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瑕疵担保の効果 利用統計を見る

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(1)

瑕疵担保の効果

著者

新田 孝二

雑誌名

東洋法学

8

2

ページ

74-99

発行年

1964-11

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00007874/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

(2)

東 会主主, 弓一 洋 法

取庇担保の効果

目 次 一 は し が き ニ約款法における環痴担保の効果 三 蔵 姉 担 保 の 本 質 論 四 フ ォ ン ・ ケ メ ラ l の寝抗概念 玉 む す び

七 四

(3)

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会 パ ﹂ 売主の暇庇担保責任をもって依務不服行の効果だとする依務不服行説は、昭和二十三年十月の日本私法学会第二十 会大会のシンポジウムを契機として、 より一層強力に主張されている。伏務不服行訓の核心は、取庇ある物の引渡し は契約義務の不履行だと説く点にある。そもそも売主は契約上の義務を完全に果、す伏務を︽っているのだから、これ の不履行は依務不履行となり、依務不服行規定に基づく責任を負う、とされる。ところで、依務不服行説のいう売主 の完全履行義務という理論構成は、特定物の給付義務中心の理論構成を破る目的から産み出されたものである。すな わち、日本民法草創期に主張された債務不履行説は、種類物売買においては種類物債務が特定されないかぎり、売主 ︿ 1 ﹀ は依然として完全な物を引渡すべき債務を負うのだと説いた。さらに昭和二十一一一年以降の債務不履行説は、草刈期の 債務不履行説が特定物売買についてはまだ特定物の給付義務構成にとらわれていた点を、完全履行義務という理論椛 成によって克服し、こうして特定物の給付義務中心の理論構成をすっかり駆逐してしまった。たしかに、売主が契約 まったく正しい。しかし、取庇担保責任で問題なのは右の完全履行 上の低務として完全履行義務を負うべきことは、 義務を売主が果さなかったばあいに、売主がいかなる範囲で責任を負うべきかという点なのである。完全履行義務と いう椛成は、積極的な怠味において売主の履行行為の目安を決定するためには役立つであろうが、消極的な怠味にお いて、取庇ある物を引渡した売主の責任の範囲を決定する基準としては具体性を欠くのではないか。 取庇担保の効果 七 五

(4)

京 t干: 法 学 七 六 右のモチーフに則して取上げられるのは寝庇担保の効果である(ただし、損害賠償責任の範囲については省く。林良平教 授 の ﹁ 売 主 の 浪 抗 担 保 責 任 の 効 果 ﹂ 契 約 法 大 系 、 と そ れ に 続 く は ず の 論 稿 に 該 る ) 。 暇庇担保の効果として民法の規定してい 効果として存立しうる。このほか、買主の追完履行松(修柿柱、代物履行椛)、 るのは解除椛である。商法では代金減額松がある。代金減額椛は損害賠償の一態様だといわれているが、取庇担保の さらに売主の追完股行総が数え上げら れる。特定物の給付義務中心の理論構成が瞭いたのは買主の追完履行権であった。ここにおいて債務不履行説の完全 履行義務という理論椛成は買主の追完履行総を容易に承認するのに功を奏した。しかし、売主の追完履行総が問題と なるや否や、債務不履行説は自己矛盾に陥ってしまう。けだし、位務不履行説がいくら完全履行義務を仰い扮しでも、 ひっきょう買主からの権利主張である。売主の追完履行経は買主の権利主張を制限する機能をもつものである。買主 からの権利主張が買主の権利制限として働くという矛盾を、債務不履行説はどのように説明するのであろうか。同じ ことは代金減額松についてもいえる。げだし、代金減額椛と解除椛のいずれを選ぶかは買主の自由であるように思え るが、実際は代金減額権は買主の解除権を制限し、民主の受領を強制する政能をもつものだからである

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主の解除 権の制限を決定する基準は、完全履行義務から導き出せるだろうか。 暇庇担保の効果につき依務不履行説の果した役割を師、みるとき、それは解除杭のほかに、ロ主の氾完股行杭が経狽 物売買に特殊な効果として登場したことに対応して、もっぱらそれの承認のために伴げられた考え方であった、とい えよう。程類物売買の一回の発肢が、売主の追完版行杭という効果をも産み川してくると、位務不股行説の完全版行 義務という理論杭成では説明がつかず、学説としての限界を曝すことになった。このようにして、依務不履行説の暇

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庇担保本質論があらためて疑われることになる。暇庇担保の本質は、売主の完全段行義務の不股行というより、さら にすすんで、契約の中味、契約において当事者が与えた担保約束の中に存するのであり、 したがって取庇担保の効果 も契約の中味から決定されてくるのではないか。 右の課題に関してドイツの法律学はわれわれに多くのことを与えている。とくに興味をもった二・三の論文の紹介 を過して、素描ながらこの課題を果したいと思う。 ( l ﹀ たとえば岡松﹁民法理由﹂下次二ニ七 約款法における取庇担保の効果 程類物売買の発展にかんがみて、契約に反する物が引渡されたばあいの法状態につき詳細な研究をなした最初の人 ( 2 ) は、私の知る限りではグロスマン・デルトのようである。彼の論文﹁契約に反する物の交付の法的効果﹂のモチーフ は、大要、次の通りである。十九世紀の立法活動を通して、商慣習が国家法として定骨一泊された取庇担保の効果は、九円、 然としてその中核に解除権が規定されている。種類物売買の発展にともないこの解除権は取引の極措と化すに至っ た。けだし、解除権というのは契約を解消するという消極的な方向でしか問題の処理方法を認めず、契約を維持する 積極的な方向で問題が処理されることから生ずべき契約当事者の利益に考慮の余地を与えないからである。そこで、 取 庇 担 保 の 効 果 七 4二

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来 i半 法 学 七 八 商人達は十九世紀の後半以降、独自に約款法を編み出していく。約款法は、国家法の枠を打ち破って商人達が取引対 象の性質に則して独自に発展させた﹁自治的経済法﹂である。グロスマン・デルトによると﹁約款法の登場によって ( 3 ) かっ、その大綱の定められたところの自治的経済法の中へ立ち帰った﹂のであ 種類物売買は、それが初めて発生し、 ば解除権の消長、 る。この自治的経済法たる約款法の分析を通して、契約に反する物が引渡されたときの法状態、国家法の側からみれ ( 4 ) の解明、これが彼のモチーフであった。 契約に反する物が引渡されたときの法状態、いいかえれば約款法の認めている取庇担保の効果はどのようなものな のか。ここではまず、グロスマン・デルトの与えた図式を簡単に紹介しよう。 ﹁国家法のもとでは﹃売目﹄という統 ( 5 ) 一概念が前面に出ているのにたいし、約款法ではその統一的概念は無数の取引類型に分解されてしまっている。﹂商 人達によって取引対象の性質に則して分解されてしまった取引類型は、しかしながら、ふたつの約款類型にはっきり 区別される。ひとつは、 工栄製品の、もうひとつは、農産物の引渡し約款である。 (a) 工業製品引渡し約款 工業製品引渡し約款の特徴は次の二点に見出される。ひとつは、売主の責めに帰すべき取庇ある物の引波しを理由 とする法的損害賠償をしめ出していること

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h E E ) 、もうひとつは、物の欠点があらわれたときに修補 ( 6 ) の二点である。修補がなされるかぎり、一解除権が ( 一 部 取 り 替 え ま た は そ れ に 類 す る こ と ) が な さ れ る も の と す る こ と 、 制限されることはいうまでもない。だが、この修補が成功しなかったか、または修補が初めから期待できないときは 解除松が与えられる。もっとも、この解除椎はようやくドイツ機械製作会社やドイツ氾気陀栄中央団体の約款の中に

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みられ始める程度であった。解除杭が判決の中で認められるとき、法解釈上の問題として﹁解除杭が依務不股行の効 ( 7 ) 果なのか、暇庇担保の効果なのか﹂の決定はなかなか落着しなかった。 ハ 7 ) の B E E P ロ ロ ・ ロ O R 己 乙 ロ -o H N 2 7 z h C } ∞ の ロ ︿ 日 片 岡 o m m J ︿ 正 同 一 ∞ 2 ﹀ ロ 門 出 向 ロ ロ ロ m ・

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良産物引渡し約款 工業製品引渡し約款に特徴的な免責条項

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良産物引渡し約款に特徴的なものは代金減額条項である。これは原料取引の全部に認められている。これの怠 義は、買主は代金減額はできこそすれ、暇庇ある商品を突返してはならないところにある。代金減額条項のこうした (l) 農産物引渡し約款には存在しな 意義は次の理由に基づく。 ① 売主は申し分のない品質の保証ができない状態におかれていること。たとえば、海上荷積み人にたいする監督 取庇担保の効果 七 九

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東 ? 羊 法 ~. 寸a 八

ができないこともある。また、収穫前の契約締結時には収穫物の出来具合を知ることができないからである。 ② 取庇ある商品を返そうとしても商品の返送費用は買主に負わされる。これが商品の価値とくらべると非常に高 い。買主にとって返送裂を負担することは堪え難いことである。 ③ 最後に、このことは工業製品のばあいとくらべて際立った差異を示すことがらであるが、原料取引は投機的性 格をもっていることである。相場の変動がはげしいため、買主はしばしば相場の不利益を免れるためにはどんな手段 でも使用可能な法的救済手段をとる。これに対抗する手段がこの代金減額条項 ( H と も か く 契 約 解 除 を 封 じ る こ と ﹀ な の ︿ 9 ﹀ で あ る 。 もっとも、代金減額の制度は他面、信用のおけない売主相手では買主にとって危険な側面がある。すなわち、相場 が上ったとき売主はできるだけ品質の悪いものを引渡し、相場の変動から生じる買主の利益を奪おうとするからであ る。こういう場合に備えて、買主が売主の悪意を立証すれば商品を突返すことができるものとする約款があり ( 但 ⋮ 一定程度以上の減価値にたいして買主は商品を突返すことができるものとする約款(制 限代金減額条項﹀がある。前者は海上売買、輸入品の圏内売目、例外的に純粋の内地取引に認められており、後者は内

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地取引のほとんど全部に認められている。

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ぽ売主の代物履行権の可否代金減額条項は多くの事例において商品の突返しを排除する o それは原料取引に おける解除権の排除をな味する。それにもかかわらずやはり解除椛はここでも荒川氏なな誌をもっている。それは、 売主の不誠実な引渡しのため、売主に代金減額条項が許されない事例がある。 制 限 の 代 金 減 額 条 項 ﹀ 、 ま た 、 1

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2 ある種の代金減額条項は売主に、代金減額による価値の劣った商品の受取りに対する抗弁をなす権利を与えて いる(したがって、売主の要求や了解をまって買主は代金減額により商品を受領しうる﹀。 商品の価値が条項に定めた限度を超えているときは民主はこの商品を突返すことができる。また売主の方で商 品の名戸を落さないように自分の方から商品の返還を要求することがあるーーからである。 3 これらのすべての事例において、引渡された商品が買主から突返されるのか、それとも売主から返還請求されるの か、の問題の生じることが稀ではない。このばあいの法状態はどのようなものなのか。この点に関して海上売買の約 款は、内地取引の約款と違って何の規定もしていないか、もしくは不完全な規定しか設けていない。たとえば、売主 または、商品の突返しによって、契約から生じる買主の権利に影響を受けないと は損害賠償義務を負わされるとか、 はたして売主は代物履行権をもっているのかどうかは、約款からは決定 できず、むしろ当該の取引分野の事情を正確に知ってから、それに基づいて決定されうるのである。 いわれている程度である。こういう場合に、 (a) 一般的にいって、売主の代物履行権の問題は、比較的重要な意味をもたない。すな 一旦、当該の商品が受領できないもの、とくに、受領義務のないものと判明すれば、その商品の突返しをもっ ﹁ 海 上 売 買 の ば あ い に は 、 わ ち 、 て契約の履行は事実上消滅するのが通例である。けだし、輸送期間が長くかかること、 また積出し期限がはっきり定 められており、多くの場合その期限は過ぎているから、再度の荷積みは多くの事例において売主にとって問題となら ハ ロ ) な い か ら で あ る ﹂ 。 (b) これにたいし内地取引約款は商品の突返しのあった場合の法状態につき詳細に規定している。このことは、無 取庇担保の効果 八

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東 洋 法 学 i¥ 制限の代金減額条項が優勢を占めている海上売買のばあい以上に内地取引においては、商品の突返しが大きな役割を もっていることと関係がある。ひとつには、適時に(履行期内に﹀代物商品の調達が可能だという事情もあろう。これ だけの事情ならば工業製品引渡しのばあいと区別して説明すためには不充分である。売主の代物履行権は、取引が投 機的性格をもっぱあいにのみ役割を果すという事情が附け加わる。解除権が主張される動機は圧倒的多数の事例にお いて、契約締結時と履行時との聞に相場の下落があり、契約を存続させておくと買主に不利益が生じるときである。 工業製品のばあいには相場の変動は重大な役割を演じないから、買主が契約解除にたいし利益を持つことは稀である。 原料取引となると事情は変ってくる。原料取引においては相場の変動が激しく、買主が解除権をもつかもたないかの問 題に重大な利害がかかっている。原料取引においては契約解除こそ、相場の下落による買主の不利益を売主に転嫁す ( 日 ) る唯一の手段なのである。だから、買主の解除を認めるか、売主の代物履行権を認めるかは焦眉の問題となってくる。 この問題にたいし、約款の規定の基本思想中、二組の原料取引約款が区別される。

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ひとつは、物の返却によって 契約が消滅してしまうか、あるいは契約解除をする権能が買主側にあるもの。

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もうひとつは、物の返却によっては 契約関係が左右されず、また買主に解除権が与えられていなくて、むしろ売主に代物履行総が宿保されているばあい で あ る 。 (1) ﹁商品の返却で買主は契約を解除できる。 売主は代物履行権をもたない。 ﹂ の 規 則 は と り わ け 、 現 物 取 引 ( 戸 。 r c m g n E P ) に支配的に認められている。さらに、海上売買、輸入商品の取引のわずかの部分に、純国内取引では ( U ) ドイツ馬鈴薯取引に認められている﹂。 売主に代物履行杭はなくても代物以行義務はどうか。現物取引では、 ﹂ れ す

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らも排除されており、内地取引では、これを承認しているもの、または損害賠償義務だけを承認するもの、または、 それらを選択的に(独民第四 λ O 条に対応)承認しているのもある。 この組に属する取引の約款で売主の代物版行椛が排除されている理由は次のとおりである。 ﹁現物取引は多分に特 定の当事者間の特定物売只であって、 代 物 日 以 行 が 問 題 と な ら な い 。 このほか、現物取引においては、契約締結時と履行 時との問に相場変動の時間的巾がないから、先主・只主双方とも代物版行にたいする利益をもたない。引渡された商 ロ川に取庇があるとき、再度その売主から商品の調達を求める迎由がない

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主がみずからよそで商品を入手できるの だから。この点は工業製品引渡しと違うところである。他方、売主にしても代物以行のため同栄者の許で商品をさき ハ 日 ) の売買価格で仕入れて、それを買主に引渡すことには、なんの利益ももたないわけである﹂。

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﹁売主は代物履行権をもっ。この規則はとりわけ、内地取引の引渡しに支配的に認められている。この場合、大 ( M C 抵は売主の代物履行義務も伴っている﹂。 この規定の約款における規定のしかたは統一的ではない。売主の代物股行 権は大抵は、時間や回数が制限されている。回数は大抵は一回であり、時間は、 る場合、同返却された物の引渡しがあった時から一定期間に限られるもの、 ( η ﹀ けるものもある。もともと売主の代物履行権が設けられた動機は、相場変動による不利益を相手に転嫁することを防

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契約上の履行期間内で認められ 付それ以外に許された狛予期間を設 ぐためであるから、代物履行権行使の可否も、この基準に従って決せられる。たとえばハンブルグ穀物・食品約款で は商品が売買後、売主の過責なしに契約通りでなくなったとき、善意の売主は相場の下沼の当時、商品の完全拒否に 対し保護されるべき﹂であり、 ま た 、 ﹁商品の値が高騰しているときに、もともと価値の劣る商品が引渡され、それ 暇庇担保の効果 八

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来 洋 法 学 λ 四 (日) がため市場利益を失うことのないように買主は保護され e るべきである﹂という注が附されている。この点につきはっ きりいえることは、﹁解除権は相場の当てがはずれた買主のための最後の予備錨

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となるために存在す るのではないこと。しかし、売主が最初の引渡しにおいて不誠実であったか、または、適時に、代物履行のできない 状態にいるとき、解除椛は正当とされる﹂ことである。 グロスマン・デルトの分析から、われわれは次のことを一確かめておきたい。 (a) 取庇担保の効果には、解除権のほかに代金減額権、買主の追完履行権(修補権と代物履行権﹀、売主の追完股行権 が あ る こ と 。 (d) 解除権以外の諸効果は、 いずれも解除権を制限または排除する機能をもつものであること。 以上ふたつのことから直ちに生じる疑問は暇庇担保の効果として解除権が制限または排除される根拠、そうし (c) て、解除権以外の諸効果のうちのいずれかのものが認められる決定基準はなにか、ということである。グロスマン・ デルトは、約款の類型化を必然ならしめた﹁取引対象に固有の性質﹂の中にこの基準が求められるべきであることを 指摘していること。 グロスマン・デルトの約款法分析の結果が法解釈学の上にどう反映されていくか、これが問題だ。右論文が出てか ら二十一年ののち、パラlシュテッドは取庇担保木氏論の中でそれを正しく位世づけた。 ハ 8 ﹀ 円目。

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ハ ロ ) ( M ﹀ ( 日 ) ( 日 ) ( 口 ) ( 凶 ) ( 叩 ﹀ 最庇担保の木質論 暇庇担保の本質論についてはいくたの論文で試みられているので、まずその大筋のところを振り返ってみておこ 暇庇担保の本質をめぐる学説の争いの焦点とその発展は特定物売買を軸とする理論構成とそれの批判にあるという 取庇担保の効果 λ 玉

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京 j羊 法 学 八 六 ことができる。特定物の給付義務中心の理論構成、それは種類物売買が問題として登場したことに触発されて生み出 されたものである。ドイツ普通法時代に按察官訴権が種類物売買にも適用されうるかの問題が争われ、ゴールドシュ ミット、ヴインドシャイドはこれを肯定するために、危険移転の時期を定める﹁特定﹂概念を暇庇担保領域に持ち込 ( 却 ﹀ んだ。すなわち、彼等によれば﹁特定﹂とは、種類物債務が特定物債務に転換することだと規定し(転換説)、これに よって特定物売買にのみ規定されていた按察官訴杭ハ解除権)を種類物売買にも適用することを可能にした。さらに種 類物売買で買主の追完履行権が問題とされるとき、さきの転換説では説明ができない。ゴールドシュミットは追完権 ( 幻 ) を否定した。それに対しヴインドシャイドは種類物売買においては給付すべき物の無暇庇性は当事者間に黙示の定め ( 幻 ﹀ がある。もし売主が蝦庇ある物を給付すれば J その給付は契約違反であり、債務の履行を発生させない、と。ここか ら追完履行は債務不履行の効果として承認される。ドイツ普通法におけるこれら二つの方向は、お互いにその内容に ( お ) 修正を加えながら、ドイツ民法時代の多彩な学説の中へ生きのびていく。しかし、これらの学説問の論争は特定物の 給付義務中心の考え方がいわば公理として前提されていたことに発端がある。この点に着目し、それの批判に立ち向 ( μ ) うのが債務不履行説である。債務不履行説は、給付義務の拡張を通して契約に反する物の引渡しを、特定物売買、程 類物売買の区別をせず債務不履行の効果で捉える。 ( 加 ) ゴ ー ル ド シ ュ ミ ッ ト が ﹁ 種 類 物 は 適 当 な ( と 見 倣 さ れ た ) 給 付 に よ っ て 特 定 物 に 変 わ る ﹂ ( 回 目 ﹃ ・ 。 ・ 出 ω -HFS

-H -H N ﹀ と い い 、 そ れ を 受 け て 、 グ イ ン ド シ ャ イ ド が こ れ に ﹁ 特 定 ﹂ と い う 概 念 を 与 え て 以 来 、 ﹁ 特 定 ﹂ と は ﹁ 種 類 物 が 特

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( 幻 ) ( 幻 ) ( お ﹀ ( ね ) 定物に変わることだ﹂と理解され、どの教科書にも疑われずにそう書かれてきた。 は な か っ た 。 ︿ ぬ ア ﹄ ・ ロ 月 一 了 ロ ロ 印 ︿ E r 三 三 一 。 ロ m m g の } 戸 位 向 グ

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京 ︺ ﹁ 洋 法 学 λ λ た。買主(被告)は霊すぎる馬具卒は蝦庇ある物だから、解除権を行使してこれを返したことで契約は消滅してしまっ たと抗弁する。これに答えて裁判所は、 ﹁重さは契約の内容になっていないから、売主の初めの引渡しは契約に叶っ た性質の物の引渡しである。だから売主が好意から、それを引取って買主の要望に従った別の物を引渡しても買主に はそれの受領を拒む理由はない:::﹂と判旨した。しかし、問題を一歩進めて、初めの引渡しが暇抗ある物だったば あいに、売主の代物履行権をどういう理論構成のもとに法律上承認するかは問題である。先の判決理由の中の﹁売主 が遅滞なく債務を負った種類の物の引渡しを申し出で、また買主が債務関係の集中した当の物︹初めに引渡された物︺ ( 幻 ) の受領になんの利益ももたないか、ぎり﹂という理由は、売主の代物履行権を承認するための理由としては不充分であ る。この判例を契機にグロスマγ・デルトの示した暇庇担保の諸効果を、取庇担保の本質論にさかのぼって、そこか ( 却 ) ら法解釈上正当化する課題を果したのはクルト・パラ l シュテッドである c ( お ) 宮 口 忠 ω P 冨 白 百 ユ ロ ロ 何 回 国 間 ・

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吋 ∞ ﹄ ・ 売主の代物股行権は、ロ主の解除椛を排除する。したがって、買主の解除椎を排除すべき状態とは何か、が問題と ( m U ) なる。パラlシュテッドはこの状態を買主の契除解除が﹁給付交換や危険分配としての契約の立味に反するばあい﹂

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だという。この余題は次のふたつの場合に分けて考察される。ひとつは、特定物売買のばあい、そうして独民第四八

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条第二項のあてはまる事例である。この事例においては、買主の解除権は、疑いもなく売主の代物股行総に佼先す る。もうひとつは、同じ程類物売買でも、投機的性格をもつかどうか、いいかえれば、商品市場の介在を通して売買 がなされるか否かにより、さらに区別される。その一は、投機的性格をもっ山山口、これをバラ l シュテッドは﹁市 坊に関係づけられた種類物売買﹂と呼ぶ。その二は、投機的性格をもたない元引、これを彼は﹁単純和知物売買﹂と 仔 ぶ 。 それは、売主が一 ﹁売主の信頼性と細心さに対する信用を失い、再度の引波しにかか また、このような取引においては、相場の変動のため買主が不利益な相 ( m 出 ) 拐からル討を引くための口実としてのみ商品の暇庇を利用しようとする危険が少ないだろう﹂からである。 例単純程類物売買においては、売主の代物履行権は認められず、 旦、質の劣る物を引渡したことによって買主は、 買主の解除権が優先する。 わり合いを持ちたくないと思うであろうし、 、 、 , , , i o , , e -、 これに反し、市場に関係づけられた種類物売買のばあいには売主の代物履行権が承認される。それは、この狽 型の取引においては一 t 売主は多くのばあい、船荷証券の形で売買するので売主は往々にして買主に引渡された商品を 昨⋮引見していない。だから、売主の信頼性または取引上の給付能力にたいする不信が直ちに、少くとも商品の暇庇によ ( 出 ) って証明されることにはならない﹂からである。さらに、契約締結時と履行時との聞に相場の変動のあるこの類型に おいては、買主の契約解除によって相場変動から生じる危険を売主に転嫁することは正当でない。 ( 幻 ) ロ川に関する取りきめは、この粧の危険にたいする相互の保証を含んでいる﹂からである、と。かくして、バラ l シ ュ ﹁ 目 立 こ ん λ 日 山 工 -百

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(18)

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テッドによれば売主の代物履行権の認められるのは、市場に関係づけられた種類物売買にかぎられる。これにおいて ( お ) 売主の代物履行権は﹁担保約束または危険担保﹂の意味をもっという。つまり、売主の代物履行権は契約の性質を決 定する目的 H 契約の中味から導き出されるのである、と。 彼の﹁種類物売買論﹂は、この売主の代物履行権のほかに、独民第二七九条の程類物売買における危険負担を取扱 っているが、この論文の動機は契約責任の本貨を明らかにすることであった。そうして彼の研究を通して、 ﹁ 依 務 者 れは契約の中味に外ならないが、この主観的モメントは、 の責任は彼みずからが契約締結のさいに与えた言葉の保証にある﹂ことを実証した。﹁債務者みずから与えた言葉﹂そ ( 剖 ﹀ ﹁契約の法概念的内容﹂において客観化される。パラ l シ ュテッドはこの課題を果たすために契約の性質を決定する目的に則して諸々の契約を類型化することによって、契約 意思を、とりわけ、心理学上の意思や契約当事者の怒意的な観念でない契約意思(契約の法概念的内容)を確定した。 ( 却 ) ( ぬ ) ( 訂 ) ( 臼 ) ( お ) ︿ 川 内 ﹀ ロ ロ Z O B Z L f ロ ・ ロ ・ 0 ・ ω - M U 1 ∞

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(19)

︹解除権の制限または排除に関するわが国の判例︺ 売主の追完椛につき、わが国でも海上売買にその判決例がある。初めに引渡された物に取庇があったというのでは ないけれど、売主側からの再度の物の引渡しが認められた点は注目される。この事案は昭和六年八月二十八日、東控 民一判(新聞三三四一号六頁)に係ったものである。被控訴人(売主)と控訴人(買主)との問で深川産小麦の売買契約が 生産地抗出期日大正十一年四月中、その他の約定のもとになされた。ところが約定期間中には小麦の積出しがなされ ず、売主はそのかわりに神戸港沖の・同商品を積んだ船の商品を買って引渡期日までに引渡した

OR

主は、不履行を 主張してその代替凶品の受領を拒んだが、判決は﹁本件催告-一付之ヲ観ルニ控訴人-一対シテ為シタル催告ハ前後二回 共何レモ独立シタル催告ト解ス可ク、然モ其期間前者一一於テハ十三日後者-一於テハ五日ヲ算スルノミニ過キサルヲ以 テ本件小麦四千英噸ノ履行ヲ為スニ要スル期間ハ之ヲ東京濠州問ノ通信-一一安スル時間、四千英噸ノ傭船若クハ運送契 約二要スル時間及同数量ノ小麦ノ船積ニ要スル時間等ヲ出酌シ普通之ヲ要スル時間トシテ執レモ短キニ失スルヲ以テ 不相当ナリト認ム可ク該催告ハ契約解除ノ前提タル履行ノ催告トシテ何レモ不相当ナリト謂ハサル可カラス﹂と上告 理由を否定したうえで、 ﹁売主カ日本内地受渡港-一在ル船舶若クハ航海中ノ船舶一一積載シアル濠州積出ノ同品質ノ物 件 ヲ m H 受ケ引渡期日ニ買主-一対シ現実ノ履行ノ提供ヲ為シタル場合一一於テ買主ハ之ヲ受領スルモ何等契約ヲ為シタル 目的ヲ害セラルルコトナキヲ以テ右物件ハ売主白ラ積出期間内ニ濠州ヲ積出シタルモノニ非ストノ理由ヲ以テ之カ受 領ヲ拒絶スルコトヲ得サルモノナリト解スルヲ相当トス﹂と判示した。この判例を基にして、もし初めの引渡しが取 庇ある物の引渡しだったため、売主が契約期日までに二度目の履行提供を試みた事例に模様替えをしても、売主の二 取庇担保の効果 九

(20)

東 洋 法 学 九 度目の履行提供の可否をめぐる問題の本質は変らないであろう。取庇担保の例に引き移して考えたばあい、暇庇担保 責任は依務不履行の効果だとするならば、買主の主張は否定できず、売主の代物履行を承認することがおかしくなる であろう。ここでもまた、売買当事者の権利・義務が契約の中味によって決せられるべきことがくみ取れるのではな いか。債務不履行説の欠点はこの点に認められるのではないか。 さらに、売主が暇庇ある物を引渡したので買主は解除を主張した。ところが裁判所は代金減額は認められでも解除 は認められないと判旨したことがある。また、初めから買主が代金減額を主張して容認された事例もある。代金減額 権は、すでにみたように買主の解除権を排除して、暇庇ある物の受領を強制する機能をもつわけである。そこで、こ こでもまた、買主の解除権を排除して代金減額しか認めない根拠が問題となろう

OR

主の解除の主張が否定された事 例 ( 4 藷 一 弘 一 部

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問調買)は横浜貿易市場における見本売買に関する事件である o 売主の引渡した生地天は見木と比 較して甚だしく劣等のものであったが、裁判所は﹁契約の目的を達すること能わざりし程度の差異ありとの買主の主 張は之を首肯するに由なく:::買主は相当の値引を求めうる慣習あるも買主はこれに応じなかった﹂と判旨した。こ の判旨が導き出された根拠は、思うに、売主は生地天を英国から取り寄せて売るという事的の中にあったのではなか ろうか。すなわち、生地天の生産は買主の手に渡ったものが商品として生産されていたので、英国でもそれ以上良質 の同一生地天が存在していないのではないか。また、もしあったとしても、買主のために時間と引用をかけて英国か ら取り寄せることがこの程の取引から期待すべきかどうか、 の考慮、がきめ手になっているのではないか。もうひとつ の 判 例 、 そ れ は 買 主 の 代 金 減 額 が 容 認 さ れ た 事 例 命 制 刊 一 一 計 一 日 沼 山 計 問 ) は 、 反物の売買に閃すもので、 h 九 1 4 } 町 工 d A P 。 行 U1u ﹁ 手 巾

(21)

を以て袴地を摩擦し右手巾に多量の藍色の附著することによりて初めて右袴地が品質粗悪なることを知りねるが如き は(旧﹀商法第二百八十八条に所謂売買の目的物に直ちに発見すること能はざる暇庇ある場合に該当するものとす﹂と 判旨した。売主は織物製造販売業者で、買主に引渡した程度の品物が商品として生産され、それ以上の品質のものを 約定価額のもとで生産することは売主の技術上困難で、取引上も期待すべきでないという考応がこの判旨(担保権とし ての代金減額権)を導くきめ手となったのではなかろうか。 これらの帰結もまた、不履行説からは導けないことではなかろうか。担保権としての代金減額肱の特認も、その決 定基準は、取引対象に則した当事者の契約意思の中に求められるのではないか。

フ ォ ン ・ ケ メ ラ

l

の暇庇概念

売主の代物履行権の問題をめぐって債務不履行説の欠点が明らかにされたが、しかし債務不履行説は売主の代物政 行を含めて追完権が失敗に終ったばあいは結局、買主の契約解除権に行きつくであろう点を捉え、この契約解除権は依 務不履行による契約解除権であるといい、 暇庇担保責任と債務不履行が不可分離のものであるように説く。 たとえ ば、星野教授は次のようにいう。 ﹁買主からの請求を考えると、買主は裁判外で完全履行を請求し、売主がこれに応 じて満足な股行をすれば問題なく片附いてしまうのであり、買主が契約の解除をして既払代金の返還と損害賠,似を前 ( お ) 求し、売主が応じないときに裁判所に訴えることが多いであろう﹂と。 取 庇 担 保 の 効 果 九 一 一

(22)

東 洋 法 学 九 四 ふたたびグロスマン・デルトの研究に立ち帰ろう。ドイツでも星野教授のいわれるように、契約解除権が、そのよ 工業製品引渡約款では修補権が担保権の中心をなしていて解除権の 規定がない。ところが売主の修補権がうまくいかず買主が契約解除を主張して裁判になった。このとき、裁判所は解 うなものと考えられていた面がある。すなわち、 ﹁修補義務は売主の給付義務であり、とくに彼の主たる義務である。したがって それの不履行は独民第三二五条、第三二六条の規定に服し、買主はそこに規定された契約解除杭と拐容賠償詰求権を ( お ) もつのである﹂と。この判決によって買主は確実に債務不履行を理由とする契約解除椛を確保されたかにみえる。し 除権を認めて次のように判旨した。 かし、売主が修補を試みるかぎり買主の催告がなされないわけで、修補がいよいよ望みがないとわかった段階で買主 が不履行による契約解除をしても、催告がなかったことを理由に買主はしばしば敗訴の憂き目をみた。まもまく、あ ( 町 ) る程の約款は﹁約款の意味における・売主の責めに帰すべき暇庇の除去または修補のために民主に課せられた催告別 ( 部 ) 問を売主の過失により徒過したとき、買主に解除権を保証すること﹂が認められた。もっとも、裁判上は、この契約 解除権が不履行による契約解除権が、蝦庇担保のそれかは不確定のまま残された。 債務不服行によるか蝦庇担保の規定によるかの争いは暇庇担保の本質論から法律椛成の要件前の問題へと進展する 従来から不服行規定によると考えられていた異種物引渡しを、三でのぺた暇庇担保の本質論から暇庇概念をとおして ( m U ﹀ 暇庇担保領域にとり込むのがフォン・ケメラーである。彼の論文の内特の紹介はここではか引く。ただ、この論稿のモ テ ィ l フに則して、彼の論文のな誌に市一点をおいた紹介をするに印める。 問題となった判例(河口 N ・

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からのべよう。被告(只主﹀は原告から川俣絹糸一五

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箱を引ったところ、原告から

(23)

送られてきたのは仙台絹糸一五

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箱であった。被告は一九一一年四月二十九日、五月一日付でこの引波しを拒絶した ので原告は五月二日付で川俣絹糸を捉供し、五月三日すでにそれを事実上発送した。被告はこの二皮目の捉供を受領 義務なしとして拒絶した。原告は仙台絹糸は川俣絹糸よりも上質であり、また仙台絹糸をすでに四月十九日に受け取 った被告は、この商品に対する通知を四月二十九日になってようやくなしたと主張し上告した。前二審裁判所は債務 不履行説の立場に立った。すなわち、具程物引渡しは債務不履行である。したがって、独商第三七八条によって判断す べきでなく版行、遅滞という一般規定によって判断すべきである。しかし、当該契約には期間の定めがないから、売主 が二度目になした川俣絹糸の引渡しは本来の履行であり、買主がこれを拒めば受領遅滞となると判旨した。これにた いし、帝国裁判所は、﹁注文品と具なるものが引渡されても、それがあきらかに注文とさほど述いがなく、ために売 主が買主の承認を得られるものと考えざるをえないか、ぎりにおいて、商法第三七七条の暇庇担保規定の適用をみとめ るのが独商第三七八条の法怠である﹂として、被告を勝訴させた。 独商法はその第三七八条において具程物につ、き規定を設けている。右の事件もこの規定の解釈につき争われた。不 履行説は取庇ある物と異程物とは本来別々の規定に服すべきだという前提から、通知義務についてだけ独市第三七七 条の暇庇担保の規定を準用するのが第三七八条の法意だと考えるのに反し、判例の立場は、買主の承認が得られるほ どに具程物と注文品との差異が著しくない︿承認可能な具租物)ときにか、ぎり暇庇担保そのものの規定が適用されると するのが第三七八条の法怠だというものである。ケメラ l は、判例の態度が﹁完結されざる発展の進路におけるひと

(

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﹀ つの小さな進歩﹂だと評しながらも、判例の立場は解釈上大きな矛盾をはらんでいるという。というのは、判例の立 取庇担保の効果 九 五

(24)

東 洋 法 ,ll4 マ ー 九 六 場のように承認可能な異種物に担保権(とくに解除権)を認め、承認不可能な異種物についてはふたたび不履行の規定 に服させるならば、﹁︹承認可能な具種物のばあい︺通知をしなければならない買主が︹解除権を行使することによっ て︺追完履行を拒否してもよく、反面、 ( 川 む して︺追完肢行を強制される﹂という矛盾が生じるからである。この矛盾は独商第三七八条の拡大解釈によってのみ (必) 問題を解決しようとしたことに基因し、担保責任の全領域の再検討﹂が望まれると指摘した。 フォン・ケメラ!が判例研究を通して得た結論は、引渡された物が契約に違反したときは独民第四五九条の暇庇あ る物であるということである。具種物も契約に違反した物なのだから、この取庇概念に合まれる。独商第三七八条に ︹承認不可能な異種物のばあい︺通知の必要のない買主が︹不履行の効果と ついて彼は、独民第四五九条の﹁単なる説明的な意義をもつにすぎない﹂という。 フォン・ケメラ l の暇庇概念の意義について二・三のことをつけ加えておく。 ↓ J 彼の暇庇概念は従来の暇庇概 念よりも広い。この点から法解釈上一般に取庇概念が拡大されているといわれている。しかし、彼の暇庇概念は、引 渡された物が契約に違反したとき売主の負うべき責任は契約の中味によって決められるという前節三の本質論の・要 件論における立言に他ならない。だから具体的契約内容外の要素、たとえば債権法の一般規定、を責任内容決定にも 債務不履行説は暇庇担保規定を排除 するという不幸な帰結をもっている。たとえば、具体的な契約慣行から生れた短期時効を取り込めないことである。 ち込む債務不履行説が限庇概念の拡大を説くことは自己矛盾ではないか。

債務不履行説は信義則その他の法律技術に依ってこの短期時効を取り入れようと努力した。しかし、これらの技術は 債務不履行説のいう﹁契約説﹂の枠からはずれたものではないか。日本の判例で暇庇担保の規定(とくに短期時効)は星

(25)

( m M ) 野教授の指摘するように、多くは買主を敗訴させる機能をもった。しかし、私は事件が暇庇担保領域の問題として処 種類物売買に関するわが国の不履行説の根拠のひとつは、民第五七

O

条の文言であ 理された点を評価したい。

いままで述べてきたところからも明らかなよう る。そこには売主の追完以行が規定してないからである。しかし、 に、取庇担保立任の効果は契約の中味によって決まるのであるから、法山ハに特殊の効米が規定されていないからとい って、売口契約に特殊な効果が認められえないわけではない。要件論においても、取庇概念をもたないスカンジナピ ( 川 む ヤ売買法においてアルメンは判決の中から暇庇概念を発展させている。われわれは民法第五七

O

条の規定を﹁売主の 責任が契約の中味から決定される﹂ということの民事売買に特殊な効果の一例示とみていくだけでよいのではなかろ う か 。 ( お ) ( お ) ︿ 幻 ﹀ 星野、前掲杏二九頁 初 め 同 0 ・ ・ ﹄ 巧 ・

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(26)

束 洋 法 学 九 λ ( 必 ) ( 川 悦 ) 星野、前掲書ニニ頁 ︿ ・ の B E E R R -ロ ・ -ロ ・ C ・m ・ 。 ・

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債務不履行説にたいする疑問というモティ l フから、論述の方法としてグロスマン・デルト、バラ l シ ュ テ ッ ド 、 フォン・ケメラ l に至るもうひとつの取庇担保論の発展をみてきたわけである。グロスマン・デルトは債務不履行説 に属する人である。彼はせっかく約款法のすぐれた分析をしながら、債務不履行説の内包する矛盾を法律椛成の平面 へ持ち上げてくる作業を呆さなかった。この残された作業を受け継いだのがバラ i シュテッドである。彼は、グロス マン・デルトの与えた﹁取引対象に固有の性質﹂という理論構成の中に、類型化された契約怠思の顕在化を見た。こ の契約怠忠への帰納は、要件論における独民第四五九条の﹁暇庇﹂へ結びついていく。フォン・ケメラ l の取庇概念 論は、契約に反する物の引渡しを破庇担保領域の中に包み、債務不履行が登場する余地を奪うこととなった(もっと もフォン・ケメラ l の論文はバラ l シュテットの論文に三年、先立ってあらわれた。それ故、バラ l シュテットはフ ォン・ケメラ l の意図を具体的に展開してみせたというべきかもしれない)。 特定物の給付義務中心の型前杭成は契約外の要素に責任決定以年を求めるのにたいし、依務不服行説は反転して契

(27)

約内にそれを求める。この意味において債務不履行説は契約説に属する。私が紹介した担保約束説ももちろん契約説 に入る。ただ、同じ契約説でも、債務不履行説は債権法の一般規定に責任決定基準を求めるにすぎないが、担保約束 説はさらに進んで具体的契約の中味にまで入っていく。債権法の理論的正当化を支えている契約芯思にまでさかのぼ って責任決定基準を求めたということ、 いいかえれば、契約説の本旨をより深めたという意味において担保約束説は 不服行説に一歩先んじているといえるのではないか。 ※ ※

本論稿が活字になるこの時まで、 つねに御教示と激励を惜しまれなかった中央大・川村泰啓教授ならびに木学の諸 学兄にたいし心から謝意を表します。 ( 木 学 助 手 ) 暇庇担保の効果 九 九

参照

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