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韓国における経済教育研究の動向分析 : 『経済教育研究』を中心に

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Ⅰ.序論

 1994 年 3 月,「学校及び社会経済教育に関する理論 と実態を研究し経済教育と経済社会の発展に貢献す る」2)ことを目的として韓国経済教育学会が創立され た。同年 12 月 23 日に韓国西江大学校にある金大建館 (KimDae-GonHall)にて第 1 回全国学術大会が開催 され,合計で 6 編の論文が報告された。韓国経済教育 学会は,翌1995 年 3 月に韓国開発研究院経済情報セ ンターの前身である国民経済教育研究所と共同で日韓 経済教育セミナーを開催した。このような成果を踏ま え,1996 年 2 月に学術雑誌『経済教育研究』が初刊さ れた。  今年,韓国経済教育学会は創立 20 周年を迎える。 これまで 20 年間学会は経済教育に関連する学術大会 やセミナーを数多く開催してきた。このような学問的 な議論と結果が『経済教育研究』に盛り込まれている。 そういった意味で韓国経済教育学会の創立 20 周年を 迎え『経済教育研究』を対象に韓国経済教育研究の動 向把握し,その結果を基に今後の発展方向を定立する ことは有意義なことである。  これまで前述した方法による分析はほとんどなされ ていない。先行研究として研究が行われていないのは 経済教育に係わる学術的な研究の歴史が長くないこと も要因であろう。とはいえ,関連する研究が全くない わけでもない。関連研究の代表的なものが金景模 (1997)の研究である。金景模(1997)は,韓国社会 科教育学会が発行する『社会と教育』(現,『市民教育 研究』)に載せられた 40 編の経済教育関連論文を検討 し研究動向について分析した。この研究が関連研究と してほぼ唯一であるといっても過言ではない。その研 究では 40 編の論文に対して量的分析を行わずに幾つ かの基準を設定し,それによって全般的な研究動向の 把握を試みた。  以上を踏まえて本研究では『経済教育研究』の初号 から最近号まで掲載された総 273 編の論文に対し量的 な分析を試みる。分析の方法としては『経済教育研 究』が学術雑誌として公認された前後を区分し,それ ぞれ著者,研究主題,研究対象,研究方法などがどの ように変化してきているのかを綿密に把握しようとす るものである。

Ⅱ.研究方法

1.分析対象  分析対象は,『経済教育研究』の初号から第 21 巻 2 号まで総34号にわたって載せられた論文273編である。 一号当たり 8.0 編の論文が掲載されている。各号別の 発行時期,論文数,著者数,発行人(当時の学会長), 編集人(当時の編集委員長)を要約したのが〈表1〉 である。 2.分析準拠  これまで『経済教育研究』に掲載された論文を対象 として研究動向を分析するため,大きく著者,研究主 題,研究対象,研究方法,その他の分析準拠を設定し, 各分析の準拠別に以下の詳細な分析準拠を設けた。  著者は所属機関,国籍,学位,共著などを以下の分 析準拠に設けた。所属機関を細分化し,師範大学校, 教育大学校,一般の大学校,研究所,小中高校,その 他に分けた。国籍は韓国,アメリカ,中国,日本,そ の他に細分化した。学位は博士,修士,学士,その他 に区分し,共著については単独,2 人,3 人,4 人,5 人,10 人に分けた。研究主題は,大きく経済教育と 経済学に分け,以下の分析準拠を設定した。経済教育 の関連研究主題は,経済の理解力,金融教育(金融の 理解力を含む),経済教育の現況及び動向,経済倫理, 経済教育の現象と志向,教科書と教育課程分析,教授 学習方法 / 評価,教師及び学生の認識 / 意識 / 態度,

韓国における経済教育研究の

動向分析:『経済教育研究』を

中心に

1) The Journal of Economic Education No.34, September, 2015

An Analysis of the Research Trends in Korean Economic Education: Focusing on the Korean Journal of Economic Education

Park, Hyung Joon Kim, Yong Min Kim, Kyungmo

朴炯俊(誠信女子大学)

金龍珉(釜山教育大学)

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消費者教育,企業 / 企業家教育 / 創業教育,職業教育 / 進路教育,大学入学試験修学能力 / 大学入学試験論 述経済,経済社会化,その他に細分化した。経済学の 関連研究主題は,ミクロ経済,マクロ経済,国際経済, その他に区分した。研究対象は小学生 / 小学校,中学 生 / 中学校,高校生 / 高等学校,大学生 / 大学,教師, 学生の両親,一般人,専門家集団,その他(具体的対 象なし)に分けて分析を行う。  研究方法については,大きく量的及び質的,その他 (文献研究など)に分け,下記のような分析準拠とし て設定した。量的分析には国際比較,調査(アンケー ト,実態),統計資料使用(パネルデータなど),基礎 統計量(mean,SD,N,%など),集団間の差異分析 (t,F),回帰分析(線形 / 非線形),要因分析(主成 分分析),カイ二乗検定,構造方程式,クラスター分 析,その他に分けて行う。質的分析には,参与観察, 資料の質的分析,半構造化された面接に細分化した。 その他(文献研究など)は,論理的推論 / 説明,数理 的証明,文献探索に区分した。それ以外に研究助成金 有無と論文作成の言語をその他の準拠として設定した。 また,論文作成の言語を韓国語,英語,日本語に分け た。  分析準拠は 273 編の論文を読了した後に,分析過程 において帰納的あるいは事後的に生成したものが多い。 それは,経済教育分野に対する学問的な構造あるいは 体系がまだ定立されていないことがあげられる。従っ て,分析準拠として設定したものには限界がある。 3.分析方法  まず,273 編の論文の特徴を概観する。例えば,こ れまで 20 年間における『経済教育研究』の主要変化, 論文編数と著者数,著者当たり論文編数と論文掲載順 表 1 分析対象の範囲 巻 (号) 発行日 論文数 著者数 発行人 編集人 (号) 発行日 論文数巻 著者数 発行人 編集人 1 96. 02 13 13 金炳柱 曹永達 13(1) 06. 06 7 15 全宅洙 韓鎭守 2 96. 12 11 13 曹道根 曹永達 13(2) 06. 12 8 14 全宅洙 韓鎭守 3 97. 12 8 8 曹道根 曹永達 14(1) 07. 06 8 12 全宅洙 金景模 4 98. 12 11 14 金容子 田宅洙 14(2) 07. 12 9 12 全宅洙 金景模 5 99. 12 11 23 金容子 田宅洙 15(1) 08. 06 6 7 文承來 金景模 6 00. 12 13 19 曹永達 金辰泳 15(2) 08. 12 7 9 文承來 金景模 7 01. 12 11 12 曹永達 金辰泳 16(1) 09. 06 7 11 文承來 金景模 8 02. 06 11 11 金在原 金辰泳文承來 16(2) 09. 12 8 10 文承來 金景模 9 02. 12 10 12 金在原 金辰泳文承來 17(1) 10. 06 6 7 金宗鎬 金景模 10 03. 06 6 8 金在原 金辰泳文承來 17(2) 10. 12 6 8 金宗鎬 金景模 10(2) 03. 12 6 7 金在原 李崙浩 18(1) 11. 06 6 6 金宗鎬 金景模 11(1) 04. 06 9 22 金辰泳 李崙浩 18(2) 11. 12 8 15 金宗鎬 金景模 11(2) 04. 12 8 16 金辰泳 李崙浩 19(1) 12. 06 7 7 吳英洙 韓暻東 12(1) 05. 06 6 11 金辰泳 李崙浩 19(2) 12. 12 8 15 吳英洙 韓暻東 12(2) 05. 12 9 10 金辰泳 李崙浩 20(1) 13. 04 9 13 吳英洙 韓暻東 20(2) 13. 08 7 11 吳英洙 韓暻東 20(3) 13. 12 4 7 吳英洙 韓暻東 21(1) 14. 04 4 5 金尙奎 韓暻東 21(2) 14. 12 5 8 金尙奎 韓暻東 合 計 143 199 130 192

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位などを概観する。特に,著者当たり論文編数と論文 掲載順位を分析する際には,名目掲載基準と実質掲載 基準に分けて分析する。名目掲載基準は,論文 1 編当 たりの各著者を 1 で計算した値であり,実質掲載基準 は,論文 1 編当たりの各著者を 1/n(著者数)で計算 した値である。例えば,3 人共著の論文の場合,名目 掲載基準では 3 人の著者全てが 1 の値に計算されるが 実質掲載基準では 1/3 の値で計算される。  次に,前述した主要分析準拠別に該当論文を分析す る。つまり,著者,研究主題,研究対象,研究方法, その他の分析準拠別に 273 編の論文を分析する。ここ で一つ強調したいのは,初号から第21巻2号まで全て 34 号の単行本を大きく二つの時期に分けて分析し, その結果を比較する点である。時期区分は,初号から 第 12 巻 2 号(1996 ~ 2005)までを「前期」,第 13 巻 1 号から第 21 巻 2 号(2006 ~ 2014)までを「後期」3) に分ける。前期と後期に分けて分析を行う理由は,第 13 巻 1 号から「韓国学術振興財団(現,韓国研究財 団)」登載候補誌という公認を得た学術雑誌になった からである。すなわち,登載候補誌としての選定以前 と選定された以降に分けて各分析の準拠別にどのよう な変化が生じたのかを分析する。〈表2〉は分析のた めに各時期別の発刊号数,論文編数,著者数などを整 理したものである。

Ⅲ.分析結果

1.全般的な概観  『経済教育研究』は,創刊号(1996.2.28)から第 21 巻 2 号(2014.8.30)まで合計 34 冊の学術誌として出版 された。創刊号から第 7 号(2001.12.30)まで年 1 回の 発刊だったが,第 8 号(2002.6.30)から第 19 巻 2 号 (2012.12.30)までは年 2 回発刊された。第 20 巻 1 号 (2013.4.30)からは年 3 回発刊されている。  変化の程度を外形的にみると第 8 号から学術誌の最 後の面に「韓国開発研究院」の経済情報センターで発 刊する『ナラ(国)経済』の広告が掲載され始めた。 第 13 巻 1 号(2006.6.30)からは,『クリック! 経済教 育』の広告が掲載されている。第 10 号(2003.6.30)ま では ‘ 号 ’ を,第 10 集 2 号(2003.12.30)と第 11 集 2 号 (2004.6.30)では ‘ 集─号 ’ を,第 11 巻 1 号(2004.12.30) からは ‘ 巻─号 ’ を使っている。また,創刊号から「図 書出版,冠岳社」が編集と出版を引き受けている。第 15 巻 1 号(2008.6.30)からは「(株)コピーテック 20 日」が編集と出版を引き受けている。  もう一つの変化は,韓国学術振興財団から 2006 年 12 月に公認の登載候補誌に選定されたことである。 韓国学術振興財団が韓国研究財団に代わり,2010 年 12 月に公認の登載誌に選定された。4)以後,韓国研究 財団によって学術雑誌の評価が毎年行われ,『経済教 育研究』が優秀な結果を獲得し,2013 年 12 月に登載 誌としての評価を維持し現在に至っている。〈表 3〉 は,『経済教育研究』の主な変化を要約したものであ る。  第 21 巻 2 号まで載せられた論文編数は 273 編で,著 者数(名目掲載基準)が 391 人であった。論文 1 編当 り 1.4 人の著者が論文を作成した。この中で韓国人 (国内人)が作成した論文は,255 編(93.4%),外国人 が作成した論文は18編(6.6%)であった。著者391人 の中で重複して載せた場合を除けば純粋に 182 人(実 質掲載基準)の著者が,1 人当り 1.5 編の論文を掲載 し た。 著 者 の 人 力 プ ー ル の 中 で 国 内 人 が 156 人 (85.7%),外国人が 26 人(14.3%)であった。〈表 4〉 は,論文編数と著者数の主な特徴を表している。  著者あたり論文編数について詳しく検討してみる。 名 目 掲 載 基 準 で 1 編 だ け 掲 載 し た 著 者 が 126 人 (69.2%)で最も多かった。2 編掲載した著者が 29 人 (15.9%),3 編掲載した著者が 5 人(2.7%)順であった。 共著を含むと最大16編の論文を掲載した著者が1人で あった。  共著を 1/n で計算した実質掲載基準で見ると 1 編の みを掲載した著者が 85 人(46.7%),1 編以上 2 編以下 59 人(32.4%),2 編以上 3 編未満 15 人(8.2%)の順で あった。掲載数が最も多かったのは総 13 編の論文を 表 2 分析対象時期区分 時期 期間 発刊号数 論文編数 著者数 備考 前期 創刊号(1996 〜 2005)─第 12 巻 2 号 15 143 199 登載候補誌選定以前 後期 第 13 巻 1 号(2006 〜 2014)─第 21 巻 2 号 19 130 192 登載候補誌選定以降 合 計 34 273 391

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掲載した著者で 1 人であった。〈表 5〉は,著者あたり 論文編数の結果を表している。  名目掲載の論文編数基準で著者を見ると論文掲載順 位で崔秉模(16 編),金尙奎(13 編),金景模(12 編), 金辰泳(12 編),韓鎭守(12 編)の順であった。10 編 以上の論文を掲載した著者は,11 人であった。実質 掲載の論文編数基準で著者を見ると論文掲載順位で金 尙奎(13.0 編),韓鎭守(11.5 編),安炳根(9.5 編), 金在原(9.0 編)の順であった。  中でも 崔秉模の場合は,名目掲載の論文基準で 1 位であったが,16 編のうち殆どが共著であったので 実質掲載論文基準では相対的に編数が低かった。一方, 金尙奎,韓鎭守の場合は,主に単独が多かったので名 目掲載の論文編数基準の順位より実質掲載の論文編数 の順位が高くなっている。〈表 6〉は,韓国人著者の 論文掲載順位を表している。  外国人著者の場合,上位の名目掲載論文数の順位と 実質掲載論文数の順位が同じであった。AkiraAraiの 論 文 が 最 も 多 く 掲 載 さ れ て い る。EijiYamane, MichaelWatts,MichioYamaoka,TadayoshiAsano, TakenoriInose らは名目掲載論文が 2 編であり,実質 で 1.1 編から 2 編が掲載された。〈表 7〉は,外国人著 者の論文掲載順位を表している。 2.著者  ここでは,前述したように前期(初号─第 12 巻 2 号,1996-2005)と後期(第 13 巻 1 号─第 21 巻 2 号, 2006-2014)に分けて分析したものを検討してみる。  論文掲載の所属機関別に著者を分類すると,師範大 学 159 人(40.7%),5)一般大学(96 人(24.6%),教育 大学 43 人(11.0%),小中高教師 41 人(10.5%),研究 所 28 人(7.2%)の順であった。所属機関別に見ると 前期より後期に師範大学と教育大学に所属している著 者の比重が増加し,研究所と一般大学の比重が低く なったとことが特徴として挙げられる。師範大学の所 属著者の比重が前期より後期に 12.2%p 増加した。教 育大学の場合では 9.1%p 増加に留まっている。一方, 研究所と一般大学の場合,それぞれ 7.9%p と 5.3%p 低 くなっている。このような結果から『経済教育研究』 が公認の登載候補誌に選定されて以降,師範大学と教 育大学で経済学及び経済教育を担当している研究者が 経済教育研究に高い関心を寄せていたことが見られた。 表 4 論文編数と著者数 韓国人 外国人 全体 論文編数 255 18 273 著者数(名目掲載基準) 358 33 391 論文 1 編当たり著者数 1.4 1.8 1.4 著者人力プール(実質掲載基準) 156 26 182 著者人力プール 1 人当たり論文編数 1.6 0.7 1.5 注)名目掲載基準は論文あたり著者を 1 で計算した基準であり,実質掲載基準は論文あたり各著者を 1/n で計算したものである。 表 3 『経済教育研究』の変化過程 巻号 発刊 発行人 編集人 主な変化 第 1 号 1996. 2. 金炳柱 曹永達 創刊号発刊,年 1 回発刊 第 8 号 2002. 6. 金在原 金辰泳 ,文承來 『ナラ(国)経済』広告掲載,年 2 回発刊 第10集2号 2003. 12. 金在原 李崙鎬 ‘ 集─号 ’ 使用,デザイン一部修正 第11巻2号 2004. 12. 金辰泳 李崙鎬 ‘ 巻─号 ’ 使用 第13巻1号 2006. 12. 全宅洙 韓鎭守 『クリック ! 経済教育』広告掲載,韓国学術振興財団認定の登載候補誌選定(2006.12) 第15巻1号 2008. 6. 文承來 金景模 雑誌発行の出版社変更 第17巻1号 2010. 6. 金宗鎬 金景模 韓国研究財団認定の登載誌(2010.12) 第20巻1号 2013. 4. 吳英洙 韓暻東 韓国研究財団認定の登載誌維持(2013.12)年 3 回発刊

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表 6 韓国人著者の論文掲載順位 順位 著者 名目掲載編数 順位 著者 実質掲載編数 1 崔秉模 16 1 金尙奎 13.0 2 金尙奎 13 2 韓鎭守 11.5 3 金景模 12 3 安炳根 9.5 3 金辰泳 12 4 金在原 9.0 3 韓鎭守 12 5 韓暻東 8.3 6 韓暻東 11 6 吳英洙 7.5 7 金在原 10 6 崔鍾敏 7.5 7 朴炯俊 10 8 李俊赫 7.3 7 安炳根 10 9 張景皓 6.8 7 吳英洙 10 10 金景模 6.7 7 張景皓 10 注)名目掲載基準は論文あたり著者を 1 で計算した基準であり,実質掲載基準は論文あたり各著者を 1/n で計算したものである。 つまり,経済教育に関する関心が高まっているといえ よう。後に検討するが,両期間の間に純粋な経済学の 論文が減り,経済教育に関する論文の比重が増加した のである。〈表 8〉は,所属機関別著者の特徴を表し ている。  著者の国籍別に見ると韓国 361 人(92.3%),日本 16 人(4.1%),アメリカ 5 人(1.3%),中国 4 人(1.0%) の順であった。その他にイギリス,ニュージーランド などがあった。外国人著者の中で日本人が相対的に多 かったのは第 5 号(1999.12.30)に掲載された論文の 中で日本人 10 人が共著で執筆したからである。著者 の国籍別にみた比重は,前期と後期に大きい差は殆ど 表 5 著者あたり掲載論文編数 名目掲載基準(人,%) 実質掲載基準(人,%) 編数 韓国人 外国人 合計 比率 編数 韓国人 外国人 合計 比率 1 編 106 20 126 69.2 1 編以下 70 15 85 46.7 2 編 24 5 29 15.9 2 編以下 51 8 59 32.4 3 編 4 1 5 2.7 3 編以下 12 3 15 8.2 4 編 2 2 1.1 4 編以下 3 3 1.6 5 編 4 4 2.2 5 編以下 5 5 2.7 6 編 2 2 1.1 6 編以下 3 3 1.6 7 編 0 0 0.0 7 編以下 4 4 2.2 8 編 1 1 0.5 8 編以下 3 3 1.6 9 編 2 2 1.1 9 編以下 1 1 0.5 10 編 5 5 2.7 10 編以下 2 2 1.1 11 編 1 1 0.5 11 編以下 0 0 0.0 12 編 3 3 1.6 12 編以下 1 1 0.5 13 編 1 1 0.5 13 編以下 0 0 0.0 16 編 1 1 0.5 13 編 1 1 0.5 合 計 156 26 182 100.0 合 計 156 26 182 100.0 注)1.名目掲載基準は論文あたり著者を 1 で計算した基準であり,実質掲載基準は論文あたり各著者を 1/n で計算したものである。   2.便宜上,論文 2 編は,1 編以上 2 編以下を意味する。

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なかった。これから『経済教育研究』の国際化が進ん でいると考えられ,外国人著者のプールを持続的に拡 大する必要がある。〈表 9〉は,国籍別にみた著者の 分布である。  著者の学位を見ると博士が 309 人(79.0%)であり 圧倒的に多かった。次いで修士 44 人(11.3%),学士 4 人(1.0%)6)の順であった。その他に分類された 34 人 (8.7%)は,主に小中高校の教師であり,最終学位の 確認ができなかった場合である。学位別にみた著者の 比重は,前期と後期に大きな差がなかった。他の学会 誌では各論文ごとに簡単な著者のプロフィールを紹介 したりする。『経済教育研究』においてもその方法を 検討する必要がある。〈表 10〉は,学位別にみた著者 の分布である。  最後に,論文 1 編当たり著者数による特徴をみてみ よう。単独著者が 199 編(72.9%)で最も多かった。2 表 7 外国人論文掲載順位 順位 著者 名目掲載編数 順位 著者 実質掲載編数

1 Akira Arai 3 1 Akira Arai 2.1

2 Eiji Yamane 2 2 Eiji Yamane 2.0

3 Michael Watts 2 3 Michael Watts 2.0

3 Michio Yamaoka 2 4 Michio Yamaoka 1.1

5 Tadayoshi Asano 2 5 Tadayoshi Asano 1.1

6 Takenori Inose 2 6 Takenori Inose 1.1

注)名目掲載基準は論文あたり著者を 1 で計算した基準であり,実質掲載基準は論文あたり各著者を 1/n で計算したものである。 表 8 所属機関別に見た著者 区分 著者数(人) 比率(%) 前期 後期 計 前期 後期 計 後期 - 前期 師範大学 69 90 159 34.7 46.9 40.7 12.2 敎育大学 13 30 43 6.5 15.6 11.0 9.1 一般大学 54 42 96 27.1 21.9 24.6 -5.3 硏究所 22 6 28 11.1 3.1 7.2 -7.9 小中高校 20 21 41 10.1 10.9 10.5 0.9 その他 21 3 24 10.6 1.6 6.1 -9.0 合 計 199 192 391 100.0 100.0 100.0 注)前期は創刊号から第 12 巻 2 号(1996-2005)まで,後期は第 13 巻 1 号から第 21 巻 2 号(2006-2014)まで。 表 9 国籍別にみた著者の分布 区分 著者数(人) 比率(%) 前期 後期 計 前期 後期 計 後期 - 前期 韓国 182 179 361 91.5 93.2 92.3 1.8 アメリカ 1 4 5 0.5 2.1 1.3 1.6 中国 0 4 4 0.0 2.1 1.0 2.1 日本 15 1 16 7.5 0.5 4.1 -7.0 その他 1 4 5 0.5 2.1 1.3 1.6 合 計 199 192 391 100.0 100.0 100.0 注)前期は創刊号から第 12 巻 2 号(1996-2005)まで,後期は第 13 巻 1 号から第 21 巻 2 号(2006-2014)まで。

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人共著は 46 編(16.8%),3 人共著は 19 編(7.0%),4 人共著は 7 編(2.6%)の順であった。前期と後期に分 けて論文 1 編当たり著者数の変化を見ると単独著者が 11.4%p 減少したが,2 人及び 4 人共著の場合 12.8%p 増加した。このような現象に対し望ましいか否かを別 として個人研究より共同研究の雰囲気が拡大している 点では肯定的であると評価することができよう。〈表 11〉は,論文 1 編当たり著者数の分布を表している。 3.研究主題  各論文の研究主題を経済教育(大学における経済学 教育を含む)と経済学に分けて検討してみる。経済教 育に関する論文は 230 編(84.2%),経済学に関する論 文は 43 編(15.8%)であった。前期と後期に分けると, 経済教育に関する論文の比重が 79.7% から 89.2% に 9.5%p 増加した。一方,経済学に関する論文の比重は 20.3% から 10.8% へと 9.5%p 減少した。特に,創刊号 から 5-6 年の間では経済学に関する論文の比重が相対 的に高かったが徐々に減少している。学問的な観点か らすれば,『経済教育研究』が望ましい方向へと変化 していると評価することができる。〈表 12〉は,経済 教育と経済学の論文掲載編数を表している。  経済教育に関する論文 23 編の研究主題は,幾つか のカテゴリーに分けることができる。経済教育に関す 表 11 論文 1 編当たり著者数の分布 区分 掲載編数(編) 比率(%) 前期 後期 計 前期 後期 計 後期 - 前期 単独 112 87 199 78.3 66.9 72.9 -11.4 2 人 17 29 46 11.9 22.3 16.8 10.4 3 人 10 9 19 7.0 6.9 7.0 -0.1 4 人 2 5 7 1.4 3.8 2.6 2.4 5 人 1 1 0.7 0.4 -0.7 10 人 1 1 0.7 0.4 -0.7 合 計 143 130 273 100.0 100.0 100.0 注)前期は創刊号から第 12 巻 2 号(1996-2005)まで,後期は第 13 巻 1 号から第 21 巻 2 号(2006-2014)まで。 表 10 学位別にみた著者の分布 区分 著者数(人) 比率(%) 前期 後期 計 前期 後期 計 後期-前期 博士 156 153 309 78.4 79.7 79.0 1.3 修士 19 25 44 9.5 13.0 11.3 3.5 学士 1 3 4 0.5 1.6 1.0 1.1 その他 23 11 34 11.6 5.7 8.7 -5.8 合 計 199 192 391 100.0 100.0 100.0 注)前期は創刊号から第 12 巻 2 号(1996-2005)まで,後期は第 13 巻 1 号から第 21 巻 2 号(2006-2014)まで。 表 12 経済教育と経済学に関する論文掲載状況 区分 掲載編 (編) 比率(%) 前期 後期 計 前期 後期 計 後期 - 前期 経済教育 114 116 230 79.7 89.2 84.2 9.5 経済学 29 14 43 20.3 10.8 15.8 -9.5 合 計 143 130 273 100.0 100.0 100.0 注)前期は創刊号から第 12 巻 2 号(1996-2005)まで,後期は第 13 巻 1 号から第 21 巻 2 号(2006-2014)まで。

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る研究主題は,いまだに明確な学問的構造と分類体系 が確立されていない。そのため,〈表 13〉に提示した 研究主題は『経済教育研究』に載せられた論文を読み, 分析過程で帰納的に整理したものである。また,二つ 以上の主題が同時に現われた場合には,最も中心にな る主題の一つを選択した。例えば,「企業倫理教育」 を主題にした論文の場合,経済倫理と企業教育が重複 していることから,該当論文の核心となるものが何か によって分類した。  経済教育に関するる論文を分析した結果,教授学習 方法/評価が47編(20.4%),教科書と教育課程分析が 45 編(19.6%), 経 済 教 育 の 現 象 と 志 向 が 27 編 (11.7%),経済理解力が 25 編(10.9%),教師及び学生 の認識 / 意識 / 態度が 18 編(7.8%),経済教育の現況 及び動向が 12 編(5.2%)の順であった。最近,経済 教育分野の学界において関心が高まっている金融教育 (金融理解力を含む)に関する論文は 3 編(1.3%)に 過ぎず,今後学会所属研究者が金融教育の分野に対し て関心を寄せる必要があると思われる。  前期と後期に分けて研究主題の変化を検討すると, 経済教育の現象と志向に係わる研究主題の比重が 15.0%p 減少した。教科書と教育課程分析,経済倫理 に係わる研究主題の比重もそれぞれ 9.9%p と 5.3%p 減 少した。一方,教師と学生の認識 / 意識 / 態度に対す る研究は,後期だけで 18 編が掲載されて 15.5%p 増加 した。経済教育の現況及び動向,経済理解力,教授学 習方法 / 評価に対する論文の比重が前期から後期にか けてそれぞれ 5.1%p,4.2%p,2.3%p 増加した。全体的 な研究傾向が経済教育に係わる哲学的,倫理的なアプ ローチで実用かつ分析的な方法に移行している。  研究主題に係わる特徴として挙げられるのが経済理 解力に関する論文である。経済理解力の測定に係わる 研究は,韓国だけではなくアメリカでも多く行われて いる。前期に掲載された論文は,主に経済理解力測定 に限定されたものが多かったが,後期には経済理解力 と多様な能力(例えば,道徳の意識水準,財務的な責 任,価値と態度など)との相関性が高い研究方向に幅 が広くなっている。〈表 13〉は,経済教育と係わる研 究状況を詳細に分けたものである。  経済学に関する論文の主題は,ミクロ経済が 18 編 (41.9%),マクロ経済が8編(18.6%),国際経済が4編 (9.3%)の順であった。前期に比べて後期にはミクロ 経済の論文比重が 54.4%p 増加した。特に,後期に掲 載された 14 編の論文の中で,11 編(78.6%)がミクロ 経済に関するものであった。後期に掲載されたミクロ 経済に関する論文の主題は,主に行動経済学に関する 表 13 経済教育に関連する研究主題 区分 掲載編数(編) 比率(%) 前期 後期 計 前期 後期 計 後期 - 前期 経済理解力 10 15 25 8.8 12.9 10.9 4.2 金融教育(金融理解力) 0 3 3 0.0 2.6 1.3 2.6 経済教育の現状と動向 3 9 12 2.6 7.8 5.2 5.1 経済倫理 8 2 10 7.0 1.7 4.3 -5.3 経済教育の現状と志向 22 5 27 19.3 4.3 11.7 -15.0 教科書の教育過程分析 28 17 45 24.6 14.7 19.6 -9.9 教授学習方法 / 平価 22 25 47 19.3 21.6 20.4 2.3 教師及び学生の認識 / 意識 / 態度 0 18 18 0.0 15.5 7.8 15.5 消費者教育 5 0 5 4.4 0.0 2.2 -4.4 企業 / 起業家教育 / 創業教育 3 3 6 2.6 2.6 2.6 0.0 職業教育 / 進路教育 1 2 3 0.9 1.7 1.3 0.8 大入修能 / 大入論述経済 1 5 6 0.9 4.3 2.6 3.4 経済社会化 1 1 2 0.9 0.9 0.9 0.0 その他 10 11 21 8.8 9.5 9.1 0.7 合 計 114 116 230 100.0 100.0 100.0 注)前期は創刊号から第 12 巻 2 号(1996-2005)まで,後期は第 13 巻 1 号から第 21 巻 2 号(2006-2014)まで。

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ものが多かった。〈表 14〉は,経済学に関する研究主 題を詳細に表したものである。 4.研究対象(重複可能)  研究対象別に分析した結果は,〈表15〉のとおりで ある。高校生 / 高等学校対象の研究が 68 編(22.3%) で最も多かった。小学生/小学校が31編(10.2%),中 学生 / 中学校が 30 編(9.8%),大学生 / 大学が 29 編 (9.5%),教師が 10 編(3.3%),一般人が 10 編(3.3%) の順であった。学生に対する研究は,主に経済理解力 や意識 / 認識 / 態度などの調査研究が高い割合を占め ている。学生を対象にした研究に比べ,教師に対する 研究比重が低い。このことは,今後の『経済教育研 究』の内容の幅を広げるという側面で必要な部分であ ると思われる。  前期と後期に分けて検討すれば,小学校 / 小学生, 高校生 / 高等学校を対象にした論文の比重が,それぞ れ 12.0%p,12.4%p 増加した。これは,前述したよう に所属機関別にみた著者の変化と一貫性が見られる。 言い替えれば,師範大学と教育大学に所属している著 者の比重が増加したので小学校 / 小学生,高校生 / 高 等学校を対象にした研究比重が増加したことと関連し ていると思われる。  具体的な研究対象がない研究の比重が前期より後期 に30.1%p減少したことも注目に値する。具体的な対象 がない研究は,経済学に関する論文や経済教育に関す る哲学的あるいは倫理的な接近と係わる論文が多かっ た。後期にこのような研究が大幅に減り,具体的な研 究対象に対する調査研究(research)の比重が増加し たことは,『経済教育研究』に記載された論文が実用 的で,かつ分析的な方向に進んでいることを意味する。 5.研究方法  研究方法を量的研究,質的研究,その他(文献研 究)に分けて検討してみる。〈表 16〉は,研究方法に 関する分析結果を表したものである。その他(文献研 表 14 経済学に関する研究主題の分布 区分 掲載編数(編) 比率(%) 前期 後期 計 前期 後期 計 後期 - 前期 ミクロ経済学 7 11 18 24.1 78.6 41.9 54.4 マクロ経済学 7 1 8 24.1 7.1 18.6 -17.0 国際経済学 3 1 4 10.3 7.1 9.3 -3.2 その他 12 1 13 41.4 7.1 30.2 -34.2 合 計 29 14 43 100.0 100.0 100.0 注)前期は創刊号から第 12 巻 2 号(1996-2005)まで,後期は第 13 巻 1 号から第 21 巻 2 号(2006-2014)まで。 表 15 研究対象(重複可能) 区分 掲載編数(編) 比率(%) 前期 後期 計 前期 後期 計 後期 - 前期 小学生 / 小学校 7 24 31 4.4 16.4 10.2 12.0 中学生 / 中学校 16 14 30 10.1 9.6 9.8 -0.5 高校生 / 高等学校 26 42 68 16.4 28.8 22.3 12.4 大学生 / 大学校 11 18 29 6.9 12.3 9.5 5.4 教師 3 7 10 1.9 4.8 3.3 2.9 学生の両親 1 0 1 0.6 0.0 0.3 -0.6 一般人 7 3 10 4.4 2.1 3.3 -2.3 専門家集団 1 2 3 0.6 1.4 1.0 0.7 その他(研究対象ない) 87 36 123 54.7 24.7 40.3 -30.1 合 計(N=273) 159 146 305 100.0 100.0 100.0 注)前期は創刊号から第 12 巻 2 号(1996-2005)まで,後期は第 13 巻 1 号から第 21 巻 2 号(2006-2014)まで。

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究等)が 140 編(51.3%),量的研究が 101 編(37.0%), 質的研究が 32 編(11.7%)順であった。量的研究比重 は,前期に比べ後期に 24.8% p 増加したが,その他 (文献研究等)の研究と質的研究の比重がそれぞれ 15.7%p,9.2%p 減少した。このような変化は,経済教 育の研究傾向が哲学的で思弁的な側面から計量的な分 析的に変わっていることを見せていると言える。  量的研究方法の論文 101 編に対する主な分析結果は 次のようである。アンケート調査あるいは実態調査な どを通じて得たデータを収集したのが 68 編(101 編の 67.3%)であり,パネルデータなど既存の統計資料を 活用し,データを収集したのが13編(101編の12.9%) であった。基礎統計量(Mean,SD,N,% など)を 使ったのが 89 編(101 編の 88.1%)であり,回帰分析 (線形 / 非線形含む)を使ったものが 45 編(101 編の 44.6%),集団間差異分析(t,F)を使ったのが 38 編 (101 編の 37.6%)であった。  国際比較を行ったものは 8 編で前期 3 編,後期 5 編 であった。この中で 2 ヶ国を比較した研究は,6 編 (前期 3 編,後期 3 編)であり,3 ヶ国を比較した研究 は2編(後期,2編)であった。2ヶ国の比較は主に韓 国とアメリカであり,3 ヶ国の比較は主に韓国,アメ リカ,日本であった。国際比較研究の多くは,各国の 学生たちの経済理解力を比較したものである。  量的研究方法を使った論文 101 編の研究方法別の比 重は前期と後期に大きな差がなかった。〈表17〉は, 量的研究の現況を表している。  質的研究方法を使った論文は 32 編であった。その 中で質的分析を行ったのが 28 編(32 編の 87.5%),半 構造化された面接方式を使ったのが 4 編(32 編の 12.5%), 参 与 観 察 方 法 を 使 っ た の が 3 編(32 編 の 9.4%)であった。質的分析の論文の比重は,前期より 表 16 研究方法:全体 区分 掲載本数(本) 比率(%) 前期 後期 計 前期 後期 計 後期 - 前期 量的研究 36 65 101 25.2 50.0 37.0 24.8 質的研究 23 9 32 16.1 6.9 11.7 -9.2 その他(文献研究等) 84 56 140 58.7 43.1 51.3 -15.7 合 計 143 130 273 100.0 100.0 100.0 注)前期は創刊号から第 12 巻 2 号(1996-2005)まで,後期は第 13 巻 1 号から第 21 巻 2 号(2006-2014)まで。 表 17 量的研究(重複可能) 区分 掲載編編数(編) 比率(%) 前期 後期 計 前期 後期 計 後期 - 前期 国際比較 3 5 8 3.3 2.5 2.7 -0.7 調査研究(アンケート,実態) 22 46 68 23.9 23.1 23.4 -0.8 既存の統計資料(パネル等) 5 8 13 5.4 4.0 4.5 -1.4 基礎等軽量(mean,SD,N,%) 30 59 89 32.6 29.6 30.6 -3.0 集団間差異分析(t,F) 9 29 38 9.8 14.6 13.1 4.8 回帰分析(線形 / 非線形) 16 29 45 17.4 14.6 15.5 -2.8 要因分析(主成分分析) 0 7 7 0.0 3.5 2.4 3.5 独立性検定(カイ二乗検定) 3 8 11 3.3 4.0 3.8 0.8 構造方程式 0 1 1 0.0 0.5 0.3 0.5 クラスター分析 1 0 1 1.1 0.0 0.3 -1.1 その他 3 7 10 3.3 3.5 3.4 0.3 合 計(N=101) 92 199 291 100.0 100.0 100.0 注)前期は創刊号から第 12 巻 2 号(1996-2005)まで,後期は第 13 巻 1 号から第 21 巻 2 号(2006-2014)まで。

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後期に 10.6%p 減少したが,半構造化された面接方式 を使った論文の比重が 9.8%p 増加した。〈表18〉は, 質的研究の現況を表している。  その他(文献研究など)の研究方法を使った論文は 140 編であった。この中で論理的推論や説明を使った 論文が123編(140編の87.9%)であり,大きな割合を 占めている。次に,関連文献を研究した論文が 47 編 (140 編の 33.6%)であり,経済学関連の論文で数理的 な証明の論文が 9 編(140 編の 6.4%)であった。論理 的推論や説明を使った論文の比重は,前期より後期に 21.1%p 減少したが,文献探究の研究比重は 17.2%p 増 加した。〈表 19〉は,その他(文献研究など)研究の 状況を表している。 6.その他  『経済教育研究』に掲載された 273 編の論文のうち, 研究費を受けた論文は,95 編(34.8%)であった。韓 国研究財団(旧韓国学術振興財団)と各大学の研究費 を 受 け た も の が 多 か っ た。 前 期 に 24.5%, 後 期 に 46.2% の論文が研究費を受けたものであり,前期より 後期に研究費を受けた比率が 21.7%p 増加した。この ような結果は,『経済教育研究』が公認の登載候補誌 に選定された以後に現れている現象であり,学術雑誌 としての質的な向上を間接的に表している。このよう な結果は,〈表20〉のようである。  最後に,273 編の論文を言語別に検討してみる。韓 国語が 250 編(91.6%),英語が 21 編(7.7%),日本語 が 2 編(0.7%)の順であった。日本語で作成した 2 編 の論文の中には,1 編が日本語で本文を書き,英語の 要旨を,もう一つは日本語で本文を書き韓国語の要旨 を含んでいる。また,『経済教育研究』の「原稿投稿 規定」には作成言語に対する明確な規定がない状態で ある。この部分は,補完が必要であると思われる。  韓国語で作成した論文の比重が前期より後期に 5.9%p 減少したが,英語で作成した論文の比重が 5.9%p 増加した。これは外国人著者の論文比重が前期 表 18 質的研究(重複可能) 区分 掲載本数(本) 比率(%) 前期 後期 計 前期 後期 計 後期 - 前期 参与観察 2 1 3 8.3 9.1 8.6 0.8 資料の質的分析 20 8 28 83.3 72.7 80.0 -10.6 半構造化された面接 2 2 4 8.3 18.2 11.4 9.8 合 計(N=32) 24 11 35 100.0 100.0 100.0 注)前期は創刊号から第 12 巻 2 号(1996-2005)まで,後期は第 13 巻 1 号から第 21 巻 2 号(2006-2014)まで。 表 19 その他(文献研究等)(重複可能) 区分 掲載論文編数(編) 比率(%) 前期 後期 計 前期 後期 計 後期 - 前期 論理的推論 / 説明 74 49 123 78.7 57.6 68.7 -21.1 数理的証明 3 6 9 3.2 7.1 5.0 3.9 文献探究 17 30 47 18.1 35.3 26.3 17.2 合 計(N=140) 94 85 179 100.0 100.0 100.0 注)前期は創刊号から第 12 巻 2 号(1996-2005)まで,後期は第 13 巻 1 号から第 21 巻 2 号(2006-2014)まで。 表 20 研究助成金を受けた論文の推移 区分 掲載論文編数(編) 比率(%) 前期 後期 計 前期 後期 計 後期 - 前期 研究費を受けた論文 35 60 95 24.5 46.2 34.8 21.7 全体論文 143 130 273 注)前期は創刊号から第 12 巻 2 号(1996-2005)まで,後期は第 13 巻 1 号から第 21 巻 2 号(2006-2014)まで。

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より後期に増加したのが要因である。7)外国人著者の 論文は,前期143編の論文の中に8編(5.6%),後期の 130 編の論文の中に 10 編(7.7%)であり,外国人著者 の論文比重が 2.1%p 増加した。また,韓国人著者の中 には一部英語で論文を作成した場合があった。この現 象は『経済教育研究』の国際化の側面で意味を付与す ることができる。〈表 21〉は,言語別にみた論文作成 の結果を表している。

Ⅳ.結論

 1996 年 2 月に『経済教育研究』が創刊され,これま で 273 編の論文が掲載された。本稿では『経済教育研 究』の変化過程を概観し,273 編の論文の著者,研究 主題,研究対象,研究方法,その他に分けて設定した 分析準拠に従い分析を行った。結論では,分析結果を 簡単に要約した上で,今後『経済教育研究』の発展戦 略を提示したい。  これまで『経済教育研究』には 182 人の著者が 1 人 当り 1.5 編の論文を掲載し,34 冊の学術雑誌を発行し, 総 273 編の論文が発表された。中には共著形式で 1 編 未満の論文もあるが,最大 16 編の論文発表した場合 もある。273 編の論文には重複の著者もいて総著者数 は 391 人に上る。所属機関別に見ると師範大学と教育 大学所属の著者が 202 人(51.7%)で半分を超えてい る。国籍別にみると韓国人が 361 人(92.3%)で最も 多く,博士の学位所持者が 309 人(79.0%)であった。 論文当たり著者数は,単独著者が 199 編(72.9%)で, 2 人共著が 46 編(16.8%)の順であった。   研 究 主 題 は, 経 済 教 育 に 関 す る 主 題 が 230 編 (84.2%), 経 済 学 に 関 す る 主 題 が 43 編(15.8%) で あった。詳細については,経済教育に関する主題では, 教授学習方法/評価が47編(20.4%),教科書と教育課 程分析が 45 編(19.6%),経済教育の現象と志向が 27 編(11.7%),経済理解力が 25 編(10.9%)の順であっ た。経済学に関する主題は,ミクロ経済分野が 18 編 (41.9%)で最も多かった。研究対象は,高等学校が 68 編(22.3%),小学校が 31 編(10.2%),中学校が 30 編(9.8%),大学が 29 編(9.5%)の順であった。  研究方法では,量的な研究が 101 編(37.0%)であ り,その中にアンケートあるいは実態調査を通じた データ収集し,分析したのが 68 編(67.3%),基礎統 計量を使ったのが 89 編(88.1%),回帰分析が 45 編 (44.6%),集団間差異分析が 38 編(37.6%)であった。 質的研究は32編(11.7%)で,資料の質的分析が28編 (87.5%)で最も多かった。その他(文献研究など)研 究方法を使った研究は 140 編(51.3%)で全体の半分 を超えている。その他研究方法では論理的推論あるい は説明が 123 編(87.9%)で大きな割合を占めている。 研究費を受けた研究が 95 編(34.8%)で,3 編のうち 1 編が研究助成金を受けている。論文作成の言語は, 韓国語が 250 編(91.6%)で最も多かった。  前期(公認登載候補誌の選定以前)と後期(公認登 載候補誌選定以後)に分け学術誌の変化をみると以下 のとおりである。まず,師範大学と教育大学所属の著 者比重が前期より後期に増加したが,一般の大学と研 究所に所属している著者の比重が低かった。また,論 文 1 編当たり著者数では単独著の比率が低くなり,2 人共著の比率が高くなった。研究主題と係わっては, 経済教育に関する主題の比重が高くなり,相対的に純 粋経済学に関する主題の比率が低くなった。研究対象 では,小学校と高等学校を対象にした研究比率が高く なり,具体的な対象がない場合の研究比率が低くなっ た。研究方法の側面では量的研究方法の使用比率が高 くなり,質的研究方法やその他研究方法の使用比率が 低くなった。最後に,研究費助成を受けた論文の比率 表 21 論文作成の言語 区分 掲載論文編数(編) 比率(%) 前期 後期 計 前期 後期 計 後期 - 前期 韓国語 135 115 250 94.4 88.5 91.6 -5.9 英語 7 14 21 4.9 10.8 7.7 5.9 日本語 1 1 2 0.7 0.8 0.7 0.1 合 計 143 130 273 100.0 100.0 100.0 注)前期は創刊号から第 12 巻 2 号(1996-2005)まで,後期は第 13 巻 1 号から第 21 巻 2 号(2006-2014)まで。

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が大幅に高くなった。  『経済教育研究』の学術的な志向が経済学の研究で はなく,多様な経済教育の現場と係わる研究であるこ とから前述した変化は望ましいと思われる。師範大学 と教育大学所属の著者は経済学より経済教育に関する 研究に専念する可能性が高くなっている。これは,経 済学より経済教育の研究比率が高くなっていることか ら推測が可能であろう。また,単独著より 2 人共著な ど共著の比率が高くなっていることは,それだけに経 済教育と係わる学問共同体の協力(collaboration)の 幅が広くなっていることを意味している。さらに経済 教育が小中高などの学校を対象にする研究比率が高く なっていることは望ましい方向である。量的研究方法 の使用が増加したことは,経済教育と係わる調査研究 (research)を通じて政策的に活用ができるデータ分 析が蓄積されていることを意味していることから,学 会誌の発展に繋がるであろう。研究費の助成を受けた 論文の比率が高くなっていることも,学術誌に載せら れる論文の質が向上していることを間接的に確認でき る根拠となっている。  しかし,『経済教育研究』には短所や改善すべきも のもある。まず,学術雑誌に掲載する著者のプールを 広げなければならない。182 人の著者が 1 人当り 1.5 編 を載せており,平均的にはあまり悪くない結果であろ う。ところが,内容を具体的に見ると 182 人の著者の うち,1 編だけ載せている場合が 126 人(69.2%)で, しかも 85 人が共著形式で掲載されている。2 編に名前 を載せている場合は 155 人(85.1%)であり,絶対的 な多数である。言い換えれば,182 人の内,約 15% の 著者が多くの論文を学術誌に載せていることを意味し, 彼らによって運営されて来たと言っても過言ではない。 従って,多くの著者が投稿できるように持続的な広報 戦略を推進する必要がある。  学術雑誌のデザインに関しては,変更を考える必要 がある。創刊号から現在に至るまで雑誌のデザインが あまり変わっていないことを考えれば,その必要性が 増すのである。ここでいうデザインとは,学術雑誌の 外形的なものを意味しているのではなく,学術雑誌に 多様な形式の論文も盛り込む必要があるということで ある。これまで学術雑誌に載せられた論文の殆どは, 学術論文であった。学会誌の中間に現場論文のセク ションを用意し,小中高など学校教師の経済教育に関 する実践的な文章を載せたが,最近では,また学術論 文一色になっている。それ以外に経済教育に関する政 策的な提案や論評,企画論文など多様な形式の文章が 載せられる方向に進めなければならない。  最後に,『経済教育研究』の国際化を推進しなけれ ばならない。もちろん,短期的には困難である。しか も少数ではより困難な問題である。また,これは単純 に学術雑誌の編集を引き受けている編集委員会のみの 悩みではない。多くの人々がこの問題に対し解決方法 を探っている。幸いにも,ここ数年において持続的に 国際学術大会を開催した結果,『経済教育研究』に外 国人著者の比率が多少増加していることは成果として 位置づけられる。容易なことではないが,これから 20 年後にはより多くの外国人著者が『経済教育研究』 に論文を載せることができ,経済教育に係わる学問的 な繋がりが維持できるように持続的な国際化戦略を模 索,推進しなければならない。 註 1) 本稿は 2014 年 8 月 20 日に開催された韓国経済教育学会 に報告されたものを修正したものである。 2) この文章は創立の目的に明記されており,現在は社団法 人韓国経済教育学会の定款第 2 条にそのまま残っている。 3) 前期と後期に分けることは現時点で恣意的であり,分析 を行う上で便宜上に使用するものである。20 年後に同じ 分析を行う場合,これまでの期間すべてが前期に分類さ れる。本稿では,前期と後期における価値判断を排除し, 分析を行うために便宜上時間順に前期と後期という用語 を使用する。 4) 登載候補誌に選定された年の 1 月から登載候補誌または 登載誌として公認されるため,第 13 巻 1 号(2006.6.30) からは登載候補誌に,第 17 巻 1 号(2010.6.30)から登載 誌として公認されている。 5) 韓国教員大学校所属の著者は,師範大学に分類した。 6) 「実証研究を通した経済学教育:彼氏づくり」(第 19 巻 2 号)の論文は,共著者のうち 3 人が大学生であったこと から,彼らを学士として分類した。 7) 外国人著者の論文は,前期の 143 本のうち 8 本(5.6%), 後期の 130 本のうち 10 本(7.7%)であり,外国人の著者 数比重は 2.1%p 増加した。 参考文献 [1] 金景模(1997)「経済教育の研究動向分析:『社会と教育』 掲載論文を中心に」『社会と教育』25,213-232 頁(韓国 語)。 [2]『 経 済 教 育 研 究 』 創 刊 号(1996.2.28) か ら 第 21 巻 2 号 (2014.8.30)まで掲載された論文 273 本。

表 6 韓国人著者の論文掲載順位 順位 著者 名目掲載編数 順位 著者 実質掲載編数 1 崔秉模 16 1 金尙奎 13.0 2 金尙奎 13 2 韓鎭守 11.5 3 金景模 12 3 安炳根 9.5 3 金辰泳 12 4 金在原 9.0 3 韓鎭守 12 5 韓暻東 8.3 6 韓暻東 11 6 吳英洙 7.5 7 金在原 10 6 崔鍾敏 7.5 7 朴炯俊 10 8 李俊赫 7.3 7 安炳根 10 9 張景皓 6.8 7 吳英洙 10 10 金景模 6.7 7 張景皓 10 注)名目掲載基準は論文

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