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結果からの考察 中学校 高校の英語の授業では音声指導や文法指導などが多く 話す 書く を含めた言語活動がまだ十分に行われていないという課題が明らかになりました 中高生の英語によるコミュニケーション能力の向上のためには 従来の文法中心の指導からの脱却が求められます 英語教員の多くは 英語で表現する機会

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Academic year: 2021

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2015 年 12 月 3 日 株式会社ベネッセホールディングス 代表取締役会長兼社長 原田 泳幸

中高の英語指導に関する実態調査 2015

「話す」「書く」活動が少ない中学校・高校の英語教育

教員の6割以上が「自分自身の英語力が足りない」と回答

株式会社ベネッセホールディングス(本社:岡山市、以下ベネッセ)の社内シンクタンク「ベネッセ教育 総合研究所」では、2015 年 8~9 月に、全国の中学校・高校の校長 1,152 名ならびに中学校・高校の 英語教員 3,935 名を対象に「中高の英語指導に関する実態調査 2015」を実施しました。 次期学習指導要領の改訂に向けた検討が中央教育審議会で進められる中、中学校や高校における 英語教育も「使える英語力」を育てるための変革を迫られています。今回の調査では、中学校・高校の英 語教育の実態とその担い手である英語教員の意識について明らかにし、今後の英語教育のあり方を検 討することを目的に実施しました。 主な調査結果は以下の通りです。 1.授業では、音声・文法指導や「聞く」「読む」活動が中心。「話す」「書く」活動は少ない。 ・授業中の指導方法では、「音読」「発音練習」「文法の説明」などが 9 割(よく行う+ときどき行う、以下 同様)を超え、音声を中心とした指導や文法指導が多いことがわかる。それに対して、「即興で自分 のことや気持ちや考えを英語で話す」「英語で教科書本文の要約を話す」「英語で教科書本文の要 約を書く」などの「話す」「書く」活動の実施率は低く、特に「ディスカッション」「ディベート」は 1 割未満 と低い。(図 1-1、1-2) 2.7~8 割の教員が「生徒が自分の考えを英語で表現する機会を作る」ことが「とても重要」と回答。 一方で、実行している教員は少ない。 ・指導において重要だと思うこととその実行についてたずねた。そのギャップ(「とても重要」-「十分実 行している」)をみると、「生徒が自分の考えを英語で表現する機会を作る」(中学校 82.3%- 19.2%、高校 66.8%-9.9%)ことや「4 技能のバランスを考慮して指導する」(中学校 69.2%- 15.3%、高校 59.4%-9.8%)ことでは約 50~60 ポイントの大きなギャップがある。「表現する機会 を作る」「4 技能のバランス」など、「話す」「書く」活動を取り入れることの難しさを表している。(図 2-1) 3.英語教員は入試対応、自分自身の英語力の不足、指導方法など多くの不安や悩みを抱えている。 ・英語指導における悩みについてたずねた質問では、生徒に学習習慣がついていないこと、授業準 備の時間の不足、生徒間の学力差の大きさなど教科共通の悩みに続いて、英語教員に特徴的な「コ ミュニケーション能力の育成と入試のための指導を両立させることが難しい」という項目が高かった (中学校 73.7%、高校 74.4%、とてもそう思う+まあそう思う、以下同様)。コミュニケーション能力の 育成と現在の読解問題中心の入試への対応を両立させることへの戸惑いがみてとれる。 ・その他には、「自分自身の英語力が足りない」(中学校 66.7%、高校 62.9%、「英語教師に求められ ることが多くて負担である」(中学校 65.3%、高校 75.2%)、「効果的な指導方法がみつからない」(中 学校 53.0%、高校 60.3%)といった項目が高かった。(図 3-1)

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【結果からの考察】 中学校・高校の英語の授業では音声指導や文法指導などが多く、「話す」「書く」を含めた言語活動がまだ 十分に行われていないという課題が明らかになりました。中高生の英語によるコミュニケーション能力の向上の ためには、従来の文法中心の指導からの脱却が求められます。 英語教員の多くは、「英語で表現する機会を作る」ことや「4 技能のバランスを考慮する」ことの重要性を認識 しています。しかし、その実行が十分ではないことも明らかになりました。その背景には、自分自身の英語力の 不足や指導方法に悩みがあることもみえてきました。 現在、4 技能(「聞く」「話す」「読む」「書く」)を測定する入試の導入が検討されています。それに伴い、中学 校・高校の指導は大きな変革を迫られています。 中学校・高校の英語教育をよりよいものとするためには、もちろん英語教員の英語力や指導力の向上は不 可欠です。そのためには、日々、生徒に向き合い英語教育を担っている英語教員のさまざまな悩みや不安を 解消するサポートが必要でしょう。研修の機会の拡充や研修プログラムの開発、また加えて、教員養成課程や 教員免許制度、教科書・教材のあり方の検討も喫緊の課題といえそうです。 英語教育改革は、英語教員とともに、行政、学校、民間事業者など英語教育に関わるあらゆる関係者が一 体となって課題解決に取り組むべきことだと考えます。ベネッセ教育総合研究所でも、本調査の結果をもとに、 よりよい英語教育のあり方を引き続き考えていきたいと思います。 ●調査概要 名称 中高の英語指導に関する実態調査 2015 調査テーマ 中高の英語指導の実態と教員の意識 調査方法 郵送法による質問紙調査 調査時期 2015 年 8 月~9 月 調査対象 全国の中学校・高校の校長 1,152 名および英語教員 3,935 名 (中学校:校長 717 名、英語教員 1,801 名 高校:校長 435 名、英語教員 2,134 名) *高校は、コミュニケーション英語(基礎・Ⅰ・Ⅱ・Ⅲのいずれか)を担当している英語教員対象。 調査項目 [校長調査] 英語教育における他校との連携/英語関連の行事/校内研修/英語教育改革につい ての意見、など [教員調査] 授業の内容/英語使用割合/授業における教員の英語使用場面/宿題/授業の振り 返り/将来の英語の必要性と生徒の英語使用/指導する際に重要なことと実行する こと・実行していること/受けたい研修/自己研鑽/小中(中高)連携/生徒のつま ずき/悩み/授業で大切にしていること/指導に影響を与えていること/CAN-DO リ ストの形の学習到達目標の設定について/「授業を英語で行うことを基本とする」こ とについて/大学入試の4技能測定について、など 調査企画・ 分析メンバー 根岸 雅史 (東京外国語大学 教授) 酒井 英樹 (信州大学 教授) 髙木 亜希子 (青山学院大学 准教授) 工藤 洋路 (玉川大学 准教授) 重松 靖 (国分寺市立第二中学校校長) 木村 治生 (ベネッセ教育総合研究所 副所長、東京大学客員准教授) 加藤 由美子(ベネッセ教育総合研究所 主任研究員) 福本 優美子(ベネッセ教育総合研究所 研究員) ◆本調査結果をもとに、ベネッセ教育総合研究所・上智大学共催で、シンポジウムを開催いたします。 「『話すこと』の指導と評価をどう始めるか? -「中高の英語指導に関する実態調査 2015」(ベネッセ教育総合研究所)と 実践事例から考える 4 技能時代の英語教育- 日時:2015 年 12 月 6 日(日)10:00~17:20(予定) 場所:上智大学 四谷キャンパス ※詳細は web サイトでご覧いただけます。http://www.arcle.jp/event/ ◆ベネッセ教育総合研究所のホームページ (本リリース資料など掲載) http://berd.benesse.jp/

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主な調査結果

1.授業では、音声・文法指導や「聞く」「読む」活動が中心。「話す」

「書く」の活

動は少ない。

図1-1 指導方法(中学校) *「よく行う」+「ときどき行う」の%。 88.2 78.6 71.4 61.3 64.6 49.8 48.3 38.5 23.8 41.1 24.9 25.0 41.6 14.0 9.1 13.5 9.0 9.9 5.2 8.3 4.8 2.9 0.6 0.2 9.9 17.6 24.7 31.4 26.3 37.3 36.3 41.4 53.0 35.3 46.6 43.9 26.7 47.5 48.0 39.0 35.1 32.8 26.2 21.4 18.3 12.0 4.8 3.7 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 音読 発音練習 文法の説明 文法の練習問題 教科書本文のリスニング Q&A(質疑応答)による教科書本文の 内容読解 キーセンテンスの暗唱と運用 英語での会話(生徒同士) 自分のことや気持ちや考えを英語で書く 英語による教科書本文の口頭導入 (オーラルイントロダクション) 教師によるsmall talk (英語による簡単な話) 発音と綴りとの関連づけ 教科書本文の和訳 和文英訳 スピーチ・プレゼンテーション ディクテーション 長文読解問題 即興で自分のことや 気持ちや考えを英語で話す 聞いたことのない英語(教科書以外の 英文・ドラマや映画など)を聞く 英語で教科書本文の要約を話す 初見の英語(教科書以外の 読み物・英字新聞など)を読む 英語で教科書本文の要約を書く ディスカッション ディベート よく行う ときどき行う (%) 98.1 96.2 96.1 92.7 90.9 87.1 84.6 79.9 76.8 71.5 68.9 68.3 61.5 2 57.1 44.1 42.7 52.5 76.4 31.4 29.7 23.1 14.9 5.4 3.9

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図1-2 指導方法(高校) *「よく行う」+「ときどき行う」の%。 79.8 68.7 46.8 55.2 53.2 30.5 42.9 27.2 25.6 17.2 14.8 13.8 21.3 15.0 11.6 9.2 10.3 9.2 7.3 7.3 3.8 4.8 1.7 0.8 14.9 23.6 42.6 31.3 28.7 41.5 25.9 38.7 34.2 39.9 36.9 37.2 28.1 31.4 31.4 33.6 23.4 23.2 22.1 21.6 22.0 19.2 7.4 4.5 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 音読 発音練習 文法の説明 Q&A(質疑応答)による教科書本文の 内容読解 教科書本文のリスニング 文法の練習問題 教科書本文の和訳 キーセンテンスの暗唱と運用 英語による教科書本文の口頭導入 (オーラルイントロダクション) 発音と綴りとの関連づけ 教師によるsmall talk (英語による簡単な話) ディクテーション 長文読解問題 英語での会話(生徒同士) 自分のことや気持ちや考えを英語で書く 和文英訳 英語で教科書本文の要約を話す 初見の英語(教科書以外の 読み物・英字新聞など)を読む 即興で自分のことや 気持ちや考えを英語で話す 英語で教科書本文の要約を書く スピーチ・プレゼンテーション 聞いたことのない英語(教科書以外の 英文・ドラマや映画など)を聞く ディスカッション ディベート よく行う ときどき行う (%) 94.7 92.3 89.4 86.5 81.9 72.0 68.8 65.9 59.8 57.1 51.7 51.0 46.4 43.0 42.8 33.7 32.4 49.4 29.4 28.9 25.8 24.0 9.1 5.3

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2.7~8割の教員が「生徒が自分の考えを英語で表現する機会を作る」ことが

「とても重要」と回答。しかし、実行している教員は少ない。

図2-1 重要だと思うこととその実行について *「指導で重要だと思うこと」をたずねる質問で、「とても重要」「まあ重要」「あまり重要ではない」のうち「と ても重要」と回答した割合と、それぞれについて「どの程度実行していますか」とたずねた質問で「十分実行して いる」「まあ実行している」「あまりしていない」のうち「十分実行している」と回答した割合を比較している。 87.4 84.0 82.3 80.6 80.2 78.1 77.3 76.9 71.7 69.2 64.8 64.4 63.4 62.2 57.4 78.2 71.3 66.8 72.4 69.0 67.1 72.0 63.4 66.8 59.4 58.3 64.9 52.1 60.5 43.9 基礎的な内容は定着するように反復練習を行う 生徒が英語を使う言語活動を行う 生徒が自分の考えを英語で表現する機会を作る 生徒が英語を好きになるように指導する 生徒の興味や関心の対象となる 日常的で身近な話題を取り上げる 英語はコミュニケーションの手段となることを 意識して指導する 外国や異文化に対する興味を高める 既習事項を繰り返し学習できるようにする 多くのインプットを与える指導をする (リスニングやリーディング) 4技能のバランスを考慮して指導する 複数の技能を統合的に用いる活動を行う 生徒が将来に渡って自律的に英語学習ができるように 学習の仕方を指導する 単元ごと、学期ごとに目標を設定して指導する 入試に対応できるように指導する 評価基準を作成し、その基準に基づいて評価を行う 54.7 35.6 19.2 33.5 29.4 35.0 22.8 38.5 32.1 15.3 14.8 16.1 25.0 30.1 26.9 40.2 19.0 9.9 24.7 21.7 23.8 23.7 29.9 34.2 9.8 9.3 18.6 17.6 35.3 17.1 中学校 高校 (%) とても重要 十分実行している

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3.英語教員は入試対応、自分自身の英語力の不足、指導方法など多くの不安や悩

みを抱えている。

図3-1 悩み *「とてもそう思う」+「まあそう思う」の%。 75.5 75.3 73.8 73.7 70.7 66.7 65.3 53.4 53.0 45.8 39.9 38.5 36.4 34.6 33.7 30.3 28.6 25.1 24.8 19.4 85.1 70.2 67.9 74.4 70.5 62.9 75.2 70.6 60.3 41.4 39.9 36.6 39.4 37.6 43.9 40.7 34.5 34.6 33.5 21.5 生徒に学習習慣が身についていない 授業準備の時間が十分にとれない 生徒間の学力差が大きくて授業がしにくい コミュニケーション能力の育成と、 入試のための指導を 両立させることが難しい 教科指導以外の校務分掌の仕事が負担である 自分自身の英語力が足りない 英語教師に求められることが多くて負担である 生徒の学習意欲が低い 効果的な指導方法がみつからない 「CAN-DOリスト」の形による 学習到達目標の設定方法がわからない 教材・教具が十分ではない 英語に苦手意識がある生徒の指導が負担である 中期的・長期的な授業計画を立てる方法が分からない 十分な研修が受けられない 年間の授業時数が足りない 「話すこと」の評価方法がわからない 「授業は英語で行うこと」のやり方がわからない 教員間のコミュニケーションが少ない 「書くこと」の評価方法がわからない クラスコントロールすることが難しい 中学校 高校 (%)

参照

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