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インフラとしての証券市場 1. 日本の強さ : マーケットの国際競争力アジアにおける比較優位の考察 2. 現代証券市場の変貌 : 高頻度取引 Fragmentation との調和

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(1)

日本の証券市場インフラ

国際競争力の視点から

早稲田大学大学院ファイナンス研究科

宇野 淳

日本証券業協会 「

日本市場や日本企業の再認識と情報発信を考える懇談会」

2013年1月25日

(2)

インフラとしての証券市場

1. 日本の強さ:マーケットの国際競争力

アジアにおける比較優位の考察

2. 現代証券市場の変貌:

(3)

1 マーケットの競争力決定要因

① マーケットのガバナンスと競争政策

上場審査の徹底

情報開示制度の良さ

取引ルールの明瞭さ・実効性

劣ってはならない要素

② 海外重複上場

上場銘柄数の増加(海外重複上場)

困難な要件

③ 上場企業の国際性

比較優位の最もある要件

④ 市場間競争の姿勢:PTS規制

比較優位のある要件

⑤ 取引の活発さ、流動性

留意すべき要件

3

出典: 宇野・大崎「証券市場のグランドデザイン」第9章 マーケットの国際競争力

(4)

①マーケットのガバナンスと競争政策

ルール(規制)の種類

内容

市場操作

価格、出来高、偽計取引、不正開示から構成される

価格操作

意図的に上値を追う注文を入れトレンドを見せかける

出来高操作

不必要に高頻度の取引で出来高増大の印象を演出す

偽計的価格(取引)形成

spoofing

ブックに両サイドの注文を入れ、片方をすべて約定す

る一方、他方をキャンセルするなどの行為

不正な開示

事実に基づかないミスリーディングな情報を流すなど

インサイダー取引規制

未公表の重要情報に基づく取引、顧客注文に対するフ

ロントランニングなど

証券会社のエージェンシ問題

最良執行違反や不当な手数料を課すなどの行為

各取引所のウエブで見られる情報から集計し「取引所ルール指数」として作成した。

評価ポイントは3つ:市場操作、インサイダー取引、証券会社のエージェンシー問題

“Exchange trading rules and stock market liquidity”

Douglas Cumming, Sofia Johan, Dan Li (Journal of Financial Economics) 2011

4

(5)

Exchange‐Rule Indices

0 5 10 15 20 25 30 London France=EuroNext Italy Spain Germany Switzerland OMX Oslo Canada Nasdaq NYSE Australia Bombay HongKong IndiaNSE Singapore Philippines Korea Shanghai Shenzhen Taiwan Tokyo PriceManipulation VolumeManipulation Spoofing Index False Disclosure Insider Trading Broker–Agency

(欧州MiFID以降)

東証は世界で

明示された取引ルール

が最も少ない市場と見られている。ウエブで英

語で書かれた資料に基づく評価は「実際」と乖離している。

(挑戦1) 情報発信=「見せ方」「見え方」に改善の余地がある

5

(6)

⑤ 流動性変化 2000年→2011年

LIQ=-Log(1+

日次売買代金

日次リターン

)の平均値

100万ドル当たりに換算

日本、イタリア、米国、ドイツ

日本、 シンガポール、香港、オーストラリア

高流動性

低高

動性

‐3 ‐2.5 ‐2 ‐1.5 ‐1 ‐0.5 0 L2 00 00 1 L2 00 00 8 L2 00 10 3 L2 00 11 0 L2 00 20 5 L2 00 21 2 L2 00 30 7 L2 00 40 2 L2 00 40 9 L2 00 50 4 L2 00 51 1 L2 00 60 6 L2 00 70 1 L2 00 70 8 L2 00 80 3 L2 00 81 0 L2 00 90 5 L2 00 91 2 L2 01 00 7 L2 01 10 2 L2 01 10 9

LIQ for global countries

JP IT US DE ‐4 ‐3.5 ‐3 ‐2.5 ‐2 ‐1.5 ‐1 ‐0.5 0 L2 00 00 1 L2 00 00 8 L2 00 10 3 L2 00 11 0 L2 00 20 5 L2 00 21 2 L2 00 30 7 L2 00 40 2 L2 00 40 9 L2 00 50 4 L2 00 51 1 L2 00 60 6 L2 00 70 1 L2 00 70 8 L2 00 80 3 L2 00 81 0 L2 00 90 5 L2 00 91 2 L2 01 00 7 L2 01 10 2 L2 01 10 9

LIQ for Asian countries

JP SG HK AU

(7)

③時価総額別の流動性比較

時価総額分位別 マーケットインパクト

流動性で追いつかれているといっても、時価総額分位別でみれば第3分位以外では負

けていない。時価総額別でみると日本の流動性は十分高い

0.000 0.050 0.100 0.150 0.200 0.250 大型1 2 3 4 中型5 HK SG AU JP

計算式: マーケットインパクト=Log(1+

日次売買代金

日次リターン

)の平均値

0.000 1.000 2.000 3.000 4.000 5.000 6.000 7.000 6 7 8 9 小型10 全体 HK SG AU JP

(8)

③ MSCI構成銘柄数

時価総額別銘柄数

アジア株に占める構成比(銘柄数ベース)

日本の特徴は、大型から小型まで銘柄数がまんべんなく存在すること。投資対象として銘柄のバラ

エティは重要な要件である。

(挑戦2)アジアの「スター(グローバル)銘柄」をシームレスに取引できるマーケット提供で貢献する

日本の外で貢献→

“日本+オーストラリア+ASEAN TRADING LINK”

アジアの代表的銘柄を取引する「バーチャルマーケット」を創出する役割を積極的に果たす

注:ASEAN LINK: ASEAN7カ国の取引所リンク (シンガポール、マレーシア、タイがライブに)

左から、豪州 中国 香港 インドネシア インド 日本 韓国 マ レーシア フィリピン シンガポール タイ 台湾 0% 20% 40% 60% 80% 100% Large 2 3 4 5 6 7 8 9 Small AU CN HK JP KR SG 0 10 20 30 40 50 60 70 AU CN HK ID IN JP KR MY PH SG TH TW Large 2 3 4 5 6 7 8 9 Small

(9)

マーケットの競争力総合評価:活路をどこに求める

香港

シンガポール

オーストラリア

東京

①取引ルール

7点

11点

8点

3点

②国際重複上場銘柄

2011年

1.6%

24/1496

40.2%

311/773

4.6%

96/2079

0.5%

11/2291

③自国銘柄の国際性

MSCI採用銘柄数2012末

5.7%

41銘柄

3.4%

31銘柄

16.1%

69銘柄

36.2%

317銘柄

④市場間競争

2012年末 1は無し

1.26

1.18

⑤売買高回転率2011年

63.6%

45.9%

94.2%

123%

⑤流動性(ILLLIQ)2011年

絶対値が小さいほど高流動性

0.54

0.35

0.29

0.32

ETF 本数 (2011年)

売買代金(百万ドル)

77

70,084

90

7,921

53

7,731

116

34,158

9

(10)

2 高速化で“小口・高頻度化”する株式市場

10

0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 0 5,000,000 10,000,000 15,000,000 20,000,000 25,000,000 30,000,000 19 96 03 11 19 96 07 17 19 96 11 22 19 97 04 07 19 97 08 12 19 97 12 19 19 98 05 01 19 98 09 07 19 99 01 19 19 99 05 31 19 99 10 05 20 00 02 16 20 00 06 23 20 00 10 30 20 01 03 12 20 01 07 18 20 01 11 22 20 02 04 08 20 02 08 13 20 02 12 19 20 03 05 06 20 03 09 08 20 04 01 22 20 04 06 01 20 04 10 06 20 05 02 17 20 05 06 28 20 05 11 04 20 06 03 15 20 06 07 24 20 06 11 29 20 07 04 10 20 07 08 16 20 07 12 25 20 08 05 09 20 08 09 11 20 09 01 27 20 09 06 08 20 09 10 15 20 10 02 22 20 10 07 01 20 10 11 09 20 11 03 22 20 11 07 29 20 11 12 07 20 12 04 16

日本の約定件数、約定金額 東証1部 時価ウエート

約定サイズ 約定件数

アローヘッド稼働

(11)

悪影響は見られない(時価総額サイズ別指標)

11

0.000 1.000 2.000 3.000 4.000 5.000 6.000 7.000 20 09 07 20 09 09 20 09 11 20 10 02 20 10 04 20 10 06 20 10 08 20 10 10 20 10 12 20 11 02 20 11 04 20 11 06 20 11 08 20 11 10 20 11 12 20 12 02 20 12 04 20 12 06

売買回転率

大型 中型 小型 超小型 0 0.002 0.004 0.006 0.008 0.01 0.012 0.014 0.016 20 09 07 20 09 09 20 09 11 20 10 02 20 10 04 20 10 06 20 10 08 20 10 10 20 10 12 20 11 02 20 11 04 20 11 06 20 11 08 20 11 10 20 11 12 20 12 02 20 12 04 20 12 06

イントラデー価格変動性

大型 中型 小型 超小型

(12)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 20 09 01 20 09 02 20 09 03 20 09 04 20 09 05 20 09 06 20 09 07 20 09 08 20 09 09 20 09 10 20 09 11 20 09 12 20 10 01 20 10 02 20 10 03 20 10 04 20 10 05 20 10 06 20 10 07 20 10 08 20 10 09 20 10 10 20 10 11 20 10 12 20 11 01 20 11 02 20 11 03 20 11 04 20 11 05 20 11 06 20 11 07 20 11 08 20 11 09 20 11 10 20 11 11 20 11 12 20 12 01 20 12 02 20 12 03 20 12 04 20 12 05 20 12 06 20 12 07 20 12 08 20 12 09 20 12 10

流動性供給は主役の交代

株式主体別売買シェア2009‐2012

証券自己 個人投資家 外国人金額 コロケーション

12

外国人

コロケーション比率

(グラフから採録)

証券自己

個人

アローヘッド稼働

(13)

流動性供給者の交代(NYSE)

(14)

④ 市場分裂Fragmentation

4つの市場分裂Fragmentation

1.

取引所間競争(例:東証・大証)

2.

取引所とブロックデスク(バスケット取引)(サイズ、個別対ポート

フォリオ)

3.

取引所とダークプール(取引情報開示の有無)

4.

取引所とPTS(スピード競争・呼値競争)

市場参加者の多様性を反映した機能分化が進んだもの

14

(15)

証券執行市場の多様化

証券取引所

グループ化でシステム共有によるコスト削減

システム投資

証券会社

トレーディング・プラットフォームの提供

投資家

取引情報の秘匿を重視

投資家

より低いスプレッドで取引

企業

証券取引所

企業

PTS

例)OpenBook型

ダークプール

例)匿名性を担保

取引所のグループ化

15

(16)

16

© 2012 Fidessa group plc 

4 市場政策の姿勢

東京

香港

シンガポール

豪州

(17)

日本の変化は

スロー!?

2012年10月末 TOB規制撤廃

オーストラリア

日本

(18)

18

■2010年5月6日■

○13:32:00(Chicago Time)‐13:45:27

E‐mini SP500 1127.75pt→1070.00pt(5.1%急落)

13:45:28には1056.00ptに到達

○ミューチュアルファンドのトレーダーがヘッジ売りのためE‐mini SP500を13:32:00に75000枚成行き売りをいれた

ことが事の発端

75000枚という数字は一日の出来高の約9%

○HFTが引き起こしたわけではない。ただし、価格が一方方向に

動き時始めるとHFTはポジションを適正水準に戻すため、

相場と同方向に行動を変化させ、下落に拍車を掛ける要因に

なった

○下落率からトリガーが発動し5秒間の取引停止

“Reserve State”となる。

○取引停止後、E‐mini SP500は急上昇

14:06:00 1123.75ptに戻る

HFTのもたらすリスク: 米国Flash Crashに学ぶ

(19)

19

HFTマーケットメイカーは、平時は市場に流動性を供給する役割を果たしているがポジションリスクマネジ

メントを励行している。1日の終わりはほぼポジションを解消。日中もある一定の水準を維持している。

この関係で、価格が一方方向に動き時始めるとポジションを適正水準に戻すため、相場と同方向に行動

を変化させ、このケースでは下落に拍車を掛ける要因になった

ネット在庫水準

「5秒間の取引停止措置」後に市況が回復した

ネット在庫水準

The Stop Logic Functionality pauses executions of all transactions for 5 

seconds, if the next transaction were to execute outside the price 

range of 6 index points either up or down.

(20)

HFTはどこへ

(特にHFTが)目を向けるのは: 

•安定した流動性

•取引関連の緩い規制

•市場構造の変化とそれに伴う執行市場間の競争

•エマージング・マーケット(未開発新興市場)

魅力ある市場

•ラテンアメリカ: ブラジル、メキシコ、チリ

•アジア太平洋: 

•先進市場: 

日本、オーストラリア

、香港、シンガポール

•新興市場: 韓国、台湾、インド

アイテ・グループ シニアアナリスト Simmy Grewal。 太字、赤字は筆者による強調

20

(挑戦3)

世界の嫌われ者(?)“HFT”を「流動性供給者」としてマー

ケットに定着させるには

(A)高速(レイテンシー)の差別化→流動性makerのメリットを大きく

(B)フィーで差別化→maker fee

(C)空売り規制の撤廃→アップティックルール

参照

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