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首都圏の大気中微小粒子(PM2.5)に対する国内・国外発生源の影響

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Academic year: 2021

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(1)主要な研究成果. 首都圏の大気中微小粒子(PM2.5)に対する 国内・国外発生源の影響 背 景 環境省は、平成 20 年 4 月に大気中を浮遊する 2.5 μm 以下の微小粒子(以下、PM2.5)の健康影響を認める報 告書をとりまとめた。わが国では PM2.5 の質量比約 1/3 を、自動車や工場・発電所をおもな排出源とする SOX と NOX から生成した硫酸塩と硝酸塩とが占める。また、PM2.5 は大気から除去されにくく広域を輸送される。 PM2.5 対策を検討する上で、国内の新たな SOX、NOX 排出対策で PM2.5 濃度がどの程度改善されるか、また排 出量の増大が予想される国外発生源の影響を今後どの程度受けるかを見極める必要がある。そこで当所は、わ が国の PM2.5 濃度を解析するため、東アジアを計算領域とする大気質モデル* 1 の開発を進めてきた* 2。. 目 的 東アジアを対象に大気質モデルにより PM2.5 の大気中濃度を計算し、首都圏大気の PM2.5 に含まれる硫酸塩 と硝酸塩の濃度と大気汚染物質の排出量との関係を求め、国内外の発生源の影響を評価する。. 主な成果 東アジアを 12 の発生源域に分け(図 1)、発生源域ごとに SOX と NOX の排出量(図 2)を 20%増加(3 年分の 増加率に相当)させて濃度計算を行い、大気中の PM2.5 濃度の変化を調べた。その結果、首都圏の PM2.5 に含 まれる硫酸塩と硝酸塩について、以下のことが明らかになった。 (1)硫酸塩と硝酸塩の濃度は、首都圏発生源による変化が最大であったが、国内他地域や中国華北地方、朝鮮 半島の発生源によっても比較的大きく変化した。また、硝酸塩は硫酸塩より生成速度が速いことから、首 都圏や国内他地域の発生源による濃度変化がより大きかった。(図 3) (2)硫酸塩の場合、高濃度となる夏の濃度変化は首都圏発生源によるものが大きいが、春は国外発生源による 濃度変化率が国内発生源のそれを上回った。硝酸塩の場合、首都圏の排出量を増やすと、夏は生成と粒子 化が促進されて排出量の増加率以上に濃度が増大し、冬は硝酸塩の生成に必要なオゾンが NOX により消 費されるため濃度は減少した(図 4)。こうした挙動は、硝酸塩の反応生成や粒子化の過程が複雑で、濃 度が NOX 排出量に応じた変化を示さない(非線形性)ことによる。 以上より、首都圏大気の PM2.5 に含まれる硫酸塩と硝酸塩は首都圏内発生源の影響を最も強く受けるが、国 外発生源の影響も無視できないことがわかった。特に硝酸塩は濃度変化が複雑であり、非線形性を考慮して排 出対策を検討する必要性が示唆された。. 今後の展開 微小粒子とともに関心の高いオゾンについて同様の解析を行い、効果的な対策の検討に資する。 主担当者 関連報告書. 環境科学研究所 化学環境領域 上席研究員 速水 洋 「国内外の大気汚染物質排出量に対する首都圏二次生成無機粒子濃度の感度」電力中央研究 所報告: V07020(2008 年 5 月、印刷中). * 1 :気象や排出量を入力条件に移流拡散、化学反応、除去などの過程を考慮して、様々な物質の大気中濃度の時間変 化を計算する数値モデル。 * 2 :速水洋「首都圏における人為燃焼発生源の排出量抑制と二次粒子無機イオン成分濃度の関係」大気環境学会誌、 42、234-252.. 46.

(2) 2.環境/地球環境問題への対応 2.0. 火山. 月間排出量 [Mt/mo]. 1.8 1.6. 洋上船舶 他(台湾等). 1.4. 中国南西部. 1.2. 中国北西部. 1.0. 華南地方. 0.8. 華中地方 華北地方. 0.6. 中国東北部 朝鮮半島. 0.4 0.2. 国内他地域. 0.0. 首都圏 SO2. 図1 発生源域の地理分布. NOX. 図2 各発生源域からのSO2とNOXの月間排出量. 2. 年平均濃度変化率. 20% 15%. *SO2は発生源から大気に直接排出される ため、首都圏の排出量が20%増えると首都 圏の濃度もほぼ同じだけ増大する。とこ ろが硫酸塩と硝酸塩は大気中で生成し、 滞留時間も長いため、首都圏の排出量が 20%増えても首都圏の濃度は5%前後しか 増えない。その一方で、華北地方で排出 量が20%増えると首都圏の濃度が1%以上 増加したように、遠方発生源の影響が無 視できない。. sulfate 硫酸 塩 nitrate 硝酸 塩. 5%. SO2 SO 2. 中 国 南 西 部. VOL. OCN. 中 国 北 西 部. OTH. 中 国 東 北 部. SWC. 華 南 地 方. NWC. 華 中 地 方. NEC. 華 北 地 方. SCC. MCC. 朝 鮮 半 島. NCC. 国 内 他 地 域. KOR. 首 都 圏. JPN. TKY. 0% 火 山. 洋 上 船 舶. 他 ︵ 台 湾 等 ︶. 図3 発生源域ごとにSOXとNOXの排出量を20%増やしたときの首都圏の大気中濃度の変化率. 8. 国外合計 国内他地域 首都圏. 硫酸塩. 濃度変化率. 15%. 6. 10%. 4. 5%. 2. 0%. 0. 50%. 5. 硝酸塩. 40%. 4. 30%. 3. 20%. 2. 10%. 1. 0%. 0. -10% 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10 11 12. 1. 2. 3. 濃度[μg m-3]. 20%. *首都圏の硫酸塩濃度は7月に高く1 月に低い季節変化があり、排出量の 20%増に対する濃度変化率も季節と もに変動する。たとえば4月は国外排 出量の影響が大きく、国外で排出量 が20%増えると首都圏の濃度は約8% も上昇する。 また、首都圏の硝酸塩 濃度は首都圏の排出量に対して過剰 に応答し、夏は排出量の増加率 (20%)以上に上昇し、冬は排出量 増加に反して減少する。. -1 A 年平均. 月 ( 2000年度). 図4 首都圏PM2.5に含まれる硫酸塩・硝酸塩の平均濃度と、国内外発生源の排出量20%増による濃度変化. 47.

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