Japanese Society for the Science of Design
NII-Electronic Library Service
Japanese Sooiety for the Soienoe of Design記
号
の
公 式
と
現
象的
レイ ア ウ ト
The
Model
of
Sign
and
Phenomenal
Layout
田 代 祐
子グ ラフ ィ ック デ
ザ
イナー
/ 講師
TASHIRO
YukoGraphic
designer
〆Lecturerは
じめ
に 記 号は、
コミュ ニ ケー
ショ ン手 段と し て の視 覚 伝 達 方 法の ひと つで あ る。
各
記号
の持
つ意味
は背 景
となる文化
の概
念 が読
み手 に理解
されては じ め て機 能
す る。
「文 字の歴 史 」(
ジョルジュ・
ジャン著
,
矢 島文 夫 監修
,
創
元社)
を読
んで い て、
資料 篇
に ギ リ シ ア と ロー
マの碑
文 につ い て 比べ る一
文 が あ り、
文 字 やレイ アウ トを文 化
記号
と して、
記号
の構
成要 素
を一
覧
できる公 式 に当
て は め てみ よう と思っ た。3
例
の うち、
2
例は碑 文の書
体の 違いに よ る背
景 や精 神
を 比較
。 ま た、
前2
例の碑 文に 見 られる視 覚 的
に明瞭
な情 報 伝 達
と、
3
つ め の例、
音楽
誌 「レイ ガ ン 」 の不 明 瞭に見え る デザイ ンの情報伝
達目的の違いを 挙 げ た。
記号
の 公式
にっい て 言 語学 者
ソシュー
ル は、
意 味
を 成 り立 た せる要素
と して、
記 号・
人・
物
に構
成 関 係 が ある ことに関 心 を 持 ち、
そ の説 明 と し て、
記 号 をモ デル 化 し た。
(次ペー
ジ 参 照 ) 記 号 を 構 成 す る 要素
、
signifierは、
その記
号の見 た 目 や 特 徴、
例 ;紙に書かれ た 印、
空 間に流 れる音 な ど。
signifiedは、
同 じ 文 化・
言 語 を共 有
する者
同 士の 「精 神
的 概 念」。
「IO
万年 後の安 全 」 (2009
年 製 作 ) とい うフィン ラン ドの放 射性 廃 棄 物
埋 蔵 施設
オンカロにつ いて の映 画のな かで、
貯 蔵 が いっ ぱい にな り 役 目 を 終 え 封 印 さ れ た 埋 蔵 施 設が再 び 掘 り起 こさ れ ぬ よ う ど う やっ て10
万 年 後の未 来の人々へ伝
えるの か、
科 学 者が論じ る場 面が あ る。
「人の解 釈の変 化の危 険
を考
え れ ば、
標
識 などを残
す よ り表
面 を 更地
に戻し た後
、
施 設
は忘
れ去
られるべきだ」。
こ れ は、
社
会か ら記号 が認識
さ れ な い・
機
能 しない と想像
し た場合
のネ
ガテ ィブな例
だ が、
惑 星探
査機
に宇
宙 人へ の メ ッセー
ジを搭 載
し た と き と は未 来
に対 する解釈
が 随 分違
う。
30
数年
で意 識
が変化
する のだ から、
や は り宇宙
人に メッセー
ジは読
ん で も ら え な い のだろ う。 よっ て、
文 字 組に音 楽 的テンポ
が 生 ま れ た。 全体
の バ ラ ン スを 保つた め 文字
は 上か ら下の行
へ い く ほど や や 小 さ く レイアウ ト さ れて いる。
概 念 :征 服 民 にロー
マ帝
国の力
を誇
示 するた め領
土 内 各 地 に建 設。
・
音 楽 誌 「レイ ガン 」(
1992
−2000
年)
特 徴 :文 字・
行 間の 均 衡を崩し た、
可読
性の低
い文 字 組。 焦 点 の合 わ ない写 真 や ト リ ミング に よっ て拡散
された イ メー
ジ表現
。 概 念 ;書 体・
レイアウトを形では な く、
現象
と し て と ら え る。
二 つ の碑 文 につ い て 以 下、
参 照し た 「文 字の 歴史1 に あ る背
景を補
足する。
・
ギ
リシ ア文 字、
BC5
〜
4
世 紀成
立。
多岐
に渡
り優
れ た文 学作
品 を 生 み 出 す。
BC3
世 紀 頃、
19
の記 号 を もつ ロー
マ字
が 生ま れ、
BC1
世 紀 頃 にX
とY
が加 えられた。
・
古 代 ギ リ シァ はBC146
年 に 古 代 ロー
マ に併 合
されたが、
ロー
マ に 影 響 を 与え続け た。
ギ
リ シ ア 文 字 は修
正 さ れ ながら も ロー
マ で使
わ れ続
け、
F
、
Q、
V
な ど ギリ シ ア では 廃 れ た 文 字 がロー
マ で復
活し た。11
世
紀イタリ ア で は、
公文 書 を ギリ シ ア語で書
くこ とが流行
した。 音楽 誌
レイ ガン につい て1992
年
倉1」
刊し2000
年
に廃 刊
した。
主にオルタナ ティ ブ・
ロッ ク を 扱っ た音
楽誌 (
米)
。1990
年代
を代 表
す るグラ フ ィッ ク デ ザ イ ナー、
タ イポグ ラ ファー
と し て知られる デ ヴィ ッ ド・
カー
ソ ンがアー
トデ ィ レクショ ン した。
そ の混 沌雑
然 と し たス タ イ ル は、
グラ ンジ (Grunge
、
1990
年 代 全 盛 だっ たロックの ジャ ン ル名 称
。)
・
タ イ ポ グラ フィと称
さ れ、
グ ランジ を 視 覚 化 し た デザイ ンとい う受 け 取られ 方 も 多 かっ た。
しか し、
カー
ソ ンの社 会 学
を修
め た経
歴 や2003
年
に 行 わ れ たTED
に お け る フ レゼン テー
ションを 見るか ぎ り、
彼 が 目 指 したのは読 者 に能 動 的に制 作
意 図 を読み取 ら せる こと に あ り、
グ ランジ は 彼 の 作 風 を評
すると き 後づけ さ れ た 形容
に す ぎ ない。
3
つの例
・
ギリ シ ア文 字 碑 文特徴
;サ ン セ リ フ書体
。幾何 学
的。 文 字 は同
じ太 さで彫られて い る。
概 念
:ギリ シャ社
会の秩
序 と 方 法、
調 和の精 神。
・
ラ テン文 字碑 文
特徴
:セ リ フ書 体。
文 字の形に合 わ せ 大 き さ が 変 化 したことに考 察
碑 文 が 公 的、
恒 久 的で あるに は 明瞭
でな くては伝
わ ら ない。
従
っ て書体
も レイアウ トも優 れ た 可 読 性 と、
統 治 目 的 が あっ た ロー
マに は 書 体 に威 厳 や 風 格 が 求 め られ た。
石 碑 (オ ブ ジェ ク ト)
が 縦の時 間 軸の経 過 を 経ても 耐 え う る 強 度 が あ ること に 対 して、
紙 やデ バイス 機 器は短 命だ が、
今 日の 技 術 環 境に おい36
デ ザ イ ン 学 研 究 特 集 号Special
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コ
eofJapaneseSocietyfortheSoience
ot
Design
VoL19
−
3 No、
75 2012Japanese Society for the Science of Design
NII-Electronic Library Service
Japanese Sooiety for the Soienoe of Design左 :ギリ シ ア文 字 碑 文
。
ロー
マ皇 帝 ネロ の演 説 を 記 録。
ロー
マ文 明 博 物 館 蔵。
中 央 :ラ テン文 字 碑 文。
トラ ヤ ヌス記 念 柱 の 碑 銘。
113
年 建 造。
右 :音 楽誌 「レ イ ガン
」
。
誌名 下のバンド名は本来な ら、
RADIOHEAD
だ が 誌 名の最初の2
文 字RA
と 重 複 す る た め 省 略 さ れて いる。
誌 名と バン ド名の書 体も太さ が使い分け られて い る。
記 号 の 公式
sign
=
signifier(
physical
exlstence of the sign)+
signified (mental concept
)
≡
signiflcation
(
external reality ormeaning)
記号