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第14回日本助産学会学術集会集録 一般演題 (口頭発表) 第12群

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36.中 国 江 西 省 青 少 年 の飲 酒 ・喫 煙 に

関 す る健 康 影 響 の 知 識

聖 路加看 護 大学 院

岡 永真 由美

国 立公 衆衛 生 院疫 学部

尾 崎米 厚

I.は じめ に 従 来 思 春 期 の 問 題 行 動 と捉 え られ て い た 飲 酒 ・喫 煙 は,成 人 病 の リス クファクター に 関 連 す る 生 活 行 動 として 注 目され て い る。将 来 の 健 康 な妊 娠 ・出 産 に 向 け て,性 や 生 殖 の 課 題 を共 に 考 える 立 場 の 助 産 婦 が, これ らの 行 動 を 理 解 す る ことは 重 要 で あ る、今 回 日 本 と中 華 人 民 共 和 国(以 後 中 国 とす る)江 西 省 の 思 春 期 の 行 動 と健 康 影 響 の 知 識 の 共 通 性 を探 り,思 春 期 健 康 教 育 に 対 す る示 唆 を得 る た め に飲 酒 ・喫 煙 行 動 調 査 を実 施 した 。 中 国 の 学 校 教 育 に お け る健 康 教 育 内 容 は,主 に 「思 春 期 の 生 理 と生 活 」「感 染 予 防 」で あ った 。 II.調 査 方 法 調 査 方 法 は 断 面 標 本 調 査 で あ る。調 査 は 江 西 省 の 都 市 部 と農 村 部 を 層 に した 層 別1段 クラス タ ー 抽 出 に よっ て 都 市 部 中 学 校10校,高 等 学 校12校 と農 村 部 中 学 校25校,高 等 学 校8校 を抽 出 して 調 査 を 行 っ た 。調 査 票 配 布 は,主 に 学 校 医 と各 地 衛 生 防 疫 站 学 校 衛 生 課 の 職 員 が 行 い そ の 場 で 回 収 した 。調 査 に 際 して は,喫 煙 ・飲 酒 を 肯 定 した り否 定 す る 発 言 を し な い こと,生 徒 の 調 査 票 記 入 時 に 机 間 巡 視 を しな い こと,テ ス トで は な い の で あ りの ま まを 書 くように 言 うこ とを依 頼 した 。調 査 時 期 は1997年9月 ∼10月 末 で あ っ た。 調 査 内 容 は,飲 酒 頻 度 や 喫 煙 頻 度,初 め て の 飲 酒 年 齢 や 喫 煙 年 齢,飲 酒 量 や 喫 煙 量,飲 酒 機 会, 飲 酒 場 面,飲 酒 や 喫 煙 に 関 係 す る疾 病 や 出 来 事 の 知 識 な どで あ った 。調 査 票 は12,245通(有 効 回 答 率9 8.4%)を 解 析 対 象 とした 。飲 酒 ・喫 煙 行 動 と関 連 要 因 の,ク ロス 集 計 表 以 外 の 相 対 度 数(%)は,本 調 査 の 抽 出 方 法 に 従 っ て 算 出 した 。集 計 はMicrosoft Exc el for Windows95 Version7.0で 行 った 。

III.結 果 1 飲 酒 行 動 と飲 酒 に 関 連 す る知 識 この30目 間 に1日 で も飲 酒 した 者 の 割 合(以 後 月 飲 酒 率 とす る)は,男 子 で は 学 年 と共 に 増 加 した 。女 子 は 中 学 と高 校 の 間 に 月 飲 酒 率 の 増 加 を認 め た。 飲 酒 に 関 係 が あ る疾 病 や 出 来 事 の 知 識(急 性 アル コー ル 中 毒,肝 臓 病,交 通 事 故,胎 児 へ の 影 響,ア ル コ ー ル 依 存 症,脳 萎 縮)と の 関 連 は,二 者 択 一 回 答 式 質 問 に よっ て 結 果 を 得 た(表1-1,表1-2)。 月 に 10日 以 上 飲 酒 した 者 の 正 解 が 飲 まな い 者 と比 べ て 低 い 内 容 は,中 学 男 子 で は 胎 児 へ の 影 響,中 学 女 子 は 急 性 ア ル コー ル 中 毒,交 通 事 故 で あ っ た.高 校 男 子 は 急 性 アル コ ー ル 中 毒,交 通 事 故,高 校 女 子 は 急 性 アル コ ー ル 中 毒,胎 児 へ の 影 響,ア ル コー ル 依 存 症 の 正 解 が 少 な か っ た.学 校 で 飲 酒 に 関 す る健 康 教 育 を 「受 け た 」と回 答 した 者 は,男 女 とも 中 学3年 で 最 も 高 か っ た 。 2 喫 煙 行 動 と健 康 影 響 へ の 認 識 この30日 間 に1日 で も喫 煙 した 者 の 割 合(以 後 月 喫 煙 率 とす る)は,男 子 で は 学 年 と共 に 増 加 した。女 子 は 高 校1年 ま で の 月 喫 煙 率 が 極 め て 低 か っ た。高 校 2年,3年 女 子 で は や や 増 加 した が1%未 満 で あっ た。 喫 煙 行 動 の 関 連 要 因 は 女 子 の 月 喫 煙 率 が 極 め て 低 い た め,分 析 は 男 子 を 対 象 とした 。 喫 煙 の 身 体 に 対 す る影 響 を 尋 ね る質 問 で は,男 子 中 学 ・高 校 生 とも に,喫 煙 が 身 体 に 「害 が あ る 」と回 答 した 者 が 最 も高 か っ た 。しか し 高 校 生 に な る と「害 が な い 」「多 少 害 が あ る」と回 答 す る 割 合 が 増 加 傾 向 に あっ た(表2)。 IV.考 察 1.青 少 年 の 飲 酒 行 動 と健 康 影 響 へ の 知 識 10-18歳 の 月 飲 酒 率 を 用 い た わ が 国 の 研 究 結 果 と 比 較 す る と,江 西 省 の 男 子 中 学,高 校 生 とも 月 飲 酒 率 は1/3以 下 で あ り,女 子 も極 め て 低 か った 。 飲 酒 に 関 す る健 康 教 育 は,中 学3年 生 迄 に 実 施 さ れ て い た 。そ こで の 健 康 教 育 内 容 は 感 染 症 や 衛 生 管 理 な どの 急 性 感 染 症 対 策 等 の 保 健 問 題 や 「思 春 期 の 生 活 と生 理 」に 重 点 が 置 か れ て い る1)ため に,将 来

(2)

に及 ぶ 健 康 影 響 な ど の 理 解 が 不 十 分 で あ ると考 え ら れ た 。ま た 飲 酒 の 健 康 影 響 へ の 知 識 は わ が 国 の 結 果2)と同 様,月 に10日 以 上 飲 酒 した 者 と飲 酒 しな か っ た者 との 知 識 の 差 は 殆 ど な か っ た 。しか し江 西 省 の 女 子 は 正 解 が 少 な い 傾 向 に あ っ た 。これ らの 結 果 か ら,飲 酒 の 健 康 影 響 へ の 知 識 が 青 少 年 の 中 で あ い ま い で あることに 注 目 し,喫 煙 ・飲 酒 ・薬 物 乱 用 に 関 す る保 健 指 導 の 手 引 き3)でも指 摘 す る ように,知 識 偏 重 で は な く,生 徒 の 関 心 が どこ に ある の か,飲 酒 行 動 が どん な 健 康 影 響 をも た らす の か 生 徒 の 気 づ きや 話 し 合 い が 出 来 るよ うな 教 育 展 開 の 工 夫 等 が 必 要 で あ る と考 え る。 2。青 少 年 の 喫 煙 行 動 と健 康 影 響 へ の 知 識 月 喫 煙 率 は,男 女 とも極 め て 低 か っ た 。江 西 省 や わ が 国 の 月 喫 煙 率 は,男 子 に 比 べ て 女 子 が か な り低 いことが 特 徴 で あ った 。 今 回 は 女 子 の 喫 煙 率 が 低 い た め,男 子 の み で 健 康 影 響 へ の 認 識 を 検 討 した 。結 果,喫 煙 者 が 喫 煙 は 体 に 害 が あ ると回 答 した 者 が 少 な い 傾 向 に あ った 。こ の 理 由 として 次 の2点 が 考 え られ る.喫 煙 の 害 の 認 識 の 低 さが 喫 煙 を 促 進 す る 場 合 と,行 動 を 正 当 化 した いた め に 害 が な い と回 答 す る 場 合 で あ る 。今 回 の 調 査 は 断 面 調 査 で あ る た め に 因 果 関 係 は 検 証 で きな い が,こ れ らの 点 を ふ ま え た 喫 煙 の 健 康 教 育 が 必 要 で あると考 え る。 3.標 本 の 代 表 性 と回 答 結 果 の 妥 当 性 本 研 究 は,回 答 率 が 高 く,サ ン プ ル 抽 出 方 法 も 偏 りが な か った と思 わ れ るの で,標 本 の 代 表 性 が あ ると 考 え られ る。妥 当性 に つ い て は,プ ライバ シ ー 保 護 に 留 意 し,矛 盾 回 答 が 全 回 答 中1.3%と 少 な か った の で, 妥 当性 は あ る程 度 確 保 され た と思 わ れ る。 V.結 論 生 徒 の 月 飲 酒 率 は,わ が 国 と比 較 して 男 女 とも 低 か った が,健 康 影 響 に 対 す る 知 識 は あ い ま い で あ っ た。月 喫 煙 率 は わ が 国 と比 較 して 極 め て 低 い もの の, 喫 煙 は 身 体 に 害 が あ ると回 答 す る者 が 喫 煙 者 に 少 な い傾 向 に あ った 。今 後 の 飲 酒 と喫 煙 の 健 康 教 育 は, 青 少 年 自 身 の 生 活 行 動 が 将 来 の 健 康 に 影 響 す るこ とを 自覚 し,健 康 管 理 へ の 意 識 が 高 め られ るよ うな 教 育 展 開 が 望 ま れ る。 VI 文 献 1)岡 永 真 由 美 他:中 国 江 西 省 の 青 少 年 に 対 す る健 康 教 育 の 現 状 と課 題,小 児 保 健 研 究,58(6),680―68 4,1999. 2)簑 輪 眞 澄 他:1996年 度 未 成 年 の 飲 酒 行 動 に 関 す る全 国 調 査 報 告 書,1997。 3)日 本 学 校 保 健 協 会 編:新 訂 喫 煙 ・飲 酒 ・薬 物 乱 用 防 止 に 関 す る指 導 の 手 引 き,30-38,日 本 学 校 保 健 協 会,1995 表1-1 中 学 ・高 校 の 男 女 別 の 飲 酒 者 数(人) 表1-2 飲 酒 と関連 す る出 来 事 の 知 識 の 正 解割 合 表2 喫煙 の身 体 に 対 す る影 響(%)

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37.産 育 を め ぐる慣 習 の 伝 承 に

関 す る 日韓 比 較 研 究

―第 二報

長 崎県 ・対 馬 と慶 南部 ・晋州 との比 較 ―

長崎大学医療技術短期大学部

○大石

和代

北里大学看護学部

宮里 和子

達木 レディースクリニック

加藤奈智子

北里大学大学院

杵淵恵美子

I は じめ に 助 産 に お い て 、 対 象 とな る 妊 産 婦 や そ の 家 族 の 文 化 的 背 景 を 考 慮 す る こ と は 、助 産 の 質 を 向 上 さ せ る 上 で 重 要 と思 わ れ る 。 我 々 は 、 日本(長 崎 県 ・対 馬)と 韓 国(慶 南 部 ・晋 州)2つ の 地 域 で 、 妊 娠 ・出 産 に 関 す る 慣 習 に つ い て 調 査 し、 これ ら 2つ の 地 域 間 に は 共 通 点 が あ るか 、 異 な っ た 慣 習 に は ど ん な 文 化 的 背 景 が あ るか 等 に つ い て検 討 し た 。 II 方 法 1.対 象 研 究 の趣 旨を 理 解 し、 協 力 の 得 られ た 、 既 婚 の 自宅 分 娩 経 験 者156名(長 崎 県 ・対 馬75名 、 慶 南 部 ・晋 州81名)で あ る 。 2.調 査 期 間 1996年3月 ∼1997年6月 で あ る。 3.デ ー タ収 集 方 法 対 象 者 を 戸 別 訪 問 し、 調 査 表 に 基 づ く面 接 調 査 を 実 施 した 。 調 査 表 の 内 容 は 一 般 的 背 景6項 目、 出 産 経 験2項 目、 妊 娠 に 関 す る慣 習6項 目、 出 産 に 関 す る 慣 習13項 目、産 後 お よ び 育 児 に 関 す る 慣 習10項 目 で あ る 。 調 査 表 は 日本 語 、 韓 国 語 、 英 語 で 作 成 し た。 対 象 者1人 の 調 査 所 要 時 間 は 約 1時 間 で あ った 。 4.調 査 地 区 長 崎 県 ・対 馬 の調 査 地 区 と してT地 区 を 選 定 し た。T地 区 は 世 帯 数437戸 、 人 口1、223人 の 漁 業 集 落 で あ る。 対 馬 の 中 で も特 に交 通 の 不 便 な と こ ろ に あ り、 そ の た め 他 地 区 と の交 流 が 少 な く、 多 くの 古 い 慣 習 が 近 年 ま で 伝 承 さ れ て い る 。 一 方 、慶 南 部 ・晋 州 市 は 韓 国 の 南 西 端 に 位 置 す る 人 口70、000人 の 古 い 歴 史 と文 化 を 持 っ 都 市 で あ る 。 今 回 の 調 査 で は 、 晋 州 市16地 区 か ら10地 区 を 選 定 した 。 対 象 と な っ た こ れ ら の地 区 は 谷 や 河 が 多 く存 在 す る こ と か ら転 入 ・ 転 出 者 が 少 な く、 多 く の 古 い 慣 習 が 近 年 ま で 伝 承 され て い る。 こ の2つ の 地 域 は 日本 海 を 挟 ん で 対 峙 して い る 。 III 結 果 1.対 象 者 の属 性 平 均 年 齢 は対 馬73.9歳 、 晋 州68.0歳 で 、 対 馬 で5.9歳 高 くな って い た 。 平 均 居 住 年 数 は 対 馬70.8年 、 晋 州43.9年 で あ っ た 。 ま た 、 平 均 結 婚 年 齢 は 対 馬21.3歳 、 晋 州18.0歳 で あ り、 平 均 出産 回 数 は 対 馬4. 4回 、 晋 州5.0回 で あ っ た 。 世 帯 主 の 職 業 は 対 馬 の78.0%が 半 農 半 漁 で あ り、 晋 州 の9 2.6%が 農 業 で あ っ た 。 宗 教 は 両 地 域 と も仏 教 が 多 くな って い た(対 馬95.5%,晋 州9 1.0%)。 2.妊 娠 に 関 す る 慣 習 妊 娠 中 に 何 らか の 飲 食 上 の 禁 忌 が あ っ た と答 え た 者 は対 馬16.2%、 晋 州82.7%で あ っ た 。 両 地 域 間 に は 大 き な 差 が 認 め られ た 。 対 馬 で 禁 忌 と され て い た もの は 蛸 、 青 魚 等 で あ っ た。 「蛸 を 食 べ る と骨 の な い 子 が 産 ま れ る 、 胎 盤 が 離 れ ず 難 産 に な る」 「青 魚 に 当 た る と流 産 す る 」 等 の 形 で 伝 承 され て い た 。 晋 州 で は 鴨 、 鶏 、 豚 、 馬 、 犬 等 の 肉 が 禁 忌 で あ っ た 。 「鴨 を 食 べ る と子 ど も に水 掻 き が で き る 」 「鶏 は 子 ど

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もの 肌 を 鳥 肌 にす る 」 等 の 形 で 伝 承 され て い た 。 ま た、 晋 州 の62.0%が 飲 食 上 の 禁 忌 と して 人 参 、 翁 草 の 根 な ど の 漢 方 薬 を あ げ た が 、 対 馬 で は 薬 に 関す る 答 え は ほ とん ど 聞 か れ な か っ た。 一 方 、行 動 上 の 禁 忌 で は 対 馬 の35.1%、 晋 州 の7 9.8%が あ りと答 え て い た 。 行 動 上 の 禁 忌 は 「 葬 式 や 火 事 を 見 る と 子 ど も に 黒 癒 や 赤 斑 が で き る 」 「手綱 ま た ぐと難 産 にな る 」 等 の 形 で の 伝 承 で あ り、 こ れ らは 両 地 域 に共 通 して い た 。 2.出 産 に 関 す る慣 習 1)里 帰 り 出産 の た め に里 帰 りを した 者 は 対 馬 で45。3 %で あ り、 晋 州 で は2.5%と わ ず か で あ っ た 。 2)第1子 出産 の 介 助 者 対 馬 で は61.3%が 産 婆 ・助 産 婦 に よ る もの で あ り、 晋 州 で は77.2%が 義 母 に よ る もの で あ った 。 3)第1子 出産 後 の 主 な 手 伝 い 人 対 馬 で は52.0%が 実 母 、28。0%が 義 母 で あ った 。 一 方 、晋 州 で は74.1%が 義 母 で あ り、 実 母 は3.7%と 少 な か った 。 IV 考 察 日本 で は 出 産 の場 所 が1960年 代 に 家 庭 か ら 施 設 へ と移 行 し、 そ れ まで 伝 承 され て き た 妊 娠 ・ 出 産 に 関 す る 古 い慣 習 は 大 き く変 容 した 。 一 方 、 韓 国 で は施 設 分 娩 が 家 庭 分 娩 に と っ て か わ った の は1960年 ∼1970年 代 に か けて で あ った 。 したが っ て 、 対 象 者 の 妊 娠 ・出産 の 慣 習 は 施 設 分 娩 に 移行 す る 前 段 階 で の 両 地 域 で の 慣 習 とい う こ とに な る 。 妊 娠 に 関 す る 慣 習 で は 、 両 地 域 と も 「禁 忌 」 と い う形 で 伝 承 され て い た 。 飲 食 上 の 禁 忌 は 「これ を食 べ る と胎 児 に影 響 す る」 と伝 承 され て い た 。 その 食 べ 物 は 対 馬 で は 主 に 魚 類 で あ り、 晋 州 で は 鳥 獣 類 が ほ と ん どで あ った 。 こ れ は 居 住 地 域 の 地 理 的 条 件 の 違 い に よ る もの と 思 わ れ る。 禁 忌 の 食 物 に は 類 感 呪術 的 要 素 が 強 く、 明 らか に迷 信 と い って よ い もの が 多 く含 まれ て い る が 、 晋 州 で は8 割以 上 が 伝 承 して い た 。 韓 国 に は 「飲 食 を 管 理 す る こ と に よ り身 体 的 ・精 神 的 に 良 い 状 態 が 得 られ る」 と い う考 え 方 が 古 くか ら あ る が 、 こ の こ とが

晋州 での伝承 の割合 の高 さの 背景 にあ る と思 わ

れ る。ま た、晋州 の半 数以上 が漢方 薬を飲 食上

の禁 忌 と して伝 承す る背景 には、漢 方薬 につ い

ての韓 国の長 い歴史 とそれ に伴 う先 人た ちの知

恵 の伝承が ある と思わ れ る。 行動上 の禁忌 は 「

これ をす ると胎 児 に影 響す る」 と伝承 され てい

た。 その行動 は両地域 でほ とん ど類似 して いた

が、 伝承の割合 は飲食上 の禁忌 と同様 に晋州 で

高 くな って いた。

出産 に関す る慣 習は対 馬 と晋州 で大 き く異 な

って いた。里帰 りや産後 の手伝 い人 と して実母

が深 く関わ るとい う慣習 は対馬 だけ に見 られ る

もの であ った。里 帰 りは 日本 の古 い婚姻法 の遺

風が現代 に引 きつ がれた もの といわ れてお り、

対馬 での これ らの慣 習の 背景 に はこの よ うな文

化的特徴 がある と思われ る。 一方、 晋州 では義

母が 出産 の介助、産後 の手伝 い等の すべて の役

割を果 た していた。韓 国社会 では儒教 倫理 が規

範 とな ってお り、結 婚 した娘 は 「

結 婚 による他

人」 と呼ば れ家族 の一 員 とはみな されなか った

。母親が い くら望ん で も娘の生 活 に関与す る こ

とはで きなか った。韓 国社会 の もう一 つの伝 統

的な法則 は、家庭 内において は義母が 伝統 を次

の世代 に引き継 ぐための 中心 的役割 を果たす と

い う関係 である。晋州 での 出産 の慣習 の背景 に

は この よ うな文化 的特 徴が ある と思 われ る。

文献

1.恩 腸財 団母子愛育 会:日 本産育 習俗資料 集

成、1975

2。 鎌 田久 子他:日 本 人の子産 み ・子 育て 、劉

草書房 、1990

3 , Yu An Jin : Traditional customs of

childrearing in Korea, National University

Publications, Seoul, 1984. (in Korean)

4. Kim Seung Bae : Folklore of Korea, Jip mung

Dang, Seoul, 1980. (in Korean)

(この調査 は、長崎大 学医療技 術短期 大学部 と

韓 国晋州看 護保健専 門大学 との大学 間交流 に

よる共 同研 究 と して 行な った もの であ る。)

(5)

38.20代

勤 労 女性 の 性 行 動 に関す る

健 康 の 認 知 と保健 行 動

日本赤十字看護大学 新田 真弓

I.は じめ に

20代 の 勤 労 女 性 にとって 、性 行 動 に関 する健 康

をどの ように認 知 し、保 健 行 動 をとって いるか は 、

健 全 な 日常 生 活 を過 ごす 上 で欠 か す ことの 出 来

な い事 柄 であ る。しか し、一 般 的 に は 、勤 労 女 性

の 健 康 管 理 は労 働 者 とい う側 面 で捉 えられ ること

が 多く、女 性 の 身体 的 ・

心 理 的 特 性 を十 分 に把 握

し管 理 され てい るとは いえな い現 状 にある。

先 行研 究 で は 、思 春 期 や青 年 期 女 性 の 身 体 的 ・

精 神 的 健 康 度 と生 活 習 慣 ・

保 健 行 動 など の 調 査

は 行わ れ てい るが 、20代 の 勤 労 女性 で の調 査 や 、

保健 行 動 に関 す る検 討 は 十 分 とは言 えない 。

そ こで本 研究 で は 、①20代

の 勤 労 女 性 の性 行

動 に関 す る健 康 状 態 とイメージの 実 態 を把 握 し、②

20代 の勤 労 女 性 の性 行 動 に 関す る健 康 の 認 知 と

保 健 行 動 の関 係 を明 らか にす る事 を 目的 とした。

II.方 法

本 研 究 は 、量 的 アプローチに よる実 態 探 求 型 記 述

的 デザ インを とり、質 問 紙 は 先 行 研 究 よ り検 討 ・

成 した 。

1.用 語 は 、r健康 状 態 の 認 知 」

を、性行動 に関す

るイメ

ージ と自 覚 され る健 康 状 態 であ る症 状 に よっ

て構 成 され るもの 、「性 行 動 」は 、性 行 為 、避 妊 、

性 行 為 感 染症 の3因 子 とす る。又 、「

保 健 行 動」は 、

健 康 維 持 ・

回 復 ・

増 進 を目 的 として とる行 動 で 、性

行 動 に関 す る知 識 の 収 集 、方 法 の 選 択 、原 因 の

追 究 等 が 含まれ る。

2.対 象 は 、20代 の 女 性 、未 婚 、正規職員又は派

遣 社 員 の条 件 を満 た し、協 力の 得 られ た企 業 の

職 員 と有 志 による協 力者 、計526名

である。

3、測 定用 具

性行 動 の イメ

ージ項 目 、健 康 状 態 項 目 、保 健 行 動

計60項 目に よる 自記 式 質 問紙 を作成 し5段 階 に

て得 点化 した(表1)。

表1「性行動の健康の認矢吐保健行動」質問項目と信瀬性平均値

4.調 査 期 間 、配 布 ・

回 収 法

調 査 期 間 は1998年10月

∼12月 であ り、研 究協

力者 に より配 布 し、無 記 名 、郵 送 回 収 方 法 をとっ

た 。分 析 に は 、統 計 ソフトSPSSを 使 用 した 。

III.結果

質 問紙526部

配 布 、206部 回 収 、回 収 率392%

であり、有効 回 答 数 は184部34996、う

ち性 行 為

経 験 者 が151名82,1%で

あ った 。

1.性 行 為 に 関す る健 康 の 認 知 と保 健 行 動

イメ

ージ得 点 と、心 理 的 変 化 得 点 、身 体 的 症 状 得 点

は 、正 の 相 関 関 係 が あり、又 、性 行 為 に 関 するイメ

ージ得 点 と保 健 行 動 得 点も弱 い正 の 相 関 関 係 に あ

った 。(表2)。

性 行 為 に関 するイメー ジ得 点 、心 理 的 変 化 得 点 、

身 体 的症 状 得 点の それ ぞ れ を低 群 と高 群 の2つ

に分 類 し、イメー ジ得 点 と心 理 的変 化得 点 、イメー

ジ得 点 と身 体 的症 状 得 点 の各 クロス 表 を作 成 した。

(6)

イメージ得 点 ・

心 理 的 変 化 の 低 い1群 、イメー ジ得

点 が低 く、心 理 的 変 化 の 高 い2群 、イメー ジ得 点

が高 く、心理 的 変化 の低 い3群 、イメー ジ得 点 、心

理的 変化 ともに高 い4群 に分 類 した 。イメー ジ得 点

と身体 的症 状 得 点 につ いて も同 様 に4群 に分 類 し

た(表3)。

表2性 行 為 に 関す る 各 得 点 間 の 相 関 関 係(*p<0.01) 表3性 行為における健康 の認知 の分類 イメー ジ 得 点 と心 理 的 変 化 に よ る 各 群 に お い て 保健 行 動 得 点 を 従 属 変 数 とした 一 元 配 置 分 散 分 析 を行 った 結 果 、有 意 差 が 見 られ た(F(3,142)= 4.274,p<0.01)。TukeyのHSD法 を用 い た 多 重 比 較 に よ る と、イメー ジ 得 点 も心 理 的 変 化 得 点 も 低 い1群 が 、イ メー ジ 得 点 も 心 理 的 変 化 得 点 の 高 い4群 より、保 健 行 動 得 点 が 有 意 に 低 か った(MS e=t233,p<0.05)。 イメー ジ 得 点 と身 体 的 症 状 に よ る 各 群 に お い て も,同 様 に 一 元 配 置 分 散 分 析 を 行 った 結 果.有 意 差 が 見 られ た(F(3,142)=4.527,P<0。01)。Tuk eyのHSD法 で は 、イ メー ジ 得 点 も身 体 的 症 状 得 点 も低 い1群 が 、イメー ジ 得 点 が 高 く、身 体 的 症 状 の 低 い3群(MSe=1.164,P<0.01)、 イ メー ジ 得 点 が 高 く症 状 の あ る4群 よ り、保 健 行 動 得 点 が 有 意 に 低 か った(MSe=1.585,p<0.05) 3.避 妊 に 関 す る 健 康 の 認 知 と保 健 行 動 身 体 的 症 状2項 目 で は 症 状 の 無 い 者 が61名 (40.7%)で あ っ た 。避 妊 に よ る 症 状 の 有 無 に よる イメー ジ 得 点 の 比 較 で は,症 状 の 無 い 群 が 有 意 に 高 か った 。(t=-3.05、df=148、P<0.01)ま た 、保 健 行 動 得 点 とイメー ジ 得 点 間 で は 相 関 関 係 が 見 ら

れ た(r=0.273、P<0.01)。

4.性 行 為 感染 症 に関 す る健 康 の 認 知 と保 健 行 動

身 体 的症 状 につ いて症 状 の 無 い者 は60名(40.

4%)で あ った 。イメー ジ得 点 、身 体 的 症 状 、保 健

行 動 の 各得 点 間 で関係 性 は見 られ な かった。

IV.考 察

1.性 行 為 に関す る健 康 の 認 知 と保健 行 動

20代 の勤 労 女性 は 、性 行 為 に肯 定 的 なイメー

ジを持 つ ことが 心 理 的 にも身体 的 にも充実 した性

生 活 が送 れ る傾 向に あった 。また 、イメー ジが 肯

定 的で あるほど保健 行動 が 多くとられ て いること

か ら、保健 行 動 を促 進 するため に は 対 象者 が 性 ア

イデ ンティティを確 立 し、適 切 な知 識 や情 報 の提 供

を受 け て、生 活 習慣 を大 きく乱 す こと無 く受 け入 れ

られ る保 健 指 導が 必 要 であると考 える。

2.避 妊 に 関す る健 康 の 認 知 と保 健 行 動

保健 行 動 は イメージとは 関連 が 見 られ たが 、健 康

の認 知 とは関 連が 見 られず 、身 体 症状 の 出 現が 保

健 行動 に結びついていない事 がわ かった。現代 の女

性 は,性 教 育 により正 しい知 識と方 法 を学 び 、避 妊

につい ての イメー ジは決 して低 くない が 、実 際の 保

健 行動 に は結 び ついて おらず 、身 体 的症 状 と予 防

的 ・

対 処的 行動 が 一貫 性 を持 っていないと推 測され

る。女性 が充実 した性 生活 のため に、避 妊 方法 の特

性や経 済性 。簡便 性,継 続性 などの 具体 的なサポー

トを個 別的 に得 られ る環境 の整 備が 必要 であろう。

3.性 行 為 感 染症 に 関す る健 康 の 認 知 と保健 行 動

性 行 為 感 染症 に関 しても、イメージ と保 健 行 動 に

関連 は見 られ たが 、症 状 と保健 行動 には 関 連 が

見 られ な かった 。約6割 が 、何 らか の症 状 が ある

にもか か わ らず 、対 処 的また は 予 防 的保 健 行 動

が とられ ていない 現 状で は 、もし性 行 為 感 染 症 に

罹 患 した場 合 でも、早 期 に 対応 す ることは考 え にく

く、症 状 の 悪 化 や相 手 へ の 感 染を引 き起 こす 危 険

も予 測され 、20代 勤 労 女 性 へ の 対 策 の必 要 性 が

示唆 され た。

引用 ・

参 考 文 献

1)

岸田洋子他:「

望まない妊娠等の防止に関する研究報告」

厚生省心身障害研究報告書、1995

2) 日本性教育協会,:

青少年の性行動.―第4回 調査1997

参照

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