いよいよ
30
年改正を迎えようとしている。未来投 資会議では総理の口より幾度となく「自立支援介護」 とその「成果を評価」することがビジョンとして語ら れ、我が国の介護サービスは「お世話型」からの脱 このように自立支援ケアはICF
に基づく実践が求められており、通所介護事業においては前改正時に一歩 早くICF
に準拠した「自立支援ケア」のあり方が示され、それに基づいた機能の充実が必須となった(次ペー ジ図参照)。介護サービスは「お世話型」からの脱却が求められる
介護保険における「自立」の概念については、 ここにある3つのことが記載されております。 1つは「介護等を要する者が、『尊厳を保持し、 その有する能力に応じ自立した日常生活を営む ことができるよう、必要な保健医療サービス及び 福祉サービスに係る給付を行う』こと」、2点目 が「介護保険の保険給付は、『要介護状態等の軽 減又は悪化の防止に資するよう』行われなければ ならないこと」、3点目が「保険給付の内容及び 水準は、『被保険者が要介護状態となった場合に おいても、可能な限り、その居宅において、その有 する能力に応じ自立した日常生活を営むことが できるように配慮されなければならない』こと」 が言われています。 2番目の「自立」の概念につきましてなのです が、どういった観点に着目するかによって、さまざ まな捉え方があると思っております。例えば、こ こに例を挙げさせていただいておりますのは、世 界保健機関(WHO)の国際生活機能分類、いわ ゆる「ICF」と言われているものですが、これにつ きましては、生活機能と障害を「心身機能・身体 構造」というものと「活動・参加」に分類してお りまして、高齢者のリハビリテーションにおいて、 この考え方に基づき、自立に向けたアプローチを 行っているということになっております。 引用:2017年8月23日 第145回社会保障審議会介護給付費分科会議事録 却とともに、「自立支援ケア」の実践と結果が求めら れるようになった。そこで「自立」の概念を理解する ことが準備の第一歩となるが、厚生労働省は「自立」 の概念について次のように述べている。「加算算定」を通じ
自立支援ケア体制
の
構築
と
「お世話型」からの脱却
株式会社 楓の風 代表取締役 小室 貴之通所介護
家族の負担軽減
認知症高齢者・重度者への対応
心身機能の 維持・向上 維持・向上活動の 社会参加の促進 生活援助 負担軽減家族の ※レスパイトは、左記の機能を発揮する ことで果たされる機能 生活機能の維持・向上 生活機能の維持・向上生活機能の維持・向上、生活援助
全ての事業所 で実施すべき 基本的な取組地域連携の拠点としての機能
は通所介護において充実を図る機能 ※ 【参考】平成25年度老人保健健康増進等事業「通所介護のあり方に関する調査研究事業」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング) アセスメントに基づく個別サービス計画の立案、計画に基づくサービス提供、計画の評価および見直し といったPDCAに基づくサービスの提供 地域の他の事業所や専門職等との連携を通じたサービスの提供 利用者の社会性の維持 〇 〇 〇 家族の 生活援助 維持・向上 心身機能の しかし、現場では個別機能訓練加算の算定基準 などをなんとなく理解していても、実践、定着に結 びつけることが難しいとの声も聞こえてくる。最も多 いのが、個別機能訓練加算ⅠとⅡの違いを明らかに できず、両加算の目標がいずれも心身機能の維持・ 向上に終始してしまう症状である。例えばⅠの目標に 「足腰を丈夫にする」と定め、Ⅱでは「100
m
歩ける ようになる」としてしまい、いずれも心身機能の向上自立支援のあり方・考え方を身に付ける
を目標にしてしまうような場合だ。Ⅱの目標において は具体的な生活機能の維持・向上を目指すことが求 められるので、「100
m歩けるようになる」という目標 の理由まで明らかにする必要がある。例えば「50
m 先のポストに手紙を投函し、安全に帰ってこられる ようになる」などのように、何のために100
m歩ける ようになる必要があるのか、具体的な作戦として目 標を定める必要があるのだ。 もはやおなじみの本図であるが、「通所介護におい て充実を図る機能」として「心身機能の維持・向上」 「活動の維持・向上」「社会参加の促進」の3つをもっ て「生活機能の維持・向上」への取り組みを求めてい る。具体的には個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱで体制と方 法について定められ、さらに前改正時に加算額が増 額されたことで、期待の強さが表現された。 参照:2014年8月27日 第106回介護給付費分科会資料介護・医療同時改定に向けて 通所系サービスが今すべきこと 特集1 また中重度の利用者を中心に、活動と参加のイメー ジが難しいとされる課題もある。これまでの高齢者 のリハビリテーションのイメージそのものが、まずは 「体を元気にしなければ始まらない」といったパラダイ ムがあるのだろう。上図の「リハビリテーションの展 開と3つのアプローチ」においても、まずは心身機能 へのアプローチが前提になっているようにも見える 段階式で示されているため、その誤解は生じやすい ものと考える。この段階がパラダイムとなり、回復が 見込めない中重度者においては「心身機能の回復が 困難」と見立てれば、活動と参加の目標などそもそ も思いつかなくなってしまうのかもしれない。 このように、私たち通所介護事業者は単なる意識 改革や制度改正対応策を行うのではなく、ケアの原 点である「心身機能の維持・向上」「活動の維持・向 上」「社会参加の促進」の3つをもって「生活機能の維 持・向上」を支援する専門ケア機関としての自覚と、 基礎からの構造改革が必要なときが訪れたのではな いだろうか。私たち通所介護事業者における自立支 援ケア、すなわち「活動と参加の支援」とは、たとえ 病や障害があろうとも、残存機能やその回復を見極 めた上で、いかに主体性を発揮できる場、役割を獲 得できるかの支援を行うことととらえることができる だろう。 参照:介護給付費分科会、中央社会保険医療協議会他資料
時間軸
生活機能
地域の中に生きがい・役割をもって生活できるような居場所と出番づくりを支援する 家庭内の役割づくりを支援する <役割の創出、社会参加の実現> 掃除・洗濯・料理・外出等 ができるように、意欲への働きかけと環境調整をする <IADL向上への働きかけ> <ADL向上への働きかけ> 食事・排泄・着替え・入浴等 ができるように、意欲への働きかけと環境調整をする 座る・立つ・歩く等 ができるように、訓練をする <機能回復訓練>リハビリテーションの展開と3つのアプローチ
介護保険においては、心身機能へのアプローチのみならず、活動、参加へのアプローチにも焦点を当て、これらのアプローチを通し て、利用者の生活機能を総合的に向上、発展させていくリハビリテーションを推進している。 ・発症等から早い時期に、主として医療機関におい て、心身の機能回復を主眼としたリハビリテーショ ンを実施。 ・回復の限界を十分考慮せず、心身機能へのアプロー チによるリハビリテーションを漠然と提供し続けた 場合、活動、参加へのアプローチによるリハビリ テーションへ展開する機を逸し、結果として患者の 社会復帰を妨げてしまう可能性がある。 ・治療を継続しても状態の改善は期待できないという医学的判断ののち も主として介護保険サービス提供施設において、残存機能を活かしな がらADL、IADL、社会参加等の回復を目指し更なるリハビリテーショ ンを実施。 ・日常生活や社会参加に伴う実践的な活動を通じて、心身機能を維持。 ・患者が心身機能へのアプローチによる機能回復訓練のみをリハビリ テーションととらえていた場合、介護保険によるリハビリテーション を「質が低い」「不十分」と感じる場合がある。参加へのアプローチ
活動へのアプローチ
心身機能へのアプローチ
いかがだろうか。家族の介護負担を軽減させるた めに本人をデイサービスに通わせることは間違いで はないが、「通所介護を利用して役割を見出す支援 を行う」のが専門ケアとしての通所介護であり、この レベルのアセスメントでは「人生の過ごし方」の視点 をもったケアに結びつくような情報にはならない。 言葉は悪いが、この程度の情報すらスタッフ間で共 有されていない事業所も少なくないはずである。こ れまでどのような人生を歩まれてきたのか、そして 今、病や障害を有する中で、どうすれば活躍できる 役割を見出してご自分らしく過ごしていただけるよう 支援できるか、この視点を磨くために、
PDCA
の第 一歩として、「利用者をエンパワメントすることを前提 としたアセスメント」が行えるよう教育を施すことが 必要である。 参考までに、教育を施すと次のようなアセスメン トが行われるようになる。同じく弊社主催同講座の 教育後のアセスメントを見てみよう。 いよいよ自立支援を行おうと考えたとき、PDCA
サイクルの第一歩はアセスメントである。しかし困っ たことに、ほとんどの通所介護従事者がお世話をす ることには長けていても、残存機能を見極め、多職 種で多様な視点から話し合い、戦略的に自立支援ケ アを行う実践的な教育を受けていない。そのため、 さまざまな訓練機器を用いて機能訓練を実施すれ ば、ある程度の身体機能の回復が見込めることは 知っていても、「人生の過ごし方」まで踏まえた支援 について取り組む機会があったとは言い難く、計画 策定の前提となるアセスメントそのものが「何にお困 りなのか」という視点、すなわち問題点や課題点の 調査に終始してしまうという課題を有している。 例えば90
歳代の要介護5の利用者を目の前にした とき、自分で食事や排せつ、移動が困難で、常時誰 かの介護が必要であるという課題点は見出せるが、 その人の「社会参加の促進」と考えると、「車イスに 乗ってデイサービスに通う」程度しか思いつかないこ とが多いだろう。このような場合のアセスメントにお ける生活歴をのぞいてみると、およそ次のようなレ ベルのものしか書かれていない。弊社で今年度から 実施している「自立支援ケア実践者開発養成講座」 の受講生の実際のアセスメントから見てみよう。 利用者情報 生活歴 老健にてクリーンさん(掃除の仕事)をしていた。それ以前はスーパーにて清掃業務。旦那様は大工さ んだった。息子様はトラックの運送業。日中独居。 家族情報 家族構成 長女(非同居)、次女(非同居)、長男(同居) 生活リズム 月、水、金:ヘルパー調理、掃除 火、木、土:デイサービス 参照:楓の風自立支援ケア実践者開発養成講座受講生受講初期アセスメントより介護・医療同時改定に向けて 通所系サービスが今すべきこと 特集1 いかがだろうか。まだまだ不十分ではあるが、利 用者の人生を短くも豊かにとらえていることがわかる し、この情報を共有後、スタッフたちの本人への寄 このケースはこのアセスメントから「友人の力を借 りてシネマに行く」ことを目標として導き出し、その 実現のために歩行訓練や筋力、体力をつける訓練を 行い、また重要な社会資源である「友人」との調整 も図りながら目標達成に向けて着々と準備を進めて いる。また、この事業所ではこのような「人生の過 ごし方」を支える取り組みを基礎であるアセスメント り添い方にも変化が起きてきたようである。このケー スはさらにアセスメントを積み重ねることで、人生の 過ごし方のヒントを得ることができる。 から学ぶことで、スタッフたちが目的をもってケアに 取り組めるようになったことはもちろん、そのよう なケアを行うことにプロとしての自覚と誇りを抱くよ うになったのが大きな成果であると感想を述べてい る。私たちが何のための専門職なのかを理解して行 動できることは、職員の動機付けそのものにも好影 響を及ぼす。 社会参加 社会参加 仕事をしている 具体的に 月に一度市内のシネマに映画を友人と観に行く 趣味や楽しみがある 地域活動やボランティア活動に参加 特にない 活動性の低下 感じない 以前の趣味や特技・ 挑戦したいこと 市街の美術館に一人でも行けるようになりたい 感じる 未評価 参照:楓の風自立支援ケア実践者開発養成講座受講生受講初期アセスメントより 因島 生まれ。誕生から数か月後に母親が腸結核で亡くなる。小学校に上がるまでねいや(お手伝いさ ん)が付き祖母の家で育てられる。後妻の母親が入り家に戻り一緒に暮らすが、姉がすぐに女学校に行 くため家を出た。後妻の母親は、綺麗な人だったが、家の事はほとんどしなかった。家族らしい思い出 がない。父親は町会議員をしていた。田んぼ、畑、みかんを栽培しており、よく手伝いをしていた。京 都の大学の家政科に進学、在学中に腸結核になる。卒業後は地元に帰り、化粧品関係に就職。26歳の 時に市営バスの運転手だった夫と結婚し、息子2人に恵まれる。平成6年12月にギランバレー症候群 に罹患。3ヶ月間入院治療を行う。「私は、死にかけた」と言っている。医者から病気の説明を夫と聞 き、自分は助からないと思い、夫に「今までありがとう」とお別れの言葉を言ったが翌朝、目を開けた ら生きていた…と今は笑いながら話す。入院中、言葉を出せなくなり、紙に書いたひらがなを指で押さ えながら話をしていた。退院後は、家事は夫がほとんどしていた。リハビリをしながら、少しずつ夫と 一緒に家事ができるようになったころ、夫が肝臓病になり入院、今度は自分が夫の看病をするように なった。夫は入退院を繰り返した後亡くなった。どのくらい入退院を繰り返し亡くしたか思い出せな い。現在も、歩行障害が続き神経内科に通院、物忘れや発語障害を訴えている。新聞は読むようにして いるが、今は本を読む事が出来なくなった。夫が亡くなった頃から、それまで問題の無かった隣家の奥 さんと関係が悪化。某宗教団体の信者だと思い込み、「バカヤロー」と大声で怒鳴ったりしている。近 所でも浮いた状態。 り かん 利用者情報 生活歴 参照:楓の風自立支援ケア実践者開発養成講座受講生受講初期アセスメントより
での教育の多くが「問題解決思考」の養成であった ために、問題点の主要素である「できていたことが できなくなってしまった阻害要因」との対たい峙じに終始し てしまう。しかし要介護高齢者は「解決困難な阻害 要因」が非常に多く、解決よりも先に最期を迎えてし まうこともある。そもそも人は必ず死を迎える。よっ て時には解決を目指すことそのものが、残された大 切な人生の時間を訓練によって奪いかねない恐れす らある。よって、問題解決の視点に終始することな く「人柄や人となり」を踏まえつつ、これまでの人生 の過ごし方、そして残存機能やあらゆる社会資源の てから」などとのんびりした考えではなく、病気や障 害を有していても、その姿で何ができるのかを考え ることができるようになるスタッフの養成が求めら れる。 通所介護は4つの職種の配置を義務づけられてい る。ご存じの通り生活相談員、機能訓練指導員、 介護職員(体制強化加算の導き通り、介護福祉士保 持者が望ましい)、看護職員の4職種である。この 4職種がそれぞれの立場と役割を理解し、円滑に自 立支援ケアの目的を共有してチームで取り組む習慣 を身に付けさせることが重要なのである(図参照)。
参加
活動
心身
参加
活動
心身機能
人生の過ごし方を見いだすアセスメント
暮らしぶりのモニタリングのとりまとめ
専門職間のファシリテーター
情報や作戦のとりまとめ係
日々の情報収集と発信 くらしぶりのモニタリング俯瞰的な視点
【生活相談員】
【理学療法士・作業療法士】
【介護福祉士】
【看護師】
ボトムアップ
(医学モデルアプローチ) (生活モデルアプローチ)トップダウン
活動と参加の
目標を共有
目標を達成するための身体機能向上への
機能評価、運動計画、運動プログラム立案
身体機能モニタリング
・トップダウン視点
・ボトムアップ視点
自己決定を促す適切な医学情報の提供 活動と参加を担保する医療リスクマネジメント活動と参加の促進を目指し(目的)
専門職の役割と視点を明確化、IPWで業務推進
図 個別機能訓練加算Ⅱ(活動と参加の推進)における専門職の役割と視点・IPW介護・医療同時改定に向けて 通所系サービスが今すべきこと 特集1 前ページの図ではそれぞれの職種の役割について も言及しているので、参考にしていただきたい。特 に機能訓練指導員の思考は心身機能の維持・向上を 前提とした従前のボトムアップ(医学モデルアプロー チ)にとらわれることなく、今すぐにでも活躍できる 役割はないかを考え、そのための優先すべき訓練は 何かを考えるトップダウン(生活モデルアプローチ) で思考できる教育が必要である。また、トップダウ ンで思考する目標や訓練を見出すためには「人生の 過ごし方」に関する情報が重要であり、それぞれの職 種の立場より豊かな情報を見出すアセスメントが肝 要となってくる。アセスメントに基づき、これらの職 種がそれぞれの役割、立場より相互に意見を出し合 い、個別機能訓練加算Ⅱを通じて自立支援に資する ケアを提供していただきたいと考える。 さて、これまで前提条件として、自立支援ケアに 取り組むべきで、特に個別機能訓練加算Ⅱを通じて 実践することの意義について述べてきた。これらは 決して理想論ではなく、各職種が目的を持って働く ことへ導くため、持続的に共創し合うチームを作り 上げるための基礎である。このようなチームは専門 性を発揮したいと考える質の高い職員の誘致にも結 すでに投じている資源の見直しも必要である。例 えば機能訓練室の床面積は施設基準上一人3㎡とさ れているが、カラオケ専用の部屋やわざわざ
TV
を 見るためだけのソファコーナーなどのために3㎡以 上の空間を提供しているような場合は、見直しを検 討すべきだろう。さらに広い空間にさまざまな「コー ナー」を設けている場合は、各「コーナー」ごとのマ ネジメントを行うことが必要となり、結果的に人的 投資でカバーする必要が出てくるため、厳しい介護 報酬の中で人件費がさらに経営を圧迫してくるだろ う。利用者に「快適に楽しくすごしてもらおう」とい う発想は、飽きさせないようにするため常に新たな生産性向上と自立支援ケアを行う
び付く。そして、ケアの成果を通じて利用者満足度 の向上やケアマネジャーをはじめとする関連機関の 信頼獲得にもつながり、持続的な集客構造を構築す る。これらは事業所の差別化や特徴づけではなく、 本質を理解し磨く作業であるため、一時の生き残り 作戦ではなく、持続可能な事業所運営の礎となるの である。 投資が必要となる。しかし、前述したことに取り組 むことで、「効果的な機器」を導入して特徴づけを試 みたり、古くなった施設を美しく改装したりするな ど、差別化に明け暮れる必要もなくなる。よって本 質を磨き、「飽き」に結びつくような余計なことに投 資をすることを最小限にとどめることがポイントと なってくるのである。 なお、このような差別化のために見出したさまざ まな「高齢者を楽しませる」目的の行いに対し、貴重 な介護保険財源を使うことへの疑問が財務省などよ り投げかけられていることにも留意しなくてはならな い。従来のデイサービスに見受けられたやり方への (1)持続的な事業所運営の礎を築く (2)最小限の資源で運営するお世話型の典型として挙げられるのが各種行事の 開催や常に新しさを考え続けるアクティビティと称し た各種ゲーム、折り紙などを用いた室内の装飾など が考えられる。そもそも、折り紙で作った草花が咲 き乱れるガラス窓を見ていったい誰が喜ぶのか、こ れらは本当に「自立支援」に資するのかどうかを考え なければならない。弊社では機能訓練加算などの加 算対象のプログラム以外の一切を無駄ととらえ、例 えばクリスマス会やお花見も一切行っていない。利 用者がお花見に行きたいのであれば、利用者の生活 環境をしっかりとアセスメントし、家族やボランティ アの力を借りながら、自分でお花見に行けるよう支 援する。これにより装飾にかかる材料費や、行事の 準備に要する残業代などの割増賃金などのコストは 発生しない。高齢者の尊厳とは何かを再確認しなが ら、自立支援ケアの実践という目的を理解・共有し、 目的的な業務の実践に集中することで、一切の無駄 の排除を実現し、適正な利益の確保が可能となる。 (4)一切の無駄の排除(お世話型) ICTを活用し、モニタリングを実施している様子(弊社施設) 次期改正において、
ICT
やロボットの導入により加 算を付与する方針が示されている。この方針の目的 は言うまでもなく業務効率の向上である。ICT
は情 報共有や記録に要する時間と手間の効率化であり、 ロボットは職員が腰を壊さずに持続的にケアに従事 することで、人材の寿命を延ばし、高まる採用リスク の根本的要因である離職の抑制を行うことが目的と なる。これらはもれなく導入し、使いこなし、日常業 務のスタンダードとして定着させる必要がある。 弊社ではカナミックネットワーク社のクラウド電子 カルテシステムと、独自に開発したアセスメント、情 報共有、アウトカム評価をマネジメントする「颯(そう) システム」を組み合わせて導入し、スタッフたちは施 設内外で端末(iPad
)を用いてほぼペーパーレスにて (3)最大限の業務効率 業務を完遂し、かつての平均残業時間30
時間ほど を、13
時間ほどに抑制することに成功し、ICT
投資 による成果を見出している。 ることにより給付の抑制を図ることも予測される。 ない時代が訪れていると考えるべきだろう。介護・医療同時改定に向けて 通所系サービスが今すべきこと 特集1 目下最新の議論では、成果を出した事業者への 評 価、いわゆるアウトカム評 価加算の導入が検討 されている。早ければ
30
年改正からの導入も求め られており、その動向に関心が集まる。ここで重要 なのは「何をもって成果」なのかを理解することであ る。介護度の改善にインセンティブを付与する意見 が挙げられているが、「『居宅サービスの利用者はさ まざまなサービスを組み合わせて利用している場合 が多く、要介護度や自立度などの指標が改善したと しても、提供される介護サービスの中のどのサービ スが効果的であったかの判断が困難であること』『事 業者がアウトカムの改善が見込まれる高齢者を選別 するなど、いわゆるクリームスキミングが起こる可能 性があること』※」を課題点としてとらえており、具体 的なアウトカム加算導入までにはさらに議論が繰りアウトカム加算への備えをする
16 14 12 10 8 6 4 2 0 2016.4 2016.4 2016.10 2017.4 2017.7 A. 活動 4 6.6 9.8 9.8 B. 参加 6 7 9 9 C. 主体性 3.5 11 12.5 13.5 介護度 介護3 介護3 介護3 介護1 評価項目 今回評価点数 前回評価点数 活動 6.6 点 4 点 参加 7 点 6 点 主体性 11 点 3.5 点 今回評価点数 活動 2016 10 主体性 参加 2016.10 2017.4 2017.7 A. 活動 B. 参加 C. 主体性 20 20 15 15 10 10 5 5 0 0 前回評価点数 今回評価点数 活動 2017 4 主体性 参加 20 20 15 15 10 10 5 5 0 0 前回評価点数リハビリテーション颯でのケアの成果を独自スケールで測定
昭和大学保健医療学部との共同開発 独自スケール「颯スケール」での測定。 通所介護に求められる機能 「心身機能の維持・向上」 「活動の維持・向上」 「社会参加の促進」 以上3機能+本人の「主体性」を測定。 介護度は2年に1回の更新調査のため、 ケアの成果測定には不向き。 (期間が空きすぎ) 本スケールは、通所介護計画期間である 6ヶ月に一回の測定で評価を実施。 返されることだろう。議論の行方に関心を持ち、事 業者に求められる成果を意識し、まずは自立支援ケ ア実践の準備を整えることが今できる対策と言える だろう。 なお、弊社では昭和大学保健医療学部との連携 により、独自のアウトカムスケール「颯スケール」に て、活動と参加、そしてそれに取り組む利用者の主 体性を測定し、介護度の維持改善と共に、定量的に ケアの評価を実施している。アウトカム加算がどの ようなポリシーで設置されるかは不明だが、少なく とも活動と参加の促進に取り組むことは示されてお り、それらに準拠した成果の測定を行うことは将来 のアウトカム加算導入への準備ととらえ、取り組んで いるところである。事業所として制度に必要とされ、生き残るために は制度の期待である加算算定ができる限り行える体 制を整え、取り組みを行うことは既知の通りである。 重要なのは、加算算定が