十代初
めの
少年少女
がぶつかる
、家族
との
藤
や
淡
い
恋⋮⋮。
彼
らの
気持
ちの
動
きをこまやかに
追
いかける
、珠玉
の
小編
を
厳選。
その美しさと力強さに、目を見張る言葉がある。
その真実に、心がふるえるストーリーがある。
「
頑
張
っ
て
も
、な
あ
ん
に
も
い
い
こ
と
な
い
じ
ゃ
ん
。」
そんな娘の言葉に、はっきりとした答えを返すこ
とのできない父。周囲の心配をよそに、淡々と努
力を重ねることで、皆の心に波紋を投げかける息
子。
少年野球に打ち込む父と息子を中心に、思春期
の子どもたちを取り巻く家族の時間が、鮮やかに
描写されます。
二年
◌
小説
﹁卒業
ホームラン
﹂
重松
清
家
︱
だ。野球とは、家を飛び
出すことで始まり、家に帰って
くる回数を競うスポーツなのだ。
主人公は、新聞配達に励む、一人の少年。その少年に、ふと若いころ
の
自
分
を
重
ね
合
わ
せ
て、
彼
に
何
か
を
伝
え
た
い
と
思
い
始
め
た
老
人
が
い
た
……。大人への入り口に立ったばかりの少年は、朝の光の中で、一人の
老人が一生かけて心に温め続けた大切な風景に出会います。 一年
◌
小説
﹁遠
い
山脈﹂
杉
みき
子
あの山が見ててくれるかぎり、何でもできるよ
うな気がしてきた。
磨
き
抜
かれた
言葉
を
味
わえる
詩歌
や
、言葉
への
考
えを
深
める
随筆
も
掲載
しています
。
そこでは、山々の中腹より
上に、ぽつんぽつんと家が点
在
し
て
い
る。
ま
だ
電
話
の
な
かった時代、彼らは、向かい
の山に住む隣人と、どうやっ
て連絡を取っていたのだろう
か?
四国・徳島の祖
い
谷 や
に伝
わる昔ながらの連絡手段「呼
び言
ごと
」をテーマに、アナウン
サーでもある筆者が、
人が
「話
す」ことの原点にある熱い思
いを語ります。 二年
◌
随筆
﹁伝
えたいと
思
うから
﹂
山根基世
人に何かをどうしても伝えたいという熱い思い。
伝わらないときのいらだち、絶望。ようやく伝
わったときの歓喜に似た気持ち。
三年
◌
小説
﹁風
の
唄﹂
あさのあつこ
絵を描く少年が出会った、内気な少女。しかし彼女の中では、少年を
圧倒し、描くことすらできなくさせるほどの才能が息づいていた。
ときに若者の心を占める、異性への思い。他人の希望に、自分がなか
なか応えられないという葛藤。そんな課題を前にした登場人物たちの姿
は、いつか似た壁に直面するかもしれない少年少女に、強い心のバネを
与えるでしょう。
そうだ、俺なら描ける。自分の内から突き上げ
て、自分の意思も感情も支配してしまう激しい
力はないけれど、誰かのために、描くことはで
きる。それは……できる。
説明文や論説文を読み解く力。
これは
,新しい時代へと走りだした若者を支える,
足腰の強さのようなものではないでしょうか。
毎日ふれる,この食べ物。ちょっと気になった,あのニュース。
小さなきっかけから,より深い知識の森へと旅立つ楽しさを,
知的な興奮とともに伝えます。
二年
◌
説明・論説文
﹁食
の
世界遺産
︱
鰹節﹂
小泉武夫
かんなで削って食べるほどに硬い、鰹節。刺し
身でも食べられる柔らかい鰹を、いったいどのよ
うな方法で、ここまで乾燥させるのか?
湿気を
好むカビの性質を用いた驚異の製法など、日本人
の知恵の結晶ともいえる保存食品としてのすばら
しさが、からりとした魅力的な文章で語られます。
鰹節を単にうま味調味料に置き
換えるようなことは、日本人と
しては寂しい気がします。こん
なにすばらしい食べ物が我々の
世代で消えるというのは、ほん
とうにもったいないことです。
一年
◌
説明・論説文
﹁
ニュースの
見方
を
考
えよう
﹂
池上
彰
街頭インタビューは、
ニュースを制作する人
の考えで編集されてい
る。
取
り
上
げ
ら
れ
る
ニュースは、視聴者の
関心や放送される時間
帯、視聴率によっても
左
右
さ
れ
る。
「
う
そ
で
はないけれど、ちょっ
と誇張した」内容が交
じったり、はでな音楽
で
演
出
さ
れ
る
こ
と
も
……。現代を生きる子
どもたちに不可欠なメ
ディア・リテラシーの
大切さを、分かりやす
く解説します。
ニュースの受け手でいるだけでな
く、ニュースを自分なりに判断し
ていく。これが、いずれ社会人に
なるあなたにとってだいじなこと
だと思うのです。
三年
◌
説明・論説文
﹁絶滅
の
意味﹂
中静
透
地球環境問題の一つとして取り上げられる「生物の絶滅」
これが私たち人間に及ぼす影響について理解するためには、
まず「生態系」の仕組みについて知る必要がある……。いく
つもの知識を整理して理解しつつ、文章の次なる展開を追い
かける。この訓練を積み重ねながら読むことで、子どもたち
は、論説文の醍醐味を味わうことができるでしょう。
生態系はそれぞれの地域の文化を形作る
のに、大切な役割を果たしている。例え
ば、日本の伝統色の名前には生物の名前
がたくさん使われている。
自分がとっさに感じた気持ちを、ぐっと掘り下げて考えてみる。そこで人
は、何に出会うのか?
自分の心の中には、何があるのか?
専門家が分か
りやすくつづった、哲学の入門編。 二年
◌
説明・論説文
﹁恥
ずかしい
話﹂
野矢茂樹
ここでは「恥ずかしい」という感情そのものについ
て、考えてみよう。ただし、あらかじめ伝えておけ
ば、これはとても難しい問題なので、簡単に結論は
出せないし、私自身もいちおうの結論を持っている
にすぎない。だが、だいじなのはすぐに結論を出す
ことではなく、考えてみることだ。
各界の先覚者が中学生に向けて
書き下ろした文章が,
子どもたちの好奇心をノックします。
ジャーナリズム
農学
哲学
生態学
﹁本
で
世界
を
広
げよう
﹂
環境問題。自国
の
文化
を
知
ること
。異文化
にふれること
⋮⋮。大人
の
世界
に
近
づきつつある
中学生
の
視野
をぐっと
押
し
広
げる
六
つのテーマを
設定
し
、
まず
﹁読
む
﹂学習材
を
提示。続
く
読書案内
のページ
﹁本
で
世界
を
広
げよう
﹂
では
、同様
のテーマで
﹁読
み
比
べる
﹂三冊
と
、﹁読
み
広
げる
﹂六冊
に
誘
います
。
地図もコンパスも使わず、ただ
夜空の星を読んで、船を操る……。
ミクロネシアに伝わる伝統航海術
を学ぶため、現地に滞在した筆者
の体験記。紹介する本も、日本で
暮らす英国人の著作から、国際感
覚論にまで広がります。
二年
︿日本文化﹀
﹁神奈川沖浪裏﹂
赤瀬川原平
三年
︿異文化理解﹀
﹁星
の
航海術
︱
心
の
中
に
島
が
見
えるか
﹂
石川直樹
二年
︿人権﹀
﹁小
さな
労働者﹂
ラッセル
・
フリードマン
昭和二十年夏。原子爆弾が投下
された広島の、爆心地にいた中学
生たちは?
テレビ番組「碑」の
シナリオをきっかけに、同じ第二
次世界大戦時の長崎・東京・沖縄
をそれぞれ取り上げた三冊、より
広く、戦争そのものについて考え
る六冊を紹介します。 一年
︿戦争・平和﹀
﹁碑﹂
松山善三
彼の写真は、子どもたちを苛酷な労働から救い出すた
めの強力な武器となりました。
二十世紀初頭のアメリカで何千
人もの働く子どもたちを撮影し、
児童労働の悲惨な現実を訴えた写
真家ルイス・ハインの仕事を紹介。
子どもの人権を入り口に、人種問
題、障がい者問題など、更に広い
人権問題を扱う本へと、関心をつ
なげます。
一年
︿環境﹀
﹁
コンビニ
弁当十六万
キロの
旅﹂
千葉
保
コンビニエンスストアで売ら
れている弁当を題材に、食料の
輸入量×輸送距離で算出される
指標「フード・マイレージ」を
詳しく説明。食の話題を地球環
境問題に位置づけ、さまざまな
関連書籍へと広げます。
私たちに身近なコンビニ弁当。その作られ方や売られ
方について調べたり考えたりすることで、いろいろな
ことが見えてきます。
気鋭の政治学者が、現代社会とは何か、
そこで働くとはどういうことかを考察。
これからの働き方を探る本から、民主主
義・倫理・メディアなど、世界を認識す
るためのツールとなるさまざまな参考書
まで、広く深い紹介図書が続きます。 三年
︿現代社会﹀
﹁何
のために
﹃働
く
﹄
のか
﹂
姜
尚中
社会で生きるためには、他者
から何らかの形で仲間として
承認される必要があります。
そのための主たる手段が、働
くということなのです。
そのとき、砂も燃えた
のです。
遠く波の向こうから富士山が
見ている。
葛飾北斎「富嶽三十六景」の一つ「神
奈川沖浪裏」を、画家でもある筆者が鑑
賞。大波と舟が演じる激しいドラマと、
その背景に小さく描かれた富士山の超越
的な聖性が、躍動的な文章でつづられま
す。読書案内では、遺跡・町工場・アニ
メなど、日本文化をさまざまな切り口か
ら紹介する本にもいざないます。
今この瞬間に、ある異なる時間の流れを生きる人たち
がいる。そのことだけで、僕の心は何だかふっと軽く
なるのです。
一冊の本が、世界に続く扉を開く。
﹁日本
の
名作
を
読
もう
﹂
多
くの
人
に
読
み
継
がれ
、親
しまれてきた
日本
の
近代文学。各学年六編
の
作品
を
、
それぞれの
冒頭
とともに
紹介
しています
。
本という名の船に乗り、古今東西を旅しよう。
「本で世界を広げよう」の他にも、
「本の世界を楽しもう」
「日本の名作を読もう」と題し
た、二種類の読書案内を用意。教科書の随所に、良書と出会えるページをちりばめました。
本社…………〒114-8524 東京都北区堀船2-17-1
北海道支社…〒064-0806 札幌市中央区南6条西14-1-5 札幌東書ビル Tel:011-562-5721 Fax:011-562-5492
東北支社……〒983-0852 仙台市宮城野区榴岡3-7-22 仙台東書ビル Tel:022-297-2666 Fax:022-297-6040
東京支社……〒114-8524 東京都北区堀船2-17-1 Tel:03-5390-7467 Fax:03-5390-6017
関東支社……〒114-8524 東京都北区堀船2-17-1 Tel:03-5390-7467 Fax:03-5390-6017
北陸支社……〒920-0919 金沢市南町6-1 朝日生命金沢ビル Tel:076-222-7581 Fax:076-232-2719
中部支社……〒461-0004 名古屋市東区葵3-15-31 住友生命千種ニュータワービル Tel:052-939-2722 Fax:052-939-2720
関西支社……〒532-0004 大阪市淀川区西宮原1-4-10 大阪東書ビル Tel:06-6397-1350 Fax:06-6397-1358
中国支社……〒732-0814 広島市南区段原南1-3-53 広島イーストビル Tel:082-568-2577 Fax:082-568-2580
九州支社……〒810-0022 福岡市中央区薬院1-17-28 トッパンビル Tel:092-771-1536 Fax:092-714-3519
沖縄出張所…〒900-0025 那覇市壺川1-2-1 Tel:098-834-8084 Fax:098-834-8095
Tel:03-5390-7355(国語編集部) Fax:03-5390-7350
平成24教
﹁本
の
世界
を
楽
しもう
﹂
現代
の
小説
や
東西
の
名作
から
、学年
ごとに
、
ぜひ
読
んでおきたい
十二冊
の
本
を
紹介。