Wara B 3%
1 mm
1 mm
135 4.3.2 H23年度
インドネシア炭から高炉用コークスを製造できる可能性を検討するため、コークス製造 には適さないインドネシア低品位炭から製造された粘結材を用いた乾留試験を実施した。
粘結材としては、Wara炭とPKN炭から製造された粘結材を用いた。
4.3.2.1 試験方法
(1) 粘結性評価試験
インドネシア低品位炭からの粘結材の評価試験として、石炭に粘結材を添加することに よる粘結性の改善効果を評価した。粘結性としては、流動性と膨脹性を測定した(いずれ も、JIS K2151)。
基準配合炭に粘結材を添加した際の、流動性および膨脹性の向上する程度により粘結材 を評価した。基準配合炭としては、強粘結炭50%と非微粘結炭50%の配合炭を用いた。
(2) 小型乾留試験
粘結材評価試験のひとつとして、図4.3.2- 5に示す小型の電気乾留炉による乾留 試験を実施した。この乾留炉は、石炭装入部寸法は、60mm×60mm×40mmで、石炭装 入量は100.8 g (水分9%, 嵩密度 0.70g/cm3)である。また、加熱は炉を3時間20分 で室温から1000℃までで昇温し(昇温速度5℃/min) 、30分間維持したのち冷却した。
基準配合炭に粘結材を添加した際のコークス強度の向上する程度により粘結材を評価
Wara C 3%
1 mm
136
した。基準配合炭としては、強粘結炭50%と非微粘結炭50%の配合炭を用いた。コークス 強度としては、I型ドラム試験機でコークスを600回転(回転速度20/minで30分間)処 理後の1mm以上の割合で評価した。なお、I型ドラム試験機は内径130mm、長さ700mm の円筒形のものである。
図4.3.2- 5 小型電気乾留炉.
(3) 試験炉乾留試験
試験炉乾留試験は、装入炭量約 90kgの電気加熱式乾留試験炉を用いて行った。その概 略を 図4.3.1- 1に示す。実際のコークス炉での乾留を模擬するために、加熱面の間隔 である炉幅は420 mmで実炉と同等とし、高さと長さを縮小したものである。
炉壁は珪石煉瓦ではなく炭化珪素煉瓦を使用している。そこで、炭化室内の昇温が珪石 煉瓦の場合と同等になるように、煉瓦温度を変化させた。今回用いた炉壁煉瓦の加熱室側 温度を 表4.3.1- 1に示す。
石炭は、配合前に、処理能力500 kg/hの小型反撥粉砕機で粉砕した。粉砕は3 mm以
下85%を目標として行った。粉砕した石炭を、配合、混合して乾留試験を行った。
乾留時の石炭の水分は4~5%、嵩密度は850 kg/m3 とした。
Ceramic fiber Insulation Insulation brick
Heating element
Coal 40
60
150
Thermocouple
Thermocouple Lid
Carbonization retort
137
時間(h) 0 1 14 18 18.5 温度 (℃) 800 800 1100 1150 1150
図4.3.2- 6 乾留試験炉模式図
表4.3.2- 7 加熱条件
4.3.2.2 評価試験結果
(1)粘結性評価試験 (ア) 粘結材試料
以下の2試料を評価した。
⑤ Wara11(Wara炭から製造された粘結材)
⑥ PKN11(PKN炭から製造された粘結材
(イ) 石炭配合
粘結炭A 50%、非微粘結炭C 50%とした。
(ウ) 試験結果
試験結果を 図4.3.2-7に示す。
Wara11は添加效果が見られなかった。PKN11は添加により粘結性が向上した。
420 mm
Ascension pipe
Heating wall (SiC)
Heating elements Coal
420 mm
Ascension pipe
Heating wall (SiC)
Heating
elements
Coal
138 a. 流動性
b. 膨脹性
図4.3.2-7 粘結材添加の粘結性への效果
(2)小型乾留試験 1)結材試料
以下の2試料を評価した。
① Wara11(Wara炭から製造された粘結材)
② PKN11(PKN炭から製造された粘結材
2)石炭配合
粘結炭A 50%、非微粘結炭C 50%とした。
3)試験結果
試験結果を 図4.3.2- 8に示す。
Wara11は添加效果が見られなかった。PKN11は添加によりI型強度指数が向上した。
1.0 1.5 2.0 2.5 3.0
基準配合 Wara11 SOP 基準配合 PKN11 SOP
log10 (MF/ddpm)
0 10 20 30 40
基準配合 Wara11 SOP 基準配合 PKN11 SOP
膨脹率 (%)
139
図4.3.2- 8 粘結材添加のI型強度指数への效果
(3)試験炉乾留試験 1)粘結材試料
以下の2試料を評価した。
①Wara11(Wara炭から製造された粘結材)
②PKN11(PKN炭から製造された粘結材)
2)乾留試験の石炭配合
石炭配合を表4.3.2-8に示す。
①No.1とNo.4はそれぞれ基準配合炭と基準配合炭2である。
②No.2, No.3とNo.5は、基準配合炭に粘結材を添加したものである。
表4.3.2- 8 石炭配合割合 (%)
なお、強粘結炭Aは揮発分(無水ベース)22.0 %、ビトリニットの平均反射率 1.35%
のものを、強粘結炭Bは揮発分(無水ベース)22.7 %、ビトリニットの平均反射率
No. 1 2 3 4 5
強粘結炭A 20 19.4 19.3 30 29.1 強粘結炭B 30 29.1 29.0
強粘結炭C 20 19.4
非微粘結炭D 50 48.5 48.3
非微粘結炭E 50 48.5
Wara11 3 3.5
PKN11 3
合計 100 100 100 100 100
74 76 78 80 82 84
基準配合 Wara11 SOP 基準配合 PKN11 SOP
I 600 1 (-)
140
1.42%のものを、強粘結炭Cは揮発分(無水ベース)23.8 %、ビトリニットの平均
反射率 1.23%のものを使用した。非微粘結炭Dは揮発分(無水ベース)36.6 %、ビ トリニットの平均反射率 0.76%のものを、非微粘結炭 E は揮発分(無水ベース)
36.5 %、ビトリニットの平均反射率 0.76%のものを使用した。
3)試験項目
下記の項目について試験を実施した。
①工業分析、全硫黄
②真密度、見掛密度、気孔率
③反応性指数(JIS K2151)
④ドラム強度試験(JIS K2151)
⑤CSR(反応後強度指数)試験(新日鉄法)
⑥偏光顕微鏡によるコークス組織観察(乾燥系、直交ニコル、石膏検板) 4)試験結果
試験結果を 図4.3.2-7と図4.3.1-4に示す。
Wara11を添加した場合、DI 150 15とDI 150 6は低下した。また、CRIが上昇し、CSR が低下した。ただし、DI 30 25 と平均粒度には大きな変化は見られなかった。この結果か らすると、Wara11は石炭の改質が不十分なのではないかと考えられる。
PKN11を添加した場合、DI 150 15とDI 150 6は維持された。また、CRIはやや低下し、
CSRがやや向上した。DI 30 25 と平均粒度には大きな変化は見られなかった。この結果 からすると、PKN 11は石炭がある程度改質されていたと考えられる。
コークス組織の偏光顕微鏡写真を図4.3.2-10~14に示す。Wara11を添加した コークスの場合、粘結材添加コークスに見られる、気孔径の拡大や気孔壁の肉厚化が見 られない。
4.3.2.3 まとめ
(ア) コークス製造には適さないインドネシア低品位炭から製造された粘結材は、適切な 条件で製造されたものは添加によるコークス品質向上効果が見られた。
(イ) 低品位炭からの粘結材製造条件について今後さらに検討する必要がある。
141
表4.3.2-9 乾留試験結果
基準配合 Wara11
3%
Wara11
3.5% 基準配合2 PK N 11 3%
工業分析と全硫黄 (無水ベース)
灰分 (%) 12.7 12.5 12.6 11.7 11.8
揮発分 (%) 0.6 0.8 0.6 0.7 0.6
全硫黄 (%) 0.40 0.40 0.40 0.63 0.63
密度およ び気孔率
真密度 (kg/m3) 1.90 1.89 1.89 1.93 1.94
見掛密度 (kg/m3) 1.03 1.00 1.05 1.02 1.02
気孔率 (%) 45.8 47.1 44.4 47.2 47.4
反応性指数 ReI (JIS K 2151) (-) 15.2 26.1 23.8 12.4 12.3 粒度分布
+75 mm (-) 9.6 7.1 9.3 13.6 9.5
+50 mm (-) 65.0 63.6 66.2 69.1 67.4
+38 mm (-) 82.1 83.8 83.0 88.5 86.0
+25 mm (-) 92.3 91.8 91.6 95.6 95.2
平均粒度 (mm) 55.7 54.6 55.5 58.2 56.5
平均粒度 (+25 mm) (mm) 58.7 57.7 58.7 60.0 58.4
ドラム強度指数 30 回転
+50 mm (-) 20.5 21.1 22.9 20.5 22.9
+38 mm (-) 58.3 62.7 59.1 61.1 61.7
+25 mm (-) 90.1 90.9 90.8 91.7 90.7
+15 mm (-) 94.8 94.4 94.5 95.7 95.4
+6 mm (-) 96.0 95.7 95.7 97.0 96.8
平均粒度 (mm) 40.6 41.3 41.2 41.3 41.7
平均粒度 (+25 mm) (mm) 43.8 44.4 44.3 44.0 44.7
150 回転
+50 mm (-) 6.3 7.1 6.4 4.3 8.9
+38 mm (-) 33.4 35.2 35.4 33.9 36.6
+25 mm (-) 76.2 76.4 76.3 78.9 78.2
+15 mm (-) 85.2 84.1 83.8 86.5 86.5
+6 mm (-) 87.2 86.0 85.6 88.6 88.7
平均粒度 (mm) 31.7 31.9 31.8 32.0 33.1 平均粒度 (+25 mm) (mm) 38.5 39.0 38.8 37.9 39.5 反応後強度指数
CRI (-) 34.8 37.8 38.6 31.0 29.6
CSR (-) 47.4 42.6 39.0 57.4 58.0
142
図4.3.2-9 配合炭乾留試験結果
42 44 46 48 50
基準配合Wara11 3%
Wara11 3.5%
基準配合2 PKN11 3%
気孔率(%)
10 15 20 25 30
基準配合Wara11 3%
Wara11 3.5%
基準配合2 PKN11 反応性指数RIe (-) 3%
8 2 8 4 8 6 8 8 9 0
基 準 配 合 W ara1 1 3 %
W ara1 1 3 .5 %
基 準 配 合2 P KN1 1 3 % DI 150 6 (-)
8 8 8 9 9 0 9 1 9 2
基 準 配 合 W ara1 1 3 %
W ara1 1 3 .5 %
基 準 配 合2 P KN1 1 3 % DI 30 25 (-)
3 5 4 0 4 5 5 0 5 5 6 0
基 準 配 合 W ara1 1 3 %
W ara1 1 3 .5 %
基 準 配 合2 P KN1 1 3 %
CSR (-)
8 5 .2
8 4 .1 8 3 .8
8 6 .5 8 6 .5 2 .0
2 .0 1 .7
2 .1 2 .2
8 2 8 4 8 6 8 8 9 0
基 準 配 合 W ara1 1 3 %
W ara1 1 3 .5 %
基 準 配 合2 P KN1 1 3 % DI 150 (-)
6-15 m m 15m m
4 0 4 2 4 4 4 6 4 8
基 準 配 合 W ara1 1 3 %
W ara1 1 3 .5 %
基 準 配 合2 P K N1 1 平均粒度(30回転, +25mm) (mm) 3 %
2 5 3 0 3 5 4 0
基 準 配 合 W ara1 1 3 %
W ara1 1 3 .5 %
基 準 配 合2 P KN1 1 3 %
CRI (-)
143
付録 コークスの偏光顕微鏡写真(乾燥系、直交ニコル、石膏検板)
図4.3.2-10 基準配合のコークス組織
144
図4.3.2-11 Wara11 3% のコークス組織
145 図4.3.2-12 Wara11 3.5のコークス組織
146
図4.3.2-13 基準配合2のコークス組織
147
図4.3.2-14 PKN 3% のコークス組織
148
4.4 インドネシアにおける将来の高炉用コークス需要動向
インドネシアには高炉がなく、同国に於ける粗鋼生産といえば、電炉法によるスラブの 生産もしく小型のキュープラ炉による鋳物銑の生産に限られる。電炉法では還元剤として のコークスは不要であり、キュープラ炉での鋳物銑生産用に僅かばかりのコークス需要が あるのみであり、更にこのコークスは主に中国からの輸入に頼っているのが実態であった。
一方で、中国、インド、東南アジアの経済発展に伴う世界鉄鋼需要の拡大や自動車需要 の拡大に伴う鋳物需要の増加と環境問題の観点から、日本、韓国を中心とした先進各国の 企業が東南アジア諸国に生産拠点を移設する動きが活発化してきており、インドネシアを 含む東南アジア諸国で、高炉を始めとする一貫製鉄所建設ラッシュが始まった。
現在、インドネシアでは、韓国POSCOと国営Krakatau SteelのJVによる年産600 万t の高炉建設をはじめ、Indoferro 社による年産120 万t の高炉建設、Gunung Steel Groupによる年産140万tの高炉建設が同時に進捗しており、Gunung Steel Groupと中 国武漢鋼鉄と共同で年産100万tの高炉建設を計画している。またSebuku Iron Lateritic Ores社はDRIプラントとコークス炉の建設を推進しており、Krakatau Steelも単独で年 産100万tの高炉建設を計画中と聞く。以上の建設中もしくは計画中の高炉の粗鋼生産能 力は10百万㌧を上回る。
Indoferro 社の高炉は2012 年後半にも完成し試運転を開始するとされる。各社は高炉
建設にあわせてコークス炉の建設も進めており、2012 年以降インドネシアはコークスお よび原料炭の新規市場となる。
4.4.1 POSCO-Krakatau Steel JVによる高炉建設
韓国のPOSCOとKrakatau Steelは、2010年8月4日に共同で高炉建設計画を進め
るJoint Venture契約を締結。全体の計画概要は第1基工事のみ決定しており、続いて第
2 基工事の建設に着手する予定になっているが、最終的な完成時期は 2016 年を目指すに 留まっている。具体的な建設時期については、2011年10月より第1基工事に着手し、粗
鋼300万t/年に見合う大型高炉を2013年末に完成させ、引き続き第2基工事で同規模
の高炉を建設し、粗鋼生産能力600万t/年の鉄鋼一貫製鉄所とするもの。併せて60万t
/年のコークス炉も建設中。
出資比率: 初期POSCO 70%:Krakatau Steel 30%
1年後POSCO 55%:Krakatau Steel 45%
計画位置: チレゴン州、インドネシア 敷地面積: 388ヘクタール
投資規模: 総額60億US$
操業開始: 2013年
149
粗鋼生産規模: 600万t/年(1期工事で300万t、2期工事で300万t)
製品内訳: スラブ(100万t)、鋼板(200万t)、鋼管(300万t)
尚、1 期工事では高炉を建設する予定だが、第 2 期工事では溶鉱炉工法に代えられる
POSCO の次世代製鉄技術「FINEX(ファイネックス)」の商用化設備にすることを計画
中との報道あり。
4.4.2 Krakatau Steel単独の高炉建設計画
Krakatau Steelには、POSCOとの合弁事業の他に、独自で高炉建設を計画中。詳細
は未定だが、現状Krakatau Steelは年間50万tほどスラブ、冷延鋼板を輸入している ことから、銑鉄不足を解決することが目的であると説明される。鉄鉱石200 万t/年、コ
ークス70万t/年を使用して自国の高炉出銑量を増強する計画であり、その出銑量は120
万t/年と思われ、炉容積2,000m3程度の高炉を建設するものと思われる。
4.4.3 Indoferroによる高炉建設
450m3の高炉が2012年後半に完成し試運転を行う予定。銑鉄生産量は50~60万t/
年を計画。併せて60万t/年のコークス炉も建設しており、こちらは既に完成している。
更に2014年以降生産能力を倍増すべく高炉をもう一基建設する計画。2020年には粗鋼
生産能力120万t/年を目指す。
4.4.4 Gunung Steel Groupによる高炉建設
Gunung Steelは小型高炉2基を建設し、2014年前半に粗鋼生産140万t/年を目指 す。更に中国武漢鋼鉄と共同で100万t/年の高炉建設を検討中。
以上のインドネシアにおける高炉建設計画に基づく、粗鋼生産能力推移の見通しを示した のが以下図4.4.4-1のグラフである。