0 契約管理番号: 10004735-0 10004736-0 10004737-0 10004741-0 10004743-0
平成22~23年度 産炭国石炭開発・利用対策事業
産炭国共同基礎調査
「コークス製造適用性評価(インドネシア)」
成
果 報 告 書
平成24年4月
独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構
委託先 国立大学法人九州大学
新日本製鐵株式會社
新日鐵化学株式会社
伊藤忠商事株式会社
新日鉄エンジニアリング株式会社
1 まえがき 本報告書は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委 託業務として、国立大学法人九州大学、新日本製鐵株式會社、新日鐵化学株式会社、伊藤 忠商事株式会社、新日鉄エンジニアリング株式会社が共同実施した「コークス製造適用性 評価(インドネシア)」の結果を取り纏めたものである。 本調査の実施にあたり、ヒアリングや情報提供にご協力いただいた経済産業省資源エネ ルギー庁 資源・燃料部 石炭課、NEDO環境部、またインドネシア現地における関係先 の皆様に対し、深く感謝申しあげます。 平成24 年 4 月 国立大学法人九州大学 新日本製鐵株式會社 新日鐵化学株式会社 伊藤忠商事株式会社 新日鉄エンジニアリング株式会社
2 目 次 目 次 ··· 2 要 約 ··· 3 第1章 事業概要 ··· 5 1.1 事業目的 ··· 5 1.2 事業概要 ··· 5 1.3 事業内容 ··· 6 1.4 事業計画日程 ··· 8 1.5 実施体制 ··· 9 第2章 インドネシア炭の資源調査 ···10 2.1 原料炭調査 ··· 10 2.2 褐炭調査 ··· 21 第3章 成型コークス製造の技術検討 ··· 37 3.1 tekMIRA 試験設備でのバインダー改善試験 ··· 37 3.2 成形コークスの品質改善検討 ··· 57 3.3 成型コークス製造プロセスの実機イメージの検討 ···77 第4章 高炉用コークス製造の可能性調査 ···79 4.1 インドネシア原料炭の品質評価 ···79 4.2 室炉タイプの高炉用コークス製造用バインダーの製造 ···105 4.3 高炉用コークス製造の試験炉試験 ···117 4.4 高炉用コークスの需要調査 ···148 第5章 本プロセスの事業性評価 ···151 5.1 バインダー製造プロセス ···151 5.2 成形コークス製造プロセス ···157 第6章 まとめ ···162
3 要 約 本調査では、日本のコークス製造技術を用いて、インドネシア炭からの鋳物用、高炉用 コークス製造の事業化の可能性を明確にするために、(1)インドネシア炭の資源調査、(2) tekMIRA の鋳物用コークス製造技術検討、(3)高炉用コークス製造の可能性調査、(4) 大まかな経済性評価を実施した。 (1)インドネシア炭の資源調査 カリマンタン,スマトラから試験用の原料炭、褐炭を入手した。褐炭は、現在、イン ド、国内の火力発電用に一部使用されており、中には瀝青炭高騰の影響でFOB 価格 30US$/トン程度で取引されているものもあった。 (2)tekMIRA の鋳物用成型コークス製造技術検討 ・tekMIRA 試験設備を用いて、現状の石油系のアスファルトバインダー(以下、 既存バインダーと記す。)から実用化されている石炭系軟質ピッチ(SOP)にバイン ダーを変更し、バインダーのコークス強度改善効果を試験したが、効果がなかっ た。 ・小型タブレットタイプ(φ40mm×20mm)の成型炭を用いて製造条件の見直しを 行い、SOP を 12%以上添加すれば、高炉用コークス相当のコークス強度が得ら れた。 ・インドネシア強粘結炭(Tuhup 炭)を 10%配合すれば、SOP を 8%添加まで抑制 できた。 (3)コークス製造の可能性調査 大量入手できたインドネシア弱粘結炭と豪州強粘結炭を用いて、室炉式コークス炉 によるインドネシア炭を用いた高炉用コークス製造の試験炉試験を実施した。その 結果、①今回使用したインドネシア弱粘結炭は、豪州非弱粘結炭相当のコークス化 性を有しており、豪州等の強粘結炭と組み合わせれば、通常の湿炭操業で 10%程度 使用でき、SCOPE21 を用いれば 50%まで高炉用コークス原料炭として使用可能で ある。②インドネシア褐炭からのバインダーは、現状の日本での市販バインダーと 同等以上のコークス強度改善効果があるものもあり、このバインダーを用いること によりインドネシア弱粘結炭の配合量を増加できる可能性が十分あることが判明し た。 (4)大まかな経済性評価 ①褐炭からの高炉コークス用バインダー製造
4 褐炭からのバインダー製造原価を試算した結果、目標値であるコールタール価 格=50 円/kg(2011 年度)よりも約 10 円/kg 安くなり、立地条件がよければ、 事業化の可能性がある。 ②成型コークス製造 目標コークス強度を達成できたSOP12%添加、強粘結炭 10%+SOP8%添加の 2 ケースで製造コストを試算した結果、目標コークスコスト=40,000 円/tより も4,000~10,000 円高くなった。今回は SOP 代替として褐炭からのバインダー を使用出来ることを試験装置の制約で実験できなかったが、褐炭からのバイン ダー(推定単価40 円/kg)を使用できれば、目標コスト(40,000 円/t)より、6,000 ~7,000 円/t 程度、製造コストを安くできる可能性がある。 以上より、インドネシア炭からの安価な鋳物用、高炉用コークスの製造が可能であり、 2012 年以降、インドネシアでは高炉用のコークス需要が見込まれるので、コークス製造の 事業化が可能と思われる。
5 第1章 事業概要 1.1 事業目的 インドネシアの製鉄業においては、コークスを必要としない、国産の天然ガスを用いた 直接還元法で銑鉄を生産している。一方、関連する鋳物業ではキューポラの燃料であるコ ークスを全量輸入している。 しかし、近年のコークス価格高騰や、将来インドネシア国内における天然ガスの国内需 給バランスが崩れることが予想されるなか、自国産石炭を用いたコークス製造が嘱望され ている。このような状況下、インドネシアでも低品位炭を用いた鋳物用コークスの製造研 究が進められているが、品質等の問題により実用化には至っていない。 インドネシア政府としては、コークスを用いる高炉法による一貫製鉄所の建設、近年の 天然ガスの価格上昇、さらには近い将来の天然ガスの国内需要増加が想定されるため、自 国産石炭によるコークスの製造を指向している。また、我が国においてもコークスの製造 に使われる粘結炭の安定供給に課題を有している。そこで、インドネシアの国土全域に広 がっている約1,000 億トンもの石炭資源のうち、そのほとんど(85%)を占める褐炭、亜 瀝青炭などの低品位炭を活用したコークスを製造する技術の開発が期待されている。 本調査では、日本のコークス製造技術を用いて、インドネシア炭からの鋳物用、高炉用 コークス製造の可能性を検討すると共に、その事業化を促進するために、市場規模が小さ い鋳物用コークスの用途開発、及び高炉用コークスの需要動向を把握し、コークス製造の 事業化の可能性を検討することを目的とする。 1.2 事業概要 平成21年度NEDO国際石炭利用対策事業「インドネシアにおけるコークス需要等調 査」において、以下の点が確認されている。 ①tekMIRAの鋳物用コークス製造研究にはコークス強度が低いという課題があるが、 少量ラボ試験から日本のバインダー技術で解決できる可能性があることを確認でき た。 ②但し、インドネシアの鋳物用コークス需要は、5万t/年と小規模であり、その事業 化には、鋳物以外の用途開発も重要である。 ③石炭分析の結果では、中央カリマンタンに準強粘結炭が賦存している。 ④インドネシアの原料炭資源量の確認が必要であるが、日本の低品位炭使用技術を用い れば、インドネシア原料炭のみで、通常のコークス製造法でも高炉用コークスを製造 できる可能性がある。 今回調査では、上記知見を踏まえて、①インドネシア炭の資源調査(原料炭の資源量、 褐炭品質、採炭コスト)、②tekMIRAの鋳物用コークス製造の技術検討(tekMIRA試験 設備でのバインダー改善試験、鋳物以外の用途開発試験、実機プロセスのイメージ検討)、 ③高炉用コークス製造の可能性調査(インドネシア炭の試験炉試験、高炉用コークスの需
6 要調査)を行い、インドネシア炭からのコークス製造の事業化の可能性を調査する。 1.3 事業内容 ①インドネシア炭の資源調査(伊藤忠商事、新日鐵化学) (ⅰ)中央カリマンタン州を中心に、原料炭サンプルの入手及びその資源量、開発動向 を調査し、その中から日本でのコークス化性試験用のサンプルを確保する。(平成 22 年度) (ⅱ)バインダー製造試験用の褐炭サンプルの入手、性状分析を行い、その中から日本 でのバインダー試験用のサンプルを確保する。(平成22~23 年度) ②成型コークス製造の技術検討 (ⅰ)成型コークスの品質改善試験 (a) tekMIRA 試験設備でのバインダー改善試験(平成 22 年度) (新日本製鐵、新日鐵化学、九州大学) 新日鐵化学で製造したバインダー(SOP)と現状の石油系バインダーを用いて、 tekMIRA 試験設備で鋳物用コークス(成型コークス)を製造し、その品質評価を行う。 なお、tekMIRA におけるコークスの製造及び日本への輸送にかかる費用は、日本側 が負担して実施する。 (b) 成型コークス製造条件の追加検討(平成 23 年度) (新日鉄エンジニアリング、新日本製鐵、九州大学) 平成22年度の tekMIRA 試験設備を用いたバインダー改善(SOP)試験では、 大幅なコークス強度改善が見られなかった。この原因検討のために、小型タブレッ トタイプ(φ40mm×20mm)の成型炭を用いて成型コークス製造条件を系統的に検 討する。 ・チャー製造条件; チャー化温度、使用低品位炭(褐炭、亜瀝青炭)を変更 ・SOP添加率; 添加率を変更(5~25%) ・バインダー変更: 褐炭等からのバインダーに変更 ・弱粘結炭の部分配合; 成型炭製造をチャーのみから弱粘結炭を一部加えて製 造する方法に変更 (ⅱ) 低品位炭からのバインダー製造試験 (新日鐵化学、九州大学、伊藤忠商事、新日本製鐵) 褐炭等の低品位炭から成型コークス用バインダーの製造試験を実施し、製造プロセ スの確認及び物質収支を取得する。得られたバインダーは小型試験装置で性能評価 を行う。さらに、原料となる褐炭の埋蔵量、採炭コスト、輸送インフラ、バインダ ー製造に必要な水素の入手可能性等を加味してバインダー製造用候補炭を選定し、 実機設置場所を想定して経済性を評価する。 (ⅲ)成型コークスの用途開発(新日鉄エンジニアリング)
7 新日鉄エンジニアリングで開発したシャフト炉式ガス化溶融炉でtekMIRA コーク スが使用できるかを、(ⅰ)で製造した tekMIRA コークスを用いて、新日鉄エンジニ アリングの評価試験装置で評価する。 (ⅳ)成型コークス製造プロセスの実機イメージの検討 (新日鉄エンジニアリング、新日本製鐵、新日鐵化学、九州大学) 現状のtekMIRA 試験装置は、発生乾留ガスを放散しており、熱効率改善等の課題 が残されているため、tekMIRA プロセスをベースにした実機イメージを作成し、実 機化のための課題を抽出する。これらの課題解決のためのプロセス選定を行い、全 体プロセスフローを構築、成型コークス製造パイロットプラントの概念設計を実施 する。そのためのベースデータ収集として、②(ⅰ)の他に、チャー化時に生成す るタールの性状調査等のラボ試験を行う。 ③高炉用コークス製造の可能性調査 (ⅰ) 高炉用コークス製造試験用のバインダー入手(新日鐵化学、伊藤忠商事) H21 年度 NEDO 調査結果では、インドネシア原料炭のみでは高炉用コークスが製 造できない可能性が高かったので、その他対策として、バインダー添加を検討してい る。なお、バインダーは低品位炭(褐炭)から製造するものとし、②(ⅱ)の成型コー クス用バインダーとの併産の可能性を検討する。 (ⅱ) 高炉用コークス製造の試験炉試験(平成 22 年度)(新日本製鐵、九州大学) 入手したインドネシア原料炭と上記バインダーを用いて、日本のコークス試験炉で 実際にコークスを製造し、品質評価試験を行う。なお、インドネシア原料炭が少量し か入手出来ない場合、インドネシア原料炭と同等の品質を有する豪州炭を選定してコ ークス品質評価試験を行う。また合わせてインドネシア褐炭を使用する高炉コークス 製造の可能性を調査する。 (ⅲ) 高炉用コークスの需要調査(伊藤忠商事) H21 年度 NEDO 調査結果で入手したインドネシアのクラカタウ製鉄の高炉建設計 画の進捗を主体に、インドネシア及びその周辺国の高炉コークスの需要動向を調査す る。 ④tekMIRA との技術交流(九州大学) tekMIRA との共同研究調査の一環として、tekMIRA での成型コークス製造の他に、 石炭資源調査、インドネシアでのコークス需要調査、国内製鉄・鋳物メーカーの動向 調査等の支援業務を依頼すると共に、日本へ招聘して技術交流を行う。 ⑤インドネシア炭からのコークス製造事業の可能性検討(全実施者) 上記の①~④の調査結果及びインドネシア企業との連携の可能性調査から、インド
8 ネシア炭を用いたコークス製造及びバインダー製造に関する事業化の可能性を検討 する。 1. 4 事業計画日程 実施期間は、平成22 年 9 月 3 日から平成 24 年 2 月 29 日であり、計画日程は以下の通 りである。 H22 年度 H23 年度 第2 四半期 第3 四半期 第4 四半期 第1 四半期 第2 四半期 第3 四半期 第4 四半期 ①インドネシア炭 の資源調査 ② 成 型 コ ー ク ス 製 造の技術検討 ③高炉用コークス 製造の可能性 調査 ④tekMIRA との 技術交流 ⑤インドネシア炭 からのコークス 製造事業の可能 性検討 (褐炭手配及び資源調査) (褐炭等低品位炭からのバインダー製造試 (概念設計のための技術検討) (成型コークス製造設備の概念設計) (tekMIRA での試験) (鋳物用評価試験) (用途開発試験) (実機イメージ検討) (バインダー製造) (実機イメージ検討) (高炉用コークス需要調査) (成型コークスプロセス調査整 (褐炭、原料炭手配) (資源調査) 招聘 ( バ イ ン ダ ー 製 造 追 加 試 (成型コークス製造条件の追加検討)
9 1.5 実施体制 本調査は、国立大学法人九州大学、新日本製鐵株式會社、新日鐵化学株式会社、伊藤 忠商事株式会社、新日鉄エンジニアリング株式会社が共同で、下記の役割分担に従って、 各社の保有する試験施設、関連知見を活用して実施した。 NEDO 新日本製鐵(株) ・tekMIRA 試験 ・高炉用コークス検討 ・バインダー評価 新日鐵化学(株) ・石炭資源調査 ・バインダー製造・評価 伊藤忠商事(株) ・石炭資源調査 ・バインダーサンプル入手 ・高炉コークス需要調査 ・バインダー製造・評価 九州大学 ・tekMIRA 試験 ・バインダー製造評価 ・高炉コークス製造法の検討 ・チャー製造法の検討 ・tekMIRA 招聘 担当事業項目 ①,②(ⅰ,ⅱ,ⅳ),③(ⅰ),⑤ 担当事業項目 ②(ⅰ,ⅱ,ⅳ),③(ⅱ)、④、⑤ 全体まとめ 担当事業項目 ①,②(ⅱ),③(ⅰ,ⅲ),⑤ 担当事業項目 ②(ⅰ,ⅱ,ⅳ),③(ⅱ),⑤ 新日鐵エンジニアリング(株) ・tekMIRA コークス用途開発 ・tekMIRA の実機イメージ検討 ・成型コークスの製造法の概念設計 のための技術検討 ・成型コークス製造設備の概念設計 担当事業項目 ② (ⅰ,ⅲ,ⅳ),⑤ 全体まとめ 代表: 九州大学 持田勲 副代表:新日鐵エンジニアリング(株) 小林淳志
10 第2章 インドネシア炭の資源調査 2.1 原料炭調査 インドネシアで現在生産されている石炭鉱区から原料炭および高品位の一般炭が産出 されているケースは限定的である。増してや、その生産されている石炭の炭質を用途別に 分類しても、その約85%が一般炭に分類されるのが現状である。その中で、カリマンタン のBarito 炭田の夾炭層には一部原料炭特性を有する石炭が賦存していることが近年判明 してきた。石炭大手BHP Billiton 社の所有する中央カリマンタンの Maruwai 地区の 7 鉱 区(Lahai、Sumber Barito、Kalteng、Juloi、Pari、Ratah および Maruwai)などに一 部原料炭が賦存している事例がその顕著な例と言えよう。
尚、現在インドネシアにおいて原料炭を生産しているのは中央カリマンタンに位置する Marunda Graha Mineral(MGM)と Asmin Koalindo Tuhup(AKT)の 2 炭鉱(ともに PKP2B)だけであるが、その炭質は弱粘結性だと言われている。両社の生産鉱区はともに、 BHP Billiton 社が有する Maruwai 炭鉱に隣接しており、AKT は 2009 年末より商業生産 を開始し、MGM では年間 150 万トン程度を生産中である。
2010 年に中央カリマンタン州 Murung Raya 県のエネルギー鉱山局と環境局、ならびに 同州北Barito 県のエネルギー鉱山局を訪問して、それぞれ管轄県内の原料炭開発状況につ いて調査を実施した。
2.1.1 Barito Utara(北バリト)県エネルギー鉱山局
中央カリマンタン州Barito Utara 県の県都 Muara Teweh にあるエネルギー鉱山局を訪 問し、原料炭炭鉱の可能性を調査した結果は以下の通り。 北Barito 県における 2008 年の石炭生産量は 458,330 トン、2009 年の出産量は 1,146,801 トンと飛躍的に増加。2010 年は 2 百万トンを達成する。現在 80 社ほどが鉱業権を所有し ており、12 の炭鉱が既に生産段階に、また 7 つの炭鉱が近いうちに生産申請を提出する予 定であることから、今後北Barito 県での石炭生産量は確実に増加すると思われる。同地域 内の石炭品質は、概ね発熱量GAD 6,000kcal/kg を越えており、その出荷割合は国内・輸 出向け実績は凡そ半々。中でもPT Harfa Taruma Mandiri、PT Permata Mulya Agung の石炭は、発熱量が高くコークス用炭に期待が持てるとの見解が同県エネルギー鉱山局か ら示されたことから、サンプル採取等を生産者・鉱山局の担当者と調整を試みたが、残念 ながら提供されたサンプル採取状況が悪く酸化していた傾向あり、原料炭の特性の有無は 最終的に確認できなかった。
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表2.1.1-1 北 Barito 県の生産中炭鉱一覧表
炭鉱名 備考
1 PT Alam Bahtera Barito Raya 2 PT Sinar Barito Global
3 PT Victor Dua Tiga Mega
4 PT Padaidi 旧PT.Manasai Sumber Makmur 5 PT Duta Nurcahya 旧 PT.Suryabara Tambang
Malas 6 PT Harfa Taruna Mandiri
7 CV Hikmah Yaya Abadi 8 PT Batarau Perkasa 9 PT Padang Anugrah 10 PT Mega Multi Energi
11 PT Permata Mulya Agung 生産中止、1 年以上貯炭が山積み 12 PT Cakra Andatu Sukses Makmur 生産中止
表2.1.1-2 北 Barito 県の生産申請予定炭鉱一覧表
炭鉱名 備考
1 PT Trisula
2 PT Batubara Dua Ribu Abadi 3 PT Energitana Bumi Aram 4 CV Banda Kandung 5 PT Hambaran Mulya
6 PT Suprabari Mapanindo Mineral 7 PT Bumi Karamia Pertiwi
12 また、北Barito 県エネルギー鉱山事務所の組織は以下の通りである。局長の下に 5 つの課 が存在し、エネルギーと鉱物などの管理を行っている。 図2.1.1-1 北 Barito 県エネルギー鉱山局組織図 2.1.2 Murung Raya(ムルンラヤ)県エネルギー鉱山局 中央カリマンタン州Murung Raya 県では、34 社ほどが鉱業権を有しており、現在生産 中のMGM と AKT を筆頭に、BHP Billiton/Adaro の Maruwai プロジェクトの早期開発 が期待されている地域である。同県の県都Puruk Cahu に事務所を構える同県エネルギー 鉱山局を訪問・調査した際に入手した石炭サンプルの品質解析結果からは、原料炭が賦存 している可能性が示唆されたことから、同局を訪問し、原料炭炭鉱の可能性を聴取した。
13 なお、Murung Raya 県エネルギー鉱山局の組織は次頁の通りである。 図2.1.2-1 Murung Raya 県エネルギー鉱山局組織図 平成 21 年度に入手した石炭サンプルのうち、品質解析結果が最も良好だったのは Borneo Prima 炭であった。平成 22 年度調査では、当該炭鉱区域に絞って現地調査を試み ることにしたが、同鉱区は環境許認可が未取得だったため、現在活動は停止中であること が判明した。同鉱山局と打ち合わせの結果、平成23 年度調査では Borneo Prima 炭鉱区 域への訪問は断念し、その代わり同局の許可の下、その周辺区域のLahai 村を周回し、付 近に点在する露頭炭サンプル採取を試みることにした。
1) Murung Raya(ムルンラヤ)県 Lahai 村付近調査
Lahai 村までの行程では、Puruk Cahu から北へ車で約 4 時間移動し、その間に点在す る露頭より石炭サンプルを採取した。通行した道路は木材の運搬道路であり、道幅は 5m-10m 程度、数箇所軟弱路面もあったが概ね順調に通行できた。石炭路頭は道路脇の側 壁や道路脇など、予想以上に簡単に散見することが出来た。資料採取は其の中でもカロリ ーが高く炭丈が厚いと思われる6 箇所から採取した。以下に採取箇所の状況を示す。
14 図2.1.2-2 Murung Raya 県の鉱区地図 ① サンプル採取 1(南緯 00.15.27.7、東経 114.21.19.2、海抜 379m)。木材道路の脇に 石炭の露頭が出ており、道路の中央部では下盤の頁岩が確認できた。 石炭サンプル1 露頭-① 石炭サンプル 1 露頭-② Puruk Cahu Lahai 村
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②サンプル採取2(南緯 00.14.05.6、東経 114.21.53.3、海抜 412m)。道路の側壁に何層 もの炭層を確認。挿みはあるが、全層厚は5-6m。
石炭サンプル2 採取状況
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③サンプル採取3(南緯 00.04.03.9、東経 114.22.10.5、海抜 470m)。この露頭は層厚 1.5m。
石炭層の状況
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④サンプル採取4(南緯 00.03.38.3、東経 114.22.06.4、海抜 466m)。
露頭の状況
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⑤サンプル採取5(南緯 00.07.38.3、東経 114.20.56.8、海抜 475m)。この箇所は既に石 炭を重機で採掘していた形跡あり、違法採掘の現場の可能性大。層厚2m。
一部採炭された後
19 2)Murung Raya(ムルンラヤ)県の原料炭開発の展望 将来的にはBHP Billiton 社の Maruwai 地区の 7 鉱区を始めとして、中央カリマンタン 地域の開発は急務の状況にあると言えるが、同地域特有の問題として新たな輸送手段の確 保が必要となる。それはカリマンタンには鉄道がないため、石炭輸送はトラック輸送およ び河川におけるバージ輸送に限定されているのが現状である。特にMurung Raya 県内に おける炭鉱群にとっては、その多くが内陸部奥地に所在しており、また同地域には開発活 動が制限される自然保護林が広範囲にわたって点在している一方で、Barito 川の河川上流 では小型バージしか運航できず、乾季には運航が中断される状況にあるため、安定的な輸 送システムの確保が、大きな課題となっている。昨今では、中国勢やロシア勢、インド勢 などが同地域の権益取得に旺盛であり、炭鉱開発に関する環境許可等を申請する際、その 輸送手段となるトラックの道路建設を Barito 川の河川下流まで延長させる建設計画等を 同時に申請しているケースが多く聴取された。なお、現在Murung Raya 県における炭鉱 34 社の開発・活動状況を以下に示す。 表2.1.2-1 Murung Raya 県の炭鉱 34 社の開発・活動状況 種類 炭鉱名 鉱区面積(ha) 開発段階 活動状況 CCoW PT Juloi Coal 95,590 探査2 休止
PT Kalteng Coal 45,250 FS 休止 PT Sumber Barito Coal 44,650 FS 休止 PT Maruwai Coal 48,860 建設 休止 PT Lahai Coal 46,620 建設/探査 1 休止 PT Ratah Coal 36,490 探査2 休止 PT Marunda Graha Mineral 18,084 生産 活動中 PT Asmin Bara Jaan 7,298 FS 活動中 PT Asmin Bara Bronang 24,980 FS 活動中 PT Asmin Koalindo Tuhup 21,640 生産 活動中 IUP 探査
2005 年
PT Murung Raya Coal 16,420 探査 活動中 PT Laung Tuhup Coal 12,820 探査 活動中 PT Tuhup Coal Mining 22,180 探査/FS 活動中 PT Borneo Bara Prima 13,050 探査
PT Pacific S. Perkasa 11,480 探査 活動中 PT Antang Surya Persada 10,000 探査 活動中 IUP 探査
2006 年
PT Pusaka Tamah Persada 24,830 探査 活動中 PT Joloi Jaya Energi 14,330 探査 活動中 IUP 探査
2007 年
PT Hanson Coal Energi 14,770 探査 活動中 PT Jonavin Barito Abadi 17,170 探査
20
PT Kuda Perdana Pertiwi 21,440 探査 活動中 PT Bumi Barito Mineral 19,920 探査 活動中 IUP 探査 PT Loa Haur 5,000 探査
PT Andaran Usaha Jaya Prima
7,458 探査
PT Batu Mulia Kalimantan 5,148 探査 PT Muraya Prima Coal 9,795 探査 PT Huma Amaz Indonesia 21,300 探査 PT Ut Murung Mineral 8,331 探査 PT Petak Malai Buluh
Merindu
9,161 探査
PT Alam Bumi Karya Abadi 6,410 探査 PT Semesta Alam Barito 5,105 探査
IUP 生産 PT Bara International 14,990 生産 活動中 PT Daya Bumindo Karnia 14,800 生産 活動中 PT Borneo Prima 15,000 生産 停止中
21 2.2 褐炭調査 2.2.1 褐炭資源動向調査 2.2.1.1 インドネシアにおける低品炭の分布状況 図2.2.1-1に示すようにインドネシアには 11 炭田が列島の中心に広範囲に分布して いるが、経済的に重要な石炭鉱床は全て列島の西部、即ちスマトラ島とカリマンタン島に 分布する。石炭の地質年代は二畳紀―石炭紀から新第三期鮮新世まで多様である。水分を 多く含む低発熱量の低品位炭は、スマトラ南部およびカリマンタン東部・南部の新第三紀 に属する海成堆積層中に広く分布している。 図 2.2.1-1 インドネシア炭田分布図 (出店:インドネシア地質庁) (1)東カリマンタン―Bulungan 地域 地質資源総局が公表している地域地質図に基づくとBulungan 地域での石炭を夾在する 層序は、Sajau 層(年代は洪積世)と Tabul 層(年代は中新世)である。Sajau 層の厚さ は600-2000mであり、Tabul 層の厚さは約 600mである。Tabul 層は Sinjin 層の火成岩と 不 整 合 に 累 重 し て い る 。Tabul 層 を 採 掘 対 象 と し た 炭 鉱 に は PT Emas Hitam Coalindo(EHC)、PT Srijunta Bharata Yudha (SBY)そして PT Anggrek Hitam Coalindo (AHC)があり、厚さ 0.3~2.55m の露頭が散見される。炭層の走行は SE-NW であり、傾 斜は9~23 度である。褐炭の物理的な特徴として黒色、褐色と黒っぽい褐色の筋模様があ り、鈍光沢、稀に松ヤニに黄鉄鉱を含んでいる。
Sajau 層を対象とした炭鉱には PT Pesona Khatulistiwa、PT Delma Mining そして Bunyu 島の PT Garda Tujuh がある。この層の特徴は、40-55%の高い全水分を持つ低品 位炭であり、東カリマンタンの海岸線に近いために低コストでの運搬が可能である。
22 (2)南カリマンタン-Katingan 県と周辺地域
Katingan 県とその周辺地域は低品位炭の層である Dahor 層と Warukin 層からなって いる。Dahor 層は第三紀から第四紀となる後期鮮新世から初期洪積世に含まれ、発見され ている炭層の厚さは0.3~3m である。Warukin 層は新第三紀中新世の堆積層であり、Berai 層とMontalat 層に整合に累重している。当該地域の低品位炭の情報は PT Segah Energy Resources と PT Kapuas Bara Utama から得ている。Dahor 層には一般に約6つの夾炭 層が存在し1~2m の厚さとなっている。Warukin 層には最小でも5つの夾炭層が存在し、 KBU 鉱区では炭層厚が 0.5m 以上である。
(3)南スマトラ
南スマトラの低品位炭の地層はMuaraenim 層と Air Benakat 層である。Muaraenim 層の厚さは200-400mであり、Air Benakat 層の厚さは 100-200m である。Muaraenim 層を対象としているPT Sriwijaya Prima Energi 鉱区では厚が1mから 19mの範囲にある 炭層が4枚存在している。炭層の傾斜は6~8 度であり、単傾斜構造の方位は北東である。 褐炭は色が褐色で木片を含む柔らかい石炭である。
2.2.1.2 低品炭現地調査(東カリマンタン州Bulungan 県) (1)PT. Pesona Khatulistiwa Nusantara
低品炭現地調査は、東カリマンタン州 Bulungan 県にある PT. Pesona Khatulistiwa Nusantara(以下、PKN とする)の褐炭鉱区で実施された。PKN は PT. Bhakti Energi Persada(以下、BEP とする)が所有する石炭鉱区(CCOW)所有会社であり、BEP は PKN の他に同じ東カリマンタン州の Muara Wahau 県に7つの鉱区がグループとして隣 接している石炭(褐炭)鉱区も所有している。PKN の位置を図2.2.1-2に示す。当該 地域にはPKN の南に同じ褐炭鉱区である PT. Delma Mining Corporation がある。PKN 鉱区は北からKelubir 地域、Sekayan 地域(図では Wonomulyo と記載されている)そし てMangkupadi 地域からなり、総面積は 23,646km2である。Kelubir 地域では 2009 年 9 月から生産を開始し、Sekayan 地域では探査を終了し 2011 年からの生産を計画している。 Mangkupadi 地域での探査は未だ始まっていない。
23 図2.2.1-2 PKN 鉱区位置図 1)地質構造(Berau-Bulungan 亜堆積盆) 中新世中期から後期の夾炭層には高揮発分瀝青炭が含まれ、その上の鮮新世の地層には 褐炭が含まれる。両層は整合の関係にあり、岩相が異なる。水分は基底部の 9%から最上 部の 20%まで時代が新しくなると増加する。その上の褐炭層ではさらに多く 40%を超え る。
地質構造は北部ではNW-SSE 方向の Rantau Panjang 背斜が支配的で、南部ではこれ がSE 方向に振れる。東や西側に他の褶曲がある。地層の走向が一般に東西方向なのは断 層の影響か早期のMangkalihat 山脈に係わる構造の反映と考えられる。 炭層はRantau Panjang 背斜の西翼で約 70 層が確認されている。この炭層のあるもの は横方向に数km追跡できる。層厚は0.2m から 5m の間で、夾炭層の層厚 1,275m に対 して炭層の総厚は 111m に達する。Samburata 川の 7km 北では夾炭層が最も厚くなり 2,250m と記録されている。地層の傾斜は西へ 40-50°で所々小型の断層で乱されている。 炭鉱で記録された断層の落差は1.5m である。Rantau Pajau 背斜の東翼ではいろいろな層 厚の炭層が少なくても 18 層確認されている。最下位の炭層は西翼で確認されている最下 位の炭層の300m 上位にある。 地域の層序はBirang層、Lati層、Domaring層そしてSajau層から成っている。Birang 層は石灰岩と凝灰岩を挟む泥灰土からなり、Lati層は粘土岩を挟んだ珪質砂岩、頁岩及び 炭層を夾在する。Domaring層は湿地や沿岸部での堆積体であり、石灰岩、泥灰土及び炭 層を夾在する。Sajau層は主要な層序であり、粘土岩とシルト岩の互層、砂岩そして褐炭 層を夾在する。 2)PKN資源量と炭質 PKN の資源量は Kelubir 鉱区で 35 百万t、Sekayan 鉱区では 228 百万t、埋蔵量は
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Kelubir 鉱区で 20.3 百万t、Sekayan 鉱区で 88.9 百万tである。Kelubir 鉱区での生産 計画量は150 万t、Sekayan 鉱区では最終的に 400 万tである。Kelubir 鉱区での採掘対 象炭層は1 層であり、厚さは 4~7m、平均剥土比は 4.5 である。
炭鉱側から提供されている石炭分析値を表2.2.1-1に示す。別途、石炭サンプルを 日本に搬入して分析した結果を表2.2.1-2に示す。
表2.2.1-1 PT. Pesona Khatulistiwa Nusantara のデータ 石炭性状
発熱量 全水分 灰分 揮発分 固定炭
素 全硫黄 灰融点
kcal/kg %(ar) %(ad) %(ad) %(ad) %(ad) ℃ 3,376(gar) 5,436(gad) 47.15 4.54 41.85 39.18 0.15 1,250(Re.) 1,279(Ox.) 元素分析(%(db)) 炭素 酸素 水素 窒素 硫黄 67.97 25.57 5.02 0.81 埋蔵量(Mt) 5.594 百万トン 表2.2.1-2 石炭分析結果(PKN) 分析項目 炭鉱資料 JCOAL 分析結果 全水分 47.15% (AR) 43.3% (恒湿水分) 固有水分 16% (ADB) 揮発分 41.85% (ADB) 48.1% (ADB) 灰分 4.54% (ADB) 5.8% (ADB) 発熱量 5,524cal/g (DAF) – 新発熱量 3)現場状況 ①生産量と販売先 石炭生産はKelubir 地域だけで実施されている。生産量は 2010 年 70 万tであるが、2011 年には150 万tへの増産が計画されていて、その数量は既に完売済みである。全量輸出で、 インドを筆頭に、タイ、フィリピン、中国のトレーダーに販売されている(直接最終顧客 への販売はない)。 ②石炭バージ積込設備 原炭を採掘ピットからトラック(20t)で 16km 輸送し、河口近くの原炭ヤードに貯炭 する。原炭貯炭能力は30,000t であり、原炭をクラッシャーで破砕し整粒(50mm アンダ ー)炭は貯炭能力 50,000tのヤードに積まれる(高さ 3m 以上)。バージ積み込み能力は
25 (約400t/hr である。原炭は原炭ホッパーへ投入され、ホッパー下のチェーンフィーダー でベルトに載せられる。その後、原炭は1次と2次クラッシャーで最終調整される。原炭 サイズは50cm を越える大塊も多く含まれ、2 回の破砕では 50mm アンダーにサイズを調 整することはできない。炭鉱は自然発火対策として意図的に50mm 以上の石炭を 10~15% 程度生産している。粉砕、貯炭、バージ積込操業はPKN の従業員(約 50~60 人)で行な っている。石炭処理設備とバージ積込施設の状況を図2.2.1-3に示す。 ③石炭輸送 河に面した貯炭場から8,000t のバージに積み込み、水深 25m 程度の Enchorage Point となっている沖合い(タラカン島との中間地点)まで約40km を輸送し本船(パナマック ス可能)に沖積する。 図2.2.1-3 PKN バージ積込施設(原炭貯炭、クラッシャー、精炭貯炭等) ④採掘状況 採掘体制:2 つのピットに2つのコントラクター(地元の中小企業と思われる) を使用している。コントラクターは 11 時間シフト(+残業 1 時間)で週毎にシフト を交代させている。週6 日は 2 シフト、日曜日だけ 1 シフト操業である。年間稼働日
26 は祝祭日を除く360 日。 リース:コントラクターは生産量(剥土や石炭)によって報酬を支払う。重機リ ースは時間当たりで機械(トラックやバックホー)とオペレータの費用を支払うシス テムで、作業内容は PKN 指示に従う。当該炭鉱ではリースとして原炭運搬と採炭作 業をカバーしている。 使用重機:3.2~3.5m3 バケットのバックホーが主体。剥土は粘土が主体であり、 柔らかく、バックホーだけで十分に剥土が可能。 自然発火:貯炭時の温度を管理し、55 度以上であれば自然発火の可能性が高いと判断して いる。貯炭場では自然発火の発生が数回あるが、船積後の航海中に自然発火が発生したと の苦情を受けていない。 (2)Delma Mining バインダー用低品位炭として候補としてサンプル提供を依頼したDelma Mining は東カ リ マ ン タ ン 州 Bulungan 郡 の 北 Tnajung Palas 郡 の Tanah Kuningmura 村 と Mangkupadi 村に広がる石炭を開発している。鉱区は 20,160ha であり、Tanjung Selor とTanjun Redeb の二つの町の間に位置する。1997 年に中央政府から認可された CCoW の第3 世代の炭鉱である。近接する PT,Pesona Khatulistwa Nysantara と同じ石炭を対 象としている。南にはPT.Berau Coal が、北には PT.Mandiri Intiperkasa が操業してい る。埋蔵量は3.3 億t、水分は 51%~62%である。 ・ 鉱区面積:20,160ha ・ PT.Delma Mining ・ 剥土比:5 以下 ・ 埋蔵量:3.3 億トン ・ 開発状況:探査中 ・ 周辺インフラ:無し 表2.2.1-3に Delma Mining のデータを示す。 表2.2.1-3 Delma Mining のデータ 石炭性状 発熱量 全水分 灰分 揮発分 固定炭素 全硫黄 灰融点
kcal/kg %(ar) %(ad) %(ad) %(ad) %(ad) ℃ 4655 51-62 1-6 42-47 32.6-35 0.14-0.23 元素分析(%(daf))
炭素 酸素 水素 窒素 硫黄
― ― ― ― ―
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また、表2.2.1-4には JCOAL で実際に採取したサンプルの分析結果を、図2.2.1 -4にDelma Mining 鉱区の位置を示した。(No584)
表2.2.1-4 JCOAL 採取サンプル(Delma)の分析結果 図2.2.1-4 Delma Mining 鉱区位置 2.2.2 褐炭入手サンプル バインダー製造試験用のインドネシア褐炭としては表2.2.2-1に示す低品位炭をサ ンプルとして入手した。 石炭分析 全水分 % AR 水分 % ADB 灰分 % ADB 揮発分 % ADB 固定炭素 % ADB 高位発 熱量 Kcal/kg 炭素 % DAF 水素 % DAF 全硫黄 % DAF 窒素 % DAF 灰分 % DAF 酸素 % DAF 粉砕性 Delma 1 (露頭1) 51.2 6.5 8.9 47.4 37.2 5261 59.59 4.58 0.74 0.60 9.50 24.99 80 Delma 2 (露頭2) 58.7 7.2 1 48.2 43.6 5500 65.16 4.39 0.16 0.65 1.1 28.56 74 灰分析 SiO2 Al2O3 TiO2 Fe2O3 CaO MgO Na2O K2O SO3 P2O5 MnO Li2O V2O5 Delma 1 (露頭1) 92.5 3.36 0.06 0.84 0.07 0.03 0.32 0.15 0.03 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 Delma 2 (露頭2) 9.3 28.5 0.24 44.2 4.25 2.72 0.95 0.26 5.27 0.06 0.14 0.03 <0.01 鉱区位置
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表2.2.2-1 入手した低品位炭
炭鉱名 石炭名 採取時期 地域
PT. Ilthabi Bara Utama(IBU) H22.11 東カリマンタン PT.Bhakti Energi Persada(BEP) Wahau H22.11 東カリマンタン PT.Baramutiara Prima No1 Cinta H22.10 南スマトラ PT.Baramutiara Prima No2 Strada H22.12 南スマトラ PT Pendopo Energi Batubara H22.11 南スマトラ
PT.Adaro Wara H22.10 南カリマンタン PT.Delma Mining H22.11 東カリマンタン また、表2.2.2-2にその試験結果を示す。全水分は 50%こえるものが多く、Delima 炭鉱の63.3%が最高であった。硫黄分は全て 1%以下であり、灰分も 10%以下とかなり低 く、環境対しては良好な石炭と言える。 IBU 炭はシリカやアルミナ成分が少なく、鉄分やカルシウム分が高く灰融点が低い印象 を受けた。然し、実際の融点試験では融点は 1,500℃以上となった。これは、鉄分やカル シウム分の割合が高すぎることが要因と考えられる。両成分は一般に融点を引き下げるが、 割合が多すぎると逆に融点を上げる要因となる。BEP 、PT.Baramutiara Prima の石炭 はシリカ分とアルミニウム分が多い結果となり、灰分融点はそれぞれ1500℃を越えている。 Pendoko 、Adaro、Delma の灰溶融点は 1500℃以下であった。
石炭の硬さに関しては全てHGI の測定値が 50 以上と大変柔らかい数値を示した。現地 調査におけるBEP 炭は非常に固く感じられたが、HGI は 85 であった。
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表2.2.2-2 褐炭サンプルの試験結果
30 2.2.3 インドネシア低品炭の生産状況と価格推移 2.2.3.1 生産量推移 インドネシアの市場別石炭生産量推移は Wood Mackenzie の資料によると以下の表2. 2.3-1に示されるように毎年増加傾向を維持している。 表2.2.3-1 市場別石炭生産量(単位:百万トン) 市場 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年(予測) 原料炭輸出 2.2 2.8 4.0 5.7 原料炭国内 - - 0.2 0.4 一般炭輸出 189.3 215.7 244.5 268.1 一般炭国内 39.0 43.8 52.2 66.4 合計 230.5 262.3 300.9 340.6
石炭生産量の増加は主に大規模炭鉱であるAdaro, Arutmin そして Kaltim Prima Coal 炭鉱等の増産に依存している。国内への石炭供給量は新規の石炭火力発電所の建設に伴い 大きく増加して行くものと推測されている。2020 年までに国内供給量は 133 百万トンに 達し、一方で輸出量も274 百万トンに達するが、それ以降は資源量の枯渇により石炭生産 量は減少傾向を示すと予測されている。 インドネシアの原料炭生産量は依然少量であり、弱粘結炭やPCI から成っている。中部 カリマンタンの Maruwai の生産開始に伴って、原料炭の生産量も増加すると期待される が、生産量を増大させるには輸送インフラの整備が不可欠である。 インドネシアでの一般炭品位の幅は広く、瀝青炭、亜瀝青炭そして低品位炭から成って いる。到着ベース(gar)での発熱量に基づいて、瀝青炭は 5,400kcal/kg 以上、亜瀝青炭 は4,500~5,400kcal/kg、そして低品位炭は 4,500kcal/kg 以下としている。インドネシア の瀝青炭 FOB 価格は豪州ニューキャッスルでの 6,322kcal/kg(硫黄 0.6%adb、灰分 13-15%adb)の瀝青炭ベンチマーク価格と関係付けられている。インドネシア亜瀝青炭の 価格はニューキャッスル瀝青炭ベンチマーク一般炭価格から割引かれている。インドネシ アでベンチマークとなる亜瀝青炭の一般炭銘柄は5,100kcal/kg(gar)の Adaro Envirocoal であり、硫黄0.1%adb そして灰分は 2.0%adb である。
インドネシアの低品位炭は技術的定義では褐炭として分類されるが、国内や輸出市場に おいては低品位炭として取り扱われている。低品位炭の一般炭ベンチマーク銘柄は 4,140kcal/kg(gar)の Arutmin Ecocoal であり、硫黄分が 0.3%(adb)そして灰分が 5.5%(adb)である。低品位炭の生産量は 2005 年に 5.5 百万トンであったが、今後は大幅に 増加することが予想される。
31 インドネシアにおいてカリマンタン島が石炭生産の主要地である。特に、沿岸地域の炭 鉱、マハカム河流域炭鉱そしてバリト河流域炭鉱が石炭輸送にバージを利用できるため、 石炭生産に占める割合は非常に高い。スマトラ島からの石炭生産は今後の国内炭需要や PTBA の拡大によって増加すると期待されている。しかし、スマトラ島ではバージ輸送に 適した河川がなく、鉄道輸送や港湾などのインフラが石炭生産を拡大するために必要とな る。 2.2.3.2 価格推移 (1)国際石炭価格指標 インドネシアの輸出用石炭価格についての国際的な価格指標は、2007年頃までは殆どな かった。国際的な石炭市場で取引される石炭については、Barlow Jonker Index等の価格 指数があり、現状の石炭価格や価格推移が明らかになっている。これらの価格指数では、 一般炭で主に取引されている6000~6800 kcal/kgの瀝青炭で、主要産炭国である豪州や米 国の石炭を基準とするものが多い。アジア地域対象でも豪州の石炭が中心となっており、 インドネシア炭ではFOB Kalimantan基準の6300kcal、5200kcal(到着ベース総発熱量) が指数として設定されているのみであった。 イ ンドネ シア の輸出 用炭 は、一 部の 瀝青炭 を除 いて比 較的 発熱量 が低 いこと や、 5000kcal/kg 程度の亜瀝青炭の輸出量も増加してきているが、一方、豪州炭等よりも低灰 分、低硫黄の特徴がある。また、インドネシアは2004 年に豪州に次いで世界で 2 番目の 石炭輸出国となり、一般炭だけでは世界一となったが、米国、豪州を中心とする石炭価格 指数が必ずしもインドネシア炭の価格状況を反映していないことや、インドネシアの石炭 価格が他国で形成される市場価格に影響を受けることを避けるため、インドネシア石炭鉱 業協会等を中心にしてインドネシア炭独自の価格指数である Indonesian Coal Index (ICI)を設定することとし、3 種類の ICI-1(6500kcal/kg)、ICI-2(5800kcal/kg)、ICI-3 (5000kcal/kg)を公表した(発熱量は到着ベースの総発熱量)。価格は石炭会社、ユーザ ー、貿易会社等により設立されたPT Coalindo Energy 社が、石炭会社 10 社、ユーザー10 社、商社等社等からの価格情報を毎週収集し、上下10%を除去した後に設定され、さらに エネルギー関係情報の主要会社の一つである英国 Argus 社の市場情報による評価を加え てICI として報告しており、50%の先物取引価格と 50%の実質価格から構成されている。 国際市場での石炭価格は2003 年頃から上昇し始め、2007 年の後半からは中国、インド 等の需要増加を背景とした需要逼迫に加え,輸出国の輸送インフラ制約と生産国に於ける 異常気象と生産障害に伴う供給低下により価格が急騰し、日本への豪州一般炭価格は前年 比2.3 倍の 125US$/t、原料炭は 3 倍の 300US$/tという水準になった。この間、インド ネシアでも中国、インドからの引合いが多くなり、これまであまり取引のなかった 5000kcal/kg 以下の低品位炭の取引も増加してきたことから、2008 年 7 月より ICI-4 とし て4200kcal/kg の石炭の価格指数を設定し報告を始めた。この ICI-4 は、現在の価格指数 では最も低発熱量のものである。各 ICI の指数の設定条件を表2.2.3-2に示したが、
32
ICI-4 は灰分 6%以下、硫黄 0.4%以下とインドネシア炭の特徴でもある良好な性状も持っ ているが、水分は40%までと高くなっており、亜瀝青炭から褐炭の範囲の石炭が対象とな る。
表2.2.3-2 Indonesian Coal Index の銘柄性状
FOB Kalimantan グレード Timing Sulphur Ash Total
Mosit. Basis Size 6,500kcal/kg In 90 days ~1% ~ 12% ~12% Gross As Received Panamax 5,800kcal/kg ↑ ~0.8% ~ 10% ~18% Panamax 5,000kcal/kg ↑ ~0.6% ~8% ~30% Panamax 4,200kcal/kg ↑ ~0.4% ~6% ~40% Tug and
Barge
2009 年以降、さらに低炭化度の石炭が購入対象となりインド等へ輸出されるようになっ たことから、これまで市場性が無いとされてきた3000kcal/kg 台の低品位炭も市場に出回 るようになった。このため、現在より低発熱量の石炭をICI-5 として設定することを検討 している。ICI-5 の条件は、3,400 kcal/kg (GAR), S <0.2%, Ash <4%, TM 45%-50% となっている。インドネシア炭の価格推移(Argus/Coalindo)を図2.2.3-2に示して いる。低品位炭である4,200kcal/kg(gar)の FOB 価格が 2010 年 6 月以降 40US$/t 以上 で推移している。 図2.2.3-1 インドネシア発熱量別石炭価格推移(出典:エネルギー鉱物資源省) 0 20 40 60 80 100 120 140 M o nt hl y Av e ra ge Pr ic e (U $ /t o n ) Month‐Year
( g /
)
6,500 GAR 5,800 GAR 5,000 GAR 4,200 GAR33 (2)ICPR の設定方法
Indonesian Coal Price Reference(ICPR)は、ICI、Platts等の4つの国際価格指標の単 純平均値を基に1ヶ月ごとに設定している。基準となる石炭は、発熱量6322kcla/kg(gar)、 全水分8%、全硫黄0.8%、灰分15%であり、この価格を最初に設定後、これに基づいて発 熱量別の8種の標準炭の価格を算出する。ICPRの設定価格等については、毎月エネルギー 鉱物資源省から公表されている。 表2.2.3-3に 8 種の標準炭銘柄と性状および 2011 年 2 月の価格を示した。 2011 年 2 月の基準炭の価格は 127.05US$/t であったが、 表2.2.3-3の標準炭 1-7 については下記の式により価格を算出する。 標準炭の価格=(基準炭価格×K×A)-(B+U) K:標準炭発熱量/6322* A:(100-標準炭全水分)/(100-8*) B:(標準炭全硫黄-0.8*)×3 U:(標準炭灰分-15*)×0.3 *:基準炭性状の値 また、標準炭8 については、上記の式のAを下記に変更する。 A:(100-標準炭全水分)/(100-8/FKA) FKA:(((100-8)/(100-標準炭全水分))×100-標準炭全水分)+(100-8))/100 この式に従ってGunung Bayan I の基準価格を求めると; 基準価格=[127.05US$/t x(7000/6322)x {(100-10)/(100-8)}]-(1.0 – 0.8)x3 – (15-15) x 0.3 =137.02US$/t 表2.2.3-3 ICPR の標準炭の性状と価格 番 号 ベンチマーク銘柄 炭 発熱量 (kcal/kg,GAR) 全水分 (%,ar) 全硫黄 (%,ar) 灰分 (%,ar) 基準価格 (2011 年 2 月) 1 Gunung Bayan I 7,000 10.0 1.0 15.0 137.02 2 Prima Coal 6,700 12.0 0.6 5.0 132.39 3 Pinang 6150 6,200 14.5 0.6 5.5 119.25 4 Indominco IM_East 5,700 17.5 1.6 4.8 103.29 5 Melawan Coal 5,400 22.5 0.4 5.0 95.62 6 Environcoal 5,000 26.0 0.1 1.2 87.06 7 Jorong J-1 4,400 32.0 0.3 4.2 70.26 8 Ecocoal 4,200 35.0 0.2 3.9 63.34
34 他の石炭については、発熱量に対応した標準炭の価格を基に、発熱量、全水分、全硫黄、 灰分の各性状値を係数にした式により価格が算出され、現在インドネシア炭の60銘柄に価 格が設定されている。この算出式は1年毎に見直されることになっている。また、ICIで は発熱量3,500kcal/kgの石炭について、ICI-5として価格指標の設定を検討していることか ら、ICPRも4,200kcal/kg以下の低品位炭について標準炭の設定を準備中である。表2.2. 3-4にインドネシア炭の60銘柄の性状と価格を示している。発熱量が4,000kcal/kg以下 の銘柄がBorneo Indobara(南カリマンタン)、Intitirta Premasakti(スマトラ・ジャン ビ)、Pesona Khatulistiwa Nusantara(東カリマンタン)そしてLamindo Inter Multikon の4つあり、低品位炭の市場が成り立っている。
35
36 (3)ICPR の適用(ロイヤルティの設定) 国家歳入として徴収するロイヤルティは一般的に石炭販売価格の13.5%相当となってい るが、不当廉売によるロイヤルティ収入の減少を防ぐことが本制度の狙いの一つである。 取引先との契約価格はICPRを参考に決めることとなるが、市場での契約での強制力は ない。しかし、ICPRで設定した価格に基づいてロイヤルティが決められる。例えば、販 売価格がICPRより低い場合には、ICPRの価格を基準にロイヤルティが課される。もし販 売価格がICPRより高い場合には、販売価格の基準のロイヤルティとなる。なお、税金は 契約額相当で課税される。このため、政府は石炭事業者から毎月、販売価格、販売量、販 売先等を記載した報告書にこれらを証明する契約書等の関係書類を添付して提出を受け、 ICPR制度の遵守状況を把握している。 事業者が本制度の基準に違反した場合は、 書面による通告(3回まで) 最大3ヶ月の出荷販売停止(3回以上の書面通告を受けた場合) 事業許可の取り消し(3ヶ月以上の出荷販売停止期間中に是正されない場合) の処分が科せられる。 2.2.3.3 生産コスト エネルギー鉱物資源省からインドネシア炭鉱の山元での生産コストについて表2.2.3 -4の指標が出されている。この指標はインドネシアでは標準的な剥土比6 を想定してお り、山元から石炭を輸送する前までのコストである。通常はこのコストから港までの石炭 輸送費用、石炭積込費用が加算される。剥土比6 の炭鉱ではトン当たり 24.2US$の生産コ ストが試算されている。 表2.2.3-4 山元生産コスト US$/トン 剥土 13.5 採炭 1.7 石炭運搬(貯炭場まで) 0.2 クラッシング 1.4 土地代 0.7 修復 0.2 ロイヤルティ 2 その他 4.5 計 24.2
37 第3章 tekMIRA の成型コークス製造の技術検討 3.1 tekMIRA 試験設備でのバインダー改善試験 3.1.1 試験概要 tekMIRA では、アスファルトをバインダーとして成型コークスを製造しているが、平 成 21 年度の試験結果ではその強度は十分高くはなかった。その検討において、成型のバ インダーをSOP(コールタールから製造された軟ピッチ)に変更することより成型コーク スの強度が改善される可能性が示された。そこで、今年度、バインダーとしてアスファル トとSOP を用いて成型コークスを製造し強度を比較する試験を実施した。 成型コークス製造試験は2011 年 1 月にインドネシア Palimanan(ジャワ島ジャカルタ の約250km 東方)の tekMIRA 実験設備で実施された。 なお、tekMIRA の成型コークス製造は、下記のようなプロセスにより行われている。 ① 石炭のチャー化 粉砕した石炭を缶(約 400mmφ×500mm)に充填し蓋 をして、加熱する(成型物乾留用のトンネル炉を使用)。 ② チャーの混練 チャーをフレットミル内で加熱し、加熱したバインダ ーを添加してバッチ混練する。 ③ 混練物の成型 混練物を10 分程度冷却後、シリンダーに充填して油圧 で圧縮成型する。 ④ 成型物の乾留 成型物を鉄管に入れ蓋をする。鉄管を台車に乗せる(5 列× 6 段)。台車をトンネル炉に入れ、灯油と空気を炉の両側か ら吹込み燃焼させて加熱する。 今回、SOP をバインダーとする成型コークスの乾留試験に立会した。そこで得られた知 見を以下に述べる。 (1) チャーの混練状況 ① バインダー添加量の制御 バインダー添加量の制御は、添加用容器の液面高さで添加量を制御していた。 ② バインダー添加率 バインダー添加率は、平成21 年度には 15%とされていたが、tekMIRA において 検討の結果、12.5%でも得られるコークスの強度に遜色がないと判断され、今回は 12.5%とされていた。 なお、バインダー10%ではコークス強度が低下したとのことであった。 ③ バインダー加熱状況 バインダー加熱は、温度制御器付きの電気加熱装置を用いていた。バインダーは 150℃に加熱すると言っていたが、今回、温度制御器の指示値は約 80℃であった。 しかし、今回成型時にSOP は十分流動して添加出来る状態であった。 ④ チャーの加熱
38 フレットミルをバーナで加熱しチャーを予熱しておいてから混練する。 今回の混練時には、黄煙が発生していたので、温度は少し高すぎる程度であったの ではないかと考えられる。 ⑤ 混練装置 混練は攪拌はね2 枚つきのフレットミル(約 24 rpm)を用いていた。 (2) 成型状況 ① 冷却 混練後、約10 分間冷却してから成型する。直ちに成型すると、成型後の抜けが悪 いので、このようにしているとのことであった。 ② 成型装置 成型用シリンダーに、直上のホッパーから混練物が詰められる。加圧前に、シリン ダー内の試料を手で押込んでからさらに混練物を加え、水を添加する。その後加圧 する。 ③ 成型圧力 成型は、油圧プレスにより加圧して行う。ゲージ圧150 kg/cm2 であった。ただし、 ゼロ点で20 kg/cm2の表示なので、正味130 kg/cm2かと考えられる。 ④ 抜取り 成型テーブルを回転し、次のシリンダーを加圧するが、その時に抜取り用ピストン で自動的に前のシリンダーの成型物が抜かれる。 ⑤ 成型物強度 成型物を1m の高さからコンクリートの床に落下してみたが破損しなかった。前日 成型したものでも破損しなかった。 (3) 乾留状況 ① 炉への成型炭の充填 成型炭を円筒形の軸を水平にして鉄管に入れる。 鉄管を台車に乗せる。5 列×6 段。ただし、最下段は空だった。 ② 加熱 灯油と空気を側壁から吹込んで加熱する。片側5 バーナー×2 面。 石炭燃焼炉があった。当初、この炉の石炭燃焼ガスで加熱しようとしたが、スラッ ギングのため使用していない。灯油加熱に変更した。 ③ 排煙 煙突引圧が不足のため、前後の扉を少し開いたままで乾留する。従って、黒煙が漏 れる。 ④ 乾留後試料 成型物を入れた鉄管の蓋の取れたものは、管の端の成型物は灰が多い。蓋がとれ
39 てないものは見たところ灰化はない。 成型コークスの径は100~101mm 程度で、乾留中に 2~3%程度収縮している。 (4) 成型物温度の測定 今回、成型物に熱電対を埋込み、乾留中の温度の測定を試みた(平成23 年 1 月 24 日)。 その経過を以下に述べる。 ① チャー成型物は事前に製造してあった。 ② 成型物にドリルで穴を開け、1mmφの K 型シース熱電対を埋込んだ。 成型物は103mmφ×90mm 前後の円筒形。その側面に深さ約 50mm の穴をあけ た。 また、穴付近の表面にも熱電対を1 本取付けて、針金で固定した。その状況を図3. 1.1-1に示す。 ③ 測温点 炉内温度:トンネル炉側面に測温用の穴が6 箇所あり、その#2~#5 の 4 点を 測 定した(途中で、#4 は#6 に振替えられた)。測温位置は炉の側壁と鉄 管の間である。 熱電対を記録計に接続して測温した。 成型炭: 上記2 点測定(表面と中心)。測温点 4 と 5 の中間の、左炉壁側、上か 2 段目の鉄管に成型物を入れた。 シース熱電対をデジタル温度計に接続して測温した。 ④ 記録 記録計はチャート紙がなく、またデジタル温度計も記録は出来ないため、指示値を 定期的に筆録。 ⑤ 11 時点火開始。片側 5 バーナー×2 面。 ⑥ 11:15 後側扉より、黄色の煙が出始めた。バインダーが分解し始めたと思われる。 ⑦ 煙突のドラフトが不足のため、前後の扉を少し開いたままで乾留。黒煙が漏れる。 ⑧ 測温データ 炉温より成型炭の方が高温になっている。 記録計とデジタル温度計の熱電対をつなぎ替えてみたが、同じ温度を示すので、計 測上の問題ではない。 ⑨ 乾留中、前後の扉から黒煙が出続ける。 ⑩ 1:30 バーナ消火。加熱時間 約 14.5 時間
40
a. 成型物に孔をあけたドリル
b. 熱電対を埋込んだ成型物を鉄管に入れているところ
c. 成型物に埋込んだ熱電対を鉄管から出しているところ
41
0
200
400
600
800
1000
1200
0
5
10
15
T 2
T 3
T 4
T 6
Briquette surface
Briquette center
Time (h)
Temperature (°C)
測温結果を図3.1.1-2に示す。 成型物の温度は炉内温度が800℃以下である乾留初期に 900℃以上に上昇している。空 気が侵入し発生ガスが燃焼して温度が上昇した可能性がある。熱電対を通すために、鉄管 に孔をあけていたので、そこから空気が侵入したことが考えられる。 また、乾留初期から成型物の表面と中心の温度差が殆どない。従って、成型物に埋込ん でいた熱電対が表面付近まで抜け出ていた可能性が高い。シース熱電対が直径1mm であ ったのに対し、孔あけに使用したドリルが径2mm 程度と太かったので、熱電対は抜けや すい状態であった。 乾留末期に成型物温度が低下しているのは、ガス発生が少なくなり、燃焼ガスの温度が 低下したためである可能性がある。乾留中期には1000℃近い温度が測定されているが、成 型物の温度がそこまで上昇していたのではなく、ガス温度が測定されていたのではないか と考えられる。 炉内温度は、最終的に900℃前後まで上昇している。この温度は、成型物を入れた鉄管 の外のガス温度である。鉄管の中には空気は殆ど侵入していないと考えられ、発生ガスの 燃焼による温度上昇はなかったものと考えられる。従って、成型物の到達温度は最高でも この温度以下であると推定される。 図3.1.1- 2 炉内および成型物温度の推移 T2 T3 T4 T6 バーナ×12本 扉 扉 成型炭42 3.1.2 鋳物用コークスとしての品質評価 (1) 試料 tekMIRA で製造された以下の試料を入手し評価した。 ① アスファルト成型コークス(アスファルトをバインダーとして成型し乾留された 成型コークス) ② SOP 成型コークス(SOP をバインダーとして成型し乾留された成型コークス) 成型コークスは、いずれも、チャーを円筒形に成型したものを公称約900℃で乾留した もので、直径約101mm、高さ 70~100 mm の円筒形ものである。外観を図3.1.2-2 に示す。 tekMIRA 成型コークスの原料であるチャーは、成型コークス乾留に用いた炉により低 石炭化度炭を公称約 900℃で炭化したものである。低石炭化度炭としては、アダロ炭に類 似した石炭を使用したとされている。 図3.1.2- 1 アスファルト成型コークス
43 図3.1.2- 2 SOP 成型コークス (2) 試験項目 下記の項目について分析、試験を実施した。 ① 工業分析、全硫黄 (JIS M8812, JIS M8813) ② 落下強度指数(JIS K2151) ③ ドラム強度指数(JIS K2151) ④ 反応性指数(JIS K2151) (3) 試験結果 試験結果を表3.1.2-1に示す。 工業分析の灰分が両者で大きく異なっている。SOP 成型コークスは 21 年度の分析値に 近いが、アスファルト成型コークスは大幅に高い灰分となっており、原料が異なっている 可能性がある。 揮発分はSOP成型コークスについては 1.5%と低くなっている。この値から 図3.1.2- 3の関係 1) を用いて推定すると、コークス温度は800℃以上になっていた可能性がある。 反応性指数は、原料が低石炭化度炭であるため、いずれも高い。 コークス強度は、アスファルト成型コークスの方が SOP 成型コークスよりむしろ高い
44 結果になった。原料条件(粒度、チャー化温度など)、成型条件や乾留条件が相違していて いなかったか、検討する必要がある。なお、原料の粒度やチャー化温度などは、コークス 強度改善のための今後の検討課題でもある。 表3.1.2- 1 成型コークスの試験結果 アスフ ァル ト 成 型 コ ー クス SO P 成 型 コ ー クス 工 業 分 析 と全 硫 黄 (無 水 ベ ー ス) 灰 分 (%) 10.4 5.0 揮 発 分 (%) 2.5 1.5 全 硫 黄 (%) 0.91 0.19 落 下 強 度 指 数 SI 45 0 (-) 66.8 57.1 SI 42 5 (-) 78.3 65.4 ドラム 強 度 指 数 30 回 転 +50 mm (-) 13.2 14.2 +38 mm (-) 20.2 22.6 +25 mm (-) 31.3 28.2 +15 mm (-) 40.7 35.6 +6 mm (-) 48.6 41.3 平 均 粒 度 (mm) 19.1 18.2 平 均 粒 度 (+25 mm) (mm) 47.3 50.8 150 回 転 +50 mm (-) 0.0 0.0 +38 mm (-) 0.0 0.8 +25 mm (-) 1.1 1.2 +15 mm (-) 4.6 3.9 +6 mm (-) 10.3 7.1 平 均 粒 度 (mm) 4.3 4.1 平 均 粒 度 (+25 mm) (mm) 31.5 39.6 反 応 性 指 数 ReI (JIS K 2151) (-) 97.4 93.0
45 図3.1.2- 3 乾留温度と揮発分および真比重の関係 1) 3.1.3 まとめ (1) 成型用バインダーを従来のアスファルトからSOP に変更したが、コークス強度は 改善されなかった。成型条件や乾留条件を検討する必要がある。 (2) 今後の展開としては、コークス強度改善のために、原料の粒度、チャー化温度など を検討する必要がある。 文献 1) 西岡邦彦,井上恵三,三浦潔,セミコークス化過程におけるコークス性状挙動,燃料 協会誌68, 138, 1989.
46 3.1.3 シャフト炉式ガス化溶融炉用コークスとしての品質調査 (1)シャフト炉式ガス化溶融炉について ①プロセス概要 ごみ処理方式の一つであるガス化溶融方式は、廃棄物を熱分解・ガス化させた後高温 燃焼させ、廃棄物中の灰分を溶融・再資源化する方式であり、ガス燃焼からの熱エネル ギー回収率を向上させるとともに、従来焼却残渣として最終処分していたごみ中の灰分 をスラグ・メタルとして回収し、再資源化できる。ガス化溶融プロセスは,その熱分解 方法の違いなどにより、①シャフト炉式、②流動床式、③キルン式、④ガス改質式、の 4方式に分類される。この中で,新日鉄エンジニアリングの直接溶融・資源化システム は,シャフト炉式ガス化溶融炉に位置づけられ,熱分解・ガス化と溶融を単一の炉で達 成することが特徴である。 図3.1.3-1に直接溶融・資源化システムの全体フローを示す。システムの中核を なすシャフト炉式ガス化溶融炉は、溶融熱源および還元剤としてのコークスと、スラグ の塩基度調整材として石灰石を使用し,溶融炉の炉頂より廃棄物とともに装入する。 シャフト炉内は上部から乾燥・予熱帯(約300℃),熱分解・ガス化帯(300~1000℃)、 燃焼帯(1000℃~1700℃),溶融帯(1700℃~1800℃)に区分される(図3.1.3-2参 照)。乾燥・予熱帯では廃棄物が熱せられ、通常の都市ごみではごみ中に約 50%含まれ る水分が炉底下部より供給される燃焼分解ガスにより乾燥・蒸発される。乾燥した廃棄 物は次第に降下し、熱分解・ガス化帯において可燃分がガス化される。この熱分解ガス は,炉上部から排出される。廃棄物と共に装入されたコークスは、炉下部に数段設置し 図3.1.3-1 直接溶融・資源化システム全体フロー