学校給食における食育の意義 ー「食べ残し」の問題に着目して― 人 間 教 育 専 攻 現代教育課題総合コース 齊 藤 優 花 里 はじめに十月題の所在と研究の目的― 学校給食は、明治22(188の年に山形県鶴岡町 の私立忠愛小学校で貧困児童を対象に実施され た。これが我が国の学校給食の起源とされてい る。学校給食では食育が推進されているが、具 体的に食育とは何であるのかが定着していない のが現状であると石田(2013)によっても指摘 されている。食習慣は子どものころに身につい た習慣が成人までつながるものであり、学校給 食を通した食育によって子どもたちにより良い 食習慣を身に着けさせる必要がある。また、学 校給食に関する研究については、幅広い分野で これまで行われてきている。しかし、本論文の 中心である食べ残しに関する取り組みや報告に ついては多いとは言えないため、学校給食にお ける「食べ残し」についての研究は発展の余地 があると考えた。 第1章 学校給食の目的と指導の変遷 学校給食が教育活動の一環として考えられる ようになったのは戦後であり、学習指導要領に 位置付けられるようになった昭和33(1958)年 を始まりとして、これ以降の学校給食に限定し て目的と指導の変遷について考察を行った。布 j胞01のと高田ロ01のの分析を下に考察を行っ た結果、学校給食の指導は、いずれの時代も試 行錯誤されながら行われていた。分析を総合す ると、学校給食の歴史と指導の変遷は以下のよ 指導教員 金野 誠志 うに整理できる。1958 年~2017 年までの小学 校学習指導要領では、7 回の改訂が行われてい るが、学校給食指導の変遷に着目して区分する と、大きく4 つの区分に分けられると考える。 1 つ目の区分が1958 年~1967 年である。こ の時代は学校給食を教育と結びづけた考えとな っていることから「給食が教育と結びついた時 代」であった。2 つ目の区分が1968 年~1987 年である。高度経済成長により日本が活気づい たと同時に、給食の目的や内容、形態も変化し、 食事は楽しく豊かなものにしようとする「心と 体が満たされる給食」へと変化した。このこと から、この時代は、「学校給食の見直しの時代」 であった。3 つ目の区分が1988 年~1998 年で ある。栄養や健康の保」割曽進といった面が強く なっている時期であり、「健康教育の意味合いが 強まった時期」であった。4 つ目の区分が2005 年~2019 年である。食育という観念が新たに誕 生し、食習慣や食形成のための取り組みが重要 視されたことから「食育が重視された時代」で あった。学校給食・学校給食指導のねらいの変 遷に注目して考察を行ったが、変遷にはその前 後の手引きや指導要領が大きく関係していて、 時代背景やその時代の課題等も密接に関係して いることが明らかになった。 第2 章食べ残しの問題について 食べ残しは残食とも言われ、食べられる状態
であるにもかかわらずに廃棄されてしまう食品 のことである。環境省による調査では、学校給 食から発生する食品廃棄物の年間発生量につい て発表されている。平成25 年度では、児童・生 徒1人当たり年間で約17.2蛇の食品廃棄物が 発生しているとの結果になっている。 給食を残すことがなぜ問題視されるのかにつ いては、健康面の要因と社会的な要因から示し た。また、食べ残しの問題は社会的に、食品ロ スとして問題視されているが、その意識の浸透 が十分でない現状について示した。 そのような中で、食べ残しをしないことを目 的とした指導が教育現場で行われるようになり、 過剰な完食指導が問題となった。これを改善す るためには、食べ残しが多いことは教員の指導 力不足であるとの認識を改めることべ継続的・ 習慣的にできる取り組みべ環境を整える事の必 要性について論じた。 第3 章 徳島県の食育推進事業指定校の事例か ら 本論文では、文部科学省の「つながる食育推 進事業」指定校である三好市立辻小学校及び文 部科学省が実施する「社会的課題に対応した学 校給食活用事業」におけるモデル校となってい る上板町立高志小学校の「食育」の実践から示 唆を得た。この2 校の特徴や取り組み等から2 つの共通点が明らかになった。1 点目が坦り或と のつながりが強い点であり、2 点目が給食で心 と体を満たす才旨導を行っている点である。 1 点目の地域とのつながりとは、地域のものを 食べ、地域の良さを知り、地域に誇りを持つこ とである。地域のことを知る機会というものは 少なく、食を通して楽しく学べるといった視点 はより一層注目されるべきであると論者は考え る。2 点目の心と体を満たす」旨導もこの延長上 の視点であり、食べ物を味わうことにより、体 だけでなく心も満たされ、食の楽しさを感じる といった視点が食育には必要である。2 校の取 組から、子どもにとって楽しい学びというもの は、学びを楽しむだけに終わらず、結果として、 食べ残しが少なくなった等の成果として表れて いることが明らかとなった。一方で、今回取り 上げた2 校は、どちらも比較的小規模校であり、 通常の規模の学校でこれらのような取り組みを 行うと考えた場合、同様の実践が可能であるの かといった点が課題として指摘できる。 また、食べ残しを減らすための取組ついて具 体例を挙げたが、取組に関しては「学校でこそ すべきこと」 と 「学校でもすべきこと」に分類 できると考えた。その中で最終的に、子どもた ちが自ら考えながら完食できるようにすること が大切であるとの結論に至った。 おわりに 食育の意義は、生涯につながる食を楽しく育む ことにあると考えた。2 校の取組から子どもに 食を楽しいと感じてもらうことの必要陛と同時 に指導する教員の側も楽しいと感じながら取り 組む必要性があることが明らかになった。その 取り組みを行うにあたっては、地域共家庭の協 力が必要であり、学校・地域・家庭の三者のつ ながりを確固なものとした上で取り組むことが 大切である。一方で、食育の取組を行うにあた って、食育に興味がない人や肯定的でない人に 対してはどのようにして協力を得るのかといっ た課題等が考えられる。