※P333,P348,IP017は欠番になります
ポスターセッション
Poster Session
10月21日(金) 12:00
▼
P001∼P193,P357
22日(土) 13:30
ポスターセッションの質疑応答は,10月22日(土)の12:30∼13:30の間に行います。10月22日(土) 15:00
▼
P194∼P356,P358,P359
23日(日) 16:30
ポスターセッションの質疑応答は,10月23日(日)の12:30∼13:30の間に行います。10月21日(金) 12:00
▼
IP001∼IP036
IDEA001∼IDEA003
23日(日) 16:30
ポスターセッション(IP)の質疑応答は,10月22日(土)の12:30∼13:30の間に行います。 ポスターセッション(IDEA)の質疑応答は,10月23日(日)の12:30∼13:30の間に行います。10月22日(土) 15:00
▼
DSP001∼DSP027
23日(日) 16:30
ポスターセッション(DSP)の質疑応答は,10月23日(日)の12:30∼13:30の間に行います。P001∼006
日時
10月21日
(金)
12:00
22日
(土)
13:30
会場
福岡サンパレス パレスルームP
001
咀嚼能力の低下とメタボリック
シンドローム罹患との関係
○小野高裕1) ,菊井美希2) ,來田百代2) ,高阪貴之2) ,橋本 栄2) , 山本雅章2) ,藤井克則1) ,前田芳信2) ,野首孝祠3) (1) 新潟大学大学院医歯学総合研究科顎顔面再建学講座包括歯 科補綴学分野,2) 大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能再建 学講座有床義歯補綴学・高齢者歯科学分野,3) 野首歯科医院) 日本人の死亡原因の第2位をしめる動脈硬化性疾患の予防にお いて,歯科が果たすべき役割は小さくない。 我々は,国立循環器病研究センターの吹田研究において,都市 部一般住民1,780名を対象に,歯科検診と咀嚼能率測定を行い, 歯周病や他の生活習慣因子を調整した上でも,咀嚼能力の低下が メタボリックシンドローム罹患と関連すること,その傾向は70歳 代において顕著となることを明らかにした。P
002
口腔の働きが超高齢者の健康に
およぼす影響
−口腔機能が健康寿命の延伸に及ぼす影響− ○飯沼利光1) ,福本宗子1) ,新井康通2) ,近藤雄学1) ,塩田洋平1) , 李 淳1) ,伊藤智加1) ,高山美智代3) ,広瀬信義2) , 祇園白信仁1) (1) 日本大学歯学部歯科補綴学第Ⅰ講座,2) 慶應義塾大学医学部 百寿総合研究センター,3) 慶應義塾大学医学部附属病院予防 医療センター) 演者らはこれまで超高齢者,542人(男性:236人,女性:306 人;平均年齢±SD:87.8±2.2歳,年齢幅85∼102歳)を対象に 口腔および身体機能に関する調査を行い(TOOTH 研究),さら に3年後および6年後の健康状態の変化について追跡調査を行っ ている。 今発表では3年後調査結果から,口腔機能や身体機能の変化さ らに生命予後について報告し,超高齢期での口腔機能の維持が健 康寿命の延伸に果たす役割について考察する。P
003
口腔の働きが超高齢者の健康に
及ぼす影響
−DHEA-S との関連性− ○福井雄介1),新井康通2),浦田健太郎1),西尾健介1),篠宮知世1), 成田達哉1) ,池田貴之1) ,高津匡樹1) ,浅野正岳3) ,祇園白信仁1) (1) 日本大学歯学部歯科補綴学第Ⅰ講座,2) 慶應義塾大学医学部 百寿総合研究センター,3)日本大学歯学部病理学講座) 唾液中の DHEA-S 濃度は加齢に関与することが知られている。 そこで,本研究では,85歳以上の超高齢者342名を対象に,唾液 中の DHEA-S 濃度を測定し,歯科・医科的項目と比較を行った。 その結果,BMI,chair standing test,ALB,咬合力と有意な関 連性を認めた。また,ADL,握力,Timed up & go test と関連 性を示す傾向を認めた。これらのことから,唾液中の DHEA-S 濃度は超高齢者の運動機能評価の指標となる可能性が示唆され た。P
004
歯科用金属アレルギー患者の実態
−過去30年間に長崎大学病院歯科材料アレル ギー外来を受診した患者データの解析− ○黒木唯文,吉田和弘,田中利佳,稲光宏之,小関優作, 児玉浩太,村田比呂司 (長崎大学大学院医歯薬学総合研究科歯科補綴学分野) 歯科用金属アレルギーは,メディア等の影響もあり,広く周知 されてきた。我々は,歯科用金属アレルギー患者に関する臨床疫 学調査や歯科用金属アレルギー患者の臨床成果等を報告してき た。古くは1984年より歯科用金属アレルギー疑い患者の加療を開 始し,現在に至るまで歯科用金属アレルギー患者の加療を行って きた。 今回は,過去30年間の長崎大学病院歯科材料アレルギー外来受 診患者を対象とした臨床疫学調査を行ったので報告する。P
005
口腔機能運動は前頭前野を
どのように活性化するか?
○佐久間重光1) ,有地淑子2) ,稲本京子3) ,竹中 誠1) ,渡邉正臣1) , 伊藤 裕1) ,服部正巳4) (1) 愛知学院大学歯学部冠・橋義歯学講座,2) 愛知学院大学歯学 部歯科放射線学講座,3) 愛知学院大学歯学部歯内治療学講 座,4) 愛知学院大学歯学部高齢者歯科学講座) 運動は,身体機能だけでなく,脳機能をも向上させる。我々 は,口腔機能運動を利用して脳機能を向上させるための方策を検 討している。 本研究では,咀嚼運動,開閉口運動および嚙み締め運動を行う ことにより前頭前野のどの部位が活性化するのかを機能的近赤外 分光法を用いて検討した。その結果,咀嚼運動および嚙みしめ運 動は中前頭回および下前頭回が活性化したものの,開閉口運動は 上前頭回が活性化することが明らかになった。P
006
インプラントを有する顎骨の生体
アパタイト結晶配向性
○森田純晴1) ,松永 智1) ,北村 啓1) ,山本将仁1) ,山口 朗2) , 吉成正雄2) ,阿部伸一1) (1) 東京歯科大学解剖学講座,2) 東京歯科大学口腔科学研究セン ター) 骨の力学的物性に関与するコラーゲン線維や生体アパタイト (BAp)結晶は,荷重方向と強度に対して優先的に配向する。 本研究では,インプラント周囲顎骨のナノ構造特性を明らかに することを目的として,微小領域 X 線回折法により BAp 結晶の 配向性を測定した。その結果,頰側皮質骨では咬合方向,鼻腔底 部では近遠心方向,眼窩下管底部では頰舌方向に優先配向性がみ られ,有歯顎とは異なる力学環境の影響が示唆された。 ◆全身との関わり(P001∼P022) 1P007∼012
日時
10月21日
(金)
12:00
▲
22日
(土)
13:30
会場
福岡サンパレス パレスルームP
007
糖尿病状態が TNS 析出純チタン
金属表面に及ぼす影響について
○小正 聡,田口洋一郎,楠本哲次,岡島裕梨,吉岡紀代子, 篠原憲吾,武田智香子,西崎 宏,岡崎定司 (大阪歯科大学) 糖尿病罹患患者では創傷治癒期間の長期化によりインプラント 周囲炎の罹患リスクが高くなるため,早期のオッセオインテグ レーション獲得が期待される。 そこで,本研究では TNS 析出純チタンが糖尿病環境下におい てラットの硬組織分化誘導能に与える影響について検討した。P
008
就寝時の義歯装着有無による
睡眠効率の違い
○楠 尊行,柿本和俊,髙橋一也,小正 裕 (大阪歯科大学高齢者歯科学講座) 就寝時の義歯装着が高齢者の睡眠効率に与える影響を調査し た。義歯を問題なく使用している患者12名を被験者とし,アクチ スリープ BT モニターを被験者の非利き腕に連続6日間装着させ て,睡眠状態を計測した。その後,専用解析ソフトウェアを用い て睡眠効率を求めた。 就寝時に義歯を外すことで,睡眠効率は良好となる傾向がみら れた。しかし,就寝時に義歯を装着することで睡眠効率が良好と なった被験者も2名存在した。P
009
日本拳法の防御運動時における
頭頸部筋の筋活動開始時間の検討
○福本貴宏,鶴身暁子,杉立尚城,田中順子,田中昌博 (大阪歯科大学有歯補綴咬合学講座) 格闘技のような身体活動と頭頸部筋の活動は密接な関係がある とされながら,その関係性は明らかではない。 本研究は,競技武道である日本拳法における防御運動時の頭頸 部筋の筋活動開始時間を比較検討した。また,被験者を格闘技経 験の有無により大別し,経験の有無が頭頸部筋の筋活動開始時間 に与える影響を検討した。開口筋,頸部筋は閉口筋よりも活動開 始時間が早く,それらの筋は経験者ほど有意に早くなることが示 された。P
010 歯科用金属アレルギー患者の動向
○細木真紀1),田島登誉子2),上枝麻友1),西川啓介1),成谷美緒1), 松香芳三1) (1) 徳島大学医歯薬学研究部顎機能咬合再建学分野,2) 徳島大学 病院口腔インプラントセンター) 金属アレルギー患者の増加とともに,今回の保険改正で金属ア レルギー患者においては大臼歯に CAD/CAM 冠が適用できるよ うになり,歯科における多様な対応が望まれるようになってきて いる。 本研究では,チタンアレルギーの実態や歯科用インプラントと の関係,レジンなどの金属以外の材料に対するアレルギーも含め て,徳島大学病院歯科用金属アレルギー外来における患者の動向 を報告する。P
011
歯槽骨の骨密度測定による
骨粗鬆症スクリーニング事業
○丸尾修之1) ,阿部直樹1) ,豊嶋健治1) ,高石佳知2) ,辻 啓延3) (1)公益社団法人香川県歯科医師会,2)医療法人天聖会高石歯科 医院,3) メディア株式会社) 香川県では平成26年度より,歯科受診者の歯科用X線写真から 歯槽骨骨密度評価ソフト「Bone Right」により下顎臼歯部歯槽骨 の骨密度を評価し,骨粗鬆症の疑いがある患者を県内の医療機関 に紹介し,確定診断から歯科医院と連携した治療につなげる事業 を行っている。 今回,平成26年,27年度の事業の結果について報告する。P
012
歯の喪失により惹起される
脳機能障害は豊かな飼育環境により
改善される
○飯沼光生1) ,林 櫻子1) ,鈴木あゆみ1) ,近藤裕子1) ,村林知香1) , 東 華岳2) ,久保金弥3) (1) 朝日大学歯学部口腔構造機能発育学講座小児歯科学分野, 2) 産業医科大学第一解剖学,3) 星城大学大学院健康支援学科) 豊かな飼育環境が歯の喪失によって惹起される脳機能障害に与 える影響について調べた。 歯の喪失後にマウスを豊かな環境で飼育すると,歯の喪失に よって惹起される海馬での脳由来神経栄養因子の減少と神経細胞 新生機構の障害が抑制され,空間認知機能障害が改善されること が示唆された。 2P013∼018
日時
10月21日
(金)
12:00
22日
(土)
13:30
会場
福岡サンパレス パレスルームP
013
咬合支持の維持・回復は
転倒の防止に寄与するか
−歯科医学会プロジェクト研究の成果から− ○前田芳信1) ,安井利一2) ,権田知也1) ,松本 勝2) ,石上惠一3) , 武田友孝3) ,上野俊明4) ,小出 馨5) ,鷹股哲也6) (1) 大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座有床義歯 補綴学高齢者歯科学分野,2) 明海大学,3) 東京歯科大学,4) 東 京医科歯科大学,5) 日本歯科大学新潟生命歯学部,6) 松本歯科 大学) 「咬合支持の維持・回復は転倒の防止に寄与するか」を明らか にするために,歯科医学会プロジェクト研究を提案した。 今回は,これまでに報告されている文献のレビューならびに実 験的な検討を行った結果を報告する。P
014
上肢挙上運動制御に対する
咬筋筋活動の関与とそのメカニズム
○高橋敏幸,黒川勝英,上野俊明 (東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科スポーツ医歯学分 野) 運動パフォーマンス中の咀嚼筋筋活動に関してこれまで多くの 報告はあるが,その活動様相についての詳細は不明である。そこ で今回筋電図を用い,上肢前方挙上運動時の咬筋の活動様相につ いて検索した。 その結果,必要とされる主動筋の筋力が大きいほど,咬筋活動 は大きくなりかつ早く発現することがわかった。従って,咬筋が 運動条件に応じた異なる活動をすることが明らかとなり,運動制 御に深く関わっていることが示唆された。P
015 咬合・咀嚼のストレスとの関連
○紺野倫代,武田友孝,川上良明,鈴木義弘,河野克明, 中島一憲,小澤卓充,西野仁泰,松田祐明,石上惠一 (東京歯科大学口腔健康科学講座スポーツ歯学研究室) ガム咀嚼がストレスの緩和に有効であるとの報告は少なくない が,そのメカニズムに関しては不明な点が多い。 そこで本研究では,国際感情音響刺激(IADS)より選択した メンタルストレスとしての不快音刺激時において,ガム咀嚼が, 右側前頭前野を活性化させるかどうかの検討を行った。なお,ス トレス評価には,NIRS,α 波,VAS,STAI を使用した。P
016
実験的下顎偏位が歩行に及ぼす影響
−第3報− Veering test による評価 ○河野克明,中島一憲,小澤卓充,紺野倫代,鈴木義弘, 川上良明,西野仁泰,松田祐明,武田友孝 (東京歯科大学口腔健康科学講座スポーツ歯学研究室) 当研究室では,顎口腔領域を全身の一部として捉えることの重 要性から,顎口腔系の状態と全身状態の関連を探求することを目 的とした研究を行っている。これまで下顎位と平衡機能の関係を 検討し,咬合状態が姿勢の維持,静的および動 的 重 心 動 揺, Stepping test,歩行等に影響を及ぼすことを報告してきた。 本報告では,下顎の実験的偏位が歩行へ及ぼす影響をより詳細 に検討することを目的に Veering test を用いて評価を行った。P
017
咀嚼機能回復と栄養・生活指導パッ
ケージが高齢者の体組成改善(健康
作り)に貢献する
○萩原芳幸 (日本大学歯学部歯科インプラント科) 歯の喪失による咀嚼機能の低下は,軟性食品(炭水化物)の多 量摂取とタンパク質・食物繊維・ミネラル等の摂取量低下をきた す。その結果カロリー過多や低栄養に陥り,生活習慣病やサルコ ペニアの増悪を経て健康寿命への悪影響が懸念される。オーラ ル・フレイルも含め口腔の健康と全身状態の関わりがクローズ アップされる中,補綴治療により顕著に咀嚼機能を向上させた後 に,栄養(食)と運動指導を加えた歯科的保健指導を提案する。P
018
地域医療連携を通じた頭部外傷後遺
症患者の口腔内状況と歯科治療
○安田順一1) ,福田幸泰2) ,林 哲次3) ,小金澤大亮1) ,上野高広4) , 玄 景華1) (1) 朝日大学歯学部口腔病態医療学講座障害者歯科学分野,2) ふ くた歯科クリニック,3) かもの歯科医院,4) 朝日大学歯学部総 合医科学講座麻酔学分野) 自動車事故の頭部外傷による脳損傷で重度の後遺障害が残った 患者の治療と看護,支援を目的とした中部療護センターに,近隣 の歯科医師らと歯科診療を行ってきた。歯科通院は困難なため, 訪問歯科診療で対応したが,多数歯にわたる治療は,病院歯科に 移送して処置を行った。頭部外傷後遺症患者の口腔内状況や歯科 治療の報告は少なく,その実態は明らかでない。 今回,訪問歯科診療を中心とした地域医療連携を行ったので報 告する。 3P019∼024
日時
10月21日
(金)
12:00
▲
22日
(土)
13:30
会場
福岡サンパレス パレスルームP
019
咬合違和感発生時の高次脳機能活動
と自律神経活動への影響
○藤原 基1) ,片岡加奈子1) ,生田龍平1) ,和気裕之1) ,島田 淳1) , 澁谷智明1) ,三村将文1) ,宮地英雄2) ,玉置勝司1) (1) 神奈川歯科大学大学院歯学研究科口腔機能修復学講座顎咬 合機能回復補綴医学分野,2) 北里大学医学部精神科学) 目的:咬合違和感の発症時の病態を脳機能と自律神経,心理テス トから検討する。 方法:被験者27名に自律神経試験と心理テストを実施後,咬合違 和感発生時の脳活動(f NIRS)を計測した。咬合面に置いたメ タルフォイルを認知した厚みを,違和感を認知する厚み,その時 の VAS 値を計測した。 結果:自律神経反応低下群において,認知閾値が低く VAS 値は 高くなる傾向,脳活動の特定部位と心理テストに関連性が認めら れた。P
020
抗
Porphyromonas gingivalis
IgG 血症の診断に関わる
抗原タンパク質の選定
○田井真砂子1) ,冨川知子1) ,大森一弘2) ,山本直史2) ,髙柴正悟1) (1)岡山大学大学院医歯薬学総合研究科歯周病態学分野,2)岡山 大学病院歯周科) 歯周病原細菌の血漿 IgG 抗体価測定では,全菌体抗原を使用 するため,標準化・高速化が困難であった。そこで,この粗抗原 から高反応性成分を選択し,遺伝子組換えタンパクを合成し,特 異抗原の安定供給に成功した。そして,測定の高速自動化を実現 した。 今後は,医科歯科共通の歯周病検査として用いられることを期 待する。P
021
歯周病原細菌に対する指尖血漿 IgG
抗体価検査が感染性心内膜炎(IE)
の起炎菌推定に繋がった症例
○磯島大地1),松永一幸1),工藤値英子2),伊東 孝3),大森一弘4), 山本直史4) ,髙柴正悟1) (1) 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科歯周病態学分野,2) 神奈 川歯科大学大学院歯学研究科口腔機能修復学講座歯周病学分 野,3) 岡山大学病院新医療研究開発センター,4) 岡山大学病院 歯周科) 本症例は,全身管理のよい透析患者だが,重度歯周病のためP. gingivalisに対する IgG 抗体価が著しく高かった。IE の治療で 摘出した弁組織から,P. gingivalis を含む口腔細菌の DNA が検出 された。 このように,IgG 抗体価検査が IE の起炎菌推定に寄与した。
P
022
歯肉溝滲出液を用いた糖尿病関連
歯周炎の新規診断法の確立
○梶浦由加里,板東美香,木戸淳一,稲垣裕司,永田俊彦 (徳島大学大学院医歯薬学研究部歯周歯内治療学分野) 糖尿病と歯周病は相互の病態に悪影響を及ぼし,糖尿病関連歯 周炎の診断は2つの疾患の予防と治療に重要である。 本 研 究 で は,歯 周 炎 お よ び 糖 尿 病 患 者 の 歯 肉 溝 滲 出 液 (GCF)中のグリコアルブミンとカルプロテクチンのレベルを 測定し,これらの糖尿病関連歯周炎診断の可能性を検討した。そ の結果,GCF 中グリコアルブミンとカルプロテクチンが糖尿病 関連歯周炎の診断に有用であることが示された。P
023
知覚過敏症罹患モデル象牙質を
用いた知覚過敏抑制材の
象牙細管封鎖性について
○保尾謙三,井村和希,黄地智子,竹内 摂,岩田有弘, 吉川一志,山本一世 (大阪歯科大学歯科保存学講座) 象牙質知覚過敏症に用いられる各種知覚過敏抑制材の象牙細管 封鎖性について,知覚過敏症罹患モデル象牙質を用いて象牙質透 過抑制率を測定し検討を行ったので報告する。 グルタルアルデヒド系,無機塩系,レジン系の知覚過敏抑制材 を使用し,象牙質透過抑制率を測定した結果,レジン系知覚過敏 抑制材が有意に高い象牙質透過抑制率を示した。P
024
歯髄幹細胞の三次元培養における
幹細胞マーカーの発現動態
○川島伸之,山本弥生子,野田園子,橋本健太郎,興地隆史 (東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科医歯学系専攻口腔 機能再構築学講座歯髄生物学分野) 歯髄幹細胞による再生医療の可能性の一端を追究するため,三 次元スフェロイド培養がヒト歯髄幹細胞の幹細胞マーカー発現に 及ぼす影響を解析した。 その結果,スフ ェ ロ イ ド 内 部 に お い て,NANOG,LIN28, OCT4などの発現亢進が確認された。通常の二次元培養ではこ れらの発現をほとんど認めなかった。三次元スフェロイド培養に より歯髄幹細胞が高い幹細胞特性を獲得する可能性が示唆され た。 ◆歯の保存(P023∼P038) 4P025∼030
日時
10月21日
(金)
12:00
22日
(土)
13:30
会場
福岡サンパレス パレスルームP
025
レーザーを用いた根管洗浄時に
おける蒸気泡の挙動
○本郷智之,八尾香奈子,佐竹和久,井出彩集,渡辺 聡, 海老原 新,興地隆史 (東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科口腔機能再構築学 講座歯髄生物学分野) 本研究では,各種レーザーを根管洗浄に用いた場合の清掃効果 の基礎的検証を目的として,根管内の蒸気泡の挙動を解析した。 蒸留水を満たした根管模型にチップを挿入し,レーザー照射後 に根管内に生じた蒸気泡をハイスピードカメラで撮影後,その静 止画像を用いて蒸気泡の発生数と大きさを計測した。 その結果,レーザーの波長やチップ先端への処理の有無によ り,蒸気泡の発生数やその大きさに有意差を認めた。P
026
ヒト象牙芽細胞における
冷刺激受容能の証明
○田澤建人,池田英治,顧 潔,興地隆史 (東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科口腔機能再構築学 講座歯髄生物学分野) 近年,象牙芽細胞が温度感受性 TRP チャネルを介して,温度 刺激検知細胞として機能する可能性が示唆されているが,TRPM 8発現の有無について統一見解はない。 そこで本研究ではヒト新鮮単離象牙芽細胞を用いて,TRPM8 の 遺 伝 子 発 現 と 機 能 解 析 を 行 っ た 結 果,同 細 胞 は TRPM8 mRNA 発現を示すとともに,冷刺激誘発性電流が観察された。 従って,象牙芽細胞が TRPM8を介して冷刺激を検知できる可 能性が示唆された。P
027
各種ケイ酸カルシウム系セメントの
生体機能性と直接覆髄後の歯髄反応
○吉羽邦彦1),枝並直樹1),日向 剛1),韓 臨麟1),竹内亮祐1), 遠間愛子1) ,大倉直人1) ,武井絵梨花1) ,吉羽永子1) ,興地隆史2) (1) 新潟大学大学院医歯学総合研究科口腔健康科学講座う 学 分野,2)東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科口腔機能 再構築学講座歯髄生物学分野) 各種ケイ酸カルシウム系セメントの生体機能性と直接覆髄後の 歯髄反応を検索する目的で,ラット皮下移植後の組織界面部を SEM,EPMA にて観察するとともに,直接覆髄後の歯髄反応を 組織学的・免疫組織化学的に観察した。 その結果,Ca と P を主体とする結晶様構造物が界面部に析出 するがその形状と厚みは材型により相違すること,また直接覆髄 14日後までに細管を伴う被蓋硬組織が形成されることが確認され た。P
028
培養ヒト歯髄に対する prostaglandin
EP4レセプターアゴニストの影響
○大倉直人1),吉羽永子1),吉羽邦彦1),小田陽平2),興地隆史3) (1) 新潟大学大学院医歯学総合研究科う 学分野,2) 新潟大学大 学院医歯学総合研究科組織再建口腔外科分野,3) 東京医科歯 科大学大学院医歯学総合研究科歯髄生物学分野) 歯髄における EP4レセプターを介したプロスタグランジン E2 の機能を解明することを目的とし,培養ヒト歯髄組織に EP4レ セプターアゴニスト(ルビプロストン)を作用させ,組織修復へ の影響を解析した。その結果,培養ヒト歯髄でαSMA,TGF-β および VEGF-A の mRNA 発現が亢進するとともに,血管周皮細 胞や繊維芽細胞様細胞におけるαSMA 発現や CD31陽性 tip-cell 様構造の出現が観察された。P
029
S-PRG フィラー含有根管貼薬剤が
有する抗菌作用
○白井 要1,2) ,長澤敏行1) ,古市保志2) (1)北海道医療大学歯学部総合教育学系臨床教育管理運営分野, 2) 北海道医療大学歯学部口腔機能修復・再建学系歯周歯内治 療学分野) 本研究は,S-PRG フィラー(松風,京都)含有根管貼薬剤が 有する抗菌作用を調べることを目的とした。S-PRG フィラー含 有根管貼薬剤から抽出した S-PRG 水溶液を細菌と真菌に作用さ せたところ,バイオフィルム形成抑制及びバイオフィルム増殖抑 制を認めた。 S-PRG フィラー含有根管貼薬剤は,感染根管に多くみられる 菌に対して抗菌作用があったことから歯内療法における根管貼薬 剤に応用できることが示唆された。P
030
歯内療法における光干渉断層計の
応用
○飯野由子1) ,海老原 新1) ,吉岡俊彦1,2) ,花田隆周1,3,4) , 砂川光宏1,5) ,⻆ 保徳6) ,興地隆史1) (1)東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科歯髄生物学分野,2)吉岡歯科 医院,3)国家公務員共済組合病院連合会虎の門病院歯科,4)上伊那歯科医 師会学術広報部,5)東京医科歯科大学歯学部附属病院クリーンルーム歯科 外来,6)国立長寿医療研究センター歯科口腔先進医療開発センター)光干渉断層計(optical coherence tomography : OCT)は,近 赤外光を用いて非侵襲的に組織内部の精密断層像を得られる医療 撮像用技術である。 演者らは歯内療法への OCT の応用の可能性を検討し,破折 線,上顎大臼歯近心頰側第二根管,象牙質下の歯髄腔などの検出 に有用であることを示唆する結果を得ている。OCT はチェアサ イドで繰り返し使用が可能であり,臨床応用への展開が期待され る。 5
P031∼036
日時
10月21日
(金)
12:00
▲
22日
(土)
13:30
会場
福岡サンパレス パレスルームP
031
歯内療法における歯科用 CT を
用いた診断
○海老原 新,浦羽真太郎,小松 恵,興地隆史 (東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科歯髄生物学分野) 歯科用 CT の根尖病変検出への有用性を評価するため,デンタ ル X 線写真で検出不可能な根尖病変の歯科用 CT による検出率 を解析したところ,上顎前歯部,上顎大臼歯部でこの種の病変が 高頻度に検出された。また,垂直性歯根破折の有無の鑑別診断の ため,歯科用 CT で得られた骨欠損部三次元構築像を解析し,鑑 別に有用な形態指標を見いだした。 以上より,歯科用 CT の併用による歯内疾患の診断精度の向上 が示唆された。P
032
ナノシールによる根面う の
進行抑制に関する研究
○宮治裕史,田中佐織,加藤昭人,井上加菜,西尾啓英, 川浪雅光 (北海道大学大学院歯学研究科歯周・歯内療法学教室) 高齢者の歯科治療において根面う の抑制は重要な課題であ る。本研究では,北海道大学病院歯科に通院中の患者の根面う に知覚過敏抑制材料ナノシールを塗布し,う 診断器ダイアグノ デントペンの値を測定した(自主臨床研究013−0285)。 その結果,ナノシールの塗布は経時的(6カ月間)にダイアグ ノデント値を低下させ,コントロールと比較して有意差が認めら れた。ナノシール塗布が根面う の進行を抑制する可能性が示唆 された。P
033 私の考えるコンポジットレジン修復
○樋口克彦 (ひぐち歯科クリニック) コンポジットレジン修復は,多くのマテリアルの登場により, 接着性,色調再現性,耐久性などが向上されている。これによ り,患者さんの審美的要求に,十分応えられる治療法として確立 されつつある。 今回は,正中離開にて審美障害を訴えられた患者さんに対して コンポジットレジン修復にて主訴の改善を行ったケースを提示す る。P
034
重度歯周炎への歯周組織再生療法の
取り組み
○白土 徹 (白土歯科医院) 歯周組織再生療法を成功させるためには,創傷治癒を阻害する 因子を可及的に取り除いておくことが重要である。術前には歯周 基本治療とプラークコントロールによって感染性因子を除去して おき,術中に出血の少ない手術操作が可能なように準備しておく 必要がある。そして愛護的な手術手技や,フラップデザインや, 縫合手技などによって得られる確実な一次性創傷治癒は,最も重 要な成功のポイントであるといえよう。P
035 当院で行った再生療法の考察
○瀬戸泰介 (せと歯科医院) 近年,重度歯周疾患に対する歯周組織再生療法が誌面を賑わせ ている。その実態が徐々に細胞レベルで解明されつつある一方 で,実際に臨床の場で活用するのは難しい。組織の再生を促すた めに必要な基礎の部分と,臨床での手技の部分の両輪がうまくか みあわないと効果が表れないからだと考える。 そこで今回は当院で行った再生療法について考察し,忌憚のな いご意見を頂きたい。P
036
当院における歯の保存にこだわった
一症例
○力丸哲哉 (りきまる歯科クリニック) 修復した歯牙を長期的に維持・安定させる為には,歯周組織の 炎症のコントロールがきちんとなされており,適切な根管治療・ 支台築造,プロビジョナルレストレーションの適合,支台歯形 成,印象採得が必要になってくる。 今回は,初診時には保存が厳しいと考えていたが,歯牙の保存 にこだわって治療を行った上顎前歯部の一症例を発表したいと思 う。 6P037∼042
日時
10月21日
(金)
12:00
22日
(土)
13:30
会場
福岡サンパレス パレスルームP
037
HY 材を用いた当院での
歯髄温存処置
○津覇雄三,永井佑弥 (つは歯科医院) 日常臨床においてう が歯髄に近接している場合,感染象牙質 を徹底的に除去すると露髄が生じるために抜髄を選択せざるを得 ない症例に直面することがある。非侵襲性歯髄覆罩(AIPC)は, 感染象牙質を意図的に残し,そこに覆髄材を貼付することで感染 象牙質の無菌化や再石灰化,第3象牙質の形成を促進する方法で ある。 今回はタンニン,フッ化物配合カルボキシレートセメントを使 用して行った当院での症例を紹介する。P
038
歯内療法における
CT とマイクロスコープの有用性
○松木良介 (まつき歯科医院) 近年マイクロスコープや CBCT の普及により,歯内療法領域 においても広く用いられるようになってきた。しかし歯内療法に おける全ての症例にそれらが必要というわけではなく,マイクロ スコープの使用が有効な処置や,CBCT を併用したほうがよい 症例などは限られてくると考えている。 そこで今回,歯内療法においてどのような場合にマイクロス コープや CT の使用が有用であるか症例を通じて考察していきた い。P
039
上顎悪性腫瘍摘出術後に顎補綴装置
を装着した1例
○槙原絵理,河野稔広,津田尚吾,有田正博,鱒見進一 (九州歯科大学顎口腔欠損再構築学分野) 上顎左側扁平上皮癌の摘出術後,上顎顎欠損による咀嚼・発音 障害が生じた患者に対し,顎欠損部を含めた上顎の印象採得を行 い中空型の栓塞子を付与した上顎顎補綴装置を製作した。 さらに,ソフトプレートワックスを用いて嚥下時の鼻漏と発音 時の息漏れの状態を確認し,軟性裏装材を用いて最終的な補綴装 置の形態を決定した。これにより咀嚼・発音障害が改善し,現在 まで良好に経過している。P
040
3Dモデリング法を用いた
エピテーゼ製作法について
○吉岡 文,松岡鮎美,秦 正樹,松川良平,尾澤昌悟,武部 純 (愛知学院大学歯学部有床義歯学講座) エピテーゼ製作における従来の顔面印象法は患者にとって苦痛 なものであり,また材料の重量により変形する恐れがあった。近 年,三次元造形法の開発により,印象採得を行うことなく,模型 を簡便に製作することが可能となってきた。 本発表では,顔面に欠損を有する被験者に対し,光切断方式の 三次元スキャナを用いて三次元造形法を応用してエピテーゼを製 作した症例について報告する。P
041 上顎欠損患者の発音時口腔内圧
○小飯塚仁美,堀 一浩,藤原茂弘,小野高裕 (新潟大学大学院医歯学総合研究科顎顔面再建学講座包括歯科 補綴学分野) 上顎欠損患者は実質欠損により開鼻声を伴う構音障害を有して おり,顎義歯による封鎖が機能回復に必須である。 本研究では,健常者と上顎欠損患者に対して,大気圧センサを 用いて/pa/発音時の口腔内圧と,その際の音圧を同時に測定し た。その結果,顎義歯装着により口腔内圧は回復した。また,口 腔内圧と音圧はいずれにおいても相関しており,その相関係数と 回帰式の傾きの関係から顎義歯の封鎖性を評価する可能性が示さ れた。P
042
口腔腫瘍術後患者の QOL と
口腔機能の関連
○山本雅章1) ,城下尚子1) ,來田百代1) ,高阪貴之1) ,皆木祥伴1) , 菊井美希1) ,徳田佳嗣1) ,堀 一浩2) ,小野高裕2) ,前田芳信1) (1) 大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座有床義歯 補綴学・高齢者歯科学分野,2) 新潟大学大学院医歯学総合研 究科包括歯科補綴学分野) 口腔腫瘍術後の QOL と口腔機能の関連を調べた。術前と術後 6カ月に,QOL は EORTC QLQ-H&N35を,口腔機能は最大咬 合力と30ml 水飲みテストを行った。QOL 増加群と減少群に分 け,口腔機能との関連を分析した結果,QOL の‘Swallow’と 咀嚼能率変化量,嚥下時間変化量に, Social eating’と‘Social contact’では,術前の最大咬合力とその変化量と関連が認めら れた。 ◆歯冠修復・欠損補綴(P039∼P068) 7P043∼048
日時
10月21日
(金)
12:00
▲
22日
(土)
13:30
会場
福岡サンパレス パレスルームP
043
インプラントデンチャー用
磁性アタッチメントの開発
○鈴木恭典1,2) ,鈴木銀河1) ,八木 亮1) ,小澤大輔1) , 河野健太郎1) ,長田知子1) ,大久保力廣1,2) (1) 鶴見大学歯学部有床義歯補綴学講座,2) 鶴見大学歯学部イン プラントセンター) 有床義歯の難症例に対し義歯の動揺を抑制するインプラントデ ンチャーは有効である。インプラントデンチャー装着後の経過に 影響を及ぼす因子として,床に被覆されたインプラント周囲の炎 症と義歯の動揺に伴うインプラント周囲骨への応力集中が考えら れる。 今回は顎堤粘膜とインプラントの被圧変位量の差を減少させ, インプラント周囲骨への応力集中を緩和することが可能な緩圧型 磁性アタッチメントの概要を報告する。P
044
新たに開発した磁石構造体の
固定法に関する研究
○岡山章太郎,鈴木恭典,新保秀仁,大久保力廣 (鶴見大学歯学部有床義歯補綴学講座) 義歯床への磁性アタッチメントの装着方法は常温重合レジンに よる直接法が主流であるが,キーパー周囲のアンダーカット内で 常温重合レジンが硬化すると支台歯を損傷するだけでなく,義歯 の撤去が困難となり義歯を破壊せざるを得ない状況も考えられ る。 本研究では磁石構造体上面にウイングを付与した試作磁石構造 体,架橋剤を調整した試作レジンを用いて,磁石構造体の固定法 について検討を行った。P
045
歯冠外および歯冠内磁性アタッチ
メントを用いた下顎パーシャル
デンチャーの1例
○津田尚吾,鱒見進一,槙原絵理,河野稔広,八木まゆみ, 有田正博 (九州歯科大学顎口腔欠損再構築学分野) 患者は67歳の女性。以前当科にて磁性アタッチメントを用いた RPD を製作したが,大連結装置と支台装置に問題があり再製す ることとした。直接支台装置である45はキーパー付き根面板,37 はマグノテレスコープクラウン,33は歯冠外にキーパーを付与し たレジン前装冠とし,RPD を再製した。 客観的評価では,新義歯は旧義歯より咬合力,咀嚼能力,咀嚼 スコア,OHIP14および GOHAI いずれも良 好 な 結 果 が 得 ら れ た。P
046
磁性アタッチメントの
診療ガイドライン策定の経緯と概要
○秀島雅之1),鱒見進一1),尾澤昌悟1),鈴木泰典1),河野稔広1), 河野 舞1) ,曽根峰世2) ,梅川義忠1) ,永尾 寛1) ,和田淳一郎2) (1) 日本磁気歯科学会医療委員会,2) 日本磁気歯科学会医療委員 会特命委員) 近年根拠に基づく医療の必要性と,その質の向上が求められ, 本学会医療委員会でも磁性アタッチメント適用の診療ガイドライ ンについて,アンケート調査にて14題の代表的臨床上の疑問(ク リニカル・クエスション:CQ)を選定し,回答となるガイドラ インの策定を行った。 しかし歯科補綴の特性からエビデンスの収集が困難な面もあ り,専門家へのアンケートによるデルファイ法等も導入したの で,その策定経緯について報告する。P
047
磁性アタッチメント義歯における
設計の相違と予後との関連性について
○曽根峰世,濱坂弘毅,奥津史子,松川高明,豊田有美子, 大川 穣,染川正多,上田脩司,岡本和彦,大川周治 (明海大学歯学部機能保存回復学講座歯科補綴学分野) 磁性アタッチメントは,永久磁石による安定した維持機能を有 するとともに,支台歯に加わる側方力を緩和する等の利点を有す る優れた支台装置の一つである。しかし,長期的な予後経過に関 しては必ずしも明らかにされておらず,このことが広く一般には 使用されていない原因の1つとも考えられる。 今回,磁性アタッチメントを応用した症例の予後観察の結果か ら,義歯の設計の相違と予後との関連性について検討を加えたの で報告する。P
048
無歯顎者の全部床義歯新製前後での
栄養状態の比較
○駒ヶ嶺友梨子,金澤 学,秋葉徳寿,佐藤佑介,大久保 舞, 浜 洋平,水口俊介 (東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科高齢者歯科学分 野) これまでの研究から歯の喪失によって咀嚼が困難となり,果物 や野菜の摂取量が減少することが原因と考えられている。歯の喪 失は欠損補綴によって咬合回復が図られるが,この欠損補綴に よって栄養状態が改善するというエビデンスは少ない。 本研究では義歯による欠損補綴を必要とする多数歯欠損を有す る自活可能な者を対象として,義歯の新製が食品摂取状況や栄養 状態に与える影響を明らかにすることを目的とする。 8P049∼054
日時
10月21日
(金)
12:00
22日
(土)
13:30
会場
福岡サンパレス パレスルームP
049
口腔保湿剤が上顎全部床義歯の
維持力に及ぼす影響
○青柳佳奈,佐藤裕二,北川 昇,中津百江,角田拓哉, 小川貴正,高山真里,椿田健介,石原雅恵 (昭和大学歯学部高齢者歯科学講座) 口腔乾燥症状は,上顎全部床義歯の維持力に関与する。そのた め,口腔乾燥症状のある患者に対して口腔保湿剤を勧めることが ある。 そこで,当講座で開発した上顎全部床義歯の維持力をチェアサ イドにて測定する方法を用い,口腔保湿剤が上顎全部床義歯の維 持力に及ぼす影響を検討した。その結果,口腔保湿剤の粘度が増 加するにつれ,義歯の維持力も増加した。また,前歯部の顎堤形 態の優劣が維持力に関係していることが分かった。P
050
結晶化 TNS 析出チタン合金
インプラント材料の創製
○蘇 英敏,小正 聡,藤尾美穂,西崎真理子,寺田知里, 西崎 宏,岡崎定司 (大阪歯科大学欠損歯列補綴咬合学講座) ナノインプラント材料を医療材料として応用するためにはナノ 結晶化が有用であり,加熱処理もその一つである。 本研究ではわれわれが開発した TNS 構造析出チタン合金表面 へ加熱処理を施し,どのような影響を与えるか検討を行ったので 報告する。P
051
加熱処理が TNS 析出純チタン金属
に与える影響について
○藤尾美穂,小正 聡,西崎真理子,西崎 宏,岡崎定司 (大阪歯科大学欠損歯列補綴咬合学講座) 純チタン金属表面への濃アルカリ処理によりラットの骨髄細胞 の硬組織分化誘導能が向上することを報告してきた。 本研究では,材料表面濃アルカリ処理を施した純チタン金属へ の加熱処理が in vitro レベルでインプラント周囲組織にどのよう な影響を与えるか比較・検討することを目的とする。P
052
多軸鍛造チタン(MDF)の
有床義歯への応用
○仲田豊生1),清水 賢1),鳥居麻菜1),徳江 藍1),新保秀仁1), 三浦博己2) ,早川 徹3) ,木本克彦4) ,大久保力廣1) (1) 鶴見大学歯学部有床義歯補綴学講座,2) 豊橋技術科学大学機 械工学系,3)鶴見大学歯学部歯科理工学講座,4)神奈川歯科大 学咀嚼機能制御補綴学講座) 有床義歯におけるチタンの利用には鋳造欠陥,加工性,耐摩耗 性など,いまだいくつかの改善すべき問題点が残されている。し かし,多方向からの鍛造を繰り返し金属組織を微細化し,強度を 高めた MDF チタンを使用することにより,さらなる改善が図れ る可能性がある。そこで MDF チタンを用いたクラスプの疲労強 度,人工歯の耐摩耗性,フレームワークのプラーク付着性などの 材料特性について実験的な検討を行ったので報告する。P
053
各種セラミックスの表面処理の違い
が対合材料の摩耗に及ぼす影響に
ついて
○小泉寛恭1,2) ,佐伯 修1) ,赤澤伸隆1) ,岡崎智世1) ,成島琴世3) , 堤 光仁4) ,小峰 太1,2) ,松村英雄1,2) (1) 日本大学歯学部歯科補綴学第Ⅲ講座,2) 日本大学歯学部総合 歯学研究所高度先端医療研究部門,3) 歯科榎本医院,4) 堤歯科 医院) ジルコニアをはじめとした各種セラミック材料の表面性状の違 いが球状対合試料の摩耗に及ぼす影響について検討を行った。セ ラミック材料は,ジルコニア,焼成用陶材および二ケイ酸リチウ ムガラスセラミックスを用いて,鏡面研磨面,グレーズ面あるい は粗面に調整した。対合試料は,金合金および二ケイ酸リチウム ガラスを使用した。 その結果,セラミック球状対合試料のグレーズ面が摩耗により 剥離していることが明らかとなった。P
054
上顎パラタルバーの位置による
嚥下時の脳活動について
○生田龍平1) ,玉置勝司1) ,小野弓絵2) ,松本圭祐2) , 片岡加奈子1) ,藤原 基1) (1) 神奈川歯科大学大学院歯学研究科口腔機能修復学講座顎咬 合機能回復補綴医学分野,2) 明治大学大学院理工学研究科電 気工学専攻) 目的:パラタルバーの位置による嚥下困難感と脳活動との関係性 を検討した。 方法:前,中,後のパラタルバーを製作し,バー未装着も含めて 計4パターンの嚥下時の脳活動を NIRS を用いて計測し,同時に VAS を用いて嚥下の困難感を申告させた。 結果:パラタルバー位置の違いによる嚥下困難感は後パラタル バー群が他のどの群よりも有意に大きかった。バー位置による嚥 下困難感の違いを脳活動から評価できる可能性を示唆された。 9P055∼060
日時
10月21日
(金)
12:00
▲
22日
(土)
13:30
会場
福岡サンパレス パレスルームP
055
加齢による義歯支持粘膜の性状と
疼痛閾値の解析
○磯部明夫,佐藤裕二,北川 昇,下平 修,上澤祐子, 高松直也,田中里実 (昭和大学歯学部高齢者歯科学講座) 加齢による義歯支持粘膜の性状と疼痛閾値の変化について不明 な点が多い。そこで若年有歯顎者と高齢無歯顎者の粘膜性状(厚 さ・弾性率)と疼痛閾値(圧力・沈下量・圧縮率)の関係を比較 検討した。その結果,高齢無歯顎者は若年有歯顎者より,粘膜が 厚く,弾性率が小さく,疼痛を感じる時の圧力,圧縮率は小さ かった。 以上より高齢無歯顎者の粘膜は若年有歯顎者と比較し,負担能 力が低い可能性が示唆された。P
056 義歯安定剤の基礎と正しい患者指導
○村田比呂司,山田真緒,岡 ひとみ,高瀬一馬,江越貴史, 廣沢恵介,森 智康 (長崎大学大学院医歯薬学総合研究科歯科補綴学分野) 義歯安定剤は維持,安定の不良な義歯の機能改善を目的として 患者自身によって用いられる市販材料である。かつて本剤に対し ては,術者の治療技術が未熟であるため,患者が使用するという 否定的な見解であった。しかしながら,義歯安定剤は適切な症例 に正しく使用すれば,義歯管理や補綴歯科治療に有効であるとい う報告も多くなされている。 本発表では義歯安定剤の見解,種類,作用機序,機能的効果, 患者指導等について解説する。P
057
BiteEye BE-1™ を用いた
咬合接触検査の有効性
○山内六男 (朝日大学歯学部口腔機能修復学講座歯科補綴学分野) BiteEye BE-1(ジーシー社)では指定のシリコーンチェック バイト材(ブルーシリコーン,ジーシー社)を用いない場合,あ るいはブルーシリコーンの天地や裏表を間違えた場合には検査結 果が大きく異なることが分かった。 また,表示される咬合接触面積は変動が少なく信頼性は高い が,咬合点数は信頼性が低いことも分かった。臨床的には咬合紙 により調整を行った後に BiteEye BE-1で最終検査を行うように している。P
058 MDF 純チタンの特性評価
○荒井佑輔1),星 憲幸1),大久保力廣2),早川 徹3),木本克彦1) (1) 神奈川歯科大学大学院歯学研究科口腔機能修復学講座咀嚼 機能制御補綴学分野,2) 鶴見大学歯学部有床義歯補綴学講座, 3)鶴見大学歯学部歯科理工学講座) 純チタンは,生体親和性に優れるが,弱点として強度に若干劣 る事が知られている。そこで我々は,歯科材料として要望されて きた純チタン材料への高強度化と生体親和性を両立すべく,MDF (多軸鍛造)法を用いた新たな純チタン材を開発し,この評価を 行った。 その結果として,チタン合金と同等以上の強度を持ち,さらに 生体親和性は純チタンと変わらないことを確認したので報告す る。P
059
デジタルデンティストリーの
有床義歯への応用
○田坂彰規1,2) ,三井智治1,2) ,高梨琢也3) ,武本真治2,4) , 松永 智2,5) ,上田貴之6) ,阿部伸一5) ,矢島安朝3) ,櫻井 薫6) , 山下秀一郎1) (1)東京歯科大学パーシャルデンチャー補綴学講座,2)東京歯科大学口 腔科学研究センター,3)東京歯科大学口腔インプラント学講座,4)東京 歯科大学歯科理工学講座,5)東京歯科大学解剖学講座,6)東京歯科大学 老年歯科補綴学講座) デジタルデンティストリーの普及により口腔内スキャナーを用 いた光学印象から3D プリンタで歯冠補綴装置を製作できるワー クフローは確立されつつある。 一方,有床義歯においては粘膜という大きな被圧変位性を有す る粘弾性体を対象とするため,その応用が困難とされている。そ こでデジタルデンティストリーの有床義歯への応用を目標に,顎 堤粘膜に対する光学印象および3D プリンタで製作した義歯床の 精度検証を行った。P
060
実験的口蓋床の厚みが音声認識率と
オーラルディアドコキネシスに
及ぼす影響
○辰巳浩隆,樋口恭子,小出 武,米谷裕之,辻 一起子, 米田 護,大西明雄,谷岡款相 (大阪歯科大学総合診療・診断科) 発音機能と補綴物との関係の一端を検索するため,音声認識ソ フトの AmiVoice Ex を用い,青年歯科医師を対象に実験的口蓋 床を装着させた群と非装着群における音声誤認識率とオーラル ディアドコキネシスを測定した。 その結果,床の厚みの増加に従い平均誤認識率の上昇がみられ た。また床の厚みが増すにつれて/ta/と/ka/の低下が認められ た。 このことから,床の装着は音声認識率の低下と舌運動の抑制を 起こすことが示唆された。 10P061∼066
日時
10月21日
(金)
12:00
22日
(土)
13:30
会場
福岡サンパレス パレスルームP
061
新規バイオセンサを利用した口腔内
における義歯の汚れの脱着の解析
○小正 裕1) ,三宅晃子2) ,小正 聡2) ,橋本典也3) ,髙橋一也1) , 岡崎定司2) (1) 大阪歯科大学高齢者歯科学講座,2) 大阪歯科大学欠損歯列補 綴咬合学講座,3) 大阪歯科大学歯科理工学講座) 無発泡性過ギ酸(大阪電気通信大学提供)は新規義歯洗浄剤と して応用可能であるかを検討した。QCM センサにスピンコート 法にて義歯表面を模倣した PMMA が成膜されている事を SPM, XPS,ぬれ性にて測定した。QCM 装置にて,タンパク質付着後 の PMMA センサに過ギ酸を用いるとタンパク質が脱着していく 様子を認める事ができた。 以上の結果から,無発酵性過ギ酸は,新規義歯洗浄剤として有 用であることが示唆された。P
062
アイトラッキングシステムを用いた
口元写真に対する注視点分析
○山本真由,鳥井克典,安井由香,覺道昌樹,佐藤正樹, 田中昌博 (大阪歯科大学有歯補綴咬合学講座) 審美不良部位を有する口元は,負の印象を与える可能性があ る。審美不良部位が他人から見られていることが客観的に明らか となれば,エビデンスに基づく審美修復の必要性や意義が患者に 理解されやすく,患者の QOL の向上につながる。 本研究では,アイトラッキングシステムを用いて,口腔内に審 美不良部位を有する口元写真に対する注視点分析を行い,審美不 良部位を注視していることが明らかとなったため,報告する。P
063
各種歯冠修復材料のぬれ性に対する
低温大気圧プラズマの最適条件
○山村高也,大河貴久,伊東優樹,吉江 啓,藤井孝政, 田中昌博 (大阪歯科大学有歯補綴咬合学講座) 物性を損なわずに,材料表面のぬれ性を向上させる表面処理方 法として,工業界では,低温大気圧プラズマ処理が注目されてい る。歯冠修復材料の確実な接着には,表面のぬれ性が重要であ る。本研究では,歯冠修復材料のぬれ性に対する,低温大気圧プ ラズマの最適条件について検討した。結果,歯冠修復材料のぬれ 性に対して,低温大気圧プラズマの有効性および最適条件が明ら かになった。P
064
訪問診療に役立つ総義歯製作法の
考案
○柿本和俊,有川香織,山田佳名子,山根菜美,髙橋一也, 小正 裕 (大阪歯科大学高齢者歯科学講座) 訪問診療で,安全かつ短時間で全部床義歯を製作する方法を検 討した。既製トレーとパテタイプのシリコーン印象材で印象採得 後,咬合面にユーティリティーワックスを付着した下顎咬合床で 咬合採得した。ベッドサイドでの咬合床の修正が困難であり,約 5mm 高い咬合高径で咬合採得し,咬合器上で咬合高径を低下さ せた。その後は通法で義歯を製作した。装着時に咬合調整に約20 分を要したが,経過観察では大きな問題はなかった。P
065
審美性と強度を兼ね備えた
ナノジルコニアクラスプの創製
○岡崎定司,小正 聡,佐藤 航,西崎 宏 (大阪歯科大学欠損歯列補綴咬合学講座) われわれは高い破壊靱性を持ちながら弾性も有するナノジルコ ニアに着目し,審美性・機械強度に優れた新規クラスプの開発を 行い,臨床応用を目指す。 作業模型上で設計し CADCAM 法により作製したナノジルコ ニアクラスプの一例を示す。P
066
チタン成膜を行った QCM センサ
による骨髄細胞の初期接着の測定に
ついて
○田代悠一郎1) ,小正 聡1) ,三宅晃子1) ,中澤修一1) , 橋本典也2) ,西崎 宏1) ,小正 裕3) ,岡崎定司1) (1) 大阪歯科大学欠損歯列補綴咬合学講座,2) 大阪歯科大学歯科 理工学講座,3) 大阪歯科大学高齢者歯科学講座) 純チタン金属を物質の QCM センサ上にスパッタ法にて製膜 し,ラット骨髄細胞の初期接着について検討したところ,無処理 のセンサと比較して高度の初期接着を認めた。このことからこの センサはインプラント表面上の観察に有用であることが明らかと なった。 11P067∼072
日時
10月21日
(金)
12:00
▲
22日
(土)
13:30
会場
福岡サンパレス パレスルームP
067
ナノ構造析出純チタン金属表面に
対する細菌付着に関する検討
○Zhang Hong Hao,小正 聡,真下千穂,Chen Luyuan, 西崎 宏,王 宝禮,岡崎定司 (大阪歯科大学欠損歯列補綴咬合学講座) これまでナノ構造制御した純チタン金属板に対するラット骨髄 細胞の接着および分化誘導について検討してきた。インプラント 周囲炎に関する細菌付着に関する検討も必須である。 本研究では初期付着細菌の純チタン金属板への付着について興 味深い知見を得られたので報告する。