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複雑系科学のカオスと可視化のSOMを用いた新しい健康評価法に関する研究

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Academic year: 2021

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氏       名 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号

学位授与年月 日

学位授与の要件

学位論文題 目

ま にわよし お 馬 庭 芳 朗

博士(工学)

甲第169号

平成17年 3月18日

学位規則第4条第1項該当

複雑系科学のカオスと可視化のSOMを用いた新しい健

康評価法に関する研究

学位論文審査委貞  (主査)

(副査)

昭裕蔵

」」.

ほ 井

大副徳

西守克巳

学位論文 の 内 容 の 要 旨

近代西洋医学は生体局所の病態診断と治療の上に発展してきた。これは近代科学における要素 還元論を用いた解明様式に類似する。しかし、生体埠遺伝子・細胞・臓器・内分泌神経系などが 連関して機能する複雑系である。ヒトの健康と病態も要素還元論的研究手法ではすべては評価で きない。近年ではこの反省から、全人的な立場から医療と健康を考える統合医療の概念が示され、 健康科学も新しいパラダイム(規範)形成の前段階に入った。 本研究では、新しい健康パラダイムの構築に向けて、複雑系科学を用いた生体情報解析の有用 性を検討した。 第1に光学センサを介して簡易に検知可能な指尖加速度脈波の決定論的カオスを検証・証明し、 ′実地研究に耐えうる血流カオス健康評価システムを開発した。すなわち、発光・受光ダイオード により指尖のヘモグロビン濃度変化として血流を検知し、インターフェースを介して波形を増幅 後、PCカード型A/Dコンバータでデジタル変換、㌧汎用PC内の波形解析・カオス解析ソフトにて 計測から健康評価を一括して行うシステムである。この後、複雑系生体情報解析研究会を組織し、 一般外来・救急医学・麻酔学・外科学・総合健診など多領域でのシステム検証を行った。 第2に、このシステムを用いて健常。外来疾患・入院疾患における多施設データを集積し有用 性を検討した。健康と病態の評価には 1)加速度脈波の波形成分分析による機能的・器質的動 脈硬化度、2)加速度脈波時系列を時間遅れ座標系に変換して得られるアトラクタ軌道(カオス 力学系の軌道)の軌道平行測度(Trajectory Parallel Measure:TMP)とリカレンスプロット (Recurrence plot)法によるカオス統計量を用いた。TPMは疲弊型ストレス、循環不全など血流 決定論の複雑性の上昇と共に高値を示すことが判明した。逆に、交感神経緊張型ストレス・病態 では異常低値を示した。また、脈波時系列の非定常性を示すリカレンスプロット法では、血流全 体の非定常性と疾病の重傷度が相関した。これら脈波情報の解析により、血流の異常性から局所 ー 9 -

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病態に捉われない全身の健康評価法の有用性が示唆された。 他方、勤労者における1年以上の継続測定から、日常の健康管理べの応用を試みた。血流カオ スには日内あるいは季節変動が観察され、自己の感じる総体的な健康度とカオスの異常はよく相 関した。これにより、血流カオス測定システムを職場に配置した遠隔健康管理システムの可能性 も示された。 第3に、脈波のもつ多次元情報価値を自己組織化マップを用いて解析した。脈披からはこれを 2次微分した加速度脈波の波形成分比により血管硬化度が判定できるほか、血流カオスはこれと 独立した生体健康情報であり、特に自己健康評価と相関してTPM値がクラスタ化された。この結 果から指先の血流を介して客観的に健康度を分類できる可能性が示された。 第4に、′従来の健診情報と脈波情報を総合して自己組織化マップにより健康分頬を試みた。こ の結果、例えば善玉コレステロールと呼ばれこれが高値だと長寿の傾向が高いとされるHDL-コレ ステロール高値群は、TPMが低値である、同様の群では不定愁訴の割合も低いなど、新たな知見 がマップ上に可視化された。経時的に健康情報をマップ上で追跡すれば、従来より精度の高い健 康把握が可能となった。 以上より、カオスや自己組織化マップなど複雑系科学を応用することで、個々の健康感の時系 列変化にも対応した新しい健康評価が可能で、近未来の健康パラダイムの創生に向け有用な方法 論であると確信する。

論文 審 査 の 結 果 の 要 旨

本研究では、新しい健康パラダイムの構築に向けて、複雑系科学のカオスと可視化の自己組織 化マップ(SOM)を用いた生体情報解析の有用性を検討している。 はじめに、光学センサを介して簡易に検知可能な指尖加速度脈波の決定論的カオスを検証i証 明し、実地研究に耐えうる血流カオス健康評価システムを開発した。すなわち、発光・受光ダイ オードにより指尖のヘモグロビン濃度変化として血流を検知し、その波形を増幅、デジタル変換 l し、カオス解析するシステムである。このシステムの有効性を検証するため、複雑系科学生体情 報解析研究会を組織し、一般外来、救急医学、外科学・総合検診等多領域で試用データ’を収集し た。具体的な健康と病態の評価には、健常者、外来患者、入院患者に対して、(1)加速度脈波の波 形成分分析による機能的・器質的動脈硬化度、(2)加速度脈波時系列を時間遅れ座標系に変換して 得られるアトラクタ軌道の軌道平行測度とリカレンスプロット法によるカオス統計量を用いた。 アトラクタ軌道の軌道平行測度は病弊型ストレス、循環不全などで高い値を示し、逆に、交感神 経索張型ストレスでは、異常低値を示した。また、リカレンスプロット法では、血流全体の非定 常性と疾病の重症度に相関があることが明らかになっキ。これら脈波情報の解析から、血流の異 常性から局所病態に捉われない全身の健康評価法の有用性が示唆された。 次に、脈波のもつ多次元情報をSOMを用いて解析した。脈渡からは、これを2次微分した加 速度脈波の波形成分比より血管硬化度が判定できるほか、本解析にカオス情報からのアトラクタ -10 - ’ヽ

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軌道の軌道平行測度を導入することにより、指尖の血流を介して客観的に健康度を分煩できる可 能性が示された。 さらに、SOMにより、従来の健康情報と脈波情報を統合して、健康分額を試み、善玉コレス ′ テロール等に関して新たな知見がマップ上に可視化された。 以上、・カオスと可視化のSOMを脈波情報解析に応用することにより、個々の健康感の時系列 変化にも対応する新しい健康評価が可能で、近未来の健康パラダイムの創生に有用なシステムを 構築している。本試みは、医療情報解析分野での先駆的かつ有用な研究であると認められる。よ って、学位申請者馬庭芳朗氏は、博士(工学)の学位を得る資格がある者と判定する。 -11-

参照

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