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市場と経済A

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Academic year: 2021

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財政学Ⅱ

第15回 地方財政(3)地方交付税

2016年2月5日(金)

担当:天羽正継(経済学部経済学科准教授)

1

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地方交付税の仕組み(1)

地方交付税の役割は財政調整と財源保障。

財政調整:地域間の財政的な格差を是正すること。

水平的財政調整:財政的に豊かな地方政府が財源を拠出し、それを豊かでない地方政府に配分する。

中央政府は財源を負担しない。

垂直的財政調整:中央政府が地方政府に補助金を交付する。

中央政府が財源を負担。

財源保障:地方自治体が事務を遂行できるように財源を保障。

地方交付税の基本的な仕組み。

国税の一定割合を主な財源として国から地方自治体に交付される、垂直的財政調整制度。

国税の一定割合(交付税率):所得税・法人税の33.1%、酒税の50%、消費税の22.3%、地方法人税の全額。

国が地方自治体に代わって徴収する「地方固有の財源」とされる。

使途の特定されない一般財源。

地方交付税の総額のうち、96%が普通交付税で、4%が特別交付税。

普通交付税が地方交付税の「本体部分」。特別交付税は、災害等の突発的な事態に対応するために設けられている。

地方交付税による強力な地域間財政調整(スライド3)

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地方交付税の仕組み(2)

3

都道府県の一人当た り 地方税、 地方交付税、 一般財源額( 2 0 1 3 年度) ( 単位: 円) 一人当た り 額 指数 順位 一人当た り 額 指数 順位 一人当た り 額 指数 順位 東京都 171, 138 189. 5 1 -47 194, 621 88. 2 29 愛知県 116, 749 129. 3 2 8, 890 7 .7 45 142, 436 64. 5 44 福井県 107, 270 118. 8 3 161, 793 139. 5 10 287, 260 130. 1 6 栃木県 103, 823 115. 0 4 64, 005 55. 2 37 184, 849 83. 7 35 静岡県 102, 696 113. 7 5 40, 885 35. 3 41 159, 993 72. 5 40 三重県 102, 212 113. 2 6 73, 019 63. 0 33 191, 930 86. 9 32 神奈川県 101, 905 112. 9 7 6, 908 6 .0 46 123, 250 55. 8 47 大阪府 101, 621 112. 5 8 32, 037 27. 6 42 150, 719 68. 3 43 茨城県 100, 045 110. 8 9 63, 235 54. 5 38 179, 561 81. 3 36 石川県 99, 447 110. 1 10 113, 599 97. 9 25 230, 961 104. 6 19 富山県 98, 671 109. 3 11 120, 346 103. 8 21 237, 207 107. 5 17 宮城県 98, 314 108. 9 12 112, 433 96. 9 26 227, 103 102. 9 22 香川県 96, 462 106. 8 13 111, 887 96. 5 27 225, 280 102. 1 24 福島県 96, 339 106. 7 14 133, 076 114. 7 18 247, 118 112. 0 14 群馬県 95, 798 106. 1 15 65, 513 56. 5 35 178, 189 80. 7 37 滋賀県 95, 362 105. 6 16 79, 789 68. 8 32 191, 779 86. 9 33 千葉県 94, 685 104. 9 17 26, 735 23. 1 43 135, 616 61. 4 45 山梨県 94, 519 104. 7 18 153, 653 132. 5 14 265, 334 120. 2 10 広島県 92, 800 102. 8 19 64, 930 56. 0 36 174, 522 79. 1 38 岐阜県 91, 499 101. 3 20 81, 065 69. 9 31 189, 490 85. 8 34 山口県 91, 385 101. 2 21 120, 816 104. 2 20 229, 473 104. 0 21 兵庫県 90, 492 100. 2 22 54, 012 46. 6 40 159, 841 72. 4 41 新潟県 89, 149 98. 7 23 118, 588 102. 2 23 225, 327 102. 1 23 徳島県 88, 790 98. 3 24 192, 492 166. 0 5 298, 484 135. 2 5 長野県 88, 748 98. 3 25 101, 279 87. 3 29 207, 382 93. 9 28 岡山県 88, 383 97. 9 26 86, 998 75. 0 30 191, 991 87. 0 31 京都府 88, 283 97. 8 27 67, 262 58. 0 34 171, 878 77. 9 39 青森県 87, 704 97. 1 28 165, 531 142. 7 8 270, 120 122. 4 8 埼玉県 87, 514 96. 9 29 25, 849 22. 3 44 127, 741 57. 9 46 北海道 87, 270 96. 7 30 124, 633 107. 5 19 229, 582 104. 0 20 福岡県 87, 233 96. 6 31 54, 754 47. 2 39 157, 853 71. 5 42 岩手県 83, 755 92. 8 32 205, 896 177. 5 4 307, 589 139. 3 4 佐賀県 83, 266 92. 2 33 169, 969 146. 5 7 269, 998 122. 3 9 愛媛県 81, 857 90. 7 34 117, 536 101. 3 24 216, 360 98. 0 26 山形県 79, 464 88. 0 35 157, 289 135. 6 13 254, 915 115. 5 11 大分県 78, 943 87. 4 36 144, 889 124. 9 16 241, 223 109. 3 16 島根県 78, 480 86. 9 37 258, 786 223. 1 1 356, 428 161. 5 1 鳥取県 77, 292 85. 6 38 235, 120 202. 7 2 330, 642 149. 8 2 和歌山県 76, 413 84. 6 39 161, 616 139. 3 11 254, 522 115. 3 12 秋田県 75, 585 83. 7 40 184, 520 159. 1 6 278, 048 126. 0 7 奈良県 74, 373 82. 4 41 105, 314 90. 8 28 194, 183 88. 0 30 熊本県 73, 064 80. 9 42 118, 667 102. 3 22 207, 710 94. 1 27 宮崎県 72, 443 80. 2 43 162, 056 139. 7 9 251, 430 113. 9 13 鹿児島県 71, 047 78. 7 44 159, 056 137. 1 12 246, 980 111. 9 15 高知県 70, 462 78. 0 45 231, 082 199. 2 3 319, 358 144. 7 3 長崎県 67, 579 74. 8 46 153, 316 132. 2 15 236, 896 107. 3 18 沖縄県 63, 322 70. 1 47 144, 011 124. 2 17 221, 555 100. 4 25 全国平均 90, 290 115, 981 220, 739 注: 東京都の地方税に は、 都が徴収す る 市町村税相当額を 含ま な い 。 出所: 総務省『 平成2 7 年版 地方財政白書』 よ り 作成。 地方税 地方交付税 一般財源

(4)

地方交付税の仕組み(3)

地方交付税は、基準財政需要額が基準財政収入額を上回る地方自治体に対して交付される。

基準財政需要額:地方自治体が標準的な行政を実施するために必要な一般財源の額。各行政項目における「単位費用×

測定単位×補正計数」の合計額として求められる。

単位費用:標準団体が「合理的かつ妥当な水準」で行政を実施するために必要な一般財源の額を、測定単位当たりで示したもの。

標準団体:都道府県の場合は170万人、市町村の場合は10万人を想定。

測定単位:各行政項目の量を測る単位(スライド5)。

補正計数:各地方自治体が直面する自然的・地理的・社会的条件を財政需要に反映させるために用いられる数値(スライド6)。

基準財政収入額:法定普通税を中心とする標準的な地方税収入額の75%に地方譲与税を加えた額。

地方税収入額の算定にあたっては標準税率を適用していると想定し、法定外税を課税していたとしても、その税収は考慮しない。

そのため、超過課税を実施したり、法定外税を課税したとしても、地方交付税は減額されない。

残りの25%は留保財源として、その使途は各地方自治体に委ねられる(スライド7)。

地方自治体に財政的な自主性・独立性を保障するとともに、地方税の税源涵養に対する意欲を失わせないため。

個別の地方自治体に地方交付税を交付することは「ミクロの財源保障」と呼ばれる。

4

(5)

地方交付税の仕組み(4)

5

算定項目と 測定単位( 2 0 1 2 年度) 【 道府県分】 【 市町村分】 1   個別算定経費 1   個別算定経費 測定単位 測定単位 警察職員数 人口 道路の面積 道路の面積 道路の延長 道路の延長 河川費 河川の延長 係留施設の延長( 港湾) 係留施設の延長( 港湾) 外廓施設の延長( 港湾) 外廓施設の延長( 港湾) 係留施設の延長( 漁港) 係留施設の延長( 漁港) 外廓施設の延長( 漁港) 外廓施設の延長( 漁港) 都市計画費 都市計画区域に お け る 人口 そ の他の土木費 人口 人口 小学校費 教職員数 都市公園の面積 中学校費 教職員数 下水道費 人口 教職員数 そ の他の土木費 人口 生徒数 児童数 教職員数 学級数 学級数 学校数 人口 生徒数 公立大学等学生数 学級数 私立学校等生徒数 学校数 生活保護費 町村部人口 教職員数 社会福祉費 人口 生徒数 衛生費 人口 人口 6 5 歳以上人口 幼稚園の幼児数 7 5 歳以上人口 生活保護費 市部人口 労働費 人口 社会福祉費 人口 農業行政費 農家数 保健衛生費 人口 公有以外の林野の面積 6 5 歳以上人口 公有林野の面積 7 5 歳以上人口 水産行政費 水産業者数 清掃費 人口 商工行政費 人口 農業行政費 農家数 徴税費 世帯数 林野水産行政費 林業及び 水産業の従業者数 恩給費 恩給受給権者数 商工行政費 人口 地域振興費 人口 徴税費 世帯数 人口 戸籍数 世帯数 人口 面積 人口 2   包括算定経費 2   包括算定経費 出所: 総務省資料。 面積 面積 地域経済・ 雇用対策費 測定単位 測定単位 人口 人口 中学校費 厚 生 労 働 費 高等学校費 そ の他の教育費 高齢者保健福祉費 厚 生 費 産 業 経 済 費 林野行政費 高齢者保健福祉費 産 業 経 済 費 総 務 費 総 務 費 地域経済・ 雇用対策費 戸籍住民基本台帳費 地域振興費 項目 警察費 消防費 土 木 費 道路橋り ょ う 費 土 木 費 道路橋り ょ う 費 港湾費 港湾費 公園費 教 育 費 高等学校費 教 育 費 小学校費 特別支援学校費 その他の教育費 項目

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地方交付税の仕組み(5)

6

補正の種類(2011年度) 種類 内容 種別補正 段階補正 密度補正 態容補正 ① 普通態様補正  ア 行政質量差によるもの   a 都市化の度合いによるもの   b 隔遠の度合いによるもの   c 農林業地域の度合いによるもの  イ 給与差によるもの  ウ 行政権能差によるもの ② 経常態様補正 ③ 投資態容補正  ア 投資補正  イ 事業費補正 寒冷補正 寒冷・積雪地域における特別の増加経費を算定するもの。 数値急増補正 ① 数値急増補正 数値急減補正 ② 数値急減補正 合併補正 財政力補正 出所:総務省資料を一部簡略化。 測定単位に種別があり、種別ごとに単位当たり費用に差があるものについて、その種別ごとの単位当たり費用の差 に応じ当該測定単位の数値を補正するもの。 人口なり面積なり、地方団体の測定単位が増加(減少)するに従い、行政経費は増加(減少)するが、人口(測定単 位)が2倍になったからといって、経費が2倍になるとは限らない。地方団体は、その規模の大小にかかわらず、一定 の組織を持つ必要があり、また、行政事務は一般的に「規模の経済」、いわゆるスケールメリットが働き、規模が大き くなる程、測定単位当たりの経費が割安になる傾向がある。この経費の差を反映させているのが、段階補正である。 人口密度等の大小に応じて、行政経費が割高、割安になる状況を反映させるための補正。人口規模が同じであって も、人口密度が希薄になるに従い(面積が大きくなるに従い)、交通などの関係で行政経費が割高になる。また、人 口密度以外にも道路の面積当たりの自動車交通量の多少(これが密度)で、道路の維持補修費が多く必要となる。 このような「密度」のほかに、特定の経費を実態に応じて基準財政需要額に算入するために、その経費の多少を示す 指標を「密度」として、補正を行っているものもある。 地方団体の都市化の程度、法令上の行政権能、公共施設の整備状況等、地方団体の「態容」に応じて、財政需要が 異なる状況を算定に反映しようとする補正である。 人口が増加すれば行政経費は増加するし、また、人口が急増する場合には、社会福祉施設等を早急に整備しなけれ ばならない。こうした数値急増による増加財政需要を反映するのが、数値急増補正である。 人口や農家数等が急激に減少しても、行政規模は一挙に減らせないこと、また、人口が急変する市町村は、人口変 動が小さい市町村に比べて行政経費が割高になる状況があるので、これを反映するための補正である。 2006年4月2日以降2010年3月31日までに合併した市町村に対して適用されるもの。合併直後に必要となる行政の 一体化に要する経費及び行政水準・住民負担水準の格差是正に要する経費及び合併により臨時的に増加する経費 を措置するため、合併市町村の人口規模、合併関係市町村数の数等を指標として、合併直後に必要となる経費等を 割増算入するための補正である。 地方債の元利償還金を算入する際にその団体の標準財政収入額に対する比率が大きい団体ほど算入率を引き上げ る。

(7)

7

基準財政需要額 100億円

基準財政

需要額

基準財政

収入額

普通交付税

40億円

基準財政収入額 60億円

留保財源

20億円

120億円

標準税収入 80億円

普通交付税の仕組み

出所:総務省資料。

地方交付税の仕組み(6)

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地方財政計画と地方交付税(1)

地方財政計画:翌年度におけるすべての地方自治体の歳入・歳出総額の見込み。

地方交付税法に基づいて作成され、国会に提出される。

地方交付税の総額は、地方財政計画の歳入と歳出が一致するように決定される。

地方交付税は、国の「交付税及び譲与税配付金特別会計(通称:交付税特別会計)」を通じてやりくりがなされる(ス

ライド9)。

国税の一定割合(法定5税分)と、地方財政計画における歳入と歳出を一致させるのに必要な地方交付税の額が一致す

るとは限らない。

前者が後者を下回る場合、財源不足が生じていると言われる。

財源不足を解消するために、一般会計において特例加算が行われる。

かつては専ら、交付税特別会計の借入れによって財源不足の解消が図られてきたが、借入残高が膨大になったために、2003年度以

降は一般会計における特例加算と、地方自治体が発行する臨時財政対策債(赤字地方債の一種)によって解消が図られている。

財源不足の解消を図ることは地方財政対策と呼ばれる。

ただし地方交付税法では、著しい財源不足が生じた場合には、地方行財政制度の改正か交付税率の引上げを行うこととされている。

地方財政計画を通じて地方財政全体の歳入と歳出を一致させることは「マクロの財源保障」と呼ばれる。

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(9)

地方財政計画と地方交付税(2)

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国の予算と地方財政計画(通常収支分)との関係(2015年度当初)

参照

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