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系統分類学1-18v2

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(1)

系統分類学 第一回

(2)
(3)

To classify is human

分類するは人の常

Bowker GC & Star SL (1999)

“Sorting Things Out - Classification and its Consequence -”

The MIT Press

(4)

「われわれが何かを思考する、あるいは学問をするとき、

あるいはさらに実生活の上でも、いつも何らかの分類操作と

いうものが伴っている。

分類ということは高次の頭脳作用だけでなされるものではない。

赤ちゃんは人見知りして、他人を分類識別し、母親と

知らぬ他人とに異なった態度をとる。」

中尾佐助

(1990) 「分類の発想

思考のルールをつくる」

朝日新聞社

(5)

ティンバーゲンの四つのなぜ

二コ

•ティンバーゲン (Nikolaas Tinbergen,1907-1988)

動物行動学者

「何故生物がある機能を持つのか」という疑問を4つに分類

例:

何故ウグイスは春になるとホーホケキョ

と鳴くのか?

長谷川眞理子

(2007) 「ヒトはなぜ病気になるのか」 ウェッジ選書

(6)

(1) 至近要因

ウグイスがどのように春が来たことを感知し、その感

覚がどうやってホーホケキョというさえずり行動を引き

起こすかという

メカニズム

を答える

•日照時間を検知する脳のメカニズム

•その認識がきっかけとなってホルモンを分泌させるメ

カニズム

•それがさえずりを引き起こす神経メカニズムなど

(7)

(2) 究極要因

ウグイスは何のためにさえずるのか?さえずりの

機能は何か?メカニズムではなく、その

機能

を問う。

機能を果たしている重要な性質だからこそ進化し

てきたと考え、その

適応的意義

をこたえる

•なわばりの宣言し、侵入者を排除

さえずりが、いかに他のオスを排除しているか

•メスへの求愛により、配偶する

メスはさえずりにどのように反応して、配偶が

おきるのか

(8)

(3) 発達要因

さえずりは始めから出来上がっている訳ではない。早

春のホトトギスのさえずりは拙い。

ヒナから成鳥になるまでを追跡することで、さえずりが

完成する

過程を理解

できる。

•生得的なさえずりの鋳型はどのようなものか?

•学習が加わって、どのようにさえずりが完成されるの

か?

(9)

(4) 系統進化要因

ホーホケキョとさえずるウグイスとそのように鳴かない

他の鳥類との共通祖先を考え、

系統的にその進化の

道筋を追跡

•共通祖先はどのようにさえずっていたか(鳴かなかっ

た?)

•もともとのさえずりからどのようにして今のさえずりが

生まれたのか?

(10)

• 4つの要因は、同じ現象を異なる側面から眺めた

もので、いずれも正しい回答

• 性質によっては4つ全部を回答できない場合があ

この4つの要因を意識しながら、「何故ヒトは(生物

を)分類するのか」を考えてみよう

(11)

分類の生物学的な起源

ヒトばかりでなく、生物は他の生物を分類して

いる

ジョージ

•ゲイロード•シンプソンは

分類するということは

….生き、生き続けるために、

どうしても必要なことだ

と言っている。

キャロル

•キサク•ヨーン (2009) 「自然を名づける」 (Carol Kaesuku

Yoon (2009) “Naming Nature” W.H. Freeman & Company) (三中信宏、

野中香方子訳)

NTT出版

(12)

(1) 「私を食べるもの」と

「私が食べるもの」による分類

(13)

例1 アフリカのべルベットモンキー

(1) ヘビを見ると、二本足で立ち上がりキーキー鳴き出す。 その声が届く範囲にいるサルは二本足で立ち上がり地面を確認し始める (2) ヒョウを見ると大きな吠え声をあげる その声を聞いたサルは、大型ネコ科動物が登ってこれないような細い枝に逃げる (3) 頭上にワシを発見すると、二音節からなる咳のような声を出して、ワシが入り込め ない茂みに逃げ込むように仲間に知らせる

他の動物の違いを認識、分類しているばかりでなく、仲間の間で情報交換し

ている。

(14)

例2 アメーバ 反応を見る限り、1匹のアメーバの体のどこかが、一般化の作業を行って いるのは確かだ。つまり、それは個々の食料に個別に反応しているわけではなく、 何らかの形で、あるいは何らかの方法で、無数の異なる対象を、「食べられる もの」として分類しているのだ」 例1、例2ともにキャロル•キサク•ヨーン (2009) 「自然を名づける」 (Carol Kaesuku Yoon (2009) “Naming Nature” W.H. Freeman & Company) (三中信宏、野中香方子訳) NTT出版 より 図はhttp://protist.i.hosei.ac.jp/pdb/databook/m&m/2003/5-3.html より

(15)

生物の分類は、

「私たちが食べるもの」と、「私たちを食べるもの」

に関わっている

キャロル•キサク•ヨーン (2009) 「自然を名づける」Carol Kaesuku Yoon (2009) “Naming Nature” W.H. Freeman & Company) (三中信宏、野中香方子訳) NTT出版 脳の機能領域にも関係 (後述)

(16)
(17)

「地球上に生きている生物は、植物といわず、動物といわず、微生物といわず

いずれもある形式の分類能力を持っている。

それは生物はことごとく原則として有性生殖をしており、同種(スピーシス)の

相手と有性的に結びつく能力を必要とするからである。

同種であっても、結合には異性であることが必要である。異性であっても、

その異性が適期であることが必要である。」

「これらは、いずれも

他の動物から同種の動物を認識するという分類

をなし、

さらにその中から

異性を認識するという分類

をしている。

このように生物が自己と同種の個体を認識、分類することを私は

アイデンティティ

とよぶことにしよう。」

中尾佐助

(1990) 「分類の発想

思考のルールをつくる」

朝日新聞社

(18)

「このアイデンティティの能力は、生物に共通の特色で、それは生物体がことごとく 細胞から成立していることと同様に、生物であることの基本的要件となっている。 換言すれば、アイデンティティは生物が有性生殖という方法をとって生きはじめ てから、欠くことのできない前提能力になったのである。 くだいていえば、分類学の始まりは、有性生殖の始まりから始まったということになろう。」 中尾佐助 (1990) 「分類の発想 思考のルールをつくる」 朝日新聞社

(19)
(20)

「分類という面から見ると、植物、動物に共通するアイデンティティという分類は、 遺伝的に持っている本能、生理に大きく基礎づけられている。 ところが、人間は、純粋に大脳の機能による論理的思考という方法を駆使する 分類体系を生み出してきた。 その分類体系は、様々な分野で、それぞれ個々に行われてきた。」 中尾佐助 (1990) 「分類の発想 思考のルールをつくる」 朝日新聞社 天気:晴天、曇天、雨天 石器をつくるのに適した石とそうでない石 友好的他民族と敵対他民族

何故、脳は分類するのか?

(21)

Classification

Reduction of Information

情報の縮減

からつ塾 吉澤和徳教室「系統樹で生き物をまとめる---生物分類学入門 ---」 http://www.youtube.com/watch?v=umk5ft-v5iw

(22)

美の原理

松本武彦 (2009) 「進化考古学の大冒険」 新潮選書

美の認知科学的分類

(1) 検出

宝石などの輝きや色彩

視野の中で検出しやすい

霊長類の色覚:樹上生活の中で

果実の検出

のために発達

(2) 体制化

情報の縮減

<ーーーーー 分類の基礎

(3) 喚起

神像、仏像、十字架

具体的な事柄や感情を喚起

(23)

体制化

=情報の縮減 (1)

左右対称、規則的なパターンなどの図形

----à「良い形」を見いだした時の刺激に基づく美

ヒトの脳は、環境の中の複雑な現象を一定の秩序

やカテゴリーに当てはめて整理することで思考の

コストを節約 ーーーー>

体制化、情報の縮減

体制化の作業に成功すると、脳は

報酬

として

快感

を得

るようにできている

松本武彦 (2009) 「進化考古学の大冒険」 新潮選書

(24)

体制化

=情報の縮減 (2)

物事が起きる時の一定の規則(因果関係)を経験の中

から発見すること

協和音やメロディ、リズムの感知

=音の体制化

研究者が実験や分析結果の中から規則や秩序を見い

だすときの喜び

松本武彦 (2009) 「進化考古学の大冒険」 新潮選書

(25)

体制化

=情報の縮減 (3)

体制化の快感を前提とすると、秩序をやぶる少しの崩

れや、あと一歩で秩序が成立するというわずかな未完

成に、心理的にひきつけられる現象も説明できる

左右非対称なアンバランスな図形など、少しの不可解

さ、不明瞭さを残したもの

---à 体制化によって問題を解決しようとする

欲求を刺激する。「謎解き」なども

松本武彦 (2009) 「進化考古学の大冒険」 新潮選書

(26)

体制化

=情報の縮減 (4)

「分類」 = グループ化し、名前をつけることで

情報を縮減し、思考のコストを節約できる

体制化

ルールの発見 分類

報酬系 (美の感知を含む)

思考のコスト節約

(27)

体制化

=情報の縮減 (5)

報酬系

動物の脳で、「欲求」が満たされた時に

「快」の感覚を与える神経系

= ドーパミン神経系、A10神経系

ドーパミン

(28)

分類の究極要因

(1) 生存のために「私たちが食べるもの」と「私た

ちを食べるもの」を認識する

(2) 配偶のために、同種の異性とそれ以外を認

識する

(3) 情報を縮減することで、脳を有効利用

※ 系統進化要因を考える意味でも重要

(29)

分類のメカニズム

• 民族分類

(30)

民族分類

研究者ではない、世界各地の人々による生物の分類

アメリカ南西部のパパゴ

•インディアン

生物を「考えるもの」、「人を恐れるもの」、「飛ぶもの」、

「刺のあるもの」に分類

ニューギニアのカラム族

「動物」に相当する単語をもたない

ニューギニア高地のロファイフォ族

小型の哺乳動物の総称「フネムベ」

「フネムベ」とよぶには大きすぎるもの「ヘファ」

ヒクイドリはヘファに属す

※ ヒクイドリは人間とみなしているため

キャロル•キサク•ヨーン (2009) 「自然を名づける」 (Carol Kaesuku Yoon (2009) “Naming Nature” W.H. Freeman & Company) (三中信宏、野中香方子訳) NTT出版

(31)

民族分類の共通性

1

世界各地での生物の分類と命名の深部には共通性が見

られた

(1) 魚類、鳥、ヘビ、哺乳動物、虫は、全人類に共通する生

物のカテゴリー

(2) 植物にも、樹木、つる植物、薬草、灌木といった

共通のカテゴリーがある

人類学では、このような共通のカテゴリーを

生活型

(life form)とよぶ

キャロル•キサク•ヨーン (2009) 「自然を名づける」 (Carol Kaesuku Yoon (2009) “Naming Nature” W.H. Freeman & Company) (三中信宏、野中香方子訳) NTT出版

(32)

民族分類の共通性

2

生物の類似性や相違を語るときに、いとこ、父、家族

といった人間の血縁関係を表す言葉が使用される

マヤのツェルタル族

類似する植物を兄弟あるいは家族とよぶ

現代の生物分類でも科(

family)という言葉が用いられ

キャロル•キサク•ヨーン (2009) 「自然を名づける」 (Carol Kaesuku Yoon (2009) “Naming Nature” W.H. Freeman & Company) (三中信宏、野中香方子訳) NTT出版

(33)

民族分類の共通性

3

二名法の使用

二名法:現代の生物分類の基本的ルール (後述)

リンネによる命名システム 属名

+ 種名

イギリス 洋ナシは

pearだが、アジア産のナシは

Korean pearあるいはasian pearとよばれる

マヤ族

ペッカリーというブタに似た野生動物を狩って食べていた

スペイン人の持ち込んだ家畜のブタをビレッジ

•ペッカリーと名付けた

キャロル•キサク•ヨーン (2009) 「自然を名づける」 (Carol Kaesuku Yoon (2009) “Naming Nature” W.H. Freeman & Company) (三中信宏、野中香方子訳) NTT出版

(34)

民族分類の共通性

4 (1)

どんな言語を話す人も生物にふさわしい名前として

類似するものを選択する傾向がある。

人類学者 ブレント

•バーリーの実験

ペルーのファンビサ族の話し言葉から魚と鳥の名前を組み合わせた

50組を作り、学生1000人に発音から鳥だと思う方を

えらばせる

1 chuchuiikit mauts

2 chichikia

katan

3 teres

takaikit

4 yawarach

tuikcha

5 waikia

kanuskin

キャロル•キサク•ヨーン (2009) 「自然を名づける」 (Carol Kaesuku Yoon (2009) “Naming Nature” W.H. Freeman & Company) (三中信宏、野中香方子訳) NTT出版

(35)

民族分類の共通性

4 (2)

1

chuchuiikit

mauts

2

chichikia

katan

3 teres

takaikit

4 yawarach

tuikcha

5

waikia

kanuskin

ランダムに選べば

50%の正解率だが58%の正解率

魚らしさ、鳥らしさを感じさせる音になっている

(鳴き声、共感覚

?)

学名も同様の感覚に拘束されている

キャロル•キサク•ヨーン (2009) 「自然を名づける」 (Carol Kaesuku Yoon (2009) “Naming Nature” W.H. Freeman & Company) (三中信宏、野中香方子訳) NTT出版

(36)

共感覚

(1)

synesthesia

文字に色が見える

音に色が見える

数に色が見える

時間単位に色が見える

人の性格

•姿に色が見える

http://ja.wikipedia.org/wiki/共感覚

(37)

共感覚

(2)

synesthesia

どちらがブーバでどちらがキキか?

(38)

共感覚

(3)

synesthesia

http://ja.wikipedia.org/wiki/共感覚

中の記述の間違い?

女性の高い声を「黄色い声」などと言うように、人類、あるいは特定の環境・ 文化において複数の種類の感覚を結びつける比喩的習慣が広く存在するが…. 黄色い声 http://www.union-net.or.jp/cu-cap/kiiroikoe.htmより 女性のキャーキャー言うような甲高い声のことを「黄色い声」と表現することがある。 そもそも声に色がついているはずが無い。一体誰が言い始めたのか、赤や青では なく何故黄色なのか。これは一説に中国文化の影響と言われる。 お経というと現在は単調で抑揚の無い棒読みのようなものが多いが、平安時代ま ではお経にもメロディーがあり、豊かな表現力を持っていたとされる。メロ ディーと は言っても、五線譜があるわけではなく、経典の文字の横につけられた墨の印の 色によって音の高低を示しているものがあり、一番高い音を表わすのが 黄色 だった、という一種の記号説によるもの。 一方で、江戸時代の一時期、日本では声を色で表現することが流行し、その際の 表現の1つとして「黄色」があったとも言われる。これももともとは中国で黄が 「ただ事ではない」などの意味で使われていたことに由来。以上のような説があるが 結局は色彩と音感による「なんとなく」で甲高い声は明るくてやや不快なイ メージを 持つ黄色になっただけ、というふうに片付けられることも。

(39)

民族分類の共通性

(5)

「属」に相当するグループの数の上限は約

600

(1) バーリンは24の民族の植物分類を調べ平均が520であるこ

とを発見した

(2) 動物では平均390 (最大606, 最小186)

(3) アリストテレスの動物分類も約500種

単にその地域にその程度の生物がいなかったせいではなく、

記憶容量の限界

によるもの

(40)

民族分類の共通性

(6)

「属」に含まれる種の数

民族分類も科学分類も

ウィリスの窪みカーブ

に従う

キャロル•キサク•ヨーン (2009) 「自然を名づける」 (Carol Kaesuku Yoon (2009) “Naming Nature” W.H. Freeman & Company) (三中信宏、野中香方子訳) NTT出版

(41)

民族分類の共通性が示唆すること

民族分類の共通性

---à ヒトが

共通の機構で生物を認識

していることを示唆

環世界

(Umwelt)

ドイツ語で

,「環境」、「周りの世界」を意味する

動物行動学では、

個々の種が特有の感覚で認識した世界

を意味する

•イヌ:視覚は弱いが、嗅覚に依存して世界をとらえている

•ハチ:紫外線を感知している

ヒトも固有の

環世界センス

で世界をとらえ、分類している

キャロル•キサク•ヨーン (2009) 「自然を名づける」 (Carol Kaesuku Yoon (2009) “Naming Nature” W.H. Freeman & Company) (三中信宏、野中香方子訳) NTT出版

(42)

ネコはどんな世界を見ているのか:比較画像

http://wired.jp/2013/10/18/cats-eye-view/

上は人間の世界、下はネコの世界。写真の端がぼやけているのは、周辺視野の範囲を示している。 視力は悪く赤色が見えないが、視野は広く暗いところは得意。 アーティストのニコライ・ラムは、ネコの目の仕組みを考慮し、獣医や眼科医からの情報 を利用して、ネコにはさまざまな光景がどう見えるかを示した

(43)

ネコの視野は約200度で、180度である人間より広い。周辺視野(空間分解能が高い

(44)

視力は人間ほどはよくない。人間には、約30~60m離れた距離からはっきり 見分けられるものが、ネコにはぼやけて見える。ネコによく見えるのは、

(45)

ネコは色が人間とは違って見える。人間に見られる赤緑色覚異常と似たような世界を 見ていると考えられている。(人間は赤・緑・青の三種類の錐体をもつ3色型色覚だが、 イヌ、ネコ、ウシ、ウマなどの多くの哺乳類は緑と青の二種類の色覚受容体しか持た ない2色型色覚とされている)

(46)

ネコの方が優れていることもある。網膜にさまざまな光受容体があるので、薄暗いところでは、 ネコは人間よりよく見えるのだ。

人間の網膜の中心部には、色を区別し細部を見分ける錐体細胞があるが、ネコ(とイヌ)は、 代わりに桿体細胞が多い。桿体細胞は、感度が高いため、暗所で強みを発揮する

(47)

「環世界センス」は、分類の制約要因になるだろう

※ ネコは赤い色を分類の基準に使えない

「環世界センス」は分類学を長く支配してきた(後述)

分類学が科学として成熟する過程で、「環世界センス」から

解放されてきた

しかし、「環世界センス」が、たとえば民族分類の「生活型」を

生み出すということについては論理的なギャップがあるので

はないか?

(48)

分類の脳機能局在

脳機能局在論

Theory of localization of brain function

脳は部分ごとに異なる機能をになっている

(49)

脳には分類に関係する領域がある

生物カテゴリー特異性呼称障害

フローラ

•D 女性 56歳

1940年代 ロサンゼルス

1月にわたる流感様の症状

生物を識別できなくなる

無生物(ペンナイフ、時計、鉛筆など)は識別できる

J•B•R 男性 23歳 1980年 ロンドン

性器ヘルペス感染症による脳炎

回復中に食べるものと食べられるものの区別がつかなくなり、洗剤を飲んだり、

掃除用スポンジを食べたりする

回復後、無生物は認識できる(懐中電灯や羅針盤を名前をあげただけで、説明

できる)

生物の写真を見せてもそれが何かを理解できない

キャロル•キサク•ヨーン (2009) 「自然を名づける」 (Carol Kaesuku Yoon (2009) “Naming Nature” W.H. Freeman & Company) (三中信宏、野中香方子訳) NTT出版

(50)

多くの人々が、病気や事故のせいで、生物を認識できる能力

を失った

逆に、生物は正常に認識できるが無生物を認識できない人も

いる

C•W 41歳 男性 1988年 イギリス ケント州

口が聞けなくなり、無反応になって入院

回復後、動物は認識できるが、無生物は認識できない

フルートを録音機とよび、カヌーをインディアンのテンととよんだ

生物を分類する能力、無生物を分類する能力は頭の中で

分かれている

キャロル•キサク•ヨーン (2009) 「自然を名づける」 (Carol Kaesuku Yoon (2009) “Naming Nature” W.H. Freeman & Company) (三中信宏、野中香方子訳) NTT出版

(51)

上側頭溝 http://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:Brain_diagram_without_text.svg http://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:250px-Gray726-STS.png http://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:Gray727_fusiform_gyrus.png http://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:Gray726_middle_temporal_gyrus.png 紡錘状回 生物の識別と分類が行われる際には、側頭葉の 上側頭溝と側部紡錘状回が主に活動 無生物の認識には、側頭葉の中側頭回と 中央紡錘状回が関与 中側頭回 キャロル•キサク•ヨーン (2009) 「自然を名づける」Carol Kaesuku Yoon (2009) “Naming Nature” W.H. Freeman & Company) (三中信宏、野中香方子訳) NTT出版

(52)

脳のモジュール構造

認知科学、進化心理学などにより、脳は生活の中で

出会う課題の種類に応じた専門の機能単位を多数準備

していると考えられるようになってきた。

アーミーナイフに例えられる

それぞれの課題に対応した

刃を準備しておいた方が

一本の刃で全てに対応する

より効率的

―ミーナイフの一つ一つ

の刃は機能単位として

独立しており、このような

機能単位をモジュールとよぶ

「ヒトの脳にはクセがある - 動物行動学的人間論 -」 (2015) 小林朋道

(53)

脳のモジュール構造

「ヒトの脳にはクセがある - 動物行動学的人間論 -」 (2015) 小林朋道 ホモサピエンスは、以下の3つの主要なモジュール群を持っていたと考えられている。 対生物専用モジュール:動物や植物の修正や生態を推察したり理解する働きを持つ 対物理専用モジュール:物体の空間的配置、動き、変化を推察したり理解する働きを 持つ 対人専用モジュール:他人の表情や動作、言葉などから、その人の感情や心理を 推察する働きを持つ

(54)

文化のビッグバン

スティーブン

•ミズン (考古学者)

今から

5万年くらい前から、ホモサピエンスが使用する

狩猟採集用の道具や装飾品などに、それまでいない

多様性が生じた

それまで独立していた脳内のモジュール間で、情報

交換が活発に行われるようになったからではないか?

「ヒトの脳にはクセがある - 動物行動学的人間論 -」 (2015) 小林朋道

(55)

「ヒトの脳にはクセがある - 動物行動学的人間論 -」 (2015) 小林朋道

狩猟採集用の道具の作成

対物専用モジュール

が他のモジュールと独立して働く

対称性や鋭さなどの物理的要素は洗練されたが

多様性に欠ける

対生物専用モジュール

との情報交換

対象とする生物の習性や生態、体のつくりにあわせて

長さや大きさ、構造の異なる道具が作られるようになる

(56)

擬人化

人の感情、心理を野生動物の内部に想定して、それらの生物の

行動を説明しようとする思考

対生物専用モジュールと対人専用モジュールとの情報交換の結果では

ないか?

擬人化は、幼児や未開の人々が行う幼稚な、あるいは素朴な思考ではなく

人間の脳に本来備わっている思考特性である可能性

「ヒトの脳にはクセがある - 動物行動学的人間論 -」 (2015) 小林朋道

(57)
(58)

ヘビを見たことのないニホンザルに対して、花の写真とヘビの写真を見せると ヘビを認識するスピードの方が早い Shibasaki and Kawai (2009) J. Comp. Psychol. 132, 131-135. ディスプレイ上に、ヘビ、サルの顔、サルの手などを表示して、ニホンザルの反応をみると、 反応する細胞の数や反応の早さはヘビに対するものが大きい。 Van Le et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA (2013) 110, 19000-19005

脳の中にヘビの認識が組み込まれている

その他にも、霊長類のヘビの認識については多くの研究がある。 霊長類出現時には、既にほ乳類を補食できる大型のヘビや毒蛇などが存在しており そのためにヘビに対する警戒する回路が、脳の上に形成されたのでは?

(59)

分類の至近要因

• 生物はそれぞれ固有の環世界センス、すな

わち特有の感覚で認識した感覚で他の生物

を分類している

• ヒトの生物分類の処理機能(の一部)は、側

頭葉に局在している

※ これらは発達要因を考える上でも重要

(60)

まとめ

何故ヒトは(生物を)分類するのか?

(1)ティンバーゲンの4つのなぜ

(2) 分類の究極要因

「食べる

-食べられる」、「有性生殖」、

「体制化」

(3) 分類の至近要因

「環世界センス」、「脳における分類機能の

局在」、「脳のモジュール構造」

(61)

生物分類の歴史と基礎概念

(1) 博物学•本草学

(2)リンネ

(3)ダーウィン

(4) 分類学から体系学へ

進化分類学

vs 数量分類学 vs 分岐分類学

(5) 分子系統学

(62)

(1) 博物学•本草学

自然界にあるものを収集し、分類

アリストテレス

(BC384-BC322、古代ギリシア)

「動物誌」全

10巻 (一部偽書の疑いあり)」

500種程度を記載

テオフラトス

(BC371-BC287, 古代ギリシア)

「植物誌」全

9巻

植物についての最初の研究書

550種の植物を記載

(63)

自身の生活環境の周辺で出会う限られた生物に限られており、分類は

直感的でシンプル

大航海時代

の到来

15世紀中ばから17世紀半ば

数千種もの動物植物が得られた

18世紀:収集は貴族や市井の人々の娯楽

博物学は隆盛を究めたが、 海外からもたらされる

様々な生物の分類は混乱

爆発的に増え続ける

生物を整理する体系

が望まれる

(64)

(1) 博物学•本草学

(2)リンネ

(3)ダーウィン

(4) 分類学から体系学へ

進化分類学

vs 数量分類学 vs 分岐分類学

(5) 分子分類学

(65)

カール

•フォン•リンネ

(Carl von Linné, 1707-1778)

分類学の父

命名に規則を設け、階層性を

前提とした分類体系をスタート

「リンネ式階層分類体系」と

「二名法」

(66)

リンネ式階層分類体系

リンネの著書「自然の体系」

(System Naturae,

1735)の中で提案された分類体系

多数の生物から似たものをクラスター(類似したものの

集合)とする。得られた多数のクラスターから、類似す

るもののクラスターを構築する。

1段ずつクラスターを構築している点が階層的

(67)

一段階目

(68)
(69)

タクソン

(taxon,taxa(複数))

あるシステムにのっとって設定された分類単位

リンネ式階層分類では、クラスターとして認識される

ものが分類の単位

(=タクソン)となる。

界、門、綱、目、科、属、種がタクソンとなりうる

前ページの図では、ヒト上科や狭鼻下目なども

タクソンとして扱われる。

分類学

(taxonomy)は類縁語

(70)

リンネによる階層的分類は、

直感的なもの

だが

ヒトの「

環世界センス

」に照らした時に納得できる

分類体系であることから、自然の秩序を説明する

ものとして広く受容された。

界門綱目科属種の英語の暗記法

(kingdom, phylum(division), class, order, family, genus, species)

King Philip Came Over From Genoa Spain

フィリップ王がジェノバ、スペインからやってきた

King Philip Cried Oh For Goodness Sake

フィリップ王は叫んだ。「おお、神様」

King Philip Cleaned Our Filthy Gym Shorts

フィリップ王が、ぼくたちの汚れたパンツをきれいに洗った。 キャロル•キサク•ヨーン (2009) 「自然を名づける」 (Carol Kaesuku Yoon (2009) “Naming Nature” W.H. Freeman & Company) (三中信宏、野中香方子訳) NTT出版

(71)

リンネによる動物の分類

ほ乳綱、鳥綱、両生綱、魚綱、昆虫綱、蠕虫綱

脊椎動物は4綱に分類しているが、その他を2綱に

まとめており、現在の分類と大きく異なる。

現在の体系の方がより真の姿に近いと考えられるが

どのようにして体系は変更されていくのだろうか?

藤田俊彦(2010) “動物の系統分類と進化” 裳華房 より

(72)

分類

(classification)と同定 (identification)

1. 分類:多数の生物についての、その類似点と相違点から

体系化し、その階層的分類を構築

2. 一つの生物個体を、その分類体系にあてはめる

(新しい個体、あるいは既知生物でも新しい発見があった場合)

3. 分類体系に当てはまれば、その体系の正しさの証拠とな

る。

4. 分類体系に当てはまらない個体ああれば、分類体系を

修正する。

藤田俊彦(2010) “動物の系統分類と進化” 裳華房 より

(73)

二名法

生物の学名を二語で表す

ヒト

Homo sapiens

属名 種小名

属名は大文字で、種小名は小文字で始める

ラテン語かラテン語化された単語を使用

属名以降はイタリックで表記

亜種の場合

(後述)、三語で表現

Opihiothrix (Acanthothophiothrix) pururea

亜種名

括弧なしで、二名表記の後ろに亜種名を書くこともある

(74)

Sasayamamylos kawaii

2013年3月27日17時31分 朝日新聞

日本最古の哺乳類化石、学名は「カワイイ」

どう見てもカワイクナイ

2007年11月に兵庫県

篠山

市の白亜 紀前期の地層「篠山層群」

(約1億1千万年前)から発見された化石が、哺乳類(真獣類)として

国内最古で、新属新種とわかった。ネズミほどの大きさとみら れ、地

名や

河合

雅雄名誉館長の名前にちなんで「

ササヤマミロス・カワイイ

の学名をつけた。

(75)

リンネ以前の命名

• ラテン語が公用語であったが、ラテン語名も

他の言語による名前も混在

• 名前の長さに制限がない

ミツバチ

Apis pubescens, thorace subgriseo, abdominale fusco, pebidus

posticis glabris utrinque martime ciliatis

命名後に、混在種であることがわかり、1語くわえることで区別したため

リンネ以前にも二名法はあったが、ルールとし

て定めたのはリンネ

(76)

国際動物命名規約

International Code of Zoological Nomenclature

リンネの基準だけでは間に合わない問題が出てきた

ので、

1961年に定められて、2000年に第四版(18章90

条からなる

)が発行された

同様のものに、「国際藻類

•菌類•植物命名規約」、「国

際細菌命名規約」がある。

(77)

点数 (4) 100-90 (3) 89-80 (2) 79-70 (1) 69-60 達成目標 (3)に加え、リン ネの階層的分 類体系とニ名法 について説明で きる。 (2)に加え、至近 要因として、分 類の脳機能局 在性を説明でき る。特に、生物 カテゴリー特異 性呼称障害、 snake on the brainを、究極要 因の一つである 食べる、食べら れるの関係性 の把握と結びつ けて説明できる。 (1)に加え、究極 要因として、分 類する理由を3 つ説明できる。 ティンバーゲン の4つのなぜに ついて説明で気 きる。

参照

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