C A N C E R 3 (1993), p.3 - 4
相模湾か ら得 られた
アメ リカ ウ ミザ リガ ニ
H om a rus
a
m erican us
(H .
M IL N E E D W A R D S,
1837)
渡 部
ア メ リカ ウ ミザ リガ ニH om arus am ericanus (H .M iln e E dw ards,1837)
は従来大西洋, アメ リ カ沿岸域 に生 息 す る, 老成 した個体 で は体重10
k g 程度 に もな る大型海産 ざ りが にで あ る. しか し, 日本沿岸 か らの生息 は報告 されてお らず, 従 来 日本沿岸 には生息 しない種 とされて きた. 近年 で は様 々な消費者 ニーズに答 え る形 で, 冷凍, ボ イル, 更 に生 か したままこれ らの地域 か ら空輸 さ れ, 日本市場 中で取 り引 きされている.1990
年12
月25
日, 神奈川県大磯町沖合, 水深35 - 40
m の海底 に仕掛 け られた メイ タガ レイ刺 網 によ り本種 の雌1
個体 が採取 された. 本報告以 前 に, 相模湾か らは2
個体, 葉山沖, 小 田原沖, 水深30 - 50
m か ら各1
個体 ずつ得 られた との漁 業者間での情報 を入手 したが, 標本 がないため未 確認情報 と していた. 今回の個体 によ り相模湾で の本種 の生息 は確かな ものであると確認 で きた. 得 られたアメ リカウ ミザ リガニの測定値 は次 の と お りである. 体重 :580
g 水揚げ直後に測定 体長 :249m m
甲長 :123m m
甲幅: 57m m
本種 の 日本沿岸 での生息 は本報告以前 にはない が, このよ うに 日本沿岸 に近年分布 を拡大 した甲 殻類 は既 に数種 あ り, その移住機構 に も様 々な推 測が報告 されている. これ らはアオガニCalline-ctes sap idus R athbu n, ホ ク ヨウイ チ ョウガ ニ C anser m agisterD an a を除 き水産的価値 はない. 今回水産的 に も重要魚種であるアメ リカウ ミザ リ ガニが得 られた ことに際 し, 移住機構 につ いて問 題 とな るが, 恐 らく何 らかの事情 で輸入 された個 体が相模湾沿岸 で放流 された可能性 が高 い と思 わ れ る.
H ajim e W A T A B E : A new record of H om arus
am ericanus(H . M ilne E dw ards,1837) (C rustacea, N ep hropidae) from Sagam i B ay
相模湾から得たアメリカウミザリガニ フt 3 今後本種 の相模湾での生息 につ いて興味が持 た れ るが, 従来生息 していた大型 甲殻類 を駆逐 して い くとは考 えに くく, その後追加個体 が得 られな いため定着 はかな り難 しい もので はないか と考 え られ る. また前述 のアオガこ も相模湾か ら採集報 告 があるが, これにつ いて は実際 に相模湾内に生 息 しているか疑問が残 る. 本 アメ リカウ ミザ リガニの報告 にあた り, 標本 入手 の便宜 をはか って下 さった小林 勲氏, 貴重 な ご助言 を頂 いた池 田 等氏 に厚 くお礼 申 し上 げ る.
4 相模湾か ら得 られたアメ リカウ ミザ リガニH om aTu S am ericanus(H .M IL N E ED W A R D S,1837)
参 考 文 献
長谷川 雅俊, 1992,静 岡県 浜名湖 にお けるアオガニ C allinectes sapidusR athbunの再記録.C ancer, 第
2号, 55 - 56.
三宅 貞祥,1982.原色 日本大型 甲殻類図鑑 ( I ).iv+
261p p .,保育社, 大阪.
村岡 健作, 田口 道夫,1992.相模湾か ら漁獲 された アオガニCallinectes sapidusR athbun について. 甲 殻類 の研究, N o.2,169 - 172.