独居療養者が在宅死を望み、それを実現させるための要因 ―独居療養者と医療・介護職、それぞれの視点から―
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(2) Ⅰ.研究背景 近年、国内では高齢者の単身世帯が増加傾向である 1 ) 。また、55 歳以上の方の最期を迎え たい場所は 54.6%が自宅であった 1 ) 。独居で医療や介護が必要な状況になっても、住み慣れ た自宅で生活を送り、最期まで自宅で過ごす(在宅死)を望む方も少なくない。独居の療養 者にとっては、一人で過ごす時間は長く、療養者に不安や孤独感があると思われるが、自ら 在宅死を望む療養者にはそれ以上の「終の棲家として自宅を選ぶ理由」があるものと思われ る。 また、家族と同居か否かに関わらず、在宅療養開始当初は不安等から最期を病院で迎える ことを療養者・家族がイメージをしていても、医療・介護職が介入した結果、在宅死を希望 し、その希望が叶うこともある。療養者が最期を過ごす場所の選択をする時に、支援する医 療・介護職者の影響もあると考えられる。 家族が同居で介護する場合、市原ら 2 ) の報告では在宅看取りを断念し再入院となった理由 は、家族の希望が最も多く、家族の漠然とした「その後の不安」だったと述べている。独居 の方の在宅死では、家族がいない分、本人の希望や生活スタイルが最優先されるというプラ スの面がある。しかし、支援する医療・介護職にとっては臨時の対応等、負担が生じやす く、職種間での連携が密である必要がある。 先行研究において、独居高齢者の看取りに関する様々な調査はあるが、「在宅死を希望す る独居療養者に対する」調査、そして療養者の価値観等の「内面性」に焦点を当てた研究は 少ない。また「多職種を対象とした」調査も少ない。 療養者が独居でも安心して在宅死を迎えられるには、そして同時に医療・介護職が負担を 少なく在宅看取りするためには、療養者はどんな思いで暮らし、どんな心構えをしているの か、そして支援する側は何を大切にどう支援しているのか。各々の要因を調査することが今 後の超高齢・多死社会に向けて必要だと考える。. Ⅱ.研究目的 独居で在宅死を希望している療養者とその方を支える医療・介護職の意思・問題意識・困 難感・価値観等を調査し、各事例や職種間での共通点・差異を明確にする。. Ⅲ.用語の定義.
(3) 療養者:在宅で療養をされている人のこと。各サービスによって対象としている方に対する 呼び方が異なるため、ここでは「療養者」とした。 多職種:在宅医療・介護に関わる各職種の人のこと. Ⅳ.研究方法 1.研究対象者 1)対象者Ⅰ:下記条件に該当する療養者 ①40 歳以上(当初 65 歳以上としたが、対象者を増やすため介護保険対象の年齢とした) ②独居生活をしている。尚、独居には下記の 3 つのいずれかの条件を含む。 ・親族・身寄りが全くない完全独居 ・親族はいるが疎遠で連絡が取りにくい ・別居家族がいるがあまり介護の協力が得られない ③自分の意思を伝えられる方 ④疾患がある程度進行し、そのことを理解したうえで、在宅死を希望している ⑤在宅療養を支える多職種が介入し、在宅死に向け体制が整えられている、または整えら れつつある 2)対象者Ⅱ:上記の療養者を支援している4つの職種から各1名 ①訪問診療の主治医 ②訪問看護師(担当者か主に訪問している方) ③ケアマネージャー ④ヘルパー(サービス担当責任者か主に訪問している方) なお、4つの職種にした理由は、対象者Ⅰの方を在宅で支援すると想定した場合、ほぼす べてのケースで関わっている可能性が高い職種であると考えたためである。 2.対象者選定方法 都内複数の区における訪問看護ステーションの集まり(区内の管理者が集まり情報交換等 をする会議)に出向き、協力依頼をする。今回の区を選んだ理由は、研究者が訪問看護師と して活動している地域のため、多少の顔の見える関係があることで、協力が得られやすいと 考えたためである。更にステーションの管理者に会う機会があれば、直接お願いをした。.
(4) 説明する際、資料を作成し配布した。①研究に協力して下さるご利用者さまのご紹介のお 願い(訪問看護師向け)②インタビュー調査へのご協力のお願い(訪問看護師→療養者へ渡 す) 3.調査方法と内容 1)対象者Ⅰ:半構造化インタビュー 配布資料を用いて研究の目的を説明し、インタビュー協力とICレコーダーへの録音、調 査後に多職種へアンケートを送ることに対し同意を得てからインタビューを開始する。主な 質問内容は以下の通りである。 ・年齢、住環境、医療・介護のサービス状況、経済状況、日常生活の様子 ・疾患名・身体状況、入院経験の有無やそのときの思い、緊急時の対策 ・独居で最後まで自宅で過ごそうと思った理由や経緯 ・自宅でよかったと感じること、自宅でのマイナス面 ・サービスに入る職種への思い ・今の自分の支えになっている物、事、人、経験、存在、宗教など ・今までの人生を振り返って思う事、死生観、人生観など ・今後独居で最期まで過ごす人が増えるが、その人たちに教えてあげたいこと 内容や順番はその時の状況で変え、自由に話せるようにする。答えたくない質問には答えな くても良いことを事前に説明する。 2)対象者Ⅱ:質問紙調査、自由記載がメイン インタビューが終了した後、当日~数日以内に質問紙を手渡すか郵送する。主な質問内容 は以下の通りである。 (1)職種や経験年数、対象療養者と関わってからの期間など (2)対象療養者に対しての質問 ・在宅看取りが可能だと思うか(選択)、その理由(自由記載) ・不安・負担・困っていること(自由記載) ・多職種連携の状況(選択)、選択の理由(自由記載) ・関わりを通して対象療養者から学べていること(自由記載) (3)対象療養者に限らない質問 ・独居高齢者の看取りの支援の上で大切だと思う事(自由記載) ・独居高齢者の看取りに関して学びたい知識・技術や知りたい情報(自由記載).
(5) ・ターミナルケアに関する個人の考え(選択) 4.分析方法 1)療養者へのインタビュー (1)録音したデータから逐語録を作成 (2)療養者から語られたままの形を極力残しながら、一部整理・要約し、内容が類似してい るものや、数は少ないが研究テーマにおいて重要と思われる内容を分け、サブカテゴリー化 する (3)類似性のあるサブカテゴリーをまとめ、カテゴリー化する 2)多職種への質問紙調査 (1)得られた回答を端的に要約する (2)事例ごとに抽出されたサブカテゴリーとの関連を見ながら特徴を見出す (3)「対象療養者からの学び」「対象療養者に限らず独居療養者の看取りに際し大切にして いること」についての回答は、箇条書きではなく文章での記入が主だったため、カテゴリー 化を行う (4)対象となる療養者に限らない質問に関しては職種ごとに分け、傾向をまとめる 3)インタビュー内容と質問票の回答を関連付け、6 名が在宅死を希望できる要因等を探る 5.信頼性の確保 研究の過程において指導教授からの意見を得ている。今後さらに、質的研究の経験者から アドバイスをもらう予定である。 6.倫理的配慮 本研究の調査は東洋英和女学院大学大学院内の研究倫理審議委員会の承認を得てから実施 した(2017 年 10 月 20 日通知)。 7.その他 1)今回協力して下さった療養者のうち 1 名が在日外国人であり、簡単な日本語で会話がで きたが、意思疎通を深めるために、通訳の方に同席してもらった。ほとんどご本人が日本語 で答えたが、ごく一部に通訳の言葉が入っている。 2)本研究は大学院の修士論文でもあり作成途中段階である。今後更に分析・考察を継続す る。. Ⅴ.結果.
(6) 1.対象者の概要 1)対象者Ⅰ:療養者 協力者は 6 名で、年齢は 50 代~90 代(平均年齢:77.7 歳)、男性 3 名・女性 3 名であっ た。その他基本情報等は【表1】参照。 【表1】 A氏 年齢/性別 80 代/女性 独居状況 子:不仲 子の配偶者:ごく 一部協力あり 孫:まれに来る. B氏 90 代/男性 子:疎遠 再婚の妻:逝去 親族:殆ど連絡な し. 住居 一軒家 経済状況 年金 疾患の種類 膠原病. 都営住宅 年金 頚椎関連の疾患. 身体状況. 構音障害あり. ADL ゆっくり玄関先 (日常生活 までの歩行可能 自立度目 (A2) 安). 緊急時の 手段. 電話は可能だが、 構音障害のため 電話で話しの伝 わりにくさあり. 食行動. 下肢麻痺、上肢不 全麻痺あり 自力での体位変 換不可能 リモコン(ベッ ドやテレビ)操 作可能(C2). C氏 70 代/男性 妻・子:協力は得 られない C 氏は関係良好と 思っているが妻・ 子は違う アパート 年金+生活保護 がん末期. D氏 70 代/男性 子:D 氏の意思で 連絡をしない 両親:現状になっ てからは疎遠、2 年前に他界 アパート 生活保護 脊髄関連の疾患. ストーマ・ウロス トミーあり 近所のコンビニ に徒歩で買い物 に行ける(J2). 四肢麻痺あり. 何 と か 電 話 の ボ 電話は可能 タンを押せるが、 電話自体を掴め ないこともある. 宅配弁当あり 準備はヘルパー、 宅配弁当あり、ご ヘルパーの支援 手で持てるもの 飯を自分で炊け あり なら自力で摂取 る できる 入浴 自宅(ヘルパー介 デイサービス デイサービス 助) 入院経験 あり あり あり 誤嚥性肺炎にて 原疾患悪化時 主疾患発生時に 長期的に入院 主な人生の 結婚して上京 関西出身、結婚し ま じ め で 優 し い 歩み 現在の家を建て 子供を設けるが 父母のもとに生 タ バ コ 屋 を 営 ん 離婚。関東に来て まれ、大学にも進 でいた 再婚。定年後、植 学し、技術職とし 木 屋 を 営 ん で い て働いていた。 た。 インタビュ 構音障害があり、 や や 関 西 弁 混 じ ゆ っ た り と し た ー時の様 研 究 者 が 質 問 や りであった。落ち ペースで、しっか 子・印象 確 認 の た め に 話 着 い て 考 え な が り と 考 え な が ら す こ と の 方 が 多 ら も 話 し 始 め る 質問に答える かった。穏やかで と軽快である ユーモアも交え て話される. 調子が良ければ 杖で室内を少し 歩ける 電動車いすで外 出できる 更衣は部分介助 (B2) 電話は可能だが 電話から離れて 転倒すると電話 にたどり着けな い ヘルパーが調理・ 購入、自分でも調 子が良ければ少 し調理可能 自宅(ヘルパー介 助) あり 発症時に長期に 入院(転院) 過去はあまり話 さないが、長年現 在の地域にいる。. べらんめぇ調で 途切れることな く、よく話され る。レコーダーを 止めた後に、録音 できない話、と冗 談を言っていた. E氏 50 代/女性 子:時々来る 兄弟:来日し、1 ヶ月間看病した ことあり 孫:まれに来る アパート 生活保護 膠原病+間質性 肺炎末期 呼吸困難感強い 在宅酸素療法 呼吸困難感によ り 20~30 分座る のがやっと。外 出はほとんどし ない。する場合 は車椅子(B1). F氏 80 代/女性 子:時々おかずを 持ってくるが直 接的な介護はし ない 都営住宅 年金 全身性自己免疫 疾患 両下肢膝下切断、 手指の機能障害 床上生活 手元にセッティ ングすれば自分 で食事はできる (C1). 電話は可能. 電話を掛ける・取 るは困難、サービ ス時(人がいる 時)に電話を取 る・掛ける ヘルパーが調理、 ヘ ル パ ー が 調 理 カ ッ プ ラ ー メ ン か、娘が調理し持 なら作れる、息子 参 し た も の を 冷 が時々調理 凍しておく 訪問入浴 訪問入浴 あり ICUもあり 結婚を機に来日 したが離婚。若い 頃から治療を受 けている。日本で も仕事をしてい た。 通常 20 分の座位 が限界だが、調査 中は 30 分以上座 って話し、笑顔も 多かった。日本へ の感謝を話す際 に流涙された。. あり 20 歳 か ら 入 退 院 の繰り返し 20 歳で両足切断。 その後就職・結 婚・出産・離婚を 経験。シングルマ ザーで育児をし た。 はじめは制度へ の不満が多かっ たが話している うちに涙を流し たり、笑ったり、 感情豊かに話し た. その他、施設入居やショートステイ利用の経験がある方はいなかった。また、特定の宗教 を信仰されている方もいなかった。身体状況として、急変リスクが高い方、末期の診断がつ いている方意外は、疾患は進行し今以上の改善は期待できないものの、現状を維持できてい る方であった。 2)対象者Ⅱ:多職種.
(7) 対象者 6 名×4 職種=24 名中、アンケート回答 19 名(回収率 79%)であった。【表 2】 参照。 【表 2】 職種. 在宅医. 訪問看護師. ケアマネージャー. ヘルパー. 人数. 6名. 6名. 3名. 4名. 19 年 5 ヶ月. 9 年 4 ヶ月. 5 年 5 ヶ月. 7 年 10 ヶ月. 在宅平均年数 独居在宅看取り経験. あり:16 名(84.2%). なし:2 名. 無記入:1 名. 2.ひとりでも在宅死を希望する人にみられる共通点 「語り」からサブカテゴリーを抽出した(その内容は資料として添付する【資料1】)。 サブカテゴリーとカテゴリーを【表3】に記す。 【表3】 カテゴリー インフォーマルサポート 住み家への思い入れ 入院時の経験 多職種に委ねられ、いい関係を築く. 離れている家族との関係性 自己管理・対応能力がある. 自由・満足・幸せ感がある 前向きで、強く、淋しさと共存できる性格. 障害や苦難を乗り越えた人生に対する充実感. ペットの存在 日本の医療. サブカテゴリー 近所の人・友人・弟子の存在 住み家への思い入れ 病院・施設へのマイナスイメージ 過去の医療関係者への感謝 ヘルパー・看護師・訪問診療医との関係 枠を超えた支援 多職種に対し自身の役割がある 家族の存在 家族に迷惑・心配を掛けたくない、申し訳ない 緊急時の対応、SOSを発信できる 体調管理ができる 認知機能を維持し、自律する 経済的には何とかやっていける 体は不自由だが自分なりに自由 今の生活への満足感、今が幸せ 前向きな性格 ジョークを言える わがまま・気の強さ 淋しさとの共存 死にたいほどの苦難を乗り越えた 障害を受け入れる 自分を支える経験、人生における達成感 ペットの存在 日本の医療を受ける幸せ. No. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24. 3.各療養者のサブカテゴリーと質問紙調査回答 A~F氏のインタビューから抽出されたサブカテゴリーと多職種の質問紙の回答の内容を 表にまとめた。カテゴリーではなくサブカテゴリーにしたのは、カテゴリーの場合、同じも のが多くなり、各療養者の特徴が薄れるためである。インタビューと質問紙調査の内容から 見えることや療養者の印象を踏まえ、表に続けて<分析メモ>を記載した。 1)A氏.
(8) 1.近所の人・友人・弟子の存在 2.住み家への思い入れ 5.ヘルパー・看護師・訪問診療医 との関係 8.家族の存在 12.認知機能を維持し、自律する 16.前向きな性格 17.ジョーク を言える 22.自分を支える経験、人生における達成感 23.ペットの存在 職種(介入期間) 在宅医(2 年) 訪問看護師(2 年 1 ヶ月) ヘルパー(5 年) 在宅死可能か そう思う そう思う そう思う 理由 本人の意思 本人の希望 意思が強い 家族の同意・理解がある 家族に迷惑を掛けたくない 十分なサービスの活用 という本人の思い 自由な生き方・食事 在宅医療・安心できる体制 配慮 本人・家族への IC 安心できる最期、希望に沿う 本人らしさの尊重 緊急時の連絡方法 意思や選択が変わってもいいこ 緊急時の対応の徹底 とを伝える 不安 家族との不仲 (空白) 看取りに直面したヘルパー の精神面 負担 なし 本人の希望に本人の身体状況が (空白) 付いて行かない 困りごと なし 葬儀・金銭面・後見人の選定 (空白) 連携状況 良い とても良い とても良い 理由 顔を合わせた関係 コミュニケーションが取りやす 連絡ノートや電話の活用 い 学び 調整や処方などに苦労する 亡くなる上での整理の大切さ 医療面で分らない事がある キリがないほど多くある 精神的な強さ 場合教えていただける サブ カテゴリー. <分析メモ>本人の意思が明確で、多職種も理解、意見の一致がある。家族とは不仲とはい え、理解や最低限の協力体制は確保し、在宅看取りに同意しているというのは強みである。 多職種における連携は良いことが伺える。ペットの存在は A 氏のみであり、心の支えとなっ ている。 2)B氏 2.住み家への思い入れ 3. 病院・施設へのマイナスイメージ 5.ヘルパー・看護師・訪問 診療医との関係 7. 多職種に対し自身の役割がある 10. 緊急時の対応、SOSを発信で きる 11.体調管理ができる 12.認知機能を維持し、自律する、 13.経済的には何とかや っていける 15. 今の生活への満足感、今が幸せ 16.前向きな性格 19.淋しさとの共存 22.自分を支える経験、人生における達成感 職種(介入期間) 在宅医(9 年 2 ヶ月) ケアマネージャー(10 ヶ月) 訪問看護師(3 年 10 ヶ月) 在宅死可能か そう思う そう思う そう思う 病状管理ができている 理由 予測はできない 初めから入院の希望があった 入院せずに乗り越えたエピソー ド 弱気にならなければ可能 配慮 経済面。(年金・貯金・サ 精神的サポート 精神面(孤独感、落ち込みを ービス外の自費。後見人 本人らしさの尊重 減らす) への月々のコスト) 安心感・笑顔で過ごせるように 感情共有をする 不安 なし なし 急変時の対応 死後の手続き 負担 なし なし 困りごと なし 後見人とのトラブル 死後の手続きを本人が決定で きない 連携状況 職種によって異なる 職種によって異なる とても良い 理由 サービス担当者会議での 担当交代で、スムーズでない部 本人の状態がわかりやすく、 情報共有ができている 分もある 対応しやすい 本人の意思を尊重しつつ、各 早く迎えが来ないかと言いなが 学び 介護する側も高齢化が進 サービスを利用していく判断 らも、自身でできるリハビリ等 んでおり、B氏は体重が 力と知識 80 ㎏以上あり、オムツ交 を継続する「前向きな姿勢」 自分自身の生き方にも良い影響 換も負担である。移乗も をもたらす存在 危険があり配慮が必要 サブ カテゴリー.
(9) <分析メモ>在宅死可能という意見は一致しており、本人の意思が揺れ動かず、入院せずに 乗り切れた過去のエピソードが相互の信頼関係に繋がっている。B 氏は淋しさをはっきりと 表出しており、他職種もそれを理解し、現場レベルで各々が精神的なフォローも心がけてい る。 3)C氏 3. 病院・施設へのマイナスイメージ 4. 過去の医療関係者への感謝 5.ヘルパー・看護 師・訪問診療医との関係 8.家族の存在 15. 今の生活への満足感、今が幸せ 16.前向き な性格 20. 死にたいほどの苦難を乗り越えた 職種(介入期間) 在宅医(無記入) ケアマネージャー(1 年) ヘルパー(3 年) 訪問看護師(3 年) 在宅死可能か そう思う 全くそう思わない あまり思わない そう思う 理由 認知機能が正常 大家の不許可 在宅での医療体制では 多 職 種 へ の 信 頼 自分で判断できる ギリギリまで家、最期は 不十分 と今までの連携 多職種連携が良好 病 院 に な る 可 能 性 が 高 入退院を繰り返した過 の実績 訪問看護の回数の い 去のエピソード 充実 配慮 ない、自己決定が可 離 れ て い る 家 族 へ の 対 一人の時間への配慮 生活サポート 能なため 応 本人からの情報の十分 経済面 入院期間を最小に な把握 不安 なし 心 身 の 苦 痛 に 対 す る 早 体 調 不 良 時 に 隠 す た (空白) 期の緩和が可能か め、対応が遅れる 負担 なし 症状悪化時の拒否・暴言 緊急で受診する際に同 (空白) 行が必要 困りごと なし 本心を話し合えない 受診を拒否する 死に対する不安 今後の希望を把握でき 等を表出しない ない 連携状況 とても良い とても良い 良い 良い 理由 連携・チーム力が高 連 携 困 難 な 大 学 病 院 と 連絡ノート・会話 以前からの連携 い のやりとりを経験し他 の経験 の職種同士の連携が強 素早い連絡が可 固になった 能 学び “ Nothing About 様々な選択の場面で、本 今迄体調悪化の際、受 体 調 の 変 動 が 激 me Without me”を 人は現実に向き合えず、 診や臨時訪問を依頼す し い 中 で も 常 に 家 族 も 関 わ り を 拒 否 す る独居の方が多かった こ ち ら に 気 を つ 貫いていること よ い 意 味 の 頑 固 さ る中で、最善は何かと焦 が、この方は「迷惑を かい、感謝の言葉 「 ほっと を頂く、その生き や要求の高さが、支 りが先走った。終末期の 掛けたくない」 え る 側 の 介 護 者 な 揺 れ や 決 定 で き な い こ いてほしい」との考え 方 が強い。このような方 ど の 疲 弊 を 招 い て とは当然である。 ただ、必死で答えを探し との接し方 いる可能性 ていたことは無駄では なかった サブ カテゴリー. <分析メモ>多職種のチームワークはとても良いが本人の性格や今までの行動、大家さんの 不許可により、在宅死は難しいという意見がある。C氏の家族に対する思いと、家族のC氏 に対する思いにギャップがある。多職種は本人の性格ゆえの苦労もあるが、大変なこともポ ジティブに学びとして受けとめている。また、多職種の困りごとして挙がっているように、 独居で在宅死したい場合には、療養者が現実と向き合い、希望をしっかり伝えられることが 必要である。 4)D氏 サブ カテゴリー. 1.近所の人・友人・弟子の存在 3. 病院・施設へのマイナスイメージ 5.ヘルパー・看護 師・訪問診療医との関係 6.枠を超えた支援 7. 多職種に対し自身の役割がある 9. 家.
(10) 族に迷惑・心配を掛けたくない、申し訳ない 10. 緊急時の対応、SOSを発信できる 11. 体調管理ができる 14. 体は不自由だが自分なりに自由 15. 今の生活への満足感、今が 幸せ 17.ジョークを言える 18.わがまま・気の強さ 20. 死にたいほどの苦難を乗り越 えた 21.障害を受け入れる 職種(介入期間) 在宅医(1 年) 訪問看護師(7 年) ケアマネージャー(7 年 10 ヶ月) ヘルパー(3 年) 在宅死可能か そ う 思 う & 思 わ な あまり思わない そう思う そう思う い 理由 病による 気持ちが揺れる 本人の強い希望とそれに伴う 友人が協力的 老衰なら可能 過去のエピソード 友人が協力的 一人の時間への 配慮 連携・情報共有 本 人 の ペ ー ス の 緊急時の体制・対応 配慮・不自由のな 連携・情報共有 尊重 いように 一 人 の 時 間 へ の インフォーマルサービス 意思決定へのプロセス 配慮 理解しやすい情報提供 友人との関係 職種を超えた人同士の関係性 気持ちの揺れへの配慮 不安 家族関係 体 調 不 良 時 の 本 サービスが更に必要になった 世 代 間 ギ ャ ッ プ 人の意思の変化 場合の対応 により訴えの不 可解 負担 なし なし 様々な手続きの代行 (空白) 困りごと なし なし 業務量の多さ 時間を超過して 急な受診の際の対応 も要求がある 連携状況 良い 職 種 に よ っ て 異 職種によって異なる 良い なる 担当者の交代が多い 連絡ノート 理由 書 面 と 直 接 顔 を 合 連絡ノート わ せ る こ と が で き 情 報 共 有 さ れ て 複数の事業所が入っている る いない職種もあ る 学び この方の人生(生き 障 害 も 持 つ 中 で ひとりで生活する為のアイデ 出来る事、出来な 方)をいろいろ聞か も 感 謝 や 支 援 者 ア、自分でやれることは頑張 い 事 を ヘ ル パ ー せ て も ら う こ と が へ の 気 遣 い を 忘 ろうとする姿勢、支援者への が 確 認 す る こ と で、利用者との関 学び れず、自律しよう 想いやり 重要な場面で自分の信念を貫 係 作 り が 良 好 と とする気持ち なる くことで生活を維持する力. <分析メモ>在宅死可能かの意見には差がある。今までの経過や今後の状況により、予測が しにくいようである。友人の協力があることは強みである。疾患ゆえに多くの職種や事業所 が入っており、全員と密な連携は難しいのかもしれない。また、本人も身体状況としては落 ち着いており、これ以上の機能・体力の回復は難しいとしても、いわゆるターミナル期とは 言い難い面があり、本人の中でも在宅死は漠然とした希望なのかもしれない。本人の性格ゆ えに、周囲が多くを学んでおり、D 氏もいい関係を意識して築くように努力している。 5)E氏 3. 病院・施設へのマイナスイメージ 5.ヘルパー・看護師・訪問診療医との関係 8.家族の存在 19.淋しさとの共存 24.日本の医療を受ける幸せ 職種(介入期間) 在宅医(8 ヶ月) 訪問看護師(7 ヶ月) ヘルパー(7 ヶ月) 在宅死可能か あまり思わない あまり思わない あまり思わない 理由 身体的苦痛 具体的な計画が未決定 体調不良時のエピソー それに対する本人・家族の 家族の介護力が読めない ド 希望が予測不能 言葉の問題で意思の疎通が不十分 精神的な問題 配慮 淋しさの緩和・フレンドリ 不満や不安をこまめに聞く 経済面 ーなコミュニケーション 気持ちの揺れへの配慮 精神的サポート 食に対すること 各サービスの時間配分・見守りの目が 届くように 連携・情報共有 サブ カテゴリー.
(11) 不安 負担 困りごと 連携状況 理由 学び. 元々の病院とのつながり が希薄になりつつある 入院した場合の環境適応 の困難さ 言葉の問題による意思把 握の不十分さ とても良い 献身的でコミュニケーシ ョン良好 他職種連携の大切さ. 困った時に連絡できるかわからない 自分が立ち去る際に確実に整えてい ないといけない コミュニケーションの難しさ 意思疎通の不十分さ 良い ノートの共有 合わないと思われるサービスでも試 してみないとわからない 薬の副作用が想像以上に生活に影響 することもあり、疾患のことだけでは なくより細やかなアセスメントやケ アが必要. 急変時医療職が到着す るまでの時間 思い通りに行かない 急な呼び出し (空白) 良い ノートによる連携 あまり日本語ができな いなかでの、意思の疎 通。その中でも誠意を 尽くすと相手に通じる という事。. <分析メモ>身体状況としては急変リスクが高い状況である。多職種 3 者が一致して、在宅 死できると「思っていない」のは、E 氏が現段階では入院はしたくないが、「どうすればい いかがわからない」ため、支援する側も方向性を定められないのではないか。ただ、多職種 間の連携が良好で、本人の苦痛や不安を理解し、緩和しようと努力していることで、現在の ぎりぎりの生活を維持できていると思われる。 6)F 氏 サブ カテゴリー. 多職種 在宅死可能か. 理由 配慮. 不安 負担 困りごと 連携状況 理由. 学び. 1. 近所の人・友人・弟子の存在 2.住み家への思い入れ 3. 病院・施設へのマイナスイメ ージ 4. 過去の医療関係者への感謝 5.ヘルパー・看護師・訪問診療医との関係 8.家族 の存在 9. 家族に迷惑・心配を掛けたくない、申し訳ない 12.認知機能を維持し、自律す る 13.経 済 的 に は 何 と か やっていけ る 14. 体は不自由だが自 分 なりに自由 15. 今の 生活への満足感、今が幸せ 16.前向きな性格 18.わがまま・気の強さ 19.淋しさとの共 存 20. 死 に た い ほ ど の 苦 難 を 乗 り 越 え た 21.障 害 を 受 け 入 れ る 22.自 分 を 支 え る 経 験、人生における達成感 在宅医(7 ヶ月) 訪問看護師(1 年 5 ヶ月) あまり思わない そう思う 困難な条件での在宅生活 本人の強い意志 家族とのトラブルのエピソード サービス回数の充実 一人の時間への配慮(自由な時間の保証) サービスの時間配分 環境整備 連携・情報共有 疾患への理解・捉え方 今後、どうありたいかを大切に 多職種が同じ目標か 緊急時にすぐに対応しきれない 業務量の多さ (空白) 家族 と の関 係 、有 事 の際 の 家 族 へ の 対 計画にない業務を希望される 応 職種によって異なる 良い 知識 や 制度 へ の理 解 があ る 人 と は 比 較 ノートや電話 的連携もスムーズ 現場レベルではその限りではない 身体 的 にも 社 会的 ( 金銭 面 や 家 族 関 係 重度の身体障害を抱えている中でも、自分らしさ など ) にも 日 々厳 し い状 況 に 置 か れ な をしっかりと持ち、数々の苦難を乗り越えている がらも、ポジティブかつ前向きな姿(意 現状も満足ではないはずだが、私たちスタッフの 思決 定 など に 伴う バ イア ス か 否 か は 別 ことを気遣い、いつも明るい笑顔を見せてくれ、 強さを感じる として). <分析メモ>適度に見守りの目が入りながらも自由な時間も配慮されている。家族との関係 が変化してから間もないこともあり、今後のことを予測しにくいが、本人の主張が明確であ り、そこを尊重する姿勢で関わっていることがわかる。今の段階ではリハビリで回復してい.
(12) る機能もあり、また入院に対するそこまでの嫌悪感はない。その時々でF氏の判断がどう揺 れ動くかはわからない。 4.多職種の回答からの比較分析 対象とする療養者に関する質問において、各事例での結果をまとめたが、ここでは各職種 で特徴が見られたものを簡潔に述べる。 1)ひとり暮しゆえに配慮していることについて 全体的には「情報共有」「意思決定の支援」「気持ちの揺れにつき合う」が共通している 内容であった。また「ひとりの時間への配慮」が看護師を中心に回答があった。「経済的な 配慮」はヘルパーの半数が記載していた。 2)対象療養者に関わる上での不安・負担・困りごとについて 在宅医の回答のうち半数以上は「なし」であり、次に多い回答は「離れた家族への関係に 関すること」であった。また、ケアマネージャーの困りごとで多いのは急な受診の際の手配 であった。訪問看護師・ヘルパーの回答には共通性が見られなかった。 3)多職種連携について 多職種の連携の良し悪しについての選択回答の結果は、 とても良い:32%、良い:42%、良くない:0%、職種によって異なる:26% であった。ヘルパーに関しては全員が「とても良い・良い」と回答していた。全体の「とて も良い・良い」理由の中で最も多く上がったのが「連絡ノートで連携が取れている」であっ た。 3)対象の療養者との関わりを通して学びと思う事 回答は多岐にわたっており、職種による特徴はみられなかった。職種よりも、各療養者に よって違いや特徴があるといえる。全体から抽出された主なカテゴリーは 2 つであった。 (1)療養者の生きる姿勢・人間性 (2)支援者としての技術・知識・あり方 5.多職種がひとり暮らしの療養者の在宅死を叶えるために大切にしていること、学びた い・知りたい知識・技術・情報について 他職種の質問紙調査の中で、今回の調査の対象である療養者に限らないこととして、自由 記載での回答を得た。 1)独居の看取りに際し大切にしていること.
(13) 回答は多岐にわたり、職種による差異がさほどなかったため、職種別の比較等はせず、全 体を分析した 意見として多かったものから 3 つにまとめた。 (1)揺れ動く気持ちを理解し療養者の本心を探り(意思決定の支援)その意思を尊重する (2)多職種が連携し本人も含めた全員の意見の一致 (3)身体的な急変に対し本人も交えて理解・想定することで精神的な安定にもつなげる であった。また、意見の数としては少ないものの、以下の 4 つの意見は重要と考えた。 ・死後のことも話し合える関係性 ・別居家族や親族への配慮 ・付かず離れず、独居ならではの関係性 ・生活基盤を整える 2)在宅看取りをする上で学びたい・必要だと思う「知識・技術・情報」 この質問項目に関しては、職種による違いがあったため、職種別に回答の概要をまとめる 形とした。 (1) 在宅医 主な意見は「地域の資源(インフォーマルサポート)との連携」「自治体・行政の情報 (自治体独自の制度など)」「金銭などの法的な問題に対する情報」であった。 (2) 訪問看護師 主な意見は「成年後見人制度などの制度や法的なことに関する情報」「症状緩和の最新情 報(苦痛があっては独居での看取りは困難である)」であった。また、その他少数の意見と して、「病院側が在宅の状況を知る必要がある」「遠方の親族とのかかわり方」という意見 もあった。 (3) ケアマネージャー ケアマネージャーに関しては、ベースとなる職種が違うためか、意見の共通性はなかっ た。それぞれの内容は「制度について」「意思決定支援」「家族がいない分の死が迫る状況 の人への支え方」「医療知識・技術」であった。 (4) ヘルパー 主な意見は、「緩和ケアへの知識」「不安に対する精神的支援」であった。. Ⅵ.考察.
(14) 1.独居でも在宅死を可能にする療養者の要因は何か. 6 名のインタビューから、独居療養者が在宅死を希望する、いくつかの内的要因、外的 要因が見えた。 1)インフォーマルサポート 6 名中 3 名の方が友人知人、近隣の人のサポートがあり、それが安心して暮らせる要因 にもなっていることがわかった。また 1 名はインフォーマルではないが、精神的なサポ ートを重視して訪問マッサージを利用していた。他の研究でも非公的なサービスを重視し ており、上林ら 3 ) は「独居がん患者の在宅緩和ケアを最期まで支えるコツは、往診医、 訪問看護師のみで行うのではなく、生活を支援するさまざまな公的、非公的なサービスを 積極的に使用していくことにあると推察される」と述べている。友人がいることで多職種 ができないことをやってくれる存在として、療養者と多職種、双方の安心材料といえる。 2)多職種に委ねられ良い関係を築く 水野ら 4 ) は、「長年独り暮しをしてこられて、他人が家の中に入ることを嫌う傾向が 強いため、訪問看護師は本人に受け入れてもらいやすい心地よさを感じるケアを駆使して 訪問看護を開始する」とあるように、独居の人の中には介入を拒否するケースも少なくな い。この 6 名は、導入の段階で受け入れがどうだったか今回の調査ではわからない。た だ、調査の時には、人が来ることに対する負担はなかった。多職種と良好な関係が築けて いたからこそ、今回の調査に協力したのであり、在宅死を望んでいるが他人に介入して欲 しくない療養者もいる。その様な療養者の内面性等はこの研究では明らかにはできない。 今回の 6 名に関しては、多職種へ感謝の気持ちを持ち、良好な関係だと思えていること も在宅で最期まで過ごしたいと思える要因になっていた。 3)自己管理・対応能力がある これらには体調管理や体調不良時の対応ができることの他、経済面や自身の判断力や意 思を伝えられる能力も含んでいる。多職種が入らない時間に自分で判断しながらどう安 全・安楽に過ごせるか、適切にSOSを発信できるかが重要である。また、経済面につい て、過疎地域の独居高齢者の研究ではあるが、中田 5 ) は住居継続要因として「経済的な 暮らし向きについては、71.3%が家計に心配なく暮らせている」と述べている。しかし今 回の 6 名に関しては、経済的に余裕がある人はおらず、心配はあるが、なんとか生計が 成り立つように計算し自己管理していた。様々な制度により介護保険や医療保険の自己負 担がない人がいることや都内という地域性にも関係するとも考えられる。.
(15) 4)家族に迷惑をかけたくない 6 名の方は肉親に介護の期待感を持っていないか、期待を持っていても介護の介入がで きないことを「仕方がない」と受け入れていた。家族がいれば、家族に迷惑をかけたくな いという理由で入院・入所をすることもある。今回の調査では家族に迷惑を掛けたくない ことがひとり暮しを頑張るというモチベーションに繋がっていた。 5)自由・満足・幸せ感がある、淋しさとの共存ができる性格 「自由」を追い求めた結果、「孤独」になっていくということが現在の日本社会で起 きている。独居に至る過程は様々で、今回の 6 名が自由を追い求めた結果の独居では必 ずしもない。「体は不自由だか、自分なりに自由」であり「幸せです」と言え「自分はひ とりじゃない」とも語られた。そう思える前向きさを全員が内面的要素として少なからず 持っていた。また、淋しさを内に秘めずに多職種に話し、自分はこうしたい、という希望 を伝えられるオープンな性格でもあった。 2.多職種の要因は何か 対象となる療養者との関わりからの回答と、対象者に限らず独居看取りに際し大切にし ていることについての回答を統合し検討した。 1)連携がよく、各職種の信頼関係が構築されている 独居や看取りに関わらず大切なことではあるが、家族が同居の場合、家族が多少、間に 入って伝言のようなやり取りをすることもあるが、独居では多職種が直接やり取りをする ことで連携は密になっていく。独居がん患者の看取りにおいてヘルパーとの連携が大切と 述べられている 6 ) 。今回の調査でヘルパーは全員、多職種との連携が良いと答えてい た。一番身近に生活を支えているヘルパーが安心して業務に当たれることが独居での在宅 死では重要と考えられる。 2)幅広い視点で対応し、本人らしい生活を維持できるよう関わる 経済的なことや死後のことなど、肉親でなくては関わりにくいなども、職種に関係なく 各事例の中の誰かが腹を割って話せる関係にであった。 3)精神面のサポートを重視する 独居ではなくとも必要なことではあるが、本人の性格を理解し、各々ができる精神面の サポートをしていた。 4)適切なタイミングで現状を伝え,独居に伴うさまざまなリスクも考慮したうえで、自 己決定を支援する力。.
(16) 家族がいる場合、リスクに関しては家族には伝え、本人には伝えないことも現場ではま だある。しかし、独居療養者の場合は本人もその事実と向き合う必要がある。向き合い意 思を決定する課程の中で、療養者の揺れ動く心に寄り添うことができることも多職種の役 割りとして必要である。療養者・多職種・家族が納得した最期を迎えられるように、そし て回答の中に「スタッフのグリーフ」とあったように、多職種が後悔の念を抱いたり燃え 尽きたりしないようお互いの配慮も大切である。 3.療養者と多職種の関係性による要因は何か 療養者の要因、多職種の要因の両者に通ずる要因を「両者の関係性の要素」と考えた。 1)急変があるかもしれない、最期が一人かも知れないことも本人と多職種が共通認識を 持てるような関係性。 “Nothing about me, without me.”たとえ療養者の前で話しにくい内容でも、多職 種だけで話し合うのではなく、中心は療養者であり、本人も含めてみんなで療養者にとっ ての最善を考える。 2)療養者からは感謝の気持ちがあり、多職種にとっては多くの学びがある。 独居に限らないことではあるが、自分の意思を強く持つ生き方に、多職種が自分の人生 にも良い影響を与える。 3)付かず離れずの距離感でお互いに関係性を保てる 今回の 6 名は多職種介入からの期間が長く、家族との関係が長年希薄なD氏が言う様 に家族以上に一緒に時間を過ごしている。感謝しながらわがままを言えるのは関係性の要 素である。ただ、他の研究では介入してから逝去まで 10 日間という事例 6 ) もあり、じっ くり関わることができるとは限らないため、短期間の方の場合の関係性は今回の調査での 結果とは結び付けられない。. 4.今後多職種が知り得たい情報・知識は何か 主な内容は、地域資源の情報、自治体との連携、制度についてであった。多職種のほと んどが、今まで独居療養者の看取りの経験があるにもかかわらず、情報が十分でないと考 えている現状がある。経験や事例検討をすることも大切だが、各自治体や制度の具体的な 情報がわかりやすくまとめられ、発信される必要があるのではないか。多職種の全員が知 識として持っている必要はないにしても、誰かが把握しているか、把握している職種の人 が連携チームに加わっていく必要がある。.
(17) Ⅶ.本研究の限界と課題 今回の調査に協力してくれた療養者は、他人が来ることに抵抗が少ないからこそ、協力し たのであり、結果に偏りがあることは否定できない。事例も少なく、数での多い・少ないは 根拠として弱い。また、ある程度のターミナル期との条件であったが非がんの方がほとんど で、予後が読みにくく、療養者があとどのくらいの余命と認識しているかは不明確であっ た。ただ、語りの中から貴重な意見を聞けたため、今後さらに考察を深めていく。 また、今回 C 氏に住居が賃貸アパートであることによる問題があった。C氏のように大家 さんが在宅死を認めなければそこでの在宅死は不可能である。日本人の死生観とも関連する 問題であり、早期には解決できない難しい課題である。 さらに、今回の協力者の中に在日外国人もおり、対象者の背景にばらつきが強くなった が、現在筆者が働く現場において在日外国人が在宅医療を受けることが実感として少しずつ 増えており、また別の研究課題にしていかなければならない。. 【引用文献】 1)内閣府:平成 29 年版高齢社会白書(全体版)(PDF版) (http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2017/zenbun/29pdf_index.html, 2018.8.26) 2)市原利晃:在宅看取りの現状と検討.ホスピスケアと在宅ケア 21 巻 3 号 p.323-325 (2013.12) 3)上林孝豊:自施設において在宅看取りを行った独居がん症例に対する在宅緩和ケアの実 態調査.日本在宅医学会雑誌.17 巻 2 号 p.139-144(2016.02) 4)水野敏子:「独り暮らし」高齢者の在宅死を可能にする終末期看護モデルの構築.科学 研究費助成事業報告書.平成 25~27 年度 5)中田雅美:過疎地域における独居高齢者の居住継続要因に関する研究―A町一人暮し高 齢者調査結果から―.北海道地域福祉研究.2013 6)伊藤美緒子:自宅で最期を迎えたい. 在宅ホスピス緩和ケアでひとり暮しの 18 名のがん. 患者を看取って.訪問看護と介護 12 巻 8 号 p.660-672(2007.08).
(18) 【資料 1】 語りから抽出されたサブカテゴリー(簡略版) 全てを記載せず、語りを3パターン以下に減らし、語られた内容も短くした。 サブカテゴリー番号、サブカテゴリー、 ( )内は語った療養者、備考にはその他の情報等を 記した。. 1. 近所の人・友人の存在(ADF) 隣のお兄ちゃん、よくやってくれるんですよ。何でもやってくれます (友人関係は)古いんですよ。で、ここに引っ越してきたんです、そこ(近所)にいるんで。当初は うんと世話になった。ベッドから落っこちると上がれないでしょ、何回か来てもらったこともあるし。 マッサージをしてくれる人が(中略)お弟子さんなんですよ。その人がボランティアでちょっとヘル パーさんができないようなことを手伝って、お遣いだとか。もし時間の間にお通じがあったりしたら、 「夜中でも電話して」って言ってくれてるんですけど(中略)言ってくれるだけですごく頼りになり ます. <備考>今回、6 名中 3 人が近隣の人や友人といった親族以外の人に生活のサポートをしても らっていた。非公的サービスを受ける力、友人や近隣の人に委ねられる関係性があること、が 重要。この違いが医療介護職が在宅死できるかどうかの判断のポイントにもなっている。. 2. 家屋への思い入れ(ABF) やっぱり苦労して建てた家だから それ(家)がまず第一だね。ここから見える景色もね、ここに 30 年おったんだもん。こういう団地に 住んでてね、向かいが公園なんてないでしょ、ほとんど団地だもん、窓しかないでしょ。ここがね、 南向きでね、冬は暖房がいらないくらい。最高だよ。 やっぱり精神的ななんて言うか…緑が見られるし、うちの庭なんですよ。都営住宅の(笑)この緑が あるし、建物と建物の間が広いでしょ。ここは一等地なんですよ。何千万のマンションでも(こうは いかない)、向こうは公園でしょ、風通しはいいしね、こんないい所はないんですよ。言うことないで す。. <備考>住み慣れた場所であり、家族との思い入れがある方もいた。ベッドのすぐ横に仏壇が あったり、店舗兼住宅の家屋もあった。一方で「部屋がいいんじゃないのよ」と言った方もい た。一般の賃貸アパートである 3 人はともに自宅への思い入れはなかった。. 3. 病院・施設へのマイナスイメージ(BCEF) 施設のことを聞いているとね、まあ、十把ひとからげでやっているわけでしょ、その点いいですよ。 ヘルパーと話もできるしね、個人的にやってくれますからね。施設だったら次から次から、オムツ替 えるのも時間的にやっているところが多いですし。 いや、窮屈だな。僕は病院行くくらいなら、刑務所より嫌だなって、そういうこと言いましたから先 生に。そん時はほら、結構熱くなってたから、自分。 病院はいつも嫌い、いや、嫌い。自分は自由、今食べない、後で食べる大丈夫、向こう(病院)は後 でみんな食べたあなた食べない、だめじゃない。. <備考>自由が奪われる、気を遣う、等の理由が主で、緊急ですぐ来てもらえないのが不安だ とは、どなたも話しておらず、ナースコールですぐ呼べること以上に、すぐには来られなくて も今の方が良い。ただ、病状による。これらはインタビューを受けられるほど、ある程度安定.
(19) した状態での語りである。. 4. 過去の医療関係者への感謝(CF) 以前○○病院にいた時に医者や看護師さんにお世話になったもんだからね、この人たちに何かやろう (感謝のために)と思っていたけど。 私が生きてきた中でも本当にお世話になりっぱなしで、 (中略)手術してくれた先生、足を切断してく れた先生からはじめとしてね、 (中略)みんなに良くしてもらって、私はほんとに幸せ者ですよね、こ の足を最初に切断してくれた先生なんかも、(中略)「お前の足を切断、切ったんだから、俺が一生面 倒みてやる、骨拾ってやるって」 (笑)骨拾ってくれる前に亡くなっちゃったんですけどね、でもその 先生がずっと、子どもが生まれても就職しても、結婚してからも、亡くなるまで気にかけて下さって。 就職口なんかも、障がい者が就職するなんてもう、ほんとに珍しい時代だったんだけど、 (中略)就職 世話して下さって、でもそこでもいじめがあって、 (中略)毎日泣いて、先生のところに電話して「も う辞める、もう辞める」って。でも(中略)愚痴を聞いてくれて、△△先生と 3 人で○○(繁華街) へ行って、先生はビールなんか焼き鳥なんか食べて(笑). <備考>独居との関連は不明。病院にはいいイメージは無くても、関わった医療職者には感謝 している。病院での経験・人間関係がその後の人生の大きな支えとなっている方もいた。. 5. ヘルパー・看護師・訪問診療医との関係(ABCDEF) みんないい人なんです、来てくれる人が。ヘルパーさんたちのみんないい人でね。 俺はヘルパーさんが帰った後、寝てりゃいんだから。こんな楽なことは無いっしょ。 (中略)俺はよく 大事にしてもらってますよ、だからここにいたいってわけ、嫌だったら早く越しちゃうもん。例えば 団地申し込んで当たったら行っちゃうとかさ。バリアフリーよりもっといい思いしているからね、精 神的に。 (中略)部屋がいいんじゃないのよ、周りの関係してくれている人がみんないいんでここが一 番いいよ、他は行きたくない。 全部 OK、来るときは、同じ OK で(笑)(多職種が来ることは負担では)ない(通訳). <備考>家族との関係が薄い分、医療・介護職等に対する存在感が強く、関係性が濃い。多職 種が良いケアをされているからこそこの語りが出ているのだろう。. 6. 枠を超えた支援(D) そうそう、快くね。ズボン直してもらったこと何本もあるもん。そんなことやらなくてもいいんだよ、 (計画に)書いてねんだから。だけどそういう時は時間をとればいいわけ、買い物の日、買い物行っ てきたからいいよって言えばその分でやってくれんだもん、ボタン付けでもなんでも。. <備考>決まったケア内容以外の+αのことをやってくれることに関し感謝の言葉が聞かれ た。個々のヘルパーにもよるのと、使っている制度にもよる。. 7. 多職種に対し自身の役割がある(BD) ただね、若いお兄ちゃんなんか来るでしょ、ヘルパーさんその時には男だから言ってあげるの。お母 さん連中には言わないよ。23・4の5・6の人が来れば、 「おい、これはなこっちから、火入れて大 体何分で浮いてきたら出来上がりだから」、「そうですかそうですか」っつって、なんにも言わないで 何でもできるようになっちゃった。だから「どこ行っても自信もって出しな」って、まずいもん出し てるんじゃないんだから。あとね、 「一応味見はね、しなきゃ駄目だよ、していいんだよ、食べてるん じゃないんだから、自分が美味しければ絶対相手も美味しいんだから」って。そういう言い方をして 教えたし。. <備考>何かを教えたり、やってあげることで、自身の存在価値を感じられる。療養者が多職 種に対し愛着を持って接していることがわかる。.
(20) 8. 家族の存在(ACEF) お袋はまだ生きていますよ、今 97 かな、100 までね、もうちょっと。親不孝ですからね。 息子がたまに来るのはすぐ寝てる、息子いるはすぐ寝れる。 この前妹来るときは寝る、寝てる。誰かがいるは私寝てる。(安心して眠れる) もう自分が選んだことだから誰も恨まないし、親にも感謝しているし、できるだけの手当てをしてく れてこうなったんだし、兄弟もみんな良くしてくれたし本当にね、何のアレもないんですよね。. <備考>交流があるかないかによらず、家族との心の中でのつながりはそれぞれに持っていた。 支えとしての存在になっている人もいれば、家族のことをほとんど語ろうとはしない方もいた。. 9. 家族に迷惑・心配を掛けたくない、申し訳ない(DF) (障がいの状態になってから娘に)1回しか会った事ない。俺が来んなって言ったから。 (中略)いな いもんだと思えって。元々刑務所にも何回か行ってるから、くだらないことにいたからさ。悲しくな いんですよ。両親は俺のこの体見てないよ、良かった見せなくてって思ってんの。見たって治らない し、心配かけるだけだから。 娘には、もうずっと苦労かけてきたから自由になってもらいたい(中略)。今までのね、我慢とか重荷 とかそういうのがあったんでしょうね。それを私が気づいてあげられなかったっていうのはやっぱり 悪かったなと思って。これから先は自由に。取り返しがつくのなら、つけてもらいたいなと思って。. <備考>家族に迷惑を掛けたくないことで、ひとりでも頑張ろうという気持ちを支えている。 一方家族とのマイナスの関係の語り:「男の子だったら(お嫁さんを)もらえば済むからと思 ってね、いたんですけどね、とんでもない。」もあった。. 10. 緊急時の対応、SOSを発信できる(BCD) ○○さん(訪問看護)に緊急のナンバーを教えてもらっていますから。 (訪問看護に)電話すれば、前にも来てくれた、それから昼間は電話すればすぐ来てくれるから、近 いから、そういうのは恵まれています、ありがたいと思っています。安心です、心配何もないんです。. <備考>全員、緊急時の連絡先は明確になっていた。安心感につながり、重要である。これが クリアされないと独居在宅生活は難しい。これに関しては家族がいても同様ではある。. 11. 体調管理ができる(BD) 一番いいのはあちこち痛くないこと、病気のことだろうね、元気だったら話していてもどうもないし ね、これで痛いところがあったら話ができないじゃないですか、(中略)病状が第一だね 不安なことないんだな、何か体のことあれば○○(訪問看護)に電話すりゃ近いでしょ。 その代わり、なるべくそういう風に呼ばないように、普段から風邪を引かないようにしています。そ れは自分のためだからよ。精神的なため。健康のためなら誰でもできるんだけど、それだけじゃない からさ。そうやって負担かければ、やっぱり面倒みきれないでこうなると嫌じゃないですか。. <備考>自己管理能力があり、多職種を困らせないようにという努力をされている。だからこ そ、多職種は療養者が困った時には早めに対応しようという気持ちになるのだろう。. 12. 認知機能を維持し、自律する(ABF) 記憶力はいい方です ボケてないからだろうね、結論は。多少ぼけてもそこまでいってないん違う?ボケたらやっぱりね。 110 番かけられるしね、いざという時はね。 それに対して自分が一番どうすればいいかって言うことをね、考えられる状態でいたいな、って。自 分で判断できる、生き方を。 (中略)自分で自分の判断ですよ、人の判断じゃなくて、私がどうすれば 一番いいのかなって、この場合どうしたら一番いいのかなって言うことをね、(泣)考えながら生き ていけたらいいなって。最期までそれを持ち続けていられたらって。いつそんなふうにボケたりね、 記憶がどうなるかもわかんないんですけど、 (中略)。それが一番いい方法であったらいいなって思い.
(21) ますね。. <備考>自己決定・意思決定、はっきりしているほうが支援者も支援しやすい。認知機能の正 常な方に対する周囲の信頼度の高さもうかがえる。. 13. 経済的には何とかやっていける(DF) まあ、死ぬまで(貯金は)持つと思います。やっぱりね、計算して生きていかないともう 2 年も 3 年 も生きることはまず無いだろうから。 私がひとりで生活していくことになると、そういうこともしないと成り立っていかないので、それを、 (中略・手続き後)返って来るようになれば、何とかなるかなと思ったりしているんですけどね。そ したら年金だけで、できたら私は生活保護はもう、なんか、古いんですかね(笑). <備考>生活保護受給中の方からは経済的な心配は聞かれなかった。多職種、特にヘルパーが 心配し、配慮している。自己管理能力にもつながる内容である。. 14. 体は不自由だが自分なりに自由(DF) これね、勝手なわがままな話だけど、簡単に言えば、そんなに自由が利く体じゃないけど、僕なりに 自由が利くからね、やっぱり。 だから本当にもう気楽って言うか、精神的に落ち着きますよね。何しようとテレビ観ようと、だから もう自由。本当に。時は金なりって金だらけ(笑). <備考>体の自由=心の自由ではない、自分で決められる、自分の体でできない代わりに、信 頼できる周囲の人が手となり足となり支えてくれるということが安心に繋がっている。. 15. 今の生活への満足感、今が幸せ(BCDF) 今のところはね、案外うまくいって、幸せだなと思うんですよ、うん。 単純に気楽でいいですよね、ひとりはね。 もう私は離婚してからもね、結構長いからね、ですからもうひとりに慣れちゃっているからね。 大丈夫です、結構頑張ってます。有り難いよ。 (中略)俺は幸せだって思ってるもん、いつも思ってん だもん。なっちゃったものは仕方がないからこれ、ね。体のことは何も言わないで幸せだっつったら、 コノヤロー、キザな野郎だなと言われるよね。. <備考>今が不幸でつらいと話された方はいなかった。そのような考えを持てる方だからこそ インタビューを受けていると考えられる。. 16. 前向きな性格(ABCDF) …やっぱりくよくよ、くよくよ考えない 過去のこと振り返らないね、過去は過去で振り返ったってしょうがない。 そうか、みんな過去を振り返るかね、だってしょうがないじゃない、これから先のことを考えないと、 先がどうなるかという事は自分でだいたいわかっているしね。 こんなに長生きすると思わなかったね、あまりくよくよしないことだね。くよくよしたってしょうが ないじゃないの。 それと自分がみんなと一緒じゃなくて一人がいいと思ったら頑張ること、自分の考えだね、一つは。 今までもそうだったもんね。ひとりはいいことはいいけど淋しいいうこともあるしね。 もうしょうがないんだよ悲しんだって、もうこれを少しでも楽になった方がいいよ、美味しいもん食 った方がいいよ。悲しんでる暇ないよ、いや本当にないもん俺。. <備考>このような方だからインタビューを受けているというのはカテゴリー15 同様。Eさ んからは直接的に前向きな性格だというような話はなかったが、インタビュー中は笑顔が多く、 元々の明るい性格はうかがえた。.
(22) 17. ジョークを言える(AD) 年齢は18歳、18歳です…あはは。81歳です(笑) 話は面白くないけど、俺はもっと面白いんだよ、面白い話なんかさせたらね、いろんなことジョーク 言ったりね。バカボンだから。それでもね、面白い面白いって言われながらもね、嫌がられてなきゃ いいじゃん。面白いのが嫌な人の前で面白いこと言ったんじゃ悪いけどさ。. <備考>人を楽しませようという、人間関係性構築のうまさがうかがえる。商売をやっていた こととも関連するか。. 18. わがまま・気の強さ(DF) 逆に返すと、元来わがままだからな。わかります?わがままだから施設でも窮屈、病院でも気を使わ なくきゃなんない。(中略)だったら腹が痛くても痛い顔してここで寝てればいいし。 気性がね激しいんですね、女性的ではなくて男性的なんでしょうね。 私が本当に「お願いだから助けて」とか、 「行かないで」とかね、すがって泣いてね(笑)そういうと ころがあれば人生変わっていたかもしれないし。(中略)2者択一っていう時に私はどうしてもね、 苦労する方を選んでいるんですよ、楽な方を選んでないんですよね。(中略)女らしくない、(中略) 気の強いところ、プラスになったんだかマイナスになったんだか良くわからないですけど、それが大 いにある。 変なところにね、正義感みたいなのがあるんですよ。変な、正義感が。. <備考>自己主張の強さ、はっきりしているほうが周りは対応しやすい面もある反面、その気 の強さが多職種にとって若干の負担感につながってる可能性はある。. 19. 淋しさとの共存(BEF) 淋しいと思うこともあるけどね、一人で住んでいるのはいいよ。うまく生活してます、今は。 一人はしょうがないじゃない、しょうがない。我慢する。 でもあの、ひとりではないということ、誰かがそばにいてくれる、とういのはありますよ、どんな人 でもね。それを持っていれば、心強いんじゃなんですかね。やっぱし淋しいというのは応えると思う んですよね、うつになったりとかね、やっぱりそういう原因にもなるでしょうし、私、うつはないで す(笑). <備考>淋しさを認め、それを周囲に隠さずに話している。持ち前の前向きさで気持ちを切り 替えている。独居で在宅死を希望するには重要なことである。. 20. 死にたいほどの苦難を乗り越えた(CDF) 退院して、自分のこういう状態を見てね、なんかこれは大変だなと思ったね。一回ね、だから死んで やろうかと思ったけど、そうはいかないね。やっぱりね、親も生きているんだから、私の周りで、感 謝しながら、これからやらなきゃいけないことが一杯ありながら何もまだできていないから。もう死 んでしまったら自分が負けだからね。 (中略)死ぬことはね、全然怖くないです。私2回位自殺未遂したことがあるんですよ、でもね、や っぱり死神がついている時にはどんなことをしても死にますね。 (中略)でも死ねないっていうのは、 その人にまだ生きてる何かあれがあるから生き残るんだと思うんですよね。だからその間はね、どん なに死にたいと思っても死ねない。. <備考>どん底の時に比べて今がさほど辛くはないということか。死にたいする価値観が病気 や障害を通して変わっていったこととも受け止められる。. 21. 障害を受け入れる(DF) きれい事言ってる訳じゃないんだよ、本心だから俺。そういうふうに心を変えたもん、変えた。(中 略)この病気になって随分逆に返せば、人間とすりゃ大人になったと自負だけど思ってます。倒れる.
(23) 前よりはね。僭越に、うん。(中略)それだってまだ気が短い方だからね、(中略)反省しがちなこと もあるけど。 (発病前の)子どもの頃って(中略)何の苦労もなかったから、そういう状態で私がずっと生きてき たらとてもこういう心境にはなれなかった、もっとわがままに、好きにし放題でね、鼻持ちならない 女になっていたと思うんです(笑) (中略)まあ、自分で考えて自分で納得して生きていられると思え るようになったのは有難いなあ、と。やっぱり苦労があったからこうなったんだろうなと思いますね。 だから苦労っていうのは私はね、その、体の苦労っていうのはもう本当に人より何倍もしたと思うん ですよ。でも世の中の苦労、 (中略)生活に困ったとか、(中略)社会的に苦労したりっていうのはあ んまりなかったんですよね。. <備考>自身の人間としての成長を客観的にとらえている。多職種に対する質問調査の回答で 「強さ」を学んでいるというコメントがあり、上記のような語りからの影響かもしれない。. 22. 自分を支える経験、人生における達成感(ABF) 子供産んだ時にね、おっぱい飲ませているとき、癌になったんですよ。 (麻酔なしで)メスで取ったん です。 子供はもうできないと思ったんですよ。そしたら男の子できてね。 ××(習い事)を始めて、 (中略)辞めずにやってこれたかなと。たった一つ、私があの、なんていう か人に対して、良かったなと、できたことっていうのは、 (中略)周りのお弟子さんとか先生とかにで きることで少しでも恩返しの真似事みたいのができたらと思って(中略)私が感謝されたのそれだけ (笑). <備考>独居との関連性は不明だが一種の自信に繋がっているとも思われる。1 名は辛かった 経験が一番の人生の思い出に残ることとしてあげていた。苦難を乗り越えたことが自分の支え になってる。. 23. ペットの存在(A) これ(オウム)。○○ちゃん、もう 50 歳になる。(入院中は)隣のお兄さん(が預かってくれた)。 私が死んだらね、この子を安楽死させてほしいと言っているの。 (タバコ屋の看板オウムだったので)「おはよう」っていうの、男の人の声(に)ですよ、今でも ね。「お母さん、お母さん」って言うんですよ。かわいいです。. <備考>ペットを飼っていた方は 1 名。50 年という長期間一緒に暮し、家族の一員であった。. 24. 日本の医療を受ける幸せ(E) うん、当たり前、日本一番いいよ。理由は私は分からない、でも日本一番いい、心違う(笑) 私がんばってるしかない、変わるは嬉しい、○○(母国)よりは日本一番いい。 本当、一番良かった。私○○(母国)いるは死んじゃった。 (泣)・・・ありがとう。日本ありがとう。助かった。いろいろ本当 OK。もう嬉しいよ、満足。 ○○(母国)全然お金ない、死んでた。(泣)ごめんね(泣いてしまって)。何もない、満足、OK. <備考>今後もこのような方が増えていく可能性あり。母国には帰りたくない、日本にいたい、 そのためには一人でも仕方がないとの思いが強かった。.
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