト
コンクリート)、
PPC
(パーシャルプレスト
レストコンクリート)の設計
FPC・PPCの設計限界線と設計プロセスと応力状態の推移
プレストレス力の作用と応力限界線からFPC・PPCの設計過程を見ると、 Pの作用と設計Mを受けた後に達する状態を、限界状態以下にすること Pの偏心距離 e/ k1 P/A PによるM/Z -P/A関係 P・eによる曲げモーメントの貯金 断面が持っている曲げ耐力 設計M(Mdes)/Z M/Z ft ft 限界線 引張縁応力=0 ディコンプレッション状態 引張縁応力=ft 引張応力限界状態 プレストレストコンクリートの設計条件(限界線) 45° A A‘ (Mdes平行線) k1/eM-P平面上で表現される 断面応力状態と (M,N)限界線
P/A PによるM/Z -P/A関係 M/Z ft ft 45° A A‘ (Mdes平行線) 設計M(Mdes)/Z B C ft‘ ft‘ σc引張応力限界状態を設計目標にすると、必要プレストレス力Pは変化する
FPC・PPCの設計限界線と設計プロセスのまとめ
Pの偏心距離 e/ k1 P/A PによるM/Z -P/A関係 P・eによる曲げモーメントの貯金 断面が持っている曲げ耐力 設計M(Mdes)/Z M/Z ft ft 限界線 引張縁応力=0 ディコンプレッション状態 引張縁応力=ft 引張応力限界状態 プレストレストコンクリートの設計条件(限界線) 45° Mdes平行線Pの作用線を平行移動させたMdes平行線と設計限界線の交点が設計の最適解を与える
FPC・PPCにおける必要Pの最適解
Pの作用線を平行移動させたMdes平行線と引張応力限界線の交点が設計の最適解
)
=
+ ft
コンクリート引張応力限界線 Mdes平行線 必要Pの最適解 Pの作用線 この2式から Mを消去}
{
e
k
Z
f
M
P
1 2 t des
(4.2)
(4.4)
e
k
M
P
1 des
FPC、PPC梁の設計式
A
k
1:
z
2/
FPC:
PPC:
(核半径)
4章 p.23,p.28
(ft
:コンクリート引張限界応力、e:PC鋼材偏心距離)
これがFPC,
PPCの設計式
(プレストレス力P
決定式)
RCと同じくらい簡単!
次は、曲げひび割れを許容する
PRC
の設計
ポイントは設計の限界線をどの
様に考えるかだ。
(曲げひび割れ幅は引張鉄筋応力に直接関係)
もう少し頑張ろう
9章 p.59
引張鉄筋応力を一定 にして、中立軸位置 xnを変化させたと きのM,Nを求める 圧縮縁コンクリート 応力を一定にして、 xnを変化させたと きのM,Nを求める引張鉄筋応力が限界値fstとなるときのM,Nの関係
(a) (b) (限界鉄筋応力fst) (限界コンクリート応力fc) 断面(鉄筋比pt=pc)が決まっていると、限界応力度 fst(fc)に対し1本のM-N相関関係が書ける。 RC柱でも、下縁応力が限界時のM-N相関関係は右上 がり、上縁応力が限界時のM-N相関関係は右下がり。 (a) 引張鉄筋応力が限界 応力fstの場合 σce → (b) 圧縮コンクリート応力が 限界応力fcの場合 σce → fcM-N相関図で見られる特徴
引張鉄筋応力を一定とした時のM-N関係
の直線性は強い。
直線近似出来る
●N=0時のMはRC梁の曲げモーメント!
←at・sσt・ (7/8)dで求まる?
pt=0.5%
、 sσt=220とすると、
(pt・fst・ (7/8)・0.9・ b・D
2)
→
0.87
・ b・D
2●M=0の引張側耐力はag・sσtで求ま
る?
(2・ pt・fst ・b・D )→
2.2
・b・D
具体的なM-N相関関係とその近似化
(0,2.2) (0.87,0)引張側M-N相関関係の直線近似式
<条件>
・ M軸(N=0)の切片は、梁の曲げ耐力(pt・fst・ (7/8)・0.9・ b・D
2)
・ N軸(M=0)の切片は、一軸引張強度(2・ pt・fst ・b・D )
9章 p.62
・・・・・・・・・・・(9.3)M
M
P
NをPに読み替える
上式を、pt・fst=の式に変形すると、同じ断面(b、D)で同じ(M,N)を支持するならば、ptとfstは 反比例する。具体的には、鉄筋比ptが大きくすると鉄筋応力を小さく出来る、ことを示している。PRC梁断面のひび割れ幅制御設計(ptによる鉄筋応力の制御)
M-P相関関係がσst で描かれている
ので、設計(M,P)に対しC点( )の
pti
を選ぶと鉄筋応力は
σst。
しかし、同じ設計(M,P)に対し、
原点
とC点を結ぶ直線上のD点(
)の
ptjを
選ぶと、ptとσstの反比例関係から、
鉄筋応力は(Mi/Mj)σstとなる。
PによるM-P関係 設計Mdes/bD2 鉄筋応力がσstの 時のM-P相関関係 Pti-1 Pti Ptj Ptj+1 P/bD M/bD2 Pdes/bD Mi Mj C点 D点9章 p.63
e/D (鉄筋応力を所要の値に(ひび割れ幅を制御)するためのpt設計) =2.54 P M ・σstP/bD M/bD2 コンクリート 応力引張限界線 Pti-1 Pti Ptj Ptj+1 鉄筋応力がσst 時の限界線 Mdes平行線 プレストレストコンクリートの設計条件(限界線)
FPC~PRC梁断面の設計プロセスのまとめ
(FPC,PPC) Mi 所定のP 鉄筋応力がσstの時の鉄筋比Pti 鉄筋応力が(Mi/Mj)σstの時の鉄筋比Ptj P・eによる曲げモーメントの貯金 断面がもっている曲げ耐力 (Mdes/bD2) PによるM-P関係 e/D Mj9章 p.64
=2.54 P M ・fst 引張鉄筋応力の限界線 ・・・(9.3) Mdes平行線 ・・・(9.6) 必要Pの算定式 (P,e,pt,fst関係式) ・・・(9.7) 必要ptfの算定式 (P,e,pt,fst関係式) ・・・(9.8)
PRCにおける必要(P,e,ptf,fst)の関係式
この2式から Mを消去
des P tf st
1f
D
b
p
D
M
e
/
D
P
2
2.54
)
2.54
(
1
(4.6)
PRC梁の設計式
これが今回導かれた世界初のPRC設計式
(P=0でRCの略算式Mdes=at・ft・j
に一致する)
PRC:
4章 p.23,p.28
(e:Pc鋼材の偏心距離
1, fst、ptf : 引張鉄筋 の応力および鉄筋比)
RC柱のM-N平面とPRC梁のM-P平面の関係
pti+1PRCの場合
ptiP/b・D
P/b・D引張鉄筋比
pti-1 施工限界線 P・e/b・D2 a’点M/b・D
2 pti+n Mdes/b・D2 P・eによる曲げモーメントの貯金 断面がもっている曲げ耐力RC柱の場合
N/b・D
M/b・D
2 Mdes/b・D2 N/b・D引張鉄筋比
pti+1 pti-1 pti pti+n a点 断面がもっている曲げ耐力第2象限に示される「P・eによる曲げモーメントの貯金」の有無が違うだけ
des P tf st
1f
D
b
p
D
M
e
/
D
P
2
2.54
)
2.54
(
1
e
k
Z
f
M
P
1 2 t des
FPC、PPC、PRCの設計式
PPC:
(FPC)
PRC:
4章 p.23,p.28
(ft
:コンクリート引張限界応力,e:PC鋼材偏心距離,k
1:核半径)
RC:
at= Mdes/fst・j
(
fst:引張鉄筋の許容応力度,j:応力中心距離)曲げひび割れ幅制御設計
PRC では,長期使用状態において曲げひび割れの
発生を許容
耐久性の観点からひび割れ幅についての検討が必要
13章 p.90
曲げひび割れ幅制御設計
曲げひび割れ幅制御設計
13章 p.91,付録11 p.203
曲げひび割れ幅の算定方法
コンクリートの引張応力を無視
鉄筋とコンクリートの付着を無視
鉄筋の伸び:鉄筋単体の伸び
コンクリートの伸び:なし
13章 P.9111章 P.74
PC鋼材の有効引張力
PC鋼材の挿入
定着具取付
ジャッキ挿入
PC鋼材緊張
PC鋼材定着
ジャッキ解放
ジャッキ抜去
グラウト注入
圧縮量
圧縮量
余長切断
PC鋼材引張力の減少
緊張作業中
緊張直後
経時的
PC鋼材引張力の減少
緊張作業中の減少
緊張直後の減少
経時的な減少
PC鋼材の有効引張力
11章 P.74緊張作業中のPC鋼材引張力の減少
• PC鋼材とシースの摩擦による引張力の減少
– シースの波うちによる摩擦:λ緊張材の長さ:Lに依存
– 曲線配置の角度変化による摩擦:μ角度変化:αに依存
(11.1) (11.2) 11章 P.74PC鋼材の有効引張力
緊張作業中
緊張直後
経時的
PC鋼材引張力の減少
緊張作業中の減少
緊張直後の減少
経時的な減少
PC鋼材の有効引張力
11章 P.74緊張直後のPC鋼材引張力の減少
スリーブ
PC鋼材
コンクリート
くさび
• セットによるPC鋼材引張力の減少
セット量
ポストテンション工法 くさび式定着具
緊張作業中
定着直後
11章 P.76緊張直後のPC鋼材引張力の減少
• セットによるPC鋼材引張力の減少
– セット:PC 鋼材定着時にPC 鋼材が定着具のところで引き
込まれる現象
– セット量:PC 鋼材が定着具のところで引き込まれる量
– セットロス:セットによるPC鋼材引張力の減少
11章 P.76緊張直後のPC鋼材引張力の減少
• セットロスの計算
(11.5)
(11.6)
PC鋼材の有効引張力
緊張作業中
緊張直後
経時的
PC鋼材引張力の減少
緊張作業中の減少
緊張直後の減少
経時的な減少
PC鋼材の有効引張力
11章 P.77経時的なPC鋼材引張力の減少
• コンクリートのクリープ,乾燥収縮,
PC鋼材のリラクセーション
一定値に収束:
PC鋼材の有効引張力:
P
e有効率:η=
P
e/P
・コンクリートのクリープ,
乾燥収縮,
・PC鋼材のリラクセーション
11章 P.79有効引張力の概数値
• PC鋼材の有効引張力(実測データ)
RC・S構造と違ってPC構造特有のもの
RC・S構造の場合
+ PC構造の場合
一般的には柱の長期応力を打ち消す単純梁の場合
端部の拘束がなく自由に変形
一般にPC鋼材は,鉛直荷重による曲げモーメントを打
ち消すように,断面図心に対して偏心距離eをもって配置
ピンとローラー支持のため
端部が自由に回転 + 軸方向に自由に縮む
不静定応力は生じない
P e P不静定応力の発生メカニズム
不静定構造物の場合
端部の拘束があって自由に変形できない
①
端部の回転拘束
に起因する不静定応力
②
軸縮みの拘束
に起因する不静定応力
①
端部の回転拘束
に起因する不静定応力
一貫計算ソフトでは梁に固定端モーメントとして入力すればよい
固定モーメント法
e P P不静定応力の算定
12章 P.83②
軸縮みの拘束
に起因する不静定応力
一貫計算ソフトでは梁に固定端
モーメントとして入力すればよい
一貫計算ソフトでは剛床仮定の
ため軸力を与えることができない
軸縮みの拘束
による不静定応
力は一般的に小さい
実務での不静定応力の算定
12章 P.85一貫計算ソフトでは施工段階を考慮せず
各階のPC梁に固定端モーメントとして入力して評価
一般的には1層ごとにコンクリートを打設してPC梁の緊張を行う
施工段階ごとに不静定応力を求め足し合わせる
2階PC梁 3階PC梁 4階PC梁施工段階を考慮した不静定応力
実際の定着部の施工例
①プレキャストPC柱の例
②現場打ちPC梁の例
緊張力が定着板を介してコンクリートに導入される
数本の 1つの 各ケーブル定着部設計
18章 p.131圧縮力を受けた定着板直下のコンクリートの状況
①
支圧応力
に対する設計
ポストテンション方式の定着部は,コンクリートの支圧応力が式(18.1)に示す 限界支圧応力fnを超えないように設計 または (ただし, ≦2) (18.1) Fn :式(18.2)または式(18.3)のσCBに設計基準強度Fcを用いたときの支圧強度(N/mm2) Fni:式(18.2)または式(18.3)のσCBに導入時コンクリート強度Fci(特に定めない場合は20N/mm2) を用いたときの支圧強度(N/mm2) Ac :コンクリートの支承面積(mm2) A1 :支圧板の面積(mm2) Fn=σCB・ (18.2) Fn=10・σtB・ =1.8・σCB(0.8-σB/2000)・ (18.3) ここに,σCB:コンクリートの圧縮強度(N/mm2),σ tB:コンクリートの引張強度(N/mm2) ただし,式(18.2)はコンクリートの圧縮強度σBが40N/mm2を超える範囲では適合性が悪く なっているので注意が必要 1 A Ac 1 A Ac 1 A Ac 1 A Ac n n.
F
f
0
6
F
ni1.
25
18章 p.132定着部の設計方法
ポストテンション方式の定着部付近に生ずる割裂応力が, 表18.1に示す定着部付近の限界引張応力を超える場合には, 補強筋によって補強する。 b β 2 X1 X2 X1 X2 T1/P T2/P ft’/q T=(T2/P-T1/P)・P