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糖尿病治療と就労の両立支援への理学療法士のかかわり

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Academic year: 2021

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(1)理学療法学 第 47 巻第 1 号 85 ∼ 92 頁(2020 糖尿病治療と就労の両立支援への理学療法士のかかわり 年). 85. 理学療法トピックス シリーズ 「糖尿病重症化予防と理学療法」. *. 連載第 6 回 糖尿病治療と就労の両立支援への理学療法士のかかわり. 浅 田 史 成 1). はじめに. 働者も増加傾向のため,高齢化に伴った疾病の有病率が.  本邦は少子高齢化に伴う労働人口減少,長時間労働問. 高くなることは容易に予想できる。そして,2016 年の. 題,低い労働生産性を背景に,労働において様々な課題. 国民・栄養調査によると,本邦の糖尿病患者は 1,000 万. を抱えている。そのため,日本政府は,賃金などの改善,. 人,糖尿病予備群が 1,000 万人であり,ここから糖尿病. 時間・場所の制約克服,キャリア形成を推進するため. の合併症である失明が年間 3 千 5 百人,新規透析導入患. 1). に,2017 年 3 月 28 日に「働き方改革実行計画」 を決. 者が 1 万 5 千人程度であり,非外傷性切断の原因は糖尿. 定した。その内容は,女性を含む労働参加率の向上,労. 病が第 1 位である。このような現状から糖尿病重症化予. 働生産性の向上,非正規労働者の待遇改善,障碍者の能. 防が重要であることは間違いない。労働者の糖尿病が重. 力を活かした就労支援,高齢者の就業促進,ワークライ. 症化する要因のひとつとして,治療の中断があり,その. フバランスの実現などを目的とし,政府主導の下で働く. 間に糖尿病合併症が進行してしまうということが多くみ. ということの在り方を改革していくことである。改革の. られ,治療が中断してしまう要因は「仕事(学業)のた. 目指すところは,多種多様な働き方の可能性を見出し,. 3) め忙しいから」がもっとも多い 。このような背景から,. 個々の労働者がよりよい将来への展望を抱き,未来を自. 理学療法士として両立支援の現状と,糖尿病患者に対す. らつくっていくことができる社会である。この働き方改. る両立支援に関してどのようにかかわるのかということ. 革実行計画の中に,「病気の治療と仕事の両立」が掲げ. を知っておくことが必要である。本稿では,治療と就労. られている。現在,病気を治療しながら働いている者は,. の両立支援の考え方と制度,および糖尿病に対する両立. 労働者の 3 人に 1 人であるが,病気を理由に退職せざる. 支援の現状と実際の取り組みを紹介するとともに,海外. を得ない者や,仕事を継続しても職場の理解が乏しいこ. における復職支援情報を概説する。. とにより,治療と就労の両立が困難となることも多い。 平成 25 年度厚生労働省委託事業における治療と職業生. 治療と就労の両立支援. 活の両立等支援対策事業が実施したアンケート調査によ.  労働安全衛生法において,事業者は雇用した労働者の. ると,疾病を理由として 1 ヵ月以上連続して休業してい. 健康の維持・増進に努めなければならない規定がある。. る従業員がいる企業の割合は,メンタルヘルスが 38%,. 具体的な内容としては健康診断を実施し,その結果をふ. 2). であった。このよう. まえた医師の意見を考慮し,必要があれば就業上の対策. な現状が継続されているため,早急に治療と就労の両立. (就業場所や作業内容の変更,労働時間短縮,交代勤務. がんが 21%,脳血管疾患が 12%. 支援を推進しなければならないと考えられる。そして労. など夜勤回数の減少など)実施を義務づけるとともに,. 働安全衛生法に基づく一般健康診断において,脳および. 日常生活面の指導,受診勧奨などを行うよう努めなけれ. 心疾患につながるリスク(高血圧,脂質異常,高血糖). ばならない。また,事業者は「心臓,腎臓,肺などの疾. を有する者および疾病リスクを抱える労働者は増加傾向. 病で労働のため病勢が著しく増悪する恐れのあるものに. である。また,定年後の再雇用制度によって,高年齢労. かかった者」についてその就業を禁止しなければならな いとされているが,その労働者の疾病の種類や程度,疾. *. Physiotherapist Involvement for Treatment of Diabetes and Work Balance Support 1)大阪労災病院治療就労両立支援センター (〒 591‒8025 大阪府堺市北区長曽根町 1179‒3) Fuminari Asada, PT, MS: Osaka Rosai Hospital Research Center for the Promotion of Health and Employment Support キーワード:糖尿病,両立支援,労働者,就労. 病に関する産業医の意見などを考慮し,配置転換や時短 勤務などの必要な対策をたて,できる限り就業の機会を 失わせないようにし,種々の条件を考慮して慎重に判断 しなけらばならない。また,中高年齢者は特に配慮が必 要とされ,心身の状況に応じて適正な配置を行うよう努.

(2) 86. 理学療法学 第 47 巻第 1 号. めなければならない。このような法律上の背景から,事. た場合,長期休暇が必要となると,収入の低下が問題に. 業者が疾病を抱える労働者を就労させるには,業務に. なるため傷病手当金の支給要件などの制度に関する知識. よって疾病が増悪しないよう,就業上の措置や治療に対. が必要となる。このような場合,まず会社の意識改革と. する配慮を行うことが労働者の健康確保対策として位置. 受け入れ態勢を強化するために社内制度の整備が重要と. づけられている。以下に,治療と職業生活の両立支援の. なる。疾患別の症状と留意事項など,両立支援にあたっ. ためのガイドライン. 2). における,両立支援を行う際の. 留意事項を簡単に紹介する。. て必要な教育や疾患別マニュアルを作成し,会社の人事 労務担当者や産業保健スタッフに研修を実施するなど, 両立支援体制の普及が望まれている。医療機関側におい. 1.安全と健康の確保. ては,主治医が就労についての意見書を作成し,患者が.  就労によって,疾病増悪,再発や労働災害が生じない. その意見書を会社に提出し,就業形態などを会社と自己. よう就業場所の変更,作業の転換,労働時間短縮,深夜. 調整していくことになる。しかし,患者が会社と連絡を. 業の減少などを行い,繁忙などを理由に対策を行わない. 取り就業形態に関して自己調整が困難な状況が生じるこ. ことがあってはならない。. とがある。具体的には病状や利用制度の理解の難しさ, 身体的・精神的負担の大きさ,調整困難な勤務環境など. 2.労働者本人による取り組み. が重なる場合,自己調整が困難となる。その際,医療.  治療と就労の両立は,疾病を抱える労働者本人が,主. ソーシャルワーカーを中心とした両立支援コーディネー. 治医の指示などに基づき,治療を受け,服薬遵守,適切. ターが主治医と会社の連携を調整することになる。両立. な生活習慣を守って,疾病増悪防止のために適切に取り. 支援コーディネーターは患者に寄り添った相談支援を行. 組むことが重要である。. いながら,治療と仕事の両立に向けたプランの作成支援 を実施する。両立支援コーディネーターの養成は,労働. 3.労働者本人の申し出. 者健康安全機構が研修を実施しており,医療ソーシャル.  両立支援は私傷病である疾病にかかわるものであるこ. ワーカーだけでなく,看護師,保健師,理学療法士,作. とから,労働者本人から支援を求める申し出がなされた. 業療法士,社会保険労務士や一般企業の労務担当者など. ことを端緒に取り組むことが基本となる。医療機関や事. が研修を受けており,職種は限定されていないため,多. 業場は,本人からの申し出が円滑に行えるよう,事業場. 種多様な職種が受講している。両立支援コーディネー. 内ルールの作成と周知,労働者や管理職などに対する意. ターの役割は,患者,医療機関,事業場(勤務先)とい. 識啓発,相談窓口や情報取扱方法の明確化など,申し出. う三者の関係をトライアングルと称し,支援・調整にか. を行いやすい環境整備も重要である。. かわることが主となる(図 1) 。図 1 に示すように両立 支援コーディネーターは,医療機関と患者,患者と事業. 4.両立支援の特徴を踏まえた対応. 場(企業)の調整役を主とし,この三者それぞれの代理.  両立支援対象者は,入院や通院などの療養のための時. 人や交渉役ではない。主体となるのは患者であるが,医. 間確保が必要であり,治療の副作用などによって,業務. 療機関の医師や医療職から情報収集を行い,患者の心の. 遂行能力が一時的に低下することがあるため,時間的制. 受け入れ状態を把握しながら病識の確認や今後の治療予. 約に対する配慮や,健康状態,業務遂行能力も踏まえた. 定などの説明,必要であれば医師や他の医療職と連携し. 就業上の措置が必要である。. て理解が進むように説明を実施する。また患者から要望 があれば患者の勤務している事業場(企業)の人事労務. 5.その他. 関係者や直属の上司に相談をする際の調整や,現状を主.  症状や治療方法は個人ごとに異なるため,個別事例の. 治医に伝えるなどのかかわりを実施する。治療と就労の. 特性に応じた配慮が必要である。事業場内ルールは労使. 両立に関する情報が一般的になるにしたがい,医療機関. の理解を得て制定し,両立支援の対象や方法などを明確. および事業場(企業)で両立支援コーディネーターの役. にする。両立支援実施のためには疾病の症状や治療状況. 割が明確に整備,細分化されることになると考える。. などの個人情報を扱うことになるため,健康診断におい て把握した場合を除いて,事業者が本人の同意なく取得. 糖尿病を有する労働者の現状. してはならない。.  平成 28 年の国民健康・栄養調査の結果では,糖尿病.  以上の事柄に留意して両立支援を実施することが推奨. を強く疑われるものが 1,000 万人と推計され,平成 9 年. されている。. 以降増加している。糖尿病が強く疑われる者のうち,現.  治療しながら仕事を続ける際,疾病や治療による副作. 在治療を受けている者の割合は 76.6%であるが,性・年. 用や体力低下による体調不良によって就業が不可となっ. 齢階級別にみると,40 歳代男性では治療を受けている割.

(3) 糖尿病治療と就労の両立支援への理学療法士のかかわり. 87. 図 1 トライアングル型支援のイメージ. 表 1 糖尿病患者の受診中断への対策(文献 5 から抜粋して引用) • 初診の糖尿病の患者に,継続的に受診が必要であることを伝える • 栄養指導,療養指導は受診中断の減少に有効である • 若年者へは,可能な範囲で受診時間の融通性を高くする • インスリンの自己注射が指示どおり行われず残っている,または,きちんと薬剤が内 服されず残薬がある場合には,医療費が経済的に負担である可能性を考慮する • 医療費が経済的に負担である場合は,より薬価の低い薬剤や後発医薬品を考慮する • 薬剤を中止できそうな場合も,その後の受診中断の可能性を考慮して慎重に判断する • 受診中断者への受診勧奨を行う.電話,郵便物はいずれも同程度に有効である • 受診中断者への問い合わせと受診勧奨は,医療保険者や産業医等,直接に診療に当た らない第三者も実施しうる • 過去に受診中断した人には受診中断した理由を尋ねる. 合が他の年代よりも低く,未治療が 48.5%と飛び抜けて. 患者との信頼関係構築のためにも患者の気持ちに寄り添. 低い。この理由として J-DOIT2 研究の調査結果では, 「仕. い,暖かく見守る姿勢が必要である。運動療法は継続す. 事(学業)のため,忙しい」が 24.6%, 「医療費が経済. ることで効果が得られるということを十分に説明し,継. 的に負担」が 15.8%, 「体調がよい」が 10.5%, 「今通院. 続できなかったときの原因は,継続できない運動療法を. 4). しなくても大丈夫だと思う」が 7.0%と報告している 。. 指導した理学療法士にあるということを伝えることが望. ここから第一に考えるべき糖尿病を有する労働者(生産. ましい。患者が運動療法を継続できなかった場合,「自. 年齢 15 ∼ 65 歳)に対する両立支援は,未治療および治. 分の意思が弱いから」,「運動する時間をつくれない管理. 療中断者をなくすことである。これに対する対策は糖尿. 不足」というように自分自身を責めてしまうと,指導者. や糖尿病受診中断対策マ. に申し訳ないという気持ちから,受診をしなくなること. などが参考になるため理学療法士も読むこ. も予想される。そのようなことが生じないように,あら. 病受診中断対策包括ガイド ニュアル. 6). 5). とを推奨する。. 糖尿病患者の受診中断対策. かじめ「継続できなかったら,また来てください。一緒 に継続できる運動をもう一度考えたいと思います」な ど,運動していなくても受診行動につながるような指導.  表 1 に推奨されている受診中断への対策を示す。この. を心がけることである。指導した運動の内容ができな. 受診中断対策の中で,理学療法士としてかかわれる事柄. かったのは指導者の責任であるということを認識すべき. は,治療として有効な運動療法を提示するのも必要であ. である。また,指導する際の雰囲気づくりも大切であり,. るが,患者の行動変容ステージに適した指導を心がけ,. 決して運動していないことを責めたりしてはならない。.

(4) 88. 理学療法学 第 47 巻第 1 号. 通院してきただけでも褒めることが重要であり,理学療. 降など)などが自立することをゴールとすることが多い. 法士の指導後には,患者が前向きな気持ちになり笑顔で. が,糖尿病患者の日常生活動作が低下するのは,糖尿病. 帰ることができるようにすることが望ましい。患者とし. の血糖コントロールが高度に増悪した場合である。生産. ては,指導が楽しかったと思うことができれば再度受診. 年齢である 65 歳までの糖尿病患者は日常生活動作が自. する行動につながると予想される。通院に関しては,神. 立していることが多く,理学療法士が身体能力にまで介. 経障害を有する場合,糖尿病性足病変などのリスクを想. 入することは少ない。しかし,糖尿病慢性合併症が生じ. 定し,合併症のリスクの程度に応じて通院が必要なこと. ると業務遂行能力が極端に低下(視力障害による細かな. を伝えるとよい。. 作業困難,切断や足病変によるバランス能力低下のため. 海外の事業場における糖尿病患者への対応. 立位作業困難や高所作業のリスク増大,糖尿病性腎症に よる人工透析継続のため週に 3 日間の出勤不可など)す.  米国雇用機会均等委員会(Equal Employment Oppor-. るため,重症化予防対策の徹底が必要である。このた. tunity Commission)は,米国障害者法において,雇用. め,受診中断予防の次に実施すべきは,高齢であっても. 者は採用予定者に糖尿病を有するかの質問は禁止されて. 働ける身体づくりを目的とした糖尿病重症化予防対策で. いるが,雇用後は健康状態を把握することができる。そ. ある。. の際,商業運転など糖尿病の症状(例:低血糖)が直接.  糖尿病重症化予防のための第一は良好な血糖コント. 業務に支障をきたす恐れがある場合は,客観的なリスク. ロールである。担当する患者の情報を知るためには,通. 評価と,最新の医療情報に基づいた証拠があるときの. 常の医学的評価以外にも就労状況の確認が必要である。. み,業務を変更することができる。労働者は低血糖の経. 以下に評価内容と意義を説明する。. 験を有する場合,低血糖の際に必要な対処(ブドウ糖の. ①通勤方法:徒歩時間(往復) ,自転車使用時間(往復),. 摂取や休息など)を管理監督者に理解と把握を求めるた. 公共交通機関の利用(着座可能,着座不可能)時間,自. めに情報を開示することを選択することが推奨されてい. 動車,その他. る。雇用者は,糖尿病を有する労働者にインスリンおよ.  通勤方法は,もっとも運動もしくは身体活動を増加さ. び経口薬の使用の有無,低血糖症状の経験の有無,業務. せやすい。たとえば,公共交通機関利用で着座している. 中に血糖値が低下した場合に支援が必要かどうか,業務. 場合は,立位で通勤することにより身体活動量の増加が. を安全に実行する能力を評価するために主治医からの意. 見込まれる。車通勤を公共交通機関に変更すれば,立位. 見書を提出するように依頼することができる. 7). 。. 時間だけでも増やすことが可能となる。また,自転車で.  英国労働安全衛生協会でも糖尿病患者の仕事をする権. 片道 5 分(概算で 1 km)程度であれば,徒歩に変更する. 利が守られているが,長い貨物車両または乗客を乗せた. と 15 分程度かかるので,片道 10 分の身体活動を増加で. 車両の運転などの資格を要する職業(インスリン治療中. きる。都市部でのバスや電車などは区間ごとの距離が短. の場合は 1 年に 1 回必ず英国運転免許庁で評価を受けな. いので,一駅分歩くなどの従来からの指導も有用である。. ければならない),軍隊,航空会社の操縦士,場合によっ. ②作業時間:座位作業時間,立位作業時間,軽作業時間,. ては客室乗務員や航空管制官などの航空業界の業務,石. 重筋作業時間. 油掘削装置や沖合での船舶作業,緊急サービス,鉄道産.  作業時間を知ることで身体活動量が予測でき,どの作. 業や公共輸送サービスなどの制限レベルは英国の地方行. 業を変更できるかを患者と話し合い,変更可能であれば. 政によって異なる. 8). 。. できるだけ身体活動量を増やすことが望ましい。.  米国と英国においても,糖尿病患者の働く権利は守ら. ③作業内容:作業強度(最大および通常),作業時間(連. れており,不当な解雇や,強制的な健康状態の把握や診. 続,間欠),作業頻度,作業内容,作業時間帯. 療情報は得ることができない。そのうえで,患者および.  作業強度の中でも最大作業強度を知ることは,疾病を. 雇用者,一般人にリスクのある低血糖による意識消失,. 有する身体の安全限界を示すことができ,通常の作業強. 錯乱,集中力低下の恐れがある場合,適切な配置変更や. 度の評価は身体活動量の把握につながる。高強度の作業. 業務内容の見直しが必要であり,必要な措置(就業中の. を実施している場合,特に注意を要するのは息をこらえ. 飲食やインスリン注射のための時間と場所など)が求め. るような作業がないかどうかの把握が必要であり,その. られている。低血糖のリスクについては,低血糖症の糖. ような作業が存在する場合は,息をこらえなくても可能. 尿病患者の雇用のためのリスク評価と決定マトリックス. な作業に変更できないか話し合うべきである。作業時間. が作成されている. 9). 。. 糖尿病患者の両立支援  病院などで実施される理学療法は,応用歩行(階段昇. においては,不良姿勢(たとえば,両膝屈曲位の中腰作 業や体幹前傾および側屈姿勢など)の連続作業時間が多 い場合,筋骨格系の負担が大きく疼痛を誘発しやすくな り,作業の中断につながるためリスク管理において重要.

(5) 糖尿病治療と就労の両立支援への理学療法士のかかわり. 89. な項目である。作業頻度においては,毎週,特定の曜日. るものではなく,本人の気づかないうちにバランス機能. に作業頻度が多い場合などは,体のコンディションを整. などは低下するため,将来の予測を踏まえて,若い年代. えるために前日の睡眠不足や多量の飲酒制限,かつ有酸. の糖尿病患者でも運動習慣継続の重要性を教育すべきで. 素運動やストレッチなどにより筋疲労を軽減するような. ある。現在,症状のでていない中で,糖尿病重症化によ. 知識を与えることが望ましい。作業内容を聞くことで,. る合併症予防のために運動を取り入れることは,一般の. 患者の普段の身体活動を把握し,仕事を継続するための. 労働者には難しいことが予想される。そのため,理学. 助言を与えやすい。作業時間帯に関しては,食後の高血. 療法士として必要なスキルは,Prochaska らが提唱した. 糖状態の際に座業を行い,空腹になる午前 11 時頃や,. transtheoretical model(以下,TTM). 午後 16 時頃に高負荷の作業を実施している場合などは,. 指導方法である。この TTM は,ある行動(たとえば運. 血糖値の乱高下につながるため指導する必要がある。ま. 動)に関する心の準備状態を行動変容ステージとし,こ. た,交代勤務などであれば,夜中の勤務時間帯の血糖測. の行動変容ステージの変化にもっとも影響するものとし. 定などで把握することが望ましいため,患者の勤める産. て,自己効力感(例:運動ができるという自信)がある。. 業保健スタッフの協力などが必要となる。. Bundura は,自己効力感を向上させるための 4 つの資.  糖尿病患者において特に注意が必要なことは,インス. 源を提示. リン療法やインスリン分泌を促進させる経口血糖降下薬. 介する。. などの薬物療法を使用している場合である。低血糖の自. ①成功体験. 覚症状がある者に関しては,低血糖が生じないように使.  もっとも自己効力感を改善しやすく,患者とともに導. 用中の薬の最大効果時間や半減期などを把握し,もっと. きだした運動を実施し,血糖コントロールが改善,体脂. も血糖値が下がりやすい時間帯に高強度作業,高所での. 肪の減少などよい効果が出現すれば,その運動行動は強. 作業,運転業務,危険業務,機械操作ミスが直接命にか. 化され,継続につながる。患者には運動や実際の作業を. かわるような作業などが割りあてられていないか把握. 行わせた際に血糖や血圧を測定し,改善することを提示. し,低血糖になるかもしれないということを踏まえて,. する。. 作業強度の調整や作業内容の変更など,柔軟に対応して. ②代理的体験. いく必要がある。糖尿病に罹患した労働者に対する治療.  自身と似た境遇や体型の人が,運動をすることにより. と就労の両立支援マニュアルにおいては,自覚症状を伴. 肥満の改善や血糖コントロールがよくなると,自分にも. わない無自覚性低血糖のある方は,リスクを伴うため運. 「できる」という自己効力感が向上する。職場や身近な. 転業務や危険作業従事は絶対に避けるべきとしている。. 人で,患者と同様の境遇の人が改善した人がいないか聞. また,SGLT2 阻害薬を使用中の場合は,脱水に注意し. きだし,いなければ指導者が経験談として説明する。. て水分補給の必要性を教育し,高負荷の作業や,灼熱環. ③生理的感情. 境,夏場などの作業が存在する場合は,事業主および産.  運動を実施して,ストレスの軽減を体験させ,楽しい. 業医と相談することを推奨する。水分摂取量の目安とし. という感情が生じると自己効力感の強化につながる。運. て,体重の 1%以上の脱水にならないように,作業前の. 動を実施する前に運動効果の十分な説明をして理解させ. 体重と作業後の体重を測定し,1 kg 減少する場合は,1. た後に,運動を実体験させポジティブな質問をして,よ. リットルの水分補給を作業時間内に少量ずつ飲むよう指. い感想を引きだすことが望ましい。. 導する。. ④言語的説得.  生産年齢である糖尿病患者で現在就労している者にか.  患者にとって影響力の高い指導者や上司,職場仲間,. かわった際は,上述の基本的な作業内容を把握し,可能. 家族からの説得や,社会的な説得(運動習慣者が会社で. な限り退職することのないよう導くことが望まれてい. 増えてきている。会社が運動を推奨するようなリーフ. る。実際には,糖尿病,高血圧,脂質異常症などの生活. レットを配布など)である。指導者には丁寧な説明と具. 習慣病を合併した心血管疾患や骨関節疾患の患者とかか. 体的な対策が求められるため,あらゆる知識を習得して. わることのほうが多いと思われるが,糖尿病の進展に伴. おくべきである。また,チーム医療を利用して,運動指. い,筋力低下や感覚低下,バランス能力の低下が生じて. 導とは関係のない薬剤師や看護師などからの運動推奨も. くるため,疾病や合併症により低下した身体機能に応. 患者が納得しやすい。また運動指導者である理学療法士. じ,作業の強度,頻度,時間,時間帯,内容を柔軟に変. は,運動習慣者が望ましい。. 更することが望まれている。そして,近年の再雇用制度.  従来の糖尿病に対する理学療法であれば,患者と理学. により,65 歳以上でも働く高齢者の労働人口が増加し. 療法士を含む医療チームのかかわりとなるが,両立支援. 10). 11‒13). 14)15). に基づいた. しており,指導の際に使いやすいので紹. ため,低血糖対策,転倒対策などは徹底的に. には,労働者(糖尿病患者)と医療チーム,そして事業. 教育を行わなければならない。身体機能は急激に低下す. 場もしくは雇用者(管理者)という 3 者がかかわること. ている.

(6) 90. 理学療法学 第 47 巻第 1 号. 表 2 労働者・雇用者・理学療法士の関心度 関心事. 労働者 (糖尿病患者). 雇用者. 理学療法士. 適切な給料(福利厚生) 身体の不調 職場復帰 健康増進 仕事満足度の増加 仕事の支援(補助)増加 手厚い医療の介入 生産性 仕事の安定性・安全性 家族との関係や影響 関心度は,1 =最大の関心,10 =最小の関心. となる。そこで,この 3 社を客観的に俯瞰するために,. カーがおもに障害と仕事の両立という側面において業務. 表 2 のような表を用いると理解しやすい(表 2) 。この. の一環として実施してきた。しかし労働人口の減少,女. 表を用いると,労働者の関心は適切な給料や仕事の支援. 性や高齢者の就労参加,働ける治療方法の確立といった. (補助)増加,家族との関係や影響など,雇用者は早期. 背景により,障害のみならず,治療を受けながらも就労. の仕事復帰,生産性,仕事の安定性など,理学療法士は. できる環境が求められるようになってきている。そうし. 身体の不調,手厚い医療の介入,仕事の安定性・安全性. た中,その活動を労働者健康安全機構が 2010 年に「治. などがもっとも関心度が高くなる可能性が予想される。. 療と就労の両立支援」として研究が開始され,2014 年. 患者中心として考えるのであれば,理学療法士は患者の. に治療就労両立支援モデル事業として両立支援コーディ. 最大の関心度に関して,介入していくべきであろう。こ. ネーターによるかかわりが開始され,2016 年に厚生労. の関心度の評価は,入院中,退院時,通院時,職場復帰. 働省が「事業場における治療と職業生活の両立支援のた. 早期,職場復帰 6 ヵ月後などによって変化していくこと. めのガイドライン」を発行,2017 年には労働者安全機. が予想され,その都度,患者の気持ちが前向きになるよ. 構が「両立支援マニュアル」を発刊した。2018 年には. うかかわることが望ましい。. 癌症例に対する「治療と仕事の両立支援」に診療報酬が.  理学療法士として,治療中断とならないよう,患者が. 設定され,診療報酬の条件として,「がんと診断された. 血糖コントロールに前向きに取り組めるような教育を実. 患者(産業医(労働安全衛生法(昭和 47 年法律第 57 号). 施し,次に職場でも安心して働けるようなリスクを考慮. 第 13 条第 1 項に規定する産業医)が選任されている事. した職場の作業内容の評価と指導を実施した内容を,主. 業場に就労しているものに限る)について,保険医療機. 治医もしくは両立支援コーディネーターに情報を伝える. 関の医師が就労の状況を考慮して療養上の指導を行うと. ことが,臨床の現場で可能な理学療法士の両立支援活動. ともに,当該患者の同意を得て,産業医に対し,症状,. である。可能であれば,職場を訪問し,実際の働く現場. 治療計画,就労上の措置に関する意見等の当該患者の就. を見たほうが指導内容は充実すると思われる。しかし,. 労と仕事の両立に必要な情報を文書により提供したうえ. 医療機関側からの両立支援は,あくまでも患者の治療と. で,当該産業医からの助言を得て,治療計画の見直しを. 就労を両立するための支援であるので,基本的には患者. 行った場合に,6 ヵ月に 1 回に限り算定(療養・就労両. の自己調整に対する側面的支援が中心である。しかし,. 立支援指導料:1,000 点)することができる」とされて. 患者本人が事業者側と調整するのを想定し,その自己調. いる。この主治医と産業医を結びつけるものとして,両. 整が困難であると判断した場合において患者からの要望. 立支援コーディネーターが望ましいとされており,理学. と同意があれば,主治医や両立支援コーディネーターが. 療法士として両立支援チームに参加し,専門性を活かし. 事業者側との直接的な調整にかかわることとなる。その. た貢献によって,一般病院における理学療法士の存在価. ため可能であれば,両立支援コーディネーターを理学療. 値を高めていかなければならない。. 法士自身が取得して,糖尿病だけではないが両立支援に 積極的にかかわっていくことができれば,理学療法士の. 両立支援の実際. 職域拡大にもつながると思われる。.  40 代男性,慢性腎不全,糖尿病,高血圧,喫煙あり,.  本邦において就労への支援活動は,ソーシャルワー. 一人暮らし,糖尿病性腎症により人工透析導入のため,.

(7) 糖尿病治療と就労の両立支援への理学療法士のかかわり. 91. シャント造設。血液透析を週 3 回 4 時間開始,透析後の. ということである。また,米国と英国においても,車の. 体調などは特に疲労感もなく,業務可能のため透析日は. 運転を伴う業務は制限されることがあることから,今回. 半日の出勤予定。職業は陸運業の宅配業務を担当。主治. の産業医の判断は安全配慮義務に基づいた判断であった。. 医からの業務制限は,シャントを圧迫しないことと,重 い荷物を把持しないということであった。入院中に本人. さいごに. から職場に連絡して事情を伝えたところ,職場の対応と.  糖尿病に対する理学療法は医療点数がついていないた. しては,大企業のため事務作業への配置転換を勧められ. め,糖尿病単独で理学療法士としてかかわることは少な. たということであった。しかし,本人は宅配業務への復. いが,脳・心血管の疾病や,肥満を伴う変形性関節症の. 帰を希望しているため,両立支援コーディネーターから. 合併症や原疾患として糖尿病は多くみられる疾病であ. の依頼があり筆者と話し合いの場が設けられた。本人は. る。そのため,働ける年代の患者を担当することになっ. 職場転換といわれて精神的に落ち込んでいたが,話し合. た場合,職種や業務内容を評価し,患者に適切な職場復. いをすることが伝えられると宅配業ができる可能性を考. 帰への助言を心がけるような臨床家が今後の両立支援に. えたためか,糖尿病への治療も熱心になり血糖値チェッ. 望ましいといえる。糖尿病の両立支援にかかわることで. クなどを定期的に実施し,生活習慣を変える努力がみら. 重要なことは,①仕事の価値を評価し,②働きがいのあ. れるということであった。本人の身体能力は,握力左右. る,人間らしい仕事を促進し,③社会に対して安全な仕. 平均 40 kg,バランス機能も特に問題なし,感覚検査も. 事および職場を奨励する,④糖尿病を有する労働者を復. 問題なしであった。業務内容は 1 日 100 ∼ 150 個程度の. 帰させる,ということである。今回,糖尿病の理学療法. 荷物を運搬。重い荷物はできるだけカートを使用してエ. が確立されていない中,それ以上に手探り状態である糖. レベーターを活用しているが,もっとも負荷のかかる荷. 尿病に対する両立支援の背景,両立支援の基本的事項,. 物は,階段しかない 4 階までの建物への自転車などの大. 糖尿病の未治療対策,米国と英国の糖尿病と職場の関係. きな荷物と,500 ml ペットボトルの 48 本入りの段ボー. 情報,糖尿病両立支援の方法と実際を紹介した。両立支. ルであった。負荷のかかる荷物は 1 日平均 10 個程度で. 援に関しては,まだまだ研究論文が少なく,これから活. ある。そこで,荷物運搬時に滑りにくい手袋を使用し,. 動が活発になると思われる。理学療法士として糖尿病患. 体に密着させて荷物を運ぶ動作を指導した。密着する部. 者にできることを常に考え,生産年齢にかかわることが. 分は滑らない素材のベルトなどを利用して運ぶか,もし. あれば職業も評価していくことが,糖尿病の両立支援に. くは肩より上に荷物を乗せて,できるだけシャント部に. 役立ち,その他の疾病においても役に立つ知識と経験が. 負荷のかからない動作や持ち上げ技術,補助となる道具. 得られる。今後は糖尿病患者だけでなく,がん,脳心血. を紹介し,本人に選択させた。最終的に本人が決めたの. 管病,メンタルヘルスの低下,慢性疼痛などに適応した. は,段ボールに貼り付けることができる使い捨てのバン. 運動プログラムが企業の中で一般の労働者をも含めて実. ドを使用し,ショルダーバックのように,肩にバンドを. 施できれば,1 次予防および 2 次予防に貢献できるだろう。. かけることを,負荷のかかる荷物のときのみ使用するこ ととなった。以上のように患者の希望にそって指導した 内容と,可能であれば負荷のかかる荷物を少なくするよ うな配慮を検討していただくよう復職に関する意見書 に,主治医が記載した。この患者の転帰は,産業医判断 により事務職への配置転換となった。本人の感想として は,[産業医は絶対配送ダメってことだったし , 上司が 「とりあえず事務やってみたらどうか。いやならそのと きに考えるということでいいのでは」といってくれたか ら,そうしようと。事務がやりたいわけじゃないからス トレスはあるけど,働かないと。でも,配送を諦めたわ けじゃないから転職も頭にちらつきます]ということで あった。医療現場においては,治療や支援の目的が「そ の人らしさの実現」であり,本事例においてもそれに基 づいた介入であったが,ここで表 2 にあてはめてみると, 雇用者の関心度は,安全(労働者の安全だけではなく, 低血糖による事故などは直接および間接的な風評被害に よる会社への損失なども考慮)がもっとも重要であった. 文  献 1)首相官邸 働き方改革実現会議決定:働き方改革実行計画. https://www.kantei.go.jp/jp/headline/pdf/20170328/01. pdf(2019 年 10 月 20 日引用) 2)厚生労働省ホームページ:事業場における治療と仕事の両 立支援のためのガイドライン.https://www.mhlw.go.jp/ content/000492961.pdf(2019 年 10 月 20 日引用) 3) 「糖尿病受診中断対策包括ガイド」作成ワーキンググルー プ:糖尿病受診中断対策包括ガイド.厚生労働科学研究 「患者データベースに基づく糖尿病の新規合併症マーカー の探索と均てん化に関する研究─合併症予防と受診中断 抑止の視点から」http://human-data.or.jp/wp/wp-content/ uploads/2018/07/dm_jushinchudan_guide43_e.pdf(2019 年 10 月 21 日引用) 4)Izumi K, Hayashino Y, et al.; J-DOIT2 Study Group: Multifaceted intervention to promote the regular visit of patients with diabetes to primary care physicians: ‒ rationale, design, and conduct of a cluster randomized controlled trial‒ the Japan Diabetes Outcome Intervention Trial2(J-DOIT2) Study Protocol. Diabetology Int. 2010; 1: 83‒89. 5)国立国際医療研究センター糖尿病研究部:糖尿病受診.

(8) 92. 理学療法学 第 47 巻第 1 号. 中 断 対 策 包 括 ガ イ ド.http://ncgm-dm.jp/renkeibu/dm_ jushinchudan_guide43.pdf(2019 年 10 月 21 日引用) 6)国立国際医療研究センター糖尿病研究部:糖尿病受診中 断 対 策 マ ニ ュ ア ル.2014.http://ncgm-dm.jp/renkeibu/ dm_jushinchudan_manual.pdf(2019 年 10 月 22 日引用) 7)U. S. Equal Employment Opportunity Commission [internet]. Questions & Answers about Diabetes in the Workplace and the Americans with Disabilities Act (ADA). https://www.eeoc.gov/laws/types/diabetes.cfm 8)The Institution of Occupational safety and health, IOSH: Diabetes, https://www.iosh.com/resources-and-research/ our-resources/occupational-health-toolkit/diabetes/ 9)Lee SM, Koh D, et al.: Diabetes management and hypoglycemia in safety sensitive jobs. Saf Health Work. 2011; 2(1): 9‒16. 10)内 閣 府: 高 齢 者 の 就 業. 平 成 29 年 版 高 齢 社 会 白 書.. https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2017/html/ zenbun/s1_2_4.html(2019 年 10 月 23 日引用) 11)Prochaska JO, DiClemente CC: Stages and processes of self-change of smoking: toward an integrative model of change. J Consult Clin Psychol. 1983; 51: 390‒395. 12)Marcus BH, Simkin LR: The transtheoretical model: applications to exercise behavior. Med Sci Sports Exerc. 1994; 26(11): 1400‒1404. 13)Prochaska JO, Velicer WF: The transtheoretical model of health behavior change. Am J Health Promot. 1997; 12(1): 38‒48. 14)Bandura A: Social foundations of thought and action: A cognitive social theory. Pretince Hall, Englewood Cliffs, New York, 1986. 15)Bandura A: Self-efficacy: The exercise of control. Freeman, New York, 1997..

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