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74 b. 宇宙科学プログラムシステムズエンジニアリング室 満田和久 渡戸 満 長島隆一 飯嶋一征 池田知栄子 中谷幸司 廣瀬史子 橋本樹明 川勝康弘 紀伊恒男 1. SE 室の業務の定義 長木明成 馬場 肇 前島弘則 小川美奈 5 月 BepiColombo 設計会議対応 鈴木保志 SPICA 技

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3. 各センター及び室

a. 宇宙科学プログラム・オフィス

上野宗孝 内木 悟 吉原圭介 殿河内啓史 前佛英樹 馬場 肇 大嶋亮太 小川恵美子 栗山悦宏 若林直美 1. 宇宙科学プログラム・オフィスの設置 宇宙科学プロジェクトは,他本部と比較して少ない人 数で実施されており,かつほとんどが教育職による兼務 によること,挑戦的なミッションを実現するために JAXA インテグレーション方式を基本としていること等から, 今後,より着実にプロジェクトを遂行するためには更な る支援とボトムアッププロセスの中におけるプログラム 戦略的な活動が必要な状況となっている.人的リソース が限られてい状況において,プロジェクトチーム毎のを 横断的に支援する組織として「宇宙科学プログラム・オフ ィス」を宇宙科学プログラムディレクタの下に設置した. 「宇宙科学プログラム・オフィス」は,プロジェクト 支援として審査会の対応,実験等の実施のための対外調 整支援等を横断的に行う他,以下の業務を行う. ・ミッションロードマップの取りまとめ等のプログラム 戦略に関すること ・プログラムに係わる企画調整 ・内外への報告業務や計画管理対応の支援 ・プロジェクト・実験等の危機管理対応等 これに伴い,宇宙科学プログラム・システムエンジニ アリング室のうち企画グループの一部の所掌及び科学推 進部の一部活動範囲を宇宙科学プログラム・オフィスに 移管し,この結果宇宙科学プログラム・システムエンジ ニアリング室企画グループは廃止した.これは宇宙科学 研究推進委員会提言の「国際的研究拠点としての継続的 発展のための研究体制の強化」に対応した活動の一環で ある.下記の活動内容を箇条書きとする. (1)プログラム戦略に関すること ミッションロードマップの作成・維持・改訂とりまとめ 宇宙科学のプランに関する検討を宇宙理学委員会の議 論と連携 設備整備要求とりまとめ,関係本部との調整(臼田宇 宙空間観測所の運用,将来計画,輸送本部・イプシロ ンロケットプロジェクトチームなど) (2)プロジェクト・実験等活動の支援 宇宙研内審査会事務局 プロジェクト活動に関する相談窓口 → 関係部署との I/F その他プロジェクト推進に関する他に属さないこと 予算要求,実行資金取りまとめ,調整支援(計画ライ ンと連携) (3)PD 配下の組織(プロジェクトチーム,実験室等) の経営層に対する報告対応 組織長あてに一律に出されるマネジメント要求,調査 等の窓口となり,選別・選択して対応 (4)プロジェクト・実験等に関する宇宙開発委員会,経 営レベルへの対応(危機管理含む) JAXA 経営への説明,宇宙開発委員会報告等の調整, 資料とりまとめ プロジェクト,実験等に関する情報連絡・危機管理対応 プロジェクト・実験が抱えている問題解決支援 プログラム共通な問題,プロジェクト固有な問題によ ろず対応 試験設備・運用設備の調整作業 2. 昨年度の活動の総括 宇宙科学プログラム・オフィス発足直前に東日本大震 災が発生し,当初想定していなかった試験設備に関わる 調整作業と,電力の制限に伴う相模原内の施設の運用調 整が発生した.これに対して JAXA レベルの復興対策推 進室と宇宙科学プログラム・オフィスが連携し,スムー ズに情報共有を進める事が出来た事は危機管理上機能し たと考えられる.プロジェクトと実験に関わる,JAXA 内外に対する対応については,宇宙科学プログラム・オ フィスがとりまとめを行う形となり,この部分も当初の 予定に概ね沿った活動となった.また旧・観測事業が行 っていた実行支援(例えば各種実験の総務班対応など) は人的リソースの観点で,科学推進部と連携する形で実 行を行った.宇宙科学プロジェクト・実験活動における 問題解決においては,当初プログラムの共通的な課題の 解決を優先し検討を進めたが,個別問題の解決支援の必 要性が高くなり,横通し活動に加えて個別支援の重要性 も明らかとなった(よろず相談窓口としての機能を強化 しつつある状況である).宇宙研内にプロジェクト実行時 のノウハウの蓄積を行うための活動の一環として,有益 と思われる情報をまとめた宇宙科学プログラム・オフィ ス Web を立ち上げる事を計画し,コンテンツの検討を行 い,2013 年度に立ち上げ予定である.以上と合わせて, JAXA 全体に対して,顔の見える組織となるよう,発信 力強化を行った.

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b. 宇宙科学プログラム・システムズエンジニアリング室

満田和久 渡戸 満 長島隆一 飯嶋一征 池田知栄子 長木明成 馬場 肇 前島弘則 小川美奈 鈴木保志 中谷幸司 廣瀬史子 橋本樹明 川勝康弘 紀伊恒男 1. SE 室の業務の定義 SE 室は,ISAS におけるシステムズエンジニアリング 活動を推進するため,平成 20 年4月に設置され,以下 の活動を行うことが定義された. (1)宇宙科学プログラムに係る技術的事項の調整に関 すること. (2)宇宙科学プログラムに係るシステムズエンジニア リング能力の強化施策に関すること. (3)宇宙科学プログラムに係るシステムズエンジニア リング活動に関すること. (4)宇宙科学プログラムに係る技術開発戦略の策定に 関すること. (*)宇宙科学プログラムに係る企画の調整等に関する こと.*平成 23 年 4 月に ISAS 内にプログラム・オ フィス(PO)が設置され,SE 室の所掌業務から 外れた. 2. 平成 23 年度の活動内容 平成 23 年度の具体的な活動として,主に以下の活動 を行った. (1)ISAS で開発中の衛星プロジェクトの進捗を把握す る目的で,SE 室へのプロジェクトからの併任者を 含むメンバーにより,ほぼ週に一度の頻度で打ち合 わせを行い,プロジェクト間の情報交換とプロジェ クト進捗の把握に努めた. (2)有識者による「宇宙科学プロジェクト横断システ ム設計支援チーム」を組織し,衛星プロジェクト の設計会議等への参加により,プロジェクト開発 を支援した. (3)宇宙科学プロジェクトの特質に合わせた SE/PM 活 動の整理として,平成 22 年度に制定した初版 「SE/PM ガイドライン」に対して「科学衛星にお けるミッション達成アプローチ」に関する充実を 図った. (4)宇宙理学委員会ワーキンググループ(WG)とし て活動しているプロジェクトの立ち上げ作業に対 して,システムエンジニアリング的な側面から支 援した. (5)各プロジェクト,プリプロジェクトの進捗に合わ せてプロジェクト活動を支援した.具体的な支援 内容をカレンダー順に以下に示す. 4月:通年会議のみ 5月:BepiColombo 設計会議対応 SPICA 技術成立性 (構造/熱,姿勢,SAFARI 等)の評価支援 6月:BepiColombo システム CDR 対応 ASTRO-H 設計 会議対応 LiteBIRD(WG)活動支援開始 AS-TRO-G終了審査対応 ASTRO-H 指向管理⊿PDR 対応 7月:SOLAR-C(WG)の科学要求/観測機器要求の整 理のための支援開始 8月:SOLAR-C の科学目的/ミッション要求の明確化支 援 LiteBIRD TRL(技術成熟度)に関する支援 小型科学衛星設計確認会対応 9月:LiteBIRD MDR/SDR 対象文書,文書の扱いに関す る調整,作業の進め方等に関する支援 10月:ASTRO-H 設計会議対応 SOLAR-C 軌道に関する 検討支援 LiteBIRD 小型標準バス,アンテナ, 要求分析マップ,姿勢と軌道に関する検討支援 静電浮遊炉 PDR 対応 二相流テーマ PDR 対応 11月:ASTRO-H 設計審査/バスシステム検討会対応 ASTRO-H SXS CDR(NASA/GSFC)対応 LiteBIRD打上げロケットの仮設定検討支援,軌道 (L2 優先)に関する支援継続 BepiColombo設計審査システム CDR2 対応 12月:SOLAR-C の軌道設定に関する検討支援 LiteBIRDの軌道設定に関する検討支援,熱制御系 の成立性の検討支援 IMAP/GLIMS 説明会対応 MCE開発完了 審査(2 月)対応のための準備開始 1月:MCE 開発完了中間確認会対応 二相流テーマ PDR フォローアップ ASTRO-G に関するナレッジの 収集と LINKS への反映 2月:BepiColombo 設計会議対応 ASTRO-H 設計審査 システム CDR1対応 MCE⊿PSR/開発完了審査 対応 液滴燃焼 PDR 事前説明 3月:液滴燃焼 PDR 対応 通年:各種会議フォロー(CE 会合,研究推進委員会, コンポーネント,DE 会合,SDS 等),プロジェク ト・プリプロジェクト進捗報告対応 3. WG 活動支援の特徴 プリプロジェクトの立ち上げを目的とした宇宙理学委 員会 WG の活動への支援として,「SE/PM ガイドライン (科学衛星におけるミッション達成アプローチ)」をベー

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スに,プロジェクトの最終地点まで見通した初期検討を 支援する.具体的には,科学目的とそれを達成するミッ ション要求の明確化,検証計画までスコープに入れたシ ステム要求のトレードオフスタディなどを支援している.

c. 安全・品質保証室

清水幸夫 矢嶋季郎 杉山由香 1. 概 要 宇宙航空研究開発機構の第二期中期事業計画が策定さ れ,平成 23 年度はその第四年度にあたる.策定された 第二期中期事業計画の安全・品質保証室に係わる事項は, 一,機構内の品質マネジメントシステムを構築し,順 次システムの向上を進める. 一,安全・信頼性管理に対する教育・訓練を行い,機 構全体の意識向上を図る. 一,機構全体の安全・信頼性品質管理の共通データベ ースを整備し,データ分析を行い,予防措置を徹 底する. 一,安全・信頼性向上及び品質保証活動の強化により, 事故・不具合の低減を図る. 宇宙科学研究所の安全・品質保証室は,第二期中期事 業計画期より安全に関わる業務が付加され,宇宙科学研 究所の安全・信頼性・品質保証活動の中核を担う組織と 位置づけられた.宇宙科学研究所の品質マネジメント活 動は機構に横断的な「品質マネジメント規程」により行 われ,同じく機構に横断的な下位文書により実施される. 次に,宇宙科学研究所の安全・品質保証室の独立した 活動は, 一,定常組織としての安全・品質保証室の活動, 一,宇宙科学研究所信頼性品質会議の定期開催, 一,安全・信頼性推進部との共通活動の推進, 一,宇宙科学研究所のプロジェクト固有の品質保証活 動関連文書案の起草・制定および支援, 一,宇宙科学研究所のプロジェクトに関連する契約相 手方企業との品質保証活動の協議・調整, である.また,宇宙科学研究所の安全・品質保証室は月・ 惑星探査推進グループ(JSPEC)の安全・品質保証室を 兼務し,その所掌するプロジェクトについても同様の業 務を実施している. 安全・信頼性推進部との共通活動の推進では,信頼性 計画分科会の構成員として,また信頼性推進会議の事務 局として信頼性品質向上活動に努めた. なお,安全・品質保証室の構成員として宇宙科学研究 所の他部門より併任者として次の方々の支援を平成 23 年度いっぱいについて得ている.芝山有三氏,佐藤英一 氏,堂谷忠靖氏,後藤健氏,志田真樹氏,餅原義孝氏, 八木下剛氏,矢田達氏.また,部品班より池田雅彦氏の 多大な支援を得ている. 平成 23 年度の安全・品質保証室の個々の活動を以下 に示す. 2. 活 動 2.1 宇宙科学研究所の品質マネジメントシステムの構 築,維持及び運用 品質マネジメント規程に基づき,宇宙科学研究所の品 質方針,品質目標を定めて QMS 活動の推進を実施して いる.また,プロジェクト管理活動,S&MA 活動を通し て宇宙科学研究所における品質を確保するとともに,信 頼性品質会議において必要な是正処置情報の周知を展開 している. 宇宙科学研究所の QMS は,品質マネジメント規程に 基づく自主管理によって実施され,ISO9001 品質マネジ メントシステム要求事項に対し,宇宙科学研究所の文書 RQA-X0003,RQA-A0005 により QMS の維持,運用を実 施している. 2.2 JAXA 信頼性推進会議および信頼性計画分科会へ の参加 機構全体の S&MA 活動の重要事項調整,方針決定が行 われる信頼性推進会議の宇宙科学研究所幹事を担う.ま た,信頼性推進会議のプリボードとして設置されている信 頼性計画分科会へ構成員として参加し,宇宙科学研究所の S&MA活動について調整,意見交換などを実施している. 2.3 信頼性品質会議主催 宇宙科学研究所長決定第 21-6 号の規定により安全・ 品質保証室は概ね月に 1 回の頻度で宇宙科学研究所信頼 性品質会議を主催した. 会議では, (1)宇宙科学に関する衛星及び飛翔体等の企画(以下 「企画」という.)の遂行に必要な所固有の品質マ ネジメントに関わる規則・基準類の整備 (2)企画における信頼性管理及び品質マネジメントシス テムの整備 (3)企画の実施に伴い発生する信頼性管理情報の収集, 記録等 (4)その他品質マネジメントに関して必要な事項につい て調整・水平展開・意見交換を行った.

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2.4 宇宙科学研究所会議・月惑星探査推進グループ会議 (JSPEC 会議)等出席 安全・品質保証室として,職位で指定された宇宙科学研 究所会議,JSPEC 会議,プログラム会議,技術評価専門部会 等に参加し,必要に応じて意見の発言・各種調整を行った. 2.5 科学衛星プロジェクトに関する審査会等支援活動 宇宙科学研究所および JSPEC が計画し,今後打上げ予 定のプロジェクト・プリプロジェクトについて,そのプ ロジェクトの重要な時期に開催される審査会等において 審査実施の支援を行なっている.また,審査員として招 集された場合はそれらに参加し審査に加わっている.平 成 23 年度に参加した主な審査会等は下記の通り, H23.05.26 BepiColombo MMO 通信系 CDR H23.05.27 はやぶさ2 IES サブ PDR H23.06.06 BepiColombo システム CDR H23.06.07 BepiColombo システム CDR H23.06.28 BepiColombo MMO 試験開始前審査 H23.06.30 はやぶさ2システム PDR H23.08.02 SPRINT-A 詳細設計確認会 H23.08.05 はやぶさ2 設計会議 H23.10.11 BepiColombo MMO PSR H23.11.24 ASTRO-H AOCS CDR H23.11.28 BepiColombo MMO システム CDR2 H23.11.29 ASTRO-H RCS CDR1 H23.12.09 ASTRO-H,SXI 最終検討会 H23.12.21 ASTRO-H,SXI CDR H23.12.22 SPRINT-B システム定義確認会 H24.01.30 ASTRO-H HXI 最終検討会 H24.02.02 MMO 設計会議 H24.02.02 ASTRO-H 共通エレキ最終検討会 H24.02.03 MMO 設計会議 H24.02.08 ASTRO-H システム CDR H24.02.10 ASTRO-H システム CDR H24.02.10 はやぶさ2設計会議 H24.02.27 ASTRO-H 電源系 CDR H24.03.02 ASTRO-H 共通デジタル CDR H24.03.16 はやぶさ2 システム CDR 本審査 2.6 安全審査委員会等出席並びに安全性打ち合わせ 宇宙科学研究所が計画し,今後打上げ予定のプロジェ クト・プリプロジェクトについて,そのプロジェクトの 重要な時期に開催される JAXA の安全審査会委員会およ び宇宙研安全審査会の審査支援を行なっている.また, 予備的にプロジェクトから支援依頼のあった案件につい て意見調整などを実施した.平成 23 年度に実施した対 象プロジェクト等は下記の通り, ・ BepiColombo MMO ・ SPRINT-A ・ ASTRO-F /あかり ・ PLANET-C /あかつき ・ IKAROS ・ ASTRO-G ・ ASTRO-H ・ はやぶさ2 ・ エアロキャプチャ実証機 ・ 観測ロケット ・ 大気球 ・ みちびき ・ 小型 SSC 2.7 信頼性に関わる訓練・教育活動 JAXA 発足以降宇宙科学研究所においても品質保証室 が主催して信頼性品質向上に関わる訓練・教育活動を行 なっている.平成 23 年度は信頼性品質会議の議論の中 で訓練・教育に関する議論を実施した. 2.8 重大技術課題・不具合評価検討チーム(Aチーム) 活動への参加 A チーム活動に参加し,S&MA 部門全体にてロケッ ト・人工衛星等における技術課題や不具合を収集,評価 により重大な技術課題および不具合を識別し,再発防止 と未然防止のための品質情報として整理した. 2.9 不具合情報システムの構築ならびに不具合情報の 登録 各プロジェクトと共同し不具合情報を収集した.収集 した軌道上ならびに地上試験の一環として行われた一次 噛み合せ試験,総合試験,射場試験において発生した不 具合情報を安全・品質保証室の不具合情報システムに登 録し,必要な部門へ水平展開が図れるよう不具合情報シ ステム活用の推進を行った. 2.10 不具合情報システムⅢへの不具合情報の登録 安全・信頼性推進部と連携し,科学衛星に対する重要 な軌道上不具合情報および地上試験で発生した不具合情 報を JAXA 不具合情報システムⅢに登録し,JAXA 内へ 不具合情報の内容について水平展開を図っている. 2.11 各プロジェクトに対する品質保証活動ならびに不 具合対応 契約相手先が実施する総合試験,射場試験段階におけ る品質保証活動として,試験前後に開かれるタスクブリ ーフィング,タスクレビューへの出席,主要な試験の立 会いに参加し,試験手順書に基づいて作業が行われた試 験結果を,信頼性,品質保証の観点から確認している. 不具合が発生した場合には,各プロジェクトからの要 請に基づき,発生した不具合の原因究明・現品処置策・ 是正処置策の対応について,信頼性,品質保証の観点か ら支援を行っている.

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特に重大な不具合に関しては,安全・品質保証室の不 具合情報システムに登録し,他プロジェクトへの水平展 開を図っている. 2.12 不具合原因究明委員会などへの参加 宇宙科学研究所が計画し,今後打上げ予定のプロジェ クト・プリプロジェクトについて,あるいは既に軌道上 に投入された衛星・探査機などについて発生した不具合 や異常の原因究明を図るべく,委員会委員への委嘱指名 があった場合には参加し,原因究明のための意見を発し ている.平成 22 年度に引き続き「あかつき」の金星軌 道投入失敗原因究明調査・検討委員会に委員会委員とし て参加した.本委員会は平成 23 年度に宇宙開発委員会 への最終報告を実施し,その役目を終え解散した. 2.13 海外部品・コンポーネントに関する活動 現在進行中のプロジェクト・プリプロジェクトの部品 調達の指針となるべく宇宙科学研究所部品班とともに科 学衛星部品プログラムを定め,維持・改訂を実施し,各 プロジェクトを支援している. また,安全・信頼性推進部,研究開発本部部品グループ, 宇宙科学研究所部品班と連携し,科学衛星・探査機の海外 部品・コンポーネントに関わる情報交換を実施した. さらに宇宙用部品プログラム標準(JMR-012)につい て技術的背景をもって各プロジェクトへの適用調整を行 なっている. 2.14 科学衛星部品プログラム活動 宇宙科学研究所の部品班と協力し,科学衛星・探査機 に必要な部品プログラム活動を実施している.活動は, 科学衛星部品プログラム文書の維持改訂,JAXA 研究開 発本部部品・機構グループと連携した JAXA 部品プログ ラム標準の維持等である. 2.15 宇宙放射線による劣化の調査と科学衛星プロジェ クトへの支援 放 射 線 に よ る 部 品 劣 化 を 予 測 で き る Web 情 報 (CRÈME-MC, SPENVIS)を収集し,関係者にその情報 の展開活動を実施している. 2.16 部品適用審査会参加とプロジェクト支援 プロジェクトの使用候補である輸入機器の部品適用審 査会資料を検討し,その是非についてのコメントや科学 衛星搭載機器の部品品質設定の支援を継続している.ま た,部品に関する MOSFET リニア動作条件などの Web 情報を各科学衛星プロジェクトへ展開した. 科学衛星プロジェクトの部品に関する審査会等への参 加,技術支援を実施している. 2.17 JAXA 設計基準策定の支援 以下の JAXA 設計基準策定の審議・支援を実施し,下 記文書の制定・改訂を行った. ◇ 平成 23 年度に新規制定された技術文書(9 件) JERG-2-143 HB001 耐放射線設計ハンドブック JERG-2-144 微小デブリ衝突耐性評価標準 JERG-2-211 TM001 帯電・放電試験データ集 JERG-2-213 TM001 絶縁材試験データ集 JERG-2-213 TM002 絶縁設計実装例 JERG-2-241 EMC設計標準 JERG-2-320 HB001 構造設計標準ハンドブック JERG-2-400 HB003 通信設計標準利用ガイドライン JERG-2-610 宇宙機ソフトウエア開発標準 ◇ 平成 23 年度に改訂された技術文書(16 件) JERG-2-120 Notice-1 単一故障・波及故障防止 JERG-2-130 宇宙機一般試験標準 JERG-2-130 HB001 衝撃試験 HDBK JERG-2-130 HB005A 熱真空試験ハンドブック JERG-2-142 Notice-2 一般環境 JERG-2-151 Notice-1 ミッション・軌道設計標準 JERG-2-152A 擾乱管理標準 A 改訂 JERG-2-152 HB101B 擾乱管理マニュアル JERG-2-152 HB102 擾乱測定・評価マニュアル A JERG-2-211A 帯電放電設計標準 JERG-2-212 Notice-1ワイヤディレーティング設計標準 JERG-2-213A 絶縁設計標準 A JERG-2-310 Notice-2 熱制御 JERG-2-320A Notice-1 構造設計 JERG-2-330 Notice-1 機構設計標準 JERG-2-152 HB102 擾乱測定・評価マニュアル A 2.18 信頼性関連文書に関する制定および制定支援活動 宇宙科学研究所各プロジェクトの遂行に必要な文書の 抽出・文案起案・紹介などの手順を踏み技術文書として の準備を進めた. 2.19 JAXA/NASA/ESA 三極会合出席と日本での開催 準備 平成 23 年 8 月 31 日~9 月 2 日の 3 日間, ESA・ESTEC (The European Space Research and Technology Centre

@Noordwijk オランダ)において開催された ESA/JAXA /NASA 三極の安全・ミッション保証(S&MA)に関する NASA/ESA/JAXA 技術情報交換会議に安全・信頼性推進 部,他本部の S&MA 室とともに参加し,S&MA 活動に ついての意見交換を行った.平成 24 年度の日本開催に 向け準備委員会委員として開催準備を実施している. 2.20 宇宙科学研究所の信頼性情報サーバーの維持 宇宙科学研究所プロジェクト全体に環流させるため, 品質保証室独自の電子的情報管理サーバーを運用してい

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る.最新情報を常に更新し,宇宙科学研究所・月惑星探 査推進グループのプロジェクト活動等の信頼性・品質保 証活動に供している. 2.21 外国参考文書の翻訳と登録 宇宙科学研究所科学衛星プロジェクトに有用な海外の 参考文書の翻訳・整備を行なっている.現在 139 件の翻 訳文書を維持しているが,さらに利用しやすいよう今後 も引き続き翻訳精度の向上を図る.また,翻訳すべき文 書の選定・追加を行う. 2.22 契約相手方の QMS の監査並びにハイレベルマネ ジメント会合への参加 安全・信頼性推進部が主催する契約の相手方に対する 信頼性・品質保証監査及びハイレベル会合に参加し,契 約相手方に対する監査支援を実施した.平成 23 年度に 安全・品質保証室が参加した監査は,明星電気㈱,日本 電気㈱・NT スペース㈱,㈱IA であった. 2.23 連携活動状況 安全・品質保証室の活動として,平成 23 年度は以下 の会合等に参加した. ① S&MA 関連委員会への出席 計 54 回 ② S&MA 関連 WG 等への出席 計 32 回 ③ 部品関連会議への出席 計 26 回 ④ 講演会・セミナーへの出席 計 24 回 ⑤ プロジェクト関連会合への出席 計 275 回 ⑥ 研究所会議他への出席 計 54 回 合計 466 回出席し,情報の交換,収集・分析,展開を 実施した. 3. 研究成果の発表 安全・品質保証室事務取扱代理清水幸夫の研究成果の 発表は次の通り.また,宇宙飛翔工学研究系の研究成果 の発表も参照の事. 2011 年7月 21 日 東海大学情報工学部特別講演@東 海大学湘南校舎 17 号館 「小惑星探査機「はやぶさ」の 奇跡の帰還を支えたイオンエンジン」 2011 年 8 月 30 日 ESA/JAXA/NASA TRISMAC2011, “ S&MA technical knowledge transfer to young

genera-tions”, @ESA/ESTEC 2011 年 9 月 8 日 産学連携小型副衛星セミナー第 5 回 相乗り小型副衛星ワークショップ,「衛星開発におけるマ ネジメント技術」,@学術総合センタ 一橋記念講堂 2011 年 11 月 30 日 宇宙科学技術連合講演会,「Bepi Colombo MMOの安全・信頼性・品質保証活動」,@ひめ ぎんホール 4. その他の活動 安全・品質保証室事務取扱代理清水幸夫の講義・講演 活動は以下の通り. 2011 年 4 月 18 日 平成 23 年度電気学会中国支部総会 特別講演「小惑星探査機「はやぶさ」の成果と課題」,@ 中部電力本社 2011 年 5 月 6 日 岐阜県高等学校理化教育研究総会, 「小惑星探査機「はやぶさ」の成果 -日本の宇宙科学の現 状と-」@瑞穂市総合センタあじさいホール 2011 年 5 月 12 日 第 40 回日本 IVR 学会総会記念講演, 「小惑星探査機「はやぶさ」の成果,そして青森」,@青 森市文化会館大ホール 2011 年 7 月 2 日 平成 23 年度弁理士の日記念講演会, 「小惑星探査機「はやぶさ」の全貌,それを支えた技術」, @草津市立まちづくりセンター 2011 年 7 月 5 日 東京地方裁判所民事研究会,「日本 の宇宙開発の未来」,@東京地方裁判所 2011 年 7 月 7 日 川崎新都心街づくり特別講演,「夢 をつかむ」,@川崎市立金程中学校 2011 年 7 月 9 日 那覇市教育委員会主催特別講演,「ほ しぞらとみらい」,@ほしぞら公民館ホール 2011 年 7 月 29 日 中野・下高井教育委員会主催志賀 高原夏期大学,「日本の宇宙科学の探求とそのチャレン ジ」,@山ノ内町文化センター 2011 年 8 月 22 日 神奈川県理科教員研修講演会,「小 惑星探査機「はやぶさ」の成果」,@宇宙科学研究所 2011 年 8 月 23 日 東京都大田区理科教員研修講演会 理科の観察・実験研修講座,「小惑星探査機「はやぶさ」 によるイトカワ探査」,@宇宙科学研究所 2011 年 10 月 17 日 青稜中学校講演会,「奇跡の生還 「はやぶさ」から学ぶこと」,@青稜中学校アリーナ 2011 年 10 月 27 日 日高市高麗小学校講演,「翔ぶ(と ぶ),気球と宇宙」,@高麗小学校 2011 年 10 月 29 日 宇宙学校えひめ,「小惑星探査機 「はやぶさ」が目指したもの」,@愛媛県総合科学博物館 2011 年 11 月 7 日 平成 23 年度熊本中央信交会特別講 演,「小惑星探査機はやぶさ」,@熊本全日空ホテル 2011 年 11 月 11 日 天理小学校教育講演,「はやぶさ くんのうちゅうりょこう」,@天理小学校講堂 2011 年 11 月 19 日 第 4 回サイエンス・カフェ鳥取 2011,「小惑星探査機「はやぶさ」の成果とこれからの 小惑星探査」,@カフェ・ソース 2011 年 11 月 26 日 スペースミュージアム,「小惑星 探査機「はやぶさ」の技術とその成果」,@アジア太平洋 トレードセンタ 2011 年 11 月 30 日 シスメックス㈱特別講演,「宇宙 開発の現場」,@シスメックス㈱ソリューションセンタ 2011 年 12 月 6 日 厚木市立東名厚木中学校授業理科 単元宇宙,「宇宙を科学しよう」,@東名厚木中学校

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2012 年 1 月 10 日 浦安市立東野小学校講演,「宇宙開 発の歴史と今後」,@東野小学校 2012 年1月 16 日 長野市中条地区教育講演会,「はや ぶさくんのうちゅうりょこう」,@中条公民館 2012 年 1 月 18 日 株式会社山武特別講演会,「奇跡の 生還「はやぶさ」を支えた技術」,@山武藤沢テクノセンタ 2012 年 1 月 21 日 川崎市立有馬中学校区地域教育講 演会,「はやぶさ奇跡の帰還」,@川崎市有馬・野川生涯 学習支援施設 2012 年 2 月 4 日 奈良学園平成 23 年度第 2 回 P サイ エンス教室,「小惑星探査機「はやぶさ」の冒険」,@奈 良学園小学校 P 体育館 2012 年 2 月 18 日 新潟市小児科医年会特別講演会, 「宇宙開発と医療現場について」,@チサンホテルコンフ ァレンスセンタ新潟

d. 大気球実験室

吉田哲也 松坂幸彦 斎藤芳隆 井筒直樹 福家英之 加藤洋一 飯嶋一征 梯 友哉 田村啓輔 佐藤崇俊 莊司泰弘 鳥海道彦 山田和彦 1. は じ め に 大気球実験室では,大気球を用いた宇宙科学実験の実施 および大気球の飛翔運用にかかる機器の開発を行っている. 大気球による宇宙科学実験は,昭和 41(1966)年に東 京大学宇宙航空研究所に気球工学部門が設立され,ロケ ット,人工衛星と並ぶ飛翔体の研究として活動を開始し, 昭和 56(1981)年の宇宙科学研究所への改組,平成 15 (2003)年の宇宙航空研究開発機構への統合後も活動を 継続している. 茨城県大洋村,福島県原ノ町,そして 30 余年の間に 約 400 機を放球した岩手県気仙郡三陸町(現 岩手県大 船渡市三陸町)の三陸大気球観測所を経て,現在は北海 道大樹町多目的航空公園内の連携協力拠点大樹航空宇宙 実験場において大気球実験を行っている.また,海外に おいてもアメリカ,インド,オーストラリア,インドネ シア,ブラジル,ノルウェー,カナダ,ロシア等での海 外気球実験を併せて推進してきた. 2. 平成 23 年度大気球実験(国内) 平成 22 年度の大気球研究委員会において,国内気球実 験として,理学観測 3 実験,工学実証 2 実験が採択され, 大気球実験室による開発研究のための飛翔性能試験 2 実 験と併せて,合計 7 実験が計画された.東日本大震災によ る影響は大気球実験の実施計画にもおよび,大学の入構制 限により実験準備が遅れ,また海上回収用船舶,支援航 空機のスケジュールが震災対応のため見通し困難になる など,一時は実施が危ぶまれた.結局予定していた実験 の一部を第二次気球実験に延期し,実験期間を短縮する ことで,5 月 25 日から連携協力拠点大樹航空宇宙実験場 において第一次気球実験を実施することができた. 第二次気球実験は,8 月 15 日から連携協力拠点大樹航 空宇宙実験場において実施された.当初予定した 5 実験 のうち 2 実験については,準備の遅れ等により事前に実 験実施を見送ることとなった.準備を開始した 15 日を 除き北海道にはないはずの梅雨空が続き,さらにジェッ ト気流が日本上空に南下せずに高度 15km 程度までの風 がそろって北寄りとなることが多く,短時間の気球飛翔 でさえ実施できない日々が続くこととなった.8 月 18 日 には,研究者の方々により敷居の低い大気球実験となる よう開発した新テレメトリコマンドシステムの飛翔性能 試験の準備を整えたが,飛翔機会に恵まれないまま,水 平飛翔する高度 27km 程度の高層風が季節変化のため実 験実施に適さなくなり今季の実施を見送った.平成 23 年度に実施した気球実験の飛翔概要を第 1 表に示す. なお本年度より,各種科学衛星プロジェクトや小型飛 翔体実験に対する共通的支援を行う部署として宇宙科学 プログラム・オフィスが宇宙科学研究所に設置された. 大気球実験実施に至るさまざまな支援に加えて,実験実 施に際しては実験総務を担っていただくこととなった. これを機に宇宙科学研究所内や関連部局の若手職員が大 気球実験に総務班員として参加している.昨年度から開 始した JAXA 全体の若手職員を対象とした現場研修と併 せて,宇宙科学実験の現場を体験する貴重な機会として 有効に活用していきたい.

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表 1 平成 23 年度大気球実験飛翔概要 放球日時 実験番号 目的 高度 飛翔時間 第一次気球 実験 6月 1 日 BS11-02 超小型タンデム気球システムの飛翔性能試験 22.0 km 3時間 54 分 6月 8 日 B11-02 エマルションハイブリッド望遠鏡による宇宙ガンマ線観測 34.7 km 4時間 19 分 第二次気球 実験 8月 30 日 B11-04 小型実験用再突入システム大気球落下実験 37.0 km 3時間 04 分 9月 14 日 BS11-06 超薄膜高高度気球飛翔性能試験 14.7 km 3時間 58 分 B11-05 新テレメトリコマンドシステム性能評価 気象条件が適さず見送り B11-01 気球搭載望遠鏡による惑星大気観測 実験準備が遅延し見送り B11-03 宇宙線反粒子検出器 GAPS のプロトタイプ性能評価 実験準備が遅延し見送り 2.1 BS11-02 超小型タンデム気球システムの飛翔性 能試験 6 月 1 日に,長時間飛翔が可能な飛翔体である,スー パープレッシャー気球とゼロプレッシャー気球を組み合 わせたタンデム気球の研究の第一歩として,ゴム気球と 満膨張体積 10m3のスーパープレッシャー気球からなる 超小型タンデム気球の飛翔性能試験を実施した.本実験 では日昇前後での気球ガス温度の変化による気球高度の 変動の測定を目的としたため,日出前に気球を一旦水平 浮遊させることを目的として,大樹航空宇宙実験場では 初めての試みとして未明の放球を行った.午前 1 時 23 分に放球された気球は日の出を越えて飛翔し,低温の飛 翔環境におけるスーパープレッシャー気球の耐圧性能を 確認することはできなかったものの,日昇前後でのスー パープレッシャー気球の温度変化の計測により,昼夜の ガス温度の変化に起因する耐圧性能要求を定量化が可能 となった. 2.2 B11-02 エマルションハイブリッド望遠鏡による 宇宙ガンマ線観測 6 月 8 日に,原子核乾板(エマルション)を使用した観 測器によって,宇宙から飛来するガンマ線をとらえること を目的としたエマルションハイブリッド望遠鏡による宇 宙ガンマ線観測実験を実施した.ガンマ線が発生する電子 陽電子対の飛跡を顕微鏡で測定することで,もともとのガ ンマ線の到来方向を高精度で把握し,細密な宇宙のガンマ 線像をとらえる実験である.午前 5 時 04 分に放球された 満膨張体積 10 万 m3の気球によって高度 34.7 km を 1 時間 強飛翔した望遠鏡プロトタイプ 1 号機に搭載されたエマ ルションは,実験実施後に損傷なく回収された. 本気球飛翔では,ピギーバックとして 10 台の小型ハ イビジョンカメラをペイロード各所に装着し,成層圏の ハイビジョンパノラマ撮影を行った.これは,大気球実 験の実施申込がなされた超高層大気圏撮影計画と全方位 カメラによる臨場感画像転送技術実証計画の 2 提案を, 大気球実験が仲介して一つの計画として取り纏め実施に 至ったものである.撮影されたハイビジョンパノラマ映 像は,NHK の番組中で放映された. 図 1 BS11-02 の放球 表 2 BS11-02 実験概要 放球日時 6月 1 日 1 時 23 分 気球 ゴム気球 2 機,SPB 満膨張体積 10 m3 飛翔高度 22.0 km 飛翔時間 3時間 54 分 担当機関 宇宙航空研究開発機構 表 3 B11-02 実験概要 放球日時 6月 8 日 5 時 04 分 気球満膨張体積 100,000 m3 飛翔高度 34.7 km 飛翔時間 4時間 19 分 担当機関 神戸大学など 図 2 B11-02 の放球

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2.3 B11-04 小型実験用再突入システム大気球落下実験 8 月 30 日に,宇宙からの回収機においてよく用いられ る形状であるアポロ型の回収機体の遷音速域での動的不 安定性の挙動についての基礎的なデータを収集するとと もに,それをリアクションコントロールジェットにより 制御することを目指した小型実験用再突入システムの落 下実験を実施できた.午前 4 時 40 分に放球され午前 7 時過ぎに高度 37km に到達した満膨張体積 10 万 m3の気 球から投下されたアポロ型カプセルの供試体は,自由落 下を利用して予定どおりに飛行し,機体姿勢および運動 に関わるデータをテレメトリで取得することに成功し た.残念ながら海上に緩降下後のカプセルは回収されな かったが,取得されたデータを解析することにより,基 本的挙動の理解とともに動的不安定時における姿勢制御 の理解を深めていく予定である. 2.4 BS11-06 超薄膜高高度気球飛翔性能試験 9 月 14 日に,中間圏下部での「長時間その場観測」の 実現を目指した超薄膜高高度気球の飛翔性能試験を実施 した.気球用フィルムとして世界で最も薄い厚さ 2.8µm のポリエチレンフィルムを用いて製作された満膨張体積 8万 m3の気球は,午前 6 時 12 分に実験場から放球され たが,高度 14.7km に達した時点で浮力を失い緩降下を始 めた.その後,気球は所定の降下速度に達せず,降下予定 区域を逸脱した.これらの不具合については原因を究明し て今後の気球実験の開発・運用に役立てる所存である. 3. 国際協力 日本の大気球実験の特徴のひとつである海上回収につ いて,仏 CNES よりフランス大西洋岸での海上回収実現 に向けた協力を要請され,協力覚書を締結した.第二次 気球実験には CNES の海上回収担当者ら 4 名が見学に訪 れ,実際に海上回収がどのように行われるかを体験した. また,Swedish Space Cooperation や CNES,NASA な どの気球飛翔を利用した国際共同実験が数多く計画され ており,これらの計画への適切なサポートを続けている. さらに,現在国内実験では実施が困難な長時間気球実験 を実現するために,これまでのブラジルでの気球実験に 加えてオーストラリアでの長時間実験などさまざまな国 外実験機会を模索している. 4. 赤道域の外洋上での大気球実験 赤道域成層圏大気の直接採取による温室効果気体の観 測実験を初めて平成 24 年 2 月に実施した.実験方法は, 赤道域を航行する海洋研究開発機構の学術研究船「白鳳 丸」から気球搭載型の小型クライオサンプリング装置を 放球する方法とした.白鳳丸の甲板上の限られた面積か ら限られた人員で満膨張体積 2,000m3と 5,000m3の大気 球を放球するため,従来の立て上げ放球法をベースに新 たな放球法を開発した.開発した放球法は,平成 23 年 9 月に連携協力拠点大樹航空宇宙実験場にて実施した放球 のリハーサルによって有効性を確認した. 表 4 B11-04 実験概要 放球日 8月 30 日 4 時 40 分 気球満膨張体積 100,000 m3 飛翔高度 37.0 km 飛翔時間 3時間 04 分 担当機関 東京大学など 図 3 B11-04 の放球 表 5 BS11-06 実験概要 放球日 9月 14 日 6 時 12 分 気球満膨張体積 80,000 m3 飛翔高度 14.7 km 飛翔時間 3時間 58 分 担当機関 宇宙航空研究開発機構 図 4 白鳳丸からの放球

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実験は平成 24 年 2 月 4 日から 8 日にかけて実施した. 計画どおり 4 機の大気球を放球し,いずれのフライトで も,上空でのサンプリング後,着水した観測器を白鳳丸 によって予定通り回収した.取得したサンプルは日本に 持ち帰り,現在,大気中の各成分の分析を進めている. 5. 研究開発 5.1 新通信システムの開発 以前より進めていた気球搭載用新型テレメトリコマン ドシステムの開発を推進した.この新通信システムは,複 数の基本モジュールから構成される.メインシステムモジ ュールは気球側のテレメトリの生成,コマンド動作,GPS 受信,ユーザー側のテレメトリの受取,及びコマンド配信 を行う.PI インターフェースモジュールは気球側とユー ザー(PI)側のテレメトリコマンドのインターフェースと なるモジュールであり,インターフェース規格としてシリ アル通信(RS-232C)を採用・統一化することによってユ ーザーの搭載機器開発を容易にすると共にシステムの小 型化・軽量化を図っている.このほかディスクリートコマ ンドモジュールやリセットコマンドモジュールも開発した. これら開発した各モジュールは,平成 24 年度の気球 実験からの運用を予定している. 5.2 気球搭載型イリジウムブイの開発 海上に着水した観測器の測位精度向上と通信頻度増加 による運用性の向上を目的として,GPS による測位情報 をイリジウム通信衛星を通じて回収管制に通報するブイ の開発を行っている. 平成 22 年度までに飛翔環境試験を完了した気球搭載用 ブイの試作機は,平成 23 年度に 2 回の飛翔・回収運用に供 され,共に正常な動作が行われた.この結果により,濃霧 など悪条件下においても,海上の観測器の位置を正確に知 ることができ,迅速な回収を行うための技術が確立された. また,さらなる運用性の向上を目指して,従来測位ブ イとは別に観測器に取り付けられていた点滅閃光灯を気 球搭載型イリジウムブイに内蔵する改修を実施した. 今後は台数を増やし運用体制を整備すると共に,より多 彩な気球実験に対応できるよう,技術的な検討を進める. 5.3 ゴンドラ方向制御システムの研究 ゴンドラの方向制御は,従来から天体の観測を行うゴ ンドラに搭載されてきたほか,近年では大気球による工 学実験等でも必要とされることがあり,数度程度の精度 でのゴンドラ方位角制御に対する必要性がある.大気球 実験に供されるゴンドラはその目的に応じて多様であ り,また要求される気球の飛翔様態も多岐にわたる.こ のため,ゴンドラの方向制御システムの構築はユーザー によって行われる一方,特に新規のユーザーにとって必 ずしも専門ではない制御システムの構築は負担となり得 ることから,新規に開発する際の参考となるゴンドラ方 向制御システムのガイドラインの提言を目指している. 平成 23 年度は気球とゴンドラを結合する吊り紐,パラ シュートの動力学特性の測定手法について検討を行い,実 際のフライトに供される物と同等の素材を使用して地上 実験を行った.ユーザーが個々のゴンドラに応じたシステ ムを製作するベースとなるような方向制御システムの構 成要素や制御アルゴリズム等について,2~3 年程度以内 にとりまとめることを目標に検討を行っていく. 6. ま と め 大樹航空宇宙実験場での大気球飛翔運用はほぼ確立 し,工学実証試験や理学観測機器性能試験への飛翔機会 提供という役割を果たせるようになった.しかし,気象 条件の制約は厳しく依然飛翔機会の確保が不十分な状態 が続いている.本年度は気球搭載型イリジウムブイの装 備などにより海上回収に係る気象条件の緩和を図った が,今後もこうした努力を続けていきたい.また,長時 間理学観測などの要求に応えるために,国外実験機会の 拡充も模索していく所存である. こうした取り組みを推進するためにも,ぜひ大気球実 験で「見える」科学成果を発信し続け,一歩ずつ積み重 ねた成果が社会から認知されることで,さまざまな関係 者の方から今後も大気球実験へのご支援をいただけるよ う取り組む所存である. 表 6 赤道域の外洋上での大気球実験概要 放球日 飛翔域 気球満膨張体積 サンプリング高度 2月 4 日 0°N, 105°W 2,000 m3 19 – 22 km 2月 5 日 0°N, 109°W 5,000 m3 27 – 30 km 2月 7 日 0°N, 115°W 5,000 m3 26.5 – 30 km 2月 8 月 0°S, 115°W 2,000 m3 23 – 26 km 使用船 海洋研究開発機構「白鳳丸」,国際総トン数 3991 トン 担当機関 東北大学,極地研究所,宇宙航空研究開発機構など 図 5 気球搭載用テレメトリコマンドシステムモジュール 図 6 気球搭載型イリジウムブイ

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e. 観測ロケット実験室

職員:石井信明(室長)吉田裕二(副室長)餅原義孝(管制)太刀川純孝(管制)大嶋 勉(管制)竹前俊昭(点火管 制)下瀬 滋(ロケット&ランチャ)荒川 聡(ロケット&ランチャ)岡崎 峻(ロケット&ランチャ) 河野太郎(ロケット&ランチャ)岩田直子(ロケット&ランチャ)鈴木直洋(ロケット&ランチャ)羽生宏人(推 進)竹内伸介(構造)峯杉賢治(構造)佐藤英一(材料)志田真樹(推進)中塚潤一(推進)勝身俊之(推進) 徳留真一郎(推進)成田伸一郎(制御)坂井智彦(テレメータ)関 妙子(テレメータ, 研開本部通信G) 岡田尚基(テレメータ)加藤輝雄(テレメータ)川原康介(レーダ)鎌田幸男(レーダ)平原大地(レーダ) 水野貴秀(レーダ, GPS)小林雄太(レーダ)鵜野将年(電源)久木田明夫(電源)高橋 優(電源)富沢利夫 (計測)山本高行(飛行解析)野中 聡(飛行解析)廣瀬史子(飛行解析)長谷川晃子(飛行解析)前田行雄(飛 行解析)小川博之(飛行安全)入門朋子(飛行安全, JEDI)伊藤 隆(飛行安全)清水成人(飛行安全) 吉山京子(記録)小野 縁(記録)周東三和子(記録)杉山吉昭(記録)阿部琢美(観測)松岡彩子(観測) 加藤 學(気象)中村正人(気象)田中孝治(GPS)稲富裕光(材料)殿河内啓史(総務)大嶋亮太(総務) 栗山悦宏(総務)稲谷芳文(PO) 他大学院生・学生:高橋隆男 菅井正敏 他本部 JAXA 職員:日高正規 豊留法文 田元光彦 久保田 積 感應寺治城 中野二四三 下村和隆 白坂友三 井手郁夫 笠木幸子 永楽美和子 1. 概要 衛星や探査機に比べて機動的で迅速な飛翔実験機会の 提供ができる長所を活かし,年数機程度の打上げ機会を用 いて,高層大気物理,地球環境,宇宙プラズマ物理学,宇 宙天文学などの観測研究を行い,併せて飛翔手段の洗練及 び飛翔機会を利用した機器の性能実証や飛翔体システム 研究などの宇宙飛翔体に関する実験的工学研究を行う. 2. 平成 23 年度の活動概要 2.1 観測ロケット S-310-40 号機の打上げ ラジオ放送等で使われている中波帯電波の異常伝搬を 引き起こす高密度プラズマ領域の発生メカニズムを解明 することを目的として,S-310-40 号機を平成 23 年 12 月 19 日に内之浦宇宙空間観測所から打上げた.本実験で は,地上観測により,ロケット飛行経路に高密度プラズ マ層が発生していることを確認した後,ロケットを打上 げ,地上局から送信された中波帯電波をロケット搭載機 器で受信し,電離圏下部領域(高度 100km 付近)の電子 密度や電子温度の空間分布を計測した. ロケットの飛行及び機器の動作は全て正常で,発射後 60秒に開頭,測定器プローブをタイマ信号により伸展し 観測を開始,210 秒後に最高高度 180km に達した後,下 降時の観測を行い,海上に落下した. ロケット上昇時及び下降時において,高度 103km 付近 に 1600cm-3を超える高電子密度層が観測された.この密 度の層は周波数 300~900kHz の電波を反射し,中波帯電 波の異常伝搬を引き起こすものであり,本ロケット実験 によって,高電子密度層の直接観測に成功した. 2.2 観測ロケット S-520-26 号機の打上げ 熱圏下部(高度 80~300km)における中性大気と電離 大気(プラズマ)との運動を観測し,両者の結合過程メカ ニズムを解明することを目的として,S-520-26 号機を平成 24年 1 月 12 日に内之浦宇宙空間観測所から打上げた. ロケットの飛行及びシーケンスは正常で発射後 56 秒 に開頭,測定器プローブを伸展し観測を開始,278 秒後 に最高高度 298km に達した後,リチウム放出器に点火, リチウムガスを噴出した後,海上に落下した. リチウムガスは予定よりも低高度で放出されたもよう であるが時々刻々の速度シアーを含む貴重なデータを取 得することができた.また,イオン質量エネルギー分析 器では期待された速度データは得られなかったが,他の 測定器から得られた観測データ等を用いた総合的な解析 により,超高層における中性大気とプラズマ大気のエネ ルギー交換を含む物理過程の解明が進められている. 2.3 観測ロケット S-310-41 号機の開発 将来の惑星大気突入システムにおける高高度領域にお ける効率的な減速と空力加熱低減を目的として,小型イ ンフレータブルカプセルの飛行実験を計画している.小 型カプセルにはガス圧により膨張する直径 1.2m のトー ラス状エアロシェルが搭載されている.このエアロシェ ルは,打上げ時には小さく収納され,大気圏外に出た所 で膨張,カプセル断面積を広げることができる.これに よって,空気抵抗を増大し,大気密度が小さい高高度領 域からの効率的な減速を行うことが可能となる. 現在 S-310-41 号機の打上げは,平成 24 年夏を予定し ている.

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f. ISS 科学プロジェクト室

網野真樹 荒井康智 板本康治 岩田芳隆 上野史郎 大森克徳 菊池健一 菊池政雄 木下恭一 栗本 卓 小浜光洋 駒崎雅人 阪田薫穂 佐野琢己 高柳昌弘 田﨑 彩 寺田昌弘 東辻浩夫 冨田 洋 夏井坂誠 七尾 進 西堀俊幸 Paradis Paul F 東端 晃 M.S.Vijaya Kumar 福中康博 藤井清澄 松本 聡 眞子直弘 溝渕智子 宮崎吉宣 吉崎 泉 余野建定(以上 専任者) 阿部琢美 足立 聡 石岡憲昭 石川毅彦 稲富裕光 岡田純平 黒谷明美 鈴木 睦 永松愛子 橋本博文 藤本信義 山﨑 敦 山下雅道 依田眞一(以上,併任者) 1. はじめに ISS 科学プロジェクト室では,微小重力環境などの宇 宙環境を利用した宇宙科学研究ミッションを実施してい る.国際宇宙ステーション・日本実験棟(以下,ISS・き ぼう)のほか,航空機,落下棟,小型ロケット,回収衛 星などの実験機会を利用した宇宙実験・観測を計画・推 進しており,研究分野は,生命科学・物質科学・基礎科 学・地球大気観測・天体観測など多岐に渡る.平成 23 年度の活動の概略を,前後の年度の実績・予定と併せ, 図1に示す. 図1 ISS 科学プロジェクト室の活動概要

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ISS・きぼう船内実験室利用;生命科学分野では,植物 学研究分野 1 テーマ,物質科学分野では流体科学研究 2 テーマの ISS・きぼう船内実験室利用の宇宙実験を実施 した.また,基礎科学分野では,国際協力による露モジュ ール利用のテーマ(ダストプラズマ実験)の 6 回目の実験 を実施した.その他,これまでに実施した宇宙実験の飛行 後解析を実施,また,供試体開発など,平成 24 年度以降 に実施するテーマの準備を行っている.結晶成長実験テ ーマである Alloy Semiconductor は,供試体開発および打 上げを完了し,また,Nano Step は,平成 24 年 7 月の HTV#3での打上げに向けて,供試体開発を完了した. ISS・きぼう船外実験プラットフォーム利用;MAXI は, 引き続き順調な観測運用を継続し,大きな成果を上げて いる.とりわけ,平成 23 年 3 月の,Swift(米国の X 線 観測衛星)との連携観測による恒星のブラックホールに よる潮汐破壊の瞬間を捉えた現象の発見は,同年 8 月, Nature誌に掲載されるなど,高い評価を得た.MAXI は, 観測運用開始から3年半を経過した平成 24 年 3 月に定 常運用段階を終了,後期運用段階に移行したが,観測装 置は完調であり,定常運用に比して大きく運用リソース を減ずることなく,観測を継続している.SMILES は, 後期運用を継続実施し,機械式冷凍機に関する技術デー タ取得を行った.また,観測運用で得られたデータを利 用した地球大気科学研究を推進するため,レベル 2 処理 研究を進め,3 月に研究コミュニティに対し,第 1 版の データ公開を行った.船外実験プラットフォーム第 2 期 利用装置であるポート共有実験装置の 5 つの構成ミッシ ョンの内の 2 件,IMAP 及び GLIMS は,何れも地球超高 層大気観測ミッションである.平成 24 年 7 月の HTV#3 による打上げを目指して,12 月に開発を完了,その後, ポート共有実験装置への引渡し,射場インテグレーショ ンを行った. ISS 科学プロジェクト室では,以上の ISS・きぼう利用 以外に,3.3 項,3.4 項および 5 項に示すように,国際協 力による実験機会の確保を行い,これらの宇宙実験ミッ ションを推進している. 12 月には,これまで実施した宇宙実験の内,軌道上実 験実施後,概ね1年を経た5テーマ(Rad Silk,SERISE, MyoLab,Facet および PHOENIX)を対象に,科学的成 果を国内研究者間で討論する公開の報告会を開催し,併 せて,これら宇宙実験成果の,宇宙環境利用科学委員会 をコアとするコミュニティ研究者による評価を受けた. また,年度末には,供試体開発/実験準備中,宇宙実験実 施中,実施済み/飛行後解析中を含め,開発着手段階以降 の全てのテーマについて,例年通り,宇宙環境利用科学 委員会による年次評価を受けた.これについては,本書 Ⅱ. 7.平成 23 年度委員会評価結果に詳述されている. 以下の各項に,ISS 科学プロジェクト室が推進する宇 宙実験ミッションの詳細を述べる. 2. 生命科学分野 2.1 放射線生物研究プロジェクト ヒトが長期にわたって宇宙に滞在するためには,放射 線のリスクを正しく評価することが不可欠である.今後 の宇宙利用発展に向けた基盤的有人技術開発への貢献や 新しい科学的知見の獲得を目指した課題を実施してい る.本年度1テーマ「カイコ生体反応による長期宇宙放 射線曝露の総合的影響評価(Rad Silk)」につき最終評価 を行った. 2.2 植物生理研究プロジェクト 植物の細胞壁強度と重力の関係を調べる「重力による イ ネ 芽 生 え 細 胞 壁 の フ ェ ル ラ 酸 形 成 の 制 御 機 構 (Ferulate)」について,昨年度 ISS・きぼう内部での実験 を完了し,今年度はその飛行後解析として,細胞壁構成 要素の定量および細胞壁合成遺伝子のリアルタイム PCR,DNA マイクロアレイを実施した.また,水分屈性 による根の伸長方向制御機構を調べる「微小重力下にお け る 根 の 水 分 屈 性 と オ ー キ シ ン 制 御 遺 伝 子 の 発 現 (Hydro Tropi)」(図 2.2)についても,昨年度 ISS・きぼ う内部での実験を完了し,今年度は回収した植物試料(キ ュウリ)における植物ホルモン(オーキシン)制御遺伝 子の局在について蛍光イメージングや分子生物学的な手 法を用いて解析を進めた. 植物が外部環境に対して応答・適応するときに働くオ ーキシンの微小重力下での輸送機構を調べる「植物の重 力依存的成長制御を担うオーキシン排出キャリア動態の 解析(CsPINs)」の宇宙実験を実施し,蛍光イメージン グや分子生物学的な手法により解析を進めた.また, 2012年度に宇宙実験の実施を予定している「植物の抗重 力反応機構-シグナル変換・伝達から応答まで(Resist Tubule)」について実施の準備をすすめ,2014 年度以降 に実施を予定している「宇宙環境を利用した植物の重力 応 答 反 応 機 構 お よ び 姿 勢 制 御 機 構 の 解 析 ( Auxin Transport)」の予備実験を行っている. 2.3 細胞生物学研究プロジェクト 微小重力環境が及ぼす生体への影響について,細胞や 個体レベルでの重力応答感受機構のメカニズムの解明を 中心に,宇宙実験実現に向けたタンパク質レベルでの網

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羅的な解析の予備実験を進めている.特に過去の宇宙実 験で観察されている筋萎縮に関する新規メカニズムにつ いて詳細な研究を行い,宇宙飛行における筋萎縮対策の ための新たな知見を得ることを目標としている.本年度, 「線虫 C. elegans を用いた宇宙環境における RNAi とタン パク質リン酸(CERISE)」,「タンパク質ユビキチンリガ ーゼ Cbl-b を介した筋萎縮の新規メカニズム(Myo Lab)」 の 2 テーマの宇宙実験につき,最終評価を行った. 3. 物質科学・基礎科学分野 3.1 流体科学研究プロジェクト 流体科学では,液柱マランゴニ対流現象および沸騰二 相流現象に関する研究を行っている.マランゴニ対流研 究については,「マランゴニ対流におけるカオス・乱流と その遷移過程(MEIS-3)」のテーマが ISS・きぼうの微小 重力環境を利用した宇宙実験として実施され,液柱形状 や温度条件を様々に変化させた実験条件下で高精度なデ ータの取得に成功している.一方,沸騰二相流研究につ いては ISS・きぼうでの宇宙実験に向けて,実験装置を 開発段階にある.平成 23 年度は基本設計を行い,基本 設計審査を経て詳細設計フェーズに移行した. マランゴニ対流宇宙実験では,国際宇宙ステーション (ISS)での長時間微小重力環境を最大限に活用しながら, 地上では実現不可能なサイズ(直径 30mm,最大長さ 62. 5mm)の液柱を形成し(図 3.1-1),流れ場,温度場の観 測を実施した. 平成 23 年の実験により得られた主な成果は以下である. (1)振動流が開始する臨界マランゴニ数が寸法依存性を 持つというパラドックスとして論争があったが,ISS の長時間微小重力環境を活用し,熱拡散に必要な待 ち時間を十分にとり繰り返し実験を行うことで,過 去の宇宙実験結果は3倍以上大きな値であることを 明らかにし,論争に終止符を打つことができた. (2)厳密な液柱寸法依存性については,理論解析との比 較検討中であるものの,流動状態にある液柱内の温 度勾配が高プラントル数液体では非線形になるた め,それを考慮した代表長を用いれば矛盾無く整理 できることを示しつつある. (3)大型液柱における粒子集合構造(PAS:Particle Accumulation Structure)の観測に世界で初めて成功 した(図 3.1-2).PAS とは,流れの観察のために混 ぜた微小粒子が,ある条件下で自発的に整列する現 象であり,これまで小さな液柱(直径 5mm 程度) でのみ見られた現象である.今回,観測に成功した のは,直径 30mm の大径液柱であり,かつ比較的温 度差の小さい領域で発生した点が新たな点である. (4)液柱マランゴニ対流におけるカオス・乱流遷移を捉 えた.地上実験においてもカオス流,乱流の観察を 行ってきたが,宇宙実験では,地上では実施不可能 な「大きな液柱」かつ「高粘性(高プラントル数)」 での遷移を捉えた.大きな液柱での観測により,地 上実験では分かりにくい液柱表面の温度波伝搬の様 子も取得でき,乱雑さの発達過程が得られた. 3.2 結晶成長研究プロジェクト 微小重力を利用した結晶成長メカニズムの解明を行う ために,以下の 5 つの宇宙実験テーマについて,実験計 画の作成,実験装置の開発,宇宙実験準備,実験後解析 などの研究開発を行った. ・ 氷結晶成長におけるパターン形成(Ice Crystal) ・ ファセット的セル状結晶成長機構の研究(Facet) ・ 微小重力における溶液からのタンパク質結晶の成長 機構と完全性に関するその場観察による研究(Nano Step) ・ 微小重力下における TLZ 法による均一組成 SiGe 結 晶育成の研究(Hicari) ・ 微小重力環境下における混晶半導体結晶成長(Alloy Semiconductor) 図 3.1-1 ISS・きぼう内で形成した液柱 (1)通常の粒子分散状態 (2)粒子集合状態 図 3.1-2 粒子集合現象

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この中で Ice Crystal は宇宙実験を実施済みで,昨年度 に引き続き解析や論文発表などを行った.Facet は宇宙 実験を実施済みで,昨年度に引き続き解析を行った結果, 界面のブレークダウンはカイネティクス過冷度が最大の 位置で発生することを明らかにした.Nano Step はタン パク質結晶表面を干渉計で観察することにより,結晶成 長条件によってその成長速度,表面の状態や結晶の品質 がどう変わるかを詳しく調べる実験である.Nano Step については,24 年度の HTV3 号機での打ち上げに向けて 実験機器の機能試験・安全性実証試験などを行うととも に,試料の準備や地上実験データの取得などを行った. Hicari については,使用する温度勾配炉の軌道上チェッ クアウトを一部実施した.24 年度後半には Hicari 実験条 件でのチェックアウトを実施予定であり,炉の性能確認 後に温度調整用に実試料の SiGe 入りカートリッジで結 晶成長実験を開始する.Alloy Semiconductor は 3 元系化 合物半導体である InGaSb の結晶成長過程を明らかにす る研究である.Alloy Semiconductor は Hicari に引き続い ての軌道上実験が予定されており,23 年度は供試体カー トリッジの打ち上げが完了し,地上試験として温度勾配 炉を用いた結晶成長実験および育成した結晶の解析等を 行った. 3.3 燃焼科学研究プロジェクト 微小重力環境を利用した燃焼メカニズム解明を行うた めの以下の 3 つの宇宙実験テーマについて,実験計画の 作成,実験装置の開発,実験結果の解析などの研究開発 を行った. ① ランダム分散液滴群の燃え広がりと群燃焼発現メカ ニズムの解明(Group Combustion):実験計画の詳細 化,要素試作試験,供試体の基本設計 ② 宇宙火災安全性評価の基礎となる重力条件による固 体材料燃焼性変化の定量的把握(Solid Combustion): 実験計画の詳細化,供試体の概念設計,要素試作試 験 ③ 高温下における部分予蒸発が液滴列燃焼と窒素酸化 物生成に及ぼす影響に関する研究(PHOENIX):実 験結果に関する論文投稿準備中 2009 年に小型ロケット TEXUS46 号機により実施し た , ESA と の 協 力 に よ る 日 欧 共 同 実 験 と し て の PHOENIX については,実験成果に関する成果報告を行 うとともに科学評価を受けた.また,ISS・きぼうで行わ れる最初の燃焼実験になる燃料液滴群の燃焼実験 Group Combustion については,23 年度にプロジェクト移行す るとともに,ISS・きぼう多目的実験ラックに搭載する実 験供試体の基本設計を進めた.23 年度末には基本設計審 査(PDR)を終え,現在は供試体エンジニアリングモデ ル(EM)の製作および詳細設計を実施中である.ISS・ きぼうで実施する固体燃焼実験 Solid Combustion につい ては,実験要求の詳細化を踏まえ本格的な供試体の概念 設計に着手した. 3.4 ダストプラズマ研究プロジェクト ロシア,ドイツを中心とする国際研究チームに参加し, ISSに搭載・運用中のダストプラズマ実験装置 PK-3 Plus を用いた共同研究ミッションを行っている.ダストプラ ズマとは,イオン,電子,微粒子から成り,全体で電気 的に中性となっている状態である.日本からは,JAXA 宇宙科学研究所,岡山大学,京都工芸繊維大学が参加し, 主として荷電粒子系における臨界点の研究を進めてい る.PK-3 Plus の概観を図 3.4-1 に示す.上下 2 枚の高周 波電極によりプラズマを生成した後,ソレノイド駆動の 篩により粒子をプラズマ中に投入する.高周波の最大電 力は 4 W で,生成可能な最大電子密度は,地上実験の結 果から 4~5�108cm–3程度と推測される.微小重力下で観 察されるダストプラズマの例を図 3.4-2 に示す.白い輝 点は投入した粒子である.図の中央付近に粒子の存在し ない領域があることが分かる.この領域はボイドと呼ば れ,微小重力実験において解決すべき課題の一つである. 平成 23 年度における本研究プロジェクトの年度目標は, 平成 23 年 1 月に実施され,同年 5 月にデータ回収され た微小重力実験結果の解析を行うこと,およびこれまで の微小重力実験の結果をまとめ,成果の公表に注力する ことである.データ解析では,推測されるプラズマパラ メータから臨界点の相図上における位置の推定,および より臨界点に近づくための実験条件の検討,粒子の三次 元座標から構造因子を求め,波数が 0 付近における構造 因子の振る舞いと密度搖動の増加率との相関を明らかに することを目指す.これらのうち,相図上における位置 については,これまでの研究により概ね手法が確立され 図 3.2-1 Nano Step 実験供試体の内部

(a)෭༷㏿ᗘ 0.5K/minࠊ ᗘ໙㓄 7K/mm (b)෭༷㏿ᗘ 2K/minࠊ ᗘ໙㓄 7K/mm

表 1  平成 23 年度大気球実験飛翔概要  放球日時  実験番号  目的  高度  飛翔時間  第一次気球 実験  6 月 1 日  BS11-02  超小型タンデム気球システムの飛翔性能試験  22.0 km 3 時間 54 分  6 月 8 日  B11-02  エマルションハイブリッド望遠鏡による宇宙ガンマ線観測  34.7 km 4 時間 19 分  第二次気球 実験  8 月 30 日  B11-04  小型実験用再突入システム大気球落下実験  37.0 km 3 時間 04 分 9月 14
図 2.2  ISS・きぼう内部での Hydro Tropi 水分屈性実験
図 3.2-2  Facet  「SCOF」で得られたその場観察画像

参照

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