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北海道沖で得た白化のベニズワイガニ

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Academic year: 2021

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C A N C E R 3 (1993), p .23 - 25

北海道沖で得た白化のベニズワイガニ

村岡 健作 ・ 本間

は じ め に ベニズワイガニは深海 に生息 し, 和名 が示す よ うに, 生時 は甲殻 や歩脚 の背腹面 が一様 に濃紅色 を呈 してい る. 今回, 北海道礼文 島沖で得 た個体 のなかには, 甲殻 や歩脚 な ど全体 に紅色 の色素 が な く, 白化 の個体 が得 られた. その はか に, 紅色 が全体 に薄 く淡 いだいだい色 が浮 きでた個体, さ らに, 紅色 と白色 の斑模様 の個体 な ど も得 られた ので, これ らの観察結果 につ いて報告 し, 今後 の 研究 の資料 と したい. 材料及 び方法 本報告 の材料 はか に篭漁船, 第五栄寿丸 によ っ て

1993

2

月 か ら

4

月 にか けて北海道 礼文 島 の 北西沖, 水深

1000 m

付近 の海底 で カニ篭 に よ り 多数得 られたなかか ら白化 や斑 の個体 のみを選 ん で観察 に用 いた. 材料 は直 ちに船上 で冷凍 した. 下船 後

10%

ホルマ リンで固定 し, 計 測並 びに写 真撮影 を行 な った. なお, 一部 は解凍後直 ちに写 真撮影 し, 同 じくホルマ リンで固定 し保存 した. 観 察 結 果 採集 した白化標本 は

3

個体, 淡色 と色彩 の斑 の 標本 は

7

個体得 ることがで きた. これ らのデー タ は次 の通 りであ る. 白化標本 標本1, 樵 (図版1 - A ) 計測値 : 甲良

11.3 cm

, 甲幅

11.7 cm

採集年月 日 :

1993. 2. 20

採集地 : 礼文 島北西沖, 水深

1,000 - 1,300 m

K en sak u M U RA OK A & H ajim e H oN M A : A lb in o of the tan n er crab ,C hionocetes jap onicus R ath b u n collected from H ok k aid o

23 備考 : 甲殻 は背腹面 とも白化 す る. 歩脚 も同様 に 背腹面 とも白色. 複眼 の色素 は黒色. 標本

2

, 雄 (図版

1

- B ) 計測値 : 甲良

8.5 cm

, 甲幅

8.5 cm

採集年 月 日 :

1993. 2. 15

採集地 : 礼文 島北西沖, 水深

1,000 - 1,200

m 備考 : 甲殻, 歩脚並 びに腹面 は白色. 甲の背面 の 中央 よ りの腸域及 び魚思域 の周辺 に赤 みを帯 びた 小斑点 が まば らに散在 す る. 標本

3

, 雌 (図版

1

- C, D ) 計測値 : 甲長

6.5 cm

, 甲幅

6.8 cm

採集年月 日 :

1993. 4. 17

採集地 : 礼文 島北西沖, 水深

800

m 備考 : 甲殻 は背面 白化 す るが, 肝域及 び周辺域 は 薄 い桃 色 を呈 して い る. 歩 脚 は背 腹 面 と も白 色. 腹面 は胸部腹 甲及 び腹部 とも白色. 本個体 は小 型 で あ るが抱 卵 し, 卵 色 は濃 いだ いだ い 色. 淡色 と斑色標本 ∼ 採集標本 か ら色彩 が淡色及 び斑色標本 のみを選 び観察 をお こな った. 標本

1

, 雄 (図版

1

- E ) 計測値 : 甲長

14.5 cm

, 甲幅

13.3 cm

採集年 月 日 :

1993. 2. 10.

採集地 : 礼文 島北西沖, 水深

1300 m

備考 : 甲殻全体 は白化傾 向が認 め られ るが, 歩脚 の腕節 か ら指節 にか けて赤色 を帯 びる. 標本

2

, 雄 (図版

1

- F ) 計測値 : 甲良

11.2 cm

, 甲幅

11.6 cm

採集年 月 日 :

1993. 2. 6.

(2)

24 北海道沖で得 た白化 のベニズワイガニ

10

15

(3)

村岡健作・本間 肇 25 採集地:礼文島北西沖,水深 800

-

1

0

0

0

m 備考:甲の左鯨域は他域と比較して赤みが強くあ らわれている.さらに歩脚は腕節を境にして基 部と末端部とで色彩が相違している.採集後の 固定が不十分だったため,甲の色彩はやや変色 するが,斑色については著しい変化は認められ なし、 標本 3 ,雄(図版 1-G) 計測値:Efl長 10.5 cm ,甲幅 11.0

cm

採集年月日:

1

9

9

3

.

4

.

1

7

.

採集地:礼文島北西沖,水深 800m 備考:甲殻,歩脚,腹面ともに赤みの色素が薄く, 白化の傾向が見られる.甲の前額部から胃域に かけてやや強い赤みを帯びる. 標本 4 ,雄(図版 1- H) 計測値:甲長 10.5 cm ,甲幅 1 1.

0

cm

採集年月日:

1

9

9

3

.

4

.

1

7

.

採集地:礼文島北西沖,水深 800m 備考:甲殻,歩脚,腹面ともに赤色と白色との斑 模様である. むすび カニの白色個体については, これまでにもズワ イガニで知られている.京都府の宮津地方では, このような個体で甲殻が軟らかく,やや透明で員 褐色のものを「しろがに j と呼び習わしていると のことである(大島編, 1962). このような状態の カニは恐らく脱皮直後のものを指すものと考え る.脱皮直後のものでは本来の色彩よりも淡い色 を呈しているのが一般的である. 今回調べた白化個体のなかには,甲殻も硬く, しかも抱卵個体も含まれていることから,上述の 状態とは異なる.いわゆる白化現象とみなすこと ができる.他に,図版の E のように甲,歩脚とも 色素が全体に淡いだいだい色呈している個体も得 られた.さらに,斑色の個体については,白地と 赤との斑模様や,全体に淡色のなかに点状に赤み 帯びる個体など,いくつかのパターンに分けるこ とができた.なお,観察個体のいずれも複眼の色 素は黒っぽい色素を帯びていた. なお,採集したなかにベニズワイガニとズワイ ガニの中間種と思われる個体を 1 個体得たが,漁 業関係者によれば, これまでにも, この海域で相 主数の個体が漁獲されているとのことである. これらのことから,今後も白化についての調査 を進めるとともに,本海域でのカニ類についての 興味ある事実を明らかにしてゆきたいと考える. 謝辞 本稿を発表するにあたり,第五栄寿丸の嶋脇克 則機関長には,調査のためにベニズワイカ。ニの白 化放び斑色標本のほか,これらと比較観察するた めに多数の標本を提供していただいた.ここに記 して厚くお礼申し上げる. 参考文献 深滝弘, 1965. ベニズワイとズワイガニとの雌の外部形 態の比較. 日水研報告. (1

5

)

:

1

-1

1

.

大島正満. 1962. 応用動物事典.北降館.

7

8

1

pp 漉チtt亘, 1976. 日本産蟹類.講談社.

4

6

1

pp.,

2

5

1

pls. (村岡健作,神奈川県立博物館・本間肇,日本中殻 類学会員)

図 1 . 北海道沖で得 た山化 と斑色 のベニズワイガニ

参照

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