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交通事故の被害に遭ったときに知らないと損する交通事故損害賠償必携マニュアル ( 後遺障害編 ) みらい総合法律事務所

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交通事故の被害に遭ったときに

知らないと損する交通事故損害賠償

必携マニュアル(後遺障害編)

みらい総合法律事務所

0120-962-845

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内容

1 手続の流れ ... 4 2 交通事故で発生する法律関係... 5 3 治療... 7 4 治療費打ち切り... 8 5 自賠責保険と任意保険 ... 9 6 症状固定と自賠責後遺障害等級認定 ... 14 7 示談交渉 ... 17 8 法的手続について... 18 9 請求できる損害賠償の内容 ... 21 あとがき... 54

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こんにちは。 無料レポートをご請求いただき、ありがとうございます。 みらい総合法律事務所では、交通事故の被害者救済のため、交通事故損害賠償に力を 入れています。年間1,000件以上のお問い合わせやご相談をいただいております が、多くの方が交通事故の被害に遭われるのは初めてのため、「何をどうしてよいの かわからない!」というお話をよく聞きます。 そこで、この無料レポートでは、交通事故の被害者が損害賠償を得るためにどのよう な手続を経ていくのか、という概略をまとめております。 人間、知らないことに対しては、とても不安になります。不安を解消し、自信をもっ て示談交渉に臨みましょう。 後遺障害等級12級以上であれば、弁護士に依頼した方がメリットがあるとは思いま すが、それにしても、まずは被害者本人が手続の概略を把握しておかなければなりま せん。それに弁護士に相談、依頼するタイミングも重要です。 交通事故の被害者は、法律上、当然に適正な賠償金を得る権利があります。 被害に遭ったのに、当然の権利を放棄しないようにしてください。 そして、その権利を守るのは「知識」なのです。 ぜひ、この小冊子を読んで、その「知識」を身につけていただきたいと思います。

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1 手続の流れ

交通事故損害賠償の手続きの流れは、次のようになります。 ① 事故現場にて、事故状況、加害者、自分の怪我などを確認する。 ↓ ② 警察への通報、実況見分調書の作成 ↓ ③ 保険会社への通知 ↓ ④ 治療、保険会社から治療費・交通費・休業補償などの支払い ↓ ⑤ 治療の終了(症状固定) ↓ ⑥ 自賠責後遺障害等級認定 ↓ ⑦ 損害額の確定 ↓ ⑧ 示談交渉 ↓ ⑨ 示談成立、法的手続

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2 交通事故で発生する法律関係

交通事故で発生する法律関係には、3種類があります。全て別々の手続です。 ①行政手続き ②刑事手続き ③民事損害賠償手続き ①行政手続き 加害者の免許に関し、減点や免許取消などの行政処分に関する手続です。被害者が ここに関与することはありません。 ②刑事手続き 加害者の刑事処分を決める手続です。加害者を起訴(裁判)するかどうかは検察官 が決めます。最終的な刑事処分は裁判所が決めます。 刑事手続きに被害者が関与するのは、事情聴取と実況見分からです。警察から、診 断書の提出も求められます。どの程度の怪我かによって、刑事処分の重さも違って きます。 頸椎捻挫や腰椎捻挫は当初「2週間の加療を要する。」などと診断書に記載される ことが多いのですが、実際には半年間も通院することも稀ではありません。したが って、当初提出した診断書が変更になるようなときは、新しい診断書を取得して警 察に提出するようにしましょう。 また、実況見分で作成される実況見分調書は、後々の民事損害賠償で極めて重要な 証拠となります。自分の記憶に従って、きちんと主張しておきましょう。ほとんど がこの実況見分調書に従って事故態様が決定され、過失割合が決まってきてしまう からです。 事実と異なる記載がされている場合でも、警察官の誘導が強く、「後で訂正すれば いいや」と思っても、一度作成された実況見分調書は、まず訂正されることはない、

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記憶と異なるのであれば、断固として「違います」と言っておかなければ、後で不 利益を被ることになるのです。 特に、過失割合が10%異なることになった場合には、どうなるでしょうか? 賠償金が1,000万円だったら、実況見分調書が間違っていたことで、900万 円にもなり、100万円損をしかねないのです。 それほど重要なものだと考えておきましょう。 さらに、刑事処分を決める際には、被害感情も影響を与えます。「厳重に処罰して 欲しい。」のか「寛大な処分を望む。」のか、必ず聞かれますので、回答を準備し ておきましょう。 どちらでもよければ、「法に従って適正に処分してください。」と言っておけばよ いです。これまでの経験では、被害者の被害感情からすると、加害者の刑事処分は 軽いと感じているようです。「寛大な処分をしてください。」と言ってしまい、後 で後悔している被害者もいます。そのあたりも考えておきましょう。 ③民事損害賠償手続 この手続きが、この無料レポートで説明する手続きです。

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3 治療

刑事手続きの進行と同時に、被害者としては、治療に専念することになります。労 災保険を使用できれば労災保険を、なければ健康保険を使用しましょう。健康保険 を使用しない自由診療では、診療報酬が多額になってしまい、過失相殺が出てきた ときに差し引かれる金額が大きくなるので損です。 治療をしながら、加害者側の任意保険会社(加害者が無保険であれば、自分の任意 保険の「無保険者傷害特約」)より、治療費・交通費・休業補償などの支払いを受 けることになります。この段階ではまだ過失割合などが確定しませんので、保険会 社とは良好な関係を保ち、きっちり支払いをしてもらいましょう。 なお、注意点としては、領収証を必ず保管しておくこと、保険会社に提出する書類 は、必ずコピーを取っておくこと、むやみにタクシーや入院で個室などを使用しな いこと、ということです。そのときにタクシー代や個室代が出たとしても、後でひ っくり返される時もあります。タクシー通院や個室使用の時は、必ず医師から、そ の旨の指示書を書いてもらっておきましょう。 ※ 保険会社が個室使用やタクシーを認めたとしてもです。 保険会社に提出した書類のコピーを取り忘れた場合には、保険会社に、「これまで に提出した全ての書類の写しを下さい」と言えば、送ってくれます。

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4 治療費打ち切り

治療を続けていて、被害者が困ることの一つに、保険会社による治療費打ち切りの 問題があります。交通事故により、傷害を負って、治療を継続しているにもかかわ らず、途中で保険会社から「今月で治療費の支払をやめますので、治療を打ち切っ てください。」という趣旨の発言がなされるのです。 保険会社は、治療費を支払う際には、被害者から医療照会の同意書を取り、病院に 対して医療照会をし、かつ診療報酬明細書や診断書を徴求します。それを保険会社 の顧問医に見てもらったりしながら、相当な治療かどうかを判断します。その結果、 すでに治癒ないし症状固定と判断したときは治療費打ち切りを通告してきます。 しかし、これは保険会社が勝手に判断して打ち切っているだけのことです。「これ 以上治療をしてはいけない。」という意味ではなく、「保険会社としては、治療は完 了ないし症状固定と判断するので、治療費は支払えません。ただし、後で治療が必 要だったとわかった時は、その分は後で払います。」ということだと理解してくだ さい。 したがって、保険会社から治療費打ち切り通告が来た場合には、被害者としては、 主治医とよく相談して、治療効果が上がっている場合には、主治医から保険会社に 治療の必要性をよく説明してもらってください。 それでも保険会社が治療費を打ち切る場合には、被害者としては、症状固定にする か、あるいは、保険会社を無視して治療を継続することになります。 ただし、保険会社からの治療費支払いがなくなりますので、以後は、治療費を立て 替えて支払わなければなりません。支払った治療費は、後で示談ないし訴訟におい て精算されることになります。 被害者としては、賠償よりも、まずは傷害が治癒することが第一です。治療に専念 しましょう。

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5 自賠責保険と任意保険

交通事故の被害に遭ったときに、必ず確認しておかなければならないことがあります。 それは、加害者あるいは加害者車両の加入している自賠責保険(共済)と任意保険(共 済)です。自賠責保険というのは、自動車損害賠償保障法に基づいて強制的に入らな ければならない保険のことです。他方、任意保険というのは、加入するのが自由な保 険です。 自賠責保険は、人身事故による人身損害を保障することを目的としたものであり、最 低限の保障をその保障内容としており、全損害を填補するのは不十分です。そこで、 自賠責保険で填補できない損害を填補するために、任意保険が締結されるわけです。 自賠責保険と任意保険には、概ね次のような特徴があります。 <自賠責保険> 1. 全員加入しなければならず、加入しない場合には罰則あり。 2. 人身事故のみ適用され、物損事故では保険支払われず。 3. 支払われる損害賠償額(被害者請求の場合)ないし保険金(加害者請求の場合) の額が定額化されている。 4. 示談代行サービスはない。 <任意保険> 1. 加入義務がない。 2. 人身事故にも物損事故にも対応できる。 3. 契約により保険金の額や補償内容が異なる。 4. 示談代行サービス(加害者の代理人として保険会社が交渉するサービス)がある 場合あり。 したがって、自賠責部分が最低限の部分、任意保険が上乗せ部分となるわけですが、 どちらから先に支払ってもらうのか、については、選択することができます。被害者 は、まず自賠責保険会社に対して、被害者請求として「仮渡金請求」「損害賠償額の

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は請求せずに、「一括払い」という方法で、任意保険会社が自賠責保険の支払う分も 含めて被害者に賠償金を支払い、後日任意保険会社が自賠責保険会社に自賠責保険の 額を請求するという方法があります。 どちらが良いかは一概には言えませんが、自賠責保険は、後遺障害部分を除いて12 0万円が上限の支払金額になっているので、治療費が120万円を超える場合には、 治療費は任意保険会社に支払ってもらわなければなりません。しかし、任意保険会社 の治療費の支払が悪い場合には、自賠責保険に被害者請求をして、治療費を確保する 必要がでてきます。 後遺症が残る事案で自賠責保険に被害者請求をするかどうかについては後で説明し ます。後遺症が残らない事案において、自賠責保険に被害者請求をした方が良い事案 としては、次のような場合があります。 <任意保険会社の動きが悪い場合> この場合には、治療費の支払い、交通費の支払い、休業補償など、すぐに必要なお金 に影響を与えますので、任意保険会社に任せず、自分で被害者請求をした方が良いで しょう。 <自分の過失が大きい場合> 任意保険の場合は、被害者側の過失は全て支払額に反映されます。したがって、被害 者側の過失が大きい場合には、任意保険会社は支払を渋る可能性があります。しかし、 自賠責保険においては、7割以上の過失でなければ支払額を減額されません。したが って、自分の過失が大きいと思われる場合には、自賠責保険に被害者請求をした方が 良いでしょう。 さて、自賠責保険の調査手続の説明をします。 自賠責保険の調査の手続は、「損害保険料率算出機構」(損保料率機構)が調査を行い、 その結果に基づき支払を行われます。被害者が被害者請求をした場合、あるいは加害 者側が請求をした場合、調査は、具体的には、自賠責保険会社が書類を整え、都道府 県庁所在地等にある「自賠責損害調査事務所」に書類を送付し、同事務所において事 故を調査します。自賠責損害調査事務所は、調査が終了すると、その結果を自賠責保

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険会社に通知します。自賠責保険会社は、その結果に基づき、支払額を確定し、請求 者に支払うこととなります。 自賠責保険算定基準 1. 入院中の看護料 (原則として 12 歳以下の子供に近親者が付き添った例) 1 日 4,100 円 2. 自宅介護、通院看護、近親者 1 日 2,050 円 3. 入院諸雑費 1 日 1,100 円 4. 休業損害 (但し、それ以上の証拠資料があるときは別途。) 1 日 5,700 円 5. 傷害慰謝料 1 日 4,200 円 6. 後遺障害慰謝料 別表参照 7. 死亡慰謝料 本人(相続される) 350 万円 遺族 1 人 550 万円 遺族 2 人 650 万円 遺族 3 人以上 750 万円 8. 葬儀費用 原則 60 万円(100 万円以下)

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自賠責後遺障害慰謝料 被害者請求により、自賠責保険会社から後遺障害分として受け取れる金額 自賠法別表第1 等級 保険金額 第1級 4,000 万円 第2級 3,000 万円 自賠法別表第2 等級 保険金額 第1級 3,000 万円 第2級 2,590 万円 第3級 2,219 万円 第4級 1,889 万円 第5級 1,574 万円 第6級 1,296 万円 第7級 1,051 万円 第8級 819 万円 第9級 616 万円 第10級 461 万円 第11級 331 万円 第12級 224 万円 第13条 139 万円 第14条 75 万円

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自賠責保険の重過失減額 自賠責保険は、被害者救済のための保険であり、被害者の過失が7割未満の場合には、 損害賠償額ないし保険金額の減額はありません。しかし、それ以上の場合は、以下の ようになります。 後遺障害・死亡事案 被害者の過失が 7 割以上 8 割未満 2 割減額 8 割以上 9 割未満 3 割減額 9 割以上 10 割未満 5 割減額 傷害事案 被害者の過失が 7 割以上 10 割未満 2 割減額

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6 症状固定と自賠責後遺障害等級認定

交通事故で傷害を負い、入通院を続けていると、治療が完了し、完治するときがきま す。この時点で損害額が確定し、示談ないし訴訟の手続に入っていくことになります。 ところが、治療もむなしく完治せず、後遺障害が残ってしまうことがあります。 後遺障害が残るかどうか、というのは、「症状固定時」において判断します。「症状固 定」というのは、簡単に言うと、「これ以上治療を継続しても、治療効果が上がらな くなった状態」のことです。 主治医と相談し、このような状態になったと判断されれば、「症状固定」とします。 症状固定となると、それ以上治療を継続しても、治療効果が上がらないわけですから、 その後治療を継続したとしても、原則として治療費は損害賠償の範囲に含まれません (もちろん症状が固定しても医学上治療が必要な場合は含まれます。)。 また、症状固定後の休業損害は、後で説明する後遺障害逸失利益に含まれて計算され るので、休業損害は発生しないことになります。つまり、症状固定により、交通事故 によって被った損害が確定し、示談ないし訴訟手続に移行することになるのです。 症状固定になった場合には、後遺障害等級認定手続に入っていきます。後遺障害が残 った場合には、この後遺障害等級認定が極めて重要となります。 後遺障害等級認定の手続は、「損害保険料率算出機構」(損保料率機構)というところ が行います。 後遺障害等級認定は、被害者からも請求できるし、任意保険会社を通してもできます。 被害者から請求する場合を「被害者請求」、任意保険会社から請求するのを「事前認 定」といいます。 どちらの手続を取っても結構ですが、やり方次第で結果が変わるような時は「被害者 請求」が望ましいですし、手続が面倒な時は「事前認定」ということになります。

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「やり方次第で結果が変わる時」という判断は、ケースバイケースであり、ここで書 き切れませんので割愛します。 「やり方次第で」ということは、医学的知識や自賠責後遺障害等級認定のシステムな ど、交通事故に関する深い知識があって初めて可能になることですから、ある程度重 い障害の方は、交通事故に精通した弁護士に依頼することをおすすめします。 「交通事故に精通した」というのは、弁護士にも得意不得意があり、交通事故に精通 した弁護士でないと、自賠責後遺障害等級が適正に認定されているかどうか、判断が 難しいということです。 被害者請求をする場合には、まず交通事故証明書を取得します。交通事故証明書を取 得するための用紙は、最寄りの警察署の受付に備え付けてあるのが通常です。そこで もらって必要事項を記入して、実費を郵便局から送金するだけです。 交通事故証明書は送られてきますが、そこに、加害者が加入している自賠責保険会社 が記載してあります。そこに記載してある自賠責保険会社に連絡をして、「後遺障害 の被害者請求用の書類一式を下さい。」と依頼します。そうすると、書類を送ってく れます。 あとは、その中に説明のためのパンフレットが入っていますので、そのとおりに手続 をすればOKです。 まず、「自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書」を主治医に記入してもらいます。 複数の診療科にかかっているときは、すべての診療科で記入してもらいます。 その際、考えられるすべての検査をしてもらってください。頚椎捻挫や腰椎捻挫の場 合でも、MRI必須です。 自覚症状の欄には、漏らさず自覚症状を記入してもらってください。漏れがあると、 その自覚症状がないものとみなされてしまいます。

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他覚所見の欄も同様です。漏れがあると、障害がないものとみなされてしまいます。 それらが終わったら、後遺障害診断書と画像、検査結果をセットにして被害者請求を しましょう。 後遺障害の認定にかかる期間ですが、後遺障害の内容にもよりますし、資料の不足が あるかどうかなどによっても変わってきます。軽ければ1ヶ月程度、重ければ半年近 くかかることもあります。 後遺障害等級認定が届いたら、その等級と理由を確認します。そして、その等級に納 得した場合には示談交渉に入っていきます。しかし、その等級に納得出来ないときは、 異議申立をすることになります。 異議申立は何度でもできます。ただ異議を申し立てるだけでは、同じ結果になるだけ です。上位等級が認定されなかった理由を確認し、それを補う診断書、所見、画像、 検査結果などを収集して異議申立を行うこととなります。

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7 示談交渉

後遺障害等級が認定されたら、いよいよ示談交渉に入ります。 自分で損害賠償金を計算できれば良いですが、ほとんどの被害者の方はそれができま せんので、まず保険会社の方から賠償金を提示させます。そして、それをもとに示談 の交渉をすることになります。 この時点では、必ず弁護士に相談するようにしてください。なぜなら、保険会社から 提示された賠償金の額のどこが不当で、どこが適切なのか、専門知識がなければわか らないからです。それに、過失割合もあるのか、ないのか、何対何が妥当なのか、は 難しい問題です。 また、実務では、様々な事情により、相場より高額の賠償金を得られる場合もあれば、 逆に、相場より低い賠償金になる場合もあります。 それを知らずに示談交渉していると、かえって不利な結果になる可能性があるのです。 そして、弁護士相談の結果、自分でできそうな時は自分で交渉を継続し、自分では無 理そうなときは費用をよく確認した上で、メリットがありそうなら弁護士に依頼すれ ば良いのです。 弁護士に示談交渉を依頼すると、通常のペースであれば、だいたい交渉開始から3ヶ 月以内くらいで、示談でまとめるか、訴訟に移行するか、のめどが立ちます。その時 点で、また、よく弁護士と相談して方針を決めれば良いと思います。 示談の時は、「示談書」を取り交わします。「免責証書」という書類を示談書の代わり に使用することもあります。弁護士に依頼していれば、この書類作成も全て弁護士が 行います。

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8 法的手続について

任意保険会社と交渉をしても、示談が成立しなかった場合には、次の段階に進まなけ ればなりません。弁護士に依頼した場合でも、後遺障害等級が12級から14級くら いの場合には、示談でまとまることも多いのですが、後遺障害等級が上位等級になれ ばなるほど、被害者側が請求する金額と、任保険会社が提示する金額に差が大きくな り、示談ではまとまらないケースが多くなります。 訴訟とは、裁判所に対し、最終判断である「判決」を求めて訴えを起こすことです。 もちろん途中で裁判所より和解の勧告が入り、「裁判上の和解」が成立することも多 くあります。 しかし、訴訟を提起した場合には、和解が成立しなかったときには、「判決」になっ てしまうという心理的なプレッシャーがあり、調停の場合よりも和解が成立しやすい 状況が整っています。 日本の法律では、訴訟というのは、弁護士に頼まず、自分で行うことができます。し かし、交通事故の裁判というのは、専門的な知識を要し、なかなか自分で遂行してゆ くことが困難です。 東京地方裁判所では、民事第27部が交通事故訴訟の専門部となっており、専門性が 高まっています。したがって、交通事故損害賠償で訴訟を起こすときには、弁護士に 依頼するのが良いでしょう。 では、訴訟の流れを簡単に説明します。 訴訟を起こすには、訴状を裁判所に提出します。そうすると、裁判所は、訴状を審査 した上、第一回口頭弁論期日を定め、被告に対して訴状と呼出状を送ります。 ここで問題となるのは、被告を誰にするか、という点です。まず、運転者は、過失に よって事故を起こしたのですから、不法行為に基づく損害賠償責任を負担しますので、 被告にします。

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そして、自賠法により、加害者の自動車の保有者も人身損害の賠償責任を負担してい ること、自動車の保有者がほとんどの場合に任意保険に加入していることから、自動 車の保有者を被告にすることが考えられます。さらに、その事故が業務時間中に起こ った場合には、加害者の使用者である会社などに使用者責任が発生することもありま す。 このように、被告を誰にするか、という点でも色々な観点から考えなければなりませ んので、この点は、弁護士の判断に任せた方が良いでしょう。 ここで注意すべきは、被告が多ければ多いほど良いということではありません。当事 者が多いと、弁護士の数も多くなり、そのため期日の調整が難しくなり、裁判の期日 が延びてしまい、または争点が増えてしまい、裁判が長引く傾向にあります。任意保 険会社からの支払を狙っているのであれば、被告を絞ることを考えてもよいでしょう。 さて、裁判が始まると、双方が事実の主張及び法律上の主張を闘わせます。主に書面 にてやり取りが行われますが、それと併行して証拠書類も提出していきます。損害額 の立証は、被害者側が行わなければならないので、治療の期間中必要となった費用の 領収証は全てとっておき、整理しておかなければなりません。 また、事故前の収入と症状固定後の収入についても問題となりますので、証拠を集め ておきましょう。 そのような過程を経て、主張の整理と証拠の提出が終わると、証人尋問に入る前に、 裁判所から多くの場合、和解の勧告があります。それまでの訴訟の経緯から、すでに 裁判所がだいたいの心証を取ってしまっているからです。そこで和解を拒絶した場合 には、だいたいその和解案程度の判決が出される、ということになります。 訴訟に要する期間ですが、やはり半年~1年程度は見ておいた方が良いでしょう。も ちろん、もっと短く終わる場合もありますし、医学的な論争になってくると、2年~ 3年はかかってしまいます。そのようなこともあり、和解で解決する方が多いのが現

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いずれにしても、弁護士に任せて訴訟を行うのですが、証拠資料の収集は被害者本人 が積極的に行っていく必要があります。任せきりではいけません。

実際には事実の認定が極めて重要になりますので、そのために被害者は積極的に弁護 士に協力し、証拠資料の収集に努める必要があります。

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9 請求できる損害賠償の内容

交通事故に遭遇し、示談や判決によって解決した際に受け取るものは、○○万円とい うまとまった損害賠償金です。しかしながら、その賠償金は、様々な損害項目の集合 体です。正当な賠償金を獲得するためには、これらの損害項目を漏らさずに請求する ことが必要となります。 ところが、その損害項目は、次のように多岐にわたっており、その意味を理解するだ けでも大変な労力がかかります。 治療費、付添費、入院雑費、通院交通費、休業損害、傷害慰謝料、弁護士費用、後 遺症慰謝料、逸失利益、将来介護費、将来雑費、損害賠償請求関係費用、装具・器 具等購入費、家屋・自動車等改造費、葬儀関係費、修理費、買替差額、評価損、代 車使用料、休車損、登録手続関係費 また、その算定方法が複雑な損害項目も多いのです。 そのため、交通事故の被害者が、全ての請求しうる損害項目をピックアップし、それ らについて適正な損害金の算定をしていることは極めて稀です。弁護士ですら、交通 事故案件にあまり携わらない方では、損害項目を見落としてしまうことがあり得ます。 そこで、交通事故の被害者として加害者側と交渉する際に、まず行うことは、自分が 請求できる損害項目を漏れなく把握する、ということです。損害項目を把握できなけ れば、それぞれの損害項目がいくら請求できるのか計算ができず、結局、損害賠償の 総額も請求できないことになります。 したがって、自分が請求できる損害項目を把握し、それに基づき、適正な損害額はい くらなのかということを正確に把握することに努めましょう。漏れなく損害項目を請 求し、損害額そのものを高めることはもとより、保険会社が提示している和解案が裁 判基準に照らして、どの程度妥当なものであるのかを把握することができるからです。 損害項目を把握することができれば、保険会社から提示された示談の案に対して、漏

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つまり、適正な損害額を把握するだけで、損害賠償における保険会社との交渉におい て、他の被害者と比べて遙かに優位な地位に立てることになるのです。これが交通事 故損害賠償における、最も基本的かつ有力な武器なのです。 そのためには、①どの損害項目を請求できるのか、②各損害項目における損害額はい くらなのか、という点を把握しなければなりません。 本書の説明の流れとしましては、人損について解説した後に物損について検討します。 たくさんの損害項目が出てくることになりますが、頻繁に用いられる損害項目は限ら れています。それらは、次の損害項目です。 ①治療費 ②入院雑費 ③通院交通費 ④休業損害 ⑤傷害慰謝料 ⑥文書費(損害賠償請求関係費用の一部) ⑦後遺症慰謝料 ⑧逸失利益 全ての損害項目について理解しようとせずに、これら頻出の損害項目をきちんと理解 するように努めた方が良いでしょう。 なお、以下で解説する金額は、裁判を行ったときに最終的に提示されることになる裁 判基準の金額です。保険会社との交渉段階では、通常、裁判基準以下の金額が提示さ れることになります。 しかし、裁判基準を知っているのと、知らないでいるのとでは、保険会社との交渉の 行方が大きく違ってくることを覚えておきましょう。 前書きでも書きましたが、以下の損害算定は、主に赤い本「損害賠償額算定基準」(財

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団法人日弁連交通事故相談センター東京支部)によっています。交通事故を扱う弁護 士は、ほとんどがこの本を参照しています。もちろん私たちもそうです。あわせてご 参照ください。 積極損害①(治療費等) 積極損害とは、被害者が現実に支払い、または支払いを余儀なくされる金銭を意味し ます。 積極損害の具体例としては、①治療費、②付添費、③将来介護費、④入院雑費、⑤将 来雑費、⑥通院交通費、⑦装具・器具等購入費、⑧家屋・自動車等改造費、⑨葬儀関 係費、⑩損害賠償請求関係費用、⑪弁護士費用などがあげられます。 ①治療費 <認められる金額> 実費全額 <認められる条件> 必要かつ相当な範囲 必要性、相当性がないときは、過剰診療または高額診療として、賠償金に組み入れら れることが否定されることがあります。過剰診療とは、診療行為の医学的必要性また は合理性が否定されるものをいいます。つまり、不要な治療を行っているときには過 剰診療として賠償金の請求ができなくなるのです。また、高額診療とは、診療行為に 対する報酬額が、特別な理由もないのに、一般の診療費水準に比べて著しく高額な場 合をいいます。 鍼灸、マッサージ費用、温泉治療 鍼灸やマッサージ費用、温泉治療などについては、これらの治療が必要である旨の西 洋医学の医師の指示書や診断書がある場合には、治療費として賠償金に組み込まれま す。

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後遺症が残る場合には、治療を終了する症状固定後の治療費は原則として請求できま せん。これ以上治療効果が上がらない状態が症状固定ですので、症状固定後の治療費 は、損害と認められないからです。ただし、症状の悪化を防ぐなどの治療であるよう に、治療が必要かつ高度の蓋然性が認められる場合には、例外的に請求が認められる ことがあります。 ②付添費 <認められる金額> 入院付添費…職業付添人では実費全額、近親者付添人では1日6500円(目安) 通院付添費…1日3300円(目安) <認められる条件> 入院付添費…医師の指示、受傷の程度、被害者の年齢などを勘案して必要があれば 通院付添費…症状または幼児など必要とみとめられる場合 1 入院付添費 入院付添費は、医師の指示または受傷の程度、被害者の年齢などにより必要があれば 認められます。 なお、症状の程度により、また、被害者が幼児、児童である場合には、1~3割の範 囲で増額されることがあります。 2 通院付添費 通院付添費は、症状または幼児など必要と認められる場合に認められます。そのため、 通院付添の必要性があったことを立証できるように、当時の状況を説明できる資料を 通院当時から収集しておいた方が良いでしょう。 ③将来介護費 <認められる金額> 将来介護費は、以下の計算式によって算出されます。 (年間の基準額)×(生存可能期間に対するライプニッツ係数) <認められる条件>

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医師の指示または症状の程度により介護の必要があること 原則として後遺障害等級の別表第1、1級1号または2級1号の場合に認められます が、症状によっては3級以下の高次脳機能障害者にも認められることもあります。 1 基準額 職業付添人は実費全額、近親者付添人は1日8000円を目安としていますが、具体 的な看護状況次第では、複数人の介護者が必要であるとしたケースも見られます。そ のため、介護の実態を詳細に立証するための資料収集が重要となります。 2 生存可能期間 平均余命数とライプニッツ係数表に基づき計算します。 ところで、一般には植物状態及びこれに近い症状の重度後遺障害者の生存可能期間に ついては、感染症にかかりやすいなどの理由によって、通常人よりも生存可能期間が 短いとされています。そのため、平均余命年数未満の生存可能期間を用いた判例も存 在します(札幌地裁昭和58.2.15 交民16.1.159)。 しかし、平均余命までの生存期間を用いることの方が実務の大勢といえます。そのた め、保険会社が上記のような主張をしてきたときには、怯むことなく平均余命一杯の 生存可能期間を主張しましょう。 ④入院雑費 <認められる金額> 1日につき1500円 <認められる条件> 入院の必要があり、入院していたこと 入院雑費とは、洗面用具や寝具、軽食、新聞雑誌代、電話代などの入院に伴う様々な 雑費を意味します。これらの様々な雑費について、被害者に領収書などを提示させ、 立証を要求することは煩雑であることから、特に領収書が存在しなくても、1日15 00円という定額の雑費が認められています。

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一般です。 ⑤将来雑費 <認められる金額> 将来雑費は、以下の計算式によって算出されます。 (年額)×(生存可能期間に対するライプニッツ係数) <認められる条件> 将来介護について雑費が発生すること 原則として後遺障害等級の別表第1、1級1号または2級1号の要介護の場合に認め られます。 このように、将来介護が必要となる被害者については、紙おむつ代、タオルや手袋な どの将来雑費を請求できる可能性があります。そのため、介護のために必要となる雑 費の領収書は、訴訟等で立証できるように、きちんと保存しておくことが必要です。

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⑥通院交通費 <認められる金額> 電車やバスなどの公共交通機関を用いた際の金額、自家用車であれば実費相当額(ガ ソリン代や駐車場代など) <認められる条件> 通院するために交通費が必要であったこと 交通事故の被害者も、損害の拡大を防止する義務が存在するため、原則として電車や バスなどの公共交通機関の料金を限度に通院交通費が損害として認められることに なります。 また、タクシー代は、タクシーの利用が相当と認められる場合以外は支払われません。 これは、足を骨折したため歩けないなどの、タクシーを利用することが相当と認めら れる事情があるときです。 そのため、「交通事故の被害者なんだから、タクシー代くらい当然出るだろう。」と考 えていると、後で得られる賠償金が目減りすることになりかねません。十分注意しま しょう。 なお、近親者の看護が必要とされるときは、その近親者の通院交通費も損害と認めら れることになります。 ⑦装具・器具等購入費 <認められる金額> 原則として実費全額 <認められる条件> 装具や器具の必要性が認められること 義手、義足、歩行補助器具、車椅子、盲導犬費用、介護支援ベッド、介護用浴槽など、

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ては、損害と認められます。また、義手、義足や車椅子など、相当期間で交換が必要 なものについては、耐用年数に応じて買替え費用も認められます。 ⑧家屋・自動車等改造費 <認められる金額> 事故との因果関係が認められる相当な範囲 <認められる条件> 家屋や自動車等を改造する必要性が認められること 被害者の受傷の内容や後遺障害の程度を考慮し、浴室や便所、出入口、自動車などの 改造が必要と認められれば、その改造費が損害として認められることになります。こ の費用が認められるのは、かなり重度の後遺障害を被った場合です。 ⑨葬儀関係費 <認められる金額> 原則として150万円、ただしこれを下回る場合は実際に支出した額 <認められる条件> 葬儀を行ったこと 多くの判例は、葬儀にかかる現実の支出額が多い場合でも、損害額としては150万 円に限定しています。これは、香典収入などがあるために実際の支出は150万円程 度となること、人によって支出額がまちまちであり、現実の支出額を全て損害と認め ては不公平な結果となることなどを理由としているようです。 なお、病院等から自宅までの遺体搬送料は、葬儀とは無関係の費用であるとして、別 途損害として認定される傾向にあります。

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⑩損害賠償請求関係費用 <認められる金額> 相当な範囲 <認められる条件> 損害賠償請求に必要であること 診断書や交通事故証明書などの文書費、成年後見開始の審判手続費用、通信費など、 損害賠償請求を行うために必要な費用の支出については、損害と認められます。もっ とも、これらの損害については支出した金額を後日立証しなければならないため、領 収書をきちんと保存するように努めましょう。 ⑪弁護士費用 <認められる金額> 認容額の10%前後 <認められる条件> 原則として訴訟を起こし判決を得たとき 交通事故の被害者が弁護士に依頼し、訴訟を提起して判決を得た場合、認容額の1 0%程度が弁護士費用相当額として損害と認められます。この金額は、実際に依頼者 が弁護士に支払った弁護士費用額とは無関係に、弁護士費用相当額として認められる ものです。 判決に至らず和解で終了する際には、弁護士費用という項目はある程度削られるのが 通常です。もっとも、その分慰謝料などの金額を増額することで対応することケース も見られます。弁護士費用を計上した和解案が裁判官から提示されることもあります。

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休業損害 休業損害は、消極損害に含まれます。 消極損害とは、加害行為がなければ被害者が得たであろう経済的利益を失ったことに よる損害を意味します。平たく言えば、交通事故の影響で得られなくなったお金のこ とです。 休業損害に加え、後述する逸失利益も消極損害に含まれますが、逸失利益は後遺障害 が残ったときや死亡時に発生する特別な損害であるため、別項目を設けて解説します。 なお、休業損害は、就労形態等によって算定方法等が変化するため、就労形態別に説 明をします。 1 給与所得者 <認められる金額> 事故前の収入を基礎として受傷によって休業したことによる現実の収入減 <認められる条件> 受傷を原因として休業したこと 事故前の収入とは、保険実務では事故前3ヶ月の平均給与をもとに算定することが一 般的です(3ヶ月の給与額の合計額÷90日×休業日数)。また、季節的に給与額が 大きく変動する場合には(たとえば、海の家など)、直近の3ヶ月の平均賃金とせず に、前年の同期の収入を参考にすることがあります。 有給休暇を使用したときも、休業損害と認められます。 また、休業に伴う賞与の減額・不支給、昇給・昇格遅延による損害も休業損害と認め られています。 2 主婦 <認められる金額> 賃金センサスの産業計・企業規模計・学歴計の女子労働者全年齢平均の賃金を基礎と して、受傷のため家事を行えなかった期間について認められる <認められる条件> 受傷を原因として家事を行えなかったこと

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家事を行っていても、その対価として現実的に金銭を受け取っている訳ではないため、 ともすると主婦には休業損害が認められないのではないかと誤解される方もいらっ しゃるでしょう。 しかしながら、事故の影響で家事を行えなくなれば、誰かがそのしわ寄せを受けるこ とになります。場合によっては家政婦を頼むことも考えられます。このように、主婦 業も金銭的に評価されうるのです。 その際の算定基準としては、上記賃金センサスの項目における女子労働者の平均値を 基準としています。 3 個人事業者 <認められる金額> 事故前年の確定申告所得を基礎として受傷によって就労できなかった期間。 休業中の固定費(家賃や従業員給料) <認められる条件> 受傷によって就労できなかったこと、休業中の固定費については、事業の維持・存続 のために必要やむを得ないものであること 個人事業者の休業損害は、事故前年の確定申告所得を基礎として算定されます。この 点、税金対策のため過少申告しているとの主張は、通常認められないと考えておいた 方が良いでしょう。納税義務を果たさないでおいて、被害を受けたときには権利主張 するという態度に、裁判官が納得しないこともあり、かなり高度な立証を要求される からです。 確定申告をしていないときでも、相当の収入があったと認められるときには、賃金セ ンサスの平均賃金を基礎として、休業損害を算定することが認められています。 4 会社役員 <認められる金額> 受傷によって就労できなかった期間の労務提供の対価部分 <認められる条件>

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会社の取締役が受け取る報酬としては、純粋な取締役報酬と従業員としての給与部分 に分けることができます。従業員としての給与部分が労務の対価であって、就労不可 能になり会社から支給されなくなれば、それが休業損害と認められるのは当然のこと です。 しかし、取締役報酬は、役員として実際に稼働していることに対する対価部分と、稼 働していなくても得ることができる利益配当部分に分けて考えられます。 休業していても得ることができる利益配当部分については、事故による現実の収入減 とはいえないため、休業損害とは認められません。逆に労務提供の対価部分について は、休業損害と認められます。 問題は、この労務提供の対価部分の金額ですが、実際のところ明確に算定することは 困難です。賃金センサスの平均賃金を参考にしつつ、会社の規模や被害者の役割など を総合的に考慮して、労務提供の対価部分を算出することになるでしょう。 5 失業者 <認められる金額> 受傷によって就労できなかった期間について、事故前の実収入や賃金センサスの平均 賃金を減額した金額 <認められる条件> 労働能力及び労働意欲があり、就労の蓋然性が認められる者であり、かつ、受傷によ って就労できなかったこと 失業中の者には原則として休業損害は発生しません。なぜなら、休業損害とは事故に よる現実の収入減に対して認められるものですが、失業者には、現実の収入減がない からです。もっとも、就職が内定している場合など、具体的に就労が行われる可能性 が高い場合や、就職活動を行っていたなどという事情が認められるときには、休業損 害を認めるのが通常です。その場合でも、就労の確実性が低いときには、賃金センサ スの平均賃金を基準としても、ある程度減額されてしまう取り扱いとされています。 6 学生、幼児など

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<認められる金額> 原則として認められない、収入があれば受傷によって就労できなかった期間の収入 <認められる条件> 収入があり、受傷によって就労できなかったこと 現実に就労していないのですから、休業損害が認められないのが原則となります。た だし、アルバイトを行っている場合など、現実の収入が認められるのであれば、就労 できなかった期間について休業損害が認められます。

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傷害慰謝料 <認められる金額> 原則として入通院期間を2つの表にあてはめた金額(2つの表のうち、別表Ⅱは、む ち打ち症などで他覚症状がない軽い神経症状のときに用いる) <認められる条件> 受傷を原因として入通院を行ったこと 交通事故の損害賠償というと、慰謝料とイコールだと思っている被害者の方がいらっ しゃいますが、慰謝料というのは、損害項目の一部にしかすぎません。慰謝料という のは、簡単に言うと、精神的苦痛を慰藉するために支払われる損害賠償金です。慰謝 料は、傷害慰謝料、後遺症慰謝料及び死亡による慰謝料に分けられます。ここでは傷 害慰謝料について説明を行います。 傷害慰謝料とは、外傷を受けたことに対する肉体的苦痛や入通院加療を余儀なくされ ることなどに対する煩わしさや苦痛を緩和するために支払われる金銭を意味します。 傷害慰謝料については、原則として入通院期間を基礎として別表Ⅰを用いて算出しま す。 一方で、程度の軽い神経症状(むち打ち症などで他覚症状がない場合)には、別表Ⅱ を用います。 このように、傷害慰謝料は、通院期間によって算出されるのが裁判基準です。しかし ながら、任意保険会社が提示する傷害慰謝料は、この基準によっては算出されません。 任意保険会社からの提示金額としては、実際に通院した日数に4200円を乗じた額 や、実際に通院した日数を2倍し、それに4200円を乗じた額とすることが多く見 られます。これは自賠責保険の算定基準に引きずられた傷害慰謝料の算定方法と言え るでしょう。 このような保険会社の算定方法を知っている被害者の中には、必要がないのに多数回

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通院して慰謝料を増額させようとする方がいらっしゃいます。しかし、裁判になった 時はあまり関係がありませんし、治療経過から見て不自然だったりして、後遺症その 他の項目に悪影響を及ぼす可能性もあります。通院頻度については、あくまで主治医 と相談の上、行うべきでしょう。 慰謝料の算定については、基本的には前述の別表を基準にして行います。しかし、中 には、通院が長期にわたり、かつ不規則である場合もあります。この場合の慰謝料の 算定としては、実通院日数の3.5倍程度を通院期間の目安とすることが多く見られ ます。 このような場合には、治療経過の観察的色彩が強く、治療のため通院の必要が認めら れるとは考えがたいことを理由としています。この「通院が長期にわたり、かつ不規 則である場合」が何を意味するのかは、傷害の程度や治療経緯によって異なるため一 概に言えませんが、治療期間が1年以上にわたり、通院頻度が月2~3回にも満たな い場合を目安とすれば良いかと思います。 また、被害者が幼児を持つ母親であったり、仕事等の都合により入院期間を短縮した と認められる場合には、傷害慰謝料の算定にあたり、実際の入院期間よりも長く入院 期間を捉えることがあります。 同様に、入院待機中の期間やギプス固定中等安静を要する自宅療養期間については、 入院期間と判断することがあります。この他、傷害箇所が1箇所にとどまらず、数箇 所に重い傷害を負い苦しんでいるときには、上記基準によって算定した傷害慰謝料額 を2割から3割程度増額することもあります。

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慰謝料<別表 1> (単位:万円) 入院 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 11 12 13 14 15 通院 53 101 145 184 217 244 286 284 297 306 314 321 328 334 340 1 月 28 77 122 162 199 228 252 274 291 303 311 318 325 332 336 342 2 月 52 98 139 177 210 236 260 281 297 308 315 322 329 334 338 344 3 月 73 115 154 188 218 244 267 287 302 312 319 326 331 336 340 346 4 月 90 130 165 196 226 251 273 292 306 316 323 328 333 338 342 348 5 月 105 141 173 204 233 257 278 296 310 320 325 330 335 340 344 350 6 月 116 149 181 211 239 262 282 300 314 322 327 332 337 342 346 7 月 124 157 188 217 244 266 286 304 316 324 329 334 339 344 8 月 132 164 194 222 248 270 290 306 318 326 331 336 341 9 月 139 170 199 226 252 274 292 308 320 328 333 338 10 145 175 203 230 256 276 294 310 322 330 335 11 150 179 207 234 258 278 296 312 324 332 12 154 183 211 236 260 280 298 314 326 13 158 187 213 238 262 282 300 316 14 162 189 215 240 264 284 302 15 164 191 217 242 266 286

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<表の見方> 1. 入院のみの場合は、入院期間に該当する額(例えば入院 3 ヶ月で完治した場合は 145 万円となる。 2. 通院のみの場合は、通院期間に該当する額(例えば通院 3 ヶ月で完治した場合は 73 万円となる。 3. 院後に通院があった場合は、該当する月数が交差するところの額(例えば入院 3 ヶ月、通院 3 ヶ月の場合は 188 万円となる。) 4. この表に記載された範囲を越えて治療が必要であった場合は、入・通院期間 1 月 につき、 それぞれ 15 月の基準額から 14 月の基準額を引いた金額を加算した金 額を基準額とする。 例えば別表 1 の 16 月の入院慰謝料額は 340 万円+(340 万 円 - 334 万円)=346 万円となる。

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慰謝料 <別表 2> (単位:万円) 入院 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 11 12 13 14 15 通院 35 66 92 116 135 152 165 176 186 195 204 211 218 223 228 1 月 19 52 83 106 128 145 160 171 182 190 199 206 212 219 224 229 2 月 36 69 97 118 138 153 166 177 186 194 201 207 213 220 225 230 3 月 53 83 109 128 146 159 172 181 190 196 202 208 214 221 226 231 4 月 67 95 119 136 152 165 176 185 192 197 203 209 215 222 227 232 5 月 79 105 127 142 158 169 180 187 193 198 204 210 216 223 228 233 6 月 89 113 133 148 162 173 182 188 194 199 205 211 217 224 229 7 月 97 119 139 152 166 175 183 189 195 200 206 212 218 225 8 月 103 125 143 156 168 176 184 190 196 201 207 213 219 9 月 109 129 147 158 169 177 185 191 197 202 208 214 10 113 133 149 159 170 178 186 192 198 203 209 11 117 135 150 160 171 179 187 193 199 204 12 119 136 151 161 172 180 188 194 200 13 120 137 152 161 173 181 189 195 14 121 138 153 163 174 182 190 15 122 139 154 164 175 183

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後遺症慰謝料 1 後遺症慰謝料 <認められる金額> 第 1 級 2,800 万円 第 2 級 2,370 万円 第 3 級 1,990 万円 第 4 級 1,670 万円 第 5 級 1,400 万円 第 6 級 1,180 万円 第 7 級 1,000 万円 第 8 級 830 万円 第 9 級 690 万円 第 10 級 550 万円 第 11 級 420 万円 第 12 級 290 万円 第 13 級 180 万円 第 14 級 110 万円 <認められる条件> 原則として後遺障害等級認定がなされたこと この基準は、後遺障害等級に対する判決の結果を集計して割り出した平均値であり、 確定的な金額ではありません。実際には、具体的な状況に応じて後遺症慰謝料が決定 されることになります。 また、死亡に準じるような後遺障害が残存したときには、近親者にも慰謝料請求権が 認められています。もっとも、近親者が慰謝料請求する場合には、本人の慰謝料額が 減額され、それぞれの近親者に割り振られるという調整が図られることがあります。 なお、保険会社との交渉段階でも、上記基準を前提として後遺症慰謝料額の算定が行 われます。しかし、この基準は裁判を行った結果であるため、裁判に至らない交渉段 階においては、かなり低い後遺症慰謝料額を提示されることが多くあります。もっと も、場合によっては100%が提示されるケースもありますので、頑張って交渉しま しょう。

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2 死亡による慰謝料 <認められる金額> 一家の支柱 2800万円 母親、配偶者 2500万円 その他の方 2000万~2500万円 (以上、赤い本が掲げる目安) <認められる条件> 被害者が死亡したこと 一家の支柱が亡くなったとき、他の場合と比較して慰謝料額が高額となる理由は、遺 族の扶養を支える者がいなくなることに対する補償のためです。そのため、一家の支 柱にあたるか否かは、遺族の扶養を誰が支えていたのかという観点から判断すべきで しょう。 また、被害者が死亡したときには近親者にも慰謝料請求権が認められています。もっ とも、近親者が慰謝料請求する場合には、本人の慰謝料額が減額され、それぞれの近 親者に割り振られるという調整が図られることがあります。 後遺症逸失利益 逸失利益とは、後遺障害を負ったこと、または死亡したことにより、事故前の労働を 行うことができなくなり、収入が減少するために失われる利益を意味します。以下、 後遺症逸失利益の解説を行います。 1 後遺症逸失利益 <認められる金額> 後遺障害による逸失利益は、以下の計算式によって算出されます。 (基礎収入)×(労働能力喪失率)×(労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数) <認められる条件> 原則として後遺障害等級認定がなされたこと

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(1)基礎収入 ①給与所得者 原則として事故前の収入を基礎収入とします。 証明資料としては、事故前の源泉徴収票などが通常用いられます。 もっとも、現実の収入が賃金センサスの平均賃金以下の場合であっても、平均賃金程 度の収入が得られる蓋然性があれば、平均賃金を基礎収入とすることもあります。ま た、30歳未満の若年労働者においては、全年齢平均の賃金センサスを用いることを 原則としています。これは、後述するように学生の逸失利益算定にあたっては、賃金 センサスの平均賃金を用いることとの均衡を図るためです。 ②主婦 賃金センサスの産業計・企業規模計・学歴計の女子労働者全年齢平均の賃金を基礎収 入とします。 なお、有職の主婦の場合には、実収入が上記の平均賃金以上のときは、実収入に従い、 それ以下のときは平均賃金に従うこととされています。つまり、パート収入がある兼 業主婦であっても、通常そのパート収入部分を基礎収入に加える取り扱いはなされな いのです。 ③個人事業者 原則として事故前年の確定申告額を基礎収入とします。 この点、税金対策のため過少申告しているとの主張は、通常認められないことは、休 業損害の箇所で述べたとおりです。 確定申告をしていないときでも、相当の収入があったと認められるときには、賃金セ ンサスの平均賃金を基礎とすることが認められています。 ④会社役員 報酬のうち、労務提供の対価部分と利益配当の部分を分けて、労務提供の対価部分の みを基礎収入とします。 基本的には休業損害の基礎収入に準じて考えておけば良いでしょう。 ⑤失業者

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入を参考として基礎収入が決められます。ただし、失業以前の収入が賃金センサスの 平均賃金以下であっても、平均賃金を得られる蓋然性があれば、男女別の平均賃金に よることとなります。 ⑥学生、生徒、幼児 原則として、賃金センサスの産業計・企業規模計・学歴計の男女別労働者全年齢平均 の賃金を基礎収入とします。なお、女子の場合は、男女別ではなく、全労働者平均賃 金で計算すべきという判例がありますので、その判例に沿って主張すべきです。 ⑦高齢者 就労の蓋然性があれば、原則として、賃金センサスの産業計・企業規模計・学歴計の 男女別労働者全年齢平均の賃金を基礎収入とします。 (2)労働能力喪失率 労働能力喪失率は、原則として後遺障害別等級表記載の労働能力喪失率に従って決 められます。 たとえば、14級の後遺障害では5%の労働能力が喪失されたと考えられます。ま た、7級の後遺障害では56%の労働能力が喪失されたと考えられます。3級以上の 後遺障害では100%の労働能力喪失、つまり、労働能力が完全に失われたと考えら れているのです。

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後遺障害別等級表 <自賠法別表第 1> 等級 後遺障害 自賠責 保険金額 労働能力 喪失率 第 1 級 1. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、 常に介護を要するもの 4,000 万円 100/100 2. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介 護を要するもの 第 2 級 1. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、 随時介護を要するもの 3,000 万円 100/100 2. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介 護を要するもの <備考> 各等級の後遺障害に該当しない後遺障害であって、各等級の後遺障害に相当するもの は、当該等級の後遺障害となる。 (注)既に身体障害があった者がさらに同一部位について障害の程度を加重したとき は、 加重後の等級に応ずる保険金額から既にあった障害の等級に応ずる保険金額を 控除した金額を保険金額とする。

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<自賠法別表第 2> 等級 後遺障害 自賠責 保険金額 労働能力 喪失率 第 1 級 1. 両眼が失明したもの 3,000 万円 100/100 2. 咀嚼及び言語の機能を廃したもの 3. 両上肢をひじ関節以上で失ったもの 4. 両上肢の用を全廃したもの 5. 両下肢をひざ関節以上で失ったもの 6. 両下肢の用を全廃したもの 第 2 級 1. 1 眼が失明し、他眼の視力が 0.02 以下になったもの 2,590 万円 100/100 2. 両眼の視力が 0.02 以下になったもの 3. 両上肢を手関節以上で失ったもの 4. 両下肢を足関節以上で失ったもの 第 3 級 1. 1 眼が失明し、他眼の視力が 0.06 以下になったもの 2,219 万円 100/100 2. 咀嚼又は言語の機能を廃したもの 3. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身 労務に服することができないもの 4. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に 服することができないもの 5. 両手の手指の全部を失ったもの 第 4 級 1. 両眼の視力が 0.06 以下になったもの 1,889 万円 92/100 2. 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの 3. 両耳の聴力を全く失ったもの 4. 1 上肢をひじ関節以上で失ったもの 5. 1 下肢をひざ関節以上で失ったもの 6. 両手の手指の全部の用を廃したもの 7. 両足をリスフラン関節以上で失ったもの

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第 5 級 1. 1 眼が失明し、他眼の視力が 0.1 以下になったもの 1,574 万円 79/100 2. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に 軽易な労務以外の労務に服することができないもの 3. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な 労務以外の労務に服することができないもの 4. 1 上肢を手関節以上で失ったもの 5. 1 下肢を足関節以上で失ったもの 6. 1 上肢の用を全廃したもの 7. 1 下肢の用を全廃したもの 8. 両足の足指の全部を失ったもの 第 6 級 1. 両眼の視力が 0.1 以下になったもの 1,296 万円 67/100 2. 咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの 3. 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することが できない程度になったもの 4. 1 耳の聴力を全く失い、 他耳の聴力が 40 センチメ ートル以上の距離では普通の話声を解することがで きない程度になったもの 5. 脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの 6. 1 上肢の 3 大関節中の 2 関節の用を廃したもの 7. 1 下肢の 3 大関節中の 2 関節の用を廃したもの 8. 1 手の 5 の手指又は親指を含み 4 の手指を失ったも の 第 7 級 1. 1 眼が失明し、他眼の視力が 0.6 以下になったもの 1,051 万円 56/100 2. 両耳の聴力が 40 センチメートル以上の距離では普 通の話声を解することができない程度になったもの 3. 1 耳の聴力を全く失い、 他耳の聴力が1メートル以 上の距離では普通の話声を解することができない程

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4. 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務 以外の労務に服することができないもの 5. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の 労務に服することができないもの 6. 1 手の親指を含み 3 指以上の手指を失ったもの又は 親指以外の4の手指を失ったもの 7. 1 手の 5 の手指又は親指を含み 4 の手指の用を廃し たもの 8. 1 足をリスフラン関節以上で失ったもの 9. 1 上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの 10. 1 下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの 11. 両足の足指の全部の用を廃したもの 12. 外貌に著しい醜状を残すもの 13. 両側の睾丸を失ったもの 第 8 級 1. 1 眼が失明し、又は 1 眼の視力が 0.02 以下になった もの 819 万円 45/100 2. 脊柱に運動障害を残すもの 3. 1 手の親指を含み 2 の手指を失ったもの又親指以外 の3の手指を失ったもの 4. 1 手の親指を含み 3 の手指の用を廃したもの又は親 指以外の4の手指の用を廃したもの 5. 1 下肢を 5 センチメートル以上短縮したもの 6. 1 上肢の 3 大関節中の 1 関節の用を廃したもの 7. 1 下肢の 3 大関節中の 1 関節の用を廃したもの 8. 1 上肢に偽関節を残すもの 9. 1 下肢に偽関節を残すもの 10. 1 足の足指の全部を失ったもの

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第9級 1. 両眼の視力が0.6以下になったもの 616 万円 35/100 2. 1眼の視力が0.06以下になったもの 3. 両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの 4. 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの 5. 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの 6. 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの 7. 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声 を解することができない程度になったもの 8. 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することが できない程度になり、 他耳の聴力が1メートル以上 の距離では普通の話声を解することが困難である程 度になったもの 9. 1耳の聴力を全く失ったもの 10. 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服すること ができる労務が相当な程度に制限されるもの 11. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができ る労務が相当な程度に制限されるもの 12. 1手の親指又は親指以外の2の手指の用を廃したも の 13. 1手の親指を含み2の手指の用を廃したもの又は親 指以外の3の手指の用を廃したもの 14. 1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの 15. 1足の足指の全部の用を廃したもの 16. 外貌に相当程度の醜状を残すもの 17. 生殖器に著しい障害を残すもの 第 10 級 1. 1 眼の視力が 0.1 以下になったもの 461 万円 27/100 2. 正面を見た場合に複視の症状を残すもの

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4. 14 歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 5. 両耳の聴力が 1 メートル以上の距離では普通の話声 を解することが困難である程度になったもの 6. 1 耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することが できない程度になったもの 7. 1 手の親指又は親指以外の 2 の手指の用を廃したも の 8. 1 下肢を 3 センチメートル以上短縮したもの 9. 1 足の第 1 の足指又は他の 4 の足指を失ったもの 10. 1 上肢の 3 大関節中の 1 関節の機能に著しい障害を 残すもの 11. 1 下肢の 3 大関節中の 1 関節の機能に著しい障害を 残すもの 第 11 級 1. 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残 すもの 331 万円 20/100 2. 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの 3. 1 眼のまぶたに著しい欠損を残すもの 4. 10 歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 5. 両耳の聴力が 1 メートル以上の距離では小声を解す ることができない程度になったもの 6. 1 耳の聴力が 40 センチメートル以上の距離では普通 の話声を解することができない程度になったもの 7. 脊柱に変形を残すもの 8. 1 手の中指若しくは薬指を失ったもの又は1手の人 さし指の用を廃したもの 9. 1 足の第 1 の足指を含み 2 以上の足指の用を廃した もの 10. 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの

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第 12 級 1. 1 眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残 すもの 224 万円 14/100 2. 1 眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの 3. 7 歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 4. 1 耳の耳殻の大部分を欠損したもの 5. 鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著し い変形を残すもの 6. 1 上肢の 3 大関節中の 1 関節の機能に障害を残すも の 7. 1 下肢の 3 大関節中の 1 関節の機能に障害を残すも の 8. 長管骨に変形を残すもの 9. 1 手の小指を失ったもの 10. 1手の人さし指、中指又は薬指の用を廃したもの 11. 1 足の第 2 の足指を失ったもの、 第 2 の足指を含み 2 の足指を失ったもの又は第 3 の足指以下の 3 の足 指を失ったもの 12. 1 足の第 1 の足指又は他の 4 の足指の用を廃したも の 13. 局部に頑固な神経症状を残すもの 14. 外貌に醜状を残すもの 第 13 級 1. 1 眼の視力が 0.6 以下になったもの 139 万円 9/100 2. 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの 3. 1 眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの 4. 両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを 残すもの 5. 5 歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

参照

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