2018年8月6日確定 (建築資格研究会)
(注1) 温水プール (確定エスキス解説含む)
事前公表(注1)は、「健康増進のためのエクササイズ等を行う温水プールのある建築物の計画」であ
る。
このことは、「健康増進」を目的とした「エクササイズ等」と「温水プール」が出題されるという意味である。
その中で規模が大きく大空間となる「
温水プール
」は、本年度の課題の最重要となる要求室である。
⇒研究会は、H30の書くべき「温水プールの基本図」を以下に示す。
ここが最重要(
合否決定要因
)であり、エスキスを高速に終了させるポイントともなる。
※温水プールは、10m×20m程度の大きさになることから、建物の
約1/3
の平面図を占める。
プール水深1.2mのスラブ段差と、プール直下に機械室(空調機械室やろ過器循環等)を計画する
ことから、1階機械室、2階プール、3階吹抜けの
3フロア
を占めることとなる。
更に、付随する更衣室は、隣接させつつ、ドライゾーンとウエットゾーンを明確に分ける必要がある。
この更衣室の計画では、温水プールの「
避難距離
」との関連が深い(こちらは(注3)避難等参照)。
また、断面図では、プール床構造、無柱仕様(プレストレストコンクリート梁)、高天井部の落下防止
策
と共に、「
パッシブデザイン
」を記載する必要がある(こちらは(注2)パッシブデザイン参照)。
⇒ここに示した基本図を丸暗記し、更に補足した応用編を含め、高速にエスキスを完了して下さい。
1.建物寸法とスパン割り
・敷地寸法は、横50m×縦36m程度と推定する(過去問分析と試験用紙A2平面3面から規模逆算)。
・スパン割りは、階段(5×7m)や柱4本間の面積が経済性等から50㎡程度が望ましく7m×7mスパン割りがベストである。
⇒状況によっては、7m×6m、7m×8mも可(4本柱内約50㎡)とするが、基本は7m×7mスパン割りで計画する。
⇒架構方式は、純ラーメン架構(柱・梁で構造体を受持)にすることで、各要求室は間仕切り壁が自由に設計できる。
要求室が40㎡割りの面積が多い課題は、7m×6mスパン割りが良いとされているが、廊下との組合せ等の工夫で、
7m×7mスパン割りでも特に問題なく設計できる。また、無柱空間とする温水プール(軽運動室含む)は、14m程度
ならプレストレストコンクリート梁にすることが可能である(S造梁にしない理由は同一構造体優位性と作図時間短縮)。
・敷地を50×36mと推定すると、7m×7mスパン割りなら、横6コマ縦4コマを標準とする(図1参照)。
⇒7m×7mスパンで横6コマ縦4コマなら、42m×28mであり、周囲8m確保できる(道路側を6mに駐車場を設ける)。
図1 南・東道路の7m×7mスパン割り(横6コマ縦4コマ) (道路北・西は180度反転)
2m
38m
50m
7m 7m 7m 7m 7m 7m 6m
2m
7m
7m
7m
7m
6m
道路境界線
道
路
境
界
線
18m
35m
50m 8m
N
縮尺 1/1,500
車 道
商業施設
公
園
敷 地
1,750㎡
公 園
歩 道
歩 道
駅
前
商
店
街
駅
前
商
店
街
駅
商業施設
歩行者専用道路
( 21時 ~ 翌6時まで車両通行可)
集合住宅
商
店
街
歩行者専用道路
( 21時 ~ 翌6時まで車両通行可)
35m
50m
N
縮尺 1/1,000
敷 地
1,750㎡
16m
集
合
住
宅
車 道
歩 道
歩 道
16m
集合
住宅
一戸建て住宅
車
道
歩
道
歩
道
公
園
公 園
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
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縮尺1/2,000
N
樹 林
渓 流
道 路
50m
1,800㎡
敷 地
6m
36m
樹 林
18m
歩 道
歩 道
車 道
親水公園
敷地
6m
36m
18m
縮尺
1/2,000
地形略
断面図
35m
50m
N
縮尺 1/1,500
車 道
敷 地
1,750㎡
湖
歩 道
歩 道
敷
地
企業保養所
( 地 上 2階建て)
砂 浜
12m
遠 く に山々が見え
景色が よ い
樹林
樹林
( 地 形 略断面図)
縮尺 1/1,500
H24の敷地配置図
2.建物寸法の過去問事例
・過去問を分析すると、H24、H25、H27は50×35mであり、H26、H29は50×36mであった。
・今年は、大規模となる温水プールがあるので、50×36mと推定する。
⇒参考までにH24~H29の敷地を下記に示す。
H25の敷地配置図
H26の敷地配置図 H27の敷地配置図
H28の敷地配置図 H29の敷地配置図
会員講座で公開
図2 道路南・東の2階温水プール平面図 (道路北・西は180度反転)
3.2階の温水プール平面図
・今年の課題で最も大きな要求室は、温水プールである。従って、温水プールの配置が最も重要となる。
⇒温水プールは、建物内(横6コマ縦4コマ)の中でサブ道路側の横2コマ縦4コマを推奨する(図2参照)。
・その理由は、最も大きい温水プールを右側か左側の一角(横2コマ縦4コマ)にすることで、残りの横4コマ縦4コマ
のスペースに多くの要求室を計画し易いからである(縦動線、管理・利用者ゾーン分け、各種要求室が計画し易い)。
⇒横2コマ縦4コマ=14m×28mがプール配置となる(PC梁による無柱あり)。
・温水プール内の計画ポイントは、以下の通り(図2参照)。
① 14m×28mのうち、プール周囲の最短距離は1m、反対側2mとすると、プール最大11m×25mが確保できる。
② プール大きさは指定される可能性が高く、その場合、8m×20m程度での指定と推定する。
③ 8m×20mの指定ならば、監視室、採暖室、器具庫の3室と併せて基本計画として覚えると良い。
④ 8m×24mの指定の場合、監視室、採暖室、器具庫はプール内に入らないので、左の管理ゾーンへずらす。
⑤ 更衣室は、温水プールへ隣接させて計画する(足洗場、シャワー、洗面、便所、ロッカー)。
⑥ 更衣室は、ドライゾーンとウエットゾーンを明確に分けて計画する(更衣室から直接プールへ入る動線あり)。
⑦ 温水プールは、ほぼ2階での計画となるので、避難距離の対象となる可能性が高い。
⑧ 温水プールの避難距離は、建基法別表1(3)水泳場に該当し、歩行距離60m(重複区間30m)である。
⑨ 避難経路を温水プール上にとってはならない(泳いで逃げる距離はダメ)。
⑩ この重複区間30mの確保が、かなり厳しいので、計画段階から2方向避難を考慮する(図2参照)。
⑪ 図2の2方向が取れない場合、更衣室内に非常時開口扉を設けて避難経路とする(更衣室も避難経路可)。
⑫ 利用者用階段とEVは、プール外の横4コマのほぼ中心が入口(道路側)となるので、その左右で計画する。
⑬ その反対側、図2なら北側のほぼ中心に、2方向避難を考慮して管理者用階段とEVを計画する。
上記計画で、ほぼH30のプラン割が決まる。プールは道路配置により左右どちらかで横2コマ縦4コマとする。2方向避難を
考慮して、プール外の中心部の上下に階段とEVを配置する。更衣室は、プールに隣接させて中心部に計画する。その他
大規模が想定される軽運動室は、3階に計画するが、吹抜けが必要な条件があると、2階となる。1階は毎年想定し難い要
求室、単純にはレストラン等が来る可能性が高い。この考え方を基本とすれば、かなり高速にエスキスが終了する。なお、温
水プールの規模によっては、この部分のスパン割を6m×7mか、7m×8mに変更することも可とする。
2m
38m
50m
7m 7m 7m 7m 7m 7m 6m
2m
7m
7m
7m
7m
6m
道路境界線
道
路
境
界
線
採暖室 監視室
器具庫
温水プール
(8×20m)
男子更衣室
足洗槽
足洗槽
便所
便所
洗面
洗面
シャワー
シャワー
シャワー
シャワー
女子更衣室
階段
EV
EV 階段
2方向避難
温水式床暖房
2階ホール
管理ゾーン
管理ゾーン
利用者ゾーン
DS
利用者ゾーン
利用者廊下
管理者廊下
煙突
水平ルーバー
垂 直ルーバー
Low-E複層ガラス
Low-E複層ガラス
会員講座で公開
4.3階の温水プール平面図
・3階の温水プール平面図は、吹抜けとなるので、記載事項は、下記ポイントとなる(図3参照)。
① 上部開閉式トップライトを記載する(断面図との連動)。
② 上部PC梁を記載する(断面図との連動)。
③ プール観覧室がある場合、シャッター(特別防火設備)を記載する(断面図との連動)。
④ DSを記載する。
⑤ 西側窓に垂直ルーバーを記載する。
⑥ 南側窓に水平ルーバーを記載する。
⑦ 南と西面窓にLow-E複層ガラスを記載する。
上記①~⑦は、書き忘れないようにしたい。・・・書き忘れは-1点、つまらないミスで-1点はもったいない。
※パッシブデザインは(注2)を、特定防火設備は(注3)を一緒にご確認下さい。
図3 道路南・東の3階温水プール平面図 (道路北・西は180度反転)
2m
38m
50m
7m 7m 7m 7m 7m 7m 6m
2m
7m
7m
7m
7m
6m
道路境界線
道
路
境
界
線
上部PC梁
上部開閉式トップライト
(自然採光・自然通風)
DS
煙突
垂 直ルーバー
水平ルーバー
プール観覧室
シャッター
( 特定防火設備)
温水プール上部
Low-E複層ガラス
Low-E複層ガラス
会員講座で公開
5.温水プールの断面計画
・温水プールの階数計画は、1階機械室、2階プール、3階プール吹抜けを推奨する(図4参照)。
・以下、断面計画のポイントを列記する。なお、断面図は、(注2)パッシブデザインで詳細に記載する。
① 課題は3階建てであり、機械室はプール下部が望ましい(ろ過器の循環や空調機械室からのダクトルート等)。
② 天井高さ6m以上を考慮すると、2階と3階の階高は4mとなる。
③ 高天井では、天井落下防止対策を記載する((注2)パッシブデザイン参照)。
④ プールスラブ段差は、1.2mが一般的である(課題で指定される可能性が高い)。
⑤ スラブ段差の中心部の段差部大梁は、600×1200mm程度とする。
⑥ スラブ段差の段差部小梁は、500×700mm程度とする。
⑦ 給排水衛生設備は、ボイラー、貯湯槽、温水プール用循環ろ過器、温水床暖房、ポンプ等がある。
⑧ 空気調和設備は、室容積への空調負荷を考慮すると単一ダクト方式となる(機器搬入等から1階)。
※断面図は、(注2)パッシブデザインで詳細に記載するので、そちらを参照して下さい。
4m
4m
6m
7m 7m
14m
天井落下防止対策
屋内プール
(3階吹抜け)
機械室
14m
1階
2階
3階
図4 温水プールの断面計画
会員講座で公開