C A N C E R 6 (1 997), p.17-18 17
ズワイガニの高水温下飼育の一例
本 尾
ス ワ イ ガ ニ Chionoecetes otilio は ク モ ガ ニ 科 に 属し,冬の日本海の味覚を代表する重要な食用種 である. 日本海では水深2 0 0 - 4 5 0 mの水温5.C以 下の大陸棚の縁辺部と中央部の大和堆に生息する 寒海性種である( 桑原ら, 1995). ところが, 5 .C はおろか10.Cをはるかに超える 高 い 水 涜 下 で し か も 長 期 間 生 存 し た 飼 育 例 が あ る. こ の事実は今後水族館や種苗生産現場等でス ワイガニを飼育する上での幾分の参考になると思 われるのでその概要を紹介する. なお,筆者がこのスワイガニの飼育に気づき関 心 を持ったのは,ほほ毎 日H
食をと るために レ ストランに通っているうち , そこに夏場になって も尚い水温下で,マダイの泳ぐ傍らで悠々と生き ているスワイガニを大変珍しく 思 ったからであ る. そこでは水混は常時逐一デジ タル表示され, 来客にも 一 日でわかるようにな って いた. 以下はレストランの責任者松浦正清氏からの聞 き取り結果を取りまとめたものである. 観察結果 1996年 1月15日,若狭湾西部海域のズワイガ二 点、場で、底曳網により漁獲されたズワイガニの内, 甲幅9 cm以上の成体雄14匹を漁港で購入し,それ らを冷たい海水と共に生かしてトラ y ク輸送し た. がj2時 間 を要して到着し , 抗 ちに実谷量約 3701のF R P製 角 型 水 槽 に 収平等した. 水槽の外側 サイスは前i
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15 0 X奥行き5 0 X泌さ60cmであり , 前Hli
がガラス,3
方の 内百n
は青色 である . 飼育は1
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;1< を循環させ,エアレーションする方式であ る. 収科したtJt
カニはいずれもいわゆる“水ガニ" と呼ばれる引古│体で,脱皮して未だ十分には月数が Hirosh i M O T OII: O n a rea ring case of sno w crabs. Chiolloecetes otilio. Sl rv i l ¥'ed 1I ndcr h igh water tem peratl re l洋
経っていない身入りの不完全なものであ った. 水 槽の設置場所は京都府漁業協 同組合連合会宮津支 所( 京都府宮 津市) の レス トラン“漁連" の2
階 玄関口 の屋内である . 収容したカニのうち,3
匹 れてい った . そしてカニのシーズンが過ぎ, 1匹 が残ったのは3月下旬であった. そこで松浦氏は 残された1匹の雄ガニはどのくらい長く生きるか 試してみようと思い,調理に用いずそのままにし ておいたとのことである. やがて夏場に向かい, 水温が徐々に上昇していったが, カニは胸lをrr
て て腹部を高く保持する姿勢で元気であ った. それ が急に弱 って 殆ど死にかけの状態になったのが8
月4 日のことであ った. 正確にはその日にはまだ かすかに生きていたが,カニは胸lで体を支えるこ となく腹部を水槽底に落とす姿勢で動かなくな っ ていた そこでやむなく水槽から取り 出 し,裏手 の 海(7if
津 港 ) に 放 し た と の こ と で あ る . 通 算 202日間生存していたことになる. さてその 間の水j鼠であるが,1月15日か ら6月 中頃 までは12 - 13.C,それ以降8月4 日までは15 - 16.C ( 時には 18.C) であった. その 問一時,始 めの頃はヒラメと,後半にはマダイとの│ 寸屑であ った. 全期j聞を通じ て餌はほとんど与えていない が,共食いはなか った そうである. 以上の結果 から思うに ,ズワイガニは長期 間に わた って 相当の尚水混,時には 18.C に, しかもほ ぼ無f
異例でlui
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えることがわかる . なお,当の雄カ ないいわゆる「ミズガ、ニ 」 であったが,死亡しか けたn;¥'
はかなり 叶l持ーの 硬 化 が 進 ん で い た 出 で あ る. スワイガニの長WJ
飼育は水族館などでかなりtp
通にみ られるが,15.C を超える高水温での飼育例 は珍しいと 行える . 今回の場合,長い日数をかけ18 スワ イガ ニのI'.-,J'水温下島fn'の .j$iJI て徐々に 水 温 を 上 げ て, カニをゆ っ くりとそ れに 慣 らしていったのがうまく生存し続 けた l つの 大 きな 理由と思われる.