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に挙げられている 外国人投資の追加的機会 とと もに EU から提案されたもので 両者の実質的内 容は 米国に カボタージュ 国内運送 の開放 と 外国人による米国航空会社の所有と支配の容認 を求める いわば米国にとっては同根の問題である CRAF Civil Reserve Air Fleet 5

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Academic year: 2021

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航 空 政 策 に 期 待 す る も の

連 載 第 4 回

今後の課題と航空政策

関東学院大学 法学研究科 元教授

坂本 昭雄

はじめに 最 近 出 版 され たブライアン・ハヴ ェル教 授 の 「オープンスカイをこえて」と題する著書1が専門 家の間で話題になっている。「国際航空のための新 しい制度」との副題が示す通り、次世代における 国際航空システムについて論じたものである。また 同書の序文の中で、米国の元運輸次官のジェフ リー・シェーン氏が、「さらなる自由化(greater liberalization)」を「正常化(normalization)」と 呼称して注目を集めている。 彼らにとって当たり前のことも、日本にとっては これからの課題であることも少なくない。いま米国 と EU とは新しい航空協定(包括協定)2を土台に 民間航空の新しい枠組をつくり、それを諸外国に 拡大しようと試みている3 本稿では、米国と EU との包括協定を手掛かりに、 航空運送のこれからの課題とその対応について考 えてみたい。 運輸権のさらなる自由化 「運輸権のさらなる自由化」は、包括協定の中で 次段階交渉の優先的議題4として最初に採り上 げられているものである。それは、その次の議題

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に挙げられている「外国人投資の追加的機会」とと もに EU から提案されたもので、両者の実質的内 容は、米国に「カボタージュ(国内運送)の開放」と 「外国人による米国航空会社の所有と支配の容認」

を求める、いわば米国にとっては同根の問題である。

CRAF(Civil Reserve Air Fleet)5を制度として

擁する米国としては、これらを認めることは国防上 の重大問題であり、外部からは妥協の難しい問題 であると見られているが、米国内では EU の主張 を支持する意見も少なくない。 ちなみに、カボタージュに関しては民間航空条 約第 7 条に規定があり、その後段部分の解釈につ いて専門家の間でも意見が分かれていることから、 EU としては第 7 条の改廃も射程に入れているもの と考えられる。 一方、外国人による航空会社の所有と支配につい ては、包括協定の第 4 付属書に詳細な規定があり、 米国とEUとは双方の現状を一応肯定した上で、派生 的な問題について現実的な対応をルール化している。 航空会社の運営路線について、包括協定は路線を 旅客用と貨物専用とに分け、自国の旅客用路線を 「後背地―自国―中間地―相手国―以遠」と規定し、 路線の運営に大幅な柔軟性を認めているが、貨物 専用路線は単に「相手国といかなる地点との間」と して、いわゆる「第 7 の自由」の運送、すなわち自 国の関与しない相手国と第三国との間の運送を相 互に認めている。 今後の運輸権の問題は、運営路線のすべてに 「第 7 の自由」やカボタージュを含め、航空運送を 完全に自由化するかどうかであり、諸外国ではそ 1  Brian F. Havel ; Beyond Open Skies(A New Regime for International

Aviation), 2 0 0 9 

2  Comprehensive Air Transport Agreement, 2 0 0 7 年 4 月調印、2 0 0 8 年 3月3 0日に発効

3 包括協定第 18 条の 5 および第 21 条の1 参照 4 包括協定第 21 条の 2

5 19 52 年に制度化された軍事輸送力を補強する米国の制度で、平時に民間航空 機を登録しておき、緊急時に登録機を軍事輸送に従事させる制度である。

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れを肯定する意見も決して少なくない。ちなみに APEC(アジア太平洋経済協力会議)の肝いりで作成 された多国間自由化航空協定(MALIAT)の付属 議定書では、議定書の当事国は旅客運送についても 「第 7 の自由」を認め、さらにチャーター運送を含む すべての航空運送にカボタージュを認めている6   環境対策と空港等による制約 包括協定では 3 番目の優先的議題として、運輸権 行使に対する環境対策(environmental measures) とインフラ制約(infrastructure constraints)に よる影響を挙げている。インフラ制約とは主として 空港や航空路に起因する事実上の運輸権制限のこ とである。運輸権を自由化しても、他の要因でそ の行使が妨げられては自由化の本来の効果が失わ れることから注目されている。しかし、環境対策と インフラ制約は、いずれも解決の難しい問題を含ん でいるが、その直近的課題としては温室効果ガス の ETS(Emission Trading System=排出権取 引制度)の導入と空港におけるスロット7の管理で あると考えられる。中期的には航空管制について の次世代方式の統一も含まれよう。 ETS は 20 世紀末に米国が硫黄酸化物について 導入し、成功を収めた制度であるが、EU はこれ を 2005 年から温室効果ガスの排出制限に採用し、 2012 年から航空にも適用するとしている8 ETS というのは、一口に言えば、企業ごとに特 定期間における温室効果ガスの排出枠を決定し、 実際の排出量が排出枠を上回る企業は、それを下 回る企業から余剰になった排出量を買い取る制度 であり、そうすることによって排出枠を上回る企業 の排出量を抑え、下回る企業のさらなる削減努力 を促す効果があると言われる。しかし、航空業界 は航空機が排出する二酸化炭素の量は航空需要に よって左右され、ETS が意図する削減効果はあま りなく、逆に排出権の購入費は運送コストの増加と なって運賃の高騰要因になるとして、その導入に 反対している。一方、IATA(国際航空運送協会)は、 気候温暖化は地球全体の問題であり、その対策は 世界的な組織である ICAO(国際民間航空機関) で検討し、決定するのが至当であるとの見解を表 明している。思うに、気候温暖化は人類にとって 重要な問題であるだけに、航空についての対策は、 ETS だけに拘らず、ICAO を中心に世界的に統一 した効果的方法が求められるべきである。 混雑空港のスロットの不足も民間航空にとって 深刻な問題である。根本的な解決方法は、空港能 力の拡大により航空機の発着許容数を増加するこ とであるが、それは短期的に片付く問題ではない。 米国では N e x t G e n9の実施により、航空路の効率 的使用と空港機能の効率化を検討しているが、その 実施は先のことであり、現在の主要空港における スロット不足は避けて通ることができない。 その対策としては、これまでに時間帯別着陸料 やスロット売買などの方法が導入されたが、いず れも一長一短があり、航空業界からの批判の対象 となっている。 保護主義的なクォータシステムへの回帰を避け るためには、ICAO の場で改めて論議を尽くし、

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航 空 政 策 に 期 待 す る も の 公平かつ透明な統一的ルールを作成し、各国で実 施に移すのが至当であると考える。 航空会社間提携と独禁法 航空運送が自由化しグローバル化すると、運送 を円滑に行うために複数の航空会社がグループを つくり、相互に提携して運送に当たるのは自然な 流れであり、旅客の利便性の見地からも歓迎すべ きことである。しかし、それが市場の独占につな がったり、不公正取引の原因になったりしては折 角の航空自由化にも、もとることになる。ここに航 空会社の提携関係と独禁法10との接点が生じる。 現在、世界の主要航空会社は、スター アライア ンス、ワンワールドおよびスカイチームの 3 つのグ ループに分かれており、それらは航空アライアンス (Airline Alliance)と呼ばれている。航空アライ アンスに加盟する航空会社の中には、それぞれの アライアンス内で他の加盟航空会社と協力協定11 を結び運送事業の運営に当たるものが続出した。 もともと米国は航空会社間の提携には、独禁法 の見地から極めて厳しい態度を堅持してきた。とこ ろが航空自由化以後、1990 年代に入ってから逐次 方針を変更し、オープンスカイ協定の当事国の航 空会社には条件付きながらも独禁法の適用を免除 するようになった12 一方、EU では EC の基本法である EC 条約の 独禁規定を適用するため、理事会が規則を制定し、 委員会に執行機関としての調査、命令、制裁など に関する権限を与えている。その権限には独禁法

6 Protocol to the Multilateral Agreement on the Liberalization of International Air Transportation, Article 2.

7 空港ごとに一日当りの運航総数と時間当たりの運航回数の上限を決め、その範 囲で航空会社に割り当てられる運航時刻枠である。

8 European Parliament and Council Directive No.2 0 0 3/8 7/EC, amended by No.2 0 0 8/101/EC on 19 Nov. 2 0 0 8.

9 The Next Generation Air Transportation System、次世代航空運輸 システム

10 米国の独占禁止法と EU で言う競争法とは同じ法域にあり、本稿では両者を 併せて独禁法と呼ぶことにする。

11 米国では、米国航空会社間のコードシェア、ブロックスペースなどの協力協定は Joint Venture Agreementと呼ばれ、DOT への届出が義務づけられている。 4 9 USC Sec.417 2 0

12 4 9 USC Sec.413 0 8 および 4 9 USC Sec.413 0 9. 坂本 昭雄、三好 晋「新国際航空法」7 9 頁~ 8 3 頁参照

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の適用免除も含まれる。 包括協定では、航空会社間提携の内容としてブ ロックスペース、コードシェア、フランチャイジン グとブランディングおよび航空機のウエット・リー スに関する規定を置き、それぞれの実施要件を明 記してその実施を容易にした13。しかし、提携関係 の内容の多様性と運用される市場との関係に鑑み、 独禁法適用の可能性は依然として残されている。 米国と EU の独禁法の間には、法の適用にだけ でなく、制度そのものにも違いがあり、航空会社 間の提携関係に対する対応にも齟齬が生じている。 そのため包括協定では第 20 条で両当事者間の協 力の必要性を謳い、第 2 付属書でそれを実施する ための詳細な規定を置き、さらに協力の成果につ いて第 18 条により設立された共同委員会に報告す ることを義務付けている。 ところが2009年4月7日に、米国の DOT(運輸省) がコンティネンタル航空のスター アライアンス加 盟と加盟航空会社 4 社14の協力協定に独禁法の適

用免除を認める暫定認可(Show Cause Order)15

を発出したところ、4 月 20 日になって EU の委員 会がこの協力関係について正式に調査することを 発表した。この協力関係には輸送力調整、共同 販売、収入プールなどのセンシティブな問題も含 まれてはいるが、スター アライアンス以外の航空 会社からも米国と EU との制度的矛盾が指弾され ている。加えて米国では、DOJ(司法省)がこの協 力協定に適用免除を与えることに反対する意見を 公表し、DOT の去就が注目されていたが、DOT は 7 月10 日に DOJの意見を一部取り入れた上で、 独禁法の適用免除を認める最終決定を下した。 DOTの手続きに DOJが公に反対したことから航 空業界ではいろいろと憶測を呼んでおり、これを 機に今後の航空会社の提携関係は難しい局面に入 ると懸念する向きも少なくない。 グローバル運送の時代になっても、公平かつ安全 な市場確保の必要性は変わらないが、そのための手 立てが国により、地域によって異なるのは航空運送 にとってマイナスであり、円滑かつ能率的な航空運 送のためには、世界的に統一したルールづくりが必 要であろう。そのためには先ず米国と EU との独禁 法に関する協力の進展と成果を見守る必要がある。 おわりに 日本に期待される航空政策は、大きく分けて 2 つ ある。その 1 つは喫緊の課題を対象とするもので、 もう1 つは環境対策などの新しい課題を対象とす るものである。 喫緊の課題としては航空運送の自由化と首都圏 空港の大規模化がある。いずれもこのシリーズで論 じてきたものであるが、日本の航空会社のサバイバ ルには緊要な課題である。簡単に自由化と言って も航空当局の許認可手続きが付きまとっていては、 変化の速い航空市場の対応に間に合わない。また、 米国とオープンスカイ協定を結ばない限り、米国か ら他社との協力協定について独禁法の適用免除を 受けられない事実も認識すべきである。せっかくア ライアンスに加盟していても、加盟他社と協力協定 が結べなくては競争力に支障を来たす。米国とだ

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航 空 政 策 に 期 待 す る も の けでよいかどうかは別として、速やかに米国とオー プンスカイ協定を結ぶべきである。 首都圏空港の大規模化については、重複投資 の無駄や後々の障害を避けるため、大規模化計 画についての政策宣言を可及的速やかに行うべ きである。また、航空会社の競争力強化や空港計 画の作成には航空運送の実態を把握する必要が あり、そのためには OD 統計(True Origin and Destination Statistics)の使用は避けられない。 米国の政策に倣い、航空当局もその資料収集に一 役買うべきである。 次に新しい課題については、環境対策やスロッ ト管理のように世界的に統一したルール(ユニ フォーム・コード)16を必要とするものが少なくない。 国際民間航空には、他の産業と異なり、ICAO とい う確立された国際機関が存在する。従ってルール の世界的な統一には、方向として ICAO を多用す るべきであり、場合によっては ICAO の改革も射 程に入れるべきであろう。 世界の民間航空は足早に変化しつつある。その 変化に対応するためには、当面は米国と EU との新 しい枠組みづくりを見守りつつも、必要と判断され る方策は迅速に航空政策に組み入れるべきである。 P R O F I L E 坂本 昭雄(さかもと・てるお)1927 年東京都生まれ。50 年 東京商科大学(現、一橋大学)卒業。52 年東京商科大学研究 科中退。同年第1期フルフライト留学生。53 年日本航空入社。 83 年 IATA 法律委員会委員長。91年から関東学院大学法 学研究所を経て同大学法学部教授、同大学大学院法学研究科 教授。2000 年退職。現在、日本空法学会理事。 13 包括協定第 10 条 7、8、9 および第五付属書 14 ユナイテッド航空、ルフトハンザ航空、エア・カナダおよびコンティネンタル航空の 4 社

15 DOT の独禁法審査では、申請に対しまず show cause order の形式で予備 審査内容を公表し、利害関係人等のコメントを審査した上で final order を 発出する。

16 例えば The Uniform Code of Emission Control for International Air Transportation のように

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