2.噴火様式と噴火規模
何故10000年に1度の巨大噴火が生じるか?
科学技術振興調整費
「災害科学的基礎を持った防災実務者の養成」
ふじのくに防災フェロー講座「火山学」
2011年4月23日
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• マグマの発生・上昇・噴火過程
• マグマの揮発性成分:何故噴火する
か?
マグマの発泡 脱ガスと噴火様式 何故
• マグマの発泡・脱ガスと噴火様式:何故
爆発的噴火と非爆発的噴火が生じる
か?
• 噴火サイズと頻度分布:何故10000年に
1度の巨大噴火が生じるか?
マグマの発生・上昇・
噴火過程
• マグマ発泡による上昇・
噴火
• 溜り圧力の増加・割れ目
の形成・マグマ上昇
• 冷却による結晶作用・組
成の変化 密度の減少
成の変化・密度の減少
• 浮力中立点(LNB)でのマ
グマ溜りの形成
• マグマの上昇(浮力)
• マグマの浸透流的集積
• マントル上昇流(ダイアピ
ル)での部分溶融.
Hill et al. (2002) Phys Today
マントル上昇流でのマグマの発生
図はマントルかんらん岩が
上昇すると浅所で部分溶融
してその温度・圧力に従って
様々な程度の液(マグマ)が
生じることをしめしている.
McKenzie & Bickle, 1988
リキダス(Liquidus)
岩石が完全に溶融する温度
ソリダス(Solidus)
岩石が融け始める温度
島弧マグマの生成モデル
島弧地殻とマグマの密度の関係
• 火山フロントに近い
ソレアイト玄武岩は
上部地殻より重く途
中で溜りを作る.
• 背弧側に産するアル背弧側に産するアル
カリ玄武岩は軽いの
でそのまま上昇・噴
火し易い.
図4 マグマと地殻物質の密度の関係(Kushiro,1983)
• 実際には,マグ
マの分化や母岩
との反応でマグ
マの多様性が生
じ 地殻との密
マグマ溜りの形成:基本的に密度の中立点
(Level of Neutral Buoyancy: LNB)
じ,地殻との密
度関係や応力
分布等によって
複数の溜りが形
成されることは
多い
Koyaguchi & Kaneko (1999)
・爆発的噴火
・火砕流噴火
・溶岩流出噴火
・マグマ水蒸気爆発
・山体崩壊
有珠1978
雲仙1991
火山噴火様式:何故こんなに多様な
様式の噴火が生じるか?
山体崩壊
伊豆大島1986
Mt.St.Helens1980
明神礁1952
爆発的火山噴火のしくみ
噴火と
ビールの
マグマ中の水の溶解度は
圧力の平方根に比例する 1%の水が発泡すると元の
マグマの100倍の体積になる
ビ ルの
開栓は
よく似る
(発泡!)
マグマ中の揮発性成分
• 斑晶鉱物中のガラス包有物の化学分析
• 斑晶鉱物の相関係の再現高圧実験
• 斑晶‐石基間の元素分配による.
•
H
H
22
O CO
O, CO
22
, S,Cl:島弧マグマではH
S Cl:島弧マグマではH
22
Oが主
Oが主
• 富士火山の場合,H
2
O=3‐4%程度含まれていると
考えられる.
•
H
2
O=3wt%が発泡したら,1気圧では元のマグマ
の体積の約300倍になる.⇒発泡度99.3% ⇒
閉じた系での発泡は爆発的噴火を生じる.
火山噴火の原動力
• マグマの浮力: 母岩との密度差
地殻の密度成層:LNBマグマ溜り形成
• マグマの発泡による増圧、浮力発生
• テクトニックな力(二次的):
地震と噴火の関係、
富士1707年、ピナツボ1991年
噴火の多様性を生むしくみ
ビールの開栓のアナロジー
急激に開けると
発泡が強く吹き出す
(爆発的噴火)
(爆発的噴火)
徐々に開けると
静に発泡する
(溶岩流出)
⇒ マグマが上昇途中で
脱ガスすれば静かな噴火
噴火様式の考え方
• Kennedy(1955) 浸透圧で考えて,マグマ溜りで上部に揮発性成分
が濃集してそれが爆発的噴火を生じ,溜り下部からのマグマが溶
岩流出を生じると考えられていた.
• Eichelberger et al.(1986)NatureでMono crater噴出物について,初
期の爆発軽石と後期の溶岩で,元の斑晶組合せが同じで揮発性
成分量が同じことを指摘,発泡マグマからの脱ガス様式により爆
発・非爆発の様式が決まることを提案
発・非爆発の様式が決まることを提案.
• Jaupart & Allegre(1991)EPSLは脱ガスについて火道側方への浸透
流モデルを立て,初期の上昇速度の変化で臨界値より大きいと側
方への脱ガスが生じず爆発的になることを数値計算で示した.
• Woods & Koyaguchi(1994)Natureは火道流と側方への脱ガス過程
をモデル化し,マグマ溜りの過剰圧の変動により爆発・非爆発の
分岐が生じることを提案した.
• 2000年代に入って,エネルギー保存を入れた火道流モデル,噴煙
柱モデル等が開発され,現在はそれらを統合した噴火モデルが模
索されている.
噴火様式の理解:火道上昇中の脱ガスの程度できまる
• 保存式(質量,運動
量,エネルギー)を
解くが,そこに火道
からの脱ガス過程を
組み込むと分岐が
生じる.
• 上昇速度が大きいと
脱ガスする余裕なく
発泡し爆発的に,速
度が小さいと脱ガス
して非爆発的噴火を
生じる
火山噴火の規模(火山爆発指数)
V
olcanic
E
xplosivity
I
ndex (
VEI
)
噴出物体積について(DRE)
• 火山噴出物のうち,火砕噴火(軽石や火山灰な
ど,マグマが破砕して堆積するもの)では堆積物
の密度が500‐1500kg/m3程度であるのに対して,
緻密な溶岩では2000‐2800kg/m3と倍近い.
g/
• 噴火エネルギーは大半が熱エネルギーで,(体
積)×(密度)×(比熱)×(温度差)で与えられる
が,(比熱),(温度差)はほぼ一定なので,密度
を緻密溶岩に直した,
DRE(Dense Rock
Equivalent)
体積で表す.
火山爆発指数
(VEI),噴火マグニチュード
VEI
噴出物体積(km
3)
8
>1000
7
100‐1000
6
10‐100
噴火エネルギー:
熱エネルギー
運動エネルギー
位置エネルギー
地震エネルギ
5
1‐10
4
0.1‐1
3
0.01‐0.1
2
0.001‐0.01
1
10
‐4‐10
‐6
0
<10
‐4
噴火エネルギーの
大半は熱エネルギー:
~噴出物体積に比例
~VEI
地震エネルギー
他
火山爆発指数
(
VEI
)
VEI 噴出物体積(km3) 例
8 >1000 Tobaカルデラ、有馬層群
7 100‐1000 1815タンボラ、6.5ka鬼界
6 10‐100 1991ピナツボ、
5 1‐10 1914桜島、1664樽前、
4 0 1 1 1991 95雲仙岳 1707富士
4 0.1‐1 1991‐95雲仙岳、1707富士
3 0.01‐0.1 1977有珠山、1986伊豆大島
2 0.001‐0.01
1 10‐4‐10‐6
0 <10‐4
VEIはほぼ噴火エネルギーに対応:
地震のマグニチュードに相当
鬼界アカホヤ噴火(6500年前)
VEI=7
約150km
3
鬼界カルデラ
から噴出した噴出
幸屋火砕流
に伴う火山灰
20cm
等層厚線
日本列島の巨大噴火(VEI>4)
火口径と噴出物量の関係
噴火の規模と頻度
Smithonian database
このような頻度とエネル
ギーに関する冪(べき,
累乗)の関係は自然現
象に多く見られる
⇒大規模な現象は極め
て稀にしか生じない。
日本では1万年に一度
巨大噴火VEI=7が生じる
巨大噴火VEI=7が生じる
皆どうするか?
規模と頻度: 冪の関係 ⇒フラクタル
より正確な頻度分布:早川由紀夫による
巨大噴火を生じるカルデラの形成
• 阿蘇カルデラでは数~10万年に1度巨大噴
火を生じている.
• 花崗岩体の大きなもの(日本では白亜紀に多
い)カルデラに対応するマグマ溜り.
• 比較的珪長質(SiO
2
量が多い)マグマが長時
間かけて蓄積し,巨大噴火を生じる.
• 富士でそのようなことは生じるか?今の処珪
長質マグマは限定されている.近年比較的間
隔が長く大きめの噴火